説明

映像表示装置及び映像表示方法

【課題】立体視用の表示処理が可能な映像表示装置の状態に応じて、適切な表示処理が行えるようにする。
【解決手段】ソース機器が出力した映像データが入力され、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータ格納部112に記憶されたデータをソース機器に伝送する第1の端子部111を備える。また、三次元表示を行うための同期データを出力する第2の端子部128を備える。その第2の端子部128に外部機器の接続がある場合に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータをデータ格納部112に記憶させる。また、第2の端子部128に外部機器の接続がない場合に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータをデータ格納部112に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば立体映像を表示させる投射型映像表示装置に適用して好適な映像表示装置及び映像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンに映像を投射(投影)して、そのスクリーンを見ているユーザに三次元映像(立体映像)を認識させる投射型映像表示装置がある。この投射型映像表示装置(プロジェクタ装置)は、スクリーンに左眼用の映像と右眼用の映像とを所定の周期(例えばフィールド周期)で交互に切り替えて表示する。そして、この表示された映像を、左右の眼に対応する開閉部が、映像の表示状態に同期して開閉制御される液晶シャッタ眼鏡等の立体映像観察用眼鏡を通して鑑賞する。
【0003】
開閉部を開閉制御するための信号(=同期信号)を立体映像観察用眼鏡に供給する技術としては、例えば、プロジェクタ装置と接続したエミッタ装置(開閉制御装置)から同期信号を含む赤外線を立体映像観察用眼鏡に送信するものが知られている。
【0004】
特許文献1には、液晶シャッタ眼鏡を使用して立体映像を観察する立体映像表示システムについての記載がある。また、特許文献1には、液晶シャッタ眼鏡に赤外線の同期コードを送信する点についての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−9299号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような立体映像を表示する投射型映像表示装置は、エミッタ装置が接続された状態では、液晶シャッタ眼鏡に対して同期コードを送信することができ、立体映像表示装置として正しく機能する。しかしながら、エミッタ装置が投射型映像表示装置に接続されていない状況では、投射型映像表示装置が左眼用の映像と右眼用の映像とを交互にスクリーンに表示させても、液晶シャッタ眼鏡が作動せず、立体的に映像を鑑賞することは不可能である。このため、映像表示装置にエミッタ装置が接続されていない状況で、映像表示装置に立体視用の映像データが入力した場合には、その入力した立体視用の映像データを、強制的に2D表示用の通常の映像データに変換して表示させる必要がある。
【0007】
しかしながら、このように立体視用の映像データを映像表示装置内で2D表示用の映像データに変換した場合、表示される映像は変換により劣化した映像になってしまう。したがって、映像表示装置内で立体視用の映像データから2D表示用の映像データに変換することは、避けることが好ましい。なお、ここではプロジェクタ装置としての映像表示装置を例にして説明したが、表示パネルに映像の表示を行う通常の映像表示装置の場合にも、エミッタ装置を接続して立体視を行う構成とした場合、同様の問題がある。
【0008】
本開示は、立体視用の表示処理が可能な映像表示装置の状態に応じて、適切な表示処理が行える映像表示装置及び映像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の映像表示装置は、ソース機器が出力した映像データが入力され、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータをソース機器に伝送する第1の端子部を備える。また、第1の端子部が出力する、入力可能な映像データについてのデータを記憶するデータ格納部と、表示部で三次元表示を行うための同期データを出力する第2の端子部と、第2の端子部での接続状態に応じてデータ格納部の記憶を制御する制御部とを備える。
制御部によるデータ格納部の制御として、第2の端子部に外部機器が接続されている場合に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータをデータ格納部に記憶する。また、第2の端子部に外部機器が接続されていない場合に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータをデータ格納部に記憶する。
【0010】
また本開示の映像表示方法は、ソース機器が出力した映像データを第1の端子部を介して入力すると共に、この第1の端子部で入力可能な映像データのフォーマットについてのデータをデータ格納部から読み出してソース機器に出力する第1の通信処理を行う。そして、第1の通信処理でソース機器から得られた映像データによる表示を行う表示処理を行う。また、表示処理で三次元表示を行うための同期データを外部機器に出力する第2の通信処理を行う。さらに、第2の端子部での接続状態に応じてデータ格納部の記憶を制御する制御処理を行う。
制御処理としては、第2の通信処理を行う外部機器が接続されている場合に、データ格納部に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータを記憶する。また、外部機器が接続されていない場合に、データ格納部に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータを記憶する。
【0011】
このようにしたことで、第1の端子部でソース機器に伝える、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータが、第2の端子部での接続状態に応じて変化する。すなわち、第2の端子部に、立体視をする上で必要な機器が接続された場合、第1の端子部でソース機器に伝える、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータが、三次元表示用の映像データが入力可能を示すデータとなる。また、第2の端子部に、立体視をする上で必要な機器が接続されていない場合、第1の端子部でソース機器に伝える、入力可能な映像データについてのデータが、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータとなる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によると、第1の端子部でソース機器に伝える、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータが、第2の端子部での接続状態に応じて変化する。この接続状態に応じて変化することで、三次元表示が可能な状態と、三次元表示ができない状態とが、装置の状態に応じて自動的に適切に設定されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の一実施の形態による映像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本開示の一実施の形態によるHDMIケーブルで送信する側と受信する側の構成例を示すブロック図である。
【図3】本開示の一実施の形態による映像表示装置にエミッタ装置を接続した例を示す説明図である。
【図4】本開示の一実施の形態によるLANケーブルでの伝送状態の例を示す説明図である。
【図5】本開示の一実施の形態によるEDID(Extended display identification data)の設定処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の一実施の形態の例を、以下の順序で説明する。
1.映像表示装置の構成(図1)
2.HDMIケーブルで送受信する構成(図2)
3.映像表示装置とエミッタ装置の接続構成(図3,図4)
4.EDIDの設定処理(図5)
5.変形例
【0015】
[1.映像表示装置の構成](図1)
図1は、本開示の一実施の形態の例の映像表示装置の構成を示した図である。本実施の形態の例は、映像表示装置として、スクリーンに映像を投射するプロジェクタ装置に適用した例である。本開示の映像表示装置(プロジェクタ装置)は、三次元表示が可能な装置であり、入力した映像データが三次元表示用の映像データである場合には、対応した処理を行う。但し、後述するように、映像表示装置の状態に応じて、通常の二次元表示だけを行う状態に制限される場合がある。
【0016】
図1に示したプロジェクタ装置100は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)端子部111を備える。このHDMI端子部111は、HDMI規格と称されるデジタル映像・音声入出力インターフェース規格の端子部である。HDMI規格では、映像及び音声の出力側の機器をソース機器と称し、映像及び音声の入力側の機器をシンク機器と称する。
【0017】
プロジェクタ装置100のHDMI端子部111は、シンク機器の端子部、つまり映像及び音声を入力する側の端子部である。HDMI端子部111は、映像データや音声データの入力を行うだけでなく、各種制御データやステータスのデータなどの入出力を行う。具体的なデータ伝送チャンネル構成の詳細については後述するが、シンク機器からソース機器に伝送するデータの1つに、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータがある。この入力可能な映像データのフォーマットについてのデータを、ソース機器側のHDMI端子部が確認し、シンク機器が入力可能なフォーマットで、ソース機器のHDMI端子部が映像データと音声データを出力する。
【0018】
プロジェクタ装置100のHDMI端子部111には、HDMI処理部110が接続されている。このHDMI処理部110は、シンク機器としての伝送処理を行う。またHDMI端子部111に、EDID格納部112が接続されている。EDID格納部112は、シンク機器であるプロジェクタ装置100が入力可能な映像データのフォーマットについてのデータを記憶する。そして、ソース機器が、EDID格納部112が記憶したデータを読み出す。
【0019】
EDID格納部112は、例えばEEPROMよりなる不揮発性メモリで構成される。EEPROMを使用するのは1つの例であり、記憶データが保持される不揮発性メモリであれば、他のメモリを使用してもよい。但し、EDID格納部112を構成するメモリは、例えば256バイト程度の比較的小容量のメモリであり、EEPROMを使用することで、安価に構成できる。また、後述するようにEDID格納部112のデータは書き換えが必要であり、この点からもビット単位でデータの書き換えが可能なEEPROMは好適である。
【0020】
HDMI処理部110でHDMI端子部111を介して映像データが受信されると、その受信した映像データが、第1映像データ処理部122に供給される。
第1映像データ処理部122は、入力したインターレースの映像データをプログレッシブの映像データに変換する、いわゆるインターレース/プログレッシブ変換や、1フレームの画面サイズ(画素数)を変換するスケーリングなどを行う。これらの第1映像データ処理部122での処理は、入力した映像データのフォーマットにより選択的に実行される。
【0021】
第1映像データ処理部122で処理された映像データは、第2映像データ処理部123に供給される。第2映像データ処理部123は、供給された映像データが三次元映像データである場合に、その三次元映像データを構成する左眼用映像データと右眼用映像データを分離する処理を行う。三次元映像データについては複数のフォーマットが存在するが、入力した三次元映像データのフォーマットに適合した処理が第2映像データ処理部123で行われる。なお、以下の説明では、立体視を行うための三次元映像データを3D映像データと称する。また、3D映像データと区別する上で、通常の二次元表示を行う映像データを、2D映像データと称することがある。
【0022】
また、第2映像データ処理部123は、3D映像データに含まれる同期データを抽出し、後述する外部機器であるエミッタ装置200に供給する3D同期データ(EMIT Sync)を生成して、LAN端子部128に供給する。3D同期データは、ユーザが立体視を行うために装着する立体映像観察用眼鏡の液晶シャッタを駆動するための同期データである。
なお、入力した映像データが2D映像データである場合には、第2映像データ処理部123は3D用の処理を行わない。
【0023】
第2映像データ処理部123で処理された映像データは、映像データ調整部124に供給される。映像データ調整部124で、3Dガンマの調整や、表示パネルガンマの調整などを行い、調整された映像データを表示パネル駆動部125に供給する。
【0024】
表示パネル駆動部125は、供給される映像データに対応した表示パネル132の駆動を行う。この駆動が行われることで、表示パネル132に映像が表示される。表示パネル132は、例えば液晶画像表示パネルで構成される。表示パネル132には、光源131からの光が入射され、この表示パネル132を透過した光が、投射レンズ133でスクリーン(図示せず)に投射される。このように投射することで、表示パネル132に表示された画像が、スクリーン上に表示される。なお、図1では表示パネル132として1枚の表示パネルを示しているが、例えば表示映像のそれぞれの色成分ごとに個別のパネルを用意した構成でもよい。また、液晶表示パネル以外のその他の表示方式によるプロジェクタ装置として構成してもよい。
【0025】
第1映像データ処理部122、第2映像データ処理部123及び映像データ調整部124は、バスラインを介して制御部121と通信が可能になっており、これらの処理部122,123や調整部124での処理は、制御部121の制御に基づいて実行される。制御部121には、メモリ127が接続されている。このメモリ127には、制御部121がプロジェクタ装置100内の各部を制御するのに必要なプログラムやデータが記憶される。
このメモリ127の記憶領域の一部に、2D映像データ入力可能時(つまり3D映像データが入力できない場合)のデータ(EDID)127aと、3D映像データ入力可能時のデータ(EDID)127bとが記憶される。これらのデータ(EDID)127a,127bのうちの何れか一方のデータが、プロジェクタ装置100の動作モードに応じて、先に説明したEDID格納部112に格納される。このEDID格納部112へのデータ(EDID)127a又は127bの格納処理の詳細については後述する。
【0026】
3D映像データ入力可能時のデータ(EDID)127bは、このプロジェクタ装置100が、3D表示が可能な動作モードのときに、HDMI端子部111を介して入力可能な映像データの入力フォーマットのデータである。この3D映像データ入力可能時のデータ(EDID)127bには、入力可能な3D映像データのフォーマットの他に、入力可能な2D映像データのフォーマットのデータも示される。
一方、2D映像データ入力可能時のデータ(EDID)127aは、このプロジェクタ装置100が、3D表示ができない動作モードのときに、HDMI端子部111を介して入力可能な映像データの入力フォーマットのデータである。3D映像データが入力できない場合であるので、入力可能な2D映像データのフォーマットデータだけが示されて、結果的に3D映像データが入力できないことが示される。
【0027】
また、プロジェクタ装置100は、LAN端子部128を備える。
このLAN端子部128は、液晶シャッタ眼鏡を制御するエミッタ装置200をLANケーブル92を介して接続するための端子部である。LAN端子部128は、接続されたLANケーブル92に、3D同期データ(EMIT Sync)と電源(Power)を供給する。この3D同期データ(EMIT Sync)は、第2映像データ処理部123で3D映像データから分離した同期データである。また、LAN端子部128に入力されるデータとして、エミッタ装置200の接続検出用の検出データ(EMIT Detect)がある。
【0028】
エミッタ装置200は、LAN端子部201と、同期抽出部202と、送信部203とを備える。そして、LAN端子部201で受信した3D同期データ(EMIT Sync)を同期抽出部202で抽出し、送信部203から赤外線信号として送信する。送信部203から送信した赤外線信号は、液晶シャッタ眼鏡80(図3参照)で受信される。
【0029】
[2.HDMIケーブルで送受信する構成]
次に、プロジェクタ装置100の映像データ入力部である、HDMI端子部111にHDMIケーブル91を接続した場合の、相手側の機器との伝送手順を、図2を参照して説明する。先に説明したように、HDMIケーブル91で機器接続を行う場合、映像データの出力側の機器をソース機器と称し、映像データの入力側の機器をシンク機器と称する。
プロジェクタ装置100はシンク機器であり、図2では、ソース機器300と、プロジェクタ装置100のHDMI処理部110とを、HDMIケーブル91で接続した場合の例を示す。また図2ではデータの伝送チャンネルを示し、端子部は省略している。
【0030】
ソース機器300は、映像データや音声データを生成させるソース信号処理部301を備え、ソース信号処理部301が出力する映像データ、音声データ及びコントロールデータを、HDMI処理部302に供給する。HDMI処理部302は、映像データ、音声データ及びコントロールデータを、TMDSチャンネル0,1,2の3つのチャンネルに分割して配置し、各チャンネルのデータを出力する。また、クロックをTMDSクロックチャンネルに配置して出力する。各チャンネルは、HDMIケーブル91の個別のラインで伝送される。
【0031】
ソース機器300のTMDSチャンネル0,1,2とTMDSクロックチャンネルのデータは、シンク機器であるプロジェクタ装置100のHDMI処理部110で受信し、映像データと音声データとコントロールデータとに分離する。分離した映像データと音声データとコントロールデータとを、プロジェクタ装置100内の各部に供給する。例えば、受信した映像データを、図1に示した第1映像データ処理部122に供給する。また、受信したコントロールデータを、制御部121に供給する。また、受信した音声データを、図示しない音声データ処理部に供給する。プロジェクタ装置100として音声データ処理部を備えない場合には、受信した音声データの処理を行わない。
【0032】
また、HDMIケーブル91で伝送されるその他のラインとして、ディスプレイデータチャンネル(DDC)と、CEC(Consumer Electronics Control)ラインとを備え、これらのチャンネルやラインで双方向のデータ伝送が行われる。ディスプレイデータチャンネルでは、シンク機器であるプロジェクタ装置100のEDID格納部112に格納されたEDIDを、ソース機器300のHDMI処理部302が読み出す。また、DDCを使用して、ソース機器300のHDMI処理部302とシンク機器(プロジェクタ装置100)のHDMI処理部110との間で、その他のデータのやり取りについても行う。CECラインは、コントロールデータなどの双方向の伝送が行われる。
【0033】
[3.映像表示装置とエミッタ装置の接続構成]
次に、図3を参照して、映像表示装置であるプロジェクタ装置100とエミッタ装置200との接続例を説明する。図3に示すようにプロジェクタ装置100のLAN端子部128に、LANケーブル92の一方のプラグ92aを接続し、エミッタ装置200のLAN端子部201に、LANケーブル92の他方のプラグ92bを接続する。LANケーブル92は、比較的長い距離(例えば数十m)に設定でき、プロジェクタ装置100とエミッタ装置200とを離して設置することが可能になる。
【0034】
エミッタ装置200が送信する赤外線信号IRは、液晶シャッタ眼鏡80で受信される。液晶シャッタ眼鏡80は、受信した赤外線信号IRに含まれる同期データで、左眼用液晶シャッタと右眼用液晶シャッタを開閉させるタイミングを設定する。プロジェクタ装置100からスクリーンに投影される映像を視聴するユーザは、このような液晶シャッタ眼鏡80を装着することで、プロジェクタ装置100からスクリーンに投影される3D映像を立体視することができる。すなわち、プロジェクタ装置100からスクリーンに投影される3D映像は、左眼用映像と右眼用映像とが交互に配置された映像であり、左眼用映像が表示されるタイミングで右眼用シャッタを閉じ、右眼用映像が表示されるタイミングで左眼用シャッタを閉じる。これにより、液晶シャッタ眼鏡80を装着したユーザは、左眼で左眼用映像だけを視ると共に右眼で右眼用映像だけを視ることになり、3D映像を立体視することができる。
エミッタ装置200がプロジェクタ装置100に接続されていない状態では、このような液晶シャッタ眼鏡80の制御ができないため、3D映像を立体視することはできない。したがって、エミッタ装置200がプロジェクタ装置100に接続されていない状態では、プロジェクタ装置100は、2D映像の表示だけが可能な表示装置となる。
【0035】
図4は、LANケーブル92内の配線例を示す説明図である。
プラグ92aの8ピンのうち、第1ピンは橙色、第3ピンは黒色、第4ピンは茶色、第6ピンは赤色の配線と接続する。第7ピンと第8ピンはドレイン線で短絡し、第1線と第2線がジャンパ線で短絡し、また第7線と第8線がジャンパ線で短絡する。プロジェクタ装置100側のプラグ92aとエミッタ装置200側のプラグ92bは、対応する同じ番号の配線を接続する。このような構造の双方のプラグ92a,92bにおいて、プロジェクタ装置100側から第1ピンと第2ピンに電源(Power)が供給される。また、第3ピンにエミッタ装置200から検出データ(EMIT_Detect)が得られる。また、プロジェクタ装置100側から第4ピンを使用して3D同期データ(EMIT_Sync)が伝送され、第6ピンを使用して強度設定データ(EMIT_Strength)が伝送される。そして、第7ピンと第8ピンがグラウンド(GND)に接続されている。
【0036】
検出データ(EMIT_Detect)は、LANケーブル92を使用してエミッタ装置200がプロジェクタ装置100に接続されたことを確認するためのものである。検出データ(EMIT_Detect)は、プラグ92bがエミッタ装置200のLAN端子部201に接続されていないとき(非挿入時)にハイ(H)となり、挿入されているとき(挿入時)にロー(L)になる。
【0037】
3D同期データ(EMIT_Sync)は、液晶シャッタ眼鏡80の左眼及び右眼のシャッタの開口タイミングを決めるものである。強度設定信号(EMIT_Strength)は、エミッタ装置200が送信する赤外線信号の強度(=赤外線LEDの出力信号の強度)の強弱を設定する信号である。赤外線LEDの出力信号の強度を強くするときはロー(L)方向に設定され、弱くするときはハイ(H)方向に設定される。
【0038】
[4.EDIDの設定処理]
次に、図1に示したプロジェクタ装置100のEDID格納部112が記憶するEDIDの設定処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。このEDID格納部112の記憶データは、制御部121の制御下で設定される。本実施の形態の例では、制御部121は、プロジェクタ装置100が電源オフ(又はスタンバイ状態)から電源オン状態に変化したとき、図5のフローチャートに示した処理を実行する。なお、EDID格納部112は不揮発性のメモリであるので、電源オンしたときのEDID格納部112の記憶データは、前回電源オンして作動させた際に設定した記憶データとなっている。
【0039】
電源オン時に行われる図5のフローチャートの処理について説明すると、まず制御部121は、LAN端子部128に得られる検出データ(EMIT_Detect)が、ロー(L)であるか否かを判断する(ステップS11)。検出データ(EMIT_Detect)が、ロー(L)である状態とは、エミッタ装置200がプロジェクタ装置100に接続された状態である。
ステップS11の判断で、検出データ(EMIT_Detect)が、ロー(L)でない場合(すなわちハイである場合)には、EDID格納部112に格納されたデータが、2D映像データのフォーマットデータだけであると仮定する(ステップS12)。
【0040】
そして、EDID格納部112の記憶データを制御部121が読み出し、その読み出した記憶データを、2D映像データのフォーマットデータと比較する(ステップS13)。このときEDID格納部112の記憶データと比較する2D映像データのフォーマットデータは、例えばメモリ127に用意されたデータ(EDID)127aから得る。そして、ステップS13での比較が一致するか否かを判断する(ステップS14)。
【0041】
ステップS14で一致したと判断した場合には、エミッタ装置200が接続されていない状況に適合したデータがEDID格納部112に記憶されているので、EDID格納部112の記憶データをそのまま保持させる(ステップS15)。
【0042】
また、ステップS14で不一致を判断した場合には、エミッタ装置200が接続されていない状況に適合していないEDIDであり、EDID格納部112の記憶データを、2D映像データのフォーマットデータだけのEDIDに書き換える(ステップS16)。この書き換え時には、制御部121がメモリ127に用意されたデータ(EDID)127aを読み出し、その読み出したデータでEDID格納部112の記憶データを更新する。
この更新によって、エミッタ装置200が接続されていない状況に適合した、2D映像データだけが入力できることを示したEDIDがEDID格納部112に格納された状態になる。
【0043】
また、ステップS11の判断で、検出データ(EMIT_Detect)が、ロー(L)である場合には、エミッタ装置200が接続されている状況であり、ステップS21以降の処理が行われる。すなわち、ステップS11の判断後に、EDID格納部112に格納されたデータが、3D映像データのフォーマットデータを含んだものと仮定する(ステップS21)。
【0044】
そして、EDID格納部112の記憶データを制御部121が読み出し、その読み出した記憶データを、3D映像データ入力可能時のフォーマットデータと比較する(ステップS22)。このときEDID格納部112の記憶データと比較する3D映像データ入力可能時のフォーマットデータは、例えばメモリ127に用意されたデータ(EDID)127bから得る。そして、ステップS22での比較が一致するか否かを判断する(ステップS23)。
【0045】
ステップS23で一致したと判断した場合には、エミッタ装置200が接続されている状況に適合したデータがEDID格納部112に記憶されているので、EDID格納部112の記憶データをそのまま保持する(ステップS24)。
【0046】
また、ステップS23で不一致を判断した場合には、エミッタ装置200が接続されている状況に適合していないEDIDであり、EDID格納部112の記憶データを、3D映像データ入力可能時のフォーマットデータのEDIDに書き換える(ステップS25)。この書き換え時には、制御部121がメモリ127に用意されたデータ(EDID)127bを読み出し、その読み出したデータでEDID格納部112の記憶データを更新させる。
この更新によって、エミッタ装置200が接続されている状況に適合した、3D映像データが入力できることを示したEDIDがEDID格納部112に格納された状態になる。
【0047】
このように本実施の形態のプロジェクタ装置100によると、エミッタ装置200がLANケーブル92を介して接続されている場合、EDID格納部112が記憶したEDIDで、3D映像データが入力可能であることが示されるようになる。この処理は電源投入時に行われるので、電源投入で立ち上がった際に、エミッタ装置200が接続されて、3D映像データの表示処理が可能である場合に、対応したEDIDとなり、3D映像データの表示可能な映像表示装置として適正に機能する。
そして、電源立ち上げ時に、プロジェクタ装置100にエミッタ装置200が接続されていない場合には、EDID格納部112が記憶したEDIDで、2D映像データだけが入力可能であることが示され、3D映像データが入力できないことが示される。したがって、エミッタ装置200が接続されていない状況では、2D映像データだけを受け付ける表示装置となり、ユーザが立体視できない状況で3D映像データが入力されることを防止できる。あるいは、ユーザが立体視できない状況で3D映像データが入力した場合に必要な、3D映像データから2D映像データへの変換処理が行われることがなく、表示装置での映像データの変換による表示画質の劣化を防止できる。
【0048】
[5.変形例]
なお、上述した実施の形態の例では、映像表示装置としてスクリーンに映像を投射するプロジェクタ装置に適用した例とした。これに対して、表示パネルをユーザが直視する液晶表示装置や有機EL(electroluminescence)表示装置などの、他の映像表示装置に本開示の技術を適用してもよい。また、映像表示装置が音声処理系を備える構成として、HDMI端子部などに入力した音声データを処理してスピーカなどから出力させてもよい。
【0049】
また、EDID格納部を構成するメモリは、上述した実施の形態ではEEPROMを使用したが、他の構成の不揮発性メモリを使用してもよい。
例えば、EDID格納部を構成するメモリとして、フラッシュメモリ、NVRAM、FeRAM、MRAMなどと称される、不揮発性の各種メモリを使用してもよい。EEPROMやフラッシュメモリは、電気的に記憶データの書き換えが可能な不揮発性メモリである。NVRAM(Non Volatile RAM)は、メモリバックアップ用の電池を備えた不揮発性のメモリである。FeRAM(Ferroelectric RAM/強誘電体メモリは、記憶素子に強誘電体を利用した不揮発性メモリであり、MRAM(Magnetoresistive RAM/磁気抵抗メモリ)は、記憶素子に磁性体を利用した不揮発性メモリである。
また、EDID格納部として、図1に示した構成では、専用のメモリを使用した例としたが、映像表示装置が備える他の不揮発性のメモリの一部の記憶領域を使用して、EDID格納部を構成してもよい。
【0050】
また、図5に示したフローチャートの処理は、映像表示装置であるプロジェクタ装置の電源投入時に行うようにしたが、電源投入後の表示動作中にも、図5のフローチャートに示した処理を行うようにしてもよい。例えば、映像表示装置が動作中にも、検出データ(EMIT_Detect)の状態の確認を周期的に行い、検出データに変化があった時点で、EDIDを書き換えるようにする。このようにすることで、映像表示装置が動作中にエミッタ装置の装着や取り外しがあった場合にも対処が可能になる。この場合の検出データの確認は、ランダムに設定したタイミングで不定期に行うようにしてもよい。
また、このように定期的又は不定期に検出データを確認する処理は、図5のフローチャートに示した電源投入時の処理を行った後に行う。あるいは、電源投入時には検出データの確認は行わず、表示を開始してから、定期的又は不定期に検出データを確認するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態の例では、映像入力用の端子として、HDMI規格のインターフェースの端子としたが、その他の規格の端子部としてもよい。他のインターフェースの端子部の場合、それぞれのインターフェースで用意された、入力可能な映像データのフォーマットや形式などを示すデータに適用可能である。
【0052】
また、エミッタ装置を接続するLAN端子部についても、LANケーブル以外のケーブルで接続する端子部としてもよい。あるいは、映像表示装置とエミッタ装置とで双方向に無線通信可能とし、無線で同期データを伝送させた上で、映像表示装置でエミッタ装置と無線通信可能な状態であることを検出して、同様の制御を行うようにしてもよい。
【0053】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)ソース機器が出力した映像データが入力され、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータを前記ソース機器に伝送する第1の端子部と、
前記第1の端子部に入力した映像データを表示処理する映像データ処理部と、
前記映像データ処理部で処理された映像データによる映像を表示する表示部と、
前記第1の端子部が出力する、入力可能な映像データについてのデータを記憶するデータ格納部と、
前記表示部で三次元表示を行うための同期データを出力する第2の端子部と、
前記第2の端子部に外部機器が接続されている場合に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータを前記データ格納部に記憶し、前記第2の端子部に外部機器が接続されていない場合に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータを前記データ格納部に記憶する制御を行う制御部とを備えた
映像表示装置。
【0054】
(2)前記データ格納部は、不揮発性のメモリを使用し、
前記制御部は、電源投入の際に、前記第2の端子部に外部機器の接続の有無を判断し、そのとき判断した外部機器の接続の有無に対応したデータが前記データ格納部に記憶されていない場合に、前記データ格納部の記憶データを更新する
前記(1)記載の映像表示装置。
【0055】
(3)前記制御部は、周期的又は不定期に、前記第2の端子部に外部機器の接続の有無を判断し、その判断に基づいて前記データ格納部の記憶データを更新する
前記(1)又は(2)記載の映像表示装置。
【0056】
(4)前記第1の端子部は、HDMI規格のインターフェース用の端子部であり、
前記第1の端子部がソース機器に伝送する入力可能な映像データについてのデータは、ディスプレイデータチャンネルのデータである
前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の映像表示装置。
【0057】
(5)ソース機器が出力した映像データを第1の端子部を介して入力すると共に、この第1の端子部で入力可能な映像データのフォーマットについてのデータをデータ格納部から読み出して前記ソース機器に出力する第1の通信処理と、
前記第1の通信処理でソース機器から得られた映像データによる表示を行う表示処理と、
前記表示処理で三次元表示を行うための同期データを外部機器に出力する第2の通信処理と、
前記第2の通信処理を行う外部機器が接続された場合に、前記データ格納部に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータを記憶し、前記外部機器が接続されない場合に、前記データ格納部に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータを記憶する制御処理を行う
映像表示方法。
【符号の説明】
【0058】
80…液晶シャッタ眼鏡、91…HDMIケーブル、92…LANケーブル、100…プロジェクタ装置(映像表示装置)、110…HDMI処理部、111…HDMI端子部、112…EDID格納部、121…制御部、122…第1映像データ処理部、123…第2映像データ処理部、124…映像データ調整部、125…表示パネル駆動部、127…メモリ、128…LAN端子部、131…光源、132…表示パネル、133…投射レンズ、200…エミッタ装置、201…LAN端子部、202…同期抽出部、203…送信部、300…ソース機器、301…データ処理部、302…HDMI処理部、303…EDID受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース機器が出力した映像データが入力され、入力可能な映像データのフォーマットについてのデータを前記ソース機器に伝送する第1の端子部と、
前記第1の端子部に入力した映像データを表示処理する映像データ処理部と、
前記映像データ処理部で処理された映像データによる映像を表示する表示部と、
前記第1の端子部が出力する、入力可能な映像データについてのデータを記憶するデータ格納部と、
前記表示部で三次元表示を行うための同期データを出力する第2の端子部と、
前記第2の端子部に外部機器が接続された場合に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータを前記データ格納部に記憶し、前記第2の端子部に外部機器が接続されていない場合に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータを前記データ格納部に記憶する制御を行う制御部とを備えた
映像表示装置。
【請求項2】
前記データ格納部は、不揮発性のメモリを使用し、
前記制御部は、電源投入の際に、前記第2の端子部での外部機器の接続の有無を判断し、そのとき判断した外部機器の接続の有無に対応したデータが前記データ格納部に記憶されていない場合に、前記データ格納部の記憶データを更新する
請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、周期的又は不定期に、前記第2の端子部での外部機器の接続の有無を判断し、その判断に基づいて前記データ格納部の記憶データを更新する
請求項1記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記第1の端子部は、HDMI規格のインターフェース用の端子部であり、
前記第1の端子部がソース機器に伝送する入力可能な映像データについてのデータは、ディスプレイデータチャンネルのデータである
請求項1記載の映像表示装置。
【請求項5】
ソース機器が出力した映像データを第1の端子部を介して入力すると共に、この第1の端子部で入力可能な映像データのフォーマットについてのデータをデータ格納部から読み出して前記ソース機器に出力する第1の通信処理と、
前記第1の通信処理でソース機器から得られた映像データによる表示を行う表示処理と、
前記表示処理で三次元表示を行うための同期データを外部機器に出力する第2の通信処理と、
前記第2の通信処理を行う外部機器が接続された場合に、前記データ格納部に、三次元表示用の映像データが入力可能であることを示すデータを記憶し、前記外部機器が接続されない場合に、前記データ格納部に、三次元表示用の映像データが入力できないことを示すデータを記憶する制御処理を行う
映像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−26745(P2013−26745A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158327(P2011−158327)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】