説明

映像収録再生装置および映像収録方法

【課題】 放送すべき事象が発生した映像を遡って放送することができる映像収録再生装置および映像収録方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 映像データを収録し、収録したうちの最新の一定時間分のデータを記録するとともに、データの収録を継続して行う映像収録方法であって、入力された映像データを符号化して、この一定時間分の時間長よりも短い時間分の容量のデータを1つのファイル141nとしてファイル化する。このファイル141nを少なくとも3つ以上記録する容量の記録領域を備える収録映像記録部141へこのファイルを記録する。上記記録領域が、ファイルで満たされた場合、最古に作成されたファイルを削除し、次のファイルを記録領域へ記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像収録再生装置における連続収録処理に関する。
【背景技術】
【0002】
放送システムで素材を放送する手法として、撮影した素材をリアルタイムに放送する生放送と、一旦収録しておいた素材を放送する録画放送と、の主に2種類が知られている。生放送の場合、撮影した素材を迅速に放送することができるため、ニュース番組やスポーツ中継などによく用いられる。撮影中の映像をほぼリアルタイムで放送することが可能であるが、一方では、例えば、各種事件の中継や、災害、地震、竜巻などの気象の中継では、事象の発生や事態の変化が予測困難である突発的な事象を放送するには不向きである。このような突発的な事象を確実に放送するには、事象が発生していない状態の映像についても長時間に渡って放送することになり、放送時間の無駄になる。そのため、事象が起きていない間は他の素材を放送し、事象が起きた場合に、その事象を放送するべく映像を切替えるようにしている。
【0003】
しかしながら、放送が要求される突発的な事象は予測困難であることから、その事象が起き始めた後にしか映像の切替えを行うことができなく、本来放送すべき事象を最初から放送することができない。このような事象を確実に放送するためには、事象が起きる前から映像を収録しておき、事象が終わった後にその映像を放送するという、録画放送を行っていた。この場合、事象が発生してから迅速に放送することができない。このような問題に類似した、生放送の放送中に他のものを放送しても、その間に放送された生放送の場面を続けて再生できるようにする技術が、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−46438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載の技術は、生放送の放送中に他のものを放送しても、その間に放送された生放送の場面を続けて再生できるようにするために、他のものを放送している時間分の時間を遅延させる遅延メモリを設けている。しかしながら、この遅延メモリはあくまで放送時刻を遅らせるものであり、突発的な事象が発生した時刻に撮影された素材まで遡って任意の映像から放送することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、放送すべき事象が発生した映像を遡って放送することができる映像収録再生装置および映像収録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による映像収録再生装置は、少なくとも映像を含むデータを収録し、収録したうちの最新の一定時間分のデータを記録するとともに、データの収録を継続して行う映像収録再生装置であって、少なくとも映像を含むデータを入力され、前記データを符号化して、前記一定時間分の時間長よりも短い時間分の容量のデータを1つのファイルとしてファイル化する入力手段と、前記入力手段により作成されたファイルを少なくとも3つ以上記録する容量の記録領域を備え、前記ファイルを記録する収録映像記録部と、前記収録映像記録部に記録されたファイルのうち、収録中のファイルの情報、最古に作成されたファイルの情報、及び、最新に作成されたファイルの情報を含む、ファイルの管理データを記録する管理データ記録部と、前記記録領域が、ファイルで満たされた場合、前記管理データ記録部を参照して最古に作成されたファイルの情報に基づき、前記最古に作成されたファイルを削除し、次のファイルを前記記録領域へ記録する収録制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明による映像収録方法は、少なくとも映像を含むデータを収録し、収録したうちの最新の一定時間分のデータを記録するとともに、データの収録を継続して行う映像収録方法であって、入力された、映像を含むデータを符号化して、前記一定時間分の時間長よりも短い時間分の容量のデータを1つのファイルとしてファイル化し、前記ファイルを少なくとも3つ以上記録する容量の記録領域を備える収録映像記録部へ前記ファイルを記録し、前記収録映像記録部に記録されたファイルのうち、収録中のファイルの情報、最古に作成されたファイルの情報、及び、最新に作成されたファイルの情報を含む、ファイルの管理データを記録する管理データ記録部へ、前記収録映像記録部へ記録したファイルの管理データを記録し、前記記録領域が、ファイルで満たされた場合、前記管理データ記録部を参照して最古に作成されたファイルの情報に基づき、前記最古に作成されたファイルを削除し、次のファイルを前記記録領域へ記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による映像収録再生装置および映像収録方法によれば、放送すべき事象が発生した映像を遡って放送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置の構成を示したブロック図。
【図2】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が記録するファイルの構造を示した図。
【図3】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が有する収録素材記録部に、収録開始からn分目まで収録した様子を示した図。
【図4】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が有する収録素材記録部に収録した様子を時系列に示した図。
【図5】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が有する収録素材記録部に、収録開始から65分目まで収録したファイルと、ファイルIDとの関係を示した図。
【図6】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が有する管理データ記録部に記録される、ファイルIDの状態を管理する状態管理表の一例を示した図。
【図7】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が有する管理データ記録部に記録される、ファイルID間の順番の関連付けを管理する順番理表の一例を示した図。
【図8】本発明の一実施の形態に係る映像収録再生装置が行う収録処理の流れを説明するフローチャート。
【図9】従来の映像収録再生装置がテープに連続収録を行う様子を示した図。
【図10】従来の映像収録再生装置が、2つの記録領域を交互に使用して連続収録する様子を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態を示す映像収録再生装置100の構成を示したブロック図である。
映像収録再生装置100は、カメラからの映像を含む映像データを入力される映像入力部(入力手段)11、映像入力部11から入力される映像データを記録する収録映像記録部141および各種管理データを記録する管理データ記録部142を備える記録部14、収録映像記録部141に記録された映像データを他収録装置300や外部に接続されたディスプレイ400に出力する映像出力部(出力手段)12、外部コントロール端末500を接続する外部コントロールインタフェース部13、および、CPUを備え各部を制御する制御部(収録制御手段)10を有する。また、各部は内部バス15で互いに接続される。
【0013】
映像入力部11は、カメラからの映像データを符号化するエンコーダを備え、記録部14は、HDD(Hard Disk Drive)や半導体メモリなどのランダムアクセスが可能な記録媒体で構成される。また、記録部14が備える収録映像記録部141および管理データ記録部142は、物理的に2つの記録媒体で構成しても、収録映像および各種管理データの両方を1つの記録媒体に記録する構成にしてもよい。
【0014】
そして、映像出力部12には、記録部14に記録された映像データを復号化するデコーダを備える。なお、本実施例では、映像入力部11により圧縮されて記録された映像データを、記録部14から読み出して復号化する一連の処理動作を再生と称する。すなわち、映像出力部12は、再生処理を行い、再生処理を行った映像データを外部へ出力するものである。
【0015】
また、図2は、映像収録再生装置100の収録映像記録部141にファイル141nとして記録される映像データの形式を示した図である。映像収録再生装置100で収録された映像データの形式は、図2に示すように、映像のデータ本体部d、ヘッダ部h、およびフッタ部fで構成される。ヘッダ部hには、映像データの長さやフレーム数、タイムコード値、映像や音声の符号化の方式等の属性情報が含まれる。また、フッタ部fには、データの終わりを示す情報が含まれる。そして、映像のデータ本体部dは、記録媒体へ順次記録していくことによって作成され、ヘッダ部hおよびフッタ部fは、収録完了後に確定するものである。そのため、収録完了後に1つの映像のデータを記録したファイル141nが完成する。図2に示すデータ形式は、一般的なものであり、収録映像記録部141に記録するデータ形式は、MXF(Material eXchange Format)等、より複雑な構造で構成されたものでもよい。そして、映像収録再生装置100で取り扱う放送の素材は、このようにファイル化されたものである。
【0016】
このような映像収録再生装置100において、突発的に発生する、例えば竜巻の発生などの自然現象の映像を放送するべく収録する例を以下に示す。このような自然現象を放送するためには、監視カメラのごとく、竜巻が発生する前からカメラで時間的に連続して収録し、竜巻が発生した場合に、竜巻が発生する直前の映像データから即座に放送を開始することが求められる。
【0017】
本実施例では、例えば、常時、最新の1時間分の映像データが必要である場合について説明する。この最新の数時間などの必要な時間数を、以降、「必要時間数」と称する。この必要時間数は、放送すべき事象が発生してから、その事象を収録した映像の放送を開始するまでの最大時間差に基づき決定してよい。以下、必要時間数を記録するとともに収録を継続する収録処理について説明する。
【0018】
図3は、必要時間数を記録するとともに収録を継続するための記録領域を示した図である。本実施例では、必要時間数である1時間を60等分して、1分間分という必要時間数よりも十分短い時間長の映像データが収録されたファイルを60個記録することで、必要時間数を確保している。また、必要時間数を確保するとともに収録を継続するために、必要時間数分に加え、収録中のファイルの分の記録領域を用意する。つまり、必要時間数1時間と収録中のファイルの分を合わせた、61個のファイルで構成されたものであり、合計1時間1分の容量の記録領域を用意する。
【0019】
図3に示す四角形は、1分間分の映像を収録したファイルを示している。また、映像データが収録されていないファイルは白塗りの四角形で示し、映像データが収録されているファイルは左下斜線の四角形で示す。なお、収録中のファイルは、白塗りと左下斜線の両方で示す。四角形の上部に表記した1から61までの数値は、収録開始から何分目かを表記したものである。図3の例では、現在、収録開始からn分目である。61個のファイルを記録する記録領域のうち、n−1分目まで収録が完了し、n−1個のファイルが完成している。現在は、n分目の映像を収録中であることが示されている。
【0020】
また、収録時間が経過し、収録開始から60分(1時間)を経過すると、61分目の映像を収録中となり、この時点で、必要時間数である最新の1時間分の映像データが記録されたことになる。
【0021】
さらに、収録開始から61分(1時間1分)を経過すると、最も古いファイルを消去して62分目以降の映像を収録する。
図4に、62分目以降の映像データを収録する様子を示す。図4(a)は、64分目を収録中であり、64分目の収録が終了すると、65分目の映像データを収録するために、最も古いファイルである4分目のファイルを消去し、65分目の映像データを収録するファイルを作成する。この状態が、図4(b)である。このように、61分(1時間1分)の容量の記録領域を用いて継続して映像を収録する。
【0022】
なお、図3および図4には、1つのファイルの容量を時間長が1分間であるの映像データを収録可能な容量としたが、この収録時間長は、1分に限られるものではない。
【0023】
ここで、図5乃至図7を参照して、必要時間数の映像データを記録するとともに収録を継続するよう制御するために、必要な管理データについて説明する。
【0024】
図5は、必要な管理データを説明するために記録領域を図示したものである。図5は、図4(b)と同様に、65分目の映像データを収録中であることを示したものである。そして、61個のファイルを制御するために必要なファイルの識別情報を表記した。図5の例では、62分目の映像データが収録されたファイルの識別情報は「ID1」であり、63分目の映像が収録されたファイルの識別情報は「ID2」である。
【0025】
図6は、管理データ記録部142に記録される状態管理表142aである。状態管理表142aは、収録映像記録部141に記録される61個のファイルのうち、再生可能な先頭のファイル(以降、スタートファイルと称する。)の情報、再生可能な最後尾のファイル(以降、エンドファイルと称する。)の情報、収録中のファイルの情報、および、現在再生中であれば再生中のファイルの情報を記憶するようになっている。また、この状態管理表142aは、1つのファイルが完成して次の映像データを収録するためにファイルを新規作成した場合や、ファイルを削除した場合に、更新されるものである。そして、再生中のファイルに変更があった場合にも更新される。
【0026】
図6の例では、再生可能な先頭のファイルであるスタートファイルは「ID5」であり、再生可能な最後尾のファイルであるエンドファイルは「ID3」である。また、収録中ファイルは「ID4」であり、再生中ファイルは「ID6」であることが記憶されている。
【0027】
図7は、管理データ記録部142に記録される収録順管理表142bである。収録順管理表142bは、ファイル毎に、そのファイルの次に収録されたファイルの情報を記録するようになっている。
【0028】
図7の例では、「ID1」の次のファイルは「ID2」、「ID2」の次のファイルは「ID3」であることが記録され、「ID3」の次のファイル以降についても同様に記録される。また、この収録順管理表142bは、ファイルの新規作成やファイルの消去に伴い更新されるようになっている。
【0029】
次に、図8を参照して、映像収録再生装置100が行う収録処理の流れを説明する。
まず、収録を開始すると、収録ファイルの新規作成を行う(S11)。例えば、ID1というファイル名のファイルを作成した場合、状態管理表142aで管理される収録中ファイルIDは、「ID1」と記録される。そして、新規作成したファイルに、映像入力部11から入力された映像データを記録する(S12)。その後、そのファイルへの記録開始から1分が経過したか否かを判断する(S13)。1分が経過していないと判断した場合(処理S13でNO)は、映像データの記録を継続する(S13)。1分が経過したと判断した場合(処理S13でYES)は、記録したファイルのクローズ処理を行う(S14)。このクローズ処理は、映像のデータ本体dにヘッダ部hおよびフッタ部fを付加して1つのファイルを完成させる処理である。
【0030】
そして、ファイルのクローズ処理が終了すると、次のファイルを作成するための準備処理として、管理データ記録部142に記録される状態管理表142aおよび収録順管理表142bを更新する(S15)。この準備処理が終了すると、最新のファイルを再生または外部へ出力することが可能になる。この準備処理が終了した後は、収録開始からの累計時間(図8のフローチャートがSTARTしてからの時間)が、61分以上を経過したか否かを判断する(S16)。経過した時間が61分未満と判断した場合(処理S16でNO)、処理S11へ戻り、収録ファイルの新規作成を行い(S11)、映像データを記録し(S12)、以降の処理を繰り返す。処理S16の判断により、経過した時間が61分以上であれば(処理S16でYES)、最も古いファイルであるスタートファイルを削除するために、このスタートファイルが再生中か否かを状態管理表142aを参照して判断する(S17)。再生中でなければ(処理S17でNO)、スタートファイルの削除処理を行い(S18)、処理S11へ戻って以降の処理を繰り返す。
【0031】
処理S17の判断において、スタートファイルが再生中であると判断した場合(処理S17でYES)、スタートファイルを削除せずに処理S11へ戻り、以降の処理を行う。この場合は、スタートファイルを削除せずに、次の映像データを収録するファイルを新規作成するので、ファイルの数が、1つ増えることになる。この増えたファイル数を補正する処理の例としては、次にスタートファイルを削除する処理時に、削除するスタートファイルの次のファイルも合わせて削除することが挙げられる。この場合、削除するスタートファイルの次のファイルは、再生中でないことが条件となる。
【0032】
この処理S17において、スタートファイルが再生中であると判断した場合、再生中のスタートファイルを削除せずに、収録ファイルの新規作成を行い合計のファイル数を一時的に1つ増加させるように記載したが、再生中のスタートファイルのうち、再生した直近のフレームを静止画像として表示し、スタートファイルを削除するようにしてもよい。また、スタートファイルの次のファイルを再生するように制御して状態管理表142aの再生中ファイルの情報を次のファイルのIDに更新して、スタートファイルを削除するようにしてもよい。
【0033】
(従来例との対比)
ここで、比較のため、従来の映像収録再生装置での収録について説明する。
図9は、従来の映像収録再生装置において、記録媒体に物理的に環状になったテープを用いて収録する様子を示したものである。従来は、記録媒体に、例えば1時間分の映像を収録可能な長さの、物理的に環状になったテープを用い、図9(a)に示すように順に収録していく。そして、図9(b)のように、収録時間が1周分、この場合では1時間を経過すると、図9(c)のように、テープを上書きしながら収録する。例えば、竜巻などの自然現象を放送する場合、このような自然現象は突発的に発生するため、竜巻などが発生していない通常の映像データを収録する時間が圧倒的に長いため、竜巻などの放送すべき事象が発生しなければ、物理的に環状になったテープを上書きしながら収録を継続する。そして、竜巻が発生した場合には、竜巻が消滅後、又はカメラの撮影視野外に移動した後など、放送すべき事象が終了した後に、テープへの収録を停止して、そのテープから映像データを読み出して放送していた。
【0034】
このように、環状になったテープへ収録する場合、テープ1周分の記録容量があればテープを交換する手間やその間の収録時間の空白が生じないという利点とともに、テープは1本あればよいという点も便利である。そして、不要な映像を記録したテープを保管する必要がなく、上記の例では、最新の1時間分の映像を記録しておくことで、突発的な事象を収録して放送するという要求に応えていた。しかしながら、竜巻などの放送すべき事象が終了した後でなければ放送ができないという問題がある。
【0035】
また、図10は、従来の映像収録再生装置において、環状になったテープへの収録に代えて、HDDや半導体メモリ等のランダムにアクセス可能な記録媒体へ収録する様子を示したものである。図10の例では、図9のテープの場合と同様に、最新の1時間分の映像データを記録しておくことができるように、1時間分の容量の記録領域を用意している。まず、記録領域1に記録し(図10(a))、記録領域1の残容量が無くなったら記録領域2へ記録する(図10(b))。記録領域2の残容量が無くなったら、記録領域1のファイルを消去して(図10(c))、記録領域2へ記録する。この処理を繰り返し行うことで、最新の1時間分の映像を記録しておき、そして収録を継続することができる。この記録領域1および記録領域2が、HDDや半導体メモリであれば、図2を説明する際に上述したように、映像のデータ本体部、ヘッダ部、およびフッタ部で構成され、ヘッダ部およびフッタ部は、収録完了後に確定するものであるため、収録完了後に映像データを記録した1つのファイルが完成する。ファイルが完成すれば、再生が可能になる。
【0036】
このようにして、1時間分の映像データを記録することが可能であるが、テープの場合のように、常に最新の1時間分の映像データを記録したまま収録を継続するには、収録を終えた1時間分の映像を記録した記録領域の他に、収録を行うためのもう1つの記録領域が必要になる。すなわち、最新の1時間分の映像を記録したまま、収録を継続するためには、必要時間数(この例では、1時間)の容量の2倍の記録領域が必要になり、映像収録再生装置の小型化または低価格化の妨げとなっていた。
以上が従来例との対比である。
【0037】
ここまで述べたように、本実施例では、例えば1時間の必要時間数を1分毎のファイルで構成し、必要時間数の記録領域に加えて時間長が1分のファイルを記録可能な記録領域を用意することにより、最新の1時間分の映像を記録したまま、連続的に収録を行うことができる。そして、このような連続した収録に必要な記録領域の容量は、例えば必要時間数が1時間であれば、1時間1分という容量であり、必要時間数の他に用意しておく容量を極めて少なくすることができる。さらに、必要時間数が1時間の映像を、60個のファイルで構成するようにしたため、収録開始から1分経過した後であれば再生が可能である。
【0038】
このような、必要時間数の他に必要な容量を少なくしたり、収録開始から再生可能になるまでの時間を短縮したりすることが可能となるような種々の効果は、1つのファイルの容量をより小さくすることでより顕著になる。少なくとも、必要時間数の2倍の容量よりも少ない記録領域を使用して連続的に収録を行うことを可能とするには、必要時間数よりも短い時間長の映像の容量のファイルが最低3つあればよい。加えて、1つのファイルの容量を1分の映像を収録する容量としたため、管理がしやすい。
【0039】
なお、本発明は、以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、実施例では、説明を簡単にするために、ファイルIDを「ID1」等の番号で表記したが、ファイルIDはファイル名に相当するものであるため、英数字や漢字等のファイル名にしてもよい。また、ファイルに含まれるデータは、映像のみならず、音声やその他の情報を含んでいてもよい。さらに、必要時間数や1つのファイルの容量は、それぞれ1時間、1分に限られるものではない。これに加え、収録映像記録部141の容量は、必要時間数にファイル1つ分の容量を加えた記録領域の容量よりも大容量であってもよい。この場合、収録映像記録部141が大容量であっても、上記記録領域の容量分を使用して連続収録を行うため、連続収録以外の処理を行う場合に、その容量を確保することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…制御部、11…映像入力部、12…映像出力部、13…外部コントロールインタフェース部、14…記録部、141…収録映像記録部、141n…ファイル、142…管理データ記録部、142a…状態管理表、142b…収録順管理表、15…内部バス、100…映像収録再生装置、200…カメラ、300…他収録装置、400…ディスプレイ、500…外部コントロール端末、h…ヘッダ部、d…データ本体部、f…フッタ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも映像を含むデータを収録し、収録したうちの最新の一定時間分のデータを記録するとともに、データの収録を継続して行う映像収録再生装置であって、
少なくとも映像を含むデータを入力され、前記データを符号化して、前記一定時間分の時間長よりも短い時間分の容量のデータを1つのファイルとしてファイル化する入力手段と、
前記入力手段により作成されたファイルを少なくとも3つ以上記録する容量の記録領域を備え、前記ファイルを記録する収録映像記録部と、
前記収録映像記録部に記録されたファイルのうち、収録中のファイルの情報、最古に作成されたファイルの情報、及び、最新に作成されたファイルの情報を含む、ファイルの管理データを記録する管理データ記録部と、
前記記録領域が、ファイルで満たされた場合、前記管理データ記録部を参照して最古に作成されたファイルの情報に基づき、前記最古に作成されたファイルを削除し、次のファイルを前記記録領域へ記録する収録制御手段と
を有することを特徴とする映像収録再生装置。
【請求項2】
前記収録映像記録部に記録されたファイルを読み出して復号化し、復号化されたデータを出力する出力手段をさらに備え、
前記管理データ記録部には、前記出力手段により出力中のファイルの情報をさらに記録し、
前記収録制御手段は、前記管理データ記録部を参照して、削除対象のファイルが出力中である場合には、前記削除対象のファイルを削除せずに、次のファイルを前記記録領域へ記録することを特徴とする請求項1に記載の映像収録再生装置。
【請求項3】
前記収録映像記録部に記録されたファイルを読み出して復号化し、復号化されたデータを出力する出力手段をさらに備え、
前記管理データ記録部には、前記出力手段により出力中のファイルの情報、及び、前記収録映像記録部に記録されたファイル間の収録順に係る情報を、さらに記録し、
前記収録制御手段は、前記管理データ記録部を参照して、削除対象のファイルが出力中である場合には、前記出力手段からの出力を、出力中のファイルからその次のファイルへ変更し、前記削除対象のファイルを削除し、次のファイルを前記記録領域へ記録することを特徴とする請求項1に記載の映像収録再生装置。
【請求項4】
少なくとも映像を含むデータを収録し、収録したうちの最新の一定時間分のデータを記録するとともに、データの収録を継続して行う映像収録方法であって、
入力された、映像を含むデータを符号化して、前記一定時間分の時間長よりも短い時間分の容量のデータを1つのファイルとしてファイル化し、
前記ファイルを少なくとも3つ以上記録する容量の記録領域を備える収録映像記録部へ前記ファイルを記録し、
前記収録映像記録部に記録されたファイルのうち、収録中のファイルの情報、最古に作成されたファイルの情報、及び、最新に作成されたファイルの情報を含む、ファイルの管理データを記録する管理データ記録部へ、前記収録映像記録部へ記録したファイルの管理データを記録し、
前記記録領域が、ファイルで満たされた場合、前記管理データ記録部を参照して最古に作成されたファイルの情報に基づき、前記最古に作成されたファイルを削除し、次のファイルを前記記録領域へ記録することを特徴とする映像収録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−24048(P2011−24048A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168224(P2009−168224)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】