説明

映像情報提供システム

【課題】 本発明は、背面投射型の映像表示装置を使用した情報提供システムにおいて、受け側が必要とする情報を適時かつ正確に提供して使い勝手を向上するのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る情報提供システムは、映像表示装置(202)のスクリーン前方に位置される、例えば携帯電話(203)などの通信端末と情報の通信を行うための通信手段(201)を、映像表示装置に備える。この通信手段は、赤外線などでデータの通信を行う光データ通信手段である。映像表示装置(202)は、インターネット回線を通じて、PC(206)及びサーバー(207)からコンテンツを取得可能であり、映像表示装置(202)は、この取得コンテンツのデータを同報通信により携帯電話(203)へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不特定多数への情報提供が容易な背面投射型の映像表示機を使用した情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンの背面から映像を投射してその面に映像を表示する背面投射型映像表示装置を用いた情報提供システムは、高精細/高コントラスト/高品質/省スペース構造などの特長を有しており、様々な場面で情報提供の手段として広く利用されている。例えば、企業・公共機関の大会議室や空港・駅などの公共施設、ショールームやイベントにおいては、不特定多数の人々に対する情報提供の用途として利用されている。また、高精細・高可用性が求められる警察や電力/水道などの社会、エネルギーインフラの分野においても、その制御・監視の用途としても多く利用されている。
【0003】
このような情報提供システムの従来技術としては、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。該特許文献1は、インターネット回線及びLANに接続された背面投写型画像表示装置を備え、インターネット回線またはLANを通じて取得した情報を当該表示装置で表示する構成の情報提供システムを開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−149739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のような従来のシステムは、情報表示に優れている一方、その情報提供は情報を受ける側への一方通行的なものである。例えば、表示最中のサイトに関する詳細(レストラン案内が表示されている場合、メニュー、店舗営業時間及びその電話番号など)や、その他情報を受け側が必要とする情報を正確に表示することに十分に対応出来ない。特に空港・駅・デパートなどの施設において、不特定多数の人々に情報を提供するための表示装置として使用されている場合、不特定多数の受け側の要求に応じて必要な情報を正確に提供できないことは、受け側に多くの不便を与える。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、受け側が必要とする情報を適時かつ正確に提供して使い勝手を向上するのに有効な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための、本発明に係る情報提供システムは、映像表示装置のスクリーン前方に位置される、例えば携帯電話などの通信端末と情報の通信を行うための通信手段を備えることを特徴とするものである。この通信手段は、スクリーンの後方に配置されることが好ましく、また光データの通信を行う光データ通信手段であることが好ましい。また、この光データ通信手段は、赤外線を用いて前記通信端末と通信するものであってもよい。
【0008】
また、上記映像表示装置が電気回線網、すなわちインターネット回線を通じてコンテンツを取得可能であり、このコンテンツを取得したときに、該映像表示装置は、該取得コンテンツのデータを同報通信により前記通信端末へ送信してもよい。更にまた、この映像表示装置はこの取得コンテンツを含む電気回線網サイトのアドレス情報(すなわちURL情報)を、上記コンテンツのデータとして通信端末へ送信するようにしてもよい。
【0009】
本発明に用いられる携帯電話は、赤外線データ通信対応であることが好ましい。赤外線通信対応の携帯電話普及率は向上されているが、未対応の機種もある。それらに対しては、赤外線データ通信用のドライバソフトを、URLを介しダウンロードすることにより赤外線データ通信対応とすればよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受け側の要求に応答して、受け側が必要とする情報を適時かつ正確に提供することが可能となる。従って、本発明によれば、情報提供システムの使い勝手を向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る情報提供システムの一実施形態の概略図であり、背面投射型の映像表示機101のスクリーン背後にスクリーン前後との光データ通信機器を設けている。本実施形態における背面投射型の映像表示機101(以下、表示装置と略す)は、その前方にスクリーンが配置され、例えば液晶パネルやデジタルマイクロミラーデバイス、CRTなどの表示素子に表示された映像が、例えば投射レンズにより拡大され、スクリーンの背面から投射される。そしてスクリーン前方の面に、拡大投影された映像が表示される。また、本実施形態では、データ通信手段として赤外線を用いたデータ通信手段を使用し、映像表示機からユーザが所有するモバイル端末(携帯電話)102への単方向同報データ通信を行う。
【0012】
本発明が適用される情報提供システムは、その設置方法の種類によって、複数の表示機を連結して大画面表示を実現するマルチタイプと、100型前後のサイズを単体で実現するスタンドアロンタイプの大きく2種類に分類される。用途や設置場所の状況に応じてこれらの種類が使い分けされる。
【0013】
ところで、データ通信に、例えばBluetoothなどの電波を使用した場合、混信の可能性があり、また複数の異なる画像を表示した場合、個々の画像に対応した、異なるデータ通信を行うことが出来ない場合がある。上記の無線通信技術は、機器間の距離が10m以内であれば例え障害物があっても通信可能であるという利点があるが、現在のところ未だ十分に普及しておらず、一般の人を対象として情報提供するには利便性が低いと考えられる。よって、本実施形態では、上記Bluetoothなどの電波を使用したデータ通信ではなく、赤外線を使用したデータ通信としている。また、データ通信手段として赤外線を採用するのは、次の理由も考慮されている。すなわち、(1)大容量送信が可能;(2)低コスト;(3)通信速度が速く電波と違い混線がない;(4)電波の干渉や雑音の恐れがなく、病院・空港・デパートなどの施設での利用に適している;(5)世界的に普遍化された基本通信技術として成熟、また安定している;(6)携帯電話に赤外線モジュールを装着することが、今後多くなると予想される。
【0014】
よって、本実施形態においては、赤外線を用いた通信が好ましいが、電波を用いたデータ通信における上記種々の問題が解決されるならば、これを用いて携帯電話102と通信するようにしてもよい。
【0015】
本実施形態において、情報を提供する側(病院・デパートなどの企業・団体など)、すなわちコンテンツ供給元103は、表示装置101へ表示するコンテンツを配信する。この時、コンテンツ供給元103は、各々の企業・団体が所有しているURLを同報配信する。表示装置101に表示されたコンテンツを見ている人は、表示されているコンテンツの詳細(メニュー・営業時間・電話番号など)を入手したい場合、携帯電話102の赤外線通信機能を使用してコンテンツのデータ、例えば当該コンテンツのサイトのURL及び企業・団体のホームページURL情報を、表示装置101から通信手段を介して取得する。
【0016】
携帯電話102に赤外線通信機能が付いていない場合は、表示装置101に表示されているURLを携帯電話の入力画面に入力し、当該WEBページとアクセスする。そして、当該WEBページに置かれている赤外線通信ドライバをダウンロードする。このようにすれば、携帯電話を赤外線通信機能に対応させることができる。
【0017】
図2は、通信手段として赤外線送受光器を装着した情報提供システムの全体構成を示している。表示装置202の右上端部には赤外線送受光器201が設けられており、表示装置202のスクリーン前方に位置しているユーザの携帯電話203と赤外線を用いた光データ通信を行う。通信手段である赤外線送受光器201は、表示装置202のスクリーンの後方に配置される。また表示装置202には、表示装置202にコンテンツ情報を提供するためのパーソナルコンピュータ(PC)206が接続されている。PC206は、サーバー207と接続されており、このサーバー207を介して電気通信回線網(インターネット回線)とアクセス可能に構成される。PC206は、サーバー207及びインターネット回線を介して、上記装病院・デパートなどの企業・団体などのコンテンツ供給元103のサイトとアクセスし、そのサイトから、そのサイトのURLを含むコンテンツ情報を取得し、表示装置202のスクリーン上に表示する。またPC206には、BSチューナー204、DVDプレーヤー205等の映像出力装置とも接続可能とされており、これら映像出力装置からの映像が、PC206を介して表示装置202のスクリーン上にされる。
【0018】
上記表示装置202は、インターネット回線を通じてPC206を経由してコンテンツを取得する。そして表示装置202は、このコンテンツを取得したときに、該取得コンテンツのデータを同報通信により、赤外線送受光器201を介して携帯電話203送信する。また、携帯電話203は、ユーザが希望するコンテンツの情報(例えば当該コンテンツを含むサイトのアドレス情報やそのコンテンツのキーワード等)が入力可能であり、その入力されたコンテンツの情報を、携帯電話203に対する操作に応じて上記赤外線送受光器201に送信可能である。赤外線送受光器201は、携帯電話203から受信したコンテンツの情報をPC206へ伝送し、PC206は、この受け取ったコンテンツの情報に基づき、インターネット回線を通じてそのコンテンツ情報を含む、もしくはそのコンテンツが掲載されているサイトを検索してアクセスし、当該サイトから対応するコンテンツを取得する。そしてPC206は、インターネット回線を介して取得した当該サイトのコンテンツを表示装置202に供給してそのスクリーン上に表示する。このようにすることによって、ユーザは、携帯電話203を介して、公共施設などに設置されている表示装置と対話的に情報の取得が可能となり、ユーザが必要とする所望の情報を適時かつ正確、そして迅速に得ることが可能となる。
【0019】
複数のコンテンツを異なる複数の画面に表示する場合、画像ごとに異なるデータを提供することになり、ユーザへ情報を提供するための制御は複雑となる。しかしながら、例えば複数の画面表示後に、ある1つの画像を自動的に単一画面で表示するような配信スケジュールにすることで、この問題は回避可能である。また、携帯電話203から表示装置202へ容量の大きいデータ通信を行うことは、現在、携帯電話の赤外線送光の性能が高くないことや映像情報表示システム側での通信リソースが必要になることから考慮してあまり好ましくない。不特定対数を対象とした情報提供を考慮した場合、単方向同報通信のみで上記情報提供システムの使い勝手が向上される。しかしながら、上記のような技術的課題が解決されれば、当然、携帯電話203から表示装置202へ大容量のデータ通信を行ってもよく、このような形態のものも本発明に含まれるのはいうまでもない。
【0020】
また、本実施形態では、表示画面に直接携帯電話を向けるのではなく、スクリーン上部に設置された送受光器の位置を意識して、携帯電話をその方向に向けて操作する必要がある。しかしながら、情報提供システムの設置場所付近において、本発明の使用方法などを充分にアナウンスすれば、操作方法自体は難しいものではないため、本発明は容易に実施され得るだろう。
【0021】
上述したように、本実施形態は、最も普及したモバイル端末の一つである携帯電話を用いて表示装置202と情報の通信を行うようにしている。そして、その携帯電話の殆どがインターネット利用可能な機種で、また赤外線対応の機種の普及率も上がってきている。従って、背面投射型の映表示機に光データ通信機能を取り付ければ、多くのユーザは詳細で必要とする情報を入手することが可能となり、その効果は多くの人々に享受され得る。
【0022】
また、同時にサイトを提供している企業や団体においては、顧客満足は勿論のこと、知名度や売上げ向上などのビジネス拡大のポテンシャルを上げることも可能である。従って、本発明は、一般ユーザ以外にも、コンテンツを提供する企業や団体にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る情報提供システムの概略を示すブロック図
【図2】本発明に係る情報提供システムの全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0024】
101…背面投射型映像表示機、102…ユーザ、103…コンテンツ供給元、201…
赤外線送受光器、202…背面投射型映像表示機、203…携帯電話、204…BSチューナー、205…DVDプレーヤー、206…PC、207…サーバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンの背面から映像を投射してスクリーン面上に映像を表示するように構成された背面投射型の映像表示装置を用いた映像情報提供システムにおいて、
前記映像表示装置の前記スクリーン前方に位置される通信端末と情報の通信を行うための通信手段を設けたことを特徴とする映像情報提供システム。
【請求項2】
前記通信手段がスクリーンの後方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の映像情報提供システム。
【請求項3】
前記通信手段が光データの通信を行う光データ通信手段であることを特徴とする請求項1に記載の映像情報提供システム。
【請求項4】
前記光データ通信手段は、赤外線を用いて前記通信端末と通信することを特徴とする請求項2に記載映像情報提供システム。
【請求項5】
前記映像表示装置が電気回線網を通じてコンテンツを取得可能であり、前記映像表示装置がコンテンツを取得したときに、該映像表示装置は、該取得コンテンツのデータを同報通信により前記通信端末へ送信することを特徴とする請求項1に記載の映像情報提供システム。
【請求項6】
前記映像表示装置は、前記取得コンテンツのデータとして、該取得コンテンツを含むサイトのアドレス情報を前記通信端末へ送信することを特徴とする請求項5に記載の映像情報提供システム。
【請求項7】
前記通信端末が携帯電話であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の映像情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−211290(P2006−211290A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20544(P2005−20544)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】