説明

映像表示装置

【課題】本発明は、動き検出の処理を簡素化し、その負荷を低減することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、本体ケース9と、この本体ケース9に設けられた入力端子11〜15と、この入力端子から入力された映像信号を取り込む入力部16と、この入力部16からの映像信号のフレーム間の映像データを比較して、この映像が静止画であるか動画であるかを判定する動き検出手段46を有し、この動き検出手段46の判定結果に基づき表示画像を生成する表示画像生成部18と、この表示画像生成部18からの表示画像を表示する表示部10と、を備え、前記動き検出手段46は、映像信号のフレーム間の映像データの比較点設定手段55と、この比較点において映像データを比較する比較手段56a、56bと、この比較手段56a、56bの結果から映像が静止画であるか動画であるかを判定する判定手段57と、を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療用に用いられる映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の医療用に用いられる映像表示装置の構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、本体ケースと、この本体ケースに設けられた入力端子と、この入力端子に接続された入力部と、この入力部からの映像信号の表示画像を生成する表示画像生成部と、この表示画像生成部に接続された表示部と、を備えた構成となっていた。
【0004】
この表示画像生成部では、映像のフレームにまたがった表示画像の圧縮に用いられる動き検出処理を行って、この動き検出の判定結果に応じて、インターレース画像から、画像精度のより高いプログレッシブ画像への変換を行っていた(例えば下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−348369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例における課題は、動き検出の処理が複雑であり、その負荷が大きいということであった。
【0007】
すなわち、例えば、医療用の映像表示装置は、複数の異なる入力映像信号を、表示画像生成部を経由して、複数の表示画面に同時に表示していかなければならないが、従来例においては、上述のごとく、フレームにまたがった表示画像の圧縮、例えばMPEG等の動画の圧縮の前処理としての動き検出処理は、動画圧縮のために、フレームにまたがった表示画像同士の、全ての画素の動き検出を行うので、複雑な処理となるため、表示画像生成部の負荷が大きくなるという課題があった。
【0008】
特に、医療用の映像表示装置において、複数の異なる入力映像信号それぞれに対して、その動き検出処理を行い、複数の表示画面に同時に表示を行う場合においては、この処理が複雑となり、負荷が大きくなるという課題を有していたのである。
【0009】
そこで本発明は、動き検出の処理を簡素化し、その負荷を低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために本発明は、
本体ケースと、この本体ケースに設けられた入力端子と、この入力端子から入力された映像信号を取り込む入力部と、
この入力部からの映像信号のフレーム間の映像データを比較して、この映像が静止画であるか動画であるかを判定する動き検出手段を有し、この動き検出手段の判定結果に基づき表示画像を生成する表示画像生成部と、
この表示画像生成部からの表示画像を表示する表示部と、を備え、
前記動き検出手段は、映像信号のフレーム間の映像データの比較点設定手段と、この比較点において映像データを比較する比較手段と、この比較手段の結果から映像が静止画であるか動画であるかを判定する判定手段と、を有する
構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、
本体ケースと、この本体ケースに設けられた入力端子と、この入力端子から入力された映像信号を取り込む入力部と、
この入力部からの映像信号のフレーム間の映像データを比較して、この映像が静止画であるか動画であるかを判定する動き検出手段を有し、この動き検出手段の判定結果に基づき表示画像を生成する表示画像生成部と、
この表示画像生成部からの表示画像を表示する表示部と、を備え、
前記動き検出手段は、映像信号のフレーム間の映像データの比較点設定手段と、この比較点において映像データを比較する比較手段と、この比較手段の結果から映像が静止画であるか動画であるかを判定する判定手段と、を有する
構成としたものであるので、処理を簡素化し、その負荷を低減することができる。
【0012】
すなわち、本発明においては、映像信号のフレーム間の動きを検出する処理として、比較すべきデータを点として、すなわち離散的に設定することで、比較するデータ量を削減し、その処理を簡素化することで負荷を低減することができるのである。
【0013】
したがって、例えば医療用の映像表示装置において、複数の異なる入力映像信号それぞれに対して、その動き検出処理を行い、複数の表示画面に同時に表示を行う場合に、表示処理の負荷を軽減する手段として、極めて有効となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図
【図2】同正面図
【図3】同背面図
【図4】同下面図
【図5】同制御ブロック図
【図6】同入力部の制御ブロック図
【図7】同画像信号変換部のブロック図
【図8】同画像信号変換部の動作説明図
【図9】同画像信号変換部の動作説明図
【図10】同画像信号変換部の要部ブロック図
【図11】同画像信号変換部の要部の動作説明図
【図12】同表示画像生成部のブロック図
【図13】同画像形成部のブロック図
【図14】同画像形成部の動作説明図
【図15】同画像形成部の動作説明図
【図16】同画像形成部の動作説明図
【図17】同動き検出部のブロック図
【図18】同動き検出部のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を添付図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を医療現場、具体的には手術室に配置した状態を示しており、手術台1の上面に患者2が横たわり、医者3、4が内視鏡カメラ5、6を用いた手術を行っている状態を示している。この場合、医者3は、患者2を介して対向する映像表示装置7を見ながら、患部の状態を確認しており、また、医者4は、患者2を介して対向する映像表示装置8を見ながら、患部の状態を確認している。
【0017】
つまり、医者3も、医者4も、自分に対する患者2の位置関係が映像表示装置7、8にそのまま表示されるようになっている。具体的には、医者3の右手側の内視鏡カメラ5の情報は、映像表示装置7の向かって右側に表示され、医者3の左手側の内視鏡カメラ6の情報は、映像表示装置7の向かって左側に表示される。
【0018】
また、医者4の左手側の内視鏡カメラ5の情報は、映像表示装置8の向かって左側に表示され、医者4の右手側の内視鏡カメラ6の情報は、映像表示装置8の向かって右側に表示される。
【0019】
つまり、映像表示装置7、8は、内視鏡カメラ5、6の情報が対向位置に表示されるが、医者3、4の実感にそくした表示となっている。したがって、映像表示装置7においては、患者2の左手側が下方に表示され、逆に映像表示装置8においては、患者2の右手側が下方に表示された状態となっている。
【0020】
また、映像表示装置7においては、内視鏡カメラ5の映像が右側、内視鏡カメラ6の映像が左側に表示され、逆に、映像表示装置8においては、内視鏡カメラ5の映像が左側、内視鏡カメラ6の映像が右側に表示されている。
【0021】
いずれにせよ、映像表示装置7、8は、内視鏡カメラ5、6の情報が対向位置に表示されるが、医者3、4の実感にそくした表示となっている。
【0022】
さらには、本実施形態の映像表示装置7、8では、図1に示すように、内視鏡カメラ5、6からの映像を左右2画面に表示した上に、さらに3画面目の表示画面7a、8aを有しており、この表示画面7a、8aには、サブ表示として、例えば、患者の心電図等のモニター画面を表示している。
【0023】
このように1つの映像表示装置に、手術映像および、心電図等の情報を映し出すことで、医者は、視線をあちこちに移すことなく、視線を映像表示装置に集中した状態で手術を行うことができるのである。
【0024】
前記映像表示装置7、8は、同一構成となっており、図2から図4に示すように本体ケース9の前面側に表示部10が設けられ、さらに、この本体ケース9の下面側には複数の入力端子11、12、13、14、15が設けられている。このうち、入力端子11は、セパレートおよびコンポジット映像端子で、12はコンポーネント映像端子で、13はRGB端子、14はSDI端子(シリアル・デジタル・インターフェース)、15はDVI端子(デジタル・ビジュアル・インターフェース)となっている。
【0025】
そして、前記内視鏡カメラ5、6は、SDI端子14の異なる端子に接続されている。また、後で詳細に説明するが、例えば心電図は、パソコン(図示せず)からRGB端子13に供給されるようになっている。
【0026】
図5は、制御ブロック図を示し、前記内視鏡カメラ5、6および、心電図が入力される入力部16と、この入力部16が接続された画像信号変換部17が接続された表示画像生成部18と、これらの画像信号変換部17、表示画像生成部18を操作する操作部19と、前記表示部10と、を備えている。
【0027】
この図5以降、入力1は、内視鏡カメラ5からの入力を示し、入力2は内視鏡カメラ6からの入力を示し、入力3は心電図を示すものとする。
【0028】
まず、入力部16では、入力3がアナログデータであるので、入力1、2と同じくデジタルデータに変換する。
【0029】
また、その状態で図6に示すごとく、入力1を受けたSDIレシーバ20からは、垂直同期信号1、水平同期信号1、クロック1(74.176MHz)、有効領域信号1、画像データ1が画像信号変換部17に出力される。
【0030】
さらに、入力2を受けたSDIレシーバ21からは、垂直同期信号2、水平同期信号2、クロック2(74.176MHz)、有効領域信号2、画像データ2が画像信号変換部17に出力される。
【0031】
さらにまた、入力3を受けた画像信号用A/D変換処理器22からは、垂直同期信号3、水平同期信号3、クロック3(162MHz)、有効領域信号3、画像データ3が画像信号変換部17に出力される。
【0032】
なお、上記有効領域信号は、画像データの表示画面上における水平及び垂直方向の有効領域を示す信号となっている。
【0033】
このような信号を受けた画像信号変換部17は、図7に示すような構成になっている。
【0034】
すなわち、垂直同期信号1と、水平同期信号1は、同期再設定部23に入力され、また、クロック1、有効領域信号1、画像データ1は、非同期FIFO部24に入力される。
【0035】
さらに、垂直同期信号2と、水平同期信号2は、同期再設定部25に入力され、また、クロック2、有効領域信号2、画像データ2は、非同期FIFO部26に入力される。
【0036】
さらにまた、垂直同期信号3と、水平同期信号3は、同期再設定部27に入力され、また、クロック3、有効領域信号3、画像データ3は、非同期FIFO部28に入力される。
【0037】
また、同期再設定部23、25、27からは、垂直、水平同期信号が第1画面用入力選択部29と、第2画面用入力選択部30、および、第3画面用入力選択部30a、に供給される。なお、第1画面用入力選択部29は、表示部10の右側の画面を設定するものであり、第2画面用入力選択部30は、表示部10の左側の画面を設定するものであり、第3画面用入力選択部30aは、詳細は後述するが、心電図などの監視装置からの映像を補助的に表示する第3画面用に用いられるものである。
【0038】
さらにまた、非同期FIFO部24、26、28からは、映像情報が第1画面用入力選択部29、第2画面用入力選択部30、第3画面用入力選択部30a、に供給されるようになっている。
【0039】
また、第1画面用入力選択部29から図5の表示画像生成部18へは、第1画面用画像データとして、第1画面用垂直同期信号、第1画面用水平同期信号、第1画面用データイネーブル、第1画面用画像データが供給されるようになっている。
【0040】
また、第2画面用入力選択部30から図5の表示画像生成部18へは、第2画面用画像データとして、第2画面用垂直同期信号、第2画面用水平同期信号、第2画面用データイネーブル、第2画面用画像データが供給されるようになっている。
【0041】
また、第3画面用入力選択部30aから図5の表示画像生成部18へは、第3画面用画像データとして、第3画面用垂直同期信号、第3画面用水平同期信号、第3画面用データイネーブル、第3画面用画像データが供給されるようになっている。
【0042】
なお、この図7の操作部19は、図1で示したように映像表示装置7、8の左右にどのように映像を表示させるかを設定するものであり、さらには、上述した第3画面の表示設定に用いられるものである。
【0043】
図8は、同期再設定部23、25、27の動作を説明するものであって、本実施形態においては、クロック1、2が74.176MHzであったものを、この図8に示すごとく、150MHzでラッチをし直すものである。
【0044】
つまり、クロック1、2とも150MHzとなり、この150MHzで垂直同期信号1、2および、水平同期信号1、2をラッチし直している。
【0045】
具体的には、図8(a)は、クロック1、2を示しており、垂直同期信号は、1画面の同期を取るものであるので、その立ち上がりと水平同期信号の立ち上がりを合わせる必要がある。しかし、その状態で図8(b)のごとく、150MHzで単にラッチし直すと、垂直同期信号と水平同期信号の立ち上がりがずれてしまう。
【0046】
そこで、図9に示すごとく垂直同期信号と水平同期信号の立ち上がりのずれをエッジ検出パルスにより検出し、このエッジ検出パルスを位相誤差よりも大きく遅延させてラッチし直すことにより垂直同期信号と水平同期信号の立ち上がりを合わせることができる。
【0047】
逆に、クロック3は、162MHzであったので、これも同期再設定部27で150MHzでラッチし直し、垂直同期信号3と水平同期信号3の立ち上がりを合わせた状態としている。
【0048】
図10は、非同期FIFO部24、26、28の動作を示すものである。図7の画像データ1、2、3はいずれもR10ビット、G10ビット、B10ビットの合計30ビット幅で画像データバス拡張部31に供給され、偶数画素データ(30ビット)と奇数画素データ(30ビット)とに分離され、その状態で非同期FIFO部24、26、28に供給される。また、図7のクロック1および、有効領域信号1は、ライト制御部32に供給され、ライトイネーブルが非同期FIFO部24、26、30に供給される。
【0049】
上述のごとく、同期再設定部23、25、27では、150MHzのクロックでラッチし直されているので、この非同期FIFO部24、26、28も150MHzでラッチし直され、それにより非同期FIFO部24、26、28からは、第1画面用入力選択部29、第2画面用入力選択部30に向けてデータイネーブル、偶数画素データ(30ビット)、
奇数画素データ(30ビット)が供給される。図11は、偶数画素データ(30ビット)、
奇数画素データ(30ビット)を形成するための状態を示しており、図11(a)は、入力部16からの出力を示している。つまり、画像データ1は、30ビット幅で画素0、1、2、3・・・、N、N+1・・・とシリーズに供給されている。これを、図11(b)に示すごとく、偶数画素データ(30ビット)と、奇数画素データ(30ビット)に分離することで、表示画像生成部18における処理スピードを高めるようにしている。
【0050】
このように、同期再設定部27で用いられる、入力部16からの入力信号の同期信号を同期させる周波数は150MHzとなっており、この周波数は入力部16からの画素データに同期したクロックの最大周波数162MHz以下の周波数となっている。そして、上述のように30ビットの画素データは、30ビットの偶数画素と、30ビットの奇数画素に分離して、並行処理されるので、処理スピードは、実質的にはほぼ2倍になる。つまり、150MHzの2倍の300MHzまでの入力部16の画素データ同期周波数に対して、入力処理が可能となるのである。
【0051】
なお、図11(b)において、ライトイネーブルが画素データ2〜Nにだけ存在するのは、図11(a)に示すごとく、画素データ2〜Nにだけ有効領域信号が存在しているからである。
【0052】
図12は、表示画像生成部18を示しており、第1画面用入力選択部29からは、データイネーブルと、偶数画素データ(30ビット)、奇数画素データ(30ビット)が第1画面用ラインメモリ33と、第1画面用ラインメモリ34に入力される。つまり、本実施形態においては図1に示すごとく、映像表示装置7に配置を換えた表示をさせるためにこれらの第1画面用ラインメモリ33と、第1画面用ラインメモリ34が設けられているものであり、これらの第1画面用ラインメモリ33と、第1画面用ラインメモリ34は、ラインメモリ制御部35に出力がなされる。
【0053】
また、映像表示装置8に配置を換えた表示をさせるために、第2画面用ラインメモリ36と、第2画面用ラインメモリ37が設けられており、これらの第2画面用ラインメモリ36と、第2画面用ラインメモリ37からもラインメモリ制御部35に出力がなされる。
【0054】
また、第3画面に表示をさせるために、第3画面用ラインメモリ36aと、第3画面用ラインメモリ37aが設けられており、これらの第3画面用ラインメモリ36aと、第3画面用ラインメモリ37aからもラインメモリ制御部35に出力がなされる。
【0055】
また、ラインメモリ制御部35からは、画像形成部38に出力がなされ、この画像形成部38では、表示部10に1枚の画面を映し出すための、サイズ変換および、レート変換が行われる。そして、このようにして作成された1枚の画面は一旦フレームメモリ39に記憶され、再び画像形成部38を介して画質処理部40に供給され、ここで色合い調整や、RGB信号への統一化などが行われ、続いて差動信号変換部41で1、0信号の差動信号化が行われた後に表示部10に出力がなされる。
【0056】
なお、この図12における42はクロックジェネレータで、信号処理のための画像処理クロックは上述のごとく150MHzで供給され、また、画像形成部38および、画質処理部40には、パネル表示用クロックとして132MHzが供給されている。
【0057】
以上のごとく、本実施形態においては、内視鏡カメラ5、6の映像および心電図を映像表示装置7、8に、医者3、4が自分と患者2および、内視鏡カメラ5、6との配置関係をそれぞれ実感できるように映し出すことができ、しかも、その際、同期信号の周波数が合わないものであっても、それを同期再設定することで鮮明画像として映し出すことができるものである。
【0058】
このため、医者3、4は、それぞれ患者2を介して対向する映像表示装置7、8を目視しながら適切な治療が行えるものである。
【0059】
なお、本実施形態においては、1画素を30ビットとしているが、この限りではなく、1画素は、24ビットなどの他のビット数であってもよい。
【0060】
また、本実施形態においては、第1画面用入力選択部29や、第2画面用入力選択部30の前段の非同期FIFO部24,26,28にて、有効画素データが偶数画素データと奇数画素データに分けて処理されたが、第1画面用入力選択部29や、第2画面用入力選択部30の後段にて、有効領域を再設定することにより、表示画像の最適化(切り取り)を行ってもよい。
【0061】
以上の説明で本実施形態における、基本的な構成及び作用が理解されたところで、以下、本実施形態における特徴点について説明をする。
【0062】
本実施形態においては、図1に示すように、上述した2つの内視鏡カメラの映像のほかに、心電図などの監視装置等の情報や、手術前の患部を写した静止画や、動画などを第3画面に表示することで、3画面を同時に映し出すことが可能となるように構成されている。
【0063】
また、このような医療用画像においては、患部の画質の解像度の向上や、画面のちらつきを低減するために、インターレースされた2フィールドの画像を1つの画像に合成するプログレッシブ変換が行われるが、この変換の前処理として、この変換の前処理として、画像の動き検出を行い、画像が静止画か、動画かを判定した上で、判定結果に対応したプログレッシブ変換を行う構成となっている。
【0064】
図13に画像形成部(図12の38)の内部ブロック図を示す。
【0065】
画像形成部(図12の38)の内部には、第1、2画面のフレーム映像の動き検出を行う第1、2画面用動き検出部43があり、フレームメモリ(図12の39)に格納された、第1画面用画像データと、第2画面用画像データと、が、メモリコントローラ44に制御されて、第1、2画面用動き検出部43に入力される。
【0066】
次に、第1、2画面用動き検出部43では、従来技術としてのフレーム映像間の動き検出、いわゆるフレーム映像データ全体を比較しての動き検出を行い、動き度合いを判定し、この判定結果に対応したプログレッシブ変換を、フレームレート変換部45で行う構成となっている。
【0067】
さらには、画像形成部(図12の38)の内部には、第1、2画面用動き検出部43とは別に、第3画面に表示する映像の動き検出を行う第3画面用動き検出部46があり、フレームメモリ(図12の39)に格納された、第3画面用画像データが、メモリコントローラ44に制御されて、第3画面用動き検出部46に入力される。
【0068】
次に、第3画面用動き検出部46では、フレーム映像間の動き検出、いわゆるフレーム映像データを比較しての動き検出を行い、動き度合いを判定し、この判定結果に対応したプログレッシブ変換を、フレームレート変換部45で行う構成となっている。
【0069】
ここで特筆すべき内容として、この第3画面用動き検出部46での動き検出の手段は、先に説明した第1、2画面用動き検出部43での動き検出手段とは以下の点において異なることである。
【0070】
この相違点としては、第1、2画面用動き検出部43での動き検出手段が、図14のごとく、2つの連続したフレームN映像データ47a、47bと、フレーム(N+1)映像データ48a、48bとの、フィールド1(奇数フィールド)同士、フィールド2(偶数フィールド)同士の映像データ全体を比較して、動き検出を行うものである。
【0071】
これに対して、第3画面用動き検出部46での動き検出手段は、上記2つの連続したフレーム映像データ全体を比較するのではなく、比較点を設定して、フレーム映像データ全体を比較するのではなく、離散的に比較していることである。
【0072】
図15に、この動き検出におけるフレームデータの比較のしかたについて説明する。
【0073】
図15に示した画面イメージは、フルHD、すなわち、水平方向1920画素、垂直方向1080画素のフレーム画面におけるインターレースされたフィールド映像データ(水平方向1920画素、垂直方向540画素)49を図示したものである。
【0074】
本実施の形態では、このフレーム映像データを、水平方向、垂直方向にそれぞれ8分割し、8*8の格子状に分割した状態で、このそれぞれの格子点50の近傍の画素群51のデータを、連続したフレーム映像データ間で比較することで動き検出を行い、このフィールド映像データで構成されるフレーム映像が、動画か、静止画かの判定をするものである。
【0075】
次に、その比較の仕方について、より具体的に説明をする。
【0076】
図16は、図15における比較点である画素群51を拡大したものである。
比較点としての画素群51は、格子点50より、水平方向に8画素、垂直方向に2ラインの計16画素より構成されている。それぞれの画素のデータは、Y(輝度)、色差(Cb、Cr)より構成されている。
【0077】
次に、上述した16画素より構成される画素群51について、4画素ずつの組み合わせを形成する。この組み合わせ方としては、0ラインの0画素と1画素と、1ラインの0画素と1画素の計4画素を組み合わせた第1の画素組51aと、0ラインの1画素と2画素と、1ラインの1画素と2画素の計4画素を組み合わせた第2の画素組51bと、0ラインの2画素と3画素と、1ラインの2画素と3画素の計4画素を組み合わせた第3の画素組51cと、0ラインの3画素と4画素と、1ラインの3画素と4画素の計4画素を組み合わせた第4の画素組51dと、0ラインの4画素と5画素と、1ラインの4画素と5画素の計4画素を組み合わせた第5の画素組51eと、0ラインの5画素と6画素と、1ラインの5画素と6画素の計4画素を組み合わせた第6の画素組51fと、0ラインの6画素と7画素と、1ラインの6画素と7画素の計4画素を組み合わせた第7の画素組51gと、0ラインの7画素と水平方向の次の画素群の0画素と、1ラインの7画素と水平方向の次の画素群の0画素の計4画素を組み合わせた第8の画素組51hと、計8つの画素組(51a〜51h)についてフィルタリング処理を行い、8つのフィルタリング値を生成する。
【0078】
なお、第8の画素組51hは、格子点50からの水平方向に8番目の7画素と、9番目の水平方向の次の画素群の0画素を組み合わせたが、具体的な組み合わせとしては、9番目の水平方向の次の画素群の0画素を用いないで、格子点50からの水平方向に8番目の7画素を重複して組み合わせても良いし、あるいは、所定の固定値を組み合わせたのでも良い。これは、この機能をデジタル回路で構成した場合において、2の3乗である8画素単位で構成したほうが、回路構成がより簡素化できるためである。
【0079】
次に、このフィルタリングの演算について説明するが、上述したように、各画素のデータは、Y(輝度)、色差(Cb、Cr)より構成されており、この中のY(輝度)成分について、それぞれの画素組(51a〜51h)の、4つの画素のY(輝度)データの平均値を求めて、その平均値を画素組のデータとして用いることになる。つまり、8*8=64の格子点(50)において画素群51が設定され、この画素群51は、さらに8つの画素組(51a〜51h)に設定され、これら8つの画素組(51a〜51h)それぞれについてフィルタリング値をもつことになるので、1つのフィールド映像について、8*8*8=512の比較点を持つことになるのである。
【0080】
なお、このY(輝度)成分については、10ビット幅のデジタルデータとなっているが、入力信号のノイズの影響を除去するために、下位8ビットをマスクして上位2ビットのみについてフィルタリング処理を行うようにしている。
【0081】
以上の説明で本実施形態における、フレーム映像間の比較点の設定と、この比較点における比較データの算出のしかたとしてのフィルタリングについて理解されたところで、どのように動画か、静止画かの判定を行ったかについて説明をする。
【0082】
この説明には、図17に示す第3画面用動き検出部(図13の46)の機能ブロック図と、図18に示す、この機能ブロックでの処理を時系列に表したフローチャートを用いて説明する。
【0083】
図17に示すように、第3画面用動き検出部(図13の46)に入力された第3画面用の画像データは、フレーム単位にメモリに格納される。これらのフレーム映像の、奇数フレーム映像の第1のフィールド映像は、第1のフレームメモリ54aに、偶数フレーム映像の第1のフィールド映像は、第2のフレームメモリ54bに、奇数フレーム映像の第2のフィールド映像は、第3のフレームメモリ54cに、偶数フレーム映像の第2のフィールド映像は、第4のフレームメモリ54dに順次格納されることになる。
【0084】
この状態において、比較点設定手段55では、上述したフィールド映像単位に、格子状に映像データを分割し、この格子点において比較点を設定する。
【0085】
次に、上述した比較点において、フィルタリングした比較値を算出し、奇数フレーム同士の比較を行う第1の比較手段56aと、偶数フレーム同士の比較を行う第2の比較手段56bにおいて比較を行い、次に、これら比較手段での結果に基づき、連続したフィールド映像が、静止画か、動画かについて判定を行う判定手段57によって構成されている。
【0086】
この図17に示す機能ブロック構成において、時系列の処理を図18のフローチャートを用いて説明する。
【0087】
第1の工程S1においては、比較点設定手段(図17の55)において、フィールド映像の比較点を設定する。本実施の形態においては、フィールド映像を水平方向、垂直方向にそれぞれ8分割し、8*8の格子状に分割し、各格子点において8つの比較値をもっているので、1フィールド映像につき、計512の比較点で比較することになる。
【0088】
このようにフィールド映像の分割数、および、比較点の数を2のn乗の数になるように設定することで、ビット単位でのデジタル設計が容易になるので、処理および、回路規模を簡素化できることになる。
【0089】
次に、第2の工程S2においては、奇数フレーム同士の比較を行う第1の比較手段56aあるいは、偶数フレーム同士の比較を行う第2の比較手段56bにおいて、1フレーム映像間の上述した512の比較点においてそれぞれ比較を行い、比較結果が所定の値(本実施の形態においては4点)よりも大きいかどうかを判定し、比較結果が所定の値よりも大きい場合には、比較したフレーム映像同士は動画であるという判定をする。
【0090】
次に、第3の工程S3においては、判定手段(図17の57)において、前記判定に基づき、比較した2枚の連続したフレーム映像は、動画であると判定し、判定手段(図17の57)が有する動画判定カウンタを1つカウントアップし、静止画判定カウンタをクリアーする。
【0091】
次に、第4の工程S4においては、判定手段(図17の57)において、上述した動画判定カウンタが所定の値よりも大きいかどうかを確認し、大きい場合には、比較したフレーム映像は、動画であるという判定を行う。
【0092】
次に、静止画かどうかの判定については、上述した第2の工程S2において、判定手段(図17の57)は、512の比較点において、比較結果が所定の値(本実施の形態においては4点)以下の場合には、第5の工程において、判定手段(図17の57)は、前記判定に基づき、比較した2枚の連続したフレーム映像は、静止画であると判定し、判定手段(図17の57)が有する静止画判定カウンタを1つカウントアップし、動画判定カウンタをクリアーする。
【0093】
次に、第6の工程S6においては、判定手段(図17の57)において、上述した静止画判定カウンタが所定の値よりも大きいかどうかを確認し、大きい場合には、比較したフレーム映像は、静止画であるという判定を行う。
【0094】
本実施形態においては、静止画か動画かの判定基準について、フィールド単位の比較点について、4フィールド映像データ間で所定以上の差異があった場合に、動画であるという判定を行っているが、これは、連続した2フレームの映像を比較することになる。
【0095】
すなわち、1フレームの映像データは、2フィールド映像データで構成されているので、結果として2回連続してフレーム映像に所定以上の差異が発生した場合において、これらフレーム映像は、動画であるという判定をすることになるのである。
【0096】
また、動画の判定については、誤った判定を防ぐために、第7の工程S7によるリトライ判定を行っている。
【0097】
このリトライ判定については、まず、動画であると1回判定した場合は、上述した格子点を水平方向に所定の画素数分オフセットさせて、比較する点をオフセットしてずらせた状態で、これら比較点についてS1以降の同様な判定を再度行っていく。この再判定の結果、静止画であると判定した場合に、最終的な静止画としての判定をすることになる。
【0098】
以上のように本発明の実施の形態によると、映像信号のフレーム間の動きを検出する処理として、比較すべきデータを点として、すなわち離散的に設定することで、比較するデータ量を削減し、その処理を簡素化することで負荷を低減することができる。
【0099】
したがって、例えば医療用の映像表示装置において、本実施の形態のごとく、手術の画面である内視鏡の映像を主の2画面に表示し、サブの補助的な画面として、手術前の静止画や動画映像等を映し出す場合において、上述したような動き検出の処理を行うことで、この補助的な第3の画面に映し出す映像信号の処理を簡素化でき、全体の映像処理の負荷を軽減することが可能となるので、極めて有効となるものである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように本発明は、本体ケースと、この本体ケースに設けられた入力端子と、この入力端子から入力された映像信号を取り込む入力部と、この入力部からの映像信号のフレーム間の映像データを比較して、この映像が静止画であるか動画であるかを判定する動き検出手段を有し、この動き検出手段の判定結果に基づき表示画像を生成する表示画像生成部と、この表示画像生成部からの表示画像を表示する表示部と、を備え、前記動き検出手段は、映像信号のフレーム間の映像データの比較点設定手段と、この比較点において映像データを比較する比較手段と、この比較手段の結果から映像が静止画であるか動画であるかを判定する判定手段と、を有する構成としたものであるので、処理を簡素化し、その負荷を低減することができる。
【0101】
すなわち、本発明においては、映像信号のフレーム間の動きを検出する処理として、比較すべきデータを点として設定することで、比較するデータ量を削減し、その処理を簡素化することで負荷を低減することができるのである。
【0102】
したがって、医療用の映像表示装置において、複数の異なる入力映像信号それぞれに対して、その動き検出処理を行い、複数の表示画面に同時に表示を行う場合において、極めて有効となるものである。
【0103】
したがって、例えば、医療用の映像表示装置として、広く活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0104】
1 手術台
2 患者
3、4 医者
5、6 内視鏡カメラ
7、8 映像表示装置
9 本体ケース
10 表示部
11 セパレート/コンポジット映像端子
12 コンポーネント映像端子
13 RGB端子
14 SDI端子(シリアル・デジタル・インターフェース)
15 DVI端子(デジタル・ビジュアル・インターフェース)
16 入力部
17 画像信号変換部
18 表示画像生成部
19 操作部
20 SDIレシーバ
21 SDIレシーバ
22 画像信号用A/D変換処理器
23 同期再設定部
24 非同期FIFO部
25 同期再設定部
26 非同期FIFO部
27 同期再設定部
28 非同期FIFO部
29 第1画面用入力選択部
30 第2画面用入力選択部
31 画像データバス拡張部
32 ライト制御部
33 第1画面用ラインメモリ
34 第1画面用ラインメモリ
35 ラインメモリ制御部
36 第2画面用ラインメモリ
37 第2画面用ラインメモリ
38 画像形成部
39 フレームメモリ
40 画質処理部
41 差動信号変換部
42 クロックジェネレータ
43 第1、2画面用動き検出部
44 メモリコントローラ
45 フレームレート変換部
46 第3画面用動き検出部
47 2つの連続したフレームN映像データ47
48 フレーム(N+1)映像データ
49 フィールド映像データ(水平方向1920画素、垂直方向540画素)
50 格子点
51 画素群
51a 第1の画素組
51b 第2の画素組
51c 第3の画素組
51d 第4の画素組
51e 第5の画素組
51f 第6の画素組
51g 第7の画素組
51h 第8の画素組
54a 第1のフレームメモリ
54b 第2のフレームメモリ
54c 第3のフレームメモリ
54d 第4のフレームメモリ
55 比較点設定手段
56a 第1の比較手段
56b 第2の比較手段
57 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、この本体ケースに設けられた入力端子と、この入力端子から入力された映像信号を取り込む入力部と、
この入力部からの映像信号のフレーム間の映像データを比較して、この映像が静止画であるか動画であるかを判定する動き検出手段を有し、この動き検出手段の判定結果に基づき表示画像を生成する表示画像生成部と、
この表示画像生成部からの表示画像を表示する表示部と、を備え、
前記動き検出手段は、映像信号のフレーム間の映像データの比較点設定手段と、この比較点において映像データを比較する比較手段と、この比較手段の結果から映像が静止画であるか動画であるかを判定する判定手段と、を有する構成とした映像表示装置。
【請求項2】
前記表示画像生成部の動き検出手段は、比較手段の結果に応じて、映像入力信号のフレーム間の映像データの比較点を可変とする比較点可変手段をさらに有する請求項1に記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記比較点設定手段で設定される比較点は、フレーム映像信号を構成するフィールド映像の垂直方向および、水平方向の画素を所定の分割数で格子状に分割し、これらの格子点付近の画素を比較点とする構成とした請求項1または2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記分割数は、2のn乗となる分割数とした請求項3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記入力部は、複数の映像信号を入力する構成とした請求項1から4のいずれか一つに記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記表示部は、複数の表示画面を表示する構成とした請求項1から5のいずれか一つに記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−197057(P2011−197057A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60611(P2010−60611)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】