説明

易開封性共押出多層フィルム及びこれを用いた包装体

【課題】 従来の易開封性包装材に求められている易開封性の性能を損なうことなく、広い温度範囲で安定して密閉でき、高速剥離時にもフィルムの裂け等が発生しないような共押出多層フィルムを提供すること。
【解決手段】 190℃でのMFRが2.0〜12g/10min、密度が0.930〜0.950g/cmの直鎖状低密度ポリエチレンを60〜85質量%と、230℃でのMFRが5.0〜12g/10minのポリプロピレンを15〜40質量%とを混合してなる樹脂層と、190℃でのMFRが10〜50g/10min、密度が0.915〜0.935g/cmの低密度ポリエチレン50〜65質量%と、230℃でのMFRが2〜15g/10minのプロピレン系樹脂を35〜50質量%とを混合してなるヒートシール層とが隣接して積層され、全厚が20〜50μm、ヒートシール層が全厚の5〜15%である易開封性共押出多層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や雑貨・医療用具等の易開封性包装材として好適に使用できる共押出多層フィルムと、この共押出多層フィルムを用いてなる包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や雑貨等を充填する包装体として、蓋が容易に開封できる易開封性包装容器が広く使用されている。これらの包装体は充填口に蓋材をヒートシールし密封して使用されるが、包装物を取り出す際には蓋材を剥がす必要がある為、容器と蓋材とを広い温度範囲で安定して密封でき、かつ剥がしやすいヒートシール強度を持つシーラントフィルムが必要である。
【0003】
上記の問題を解決する方法として、特定の比率でポリプロピレン系樹脂とポリエチレン樹脂を混合したヒートシール層/エチレン系樹脂層からなる易開封性共押出多層フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし前記特許文献1で提供された易開封性多層フィルムをシーラントフィルムとして使用した場合であっても、固形カレールウや、錠剤・医療用具等の包装において良く使用されるローレットシールなど、シール部に細かな凹凸のパターンが施される場合には、ヒートシール部分の食い込みが生じ、勢いよく剥がすと(高速剥離すると)部分的に力がかかり、フィルムの裂け、材破が発生するという問題がある。
【0004】
ローレットシール用のシーラントフィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレンからなる樹脂層に、直鎖状低密度ポリエチレンとその他特定のオレフィン系樹脂とを混合してなるヒートシール層を積層した多層フィルムが提供されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、前記特許文献2で提供されたフィルムをシーラントフィルムとして用いた場合、広いシール温度への対応が不十分で、シール温度によるシール強度が不安定であることから精密な温度管理を必要とすることになり、汎用食品用途等への応用に制限がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−153324号公報
【特許文献2】特開2001−232736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記のような問題に鑑みなされたものであり、従来の易開封性包装材に求められている易開封性の性能を損なうことなく、広い温度範囲で安定して密閉でき、高速剥離時にもフィルムの裂け等が発生しないような共押出多層フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ヒートシール層とこれと積層する樹脂層として、特定の物性値を有する樹脂混合物を使用し、且つ、フィルムの全厚とヒートシール層の厚み比率を調整することにより、広い温度範囲での密閉性と、高速剥離時での易開封性との両立が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、190℃でのメルトフローレートが2.0〜12g/10minであり、密度が0.930〜0.950g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン(a1)を60〜85質量%と、230℃でのメルトフローレートが5.0〜12g/10minのポリプロピレン(a2)を15〜40質量%とを混合してなる樹脂混合物を主成分とする樹脂層(A)と、190℃でのメルトフローレートが10〜50g/10minであり、密度が0.915〜0.935g/cmである低密度ポリエチレン(b1)50〜65質量%と、230℃でのメルトフローレートが2〜15g/10minのプロピレン系樹脂(b2)35〜50質量%とを混合してなる樹脂混合物を主成分とするヒートシール層(B)と、が隣接して積層されてなる共押出多層フィルムであって、フィルムの全厚が20〜50μmであり、且つ前記ヒートシール層(B)の厚さがフィルム全厚の5〜15%の範囲であることを特徴とする易開封性共押出多層フィルム、及び該フィルムを用いてなる包装体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の共押出多層フィルムは、広いシール温度範囲での安定的な密閉性と、易開封性とをバランスよく発現するものであり、易開封性シーラントフィルムとして好適に用いることができる。特に、シール部に細かな凹凸を有するローレットシール時においても、剥離時の力を分散させることが可能な基材層の構成になっていることから、フィルムの裂けや破れを防ぐことができる。従って、食品や玩具・医療用具等の容器の包装体、特には蓋材として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の共押出多層フィルムは、少なくとも樹脂層(A)とヒートシール層(B)とを有するものであり、それぞれの層を構成する樹脂として、特定の樹脂混合物を主成分としているものである。本発明において「主成分とする」とは、当該特定の樹脂混合物を、各層を形成する組成物全量に対して85質量%以上含有する事を言うものであり、好ましくは、95質量%以上が特定の樹脂混合物であることを言う。
【0011】
本発明の共押出多層フィルムにおいて、樹脂層(A)は190℃でのメルトフローレートが2.0〜12g/10minであり、密度が0.930〜0.950g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン(a1)を60〜85質量%と、230℃でのメルトフローレートが5.0〜12g/10minのポリプロピレン(a2)を15〜40質量%とを混合してなる樹脂混合物を主成分とする。
【0012】
前記直鎖状低密度ポリエチレン(a1)は、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等のα−オレフィンとの直鎖状の共重合体である。なかでも好ましいものとしては、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体等であり、エチレン由来成分含有率が90質量%以上のものが好ましく、90〜98質量%のものが特に好ましい。
【0013】
前記直鎖状低密度ポリエチレン(a1)の190℃でのメルトフローレート(以下、MFRという)は2.0〜12g/10minであることを必須とし、特に4.0〜7.0g/10minであることが好ましい。尚、MFRはJIS K7210(荷重21.18N)に準拠して測定された値である。MFRが2.0g/10min未満では、後述するポリプロピレン(a2)と混合して用いる際に相分離しやすくなり、得られる多層フィルムの靭性に劣ることがある。又、MFRが12g/10minを超えると、後述するヒートシール層(B)との共押出する際の樹脂流れの均一性にかけることになり、得られる多層フィルムの均質性に問題が生じる場合がある。
【0014】
又、前記直鎖状低密度ポリエチレン(a1)の密度としては、0.930〜0.950g/cmであることを必須とし、特に0.935〜0.945の範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明の樹脂層(A)は、前記直鎖状低密度ポリエチレン(a1)に、230℃でのMFRが5.0〜12g/10minのポリプロピレン(a2)を併用することを特徴とする。この様なポリプロピレン(a2)を混合することによって、得られるフィルムの剛性を適度に向上させ、シール部に凹凸がある場合のシールの食い込みを防止すると共に、剥離時の力を分散させてフィルムの裂け等を防止する効果を発現させることができる。
【0016】
前記ポリプロピレン(a2)は、プロピレンの単独重合体であり、好ましくは、マルチサイト触媒(チーグラー・ナッタ触媒)を用いて重合されたものである。又、MFR(230℃)は5.0〜12.0g/10分であるものを必須とし、好ましくは、7.0〜10.0g/10分のものである。MFRがこの範囲であれば、フィルムの成膜性が向上し、又前記した直鎖状低密度ポリエチレン(a1)と混合した際に適度な海島構造を発現させることができることから、剥離時の力の分散効果が高くなる。
【0017】
樹脂層(A)は、前記直鎖状低密度ポリエチレン(a1)と前記ポリプロピレン(a2)とを(a1)/(a2)=60〜85/15〜40(質量比)の範囲で混合した樹脂混合物を主成分とするものであり、特に(a1)/(a2)=70〜80/20〜30(質量比)で混合したものを用いることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン(a1)の使用割合が60質量%未満ではポリプロピレンの割合が増えることによってフィルムが硬くなりすぎ、ローレットシール等の凹凸シールの場合のシール強度が不足したり、剥離時にフィルムの破れが生じたりすることがある。又、直鎖状低密度ポリエチレン(a1)の使用割合が85質量%を超えると、フィルム全体の強度不足により剥離時にフィルムが裂ける事がある。
【0018】
又、本発明において樹脂層(A)は単一の層からなるものであっても、2層以上の多層構成からなるものであってよい。特に本発明においては樹脂層(A)の全厚に占める割合が高いので、共押出法を用いる際のヒートシール層(B)との厚み調整を容易にするためには、2層以上の多層構成にすることが、均質性に優れる多層フィルムとなることから好ましいものである。このとき、2層以上の樹脂層(A)を構成する樹脂混合物は、前述の直鎖状低密度ポリエチレン(a1)と前述のポリプロピレン(a2)とを特定割合の範囲で用いれば良く、全く同一の混合物であっても、それぞれのMFRや密度が異なる樹脂の混合物、混合比率が異なる混合物等であってもよい。
【0019】
本発明の多層フィルムにおけるヒートシール層(B)は、190℃でのMFRが10〜50g/10minであり、密度が0.915〜0.935g/cmである低密度ポリエチレン(b1)50〜65質量%と、230℃でのMFRが2〜15g/10minのプロピレン系樹脂(b2)を35〜50質量%とを混合してなる樹脂混合物を主成分とする。
【0020】
前記低密度ポリエチレン(b1)としては、シングルサイト、マルチサイト何れの触媒を用いて得られたものであってもよい。一般にフィルム成形等の押出成形で用いられる低密度ポリエチレンは190℃でのMFRが1〜8g/10min程度であるが、本発明においては、より流動性の良好なMFRが10〜50g/10minの低密度ポリエチレンを用いることが大きな特徴の一つである。この様な流動性に優れたポリエチレンを用いることで、シール面に凹凸があるような場合であっても、安定したシール強度が得られるようになる。特に好ましいMFRの値は、25〜40g/10minの範囲である。
【0021】
又、前記低密度ポリエチレン(b1)の密度としては、0.915〜0.935g/cmであることを必須とするが、特に0.915〜0.925の範囲であるものを用いることが、これと混合して使用するプロピレン系樹脂(b2)と適度に混合し、フィルムの均質性を高めることができる。
【0022】
前記プロピレン系樹脂(b2)は230℃でのMFRが2〜15g/10minのものであれば良く、例えば、プロピレンとエチレン、ブテン等のその他のα−オレフィンとのブロック又はランダム共重合体が挙げられる。なかでも好ましいものとしては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体等が挙げられる。これらプロピレン系樹脂(b2)は単独で用いても、混合して用いても構わない。
【0023】
本発明のヒートシール層(B)は、前記低密度ポリエチレン(b1)と前記プロピレン系樹脂(b2)とを(b1)/(b2)=50〜65/35〜50(質量比)で混合した混合物を主成分とするものであり、好ましくは、(b1)/(b2)=50〜55/45〜50の範囲で混合したものを使用することである。この範囲を満たさない場合には、ヒートシール温度によるシール強度の振れ幅が大きくなりやすく、汎用性にかけることがあり、特にプロピレン系樹脂(b2)の使用割合が高い場合には、食品や玩具等の容器として汎用されるプロピレン系樹脂を最外層とする容器へのシール強度が高すぎる結果、高速剥離時にフィルムが裂けることが多くなる。
【0024】
本発明の共押出多層フィルムの厚さ(全厚)としては、近年の包装材料の軽量化の観点と、易開封性の点より、20〜50μmであり、なかでも25〜40μmの範囲であることが好ましい。ヒートシール層(B)の厚さはフィルム全厚の5〜15%の範囲であり、この範囲であると、ヒートシール強度が安定して適度な易開封性を示し、開封時のフィルムの裂けが起こりにくい。本発明の共押出多層フィルムは、ヒートシール層(B)の凝集破壊による易開封性発現を利用するものであるが、樹脂層(A)へ力を分散させ、当該樹脂層(A)をも容易に破壊できるように設計しており、そのため、ヒートシール層(B)が薄くても充分な開封性を発現することができる。
【0025】
本発明の共押出多層フィルムには、樹脂層(A)およびヒートシール層(B)のいずれかあるいは全ての層に他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、防曇剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添加しても良い。
【0026】
本発明の共押出多層フィルムの製造方法としては、樹脂層(A)とヒートシール層(B)とが隣接して積層される共押出積層成形法であることが必要であり、例えば、2台以上の押出機を用いて溶融押出する、共押出多層ダイス法、フィードブロック法等の種々の共押出法により溶融状態で樹脂層(A)とヒートシール層(B)を積層した後、インフレーション、Tダイ・チルロール法等の方法で長尺巻フィルムに加工する方法が好ましく、Tダイを用いた共押出法がより好ましい。
【0027】
本発明の共押出多層フィルムの製造に際して樹脂層(A)は、印刷の接着性や接着剤との接着性を向上させるために、表面処理を施すことが望ましい。
【0028】
この表面処理の方法は、本発明の共押出多層フィルムを連続的に処理でき、かつ、製膜時に巻き取る前に容易に実施でき、処理の度合いも任意に調整できるコロナ放電処理が望ましい。なお、表面処理に関しては加熱下または不活性ガスの雰囲気下でコロナ放電もしくはプラズマ放電等の効果促進手法を用いても良い。
【0029】
本発明の共押出多層フィルムをシーラントフィルムとして使用する際には、樹脂層(A)上に任意の基材を積層接着する。この積層接着される基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体等からなる基材が挙げられる。またこれらの積層接着する基材は単層に限らず多層に積層したもの等が任意に選択できる。この積層接着する基材は二軸延伸加工されたフィルムをラミネート加工等で積層接着することが望ましく、ラミネート加工としては、ドライラミネート、サーマルラミネート、押出ラミネート等任意の方法を用いることができる。また、接着性樹脂を介して、共押出ラミネートで積層しても良い。この基材の厚さは特に限定されるものではないが、熱封着性、易開封性に優れるラミネートフィルムが得られることから5〜300μmが好適である。
【実施例】
【0030】
以下に実施例と比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、例中の部及び%は全て重量基準である
【0031】
(1)易剥離性の評価
得られたフィルムの樹脂層(A)側にウレタン系接着剤を使用して膜厚12μmの2軸延伸ポリエステルフィルムをラミネートして、ラミネートフィルムを作成した。得られたラミネートフィルムのヒートシール層を厚さ0.3mmのポリプロピレンシートに合わせ、精密ヒートシーラー(テスター産業製)も用いて温度130〜190℃(10℃刻み)、圧力0.2MPaで幅10mmのシールバーにより、1.0秒間ヒートシールした後、放冷し、次いでヒートシールしたサンプルから15mm幅の試験片を切り取り、23℃、50%RHの恒温室において引張速度300mm/分の条件で、万能型引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)で180度方向に剥離して最大荷重を測定した。(単位:N/15mm)
【0032】
(2)高速剥離試験
上記シートに上記ラミネートフィルムのヒートシール層を重ね合わせ、88角、1.2mmピッチのローレットシールを包装機を使用して行い、温度180℃、時間1.0秒間、荷重100kgの条件でヒートシールサンプルを得た。このヒートシールサンプルから15mm幅の試験片を切り取り、23℃、50%RHの恒温室において引張速度300mm/分の条件で、万能型引張試験機(株式会社エー・アンド・ディー製)で180度方向に剥離して最大荷重を測定(単位:N/15mm)するとともに、ヒートシールサンプルの角から容器の蓋を剥がすようにしてフィルムを勢いよく剥がし高速剥離させ、フィルムの裂け、材破の有無を確認し、裂けの発生が無いものを○、裂けが発生したものを×して表中に結果を記載した。
【0033】
(3)剛性
ASTM D882に従って、1%Secant Modulusを23℃、相対湿度50%雰囲気で測定した。
【0034】
実施例1
樹脂層(A)を二層構成とした。最外層の樹脂層(A1)用の樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン〔密度0.94g/cm、MFR(190℃)4g/10min;以下LLDPEという〕85部と、マルチサイト触媒を用いて合成されたプロピレン単独重合体〔MFR(230℃)8g/10min、融点164℃;以下HOPP(1)という〕15部との混合物を用い、これと積層する中間層の樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE85部とHOPP(1)15部の混合物を用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてプロピレン−エチレンランダム共重合体〔MFR(230℃)5g/10min;以下COPPという〕50部と、低密度ポリエチレン〔密度0.92g/cm、MFR(190℃)35g/10min;以下LDPEという〕50部との混合物を用い、樹脂層(A1)用押出機(口径30mm)と樹脂層(A2)用押出機(口径40mm)とヒートシール層(B)用押出機(口径30mm)のそれぞれに樹脂を供給し、共押出法により押出温度230℃でTダイから(A1)/(A2)/(B)の各層の厚さが12μm/15μm/3μmになるように押出し、30℃の水冷金属冷却ロールで冷却し、樹脂層(A1)の濡れ張力が40mN/mとなるようにコロナ放電処理を施した後、ロールに巻き取り、35℃の熟成室で48時間熟成させて、全厚が30μmの共押出積層フィルムを得た。
【0035】
実施例2
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE70部とHOPP(1)30部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例2の共押出積層フィルムを得た。
【0036】
実施例3
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE60部とHOPP(1)40部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例3の共押出積層フィルムを得た。
【0037】
実施例4
ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP35部とLDPE65部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例4の共押出積層フィルムを得た。
【0038】
実施例5
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE70部とHOPP(1)30部の混合物を用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP35部とLDPE65部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例5の共押出積層フィルムを得た。
【0039】
実施例6
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE60部とHOPP(1)40部の混合物を用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP35部とLDPE65部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例6の共押出積層フィルムを得た。
【0040】
実施例7
(A1)/(A2)/(B)の各層の厚さが10.5μm/15μm/4.5μmになるように押出した以外は実施例1と同様にして実施例7の共押出積層フィルムを得た。
【0041】
実施例8
(A1)/(A2)/(B)の各層の厚さが16μm/20μm/4μmになるように押出した以外は実施例1と同様にして実施例8の共押出積層フィルムを得た。
【0042】
実施例9
(A1)/(A2)/(B)の各層の厚さが14μm/20μm/6μmになるように押出した以外は実施例1と同様にして実施例9の共押出積層フィルムを得た。
【0043】
実施例10
ヒートシール層(B)用の樹脂としてプロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体〔MFR(230℃)6g/10min;以下PEBという〕50部とLDPE50部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例10の共押出積層フィルムを得た。
【0044】
実施例11
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE60部とHOPP(1)40部の混合物を用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてPEB50部とLDPE50部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして実施例11の共押出積層フィルムを得た。
【0045】
比較例1
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPEを用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP60部とLDPE40部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の共押出積層フィルムを得た。
【0046】
比較例2
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPEを用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP50部とLDPE50部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例2の共押出積層フィルムを得た。
【0047】
比較例3
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPEを用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP40部とLDPE60部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例3の共押出積層フィルムを得た。
【0048】
比較例4
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE90部とHOPP(1)10部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例4の共押出積層フィルムを得た。
【0049】
比較例5
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE80部とマルチサイト触媒を用いて合成されたプロピレン単独重合体〔MFR(230℃)2g/10min、融点164℃;以下HOPP(2)という〕20部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例5の共押出積層フィルムを得た。
【0050】
比較例6
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE70部とHOPP(2)30部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例6の共押出積層フィルムを得た。
【0051】
比較例7
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE50部とHOPP(1)50部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例7の共押出積層フィルムを得た。
【0052】
比較例8
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてHOPP(1)を用いた以外は実施例1と同様にして比較例8の共押出積層フィルムを得た。
【0053】
比較例9
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてCOPPを用いた以外は実施例1と同様にして比較例9の共押出積層フィルムを得た。
【0054】
比較例10
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂として高密度ポリエチレン〔密度0.960g/cm、MFR(190℃)7g/10min;以下HDPEという〕を用いた以外は実施例1と同様にして比較例10の共押出積層フィルムを得た。
【0055】
比較例11
ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP60部とLDPE40部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例11の共押出積層フィルムを得た。
【0056】
比較例12
ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP30部とLDPE70部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例12の共押出積層フィルムを得た。
【0057】
比較例13
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE60部とHOPP(1)40部の混合物を用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP60部とLDPE40部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例13の共押出積層フィルムを得た。
【0058】
比較例14
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE60部とHOPP(1)40部の混合物を用い、ヒートシール層(B)用の樹脂としてCOPP30部とLDPE70部との混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例14の共押出積層フィルムを得た。
【0059】
比較例15
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE85部とCOPP15部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例15の共押出積層フィルムを得た。
【0060】
比較例16
樹脂層(A1)、樹脂層(A2)用の樹脂としてLLDPE60部とCOPP40部の混合物を用いた以外は実施例1と同様にして比較例16の共押出積層フィルムを得た。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
190℃でのメルトフローレートが2.0〜12g/10minであり、密度が0.930〜0.950g/cmである直鎖状低密度ポリエチレン(a1)を60〜85質量%と、230℃でのメルトフローレートが5.0〜12g/10minのポリプロピレン(a2)を15〜40質量%とを混合してなる樹脂混合物を主成分とする樹脂層(A)と、
190℃でのメルトフローレートが10〜50g/10minであり、密度が0.915〜0.935g/cmである低密度ポリエチレン(b1)50〜65質量%と、230℃でのメルトフローレートが2〜15g/10minのプロピレン系樹脂(b2)を35〜50質量%とを混合してなる樹脂混合物を主成分とするヒートシール層(B)と、
が隣接して積層されてなる共押出多層フィルムであって、
フィルムの全厚が20〜50μmであり、且つ前記ヒートシール層(B)の厚さがフィルム全厚の5〜15%の範囲であることを特徴とする易開封性共押出多層フィルム。
【請求項2】
前記プロピレン系樹脂(b2)が、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、又はプロピレン−エチレンランダム共重合体である請求項1記載の易開封性共押出多層フィルム。
【請求項3】
樹脂層(A)が2層以上の多層構成である請求項1又は2記載の易開封性共押出多層フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の易開封性共押出多層フィルムの樹脂層(A)上に基材をラミネートしてなることを特徴とする包装体。
【請求項5】
プロピレン系樹脂を最外層に有する容器の蓋材である請求項4記載の包装体。
【請求項6】
ローレットシール用である請求項5記載の包装体。

【公開番号】特開2012−144015(P2012−144015A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5840(P2011−5840)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】