説明

易開封性包装体

【課題】 容器の開口部の形状・位置が異なる容器に兼用できる易開封性包装体を提供する。
【解決手段】 この易開封性包装体100は、内容物を取り出すための開口領域150を有する包装体本体と、この開口領域150を覆い両側から剥離可能に粘着されている蓋材200とを備え、開口領域150は、軟包装材料に環状の第一切込み線210を設けることによって形成されており、更に、環状の第一切込み線210と蓋材の剥離方向に沿った開口領域150の中心軸に略対称の位置する2点を起点として、一方の剥離端部側に向かって伸びる2本の第二切込み線220が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性包装体に関し、更に詳しくは、横型容器と縦型容器に兼用して使用できる易開封性包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットティッシュのように、水分を含んだ内容物を収容する軟包装体においては、携帯に便利で、取り出し易く、かつ、残ったウエットティッシュを再度使用する際の乾燥を防止するために再封止ができる軟包装体が検討されている。このような軟包装体として、例えば、下記の特許文献1には、袋本体に切れ目を形成して開口部を形成し、その上から、接着剤を介して剥離可能な蓋部材を設けた、化粧用繊維素材等の封入袋が記載されており、開口部を有し、かつ、その開口部の再封止ができるフィルム軟包装体が開示されている。
【0003】
また、上記の軟包装体とウエットティシュを収容する剛性容器とを組み合わせることも検討されており、例えば下記の特許文献2には、1枚ずつ切り離されたウエットティシュを折り重ねながら平面状に積層したものを収容するフィルム状の軟包装体と、この軟包装体をウエットティシュ平面が水平となるように横置きに収容する剛性容器とからなる包装体であって、剛性容器が、いわゆるポップアップ式と称されるものであり、ウエットティシュ片を引き出して連続的に取り出せるような取出し口を容器天面に備える包装体が開示されている。この剛性容器は、容器の天面中心にウエットティシュの取出し口が設けられている為、軟包装体の開口部も中心に設けられている。
【0004】
一方、ウエットティシュを収容する剛性容器としては、下記の特許文献3には、1枚ずつ切り離されたウェットシート片を折り重ねて積層し、これをウェットシート片が垂直となるように直接収容した容器であって、容器の天面に配置された取り出し口より、シートを引き出す構造の剛性容器が開示されている。
【特許文献1】実開昭59−99974号公報
【特許文献2】特開2003−170950号公報
【特許文献3】特開平8−104377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のように、ウエットティシュを収容する軟包装体と、これを収容する剛性の外装容器とを組み合わせた場合、軟包装体の開口部の位置は、それぞれの剛性容器の開口部に合った軟包装体を用いなければならない。例えば通常の横置きタイプであれば、軟包装体のウエットティシュ平面の略中央部に相当する位置に、楕円状や角状等の環状の開口部が形成されていればよい。しかし、縦置きタイプの場合であって、外装容器の開口部がその上方に形成されている場合には、それに応じて軟包装体の開口部も上記の略中央部から上方の包装体端部にかけて形成されていることが、ウエットティシュの取り出し性の観点からは好ましい。
【0006】
このように、例えば、使用する目的が類似で、内容物が全く同一シート(薬液や不織布、寸法)であったとしても、横置き又は縦置きといった外装容器の置きかたによって、消費者はそれぞれの形状にあった詰め替え用の軟包装体の専用品を購入せねばならず非常に不便である。
【0007】
しかし、上記の特許文献1から3のような従来の軟包装体においては、その置き方が横置き又は縦置きに決まっているため、その両方に同時に対応できるような詰め替えタイプのウエットティシュ用軟包装体は検討されていない。
【0008】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開口部位置の異なる、横型容器と縦型容器に兼用して使用できる易開封性包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
より具体的には、本発明は、以下の構成からなる易開封性包装体を提供する。
【0010】
(1)フィルム状の軟包装材料からなる包装体であって、前記包装体は、内容物を取り出すための開口領域を有する包装体本体と、この開口領域を覆い剥離可能に粘着されている蓋材とを備え、前記蓋材は、前記開口領域を挟んで両側から剥離可能となっており、前記開口領域は、前記軟包装材料に環状の第一切込み線を設けることによって形成され、更に、前記環状の第一切込み線上で、前記蓋材の剥離方向に沿った前記開口領域の中心軸に略対称に位置する2点を起点として、一方の剥離端部側に向かって伸びる2本の第二切込み線が設けられている易開封性包装体。
【0011】
本発明の易開封性包装体によれば、蓋材の他方の剥離端部から蓋材を剥離した場合には、環状の第一切込み線から連続して、第二切込み線によって軟包装材料が引き剥がされ、第一切込み線から包装体の端部まで連続した開口部が形成される。これによって、この場合には軟包装体の略中央部から端部までの大きな開口部が形成されるので、特に縦型の外装容器に収容する軟包装体として好適である。
【0012】
一方、逆側である一方の剥離端部から蓋材を剥離した場合、第二切込み線は剥離方向とは逆向きに形成されているので軟包装材料が引き剥がされることはない。このため、そのまま環状の第一切込み線に沿った開口部のみ形成される。この場合、軟包装体の略中央部にのみ環状の開口部が形成されるので、特に横型の外装容器に収容する軟包装体として好適である。
【0013】
このように、本発明によれば、一種類の軟包装体でありながら、蓋材を捲る方向によって、縦型容器又は横型容器の両方に対応する開口部を使い分けて形成することができるので、汎用の詰め替え用のウエットティシュ包装体として特に好適である。
【0014】
なお、本発明における「一方の剥離端部側に向かって伸びる」とは、他方の剥離端部から剥離した場合に、環状の第一切込み線から連続して、第二切込み線によって軟包装材料が引き剥がされるように構成されている方向を意味し、直線であっても曲線であってもよく、波線や矩形線であってもよい。
【0015】
(2)前記蓋材の他方の剥離端部から前記蓋材を剥離した際に、前記第二切込み線によって、前記開口領域から前記包装体の端部にかけて連続した開口部が形成されるように、前記軟包装材料の引き裂きをガイドする引き裂き誘導手段が、前記軟包装材料に形成されている(1)記載の易開封性包装体。
【0016】
この態様によれば、軟包装材料に引き裂き誘導手段が形成されているため、他方の剥離端部から蓋材を剥離した際に、第一切込み線から包装体の端部にかけて容易に大きな開口部を形成することができる。
【0017】
(3)前記第二切込み線の終点を含む末端部は、前記剥離方向に平行な線とのなす角であって前記一方の剥離端部側の角度が90°未満となるように形成されている(1)又は(2)記載の易開封性包装体。
【0018】
この態様によれば、第二切込み線の終点が剥離方向に向かって形成されているため、フィルムを切り裂く方向が導かれる。このため、一定の方向でフィルムが引裂かれ、安定して開口部が形成される。なお、この態様における「第二切込み線」は、形状は特に限定されず、一本又は二本以上の直線、曲線と直線を組み合わせて形成されていてもよいが、終点を含む部分は直線で形成されている。この終点を含む直線部分が「第二切込み線の終点を含む末端部」であり、このような末端部は少なくとも終点から1mm以上あればよく、好ましくは5mm以上である。
【0019】
(4)前記蓋材で覆われている軟包装材料の表面上で、前記第二切込み線又は前記開口領域から見て前記一方の剥離端部側に、脆弱加工処理によって形成された脆弱部が設けられている(1)から(3)いずれか記載の易開封性包装体。
【0020】
この態様によれば、軟包装材料の表面上に設けられた脆弱部によって、フィルムの剛性を実質的に低下させることができる。このため、蓋材を剥離した際に、フィルムが蓋材側に追随して粘着し易くなるので、引裂き誘導手段に沿って確実に切り離すことが可能となり、開口部を確実に設けることができる。
【0021】
なお、脆弱加工処理によって形成される「脆弱部」とは、例えば、抜き刃加工やレーザー加工などによって形成される、連続線やミシン目のような線状の切込み線であってもよい。また、切込み線には限定されず、例えば、表面にダイヤモンド片が付着したエンボス加工処理などによって形成され、開口領域の一部又は全部のフィルム表面に形成される微細な傷状の凹凸であってもよい。
【0022】
(5)前記蓋材の剥離端部は、それ以外の部分に比べて粘着強度が弱いか、又は、粘着性を有していない(1)から(4)いずれか記載の易開封性包装体。
【0023】
この態様によれば、剥離端部を容易に把持することができ、蓋材を剥がし易くなる。
【0024】
(6)前記包装体は密封包装体であり、前記内容物はウエットティッシュである(1)から(5)いずれか記載の易開封性包装体。
【0025】
この態様によれば、詰め替え用のウエットティシュは、通常ピロー包装体に収容されており、そこから簡単にウエットティシュを取り出す必要があり、また、特に大きな開口部が必要である。この点、本発明の易開封性包装体であれば、大きな開口部を形成でき、外装容器が縦置き、横置きのいずれであっても容易にウエットティシュを取り出すことができる。また、密封包装体であるので、ウエットティシュ等の内容物の乾燥を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蓋材の剥離する方向により、異なった形状の開口部を形成することができるため、外装容器の開口部の形状・位置が異なる容器に兼用して使用することができる易開封性包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、同一の構成要件については同一符号を付し、その説明は省略もしくは簡略化する。
【0028】
<易開封性包装体の全体構成>
図1、2は、本発明の易開封性包装体の実施形態の一例を示す図であり、図1は易開封性包装体の概略を示す斜視図、図2は図1における蓋材200の拡大図である。
【0029】
図1に示すように、この包装体100は、軟包装材料からなるフィルム110で構成されたピロー包装体である。包装体100を水平に置いた状態において、フィルム110の上面側には蓋材200が粘着されている。131、132は、それぞれ上下の横シール部であり、背面側の中央部には図示しない縦シール(背シール)部がある。
【0030】
図2に示すように、蓋材200が覆う部分のフィルム110には、環状の第一切込み線210、第二切込み線220が形成されている。そして、この環状の切込み線210によって、内側に開口領域150が設けられる。蓋材200は両方向の剥離端部230、231を有し、フィルム110上に粘着されている。剥離端部230、231は両方向からラベルを剥がし易くする為に、それ以外の部分に比べて粘着強度が低くなっているか、又は、粘着性を有していないことが好ましい。ここで「粘着」とは、再剥離および再封止が可能な状態をいう。
【0031】
フィルム110の上面における第二切込み線220の両終点の延長上には、そこから横シール部132にかけて続く、2本の平行な引き裂き誘導手段160が設けられている。この実施形態においては、引き裂き誘導手段160は仮想線として記載されており、実際には、フィルム110を構成する延伸フィルムの延伸方向が、仮想線の方向に一致しており、この延伸フィルムの配向が引き裂き誘導手段160となっている。
【0032】
<フィルム>
フィルム110は、特定の材質に限定されないが、加熱によりフィルムが融着し袋状の形状を得ることでき、内部のウエットティシュの乾燥を防ぐ為の防湿性を有する材質が好ましい。また、その材質は単体で接着性と気密性を有している素材を用いることができ、それぞれ別の特性を持つフィルムを数種類貼り合せた素材を用いることもできる。
【0033】
また、一軸延伸PETフィルムのように、一方向性の引裂き性を向上させたフィルムを基材フィルム用いると、スリットからフィルムを引裂きながら開口部を形成する際に直線的で安定した開口部を形成することができるので好ましい。
【0034】
<第一切込み線と開口領域>
第一切込み線210は、環状の開口領域150を生じるように設けられていればよい。図2にでは、楕円状の第一切込み線の形状を有しているが、四角でも丸型状でもよく、特に限定されない。環状に閉じており、蓋材200を剥がした後に形成された開口部の端部が中に収納されているシートと擦れ合いシート間の重なり合いを切り離すのに影響する抵抗を与えることが重要である。また、取出口となる開口領域150の大きさも、包装体100の大きさや、取り出す内容物の大きさや形状に応じて適宜選択可能である。
【0035】
第一切込み線210は、フィルムを打ち抜いて完全に開口した状態でも良いし、ラベルを引き剥がす時に自然に切れる程度、いわゆるミシン目程度で一部若しくは複数部が包装体のフィルム110に繋がっている状態でもよい。また、ハーフカットと呼称されるような、フィルムの厚み方向に向けて完全に打ち抜くのではなく、フィルムの最下層まで切らない状態でもよい。いずれにしても蓋材200を剥がした時に横型容器の開口部に対応した包装体の開口部を形成する状態であればよい。
【0036】
<第二切込み線>
第二切込み線220は、環状の第一切込み線210上の2点であって、蓋材の剥離方向に沿った開口領域の中心軸に略対称に位置する2点を起点として、開口領域の中心軸に対して対称に2本形成されている。この実施形態においては、それぞれの第二切込み線220は、上記の開口領域の中心軸に対して垂直方向に伸びた後、剥離方向に平行で剥離端部230に向かうL字状をなしている。
【0037】
第二切込み線220は、蓋材の剥離方向に沿った開口領域の中心軸に略対称に位置する2点を起点として、そこから一方の剥離端部側に向かって伸びていればよく、その形状は特に限定されない。他の例としては、図3のように、剥離方向に対して、略平行に設けられている第二切込み線221であってもよく、図4のように、剥離方向に対して、90°未満の鋭角で斜めに設けられている第二切込み線222であってもよい。また、開口領域が四角形状を示す例としては、図5のように、剥離方向に対して、平行な第一切込み線上の任意の点を起点として、第二切込み線223が設けられていてもよく、図6のように、剥離方向に対して、垂直な第一切込み線上の任意の点を起点として、第二切込み線224が設けられていてもよい。
【0038】
また、図7示すように、第二切込み線220の一方の剥離端部側にV字状の脆弱部240が設けられていてもよい。この脆弱部240によって、フィルム110の剛性を下げることができる。これによって、フィルム110が折れ曲がりやすくなるので、第二切込み線220からの切り起こしが容易になり、蓋材200への粘着を確実にする。
【0039】
また、図8に示すように、第二切込み線221の一方の剥離端部側に第一切込み線に接し、剥離方向に垂直に形成されている脆弱部241が設けられていてもよい。脆弱部は、フィルム110が折れ曲がりやすくなるように形成されていればよく、その形状、長さ、本数は適宜設定可能である。例えば、脆弱部はジグザグ状、波状、R状であってもよく、また、異なる形状のものが組み合わされていてもよい。また、1本のみであってもよく、連続線でなくミシン目であってもよい。
【0040】
また、切れ目線はフィルム110を貫通するように形成されていてもよく、いわゆるハーフカットの状態であってもよいが、フィルムの剛性を低下させて、より折れ曲がり易くする観点からは、フィルム110を貫通するように形成されていることが好ましい。なお、ハーフカットは、例えばレーザー光の照射や、機械的な抜き刃加工などの公知の方法によって形成できる。
【0041】
一方、図9、10のように、第二切込み線と剥離方向とのなす角が、剥離端部230から90°以上である場合には、剥離端部231側から蓋財200を剥離すると。第二切込み線からフィルム110を引裂くときに切り裂きの方向が導かれない為、スリットの終点部でひっかかってしまったり、引裂かれる方向や、形成される開口部分の大きさが不安定となり好ましくない。
【0042】
第二切込み線220は、フィルムを引裂く方向性をできるだけ安定させる為に、完全にフィルムを打ち抜いていることが好ましい。ミシン目の場合にはフィルム110に繋がっている部分を切る時に破断方向が乱れ、望まない方向に引裂かれる可能性がある。ハーフカットの場合は、切れていない最下層のフィルムの一部が残っている為、同様に破断方向が乱れ、望まない方向に引裂かれたり、デラミと呼ばれる上層のフィルムと下層のフィルムが破断部で剥離し始めて開口部が安定して形成されない可能性があるので好ましくない。
【0043】
<引き裂き誘導手段>
この実施形態においては、引き裂き誘導手段160は仮想線として記載されており、実際には、フィルム110を構成する延伸フィルムの延伸方向が、仮想線の方向に一致しており、この延伸フィルムの配向が引き裂き誘導手段160となっている。具体的には、例えば、フィルム110の基材層を延伸フィルムとすればよく、好ましくは配向性の高い一軸又は二軸延伸フィルムが好ましく、なかでも、いわゆる易引き裂き性(直線カット性)の一軸延伸フィルムがより好ましい。これらの延伸フィルムは従来公知の市販品を使用できる。
【0044】
引き裂き誘導手段160は、上記の延伸配向に限定されず、例えば切れ目線をフィルム110上に形成してもよい。この場合、切れ目線はフィルム110を貫通するように形成されていてもよく、いわゆるハーフカットの状態であってもよいが、包装体全体の密封性を維持するためには、ハーフカットの状態であることが好ましい。なお、ハーフカットは、例えばレーザー光の照射や、機械的な抜き刃加工などの公知の方法によって、例えば基材層のみに形成することができる。
【0045】
<蓋材>
蓋材200としては、柔軟性を有する可撓性のフィルム状やシート状のもので形成され、粘着層を形成する感圧型接着剤は、例えばアクリル系の糊剤、可塑剤を含んだポリ塩化ビニル組成物、エチレン−酢酸ビニル共重合体に塩化ビニルモノマーがクラフト重合されたクラフト共重合体などのクラフトマーを主体としたものが例示できるが、特定のものに限定されない。
【0046】
蓋材200の形状は図2では、楕円状の形状であるが、その形状には制約されない。四角形状でも円形状でも良く、第一切込み線210、第二切込み線220などを確実に覆うことができればよい。
【0047】
なお、蓋材200の剥離端部230、231は、それ以外の部分に比べて粘着強度が弱いか、又は、粘着性を有していないことが好ましい。
【0048】
<作用>
次に、図11から図14を用いて、この包装体100の作用について説明する。図11は、図1において蓋材200を剥離端部231から剥離した途中状態を示す斜視図であり、図12は剥離した後の状態を示す斜視図である。図13は、図1において蓋材200を剥離端部230から剥離した途中状態を示す斜視図であり、図14は剥離した後の状態を示す斜視図である。
【0049】
まず、包装体100において、蓋材200の剥離端部231側から、蓋材200を剥離する。すると、蓋材200の裏面側の粘着剤よって開口領域150が粘着され、フィルム110の開口領域150が第一切込み線210に沿って切り離されて持ち上げられる。更に蓋材200を剥がすと、今度は第二切込み線220に引き裂き線が乗り移り、仮想線である引き裂き誘導手段160に沿ってフィルム110が引裂かれ始め、横シール部132まで引裂いて開口部を形成し、開口部110a及び110bが一体として形成される。この一体の開口部は、外装容器が縦型容器の場合に好適に対応できる。
【0050】
図15、16には、上記のような包装体100を、縦型の外装容器300と組み合わせたウエットティシュ用包装体400の一例が示されている。図15に示すように、このウエットティシュ用包装体400は、剛性の外装容器300と、この外装容器300内に収容される、複数のウエットティシュ片を収容した上記の包装体100とで主に構成されている。
【0051】
図16に示すように、包装体100は、複数のウエットティシュ片が直立した状態、すなわち、いわゆる縦置きの状態で外装容器300の底部から挿入配置された後、底蓋320によって密封される。このように、上記のように開口部110a及び110bを一体として形成した包装体100は、縦型の外装容器に用いられる詰め替え用ウエットティシュ包装体として好適に用いることができる。
【0052】
外装容器300は、包装体100を収容する本体部310と、本体部310の底部に気密性を有するように勘合可能な底蓋320とから主に構成され、本体部310は中空の略直方体形状をなしている。本体部310の正面上部から上面にかけては、ウエットティシュ片を取り出すための第二開口領域330が形成されている。そして、この第二開口領域330には、第二開口領域330を気密状態で覆うことができるように、開閉可能な蓋体340が設けられており、この蓋体340は、ヒンジ部を支点にして上下方向に可動可能となっている。
【0053】
第二開口領域330は、外装容器300の高さの1/2の位置より上方に形成されている。これにより、ウエットティシュを上方に取り出すので、第二開口領域の下端部とウエットティシュ片との擦り合せ摩擦が生じる。よって、特別な爪やスリットを形成することなく、ウエットティシュ片間の切り離しを確実に行い、一枚づつウエットティシュを取り出すことができる。
【0054】
一方、蓋材200の剥離端部230側から、蓋材200を剥離した場合には、蓋材200の裏面側の粘着剤よって開口領域150が粘着され、フィルム110の開口領域150が第一切込み線210に沿って切り離されて持ち上げられる。しかし、更に、蓋材200を剥がしても第二切込み線はフィルムを引き剥がさずにそのまま残存する。したがって、第一切込み線210に沿った形状だけが開口された図14のような開口部110aが形成される。この場合は、包装体の開口端部はそのまま残存するため、横型容器に収納して使用する際にも、取り出し性の機能を阻害しない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、開口部位置の異なる容器に兼用して使用できる易開封性の包装体、例えば、詰め替え用のウエットティッシュの包装体として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】蓋材及び切込み線の拡大図である。
【図3】蓋材及び切込み線の他の例の拡大図である。
【図4】蓋材及び切込み線の更に他の例の拡大図である。
【図5】蓋材及び切込み線の更に他の例の拡大図である。
【図6】蓋材及び切込み線の更に他の例の拡大図である。
【図7】図2において脆弱部が設けられている蓋材及び切込み線の拡大図である。
【図8】図3において脆弱部が設けられている蓋材及び切込み線の拡大図である。
【図9】第二切込み線が剥離方向に対して、90°以上である蓋材及び切込み線の拡大図である。
【図10】第二切込み線が剥離方向に対して、90°以上である蓋材及び切込み線の他の例の拡大図である。
【図11】図1において蓋材を剥離しフィルムを引き裂いた途中状態を示す斜視図である。
【図12】図1において蓋材を剥離しフィルムを引き裂いた後の状態を示す斜視図である。
【図13】図1において他方から蓋材を剥離した途中状態を示す斜視図である。
【図14】図1において他方から蓋材を剥離した後の状態を示す斜視図である。
【図15】ウエットティシュ用包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【図16】軟包装体を外装容器収容する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
100 包装体
110 フィルム
110a、110b 開口部
131、132 横シール部
150 開口領域
160 引裂き誘導手段
170 ウエットティシュ
171 ウエットティシュ片
200 蓋材
210 第一切込み線
220、221、222、223、224、225、226 第二切込み線
230、231 剥離端部
240、241 脆弱部
300 外装容器
310 本体部
320 底蓋
330 第二開口領域
340 蓋体
350 ボタン
400 ウエットティシュ包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の軟包装材料からなる包装体であって、
前記包装体は、内容物を取り出すための開口領域を有する包装体本体と、この開口領域を覆い剥離可能に粘着されている蓋材とを備え、
前記蓋材は、前記開口領域を挟んで両側から剥離可能となっており、
前記開口領域は、前記軟包装材料に環状の第一切込み線を設けることによって形成され、
更に、前記環状の第一切込み線上で、前記蓋材の剥離方向に沿った前記開口領域の中心軸に略対称に位置する2点を起点として、一方の剥離端部側に向かって伸びる2本の第二切込み線が設けられている易開封性包装体。
【請求項2】
前記蓋材の他方の剥離端部から前記蓋材を剥離した際に、前記第二切込み線によって、前記開口領域から前記包装体の端部にかけて連続した開口部が形成されるように、前記軟包装材料の引き裂きをガイドする引き裂き誘導手段が、前記軟包装材料に形成されている請求項1記載の易開封性包装体。
【請求項3】
前記第二切込み線の終点を含む末端部は、前記剥離方向に平行な線とのなす角であって前記一方の剥離端部側の角度が90°未満となるように形成されている請求項1又は2記載の易開封性包装体。
【請求項4】
前記蓋材で覆われている軟包装材料の表面上で、前記第二切込み線又は前記開口領域から見て前記一方の剥離端部側に、脆弱加工処理によって形成された脆弱部が設けられている請求項1から3いずれか記載の易開封性包装体。
【請求項5】
前記蓋材の剥離端部は、それ以外の部分に比べて粘着強度が弱いか、又は、粘着性を有していない請求項1から4いずれか記載の易開封性包装体。
【請求項6】
前記包装体は密封包装体であり、前記内容物はウエットティッシュである請求項1から5いずれか記載の易開封性包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−96374(P2006−96374A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282377(P2004−282377)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】