説明

映像情報暗号化装置、復号鍵情報作成装置、映像情報復号装置、映像再生装置およびネットワークシステム

【課題】復号できる映像情報の時間部分を、配信する鍵情報の種類に応じて低コストで自由に制御できるようにすること。
【解決手段】順方向全鍵情報連鎖作成手段15及び順方向全鍵情報連鎖作成手段16は、順方向オリジナル鍵情報及び逆方向オリジナル鍵情報にそれぞれハッシュ関数を繰り返し適用し、映像情報のフレームに対する順方向鍵情報連鎖及び逆方向鍵情報連鎖を作成する。フレーム鍵情報選択手段19,20は、順方向鍵情報連鎖及び逆方向鍵情報連鎖から、暗号化する映像情報のフレームに対する順方向鍵情報及び逆方向鍵情報を選択する。暗号化手段13は、選択された順方向鍵情報及び逆方向鍵情報を用いて、対応するフレームを暗号化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像情報暗号化装置、復号鍵情報作成装置、映像情報復号装置、映像再生装置およびネットワークシステムに関し、特に、利用者に配信する鍵情報の種類に応じて復号できる映像情報の時間部分を制御できる映像情報暗号化装置、復号鍵情報作成装置、映像情報復号装置、映像再生装置およびネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロードバンドネットワークの整備により、コンテンツビジネスが発展している。価値の高いコンテンツ情報を暗号化したデータを配信し、正規に鍵情報を入手した利用者のみがコンテンツを復号して利用できる仕組みが数多く検討されている。暗号化の手法としては、RAS(Rivest-Shamir-Adleman Scheme)、DES(Data Encryption Standard)などが用いられる。
【0003】
映像情報を考えた場合、利用者に配信する鍵情報の種類に応じて復号できる映像情報の大きさ、品質、色を自由に制御できる方式が望ましい。JPEG 2000 Part8では、画像の暗号化に対する検討が行われており、上記方式を実現するフレームワークが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者に配信する鍵情報の種類に応じて復号できる映像情報の大きさ、品質、色を自由に制御できる方式がJPEG 2000 Part8で提案されているものの、映像情報の復号できる時間部分を鍵情報の種類によって制御することは考えられていない。映像情報を考えた場合、利用者に配信する鍵情報の種類に応じて該利用者が復号できる映像情報の時間部分を自由に制御できることも望ましい。
【0005】
利用者が復号できる映像情報の時間部分の制御は、映像情報の特定時間部分を他とは異なる鍵情報で暗号化しておき、その鍵情報を利用者に配信することで実現できる。これを実現するために、映像情報を比較的大きな時間単位に分け、それぞれを異なる鍵情報で暗号化した場合には、復号できる映像情報の時間部分を柔軟に設定することが困難である。これに対して、映像情報をフレームやGOP(group of picture)などといった細かい時間単位に分け、それぞれを異なる鍵情報で暗号化した場合には、特定時間部分に含まれるフレームやGOPを復号するために必要な鍵情報を全て配信することで、復号できる映像情報の時間部分を柔軟に設定することが可能となる。しかし、この場合には、鍵情報の数が多くなるので、鍵情報の管理や配信にコストがかかるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、復号できる映像情報の時間部分を、配信する鍵情報の種類に応じて低コストで自由に制御できる映像情報暗号化装置、復号鍵情報作成装置、映像情報復号装置、映像再生装置およびネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の映像情報暗号化装置は、順方向オリジナル鍵情報を元に、暗号化する映像情報のフレームの順方向に従って各々のフレームに対する順方向鍵情報を順次作成し、それらの連鎖を作成する順方向全鍵情報連鎖作成手段と、逆方向オリジナル鍵情報を元に、暗号化する映像情報のフレームの逆方向に従って各々のフレームに対する逆方向鍵情報を順次作成し、それらの連鎖を作成する逆方向全鍵情報連鎖作成手段と、前記順方向全鍵情報連鎖作成手段および前記逆方向全鍵情報連鎖作成手段で作成された順方向鍵情報連鎖および逆方向鍵情報連鎖から、暗号化する映像情報のフレームに対する順方向鍵情報および順方向鍵情報を選択するフレーム鍵情報選択手段と、前記フレーム鍵情報選択手段で選択された順方向鍵情報および逆方向鍵情報の2つの鍵情報を用いて、対応するフレームを暗号化する暗号化手段を具備した点に特徴がある。
【0008】
ここで、1枚のフレームの映像情報が圧縮符号化されて生成された符号ビット列を1つのフレームとして暗号化することができ、複数枚のフレーム群の映像情報が圧縮符号化されて生成された符号ビット列を1つのフレームとして暗号化することもできる。
【0009】
順方向全鍵情報連鎖作成手段および逆方向全鍵情報連鎖作成手段では、ハッシュ関数を繰り返し適用して順方向鍵情報連鎖および逆方向鍵情報連鎖を作成することができる。
【0010】
また、本発明は、上記映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報の特定時間部分のフレームを復号器側で復号可能とする復号鍵情報を作成する復号鍵情報作成装置、上記映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報の特定時間部分のフレームを、上記復号鍵情報作成装置で作成された復号鍵情報を用いて復号する映像情報復号装置、上記映像情報復号装置と表示装置を具備した映像再生装置、上記映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報を蓄積する蓄積媒体と送信手段を備えた暗号化映像情報送信装置と上記復号鍵情報作成装置で作成された復号鍵情報を送信する送信手段を備えた復号鍵情報送信装置と上記映像再生装置をネットワークで接続したネットワークも包含する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ある暗号化映像情報に対して、利用者に復号開始フレームと復号終了フレームに対する鍵情報を配信し、配信する鍵情報を変えるだけで利用者に開示する映像情報の時間部分を柔軟に制御できる。利用者は、入手した鍵情報に応じて様々な時間部分の映像情報を復号・再生して閲覧することができる。利用者は、すべての時間部分の映像情報を復号できる鍵情報を入手すれば、すべての映像情報を閲覧することもできる。
【0012】
また、暗号化映像情報は1つ作成しておくだけでよく、それぞれの利用者に応じた閲覧用の暗号化映像情報を作成する必要がないので、暗号化映像情報の作成コストや蓄積コストが削減できる。
【0013】
さらに、利用者には暗号化映像情報を一度伝送するだけでよく、正規の映像情報とは別に閲覧用の映像情報を伝送する必要がないので、伝送情報量を削減できる。さらに、映像情報のフレームやGOPごとに鍵情報を送る必要もないので、鍵情報の伝送量も少なく、鍵情報の管理も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明に係る映像情報暗号化装置の実施形態を示すブロック図である。暗号化対象の映像情報は、フレームと呼ばれる静止画像の集合であり、全フレームがフレームバッファと呼ばれる蓄積媒体11に蓄積される。
【0015】
蓄積媒体11に蓄積されたフレームは、フレーム選択部12により一枚ずつ読み出され、暗号化部13に入力されて暗号化される。暗号化部13は、後述する順方向鍵情報と逆方向鍵情報の2つの鍵情報を用いて各フレームを暗号化する。暗号化されたフレームは、暗号化映像情報としてバッファ14に蓄積され、そこから適宜送出される。
【0016】
2つの鍵情報を用いた暗号化には、例えば、2つの鍵情報を1つに連結した鍵情報で暗号化したり、2つの鍵情報を順次用いて暗号化したり、一方の鍵情報を他方の鍵情報で暗号化した鍵情報で暗号化したりするなどといった手法を採用し得る。暗号化されたフレームの復号には、暗号化の際に用いた2つの鍵情報を用いて逆の処理を行う。
【0017】
次に、順方向鍵情報および逆方向鍵情報の作成について説明する。順方向全鍵情報連鎖作成部15は、順方向オリジナル鍵情報KFを元にハッシュ関数を繰り返し適用することにより順方向全鍵情報連鎖を作成する。
【0018】
ここで、映像情報がNall枚のフレームからなるとすると、順方向先頭フレームに対する鍵情報は、順方向オリジナル鍵情報KFそのものであり、i番目(i=1,2,3,・・・,Nall-1)のフレームに対する鍵情報は、ハッシュ関数hを用いて式(1)で表されるKFとなる。順方向全鍵情報連鎖は、これらの鍵情報KF,KF,KF,・・・,KFNall−1の連鎖である。

KF=h(KFi−1) i=1,2,3,・・・,Nall-1 (1)
【0019】
逆方向全鍵情報連鎖作成部16は、逆方向オリジナル鍵情報KBNall−1を元にハッシュ関数を繰り返し適用することにより逆方向全鍵情報連鎖を作成する。
【0020】
逆方向先頭フレームに対する鍵情報は、逆方向オリジナル鍵情報KBNall−1そのものであり、(Nall-i-1)番目のフレームに対する鍵情報は、ハッシュ関数hを用いて式(2)で表されるKBNall−i−1となる。逆方向全鍵情報連鎖は、これらの鍵情報KB,KB,KB,・・・,KBNall−1の連鎖である。

KBNall−i−1=h(KBNall−i) i=1,2,3,・・・,Nall-1 (2)
【0021】
図2は、順方向全鍵情報連鎖KF,KF,KF,・・・,KFNall−1と逆方向全鍵情報連鎖KBNall−1,・・・,KB,KB,KBの概念を示す。全鍵情報連鎖バッファ17は、順方向全鍵情報連鎖作成部15で作成された順方向全鍵情報連鎖を蓄積し、全鍵情報連鎖バッファ18は、逆方向全鍵情報連鎖作成部16で作成された逆方向全鍵情報連鎖を蓄積する。
【0022】
フレーム鍵情報選択部19は、全鍵情報連鎖バッファ17に蓄積された順方向全鍵情報連鎖のうちから、暗号化しようとするフレームに対する順方向鍵情報を選択して暗号化部13に送出し、フレーム鍵情報選択部20は、全鍵情報連鎖バッファ18に蓄積された逆方向全鍵情報連鎖のうちから、暗号化しようとするフレームに対する逆方向鍵情報を選択して暗号化部13に送出する。つまり、フレーム鍵情報選択部19,20は、フレームjを暗号化する際に、全鍵情報連鎖バッファ17,18より該フレームjに対する順方向鍵情報KFおよび逆方向鍵情報KBをそれぞれ選択して暗号化部13に送出する。
【0023】
図3は、図1の映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報を復号するための鍵情報を作成して利用者(復号器側)に送るための復号鍵情報作成装置の実施形態を示すブロック図である。
【0024】
復号鍵情報作成装置は、順方向復号鍵情報作成部31と逆方向復号鍵情報作成部32からなる。順方向復号鍵情報作成部31では、まず、順方向全鍵情報連鎖作成部33で順方向オリジナル鍵情報KFを元にハッシュ関数を繰り返し適用することにより順方向全鍵情報連鎖を作成する。次に、順方向復号鍵情報選択部34で、作成された順方向全鍵情報連鎖から復号開始フレームに対応する鍵情報を順方向復号鍵情報として選択する。
【0025】
逆方向復号鍵情報作成部32では、まず、逆方向全鍵情報連鎖作成部35で逆方向オリジナル鍵情報KBNall−1を元にハッシュ関数を繰り返し適用することにより逆方向全鍵情報連鎖を作成する。次に、逆方向復号鍵情報選択部36で、作成された逆方向全鍵情報連鎖から復号終了フレームに対応する鍵情報を逆方向復号鍵情報として選択する。
【0026】
順方向復号鍵情報作成部31の順方向復号鍵情報選択部34で選択した順方向復号鍵情報および逆方向復号鍵作成部32の逆方向復号鍵選択部36で選択した逆方向復号鍵情報に、復号開始フレーム番号および復号終了フレーム番号を含ませて利用者に送る。
【0027】
例えば、図2に示すように、暗号化されたk〜(k+n-1)のnフレームを利用者が復号できるようにする場合、順方向復号鍵情報作成部31の順方向復号鍵情報選択部34で鍵情報KFを選択して順方向復号鍵情報とし、逆方向復号鍵情報作成部32の逆方向復号鍵選択部36で鍵情報KBk+n−1を選択して逆方向復号鍵情報とする。さらに、順方向復号鍵情報KFと逆方向復号鍵情報KBk+n−1に、復号開始フレーム番号kおよび復号終了フレーk+n-1を含ませて利用者に送る。
【0028】
なお、順方向復号鍵情報作成部31の順方向全鍵情報連鎖作成部33や逆方向復号鍵情報作成部32の逆方向全鍵情報連鎖作成部35は、映像情報暗号化装置(図1)の順方向全鍵情報連鎖作成部15や逆方向全鍵情報連鎖作成部18と兼用することができる。
【0029】
次に、上記暗号化映像情報の復号について説明する。図4は、映像情報復号装置の実施形態を示すブロック図である。映像情報暗号化装置から送出された暗号化映像情報をバッファなどの蓄積媒体41に蓄積する。
【0030】
フレーム選択部42により、復号しようとするフレームの暗号化映像情報を選択して読み出し、復号部43に入力する。復号部43では、当該フレームに対する順方向鍵情報と逆方向鍵情報の両者が得られていれば、当該フレームの暗号化映像情報を復号できる。
【0031】
復号のための順方向鍵情報は、部分鍵情報連鎖作成部45、部分鍵情報連鎖バッファ47およびフレーム鍵情報選択部49により得られ、逆方向鍵情報は、部分鍵情報連鎖作成部46、部分鍵情報連鎖バッファ48およびフレーム鍵情報選択部50により得られる。
【0032】
復号のための順方向鍵情報を得るために、まず、部分鍵情報連鎖作成部45で、復号鍵情報作成装置から送られてきた、復号開始フレームに対する順方向復号鍵情報を元に、ハッシュ関数を繰り返し適用することにより部分鍵情報連鎖を作成する。また、復号のための逆方向鍵情報を得るために、まず、部分鍵情報連鎖作成部46で、復号鍵情報作成装置から送られてきた、復号終了フレームに対する逆方向復号鍵情報を元に、ハッシュ関数を繰り返し適用することにより部分鍵情報連鎖を作成する。ここで作成する鍵情報の数は、復号開始フレームから復号終了フレームまでのフレームの数、つまり復号が許されたフレームの数に等しい。なお、ここで用いるハッシュ関数は、暗号化時に用いたものと同一とする。
【0033】
図5は、部分鍵情報連鎖作成部45で作成される順方向部分鍵情報連鎖KF,KFk+1,・・・,KFk+n−2,KFk+n−1、部分鍵情報連鎖作成部46で作成される逆方向部分鍵情報連鎖KB,KBk+1,・・・,KBk+n−2,KBk+n−1の概念を示す。これは、復号鍵情報作成装置(図3)から、復号開始フレームに対する順方向復号鍵情報KFと、復号終了フレームに対する逆方向復号鍵情報KBk+n−1が送られてきた場合の例である。
部分鍵情報連鎖作成部45,46で作成される部分鍵情報連鎖は、復号が許された復号開始フレームから復号終了フレームまでのフレームの数に等しいn個の鍵情報からなる。なお、順方向鍵情報KFk+n,KFk+n+1,・・・や逆方向鍵情報・・・,KBkー2,KBk−1も作成可能であるが、それらと対をなす逆方向鍵情報KBk+n,KBk+n+1−1,・・・や順方向鍵情報・・・,KFkー2,KFk−1は作成できないので、そのような鍵情報まで作成することは意味を持たない。
【0034】
部分鍵情報連鎖バッファ47は、部分鍵情報連鎖作成部45作成された順方向部分鍵情報連鎖を蓄積し、部分鍵情報連鎖バッファ48は、部分鍵情報連鎖作成部46で作成された逆方向部分鍵情報連鎖を蓄積する。
【0035】
フレーム鍵情報選択部49は、部分鍵情報連鎖バッファ47に蓄積された部分鍵情報連鎖のうちから、復号するフレームに対する順方向鍵情報を復号フレーム番号に基づき選択して復号部43に送出する。フレーム鍵情報選択部50は、部分鍵情報連鎖バッファ48に蓄積された部分鍵情報連鎖のうちから、復号するフレームに対する逆方向鍵情報を復号フレーム番号に基づき選択して復号部43に送出する。つまり、フレーム鍵情報選択部49,50は、フレームjを復号する際に、部分鍵情報連鎖バッファ47,48より該フレームjに対する順方向鍵情報KFおよび逆方向鍵情報KBをそれぞれ選択して復号部43に送出する。
【0036】
復号部43は、暗号化映像情報を、各フレームに対応する順方向鍵情報および逆方向鍵情報を用いて復号する。フレームバッファ44は、復号された映像情報を蓄積する。
【0037】
図6は、本発明に係る部分映像情報再生装置に実施形態を示すブロック図である。この部分映像情報再生装置は、復号装置61と表示装置62を具備する。復号装置61は、図4の構成を有し、暗号化映像情報および復号鍵情報(復号開始フレームに対する順方向復号鍵情報,復号終了フレームに対する逆方向復号鍵情報,復号開始フレーム番号,復号終了フレーム番号)を受信する。また、復号鍵情報を用いて復号開始フレームから復号終了フレームまでのフレームに対する部分鍵情報連鎖を作成し、この部分鍵情報連鎖から、復号しようとするフレームに対する順方向復号鍵情報および逆方向復号鍵情報を選択して、当該フレームの暗号化映像情報を復号する。
【0038】
復号装置61で復号された映像情報は、表示装置62に送出されて表示される。これにより、暗号化映像情報の中から復号鍵情報に応じた映像情報(時間的な部分映像情報)が再生・表示される。
【0039】
図7は、本発明に係るネットワークシステムの実施形態を示すブロック図である。暗号化映像情報送信装置72、復号鍵情報送信装置73および映像情報受信・部分再生装置74をネットワーク71を介して接続する。
【0040】
暗号化映像情報送信装置72は、映像情報暗号化装置(図1)により作成された暗号化映像情報を蓄積する蓄積媒体721と送信部722を備え、復号鍵情報送信装置73は、復号鍵情報作成装置(図3)731と送信部732を備え、映像情報受信・部分再生装置74は、受信部741と部分映像情報再生装置(図6)742を備える。
【0041】
映像情報受信・部分再生装置74の受信部741と暗号化映像情報送信装置72の送信部722との間で通信を行い、映像情報受信・部分再生装置74において、蓄積媒体721に存在する暗号化映像情報の検索・取得を行う。
【0042】
復号鍵情報送信装置73は、映像情報受信・部分再生装置74からの要求に応じて、あるいは予め契約された内容に応じて、映像情報受信・部分再生装置74で復号できる映像情報の区間(復号開始フレーム番号および復号終了フレーム番号)を決定し、それにより作成された復号鍵情報(復号開始フレームに対する順方向復号鍵情報,復号終了フレームに対する逆方向復号鍵情報,復号開始フレーム番号,復号終了フレーム番号)を送信部732より送信する。
【0043】
映像情報受信・部分再生装置74は、復号鍵情報送信装置73から送信されてきた復号鍵情報を受信部741で受信し、部分映像情報再生装置742に送る。部分映像情報再生装置742は、復号鍵情報を用いて復号開始フレームから復号終了フレームまでのフレームに対する部分鍵情報連鎖を作成し、この部分鍵情報連鎖を用いて、蓄積媒体721から取得した暗号化映像情報を復号し、部分映像情報を再生する。
【0044】
図8は、以上説明した暗号化および復号の簡略な概念図である。N枚のフレーム0,1,2,3,・・・,Nall-1を、図1の映像情報暗号化装置で暗号化する。利用者(復号器側)に、図3に示す復号鍵情報作成装置で作成した復号鍵情報(復号開始フレームに対する順方向復号鍵情報,復号終了フレームに対する逆方向復号鍵情報,復号開始フレーム番号,復号終了フレーム番号)を送る。
【0045】
利用者は、復号鍵情報作成装置から入手した復号鍵情報に応じて様々な時間部分の映像情報を再生できる。例えば、復号鍵情報1を入手した利用者は、フレーム0,1,2のみの映像情報を再生でき、復号鍵情報2を入手した利用者は、フレーム2,3のみの映像情報を再生できる。順方向復号鍵情報としてフレーム0に対する鍵情報を入手し、逆方向復号鍵情報としてフレームNall-1に対する鍵情報を入手すれば、全フレームの映像情報を再生できる。
【0046】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々に変形可能である。例えば、上記実施形態では、鍵情報連鎖を作成するのにハッシュ関数を用いたが、これに代えて種の連鎖で乱数を発生する乱数発生器(生成した乱数を新たに乱数発生の種とするもの)などを用いることもできる。
【0047】
また、本発明は、映像信号が圧縮符号化されている場合にも適用できる。例えば、1枚のフレームの映像情報の符号ビット列を単位として暗号化することができ、GOPのように複数枚のフレーム群の映像情報の符号ビット列を単位として暗号化することもできる。この場合には1単位の符号ビット列に対して1組の順方向鍵情報および逆方向鍵情報を対応させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る映像情報暗号化装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】順方向全鍵情報連鎖と逆方向全鍵情報連鎖を示す概念図である。
【図3】復号鍵情報作成装置の実施形態を示すブロック図である。
【図4】映像情報復号装置の実施形態を示すブロック図である。
【図5】順方向部分鍵情報連鎖と逆方向部分鍵情報連鎖を示す概念図である。
【図6】本発明に係る部分映像情報再生装置の実施形態を示すブロック図である。
【図7】本発明に係るネットワークシステムの実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明における暗号化および復号の簡略な概念図である
【符号の説明】
【0049】
11,14,41,44・・・バッファ(蓄積媒体)、12,42・・・フレーム選択部、13・・・暗号化部、15,33・・・順方向全鍵情報連鎖作成部、16,35・・・逆方向全鍵情報連鎖作成部、17,18・・・全鍵情報連鎖バッファ、19,20,49,50・・・フレーム鍵情報選択部、31・・・順方向復号鍵情報作成部、32・・・逆方向復号鍵情報作成部、34・・・順方向復号鍵情報選択部、36・・・逆方向復号鍵情報選択部、43・・・復号部、45,46・・・部分鍵情報連鎖作成部、47,48・・・部分鍵情報連鎖バッファ、61・・・復号装置、62・・・表示装置、71・・・ネットワーク、72・・・暗号化映像情報送信装置、73・・・復号鍵情報送信装置、74・・・映像情報受信・部分再生装置74、721・・・蓄積媒体、722,732・・・送信部、731・・・復号鍵情報作成装置、741・・・受信部、742・・・部分映像情報再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順方向オリジナル鍵情報を元に、暗号化する映像情報のフレームの順方向に従って各々のフレームに対する順方向鍵情報を順次作成し、それらの連鎖を作成する順方向全鍵情報連鎖作成手段と、
逆方向オリジナル鍵情報を元に、暗号化する映像情報のフレームの逆方向に従って各々のフレームに対する逆方向鍵情報を順次作成し、それらの連鎖を作成する逆方向全鍵情報連鎖作成手段と、
前記順方向全鍵情報連鎖作成手段および前記逆方向全鍵情報連鎖作成手段で作成された順方向鍵情報連鎖および逆方向鍵情報連鎖から、暗号化する映像情報のフレームに対する順方向鍵情報および順方向鍵情報を選択するフレーム鍵情報選択手段と、
前記フレーム鍵情報選択手段で選択された順方向鍵情報および逆方向鍵情報の2つの鍵情報を用いて、対応するフレームを暗号化する暗号化手段を具備したことを特徴とする映像情報暗号化装置。
【請求項2】
1枚のフレームの映像情報が圧縮符号化されて生成された符号ビット列を1つのフレームとして暗号化することを特徴とする請求項1に記載の映像情報暗号化装置。
【請求項3】
複数枚のフレーム群の映像情報が圧縮符号化されて生成された符号ビット列を1つのフレームとして暗号化することを特徴とする請求項1に記載の映像情報暗号化装置。
【請求項4】
前記順方向全鍵情報連鎖作成手段および前記逆方向全鍵情報連鎖作成手段は、ハッシュ関数を繰り返し適用して順方向鍵情報連鎖および逆方向鍵情報連鎖を作成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の映像情報暗号化装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報の特定時間部分のフレームを復号器側で復号可能とする復号鍵情報を作成する復号鍵情報作成装置であって、
暗号化の際に用いた順方向オリジナル鍵情報を元に、映像情報のフレームの順方向に従って各々のフレームに対する順方向鍵情報を順次作成し、それらの連鎖を作成する順方向全鍵情報連鎖作成手段と、
暗号化の際に用いた逆方向オリジナル鍵情報を元に、映像情報のフレームの逆方向に従って各々のフレームに対する逆方向鍵情報を順次作成し、それらの連鎖を作成する逆方向全鍵情報連鎖作成手段と、
前記順方向全鍵情報連鎖作成手段で作成された順方向鍵情報連鎖から、前記特定時間部分の開始フレームに対する順方向鍵情報を選択する順方向復号鍵情報選択手段と、
前記逆方向全鍵情報連鎖作成手段で作成された逆方向鍵情報連鎖から、前記特定時間部分の終了フレームに対する逆方向鍵情報を選択する逆方向復号鍵情報選択手段と、
前記順方向復号鍵情報選択手段および逆方向復号鍵情報選択手段で選択された順方向鍵情報および逆方向鍵情報に前記開始フレームおよび終了フレームの識別情報を含ませて復号鍵情報を作成する復号鍵情報作成手段を具備したことを特徴とする復号鍵情報作成装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報の特定時間部分のフレームを、請求項5に記載の復号鍵情報作成装置で作成された復号鍵情報を用いて復号する映像情報復号装置であって、
前記復号鍵情報に含まれる順方向鍵情報および逆方向鍵情報から、復号に必要な順方向部分鍵情報連鎖と逆方向部分鍵情報連鎖を作成する部分鍵情報連鎖作成手段と、
前記部分鍵情報連鎖作成手段で作成された順方向部分鍵情報連鎖および逆方向部分鍵情報連鎖から、復号する映像情報のフレームに対する順方向鍵情報および順方向鍵情報を選択するフレーム鍵情報選択手段と、
前記フレーム鍵情報選択手段で選択された順方向鍵情報および順方向鍵情報の2つの鍵情報を用いて、対応するフレームを復号する復号手段を具備したことを特徴とする映像情報復号装置。
【請求項7】
請求項6に記載の映像情報復号装置と、該映像情報復号装置で復号されたフレームの映像情報を表示する表示装置を具備したことを特徴とする映像再生装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかに記載の映像情報暗号化装置で暗号化された映像情報を蓄積する蓄積媒体と送信手段を備えた暗号化映像情報送信装置と、請求項5に記載の復号鍵情報作成装置で作成された復号鍵情報を送信する送信手段を備えた復号鍵情報送信装置と、請求項7に記載の映像再生装置をネットワークで接続したことを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−174491(P2007−174491A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372033(P2005−372033)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】