映像信号伝送方向切換回路、映像制御機器、映像制御機器用信号伝送方向切換装置、及び連携型映像信号伝送制御システム
【課題】2世帯連携型テレビインターホンなどに組み込んで使用される映像信号伝送方向切換回路を、リレーを用いずに、安価で小型化できる構成とする。
【解決手段】映像信号伝送方向切換回路は、映像制御機器から伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、第1の信号増幅器、第2の信号増幅器に電源を通じる第1、第2の能動素子を有した電源制御回路と備えて構成され、第1、第2の能動素子は、映像制御機器でオン、オフ制御することで、上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている。
【解決手段】映像信号伝送方向切換回路は、映像制御機器から伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、第1の信号増幅器、第2の信号増幅器に電源を通じる第1、第2の能動素子を有した電源制御回路と備えて構成され、第1、第2の能動素子は、映像制御機器でオン、オフ制御することで、上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、2世帯のそれぞれに設けたテレビ付インターホンシステムのインターホン親機に組み込まれて、映像信号等を伝送する方向を切換える機能を有する映像信号伝送方向切換回路、及びこれを組み込んだ映像制御機器用信号伝送方向切換装置、それを用いた連携型映像伝送制御システム、映像制御機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2世帯で独立した、テレビ付インターホンシステムを設けて、それぞれの世帯に設置されるシステムのインターホン親機同士を同軸ケーブルなどの伝送路によって互いに接続し、連携動作させるものが存在しているが、このような連携システムでは、例えば、親世帯側の住戸が留守の場合、そのテレビカメラ付きドアホン子器に対して、子世帯側住戸のインターホン親機で応答通話ができ、逆の場合も可能になっている。
【0003】
そして、このようなシステムでは、世帯間のインターホン親機の伝送路には、来客の映像信号や、来客との通話をするための音声信号等が伝送されるが、映像信号の伝送方向は、親世帯、子世帯のいずれが留守設定をしているかに応じて異なるため、伝送路の両端には、映像信号の伝送方向を切換え、増幅するためのバッファとなる映像信号伝送方向切換回路が必要となっている。
【0004】
そのような映像信号伝送方向切換回路としては、それぞれのインターホン親機から伝送路に伝送する上り映像信号を増幅する上り信号増幅器と、他システムから伝送路を通じてインターホン親機に伝送されて来る下り映像信号を増幅する下り信号増幅器とを備えており、それらの上り、下りの信号増幅器ではリレーなどの機械的電気スイッチを動作させて、映像信号の伝送方向の切換を行うものが知られている。
【0005】
例えば、図12は、従来の映像信号伝送方法切換回路200の基本構成を示しており、伝送路の途中には、上り信号増幅器201と下り信号増幅202とを2つのリレーRy1、Ry2を介在させて並列に接続して、上りと下りの分岐路L1、L2を構成し、2つのリレーRy1,Ry2のリレー接点を同時に一方向(a閉あるいはb閉)に切換えて伝送方向を切換えている。なお、Z0はインピーダンス整合用抵抗である。
【0006】
なお、次の特許文献には、ボイススイッチ回路にバンドパスフィルターを設けることにより、親機周囲の騒音を除去するようにした自動交互通話インターホン装置の開示がある。
【特許文献1】特開平10-190851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような映像信号伝送方向切換回路に用いられるリレーは、機械的電気スイッチであるために、他の電子素子に比べてサイズが大きい上にコストも高い。
そのため、リレーに代わる電子素子を用いることにより、映像信号伝送方向切換回路の小型化や低コスト化を図ることが望まれていた。
【0008】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、リレーを使わずに、映像信号を増幅して、その伝送方向の切換を行うようにした映像信号伝送方向切換回路、及びこれを組み込んだ映像制御機器用信号伝送方向切換装置を提供することにある。
また、他の目的は、これらを組み込んだ連携型映像伝送制御システム、その連携型映像伝送制御システムに用いる映像制御機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的のため、請求項1では、第1の発明として、映像信号伝送方向切換回路が提案されている。
ここに、第1の発明は、映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、上記映像信号伝送方向切換回路は、上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、上記第1の信号増幅器、上記第2の信号増幅器に電源を通じる能動素子を有した電源制御回路と備え、上記能動素子は、上記映像制御機器によって電源供給機能をオン、オフ制御されることで、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている。
【0010】
また、請求項2では、第2の発明として、映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、上記映像信号伝送方向切換回路は、上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、上記第1、第2の信号増幅器の入力側に介設される映像信号遮断回路とを備えて構成され、上記映像信号遮断回路は、上記映像制御機器によって映像信号の通過または遮断を制御されることによって、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている。
【0011】
請求項3では、請求項2において、上記映像信号遮断回路は、接地制御用能動素子と直流遮断容量とを備えており、上記接地制御用能動素子をオン/オフ制御することで、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を、上記直流遮断容量を介して接地/非接地させて、映像信号を遮断/通過させる構成としている。
【0012】
請求項4では、請求項2において、上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、電源制御用能動素子とを備えており、上記電源制御用能動素子をオフ/オン制御することで、上記映像信号入力用能動素子への駆動電源を停止/供給させて、該映像信号を遮断/通過させる構成としている。
【0013】
請求項5では、請求項2において、上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、この映像信号入力用能動素子への駆動電源を遮断する電源制御用能動素子と、直流遮断容量と、この直流遮断容量を介して、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を接地させて、映像信号の通過を遮断する接地制御用能動素子とを備えており、上記電源用能動素子、上記接地制御用能動素子をオフ/オン、オン/オフ制御することで、映像信号を遮断/通過させる構成としている。
【0014】
請求項6では、第3の発明として、映像制御機器が提案されている。
ここに、音響撮像子器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第1の信号多重分離回路と、他システムの映像制御機器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第2の信号多重分離回路と、上記第1、第2の信号多重分離回路の間に介設され、上記第1の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を許容または禁止する一方、上記第2の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を遮断する一方向映像信号伝達回路と、上記第1、第2の信号多重分離回路で分離された映像信号を処理して、映像モニタに表示させる映像表示回路とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7では、第4の発明として、連携型映像制御伝送システムに好適に使用される映像制御機器用信号伝送方向切換装置が提案されている。
ここに第4の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の映像信号伝送方向切換回路と、伝送路電圧監視手段とを備えており、上記伝送路電圧監視手段は、予め準備した抵抗を、電圧検出抵抗の接続された上記伝送路に接続付加して、基準電圧を印加する基準電圧印加手段と、基準電圧が加えられたときに電圧検出抵抗に生じる上記伝送路の電圧を計測する電圧計測回路とを備えており、上記上り映像信号を伝送路に出力させる前に、上記基準電圧印加手段によって基準電圧を印加しない状態で上記電圧計測回路よって検出した電圧レベルを判別し、その電圧レベルが上記基準電圧印加によって定まる所定値であるときには、上記第1の信号増幅器を通じての上り映像信号の通過を禁止する一方、検出した電圧レベルが、上記所定値でないときには、上記基準電圧印加手段を動作し、上記伝送路に基準電圧を印加してから、上記上り映像信号の通過を許可するようにしている。
【0016】
請求項8では、第5の発明として、連携型映像制御伝送システムが提案されている。
ここに、第5の発明は、それぞれに音響撮像子器と映像制御機器とを上記伝送路に通じる信号線を通じて接続された2台の映像制御機器のそれぞれに、請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を付加し、それらの映像制御機器用信号伝送方向切換装置同士を更に信号線を介して接続して構成されている。
【0017】
請求項9では、請求項8における連携型映像制御伝送システムを、2世帯連携型テレビインターホンシステムに適用している。
ここに、上記音響撮像子器はカメラ付きドアホン子器であり、上記映像制御機器はモニタテレビ付きインターホン親機であり、上記信号線は映像信号、音声信号、制御信号、システム電源などを周波数多重化方式によって重畳させて伝送する2線式信号線で構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、請求項1の映像信号伝送方向切換回路では、リレーを使用せずに、映像制御機器で能動素子をオン、オフ制御することで、上り映像信号と、下り映像信号の伝送方向を切換える構成になっているので、小型化、低コストを図ることができる。特に、上り/下り映像信号増幅回路の第1、第2の信号増幅器に加える電源を遮断させることで、映像信号の通過を阻止する構成となっているので、省エネ効果もある。
【0019】
請求項2の映像信号伝送方向切換回路では、リレーを使用せずに、映像制御機器で映像信号遮断回路によって制御することで、上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成になっているので、小型化、低コストを図ることができる。
【0020】
また、請求項2〜5では、上り/下り映像信号増幅回路の第1、第2の信号増幅器の入力側に介設させた映像信号遮断回路の制御用能動素子をオン、オフ制御することによって、すくなくとも一方の映像信号の通過を遮断させて、上り映像信号と、下り映像信号の伝送方向を切換える構成になっている。
【0021】
また、この構成では、映像信号遮断回路の制御用能動素子をオン、オフ制御しているときには、その出力側にある第1、第2の信号増幅器を動作状態/非動作状態に出来るので、受信側にインピーダンス整合用抵抗を必要とせず、送信側のインピーダンス整合用抵抗と受信側のインピーダンス整合用抵抗との分圧による損失を解消でき、このため上り信号増幅器の利得を大きく設定する必要もなくなるので、更に低コストが図れる。
【0022】
請求項6の映像制御機器によれば、一方向映像信号伝達回路を備えていない場合、他方のシステムからみたときの映像信号の入力インピーダンスは、音響撮像子器の入力インピーダンスと映像表示回路の入力インピーダンスとの合成インピーダンスになるが、これによるインピーダンス不整合に起因して映像に乱れが生じる不具合を解消すべく、他方のシステムの映像制御機器から映像信号が伝送されて来た場合に、一方向映像信号伝達回路を機能させることによって、音響撮像子器の入力インピーダンスを考慮せずに済み、これによりインピーダンス不整合の発生を防止し、良好な映像が受信できるようになる。
【0023】
請求項7の映像制御機器用信号伝送方向切換装置では、映像信号伝送方向切換回路が、互いに連携するため信号線で接続された他方のシステム側に映像信号を通過させる前に、伝送路監視手段によって、他システムからの映像信号の送出の有無を判別するので、伝送路上で映像信号が衝突する通信上の不具合の発生を未然に防止できる。
【0024】
また、このような構成の映像制御機器用信号伝送方向切換装置は、インターホン親機などを構成する映像制御機器に個別のオプション装置として外付けして使用することができる。
【0025】
請求項8によれば、撮像子器と映像制御機器とを組み合わせて構成される独立した2系統の映像信号伝送制御システムのそれぞれに請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を組み込むだけで構成できる。従って、映像制御機器の内部構成を変更させることなく、既存の映像信号伝送制御システムを連携型システムとして発展的に使用できる。
【0026】
請求項9によれば、映像制御機器の内部構成を変更させることなく、請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を組み込むだけで、既存のテレビインターホンシステムをそのまま有効利用して、2線式の2世帯連携型テレビインターホンシステムが容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0028】
図1は、第1の発明として提案する映像信号伝送方向切換回路、図2は、その映像信号伝送方向切換回路を組み込んだ連携型映像信号伝送制御システム、図3は映像制御機器の基本構成を示す図である。
【0029】
この連携型映像信号伝送制御システムは、図2に示したように、同一構成とされた第1のシステムS1と、第2のシステムS2とを、2線式信号線Lで接続して構成されている。
【0030】
それぞれのシステムS1、S2は、図2に示したように、いずれも音響撮像子器5と映像制御機器2とを信号線Lで接続し、それぞれの映像制御機器2には、映像信号伝送方向切換回路1、双方向信号伝送回路4、1組の信号多重・分離回路3,3を内蔵した2線式システム連携対応型アダプタ6を信号線Lで接続付加した構成になっている。
ここに、1組の信号多重・分離回路3は、通話のために使用される音声信号、映像表示のための映像信号、システムを制御するための制御信号を、周波数多重化方式を用いて多重化し、分離している。
【0031】
図2に示した連携型システムは、2世帯連携型テレビインターホンシステムとして代表的に適用でき、その場合には、音響撮像子器5はカメラ付きドアホン子器、映像制御機器2及び2線式システム連携対応型アダプタ6はモニタテレビ付きインターホン親機が適用されるが、それには限定されない。また、この2線式システム連携対応型アダプタ6は、映像制御機器2とは別体である必要はなく、同一筐体に組み込まれた態様としても構わない。
【0032】
図1は、第1の本発明をなす映像信号伝送方向切換回路を示している。
この伝送方向切換回路1は、映像制御機器2から伝送路Loを通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器11aと、他システムから伝送路Lを通じて映像制御機器2側に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器11bとを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して、上り/下り映像信号増幅回路11が構成されており、これらの第1の信号増幅器11a、第2の信号増幅器11bには能動素子12a,12bを有した電源制御回路12,12によって電源が供給されている。なお、Cは映像信号の通過を許容し、直流信号を遮断する直流遮断キャパシタ、ZS1,Zr1は、伝送路による信号の反射を防止するために設けたインピーダンス整合抵抗である。ここで、映像信号に関して信号多重分離回路3からみた映像信号伝送方向切換回路1の等価インピーダンス値は、映像信号伝送方向切換回路1から信号多重分離回路3へ映像信号を送出する場合と、信号多重分離回路3から映像信号伝送方向切換回路1へ映像信号を送出する場合とで、変わらぬ値であることが望ましい。このため、映像信号伝送方向切換回路1から信号多重分離回路3へ映像信号を送出する場合に映像信号伝送方向切換回路1の等価インピーダンス値を支配するインピーダンス整合用抵抗ZS1のインピーダンス値(ZS1)と、信号多重分離回路3から映像信号伝送方向切換回路1へ映像信号を送出する場合に映像信号伝送方向切換回路1の等価インピーダンス値を支配する、インピーダンス整合用抵抗ZS1とインピーダンス整合用抵抗Zr1との並列合成インピーダンス値(ZS1//Zr1)とが、略近い値となるよう、(ZS1)≒(ZS1//Zr1)なる条件を成立させるようにインピーダンス整合用抵抗ZS1のインピーダンス値(ZS1)とインピーダンス整合用抵抗Zr1のインピーダンス値(Zr1)の2つの値を決定する必要がある。
【0033】
ここに、第1、第2の信号増幅器11a,11bは、それぞれに対応した電源制御回路12,12に設けた能動素子12a,12bが、映像制御機器2から送出されて来る制御信号を受けてオン、オフ制御され、それによって電源が供給された方の信号増幅器は映像信号を通過し、電源が遮断された方の信号増幅器は映像信号の通過を遮断することで、上り、下り映像信号を選択的に通過させている。
【0034】
図1、図2の構成では、信号線Lで接続された2つのシステムS1、S2の映像制御機器2,2のそれぞれから送出されて来る制御信号は、上記アダプタ6に内蔵された双方向制御信号伝送回路4を介して他のシステムへ伝送される。また、信号線L以外で映像制御機器2と信号多重分離回路3とを接続する伝送線も使用され、この伝送線は、信号端子T2を介してではなく、映像制御機器2に設けたコネクタC1と2線式システム連携対応型アダプタ6に設けたコネクタC2とで対をなす一対のコネクタC1、C2を介して、映像制御機器2と信号多重分離回路3とを接続している。また、一対のコネクタC1、C2を介して、映像制御機器2からの供給電源と信号とによって、上記した電源の供給/停止をすることで、上り映像信号と下り映像信号との択一的通過制御がなされている。
【0035】
例えば、図2の構成で2世帯連携型のインターホンシステムを構成している場合、双方のシステムS1、S2を独立して動作させる場合には、映像制御機器2は、いずれの電源制御回路12,12による給電を遮断する制御信号を送出し、そのため、映像信号伝送方向切換回路1は上り映像信号、下り映像信号を通過させず、したがって、他システムS2からの映像信号の受信も遮断するが、一方のシステムS1ないしS2で連携操作の設定、例えば、インターホンシステムに留守設定がなされた場合には、そのシステムS1の映像制御機器2に付加された映像信号伝送方向切換回路1は上り映像信号の通過を許可し、他システムS2の映像制御機器2には、留守設定要求を行う。
【0036】
これによって、システムS1では、第1の信号増幅器11aに対応した電源制御回路12による電源供給がなされ、システムS2では、映像制御機器2から制御信号を受けて第2の信号増幅器11bに対応した電源制御回路12のみが電源供給を行って、下り映像信号の通過を許可することで、留守設定がなされたシステム側の映像制御機器2が音響撮像子器5から受けた映像信号を、他方のシステムの映像制御機器で受けて、応答し、対応することが可能となる。
【0037】
例えば、システムが2世帯連携型のテレビインターホンを構成する場合は、留守設定された世帯のシステムのドアホン子器を来客が呼出操作すると、これに連携するもう一方の世帯のシステムのインターホン親機で応答し、来客の姿を見ながら通話することができる。
【0038】
図3は、テレビインターホンシステムに適用される映像制御機器の内部構成を示したブロック図であり、図2に示したように、信号端子T1は信号線Lを通じて音響撮像子器5に接続され、信号端子T2は、2線式システム連携対応型アダプタ6、信号線Lを通じて別システムに接続されている。
【0039】
映像制御機器2は、通話のためのマイクMC、スピーカSPを備えた通話回路21、音響撮像子器5から伝送されて来る来客の映像信号を処理する映像表示回路22、来客の映像を映し出すCRTや液晶画面などで構成されている映像モニタ22aに加えて、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24、制御信号送受信回路25、CPUなどで構成された制御回路26、各部に電源を供給する電源回路27を備えている。
【0040】
ここに、第1の信号多重分離回路23は、音響撮像子器5から送出されて来た多重化信号を、カメラ付ドアホン子器駆動用電源、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、またこれらを多重化させて音響撮像子器5に送出している。
【0041】
また、第2の信号多重分離回路24は、他システムから伝送されて来た多重化信号を、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、また、これらを多重化させて他システム側に送出している。これらは、バンドパスフィルター等の公知技術によって容易に構成される。
【0042】
制御信号送受信回路25は、操作部(不図示)の操作によって生成された各種の制御信号を多重化のため、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24に送出し、また、音響撮像子器5や、他のシステムから多重信号の形で送出され、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24で分離された制御信号を受信する。
【0043】
ついで、第2の本発明をなす映像信号伝送方向切換回路について説明する。
図4は、第2の本発明の映像信号伝送方向切換回路の基本構成を示しており、図5〜図7は、映像信号遮断回路の具体例を示している。
【0044】
この伝送方向切換回路1Aは、映像制御機器2から伝送路Loを通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器11aと、他システムから信号線L,伝送路Loを通じて映像制御機器2側に入力されて来る下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器11bとを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して、上り/下り映像信号増幅回路11を構成しており、これらの第1の信号増幅器11a、第2の信号増幅器11bの入力側には映像信号遮断回路13,13を設けている。なお、Cは映像信号の通過を許容し、直流信号を遮断する直流遮断キャパシタ、ZS2は、伝送路Lo上の映像信号の反射を防止するために設けたインピーダンス整合抵抗である。
【0045】
ここに、映像信号遮断回路13,13は、映像制御機器2から送出されて来る制御信号を受けてオン、オフ制御される能動素子13a,13aを設けており、これらの能動素子13a,13aをオン、オフ制御させることによって上り、下り映像信号を選択的に通過させている。すなわち、この回路では、映像制御機器2から映像信号遮断回路13,13のいずれかに制御信号が送られると、信号遮断回路13、13は、上り、下り映像信号の通過を直接遮断するようにしている。
【0046】
すなわち、この伝送方向切換回路1Aでは、第1の信号増幅器11aは電源を遮断せず、映像信号を通過させないときには一定の電圧レベルを出力し保持する構成にしているので、第1の発明の受信側インピーダンス整合用抵抗Zr1に相当する受信側インピーダンス整合用抵抗を設ける必要がない(図1参照)。また、このようなインピーダンス整合用抵抗Zr1を設けないため、信号増幅器からの出力の分圧による損失はないので、信号増幅器の利得を大きく設定する必要もなくなる。
【0047】
ついで、信号遮断回路13の具体例について説明する。以下では、いずれも、信号増幅器(第1、第2の信号増幅器11a,11bに対応している)の入力側に設けた例を示し、制御信号によって、制御用能動素子13aとして、Q3、Q5をオン、オフ制御して映像信号が信号増幅器に入力するのを禁止する構成となっている。
【0048】
図5に示した映像信号遮断回路13Aは、信号増幅器の入力側に設けられ、容量C1を介して、伝送路Loを接地する制御用能動素子Q3を備えているが、リレー素子を含んでいない。
【0049】
ここに、制御用能動素子Q3はトランジスタで構成され、そのベースに映像制御機器2からベース電流が供給されると、伝送路Loを容量C1を通じて接地するので、映像信号は容量C1を通じてグランドに流れ込んで遮断される構成になっている。
【0050】
また、この例では、制御用能動素子Q3として、抵抗内蔵型トランジスタ素子を採用しているが、電界効果トランジスタ素子等を用いた構成も可能である。
【0051】
図6に示した映像信号遮断回路13Bは、信号入力用能動素子Q4に供給される駆動電源を、映像制御機器2によってオン、オフ制御される制御用能動素子Q5によって遮断する構成となっており、リレー素子を含んでいない。
【0052】
ここに、信号入力用能動素子Q4はトランジスタ素子のエミッタフォロワ回路を構成しており、そのエミッタフォロワ回路には、図6に示すように、抵抗素子や、直流遮断用コンデンサC2、C3が接続され、トラジスタ素子のベースを伝送路Loに接続して、映像信号を入力している。すなわち、この例では、トランジスタ素子Q4のエミッタには抵抗を設け、更に容量C3を通じて、信号増幅器に入力している。
【0053】
また、信号入力用能動素子Q4、制御用能動素子Q5として、トランジスタ素子を使用しているが、それらの替わりに、電界効果トランジスタ素子等を用いた構成も可能である。
【0054】
図7に示した映像信号遮断回路13Cは、図5の構成に、図6の構成を加えたもので、映像制御機器2によって制御用能動素子Q5をオフにし、かつ制御用能動素子Q3をオンにすることで、伝送路Loに加わった映像信号が信号増幅器に入力されるのを遮断している。
【0055】
以上のような映像信号遮断回路13を用いて映像信号伝送方向切換回路1Aを構成すれば、第1、第2の信号増幅器11a,11bは、電源を遮断することなく、映像信号を遮断するだけで、上り映像信号、下り映像信号のいずれかの通過を許容し、あるいは阻止することができる。
【0056】
すなわち、伝送方向切換回路1Aでは、第1、第2の信号増幅器11a,11bの電源は遮断せず、映像信号を通過させないときには一定の電圧レベルを保持する構成しているので、第1の発明のような受信側インピーダンス整合用抵抗Zr1を必要とせず、したがって信号増幅器からの出力は分圧による損失がないので、分圧による損失を補うために信号増幅器の利得を大きく設定する必要もなくなる。
【0057】
ついで、連携型映像信号伝送制御システムに使用される映像制御機器について説明する。
この映像制御機器2Aは、図3に示した構成に、一方向映像信号伝達回路28を備えている点に特徴がある。
【0058】
すなわち、この映像制御機器2Aは、通話のためのマイクMC、スピーカSPを備えた通話回路21、来客の映像などを映し出すため映像信号を処理する映像表示回路22、CRTや液晶画面などで構成されている映像モニタ22aに加えて、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24、制御信号送受信回路25、CPUなどで構成された制御手段26、各部に電源を供給する電源回路27を備えている。
【0059】
ここに、第1の信号多重分離回路23は、音響撮像子器5から送出されて来た多重化信号を、カメラ付ドアホン子器駆動用電源、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、またこれらを多重化させて音響撮像子器5に送出している。
また、第2の信号多重分離回路24は、他システムから伝送されて来た多重化信号を、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、また、これらを多重化させて他システムに送出している。
【0060】
また、一方向映像信号伝達回路28は、第1の信号多重分離回路23で分離された映像信号が映像表示回路22に入り込むことを許容するが、信号線Lで接続された相手システム側から伝送され、第2の信号分離回路24で分離された映像信号が、更に第1の信号分離回路23を通じて音響撮像子器5から反射された後に、映像表示回路22に入り込んで、映像モニタ22aの映像に乱れを生じさせることを防止しており、このような構成にすることで、連携型システムを構成した場合にも、映像モニタ28aには画像の乱れのない鮮明な画像を映し出すことが可能となる。
【0061】
制御信号送受信回路25は、操作部(不図示)の操作によって生成された各種の制御信号を多重化のため、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24に送り出し、また、音響撮像子器5や、他のシステムから多重信号の形で送出され、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24で分離された制御信号を受信する。
【0062】
つぎに、連携型システムを構成する場合に使用される、映像制御機器用信号伝送方向切換装置について説明する。
この信号伝送方向切換装置1Bは、前述した映像信号伝送方向切換回路1または1Aと、相手側システムとの連携を確保するため、伝送路電圧監視手段7とを備えており、相互に連携するシステムS1,S2のそれぞれに組み込まれて使用される。
【0063】
ここに、伝送路電圧監視手段7は、伝送路Loに抵抗R1を接続付加して、基準電圧Vrefを印加する能動素子Q6を有した基準電圧印加手段71と、伝送路Loに接続された電圧検出抵抗R2に生じる電圧レベルVxを検出する電圧計測回路72とを備えており、映像制御機器2は、映像信号を伝送路Loに出力させる前に、基準電圧印加手段71によって基準電圧Vrefを印加しない状態で電圧計測回路72を参照して、伝送路Loに生じる電圧レベルVxを判別し、その電圧レベルVxが基準電圧印加手段71によって基準電圧Vrefを伝送路Loを印加したときに定まる所定値V1でないときには、基準電圧印加手段71の能動素子Q6をオン制御して、伝送路Loに基準電圧Vrefを印加してから、映像信号を送出する一方、伝送路Loの電圧レベルVxが所定値V1であるときには、映像信号の送出を禁止することによって、連携するシステム間で送出する映像信号同士を衝突させないようにしている。すなわち、伝送路電圧監視手段7は、次のような原理で連携するシステム間で映像信号の衝突を防止している。
【0064】
図10は、基準電圧印加手段71の基本動作と、判別原理を説明している。
図10(a)は両方のシステムが映像信号の送出を休止している状態、図10(b)は一方のシステムが映像信号の送出中であるかまたは送出準備中である状態、図10(c)は両方のシステムが送出準備中である状態を示している。
【0065】
なお、図10において、Vxは伝送路Loに生じる電圧レベル、Voは基準電圧Vrefを伝送路Loに印加をしないときに生じている電圧レベルを示している(伝送路LoはコンデンサC,Cで直流成分が遮断されているため、通常の状態では、殆どゼロに近い値になっている)。
【0066】
これらの図から、一方のシステムが伝送路Loの電圧レベルVxを計測したときに、他システムが映像信号の送出を休止しているとき(待機中)には、伝送路Loの電圧レベルVxはVoとなり、また、一方のシステムが伝送路の電圧レベルVxを計測したときに、他システムが映像信号の送出中であるか、送出準備中であるとき(動作中)には、伝送路Loの電圧レベルVxは、略(R2/2)/[R1+R2/2]・Vref=V1になり、一方のシステムが映像信号を準備中の間に、他システムが送出準備中である場合には、伝送路のLoの電圧レベルVxは、
R2/(R1+R2)・Vref=V2となるので、映像信号を送出する前に、電圧計測回路72で、伝送路Loの電圧レベルVxを計測し、判別することで、映像信号の衝突が防止できる。
【0067】
図11のステップ101〜111は、映像信号を送出する側の映像制御機器での判別動作を示している。
【0068】
映像信号の映像指令があると、電圧計測回路72を参照し、伝送路Loの電圧レベルVxを計測する。計測の結果、図10(a)の場合、すなわちVoである場合には、相手側システムは待機中にあると判断して、基準電圧Vrefを伝送路Loに印加して送信準備中の状態に移行させるが、図10(b)の場合には、相手側システム動作中と判断して送信を禁止する(ステップ102〜106、103〜104)。
【0069】
そして、ステップ107では、再度、伝送路Loの電圧レベルVxを参照する。
その結果、図10(a)の場合の値V1である場合には、相手側システムは待機中にあると判断して、映像信号を送出するが、図10(c)の場合の値V2である場合には、相手側システム動作中と判断して送信を禁止する(ステップ107〜111)。なお、自システムも、送信準備中には素子Q6を閉じるので、電圧レベルVxが値Voになることはなく、値V1の場合には他システムが待機中なのは明らかである。
【0070】
最後に、連携型の2世帯住戸向けテレビ付インターホンシステムへの適用例について説明する。
例えば、親世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機が留守状態に設定されている場合に、親世帯側住戸の玄関口で来客がテレビカメラ付きドアホン子器から呼出を行うと、親世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機に付加した映像信号伝送方向切換装置は、伝送路の電圧を計測して、子世帯側住戸のインターホン親機が映像信号を送出中あるいは送出準備中になっているかを判別し、そうでなければ、子世帯側住戸のインターホン親機にドアホン子器から伝送されて来た映像信号を送出する。
【0071】
子世帯側住戸のインターホン親機では、親世帯側住戸から留守設定信号を受けた時点で、映像信号伝送方向切換装置は映像信号の受け入を可能な状態に設定しているので、映像信号は、子世帯側住戸のインターホン親機の映像モニタに表示され、ドアホン子器の来客の呼出に応答して、来客の映像を見ながらの通話が可能となる。
【0072】
子世帯側住戸のインターホン親機が映像信号を送出中あるいは送出準備中になっている場合には、映像信号の送出を中止して、映像信号伝送方向切換装置は映像信号の受け入を行う。
【0073】
子世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機が留守状態に設定されている場合には、
親世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機で来客に応答して、来客の映像を見ながらの通話が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の発明による映像信号伝送方向切換回路の基本構成を示すブロック図。
【図2】連携型映像信号伝送制御システムの基本構成を示すブロック図。
【図3】映像制御機器の基本的な構成を示すブロック図。
【図4】第2の発明による映像信号伝送方向切換回路の基本構成を示すブロック図。
【図5】映像信号遮断回路の一例を示す回路図。
【図6】映像信号遮断回路の別例を示す回路図。
【図7】映像信号遮断回路の更に別例を示す回路図。
【図8】連携型映像信号伝送制御システムに使用される第3の発明による映像制御機器の基本的な構成を示すブロック図。
【図9】第4の発明による映像制御機器用信号伝送方向切換装置を示すブロック図。
【図10】連携型映像信号伝送制御システムにおける映像信号の送出衝突防止原理を説明する図。
【図11】連携型映像信号伝送制御システムにおける映像信号の衝突防止動作を説明するフローチャート。
【図12】従来の映像信号伝送方向切換回路を示す図
【符号の説明】
【0075】
1,1A 映像信号伝送方向切換回路
2,2A 映像制御機器
5 音響撮像子器
11 上り/下り信号増幅回路
11a,11b 第1、第2の信号増幅器
12 電源制御回路
12a,12b 能動素子
13、13A,13B,13C 信号遮断回路
13a 制御用能動素子
7A 映像制御機器用信号伝送方向切換装置
7 伝送路電圧監視手段
71 基準電圧印加手段
72 電圧計測回路
Vref 基準電圧
Lo 伝送路
L 信号線
Q3,Q5 能動素子
22,23 第1、第2の信号多重分離回路
22a 映像モニタ
28 一方向映像信号伝達回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、2世帯のそれぞれに設けたテレビ付インターホンシステムのインターホン親機に組み込まれて、映像信号等を伝送する方向を切換える機能を有する映像信号伝送方向切換回路、及びこれを組み込んだ映像制御機器用信号伝送方向切換装置、それを用いた連携型映像伝送制御システム、映像制御機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、2世帯で独立した、テレビ付インターホンシステムを設けて、それぞれの世帯に設置されるシステムのインターホン親機同士を同軸ケーブルなどの伝送路によって互いに接続し、連携動作させるものが存在しているが、このような連携システムでは、例えば、親世帯側の住戸が留守の場合、そのテレビカメラ付きドアホン子器に対して、子世帯側住戸のインターホン親機で応答通話ができ、逆の場合も可能になっている。
【0003】
そして、このようなシステムでは、世帯間のインターホン親機の伝送路には、来客の映像信号や、来客との通話をするための音声信号等が伝送されるが、映像信号の伝送方向は、親世帯、子世帯のいずれが留守設定をしているかに応じて異なるため、伝送路の両端には、映像信号の伝送方向を切換え、増幅するためのバッファとなる映像信号伝送方向切換回路が必要となっている。
【0004】
そのような映像信号伝送方向切換回路としては、それぞれのインターホン親機から伝送路に伝送する上り映像信号を増幅する上り信号増幅器と、他システムから伝送路を通じてインターホン親機に伝送されて来る下り映像信号を増幅する下り信号増幅器とを備えており、それらの上り、下りの信号増幅器ではリレーなどの機械的電気スイッチを動作させて、映像信号の伝送方向の切換を行うものが知られている。
【0005】
例えば、図12は、従来の映像信号伝送方法切換回路200の基本構成を示しており、伝送路の途中には、上り信号増幅器201と下り信号増幅202とを2つのリレーRy1、Ry2を介在させて並列に接続して、上りと下りの分岐路L1、L2を構成し、2つのリレーRy1,Ry2のリレー接点を同時に一方向(a閉あるいはb閉)に切換えて伝送方向を切換えている。なお、Z0はインピーダンス整合用抵抗である。
【0006】
なお、次の特許文献には、ボイススイッチ回路にバンドパスフィルターを設けることにより、親機周囲の騒音を除去するようにした自動交互通話インターホン装置の開示がある。
【特許文献1】特開平10-190851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような映像信号伝送方向切換回路に用いられるリレーは、機械的電気スイッチであるために、他の電子素子に比べてサイズが大きい上にコストも高い。
そのため、リレーに代わる電子素子を用いることにより、映像信号伝送方向切換回路の小型化や低コスト化を図ることが望まれていた。
【0008】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、リレーを使わずに、映像信号を増幅して、その伝送方向の切換を行うようにした映像信号伝送方向切換回路、及びこれを組み込んだ映像制御機器用信号伝送方向切換装置を提供することにある。
また、他の目的は、これらを組み込んだ連携型映像伝送制御システム、その連携型映像伝送制御システムに用いる映像制御機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的のため、請求項1では、第1の発明として、映像信号伝送方向切換回路が提案されている。
ここに、第1の発明は、映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、上記映像信号伝送方向切換回路は、上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、上記第1の信号増幅器、上記第2の信号増幅器に電源を通じる能動素子を有した電源制御回路と備え、上記能動素子は、上記映像制御機器によって電源供給機能をオン、オフ制御されることで、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている。
【0010】
また、請求項2では、第2の発明として、映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、上記映像信号伝送方向切換回路は、上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、上記第1、第2の信号増幅器の入力側に介設される映像信号遮断回路とを備えて構成され、上記映像信号遮断回路は、上記映像制御機器によって映像信号の通過または遮断を制御されることによって、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている。
【0011】
請求項3では、請求項2において、上記映像信号遮断回路は、接地制御用能動素子と直流遮断容量とを備えており、上記接地制御用能動素子をオン/オフ制御することで、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を、上記直流遮断容量を介して接地/非接地させて、映像信号を遮断/通過させる構成としている。
【0012】
請求項4では、請求項2において、上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、電源制御用能動素子とを備えており、上記電源制御用能動素子をオフ/オン制御することで、上記映像信号入力用能動素子への駆動電源を停止/供給させて、該映像信号を遮断/通過させる構成としている。
【0013】
請求項5では、請求項2において、上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、この映像信号入力用能動素子への駆動電源を遮断する電源制御用能動素子と、直流遮断容量と、この直流遮断容量を介して、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を接地させて、映像信号の通過を遮断する接地制御用能動素子とを備えており、上記電源用能動素子、上記接地制御用能動素子をオフ/オン、オン/オフ制御することで、映像信号を遮断/通過させる構成としている。
【0014】
請求項6では、第3の発明として、映像制御機器が提案されている。
ここに、音響撮像子器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第1の信号多重分離回路と、他システムの映像制御機器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第2の信号多重分離回路と、上記第1、第2の信号多重分離回路の間に介設され、上記第1の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を許容または禁止する一方、上記第2の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を遮断する一方向映像信号伝達回路と、上記第1、第2の信号多重分離回路で分離された映像信号を処理して、映像モニタに表示させる映像表示回路とを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7では、第4の発明として、連携型映像制御伝送システムに好適に使用される映像制御機器用信号伝送方向切換装置が提案されている。
ここに第4の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の映像信号伝送方向切換回路と、伝送路電圧監視手段とを備えており、上記伝送路電圧監視手段は、予め準備した抵抗を、電圧検出抵抗の接続された上記伝送路に接続付加して、基準電圧を印加する基準電圧印加手段と、基準電圧が加えられたときに電圧検出抵抗に生じる上記伝送路の電圧を計測する電圧計測回路とを備えており、上記上り映像信号を伝送路に出力させる前に、上記基準電圧印加手段によって基準電圧を印加しない状態で上記電圧計測回路よって検出した電圧レベルを判別し、その電圧レベルが上記基準電圧印加によって定まる所定値であるときには、上記第1の信号増幅器を通じての上り映像信号の通過を禁止する一方、検出した電圧レベルが、上記所定値でないときには、上記基準電圧印加手段を動作し、上記伝送路に基準電圧を印加してから、上記上り映像信号の通過を許可するようにしている。
【0016】
請求項8では、第5の発明として、連携型映像制御伝送システムが提案されている。
ここに、第5の発明は、それぞれに音響撮像子器と映像制御機器とを上記伝送路に通じる信号線を通じて接続された2台の映像制御機器のそれぞれに、請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を付加し、それらの映像制御機器用信号伝送方向切換装置同士を更に信号線を介して接続して構成されている。
【0017】
請求項9では、請求項8における連携型映像制御伝送システムを、2世帯連携型テレビインターホンシステムに適用している。
ここに、上記音響撮像子器はカメラ付きドアホン子器であり、上記映像制御機器はモニタテレビ付きインターホン親機であり、上記信号線は映像信号、音声信号、制御信号、システム電源などを周波数多重化方式によって重畳させて伝送する2線式信号線で構成されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、請求項1の映像信号伝送方向切換回路では、リレーを使用せずに、映像制御機器で能動素子をオン、オフ制御することで、上り映像信号と、下り映像信号の伝送方向を切換える構成になっているので、小型化、低コストを図ることができる。特に、上り/下り映像信号増幅回路の第1、第2の信号増幅器に加える電源を遮断させることで、映像信号の通過を阻止する構成となっているので、省エネ効果もある。
【0019】
請求項2の映像信号伝送方向切換回路では、リレーを使用せずに、映像制御機器で映像信号遮断回路によって制御することで、上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成になっているので、小型化、低コストを図ることができる。
【0020】
また、請求項2〜5では、上り/下り映像信号増幅回路の第1、第2の信号増幅器の入力側に介設させた映像信号遮断回路の制御用能動素子をオン、オフ制御することによって、すくなくとも一方の映像信号の通過を遮断させて、上り映像信号と、下り映像信号の伝送方向を切換える構成になっている。
【0021】
また、この構成では、映像信号遮断回路の制御用能動素子をオン、オフ制御しているときには、その出力側にある第1、第2の信号増幅器を動作状態/非動作状態に出来るので、受信側にインピーダンス整合用抵抗を必要とせず、送信側のインピーダンス整合用抵抗と受信側のインピーダンス整合用抵抗との分圧による損失を解消でき、このため上り信号増幅器の利得を大きく設定する必要もなくなるので、更に低コストが図れる。
【0022】
請求項6の映像制御機器によれば、一方向映像信号伝達回路を備えていない場合、他方のシステムからみたときの映像信号の入力インピーダンスは、音響撮像子器の入力インピーダンスと映像表示回路の入力インピーダンスとの合成インピーダンスになるが、これによるインピーダンス不整合に起因して映像に乱れが生じる不具合を解消すべく、他方のシステムの映像制御機器から映像信号が伝送されて来た場合に、一方向映像信号伝達回路を機能させることによって、音響撮像子器の入力インピーダンスを考慮せずに済み、これによりインピーダンス不整合の発生を防止し、良好な映像が受信できるようになる。
【0023】
請求項7の映像制御機器用信号伝送方向切換装置では、映像信号伝送方向切換回路が、互いに連携するため信号線で接続された他方のシステム側に映像信号を通過させる前に、伝送路監視手段によって、他システムからの映像信号の送出の有無を判別するので、伝送路上で映像信号が衝突する通信上の不具合の発生を未然に防止できる。
【0024】
また、このような構成の映像制御機器用信号伝送方向切換装置は、インターホン親機などを構成する映像制御機器に個別のオプション装置として外付けして使用することができる。
【0025】
請求項8によれば、撮像子器と映像制御機器とを組み合わせて構成される独立した2系統の映像信号伝送制御システムのそれぞれに請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を組み込むだけで構成できる。従って、映像制御機器の内部構成を変更させることなく、既存の映像信号伝送制御システムを連携型システムとして発展的に使用できる。
【0026】
請求項9によれば、映像制御機器の内部構成を変更させることなく、請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を組み込むだけで、既存のテレビインターホンシステムをそのまま有効利用して、2線式の2世帯連携型テレビインターホンシステムが容易に実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0028】
図1は、第1の発明として提案する映像信号伝送方向切換回路、図2は、その映像信号伝送方向切換回路を組み込んだ連携型映像信号伝送制御システム、図3は映像制御機器の基本構成を示す図である。
【0029】
この連携型映像信号伝送制御システムは、図2に示したように、同一構成とされた第1のシステムS1と、第2のシステムS2とを、2線式信号線Lで接続して構成されている。
【0030】
それぞれのシステムS1、S2は、図2に示したように、いずれも音響撮像子器5と映像制御機器2とを信号線Lで接続し、それぞれの映像制御機器2には、映像信号伝送方向切換回路1、双方向信号伝送回路4、1組の信号多重・分離回路3,3を内蔵した2線式システム連携対応型アダプタ6を信号線Lで接続付加した構成になっている。
ここに、1組の信号多重・分離回路3は、通話のために使用される音声信号、映像表示のための映像信号、システムを制御するための制御信号を、周波数多重化方式を用いて多重化し、分離している。
【0031】
図2に示した連携型システムは、2世帯連携型テレビインターホンシステムとして代表的に適用でき、その場合には、音響撮像子器5はカメラ付きドアホン子器、映像制御機器2及び2線式システム連携対応型アダプタ6はモニタテレビ付きインターホン親機が適用されるが、それには限定されない。また、この2線式システム連携対応型アダプタ6は、映像制御機器2とは別体である必要はなく、同一筐体に組み込まれた態様としても構わない。
【0032】
図1は、第1の本発明をなす映像信号伝送方向切換回路を示している。
この伝送方向切換回路1は、映像制御機器2から伝送路Loを通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器11aと、他システムから伝送路Lを通じて映像制御機器2側に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器11bとを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して、上り/下り映像信号増幅回路11が構成されており、これらの第1の信号増幅器11a、第2の信号増幅器11bには能動素子12a,12bを有した電源制御回路12,12によって電源が供給されている。なお、Cは映像信号の通過を許容し、直流信号を遮断する直流遮断キャパシタ、ZS1,Zr1は、伝送路による信号の反射を防止するために設けたインピーダンス整合抵抗である。ここで、映像信号に関して信号多重分離回路3からみた映像信号伝送方向切換回路1の等価インピーダンス値は、映像信号伝送方向切換回路1から信号多重分離回路3へ映像信号を送出する場合と、信号多重分離回路3から映像信号伝送方向切換回路1へ映像信号を送出する場合とで、変わらぬ値であることが望ましい。このため、映像信号伝送方向切換回路1から信号多重分離回路3へ映像信号を送出する場合に映像信号伝送方向切換回路1の等価インピーダンス値を支配するインピーダンス整合用抵抗ZS1のインピーダンス値(ZS1)と、信号多重分離回路3から映像信号伝送方向切換回路1へ映像信号を送出する場合に映像信号伝送方向切換回路1の等価インピーダンス値を支配する、インピーダンス整合用抵抗ZS1とインピーダンス整合用抵抗Zr1との並列合成インピーダンス値(ZS1//Zr1)とが、略近い値となるよう、(ZS1)≒(ZS1//Zr1)なる条件を成立させるようにインピーダンス整合用抵抗ZS1のインピーダンス値(ZS1)とインピーダンス整合用抵抗Zr1のインピーダンス値(Zr1)の2つの値を決定する必要がある。
【0033】
ここに、第1、第2の信号増幅器11a,11bは、それぞれに対応した電源制御回路12,12に設けた能動素子12a,12bが、映像制御機器2から送出されて来る制御信号を受けてオン、オフ制御され、それによって電源が供給された方の信号増幅器は映像信号を通過し、電源が遮断された方の信号増幅器は映像信号の通過を遮断することで、上り、下り映像信号を選択的に通過させている。
【0034】
図1、図2の構成では、信号線Lで接続された2つのシステムS1、S2の映像制御機器2,2のそれぞれから送出されて来る制御信号は、上記アダプタ6に内蔵された双方向制御信号伝送回路4を介して他のシステムへ伝送される。また、信号線L以外で映像制御機器2と信号多重分離回路3とを接続する伝送線も使用され、この伝送線は、信号端子T2を介してではなく、映像制御機器2に設けたコネクタC1と2線式システム連携対応型アダプタ6に設けたコネクタC2とで対をなす一対のコネクタC1、C2を介して、映像制御機器2と信号多重分離回路3とを接続している。また、一対のコネクタC1、C2を介して、映像制御機器2からの供給電源と信号とによって、上記した電源の供給/停止をすることで、上り映像信号と下り映像信号との択一的通過制御がなされている。
【0035】
例えば、図2の構成で2世帯連携型のインターホンシステムを構成している場合、双方のシステムS1、S2を独立して動作させる場合には、映像制御機器2は、いずれの電源制御回路12,12による給電を遮断する制御信号を送出し、そのため、映像信号伝送方向切換回路1は上り映像信号、下り映像信号を通過させず、したがって、他システムS2からの映像信号の受信も遮断するが、一方のシステムS1ないしS2で連携操作の設定、例えば、インターホンシステムに留守設定がなされた場合には、そのシステムS1の映像制御機器2に付加された映像信号伝送方向切換回路1は上り映像信号の通過を許可し、他システムS2の映像制御機器2には、留守設定要求を行う。
【0036】
これによって、システムS1では、第1の信号増幅器11aに対応した電源制御回路12による電源供給がなされ、システムS2では、映像制御機器2から制御信号を受けて第2の信号増幅器11bに対応した電源制御回路12のみが電源供給を行って、下り映像信号の通過を許可することで、留守設定がなされたシステム側の映像制御機器2が音響撮像子器5から受けた映像信号を、他方のシステムの映像制御機器で受けて、応答し、対応することが可能となる。
【0037】
例えば、システムが2世帯連携型のテレビインターホンを構成する場合は、留守設定された世帯のシステムのドアホン子器を来客が呼出操作すると、これに連携するもう一方の世帯のシステムのインターホン親機で応答し、来客の姿を見ながら通話することができる。
【0038】
図3は、テレビインターホンシステムに適用される映像制御機器の内部構成を示したブロック図であり、図2に示したように、信号端子T1は信号線Lを通じて音響撮像子器5に接続され、信号端子T2は、2線式システム連携対応型アダプタ6、信号線Lを通じて別システムに接続されている。
【0039】
映像制御機器2は、通話のためのマイクMC、スピーカSPを備えた通話回路21、音響撮像子器5から伝送されて来る来客の映像信号を処理する映像表示回路22、来客の映像を映し出すCRTや液晶画面などで構成されている映像モニタ22aに加えて、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24、制御信号送受信回路25、CPUなどで構成された制御回路26、各部に電源を供給する電源回路27を備えている。
【0040】
ここに、第1の信号多重分離回路23は、音響撮像子器5から送出されて来た多重化信号を、カメラ付ドアホン子器駆動用電源、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、またこれらを多重化させて音響撮像子器5に送出している。
【0041】
また、第2の信号多重分離回路24は、他システムから伝送されて来た多重化信号を、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、また、これらを多重化させて他システム側に送出している。これらは、バンドパスフィルター等の公知技術によって容易に構成される。
【0042】
制御信号送受信回路25は、操作部(不図示)の操作によって生成された各種の制御信号を多重化のため、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24に送出し、また、音響撮像子器5や、他のシステムから多重信号の形で送出され、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24で分離された制御信号を受信する。
【0043】
ついで、第2の本発明をなす映像信号伝送方向切換回路について説明する。
図4は、第2の本発明の映像信号伝送方向切換回路の基本構成を示しており、図5〜図7は、映像信号遮断回路の具体例を示している。
【0044】
この伝送方向切換回路1Aは、映像制御機器2から伝送路Loを通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器11aと、他システムから信号線L,伝送路Loを通じて映像制御機器2側に入力されて来る下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器11bとを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して、上り/下り映像信号増幅回路11を構成しており、これらの第1の信号増幅器11a、第2の信号増幅器11bの入力側には映像信号遮断回路13,13を設けている。なお、Cは映像信号の通過を許容し、直流信号を遮断する直流遮断キャパシタ、ZS2は、伝送路Lo上の映像信号の反射を防止するために設けたインピーダンス整合抵抗である。
【0045】
ここに、映像信号遮断回路13,13は、映像制御機器2から送出されて来る制御信号を受けてオン、オフ制御される能動素子13a,13aを設けており、これらの能動素子13a,13aをオン、オフ制御させることによって上り、下り映像信号を選択的に通過させている。すなわち、この回路では、映像制御機器2から映像信号遮断回路13,13のいずれかに制御信号が送られると、信号遮断回路13、13は、上り、下り映像信号の通過を直接遮断するようにしている。
【0046】
すなわち、この伝送方向切換回路1Aでは、第1の信号増幅器11aは電源を遮断せず、映像信号を通過させないときには一定の電圧レベルを出力し保持する構成にしているので、第1の発明の受信側インピーダンス整合用抵抗Zr1に相当する受信側インピーダンス整合用抵抗を設ける必要がない(図1参照)。また、このようなインピーダンス整合用抵抗Zr1を設けないため、信号増幅器からの出力の分圧による損失はないので、信号増幅器の利得を大きく設定する必要もなくなる。
【0047】
ついで、信号遮断回路13の具体例について説明する。以下では、いずれも、信号増幅器(第1、第2の信号増幅器11a,11bに対応している)の入力側に設けた例を示し、制御信号によって、制御用能動素子13aとして、Q3、Q5をオン、オフ制御して映像信号が信号増幅器に入力するのを禁止する構成となっている。
【0048】
図5に示した映像信号遮断回路13Aは、信号増幅器の入力側に設けられ、容量C1を介して、伝送路Loを接地する制御用能動素子Q3を備えているが、リレー素子を含んでいない。
【0049】
ここに、制御用能動素子Q3はトランジスタで構成され、そのベースに映像制御機器2からベース電流が供給されると、伝送路Loを容量C1を通じて接地するので、映像信号は容量C1を通じてグランドに流れ込んで遮断される構成になっている。
【0050】
また、この例では、制御用能動素子Q3として、抵抗内蔵型トランジスタ素子を採用しているが、電界効果トランジスタ素子等を用いた構成も可能である。
【0051】
図6に示した映像信号遮断回路13Bは、信号入力用能動素子Q4に供給される駆動電源を、映像制御機器2によってオン、オフ制御される制御用能動素子Q5によって遮断する構成となっており、リレー素子を含んでいない。
【0052】
ここに、信号入力用能動素子Q4はトランジスタ素子のエミッタフォロワ回路を構成しており、そのエミッタフォロワ回路には、図6に示すように、抵抗素子や、直流遮断用コンデンサC2、C3が接続され、トラジスタ素子のベースを伝送路Loに接続して、映像信号を入力している。すなわち、この例では、トランジスタ素子Q4のエミッタには抵抗を設け、更に容量C3を通じて、信号増幅器に入力している。
【0053】
また、信号入力用能動素子Q4、制御用能動素子Q5として、トランジスタ素子を使用しているが、それらの替わりに、電界効果トランジスタ素子等を用いた構成も可能である。
【0054】
図7に示した映像信号遮断回路13Cは、図5の構成に、図6の構成を加えたもので、映像制御機器2によって制御用能動素子Q5をオフにし、かつ制御用能動素子Q3をオンにすることで、伝送路Loに加わった映像信号が信号増幅器に入力されるのを遮断している。
【0055】
以上のような映像信号遮断回路13を用いて映像信号伝送方向切換回路1Aを構成すれば、第1、第2の信号増幅器11a,11bは、電源を遮断することなく、映像信号を遮断するだけで、上り映像信号、下り映像信号のいずれかの通過を許容し、あるいは阻止することができる。
【0056】
すなわち、伝送方向切換回路1Aでは、第1、第2の信号増幅器11a,11bの電源は遮断せず、映像信号を通過させないときには一定の電圧レベルを保持する構成しているので、第1の発明のような受信側インピーダンス整合用抵抗Zr1を必要とせず、したがって信号増幅器からの出力は分圧による損失がないので、分圧による損失を補うために信号増幅器の利得を大きく設定する必要もなくなる。
【0057】
ついで、連携型映像信号伝送制御システムに使用される映像制御機器について説明する。
この映像制御機器2Aは、図3に示した構成に、一方向映像信号伝達回路28を備えている点に特徴がある。
【0058】
すなわち、この映像制御機器2Aは、通話のためのマイクMC、スピーカSPを備えた通話回路21、来客の映像などを映し出すため映像信号を処理する映像表示回路22、CRTや液晶画面などで構成されている映像モニタ22aに加えて、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24、制御信号送受信回路25、CPUなどで構成された制御手段26、各部に電源を供給する電源回路27を備えている。
【0059】
ここに、第1の信号多重分離回路23は、音響撮像子器5から送出されて来た多重化信号を、カメラ付ドアホン子器駆動用電源、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、またこれらを多重化させて音響撮像子器5に送出している。
また、第2の信号多重分離回路24は、他システムから伝送されて来た多重化信号を、音声信号、呼出信号を含んだ制御信号、映像信号に分離し、また、これらを多重化させて他システムに送出している。
【0060】
また、一方向映像信号伝達回路28は、第1の信号多重分離回路23で分離された映像信号が映像表示回路22に入り込むことを許容するが、信号線Lで接続された相手システム側から伝送され、第2の信号分離回路24で分離された映像信号が、更に第1の信号分離回路23を通じて音響撮像子器5から反射された後に、映像表示回路22に入り込んで、映像モニタ22aの映像に乱れを生じさせることを防止しており、このような構成にすることで、連携型システムを構成した場合にも、映像モニタ28aには画像の乱れのない鮮明な画像を映し出すことが可能となる。
【0061】
制御信号送受信回路25は、操作部(不図示)の操作によって生成された各種の制御信号を多重化のため、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24に送り出し、また、音響撮像子器5や、他のシステムから多重信号の形で送出され、第1の信号多重分離回路23、第2の信号多重分離回路24で分離された制御信号を受信する。
【0062】
つぎに、連携型システムを構成する場合に使用される、映像制御機器用信号伝送方向切換装置について説明する。
この信号伝送方向切換装置1Bは、前述した映像信号伝送方向切換回路1または1Aと、相手側システムとの連携を確保するため、伝送路電圧監視手段7とを備えており、相互に連携するシステムS1,S2のそれぞれに組み込まれて使用される。
【0063】
ここに、伝送路電圧監視手段7は、伝送路Loに抵抗R1を接続付加して、基準電圧Vrefを印加する能動素子Q6を有した基準電圧印加手段71と、伝送路Loに接続された電圧検出抵抗R2に生じる電圧レベルVxを検出する電圧計測回路72とを備えており、映像制御機器2は、映像信号を伝送路Loに出力させる前に、基準電圧印加手段71によって基準電圧Vrefを印加しない状態で電圧計測回路72を参照して、伝送路Loに生じる電圧レベルVxを判別し、その電圧レベルVxが基準電圧印加手段71によって基準電圧Vrefを伝送路Loを印加したときに定まる所定値V1でないときには、基準電圧印加手段71の能動素子Q6をオン制御して、伝送路Loに基準電圧Vrefを印加してから、映像信号を送出する一方、伝送路Loの電圧レベルVxが所定値V1であるときには、映像信号の送出を禁止することによって、連携するシステム間で送出する映像信号同士を衝突させないようにしている。すなわち、伝送路電圧監視手段7は、次のような原理で連携するシステム間で映像信号の衝突を防止している。
【0064】
図10は、基準電圧印加手段71の基本動作と、判別原理を説明している。
図10(a)は両方のシステムが映像信号の送出を休止している状態、図10(b)は一方のシステムが映像信号の送出中であるかまたは送出準備中である状態、図10(c)は両方のシステムが送出準備中である状態を示している。
【0065】
なお、図10において、Vxは伝送路Loに生じる電圧レベル、Voは基準電圧Vrefを伝送路Loに印加をしないときに生じている電圧レベルを示している(伝送路LoはコンデンサC,Cで直流成分が遮断されているため、通常の状態では、殆どゼロに近い値になっている)。
【0066】
これらの図から、一方のシステムが伝送路Loの電圧レベルVxを計測したときに、他システムが映像信号の送出を休止しているとき(待機中)には、伝送路Loの電圧レベルVxはVoとなり、また、一方のシステムが伝送路の電圧レベルVxを計測したときに、他システムが映像信号の送出中であるか、送出準備中であるとき(動作中)には、伝送路Loの電圧レベルVxは、略(R2/2)/[R1+R2/2]・Vref=V1になり、一方のシステムが映像信号を準備中の間に、他システムが送出準備中である場合には、伝送路のLoの電圧レベルVxは、
R2/(R1+R2)・Vref=V2となるので、映像信号を送出する前に、電圧計測回路72で、伝送路Loの電圧レベルVxを計測し、判別することで、映像信号の衝突が防止できる。
【0067】
図11のステップ101〜111は、映像信号を送出する側の映像制御機器での判別動作を示している。
【0068】
映像信号の映像指令があると、電圧計測回路72を参照し、伝送路Loの電圧レベルVxを計測する。計測の結果、図10(a)の場合、すなわちVoである場合には、相手側システムは待機中にあると判断して、基準電圧Vrefを伝送路Loに印加して送信準備中の状態に移行させるが、図10(b)の場合には、相手側システム動作中と判断して送信を禁止する(ステップ102〜106、103〜104)。
【0069】
そして、ステップ107では、再度、伝送路Loの電圧レベルVxを参照する。
その結果、図10(a)の場合の値V1である場合には、相手側システムは待機中にあると判断して、映像信号を送出するが、図10(c)の場合の値V2である場合には、相手側システム動作中と判断して送信を禁止する(ステップ107〜111)。なお、自システムも、送信準備中には素子Q6を閉じるので、電圧レベルVxが値Voになることはなく、値V1の場合には他システムが待機中なのは明らかである。
【0070】
最後に、連携型の2世帯住戸向けテレビ付インターホンシステムへの適用例について説明する。
例えば、親世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機が留守状態に設定されている場合に、親世帯側住戸の玄関口で来客がテレビカメラ付きドアホン子器から呼出を行うと、親世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機に付加した映像信号伝送方向切換装置は、伝送路の電圧を計測して、子世帯側住戸のインターホン親機が映像信号を送出中あるいは送出準備中になっているかを判別し、そうでなければ、子世帯側住戸のインターホン親機にドアホン子器から伝送されて来た映像信号を送出する。
【0071】
子世帯側住戸のインターホン親機では、親世帯側住戸から留守設定信号を受けた時点で、映像信号伝送方向切換装置は映像信号の受け入を可能な状態に設定しているので、映像信号は、子世帯側住戸のインターホン親機の映像モニタに表示され、ドアホン子器の来客の呼出に応答して、来客の映像を見ながらの通話が可能となる。
【0072】
子世帯側住戸のインターホン親機が映像信号を送出中あるいは送出準備中になっている場合には、映像信号の送出を中止して、映像信号伝送方向切換装置は映像信号の受け入を行う。
【0073】
子世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機が留守状態に設定されている場合には、
親世帯側住戸のモニタテレビ付インターホン親機で来客に応答して、来客の映像を見ながらの通話が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の発明による映像信号伝送方向切換回路の基本構成を示すブロック図。
【図2】連携型映像信号伝送制御システムの基本構成を示すブロック図。
【図3】映像制御機器の基本的な構成を示すブロック図。
【図4】第2の発明による映像信号伝送方向切換回路の基本構成を示すブロック図。
【図5】映像信号遮断回路の一例を示す回路図。
【図6】映像信号遮断回路の別例を示す回路図。
【図7】映像信号遮断回路の更に別例を示す回路図。
【図8】連携型映像信号伝送制御システムに使用される第3の発明による映像制御機器の基本的な構成を示すブロック図。
【図9】第4の発明による映像制御機器用信号伝送方向切換装置を示すブロック図。
【図10】連携型映像信号伝送制御システムにおける映像信号の送出衝突防止原理を説明する図。
【図11】連携型映像信号伝送制御システムにおける映像信号の衝突防止動作を説明するフローチャート。
【図12】従来の映像信号伝送方向切換回路を示す図
【符号の説明】
【0075】
1,1A 映像信号伝送方向切換回路
2,2A 映像制御機器
5 音響撮像子器
11 上り/下り信号増幅回路
11a,11b 第1、第2の信号増幅器
12 電源制御回路
12a,12b 能動素子
13、13A,13B,13C 信号遮断回路
13a 制御用能動素子
7A 映像制御機器用信号伝送方向切換装置
7 伝送路電圧監視手段
71 基準電圧印加手段
72 電圧計測回路
Vref 基準電圧
Lo 伝送路
L 信号線
Q3,Q5 能動素子
22,23 第1、第2の信号多重分離回路
22a 映像モニタ
28 一方向映像信号伝達回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、
上記映像信号伝送方向切換回路は、
上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、
上記第1の信号増幅器、上記第2の信号増幅器に電源を通じる能動素子を有した電源制御回路と備え、
上記能動素子は、上記映像制御機器によって電源供給機能をオン、オフ制御されることで、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項2】
映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、
上記映像信号伝送方向切換回路は、
上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、上記第1、第2の信号増幅器の入力側に介設される映像信号遮断回路とを備えて構成され、
上記映像信号遮断回路は、上記映像制御機器によって映像信号の通過または遮断を制御されることによって、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項3】
請求項2において、
上記映像信号遮断回路は、接地制御用能動素子と直流遮断容量とを備えており、
上記接地制御用能動素子をオン/オフ制御することで、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を、上記直流遮断容量を介して接地/非接地させて、映像信号を停止/供給させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項4】
請求項2において、
上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、電源制御用能動素子とを備えており、
上記電源制御用能動素子をオフ/オン制御することで、上記映像信号入力用能動素子への駆動電源を停止/供給させて、該映像信号を遮断/通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項5】
請求項2において、
上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、この映像信号入力用能動素子への駆動電源を遮断する電源制御用能動素子と、直流遮断容量と、この直流遮断容量を介して、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を接地させて、映像信号の通過を遮断する接地制御用能動素子とを備えており、
上記電源用能動素子、上記接地制御用能動素子をオフ/オン、オン/オフ制御することで、映像信号を遮断/通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項6】
音響撮像子器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第1の信号多重分離回路と、
他システムの映像制御機器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第2の信号多重分離回路と、
上記第1、第2の信号多重分離回路の間に介設され、上記第1の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を許容する一方、上記第2の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を遮断する一方向映像信号伝達回路と、
上記第1、第2の信号多重分離回路で分離された映像信号を処理して、映像モニタに表示させる映像表示回路とを備えたことを特徴とする映像制御機器。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の映像信号伝送方向切換回路と、伝送路電圧監視手段とを備えており、
上記伝送路電圧監視手段は、
予め準備した抵抗を、電圧検出抵抗の接続された上記伝送路に接続付加して、基準電圧を印加する基準電圧印加手段と、基準電圧が加えられたときに電圧検出抵抗に生じる上記伝送路の電圧を計測する電圧計測回路とを備えており、
上記上り映像信号を伝送路に出力させる前に、上記基準電圧印加手段によって基準電圧を印加しない状態で上記電圧計測回路よって検出した電圧レベルを判別し、その電圧レベルが上記基準電圧印加によって定まる所定値であるときには、上記第1の信号増幅器を通じての上り映像信号の通過を禁止する一方、検出した電圧レベルが、上記所定値でないときには、上記基準電圧印加手段を動作し、上記伝送路に基準電圧を印加してから、上記上り映像信号の通過を許可するようにしている映像制御機器用信号伝送方向切換装置。
【請求項8】
それぞれに音響撮像子器と映像制御機器とを上記伝送路に通じる信号線を通じて接続された2台の映像制御機器のそれぞれに、請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を付加し、それらの映像制御機器用信号伝送方向切換装置同士を更に信号線を介して接続して構成された連携型映像信号伝送制御システム。
【請求項9】
請求項8において、上記音響撮像子器がカメラ付きドアホン子器であり、上記映像制御機器がモニタテレビ付きインターホン親機であり、上記信号線は映像信号、音声信号、制御信号、システム電源などを周波数多重化方式によって重畳させて伝送する2線式信号線で構成され、2世帯連携型テレビインターホンシステムを構成している、連携型映像信号伝送制御システム。
【請求項1】
映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、
上記映像信号伝送方向切換回路は、
上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、
上記第1の信号増幅器、上記第2の信号増幅器に電源を通じる能動素子を有した電源制御回路と備え、
上記能動素子は、上記映像制御機器によって電源供給機能をオン、オフ制御されることで、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項2】
映像モニタを有した映像制御機器に付加して使用され、映像制御機器と伝送路との間に介設されて、伝送路を通じて映像制御機器に入、出力される映像信号の伝送方向を選択的に切換える映像信号伝送方向切換回路において、
上記映像信号伝送方向切換回路は、
上記映像制御機器から上記伝送路を通じて出力される上り映像信号を増幅する第1の信号増幅器と、上記伝送路を通じて上記映像制御機器に入力される下り映像信号を増幅する第2の信号増幅器とを、それぞれの入力端子がそれぞれの出力端子に接続されるように結線して構成された、上り/下り映像信号増幅回路と、上記第1、第2の信号増幅器の入力側に介設される映像信号遮断回路とを備えて構成され、
上記映像信号遮断回路は、上記映像制御機器によって映像信号の通過または遮断を制御されることによって、上記上り、下り映像信号を選択的に通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項3】
請求項2において、
上記映像信号遮断回路は、接地制御用能動素子と直流遮断容量とを備えており、
上記接地制御用能動素子をオン/オフ制御することで、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を、上記直流遮断容量を介して接地/非接地させて、映像信号を停止/供給させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項4】
請求項2において、
上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、電源制御用能動素子とを備えており、
上記電源制御用能動素子をオフ/オン制御することで、上記映像信号入力用能動素子への駆動電源を停止/供給させて、該映像信号を遮断/通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項5】
請求項2において、
上記映像信号遮断回路は、上記第1、第2の信号増幅器のいずれか一方に択一的に映像信号を入力させる映像信号入力用能動素子と、この映像信号入力用能動素子への駆動電源を遮断する電源制御用能動素子と、直流遮断容量と、この直流遮断容量を介して、上記第1、第2の信号増幅器のいずれかの入力側を接地させて、映像信号の通過を遮断する接地制御用能動素子とを備えており、
上記電源用能動素子、上記接地制御用能動素子をオフ/オン、オン/オフ制御することで、映像信号を遮断/通過させる構成としている映像信号伝送方向切換回路。
【請求項6】
音響撮像子器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第1の信号多重分離回路と、
他システムの映像制御機器との間で信号線を通じて伝送される、映像信号と、音声信号と、制御信号とを多重化し、分離する第2の信号多重分離回路と、
上記第1、第2の信号多重分離回路の間に介設され、上記第1の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を許容する一方、上記第2の信号多重分離回路で分離された映像信号は通過を遮断する一方向映像信号伝達回路と、
上記第1、第2の信号多重分離回路で分離された映像信号を処理して、映像モニタに表示させる映像表示回路とを備えたことを特徴とする映像制御機器。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の映像信号伝送方向切換回路と、伝送路電圧監視手段とを備えており、
上記伝送路電圧監視手段は、
予め準備した抵抗を、電圧検出抵抗の接続された上記伝送路に接続付加して、基準電圧を印加する基準電圧印加手段と、基準電圧が加えられたときに電圧検出抵抗に生じる上記伝送路の電圧を計測する電圧計測回路とを備えており、
上記上り映像信号を伝送路に出力させる前に、上記基準電圧印加手段によって基準電圧を印加しない状態で上記電圧計測回路よって検出した電圧レベルを判別し、その電圧レベルが上記基準電圧印加によって定まる所定値であるときには、上記第1の信号増幅器を通じての上り映像信号の通過を禁止する一方、検出した電圧レベルが、上記所定値でないときには、上記基準電圧印加手段を動作し、上記伝送路に基準電圧を印加してから、上記上り映像信号の通過を許可するようにしている映像制御機器用信号伝送方向切換装置。
【請求項8】
それぞれに音響撮像子器と映像制御機器とを上記伝送路に通じる信号線を通じて接続された2台の映像制御機器のそれぞれに、請求項7に記載の映像制御機器用信号伝送方向切換装置を付加し、それらの映像制御機器用信号伝送方向切換装置同士を更に信号線を介して接続して構成された連携型映像信号伝送制御システム。
【請求項9】
請求項8において、上記音響撮像子器がカメラ付きドアホン子器であり、上記映像制御機器がモニタテレビ付きインターホン親機であり、上記信号線は映像信号、音声信号、制御信号、システム電源などを周波数多重化方式によって重畳させて伝送する2線式信号線で構成され、2世帯連携型テレビインターホンシステムを構成している、連携型映像信号伝送制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−270841(P2006−270841A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89276(P2005−89276)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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