説明

映像記憶装置および映像記憶制御方法

【課題】映像ストリームの取得と並行して、分割された映像ストリームの関係を表すダイジェストデータを生成できる。
【解決手段】映像取得部は、映像ストリームを順次取得する。記憶切換部180は、映像ストリームの少なくとも一部をそれぞれ記憶する複数の記憶媒体170のうちの記憶先となる所定の記憶媒体170aの残り記憶容量に基づいて、映像ストリームの記憶先を切り換える。ダイジェスト抽出部138は、映像ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンを検出し、ダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出する。記憶制御部182は、切換先の記憶媒体170bに記憶された映像ストリームに関して抽出されたダイジェストデータを、所定の記憶媒体に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像ストリームを複数の記憶媒体に跨って記憶することが可能な映像記憶装置および映像記憶制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、映像データを記憶媒体に記憶する際、1つの記憶媒体では容量が足りずに複数の記憶媒体に跨ることがあった。この場合、後に、ユーザが、複数の記憶媒体のうち、いずれか1つの記憶媒体に記憶された映像データを再生しても、再生している映像データの前や後に撮像された映像データの有無や概要を把握することはできなかった。
【0003】
そこで、第1記憶部に記憶されたコンテンツを、複数のディスク記憶媒体に連続して記憶する場合に、あるディスク記憶媒体の最後に記憶されたデータを、次のディスク記憶媒体の最初にも再度記憶する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。また、映像データを分割記憶させる複数の記憶媒体のうち、1つの記憶媒体には、映像データと、その前または後に繋がる映像データとを用いて生成された代表画像とを記憶させる技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−224006号公報
【特許文献2】特開2006−294164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1、2の技術は、大容量の記憶媒体に一旦保持させた映像データを事後的に分割して、複数の記憶媒体にそれぞれ記憶させる場合に用いることはできるが、撮像中、記憶媒体の記憶容量を超える前に、それを察知し、複数の記憶媒体に跨って、リアルタイムに取得された映像ストリームを分割記憶させる構成においては適用できない。
【0006】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、映像ストリームの取得と並行して、分割された映像ストリームの関係を表すダイジェストデータを生成可能な、映像記憶装置および映像記憶制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の映像記憶装置(100)は、映像ストリームを順次取得する映像取得部と、前記映像ストリームの少なくとも一部をそれぞれ記憶する複数の記憶媒体(170)のうちの記憶先となる所定の記憶媒体(170a)の残り記憶容量に基づいて、前記映像ストリームの記憶先を切り換える記憶切換部(180)と、前記映像ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンを検出し、前記ダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出するダイジェスト抽出部(138)と、切換先の前記記憶媒体(170b)に記憶された映像ストリームに関して抽出された前記ダイジェストデータを、前記所定の記憶媒体(170a)に記憶させる記憶制御部(182)とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記記憶制御部(182)は、前記所定の記憶媒体(170a)に記憶された映像ストリームに関して抽出された前記ダイジェストデータを、前記切換先の記憶媒体(170b)に記憶させてもよい。
【0009】
前記記憶切換部(180)は、前記所定の記憶媒体(170a)に記憶可能な容量の残量が所定の容量以下になると、前記映像ストリームの記憶先を切り換えてもよい。
【0010】
前記所定の容量は、前記切換先の記憶媒体(170b)の残り記憶容量に、予め定められた係数を乗算して求めてもよい。
【0011】
前記所定の記憶媒体(170a)が前記映像記憶装置(100)に接続されているか否か判定する接続判定部(184)をさらに備え、前記記憶制御部(182)は、前記切換先の記憶媒体(170b)に記憶された映像ストリームに関するダイジェストデータを前記所定の記憶媒体(170a)に記憶する前に、前記切換先の記憶媒体(170b)を識別する識別子を前記所定の記憶媒体(170a)に記憶し、前記所定の記憶媒体(170a)に前記ダイジェストデータが記憶される際、前記接続判定部(184)が前記所定の記憶媒体(170a)が接続されていないと判定すると、前記切換先の記憶媒体(170b)に記憶された映像ストリームに関するダイジェストデータの記憶を停止し、その後、前記接続判定部(184)が前記所定の記憶媒体(170a)が接続されていると判定すると、前記所定の記憶媒体(170a)に記憶された前記識別子に基づいて特定される前記切換先の記憶媒体(170b)に記憶された映像ストリームに関するダイジェストデータを前記所定の記憶媒体(170a)に記憶させてもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の映像記憶制御方法は、映像ストリームを取得し、複数の記憶媒体のうちの記憶先となる所定の記憶媒体(170a)の残り記憶容量に基づいて、前記映像ストリームの記憶先を切り換え、前記映像ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンを検出し、前記ダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出し、切換先の前記記憶媒体(170b)に記憶された映像ストリームに関して抽出された前記ダイジェストデータを、前記所定の記憶媒体(170a)に記憶させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明は、映像ストリームの取得と並行して、分割された映像ストリームの関係を表すダイジェストデータを生成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】映像記憶装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図2】映像記憶制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】接続判定に基づく記憶処理を説明するための説明図である。
【図4】複数の記憶媒体に相互にダイジェストデータを記憶させる処理を説明するための説明図である。
【図5】映像再生装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
(映像記憶装置100)
図1は、映像記憶装置100の概略的な構成を示した機能ブロック図である。映像記憶装置100は、操作部120と、撮像部122と、データ処理部124と、マイク126と、バッファ部128と、表示部130と、スピーカ132と、圧縮伸長部134と、記憶読取部136(図1における136a、136b)と、複数の記憶媒体170(図1における170a、170b)と、ダイジェスト抽出部138と、中央制御部140とを含んで構成される。
【0017】
本実施形態において、映像記憶装置100は、撮像部122を備える撮像装置を例に挙げて説明するが、電波やインターネットを経由して放送された映像ストリームを順次(リアルタイムに)取得して記憶する、例えば、放送された映像ストリームを記憶する据え置き型のHDD(Hard Disk Drive)レコーダやビデオレコーダ等であってもよい。
【0018】
操作部120は、レリーズスイッチを含む操作キー、十字キー、ジョイスティック等で構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。また、後述する表示部130の表示面にタッチパネルを配し、操作部120としてもよい。
【0019】
撮像部122は、映像取得部として機能し、撮像レンズ150と、画角変更に用いられるズームレンズ152、焦点調整に用いられるフォーカスレンズ154と、露光調整に用いられるアイリス(絞り)156と、撮像レンズ150を通じて入射した光束を映像ストリームに光電変換する撮像素子158と、中央制御部140の制御信号に応じて、ズームレンズ152、フォーカスレンズ154、およびアイリス156をそれぞれ駆動させる駆動部160とを含んで構成され、被写体を撮像して映像ストリームを生成してデータ処理部124に出力する。
【0020】
データ処理部124は、撮像部122から出力された映像ストリームに所定の処理を施し、処理後の映像ストリームをバッファ部128に出力する。マイク126は、音声等の空気振動を音声ストリームに変換し、バッファ部128に出力する。
【0021】
バッファ部128は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD等で構成される。表示部130は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成される。スピーカ132は、音声ストリームを音声として出力する。
【0022】
圧縮伸長部134は、バッファ部128に保持された映像ストリームおよび音声ストリームをそれぞれ所定の符号化方式で符号化し統合して符号化データストリームを生成する。また、圧縮伸長部134は、記憶読取部136が記憶媒体170から読み取った符号化データストリームを復号し、映像ストリームと音声ストリームに分離してバッファ部128に出力する。
【0023】
複数の記憶読取部136は、圧縮伸長部134が生成した符号化データストリームを、接続された記憶媒体170に記憶させる。また、記憶読取部136は、符号化データストリームが記憶された記憶媒体170から符号化データストリームを読み取り、圧縮伸長部134に出力する。
【0024】
複数の記憶媒体170は、DVDやBD(Blu-ray Disc)といった光ディスク媒体や、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等の媒体で構成され、可換型であって、符号化データストリームの少なくとも一部をそれぞれ記憶する。ここで、複数の記憶媒体170はそれぞれ着脱可能である。
【0025】
記憶読取部136a、136bのいずれか一方に記憶媒体170が接続されている場合、接続されている方の記憶読取部136が記憶処理に用いられる。記憶読取部136a、136bの両方に記憶媒体170が接続されている場合、記憶読取部136a、136bのいずれか一方が優先的に記憶処理に用いられるように予め設定されている。この設定はユーザが事後的に変更できる。
【0026】
ダイジェスト抽出部138は、映像ストリームおよび音声ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンを検出し、ダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出する。
【0027】
中央制御部140は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、映像記憶装置100全体を管理および制御する。また、中央制御部140は、記憶切換部180と、記憶制御部182、接続判定部184としても機能する。
【0028】
記憶切換部180は、複数の記憶媒体170a、170bのうちの記憶先となる所定の記憶媒体170a(以下、単に記憶媒体170aと称す)の残り記憶容量に基づいて、符号化データストリームの記憶先を切り換える。
【0029】
記憶制御部182は、切換先の記憶媒体170b(以下、単に記憶媒体170bと称す)に記憶された符号化データストリームに関して抽出されたダイジェストデータを、記憶媒体170aに記憶させる。接続判定部184は、記憶媒体170aが映像記憶装置100に接続されているか否かを判定する。
【0030】
(映像記憶制御処理)
続いて、上述した映像記憶装置100を用いた映像記憶制御処理(方法)について説明する。図2は、映像記憶制御方法の処理の流れを示すフローチャートである。以下の説明では、予め記憶媒体170a、170bが記憶読取部136a、136bに接続されており、記憶媒体170bより先に記憶媒体170aに対する記憶処理が行われているとする。
【0031】
(ストリーム取得処理)
操作部120を通じて、撮像(記憶も含む)を実行するユーザ入力があると(S300におけるYES)、撮像部122は、被写体を撮像して映像ストリームを生成してデータ処理部124に出力する。データ処理部124は、撮像部122から出力された映像ストリームに、ホワイトバランス調節、ノイズ軽減処理、レベル補正処理、A/D変換処理および色彩補正処理(ガンマ補正処理、ニー処理)等の所定の処理を施し、処理後の映像ストリームをバッファ部128に出力する。マイク126は、音声等の空気振動を音声ストリームに変換し、バッファ部128に出力する(S302)。
【0032】
バッファ部128は、データ処理部124から入力された映像ストリームを一時的に保持する。また、バッファ部128は、マイク126から入力された音声ストリームを一時的に保持する(S304)。
【0033】
表示部130は、データ処理部124および圧縮伸長部134が出力しバッファ部128に保持された映像ストリームを表示したり、操作部120と連動した指示項目や動作状態をOSD(On Screen Display)等で表示したりする。また、動作状態は、LED等の簡易な機構で点灯表示してもよい。
【0034】
(ストリーム符号化処理)
圧縮伸長部134は、データ処理部124から出力されバッファ部128に保持された映像ストリームを、M−JPEG(モーションJPEG)やMPEG(Moving Picture Experts Group)−2、H.264等の所定の符号化方式で符号化する。また、圧縮伸長部134は、マイク126から出力されバッファ部128に保持された音声ストリームを、MP3、AAC、Ogg Vorbis等の音声符号化方式で符号化する。そして、圧縮伸長部134は、符号化した映像ストリームと音声ストリームとを同期させて統合し、符号化データストリームを生成して記憶読取部136に出力する(S306)。
【0035】
(ストリーム記憶処理)
記憶読取部136は、圧縮伸長部134が生成した符号化データストリームを、例えば、FATやUDF等のファイル保存形式を用いて、接続された記憶媒体170aに記憶させる(S308)。本実施形態において、映像記憶装置100は、記憶読取部136a、136bの2つを備え、複数の記憶媒体170a、170bを接続できる構成とするが、かかる場合に限定されず、記憶読取部136および記憶媒体170をそれぞれ3つ以上備える構成としてもよい。
【0036】
また、記憶媒体170bは最初から接続されている場合に限らず、符号化データストリームを記憶媒体170aに記憶中、事後的に、記憶媒体170bを接続するとしてもよい。さらに、2つの記憶読取部136a、136bに対して、3つ以上の記憶媒体170を交互に入れ替えながら用いてもよい。3つ以上の記憶媒体170を用いる例については後に詳述する。
【0037】
そして、記憶制御部182は、符号化データストリームの記憶媒体170aへの記憶開始時および記憶中、圧縮伸長部134からの符号化に関する設定情報およびユーザによる設定パラメータに基づいて、ストリーム管理情報を作成し、符号化データストリームのファイルの一部または別ファイルとして、そのストリーム管理情報を記憶媒体170aに記憶させる(S310)。
【0038】
ここで、ストリーム管理情報には、シーン(ファイル)数、各シーンの名称、再生開始時間および再生終了時間、再生順等が含まれる。
【0039】
(記憶先切換処理)
記憶切換部180は、複数の記憶媒体170a、170bのうちの記憶先となる記憶媒体170aの残り記憶容量に基づいて、例えば、残りの記憶容量が少なくなると、符号化データストリームの記憶先を切り換え、記憶媒体170bへの符号化データストリームの記憶を開始する。
【0040】
まず、記憶切換部180は、記憶媒体170aに記憶可能な容量の残量が所定の容量以下であるか否かを判定する(S312)。所定の容量以下でない場合(S312におけるNO)、撮像判定ステップS300に戻って、そのまま同じ記憶媒体170aへの記憶処理を続ける。所定の容量以下である場合(S312におけるYES)、記憶切換部180は、符号化データストリームの記憶先を記憶媒体170aから記憶媒体170bに切り換える(S314)。
【0041】
かかる構成により、記憶切換部180は、記憶媒体170aに、記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータを記憶させるのに十分な記憶容量を残して、後から、そのダイジェストデータを確実に記憶させることができる。
【0042】
ここで、所定の容量は、記憶媒体170bの残り記憶容量に、予め定められた係数(例えば、5%)を乗算して求める。
【0043】
かかる構成により、記憶切換部180は、記憶媒体170bの残り記憶容量が異なる場合であっても、その残り記憶容量に対して常に所定の割合(例えば、5%)分だけ、ダイジェストデータを記憶させる記憶容量を残すことができる。そのため、記憶切換部180は、予め定められた係数を適切な値に設定しておくことで、ダイジェストデータが短すぎたり長すぎたりせず、適切な長さのダイジェストデータを記憶媒体170aに記憶させることが可能となる。
【0044】
記憶制御部182は、記憶読取部136aに符号化データストリームのファイルのクローズ処理を行わせる。また、記憶制御部182は、記憶読取部136aを制御し、上述したように、ストリーム管理情報をクローズ処理の前にそのファイルに追記させるか、または別ファイルとして記憶させる。
【0045】
(識別子記憶処理)
記憶切換部180が、符号化データストリームの記憶先を記憶媒体170aから記憶媒体170bに切り換えた後、記憶制御部182は、記憶媒体170aに対して、符号化データストリームに続きがあること(次に再生すべき符号化データストリームがあること)を示すフラグ情報と、その続きの符号化データストリームが記憶されている記憶媒体170bを識別する識別子とを、ストリーム管理情報に追記させる。加えて、記憶制御部182は、記憶媒体170bに、符号化データストリームに前編があること(事前に再生すべき符号化データストリームがあること)を示すフラグ情報と、その前編の符号化データストリームが記憶されている記憶媒体170aを識別する識別子とをストリーム管理情報に追記させる(S316)。
【0046】
そして、上述した記憶媒体170aに関する、ストリーム出力ステップS302から管理情報記憶ステップS310と同様、記憶媒体170bに関して、ストリーム出力(S318)、一時保持(S320)、符号化(S322)、ストリーム記憶(S324)、管理情報記憶(S326)の処理を行う。
【0047】
(ダイジェストデータ抽出処理)
ダイジェスト抽出部138は、映像ストリームおよび音声ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンが検出されたか否かを判定する(S328)。検出されると(S328におけるYES)、ダイジェスト抽出部138は、そのダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出する(S330)。本実施形態において、このダイジェストデータの抽出処理は、具体的に、ダイジェストシーンを特定する時間情報を取得し、そのダイジェストシーンが検出された記憶媒体170bのストリーム管理情報として記憶させる処理である。
【0048】
ここで、所定の条件は、例えば、映像ストリームから顔が検出されることであったり、音声ストリームから歓声と見なす音声が検出されることであったりする。前者の場合、ダイジェスト抽出部138は、顔検出部として機能し、映像ストリームから人の顔を検出する顔検出処理を行う。また、ダイジェスト抽出部138は、顔認証部として機能し、検出された顔と予め登録された登録顔との顔認証処理を行い、検出された顔が登録顔と同一人物と見なされることを所定条件としてもよい。後者の場合、ダイジェスト抽出部138は、音声分析を行い、例えば、音声ストリームに、所定音圧、所定周波数以上の音声が含まれると、その音声を歓声と見なして検出することとする。
【0049】
(ダイジェストデータ記憶処理)
記憶制御部182は、記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームに関して抽出されたダイジェストデータを、記憶媒体170aに記憶させる(S332)。具体的に、記憶制御部182は、記憶媒体170bに保持された、ダイジェストシーンを特定する時間情報に基づいて、例えば、その時間情報に示される時間を開始時間とした、所定の容量に相当するデータ量分、または所定時間長のダイジェストデータを、記憶読取部136bおよび圧縮伸長部134を通じて記憶媒体170bから取得する。そして、記憶制御部182は、取得したダイジェストデータを記憶媒体170aに記憶させる。
【0050】
(終了判定処理)
そして、中央制御部140は、撮像停止のユーザ入力があるか否かを判定する(S334)。撮像停止のユーザ入力がない場合(S334におけるNO)、ストリーム出力ステップS318に戻る。撮像停止のユーザ入力があると(S334におけるYES)、記憶制御部182は、記憶媒体170bに符号化データストリームのファイルのクローズ処理を行わせる。また、記憶制御部182は、記憶読取部136aを制御し、上述したように、ストリーム管理情報をそのファイルに追記させるか、または別ファイルとして記憶させる。
【0051】
(ダイジェストデータ記憶停止および再開処理)
図3は、接続判定に基づく記憶処理を説明するための説明図である。図3(a)に示すように、記憶媒体170aに符号化データストリームAが記憶され、残り記憶容量が所定の容量以下になった後、記憶媒体170bにその続きの符号化データストリームBの記憶処理が開始されたとする。このとき、記憶媒体170bに符号化データストリームを記憶中に、まだダイジェストデータが抽出されない等の理由により記憶媒体170aにダイジェストデータが記憶されないうちに、図3(b)に示すように、記憶媒体170aの映像記憶装置100への接続が解除されると、そのままでは、記憶媒体170aにダイジェストデータが記憶されないままとなってしまう。
【0052】
そこで、記憶制御部182は、上述したように、記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームに関するダイジェストデータを記憶媒体170aに記憶する前に、記憶媒体170bを識別する識別子を記憶媒体170aに記憶しておく。
【0053】
そして、記憶媒体170aにダイジェストデータが記憶される際、接続判定部184が、映像記憶装置100に記憶媒体170aが接続されていないと判定すると、記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームに関するダイジェストデータの記憶を停止する。このとき、上述したように、記憶媒体170bには、ダイジェストシーンを特定する時間情報が記憶されている。
【0054】
その後、図3(c)に示すように、接続判定部184が、改めて映像記憶装置100に記憶媒体170aが接続されていると判定すると、記憶制御部182は、図3(d)に示すように、記憶媒体170aに記憶された識別子を参照する。そして、接続されているもう一つの記憶媒体170bがその識別子で特定される記憶媒体170bである場合、その記憶媒体170bに記憶された時間情報を参照し、符号化データストリームBに関するダイジェストデータBを取得し、記憶媒体170aに記憶させる。
【0055】
かかるダイジェストデータの記憶を停止し、後に識別子に基づいて再開する構成により、記憶制御部182は、ダイジェストデータを確実に記憶媒体170aに記憶させることが可能となる。
【0056】
(ダイジェストデータ相互記憶処理)
図4は、複数の記憶媒体に相互にダイジェストデータを記憶させる処理を説明するための説明図である。上述したように、記憶制御部182は、記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームBに関して抽出されたダイジェストデータBを、記憶媒体170aに記憶させる。その上、さらに、図4に示すように、記憶制御部182は、記憶媒体170aに記憶された符号化データストリームAに関して抽出されたダイジェストデータAを、記憶媒体170bに記憶させる。
【0057】
この場合、記憶媒体170aに対する記憶処理中、ダイジェスト抽出部138がダイジェストデータを抽出すると、記憶制御部182は、そのダイジェストデータを特定する時間情報を記憶媒体170aのストリーム管理情報に追記する。そして、記憶媒体170bに対する記憶処理が開始すると(記憶媒体170bへの記憶処理が確定すると)、記憶制御部182は、記憶媒体170aのストリーム管理情報に追記された時間情報を参照し、記憶媒体170aに記憶された符号化データストリームから、ダイジェストデータを抽出して、記憶媒体170bに記憶させる。
【0058】
かかる構成により、ユーザは、記憶媒体170bを再生して視覚的に確認するだけで、記憶媒体170aに記憶された符号化データストリームの有無やコンテンツの概要を把握することが可能となる。
【0059】
(3つ以上の記憶媒体170への記憶処理)
また、映像記憶装置100は、2つの記憶読取部136a、136bに対して、3つ以上の記憶媒体170を用いることもできる。例えば、複数の記憶媒体170a、170b、170c、170dを用いる場合、符号化データストリームを記憶媒体170bに記憶中、符号化データストリームの記憶処理を終えた記憶媒体170aの代わりに記憶媒体170cを接続し、記憶媒体170bに続いて、記憶媒体170cに符号化データストリームを記憶する。同様に、符号化データストリームを記憶媒体170cに記憶中、符号化データストリームの記憶処理を終えた記憶媒体170bの代わりに記憶媒体170dを接続し、記憶媒体170cに続いて、記憶媒体170dに符号化データストリームを記憶する。
【0060】
この場合、ダイジェスト抽出部138がダイジェストデータを抽出した際、時間情報ではなくダイジェストデータ自体を、そのダイジェストデータの元となる符号化データストリームが記憶された記憶媒体170を識別する識別子と関連付けてバッファ部128に保持させる。例えば、記憶媒体170aについてのダイジェストデータがバッファ部128に保持された場合、記憶制御部182は、そのダイジェストデータを、記憶媒体170aへの記憶処理以降、連続して接続された記憶媒体170b、170c、170dに記憶させる。
【0061】
そのため、符号化データストリームの記憶処理を終えた記憶媒体170を即座に新しい記憶媒体170に切り換えるとすると、記憶媒体170aにはダイジェストデータが記憶されず、記憶媒体170bには、記憶媒体170aに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータが、記憶媒体170cには、記憶媒体170a、170bに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータが、記憶媒体170dには、記憶媒体170a、170b、170cに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータが、それぞれ記憶される。
【0062】
そして、一連の符号化データストリームの記憶が終了した後、事後的に、記憶媒体170aが接続されると、記憶制御部182は、まだ記憶されていなかった、記憶媒体170b、170c、170dに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータを追記させる。同様に、記憶制御部182は、記憶媒体170bが接続されると、記憶媒体170c、170dに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータを、記憶媒体170cが接続されると、記憶媒体170dに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータを、それぞれ追記させる。
【0063】
このように、事後的にダイジェストデータを追記するため、記憶制御部182は、それぞれの記憶媒体170a、170b、170c、170dに、互いが一連の符号化データストリームを記憶していることを示す共通識別子と、自体が何番目に記憶処理された記憶媒体170であるかを示す通し番号とを記憶させる。また、ダイジェスト抽出部138は、バッファ部128に保持させるダイジェストデータに、共通識別子と、そのダイジェストデータの元となる符号化データストリームが記憶された記憶媒体170の通し番号とを関連付けておく。
【0064】
また、この3つ以上の記憶媒体170への記憶処理では、符号データストリームの記憶先の記憶媒体170を切り換える所定の容量は、例えば、予めユーザ入力で指定された時間長のダイジェストデータに相当するデータ量分とする。
【0065】
上述したように、本実施形態の映像記憶装置100は、複数の記憶媒体170a、170bに跨って、リアルタイムに取得された映像ストリームを記憶させる構成において、複数の記憶媒体170a、170bのうち、記憶媒体170aに、他の記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームのダイジェストデータを記憶させる。そのため、ユーザは、記憶媒体170aを再生して視覚的に確認するだけで、他の記憶媒体170bに記憶された符号化データストリームの有無やコンテンツの概要を把握することが可能となる。
【0066】
(映像再生装置400)
図5は、映像再生装置400の概略的な構成を示した機能ブロック図である。映像再生装置400は、操作部420と、複数の読取部422(図5における422a、422b)と、伸長部424と、バッファ部426と、外部出力部428と、中央制御部430と、を含んで構成される。
【0067】
操作部420は、レリーズスイッチを含む操作キー、十字キー、ジョイスティック等で構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。複数の記憶媒体170a、170bには、上述したように、映像記憶装置100によって符号化データストリームと、ダイジェストデータが記憶されている。
【0068】
読取部422は、接続された記憶媒体170に記憶された符号化データストリームやダイジェストデータを読み取り、伸長部424に出力する。伸長部424は、読取部422が読み取った符号化データストリームを復号し、映像ストリームと音声ストリームに分離してバッファ部426に出力する。
【0069】
バッファ部426は、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、映像ストリームおよび音声ストリームを一時的に保持する。外部出力部428は、バッファ部426に保持された映像ストリームおよび音声ストリームを、映像の表示や音声の出力を行う映像表示装置500に出力する。
【0070】
中央制御部430は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、映像再生装置400全体を管理および制御する。また、中央制御部430は、再生制御部450としても機能する。
【0071】
再生制御部450は、読取部422aに接続された記憶媒体170aに、符号化データストリームに続きがあることを示すフラグ情報と、その続きの符号化データストリームが記憶されている記憶媒体170bを識別する識別子とが、ストリーム管理情報として記憶されているか否かを判定する。
【0072】
記憶されていて、読取部422bに記憶媒体170bが接続されている場合、再生制御部450は、記憶媒体170aに記憶された符号化データストリームの再生(読取から出力まで)を終えた際、読取部422bに、連続して、記憶媒体170bから符号化データストリームを読み取らせる。
【0073】
また、フラグ情報と記憶媒体170bを示す識別子とが記憶されているものの、読取部422bに記憶媒体170bが接続されていない場合、再生制御部450は、記憶媒体170aに記憶された、記憶媒体170bの符号化データストリームに対応するダイジェストデータを再生させる。
【0074】
このように、本実施形態の映像再生装置400によれば、符号化データストリームが複数の記憶媒体170a、170bに跨って記憶されていても、記憶先の切り換え時に、次の記憶媒体170bが接続されていれば、映像を途切れさせることなくスムーズに表示させることができる。また、次の記憶媒体170bが接続されていない場合、ユーザは、次の記憶媒体170bが有ることおよびその映像の概要を、ダイジェストデータを視聴して確認できる。
【0075】
さらに、再生制御部450は、例えば、記憶媒体170aに記憶された符号化データストリームの再生が終了する所定時間前から、PinP等でダイジェストデータを表示させてもよい。また、3つ以上の記憶媒体170に跨って符号化データストリームが記憶されている場合、そのうちの1つの記憶媒体170の再生開始時、再生制御部450は、例えば、チャプタ選択画面のように、ダイジェストデータの選択画面を表示させてもよい。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0077】
なお、本明細書の映像記憶制御方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、映像ストリームを複数の記憶媒体に跨って記憶することが可能な映像記憶装置および映像記憶制御方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
100 …映像記憶装置
138 …ダイジェスト抽出部
170(170a、170b) …記憶媒体
180 …記憶切換部
182 …記憶制御部
184 …接続判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像ストリームを順次取得する映像取得部と、
前記映像ストリームの少なくとも一部をそれぞれ記憶する複数の記憶媒体のうちの記憶先となる所定の記憶媒体の残り記憶容量に基づいて、前記映像ストリームの記憶先を切り換える記憶切換部と、
前記映像ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンを検出し、前記ダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出するダイジェスト抽出部と、
切換先の前記記憶媒体にそれぞれ記憶された映像ストリームに関して抽出された前記ダイジェストデータを、前記所定の記憶媒体に記憶させる記憶制御部と、
を備えることを特徴とする映像記憶装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、前記所定の記憶媒体に記憶された映像ストリームに関して抽出された前記ダイジェストデータを、前記切換先の記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の映像記憶装置。
【請求項3】
前記記憶切換部は、前記所定の記憶媒体に記憶可能な容量の残量が所定の容量以下になると、前記映像ストリームの記憶先を切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載の映像記憶装置。
【請求項4】
前記所定の容量は、前記切換先の記憶媒体の残り記憶容量に、予め定められた係数を乗算して求められることを特徴とする請求項3に記載の映像記憶装置。
【請求項5】
前記所定の記憶媒体が前記映像記憶装置に接続されているか否か判定する接続判定部をさらに備え、
前記記憶制御部は、前記切換先の記憶媒体に記憶された映像ストリームに関するダイジェストデータを前記所定の記憶媒体に記憶する前に、前記切換先の記憶媒体を識別する識別子を前記所定の記憶媒体に記憶し、前記所定の記憶媒体に前記ダイジェストデータが記憶される際、前記接続判定部が前記所定の記憶媒体が接続されていないと判定すると、前記切換先の記憶媒体に記憶された映像ストリームに関するダイジェストデータの記憶を停止し、その後、前記接続判定部が前記所定の記憶媒体が接続されていると判定すると、前記所定の記憶媒体に記憶された前記識別子に基づいて特定される前記切換先の記憶媒体に記憶された映像ストリームに関するダイジェストデータを前記所定の記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の映像記憶装置。
【請求項6】
映像ストリームを取得し、
複数の記憶媒体のうちの記憶先となる所定の記憶媒体の残り記憶容量に基づいて、前記映像ストリームの記憶先を切り換え、
前記映像ストリームから所定の条件を満たすダイジェストシーンを検出し、前記ダイジェストシーンに対応するダイジェストデータを抽出し、
切換先の前記記憶媒体にそれぞれ記憶された映像ストリームに関して抽出された前記ダイジェストデータを、前記所定の記憶媒体に記憶させることを特徴とする映像記憶制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−169713(P2012−169713A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26606(P2011−26606)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】