説明

映像等の出力装置

【課題】既設のテレビジョン受像機の構成に変更を加えることなく、テレビジョン受像機の外部入力に接続されたときに電源の消し忘れを招かない映像等の出力装置を提供する。
【解決手段】 浴室テレビシステム2のアナログチューナユニット3に映像および音声信号を供給する機能を備えたデジタルチューナユニット1において、上記アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号をデジタルチューナユニット1に取り込んで、デジタルチューナユニット1が、アナログチューナユニット3の電源がオン/オフいずれの状態にあるかを判断し、アナログチューナユニット3が電源オフの状態にあるときにはデジタルチューナユニット1の電源を自動的にオフにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は映像等の出力装置に関し、より詳細には、テレビジョン受像機の外部入力端子に対して映像信号および/または音声信号を供給する機能を備えた映像等の出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、入浴中に浴室でもテレビジョン放送の視聴ができるようにした浴室テレビシステムが提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
この種の浴室テレビシステムでは、テレビジョン受像機は、テレビジョン放送を受信するチューナ部aと、当該チューナ部aで受信したテレビジョン放送を視聴可能に表示等するモニタ部bとが別体に構成されており、図5に示すように、チューナ部aが浴室の天井裏など浴室の外部に配置されるとともに、モニタ部bが浴室の壁面などに配置され、ユーザは浴槽cにつかりながらテレビジョン放送の視聴ができるようにされている。図5の符号dは、チューナ部aとモニタ部bとを接続する多芯のケーブルを示しており、モニタ部bに表示させる映像やモニタ部bから出力される音声は、このケーブルdを介してチューナ部aから電気信号としてモニタ部bに与えられている。
【0004】
ところで、このような浴室テレビシステムは、テレビジョン放送がアナログ方式で放送されていた頃に普及し始めたことから、既設の浴室テレビシステムの多くは、そのチューナ部aがアナログ方式のテレビジョン放送にしか対応しておらず、デジタル方式のテレビジョン放送を受信することができない。
【0005】
そのため、このような既設の浴室テレビシステムにおいて、デジタル方式のテレビジョン放送を視聴できるようにするために、テレビジョン受像機(チューナ部a)に備えられた外部入力機能を利用する方法が提案されている。この方法は、上記チューナ部aとは別にデジタル方式のテレビジョン放送に対応したチューナeを用意し、このチューナeで受信したデジタル方式のテレビジョン放送を上記チューナ部aの外部入力端子(外部映像入力端子と外部音声入力端子)に供給するものであり、これによりデジタル方式のテレビジョン放送をモニタ部bで視聴できるようにしている。
【0006】
この場合、上記チューナeにはリモコンfからの遠隔操作信号(たとえば、赤外線信号)を受信する受信ユニット(図示せず)が備えられ、チューナeの電源のオン/オフや受信するテレビ局の選局などはこのリモコンfから行えるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−10801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来のやり方には以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0009】
すなわち、このようにテレビジョン受像機の外部入力機能を用いてデジタル方式のテレビジョン放送を視聴する方法では、チューナeの電源オフ操作を行う前にチューナ部aに対する電源オフ操作が行われると、それに伴ってモニタ部bの画面表示が消えてしまうため、ユーザがチューナeの電源オフ操作を失念するおそれがあった。
【0010】
このような電源の切り忘れの対策として、たとえば、チューナeの電源オン/オフの状態をユーザに見えるように表示すること、つまり、当該表示によってユーザの注意を喚起して電源の切り忘れを防止することも考えられるが、この場合でもチューナeに対する電源オン/オフの操作はユーザによる操作に委ねられるので、チューナeの電源の切り忘れを完全に防止することはできなかった。
【0011】
なお、このような電源の切り忘れ(モニタ部bの表示が消えることによる電源の切り忘れ)は、外部入力に接続される機器がチューナeである場合に限られるものではなく、たとえば、DVDプレーヤやハードディスク、ラジオ受信機などのように、テレビジョン受像機の外部入力に映像や音声を供給する装置(以下、これらを「映像等の出力装置」と総称する)が接続されている場合にも同様に起こり得る問題であり、その解決策が望まれていた。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、既設のテレビジョン受像機の構成に変更を加えることなく、テレビジョン受像機の外部入力に接続されたときに電源の消し忘れを招かない映像等の出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の映像等の出力装置は、テレビジョン受像機の外部入力端子に映像信号および/または音声信号を供給する機能を備えた映像等の出力装置において、上記テレビジョン受像機の外部音声出力端子から出力される信号を入力するための入力手段と、上記入力手段に入力される信号に基づいて、当該映像等の出力装置の通電を制御する通電制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
この請求項1に係る発明は、テレビジョン受像機に備えられる外部音声出力端子は、テレビジョン受像機の電源がオンの状態にあるときには音声なり雑音なりの信号を出力するのに対し、テレビジョン受像機の電源がオフの状態にあるときには信号を出力しないことを利用して、テレビジョン受像機の外部音声出力からテレビジョン受像機の電源の状態を判断し、その判断結果(テレビジョン受像機の電源の状態)に応じて映像等の出力装置の通電を制御するようにしている。
【0015】
具体的には、請求項1に係る映像等の出力装置では、テレビジョン受像機の外部音声出力端子から出力される信号を取り込む入力手段が備えられ、この入力手段がテレビジョン受像機の外部音声出力端子と接続される。そして、通電制御手段は、この入力手段に入力される信号(テレビジョン受像機の外部音声出力から出力される信号)を監視することによってテレビジョン受像機の電源がオン/オフいずれの状態にあるかを判断するとともに、テレビジョン受像機の電源の状態に応じて当該映像等の出力装置の通電を制御する。したがって、たとえば、テレビジョン受像機の電源がオフされた場合には、当該電源オフに伴って映像等の出力装置で消費される電力が少なくなるように通電を制御すること(たとえば、映像等の出力装置の電源オフ操作に対応する通電の制御を行うこと)ができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載の映像等の出力装置は、請求項1に記載の映像等の出力装置において、上記通電制御手段による通電の制御は、上記映像等の出力装置における所定の電源線に設けられた開閉器の開閉により行われることを特徴とする。
【0017】
すなわち、この請求項2に係る発明では、映像等の出力装置における通電の制御が所定の電源線に設けられた開閉器の開閉により行われるので、テレビジョン受像機の電源がオフされたときには通電を遮断してもよい回路の電源線にこの開閉器を設けることで、テレビジョン受像機の電源オフに伴って当該回路への電力供給を遮断して、映像等の出力装置における電力消費を抑制することができる。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載の映像等の出力装置は、請求項2に記載の映像等の出力装置において、上記通電制御手段は、上記入力手段に入力される信号が無音状態を示すことを条件に上記開閉器を開成させるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
すなわち、この請求項3に係る発明では、上記通電制御手段は、入力手段に入力される信号が無音状態を示す場合に開閉器を開成させるように構成されるので、テレビジョン受像機の電源がオフである場合には、当該開閉器が配設された回路への電力供給が遮断され、電力の消費が抑制される。
【0020】
また、本発明の請求項4に記載の映像等の出力装置は、請求項1から3のいずれかに記載の映像等の出力装置において、上記入力手段は、所定の入力端子と、該入力端子に入力される信号から音声信号以外の雑音を除去するフィルタ回路と、該フィルタ回路で雑音が除去された信号を増幅する増幅回路と、該増幅回路で増幅された信号の振幅が所定の電圧範囲を超えないように制限する振幅制限回路とで構成されていることを特徴とする。
【0021】
すなわち、この請求項4に係る発明では、入力端子に入力される信号は、フィルタ回路で音声信号以外の雑音を除去した状態で増幅され通電制御手段に入力されるので、テレビジョン受像機の外部音声出力端子から出力される信号が小さい場合であっても、当該信号を確実に捉えることができ、テレビジョン受像機の外部音声出力端子から出力される信号が小さい場合に誤って通電制御が実行されることが防止される。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の映像等の出力装置は、請求項2から4のいずれかに記載の映像等の出力装置において、上記開閉器が設けられる電源線は、当該映像等の出力装置において、少なくとも上記入力手段および上記通電制御手段以外の回路に電力を供給する電源線に設けられていることを特徴とする。
【0023】
すなわち、この請求項5に係る発明では、開閉器は通電制御手段以外の回路に電力を供給する電源線に設けられるので、通電制御手段には常に電力が供給される。したがって、通電制御手段は、いつでも開閉器を閉成させて通電を回復する制御を行うことができる状態とされる。
【0024】
また、本発明の請求項6に記載の映像等の出力装置は、請求項1から5のいずれかに記載の映像等の出力装置において、上記テレビジョン受像機は、テレビジョン放送を受信するチューナ部と、該チューナ部で受信したテレビジョン放送を視聴させるモニタ部とが別体に構成されており、上記モニタ部が浴室内に配置されるとともに、上記チューナ部が浴室の外部に配置される構成とされていることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の請求項7に記載の映像等の出力装置は、請求項1から6のいずれかに記載の映像等の出力装置において、上記映像等の出力装置は、デジタル方式のテレビジョン放送を受信するためのチューナであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、テレビジョン受像機の外部入力端子に映像信号および/または音声信号を供給する機能を備えた映像等の出力装置が、上記テレビジョン受像機の外部音声出力端子から出力される信号を入力するための入力手段と、上記入力手段に入力される信号に基づいて、当該映像等の出力装置の通電を制御する通電制御手段とを備えていることから、テレビジョン受像機の電源がオフとなった場合には、映像等の出力装置において、当該映像等の出力装置に対して電源オフ操作がなされたときと同様の通電制御を行うことができ、映像等の出力装置の電源の切り忘れを防止することができる。
【0027】
しかも、この映像等の出力装置における通電制御は、テレビジョン受像機の外部音声出力を利用して行われるので、既設のテレビジョン受像機に変更を加えることなく、映像等の出力装置の入力手段とテレビジョン受像機の外部音声出力端子を接続するだけで実現されるので、テレビジョン受像機の交換等を行わずに低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る映像等の出力装置を浴室テレビシステムに適用した概略構成を示すブロック図である。
【図2】同映像等の出力装置における入力手段と通電制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【図3】同映像等の出力装置における電源消し忘れ防止制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】同映像等の出力装置における電源消し忘れ防止制御の手順の他の一例を示すフローチャートである。
【図5】従来の浴室テレビシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係る映像等の出力装置は、テレビジョン受像機の外部入力端子に映像信号および/または音声信号を供給する機能を備えた装置であって、本実施形態では、この映像等の出力装置として、デジタル方式のテレビジョン放送を受信するチューナ装置(デジタルチューナユニット)を用いた場合について説明する。
【0030】
図1は、このデジタルチューナユニット1を備えた浴室テレビシステム2の概略構成を示している。
【0031】
そこで、まず浴室テレビシステム2について説明する。浴室テレビシステム2は、浴室においてアナログ方式のテレビジョン放送を視聴できるようにするためのテレビジョン受像システム(テレビジョン受像機)であって、図1に示すように、アナログチューナユニット3と、モニタユニット4と、これらを接続する多芯のケーブル5とを主要部として構成されている。上記アナログチューナユニット3とモニタユニット4は、それぞれ異なる筐体に収容されて別体に構成されており、アナログチューナユニット3は浴室の外部(たとえば、浴室の天井裏など)に、また、モニタユニット4は浴室内(たとえば、浴室壁面など)にそれぞれ配置される。
【0032】
アナログチューナユニット3は、アナログ方式のテレビジョン放送を受信するためのチューナ部であって、このアナログチューナユニット3には、アナログ方式のテレビジョン放送を受信するために必要な電気回路(アナログ受信回路)と、図示しない商用電源から電力の供給を受けて浴室テレビシステムの各部に電力を供給する電源回路(いずれも図示せず)が備えられている。
【0033】
このアナログチューナユニット3には、外部から映像および音声信号を入力するための外部入力端子と、アナログ受信回路で受信したテレビジョン放送または上記外部入力端子から入力される映像および音声信号を切り替えて上記モニタユニット4に供給するためのモニタ接続用端子と、アナログ受信回路で受信したテレビジョン放送または上記外部入力端子から入力される音声信号を外部の機器(たとえば、オーディオ用のアンプなど)に供給するための外部音声出力端子(いずれも図示せず)とが備えられている。
【0034】
そして、このアナログチューナユニット3には、上記モニタ接続端子から出力する映像および音声信号として、上記アナログ受信回路から出力される映像および音声の信号と、上記外部入力端子から与えられる映像および音声の信号のいずれを出力するかを選択するスイッチ回路が備えられており、このスイッチ回路が、後述する入力切替信号に基づいて、モニタ接続用端子から出力する映像および音声信号を選択するようになっている。
【0035】
また、上記外部音声出力端子は、上記モニタ接続用端子から出力される音声信号と同じ音声信号(上記入力切替信号で設定されるソースの音声信号)を出力するように構成されており、上記モニタ接続用端子からアナログ受信回路で受信したテレビジョン放送の音声信号が出力されているときには当該テレビジョン放送の音声信号が、また、上記外部入力端子から入力される音声信号がモニタ接続用端子から出力されているときには当該外部入力端子から入力される音声信号が、それぞれ外部音声出力端子から出力されるように構成されている。
【0036】
また、この外部音声出力端子は、後述するモニタユニットの操作部における音量調節とは連動せずに音声信号を出力するようになっている。したがって、浴室テレビシステムの電源がオンの状態にあるとき(換言すれば、アナログチューナユニット3が電源オンの状態にあるとき)には、この外部音声出力端子からは、アナログ受信回路で受信されるテレビジョン放送の音声信号または外部入力端子から入力される音声信号のいずれかが出力されている。
【0037】
上記モニタユニット4は、アナログチューナユニット3から供給される映像信号の表示等を行うモニタ部であって、このモニタユニット4には、映像信号を画像として映し出す表示部と、音声信号を聴取可能な音声(音響)として出力する音声出力部と、上記音声出力部の音量調整やアナログチューナユニット3で受信する放送局の選局、さらには上記アナログチューナユニット3に与える入力切替信号の設定などの各種設定操作を行う操作部とが備えられている。
【0038】
上記ケーブル5は、上記アナログチューナユニット3のモニタ接続用端子から供給される映像および音声信号を上記モニタユニット4に供給するための映像および音声信号用のケーブルと、アナログチューナユニット3とモニタユニット4との間でやり取りする各種制御信号(上記入力切替信号を含む)を送受信するためのケーブルなどを含んで構成されている。なお、本実施形態では、モニタユニット4の電源は、制御信号をやり取りするケーブに重畳されてアナログチューナユニット3から供給されている。
【0039】
デジタルチューナユニット1は、アナログ方式のテレビジョン放送を受信するチューナを備えたテレビジョン受像機(本実施形態では上記浴室テレビシステム2)において、デジタル方式のテレビジョン放送を視聴可能にするために用いる装置であって、デジタル方式のテレビジョン放送を受信するために必要な電気回路(デジタル受信回路)と、上記デジタル受信回路で受信したテレビジョン放送(映像信号および音声信号)を上記アナログチューナユニット3の外部入力端子に供給するための外部出力端子(図示せず)とを備えており、この外部出力端子がケーブル6を介してアナログチューナユニット3の外部入力端子に接続されている。なお、このデジタルチューナユニット1は、図示しない商用電源から電力の供給を受ける内部電源16(図2参照)を備えており、デジタルチューナユニット1の各部はこの内部電源16から電力供給を受けるように構成されている。
【0040】
そして、上記モニタユニット4の操作部の設定により、上記アナログチューナユニット3のモニタ接続端子から出力する映像および音声信号として、外部入力端子から与えられる映像および音声の信号が選択される(入力切替信号で外部入力を選択する)ことにより、デジタルチューナユニット1で受信されたテレビジョン放送がアナログチューナユニット3を介してモニタユニット4で視聴できるようになっている。
【0041】
本実施形態に示すデジタルチューナユニット1には、これらの構成に加えて、アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号を入力するための入力手段と、この入力手段に入力される信号に基づいて、デジタルチューナユニット1の通電を制御する通電制御手段とが備えられている。
【0042】
図2は、これら入力手段および通電制御手段の概略構成を示している。図2に示すように、このデジタルチューナユニット1には、上記入力手段として、所定の入力端子10と、この入力端子10に入力される信号から音声信号以外の雑音を除去するフィルタ回路11と、フィルタ回路11で雑音が除去された信号を増幅する増幅回路12と、増幅回路12で増幅された信号の振幅が所定の電圧範囲を超えないように制限する振幅制限回路13とが備えられるとともに、上記通電制御手段としてマイコン14および開閉器15が備えられている。
【0043】
ここで、上記入力端子10は、上記アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号を入力するための端子であって、この入力端子10はケーブル7を介してアナログチューナユニット3の外部音声出力端子と接続される(図1参照)。そのため、上記アナログチューナユニット3が電源オンの状態にあるときには、この入力端子10には、アナログ受信回路で受信された音声信号または外部入力端子から入力される音声信号のいずれかが入力されることとなる。
【0044】
そして、この入力端子10に入力される信号は、上記フィルタ回路11で音声信号以外の信号が除去されるとともに、増幅回路12で小さな音声信号もマイコン14で検出可能なレベルに増幅され、さらに、増幅された信号によってマイコン14が破損しないように振幅制限回路13で振幅制限を行ったうえでマイコン14のA/D入力回路に入力される。このような構成により、アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号が音声信号でない場合には当該信号はフィルタ回路11で除去されるのでマイコン14が誤って音声信号として扱うことが防止される。また、外部音声出力端子から出力される信号がほとんど聞き取れない程度の小さい音声信号であっても増幅回路12で増幅されるため、当該音声信号をマイコン14は確実に検出することができる。
【0045】
マイコン14は、上記A/D入力回路を備えたマイクロコンピュータで構成されており、上述した入力手段を介して供給される音声信号の電圧(デジタル変換値)が、あらかじめ設定された所定のレベル(所定の電圧範囲)X以下であるか否かに基づいて、上記アナログチューナユニット3の電源がオフ状態であるか、それとも、オン状態であるかを判断して、かつ、その判断結果に応じて、後述する通電制御を行うようにプログラムされている(詳細は後述する)。
【0046】
開閉器15は、上記マイコン14によって接点の開閉が制御される開閉スイッチで構成されている。この開閉器15は、デジタルチューナユニット1において内部電源回路16から同ユニット1内の電気回路に電力を供給するために設けられた電源線のうちの所定の電源線17に配設されており、上記マイコン14がこの開閉器15の接点を開成させる制御を行うことにより、この開閉器15が配設された電源線17と接続された電気回路への電力供給(通電)が遮断されるようになっている。
【0047】
より具体的には、この開閉器15は、上記アナログチューナユニット3の電源がオフのときには電力供給を遮断してもよい電気回路に電力を供給する電源線に設けられている。換言すれば、この開閉器15は、当該開閉器15の開閉を制御するために必要な回路(たとえば、上記フィルタ回路11、増幅回路12、振幅制限回路13およびマイコン14)と、デジタルチューナユニット1を遠隔操作するためのリモコン(図示せず)がある場合には、当該リモコンからの遠隔操作信号を受信するための受信回路(たとえば、赤外線受信回路)18以外の電気回路に接続される電源線に備えることができる。
【0048】
なお、この開閉器15は、アナログチューナユニット3の電源がオフのときに電力供給を遮断してもよい電気回路が複数ある場合には、当該電気回路の電源線に応じて複数配設されていてもよく、開閉器15が多く配設することで、開閉器15を開成させたときの省電力効果が高められる。
【0049】
しかして、このように構成されたデジタルチューナユニット1における電源消し忘れ防止制御について、図3に基づいて説明する。図3は、同デジタルチューナユニット1における電源消し忘れ防止制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【0050】
この図3に示すように、デジタルチューナユニット1のマイコン14は、デジタルチューナユニット1に商用電源が接続されると、当該マイコン14の初期化を行い(図3ステップS1参照)、その後にデジタルチューナユニット1の電源がオンされると、上記振幅制限回路13からマイコン14に入力される電圧を監視して、当該入力電圧があらかじめ設定された所定レベルX以下であるか否かを判断する(図3ステップS2参照)。
【0051】
ここで、この図3ステップS2の処理は、アナログチューナユニット3の電源がオンされているか、それともオフであるかを判断する処理である。
【0052】
すなわち、上述したように、アナログチューナユニット3の電源がオンの状態である場合には、アナログチューナユニット3の外部音声出力端子からは、アナログ受信回路で受信されたテレビジョン放送の音声信号か、あるいは、アナログチューナユニット3の外部入力端子に入力される音声信号のいずれかが出力されるので、この場合、上記マイコン14には当該音声信号に対応した電圧が入力されることとなる。これに対して、アナログチューナユニット3の電源がオフとなっている場合には、アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から信号は出力されず、入力手段に入力される信号は無音状態を示すことになる(理論上の入力電圧0Vになる)。
【0053】
そこで、マイコン14は、このようなアナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号の特徴を利用して、アナログチューナユニット3の電源がオンかオフかを判断する(つまり、上記入力手段に入力される信号が無音状態を示す場合はアナログチューナユニット3の電源はオフであると判断し、無音状態を示していない場合にはアナログチューナユニット3の電源はオンであると判断する)ようにしており、この判断の閾値として上記所定レベルXが設定されている。なお、この所定レベルXは、上述した手法により無音状態であると判断できる範囲であれば必ずしも電圧0Vに対応して設定される必要はなく適宜設定され得る。
【0054】
そして、この図3ステップS2の判断が否定的である場合には、上記マイコン14は、アナログチューナユニット3の電源はオン状態にあると判断して図3ステップS1に復帰し、復帰後一定時間(図示例ではYm秒)が経過すると再び図3ステップS2の判断を行う。
【0055】
これに対して、図3ステップS2の判断が肯定的である場合、上記マイコン14は、同マイコン14に備えられるタイマ(計時手段)のカウントを加算(インクリメント)し(図3ステップS3参照)、マイコン14に入力される音声信号のレベルがX以下の状態が所定時間(図示例ではZ分)経過したかを判断する(図3ステップS4参照)。
【0056】
そして、この図3ステップS4の判断が肯定的である場合、すなわち、アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号が無音状態を上記所定時間(Z分)だけ継続した場合には、マイコン14はアナログチューナユニット3の電源はオフされていると判定(確定)して、上記開閉器15を開成させる電源オフ制御を実行する(図3ステップS5参照)。
【0057】
これにより、上記開閉器15が配設された電源線17に接続された電気回路への電力供給が遮断され、デジタルチューナユニット1は電源オフの状態になり、アナログチューナユニット3の電源オフ時におけるデジタルチューナユニット1の電源の切り忘れが防止される。
【0058】
一方、上記図3ステップS4の判断が否定的である場合には、上記マイコン14は、図3ステップS2に復帰して、上述した動作を行う。なお、本実施形態では、マイコン14がアナログチューナユニット3の電源オフを確定するために、図3ステップS2の判断が肯定的である状態を所定時間(Z分)継続したことを条件としたが、図3ステップS2の判断が肯定的であればただちに図3ステップS5の処理に移行するように構成することも可能である。
【0059】
このように、本実施形態に示すデジタルチューナユニット1は、アナログチューナユニット(テレビジョン受像機)3の外部音声出力端子から出力される信号を取り込んで、その信号を監視することにより、アナログチューナユニット3の電源がオン/オフいずれの状態にあるかを判断して、当該電源の状態に応じて、デジタルチューナユニット1の通電を制御するので、アナログチューナユニット3の電源がオフされた場合において、デジタルチューナユニット1の電源を切り忘れることを解消することができる。
【0060】
しかも、このマイコン14による通電の制御は、アナログチューナユニット3の外部音声出力を利用しているので、アナログチューナユニット3が外部音声出力端子を備えてさえいれば、既設の浴室テレビシステムに変更(改造)を加えることなく適用することができ、低コストでデジタルチューナユニット1の電源切り忘れの防止を図ることができる。
【0061】
実施形態2
次に、本発明の他の実施形態を図4に基づいて説明する。
本実施形態に示すデジタルチューナユニット1は、上述した実施形態1に示したデジタルチューナユニット1の改変例であって、具体的には、たとえば、デジタルチューナユニット1の施工時にデジタルチューナユニット1とアナログチューナユニット3とを接続するケーブル7が接続されなかった場合のように、アナログチューナユニット3の電源がオンであってもデジタルチューナユニット1の入力手段に音声信号が入力されない事態においても、デジタルチューナユニット1が誤ってアナログチューナユニット3の電源がオフであると判断しないように、マイコン14の制御構成に改変を加えたものである。したがって、その他の構成は、上述した実施形態1と同様であるので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図4は、デジタルチューナユニット1における電源消し忘れ防止制御の手順の改変例を示すフローチャートである。この図4に示すように、本実施形態に示すデジタルチューナユニット1では、マイコン14は、デジタルチューナユニット1に商用電源が接続されると、当該マイコン14の初期化を行い(図4ステップS1参照)、その後、デジタルチューナユニット1の電源がオンされると(図4ステップS2参照)、上記振幅制限回路13からマイコン14に入力される電圧を監視して、当該入力電圧があらかじめ設定された所定レベルX以下であるか否かを判断する(図4ステップS3参照)。これらの処理は、上述した実施形態1と同様である。
【0063】
そして、この図4ステップS3の判断が否定的である場合、マイコン14には正常に入力信号が与えられていることになるので、マイコン14は、デジタルチューナユニット1とアナログチューナユニット3とを接続するケーブル7は正常に接続(施工)されていると判断して(図4ステップS8参照)、上述したデジタルチューナユニット1の電源消し忘れ防止制御を有効にして(図4ステップS9参照)、それ以降は、上述した実施形態1と同じ手順(図3に示す手順)で電源消し忘れ防止制御を行う。
【0064】
これに対して、図4ステップS3の判断が肯定的である場合、マイコン14は、ケーブル7は正常に接続(施工)されているとは判断せずに、同マイコン14に備えられるタイマ(計時手段)のカウントを加算(インクリメント)し(図4ステップS4参照)、マイコン14に入力される音声信号のレベルがX以下の状態が所定時間(図示例ではZ分)経過したかを判断する(図4ステップS5参照)。
【0065】
そして、この図4ステップS5の判断が肯定的である場合、すなわち、アナログチューナユニット3の外部音声出力端子から出力される信号が無音状態を上記所定時間(Z分)継続した場合には、マイコン14は、上記ケーブル7は正常に接続(施工)されていないと判断して、それ以降は、上述した実施形態1に示すようなデジタルチューナユニット1の電源消し忘れ防止制御は行わないようにする(同制御を無効にする)。
【0066】
すなわち、この種のデジタルチューナユニット1を施工する場合、最初にデジタルチューナユニット1で受信したテレビジョン放送が正常にモニタユニット4に表示されるかどうかの試験を行うのが一般的であることから、本実施形態では、この試験時においてアナログチューナユニット3の電源がオンされていることをマイコン14が検出できない場合にはケーブル7は正常に施工されていないと判断するようにしている。
【0067】
したがって、本実施形態では、デジタルチューナユニット1とアナログチューナユニット3とを接続するケーブル7が正常に接続(施工)されていない場合には、マイコン14によるデジタルチューナユニット1の電源消し忘れ防止制御は行われないようになり、マイコン14が誤ってデジタルチューナユニット1の電源オフ制御を実行することが回避される。そのため、たとえばユーザが上記ケーブル7の施工を断った場合などに、デジタルチューナユニット1の電源が勝手にオフとなるのを防止することができる。
【0068】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0069】
たとえば、上述した実施形態では、本発明をアナログチューナユニット3を備えた浴室テレビシステム2に追加接続されるデジタルチューナユニット1に適用した場合を示したが、本発明は、テレビジョン受像機の外部入力端子に映像信号および/または音声信号を供給する機能を備えた映像等の出力装置であれば、上述したデジタルチューナユニット1以外の装置にも適用することができる。具体的には、映像と音声信号の双方をテレビジョン受像機に提供する装置としては、たとえば、DVDプレーヤやハードディスク装置などにも適用でき、また、映像信号のみをテレビジョン受像機に提供する装置としては、たとえば、フォトフレームに適用できる。さらに、音声信号のみをテレビジョン受像機に提供する装置としては、たとえば、ラジオ受信機やデジタルオーディオプレーヤなどに適用することができる。
【0070】
また、上述した実施形態では、デジタルチューナユニット1における電源消し忘れ防止制御は自動的に行われる場合を示したが、この制御を行うか否かの選択をユーザの設定に委ねることができる。その場合、当該制御の実行の可否をマイコン14に設定するための操作手段がデジタルチューナユニット1に備えられる。
【符号の説明】
【0071】
1 デジタルチューナユニット(映像等の出力装置)
2 浴室テレビシステム(テレビジョン受像機)
3 アナログチューナユニット(チューナ部)
4 モニタユニット(モニタ部)
5,6,7 ケーブル
10 入力端子(入力手段)
11 フィルタ回路(入力手段)
12 増幅回路(入力手段)
13 振幅制限回路(入力手段)
14 マイコン(通電制御手段)
15 開閉器(通電制御手段)
16 内部電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン受像機の外部入力端子に映像信号および/または音声信号を供給する機能を備えた映像等の出力装置において、
前記テレビジョン受像機の外部音声出力端子から出力される信号を入力するための入力手段と、前記入力手段に入力される信号に基づいて、当該映像等の出力装置の通電を制御する通電制御手段とを備えたことを特徴とする映像等の出力装置。
【請求項2】
前記通電制御手段による通電の制御は、前記映像等の出力装置における所定の電源線に設けられた開閉器の開閉により行われることを特徴とする請求項1に記載の映像等の出力装置。
【請求項3】
前記通電制御手段は、前記入力手段に入力される信号が無音状態を示すことを条件に前記開閉器を開成させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の映像等の出力装置。
【請求項4】
前記入力手段は、所定の入力端子と、該入力端子に入力される信号から音声信号以外の雑音を除去するフィルタ回路と、該フィルタ回路で雑音が除去された信号を増幅する増幅回路と、該増幅回路で増幅された信号の振幅が所定の電圧範囲を超えないように制限する振幅制限回路とで構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の映像等の出力装置。
【請求項5】
前記開閉器が設けられる電源線は、当該映像等の出力装置において、少なくとも前記入力手段および前記通電制御手段以外の回路に電力を供給する電源線に設けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の映像等の出力装置。
【請求項6】
前記テレビジョン受像機は、テレビジョン放送を受信するチューナ部と、該チューナ部で受信したテレビジョン放送を視聴させるモニタ部とが別体に構成されており、
前記モニタ部が浴室内に配置されるとともに、前記チューナ部が浴室の外部に配置される構成とされていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の映像等の出力装置。
【請求項7】
前記映像等の出力装置は、デジタル方式のテレビジョン放送を受信するためのチューナであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の映像等の出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160797(P2012−160797A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17440(P2011−17440)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】