説明

映像音声信号記録再生装置

【課題】比較的大容量な記憶装置から比較的低容量な記録メディアにダビングする際に、高速にダビング処理が行えることができる映像音声記録再生装置を得る。
【解決手段】記録用映像音声信号変換手段2は転送制御手段6からの変換指定情報S6に基づき、ダビング先となる記録メディア5に適したフォーマット及び転送レートになるように、第1のデジタル映像音声信号S1を変換して第2のデジタル映像音声信号S2を得る。記録再生手段3は、同一の番組内容の第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2とを併せて記録する。記録メディア5へのダビングは記録再生手段3内の第2のデジタル映像音声信号S2をそのまま記録メディア5に転送することにより行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタル放送等より得られるデジタル映像音声信号の映像音声信号記録再生装置に関し、特に映像音声信号の記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年来でVTR(Video Tape Recorder)に代表されるテープ記録から、ハードディスク(以下、「HDD」(Hard Disk Drive)と称す)やDVD(Digital Versatile Disk)等のディスク記録へ急速に移行されており、HDDとDVDとを備えたレコーダーや、HDD及びDVDに加えてVTRも備えたレコーダーの普及率が高まっている。
【0003】
例えば、上述したHDDとDVDとを備えたレコーダーの一般的な使用方法としては、内蔵された受信機または外部入力から得られる映像音声信号を最初にHDDへ記録保存し、しかる後、残しておきたい映像音声信号のみをDVDにダビングにより記録保存するというものである。また、近年多く配信されている、地上デジタル放送を始めとするハイビジョン(HD(High Definition))画質のコンテンツへのダビング要求が多くなると予想される。
【0004】
一方で、HDDへ記録した番組のオリジナル全体をそのままダビングすることは勿論のこと、オリジナルからユーザーが残したい必要な箇所のみをDVD等にダビングしたいとの要求や、HDDに記録した番組を自宅で再生する時間がないユーザー等のために、携帯視聴装置で再生したいとの要求も多くなってきている。
【0005】
従来技術として、HDDとDVDとを備えたレコーダー等において、複数チャンネルのすなわち、互いに異なる複数の番組の映像音声信号を同時にHDD記録する方法を開示した文献として、例えば特許文献1がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−344892公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は前述したように複数チャンネルの映像音声信号をHDDに記録することに関するものであり、レコーダー内のHDDに記録された映像音声信号を、HDD以外の別の記録メディアへダビングすることに考慮した技術とは全く関係がない技術である。
【0008】
また、HD画質の映像音声信号の情報量は標準(SD(Standard Definition))画質のそれよりも非常に大きく、HD画質の映像音声信号をやみくもにHDDに保存した場合、保存先のHDD残量が少なくなるため、HDD等の記録装置を有効に活用できないという問題点があった。
【0009】
装置内のHDDから別の記録メディアにダビングする際、例えばダビング先がDVDなどの場合は、他の記録再生装置との互換性を確保するために、(記録)フォーマットや最大の転送レートなどが規格で決められており、デジタル放送で運用されているフォーマットや最大転送レートとは異なるものになっている。
【0010】
このようにダビング元とダビング先との間でフォーマット、転送レート等の規格が異なることから、HDDに記録したデジタル映像音声信号をDVDなどの別のメディアにダビングする場合、HDDからデジタル映像音声信号を再生しながら、DVDに適したフォーマット及び転送レートに変換してDVDに記録する必要が生じるため、ダビングするために、HDDに記録した時間長と同じ時間長を要することになりダビングに時間を要してしまうという問題点があった。
【0011】
また、DVDなどにダビングする場合、DVDの記憶容量は予め決まっている。映像音声信号を記録す場合、必要とする容量は、映像音声信号の記録時間長と転送レートの積によって求めることができる。HDDに記録した際の転送レートのままでDVDにダビングした場合、記録長が長いとDVDの記憶容量を超えてしまい、1枚のDVDは番組全体を記録できない可能性が出てくるという問題点があった。
【0012】
また、HDDに記録した映像音声信号を編集した場合においても、編集後のデジタル映像音声信号をDVDなどのメディアにダビングするとなると、HDDから編集後のデジタル映像音声信号を再生しながら、DVDに適したフォーマット及び転送レートに変換してDVDに記録する必要が生じるため、ダビングするために、HDDに記録した編集後の時間長と同じ時間長を要することとなる。
【0013】
また、HDDに映像音声信号を記録し続けると、残量が少なくなり、この環境下で使用するとユーザーが録画予約していた番組が最後まで記録できない事態が発生する。このような時に古い番組やユーザーが記録したが一度も再生されないまま長時間経過した番組などを自動的に消去する機能が考えられるが、消去後にユーザーがその番組を確認したいと場合でも視聴による確認ができないという問題点があった。
【0014】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、HDD等の比較的大容量な記憶装置からDVD等の比較的低容量な記録メディアにダビングする際に、高速にダビング処理が行えることができる映像音声記録再生装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係る請求項1記載の映像音声信号記録再生装置は、第1のデジタル映像音声信号を取得するデジタル映像音声信号取得手段と、前記第1のデジタル映像音声信号を指定変換内容で変換して、前記第1のデジタル映像音声信号より情報量が小さい第2のデジタル映像音声信号を出力する記録用映像音声信号変換手段と、所定の番組における前記第1及び第2のデジタル映像音声信号を併せて記録する映像音声記録手段とを備える。
【発明の効果】
【0016】
この発明における請求項1記載の映像音声信号記録再生装置における映像音声記録手段は、所定の番組を記録するに際し、第1のデジタル映像音声信号に加え、第1のデジタル映像音声信号を指定変換内容で変換して前記第1のデジタル映像音声信号より情報量が小さい第2のデジタル映像音声信号を併せて記録するため、第2のデジタル映像音声信号をDVD等の他の記録メディアに適した信号に設定することにより、映像音声記録手段内に他の記録メディアに適した第2のデジタル映像音声信号を予め記録させておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<実施の形態1>
図1は、この発明の実施の形態1である映像音声信号記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
同図に示すように、デジタル映像音声信号取得手段1は、デジタル放送を受信して得られるデジタル映像音声信号や、アナログ映像音声信号をMPEG方式で圧縮エンコード処理しデジタル化したデジタル映像音声信号を、第1のデジタル映像音声信号S1として取得し、取得した第1のデジタル映像音声信号S1を記録用映像音声信号変換手段2及び記録再生手段3に出力する。上述したように、デジタル映像音声信号取得手段1は種々の方法で第1のデジタル映像音声信号S1を取得して記録用映像音声信号変換手段2及び記録再生手段8に出力する。
【0019】
記録用映像音声信号変換手段2はデジタル映像音声信号取得手段1より第1のデジタル映像音声信号S1を入力する。そして、記録用映像音声信号変換手段2は、後述する転送制御手段6からの変換指定情報S6で指定された指定変換内容に基づき、ダビング先となるDVD等の記録メディア5に適したフォーマット及び転送レートになるように、第1のデジタル映像音声信号S1を変換して第2のデジタル映像音声信号S2を得て記録再生手段3に出力する。
【0020】
(映像音声)記録再生手段3は、デジタル映像音声信号取得手段1から出力される第1のデジタル映像音声信号S1と、記録用映像音声信号変換手段2から出力される第2のデジタル映像音声信号S2とを受け、第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2をそれぞれ記録する。すなわち、記録再生手段3は、同一の番組内容の第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2とを併せて記録する。この際、第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2は記録再生手段3内において互いに関連づけて一対で管理される。
【0021】
なお、記録再生手段3は、HDD等の比較的大容量の記憶装置で構成される。また、将来的にはフラッシュメモリーのような高速動作可能でかつ大容量化が期待される記録メディアで記録再生手段3を構成することも考えられる。なお、以下の説明では記録再生手段3がHDDの場合を主として行っている。
【0022】
さらに、記録再生手段3は記録した第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2を読み出し、各々再生用映像音声信号S3として出力する。
【0023】
再生用映像音声信号変換手段4は、記録再生手段3から再生された再生用映像音声信号S3を再生表示するためにフォーマット変換して表示用映像音声信号S4を出力する。この表示用映像音声信号S4に基づき図示しない所定の表示装置によって映像表示及び音声出力がなされる。
【0024】
記録メディア5は、具体的にはDVDや外部メモリー、および携帯再生装置などの記録メディア(媒体)を指し、転送制御手段6に接続可能である。
【0025】
転送制御手段6は、接続された記録メディア5に対し、(記録)フォーマット及び記憶容量等の記録関連情報を要求(リクエスト)して、当該記録関連情報を記録メディア5より取り込む。なお、以下の説明では記録メディア5がDVDの場合を主として行っている。
【0026】
また、転送制御手段6は記録再生手段3との間で、ダビング対象となる第2のデジタル映像音声信号S2の記録長情報を送受信する。すなわち、転送制御手段6から記録再生手段3に記録長情報の要求があり、その要求に応じて記録再生手段3から転送制御手段6に上記記録長を伝える。
【0027】
転送制御手段6は、記録メディア5より得られるフォーマット、及び記憶容量、並びに記録再生手段3より得られる記録長情報を含む記録関連情報に基づき、記録用映像音声信号変換手段2への指定変換内容を決定し、当該指定変換内容を指定する変換指定情報S6を記録用映像音声信号変換手段2に出力する。すなわち、転送制御手段6は記録用映像音声信号変換手段2に対する変換内容制御手段として機能する。
【0028】
このような構成において、デジタル映像音声信号取得手段1は、例えば、デジタル放送を受信し、復調等の処理を施し、MPEG-2 TS(Transport Stream)方式のフォーマットの第1のデジタル映像音声信号S1を取得して記録用映像音声信号変換手段2及び記録再生手段3に出力する。
【0029】
記録用映像音声信号変換手段2は、変換指定情報S6に基づき、第1のデジタル映像音声信号S1を記録メディア5のフォーマット、転送レートに適合すべく変換して第2のデジタル映像音声信号S2を得、この第2のデジタル映像音声信号S2を記録再生手段3に出力する。
【0030】
HDDに代表される記録メディアから構成される記録再生手段3は、第1のデジタル映像音声信号S1を記録する際、デジタル放送のフォーマットであるTS(トランスポートストリーム)をそのまま記録する無変換モードで記録する。さらに、記録再生手段3は、DVD等のダビング先の記録メディア5に適したフォーマットおよび転送レートに変換された第2のデジタル映像音声信号S2を併せて記録する(変換記録モード記録)。
【0031】
なお、DVDは複数種の転送レートを有しており、当該複数種の転送レートから一の転送レートを記録用映像音声信号変換手段2は採用して、第1のデジタル映像音声信号S1を第2のデジタル映像音声信号S2に変換している。
【0032】
実施の形態1においては、記録メディア5をDVDとしたためフォーマットはPS(Program Stream :プログラムストリーム)としたが、DVDに替えて他の記録メディアである外部メモリーや携帯再生装置に置き換えることは可能であり、その場合の第2のデジタル映像音声信号S2は、置き換えた記録メディアに適したフォーマットおよび転送レートで第1のデジタル映像音声信号S1が変換された信号となる。
【0033】
ユーザーから第1のデジタル映像音声信号S1の再生要求があった場合は、記録再生手段3内に記録した第1のデジタル映像音声信号S1を読み出して(再生して)得られる再生用映像音声信号S3に対し、再生用映像音声信号変換手段4において再生表示するためにフォーマット変換を行って表示用映像音声信号S4出力することにより、図示しない実施の形態1の装置と接続されているTV等の表示装置により表示用映像音声信号S4に基づく映像表示をさせることができる。
【0034】
このように、実施の形態1の映像音声信号記録再生装置の記録再生手段3は、所定の番組を記録するに際し、第1のデジタル映像音声信号S1に加え、第1のデジタル映像音声信号S1を変換指定情報S6の指定する指定変換内容で変換して第1のデジタル映像音声信号S1より情報量が小さい第2のデジタル映像音声信号S2を併せて記録する。このため、第2のデジタル映像音声信号S2をDVD等の記録メディア5に適した信号に設定することにより、記録再生手段3内に記録メディア5に適した第2のデジタル映像音声信号S2を予め記録させておくことができる。
【0035】
すなわち、実施の形態1の映像音声信号記録再生装置における転送制御手段6は記録メディア5からの記録関連情報に基づき指定変換内容を決定し、当該指定変換内容を規定した変換指定情報S6を記録用映像音声信号変換手段2に与えることにより、記録メディア5に適合した第2のデジタル映像音声信号S2を記録再生手段3内に得ることができる。
【0036】
しかる後、ユーザーから、記録再生手段3に記録した第1のデジタル映像音声信号S1の記録メディア5へのダビング要求があった場合は、転送制御手段6の制御下でHDDに代表される記録再生手段3からDVDに代表される記録メディア5へダビング(転送)を行う。
【0037】
この際、第1のデジタル映像音声信号S1でなく、第1のデジタル映像音声信号S1と一対をなして記録再生手段3に記録されている第2のデジタル映像音声信号S2がダビング対象となる。第2のデジタル映像音声信号S2は、ダビング先の記録メディア5に適したフォーマットに既に変換されており、改めてフォーマット変換する必要がない。
【0038】
したがって、記録再生手段3から第2のデジタル映像音声信号S2を高速に読み出し、DVDドライブを高速に回転させる等により記録メディア5側も高速書き込みを可能にすれば、第2のデジタル映像音声信号S2をそのまま記録再生手段3から記録メディア5に転送することができるため、高速ダビングが可能となる。このように、高速ダビングは、HDDに代表される記録再生手段3に記録したままの状態で行われるため、高速かつ無劣化でダビングが可能となる。
【0039】
このように記録再生手段3に所定の番組における第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2とが共に記録された状態で、ユーザーから所定の番組についてDVD(記録メディア5)へのダビング要求があった場合は、記録再生手段3かDVDに単純に第2のデジタル映像音声信号S2を転送することにより、DVDに適合したデジタル映像音声信号の記録再生手段3からDVDへのダビングが高速に行える効果を奏する。
【0040】
さらに、記録用映像音声信号変換手段2は、変換指定情報S6に基づき、デジタル映像音声信号S1,S2の記録時間長と転送レートの積で求められる容量がダビング先のDVD等の記録メディア5の容量内となるように、第2のデジタル映像音声信号S2に変換している。このため、記録再生手段3からダビングされる第2のデジタル映像音声信号S2は記録メディア5の記憶容量に必ず収まる。
【0041】
このように、実施の形態1の映像音声信号記録再生装置は、記録メディア5の記憶容量に収まる情報量の第2のデジタル映像音声信号S2が記録再生手段3に記録しているため、第2のデジタル映像音声信号S2をそのままダビングを行うことにより、DVDの容量に適合した高速ダビングが可能となる効果を奏する。
【0042】
また、実施の形態1の映像音声信号記録再生装置は、再生用映像音声信号変換手段4によって、記録再生手段3に記録した第1のデジタル映像音声信号S1またはダビング後のDVD等の記録メディア5より得られる第2のデジタル映像音声信号S2に基づく映像を所定の表示装置に表示させることができる。
【0043】
<実施の形態2>
図2は、この発明の実施の形態2である映像音声信号記録再生装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、図1で示した実施の形態1の構成に加え、編集情報記憶手段7が追加されている。
【0044】
編集情報記憶手段7は、記録再生手段3に記録され一対をなす、所定の番組における第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2を編集対象とし、編集内容(編集ポイント)を指示する編集指示信号SPを受ける。編集指示信号SPとしては、所定の外部入力手段を用いてユーザより入力される信号、内部で自動的に生成する信号等が考えられる。
【0045】
編集情報記憶手段7は編集指示信号SPに基づき、編集指示信号SPの指示する編集ポイントに該当する第2のデジタル映像音声信号S2の編集位置情報を検出して記憶する。編集指示信号SPの指示する編集内容としては、例えば、記録した番組における番組本編以外の映像音声信号(本編外映像音声信号)の除去、大きくシーンが変化するポイント等が考えられる。
【0046】
したがって、記録用映像音声信号変換手段2は、第1のデジタル映像音声信号S1自体の無変換記録、第2のデジタル映像音声信号S2の変換記録を行う際、編集指示信号SPが上記した本編外映像音声信号の除去を編集内容とする場合、当該本編外映像音声信号の記録開始時点からの時間計測(本編外映像音声信号の開始時間〜終了時間)を適宜指示する情報を編集位置情報として記憶し、編集指示信号SPがシーンが大きく変化したポイントを指示する場合も同様に、該当する時間帯を示す時間情報等を編集位置情報として記憶する。
【0047】
このように、編集情報記憶手段7は、対応する一対の第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2と関連付けて編集位置情報を記憶する。
【0048】
実施の形態1と同様、デジタル放送を受信する等により、デジタル映像音声信号取得手段1から得られる第1のデジタル映像音声信号S1を無変換モードで記録再生手段3に記録すると共に、第2のデジタル映像音声信号S2も変換記録モードで記録再生手段3に記録する。
【0049】
この際、編集情報記憶手段7は、編集指示信号SPにより編集ポイントとして設定された箇所を示す、第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2上における時間情報等の編集位置情報を検出して記憶する。
【0050】
その後、ユーザーから記録再生手段3に記録した所定の番組に対し編集ダビング要求があった場合、第1のデジタル映像音声信号S1と対となる第2のデジタル映像音声信号S2を用い、編集情報記憶手段7から編集位置情報を示す編集位置情報信号S7に基づき、記録再生手段3から記録メディア5に編集後第2のデジタル映像音声信号S2pが編集ダビングされる。
【0051】
すなわち、記録再生手段3内において当該第1のデジタル映像音声信号S1と対をなす第2のデジタル映像音声信号S2に関し、編集位置情報信号S7に基づき、第2のデジタル映像音声信号S2全体のうち、当該編集位置情報で指示された必要箇所のみ選択的に抽出された編集後第2のデジタル映像音声信号S2pが記録メディア5に転送される。
【0052】
すなわち、実施の形態2の映像音声信号記録再生装置は、編集情報記憶手段7を備えることにより、記録再生手段3に記録された第2のデジタル映像音声信号S2のうち、編集位置情報信号S7によって指示された編集内容に適合した編集後第2のデジタル映像音声信号S2pを記録メディア5に編集ダビング(転送)することができる効果を奏する。
【0053】
さらに、編集情報記憶手段7は、ユーザ等により外部より入力される編集指示信号SPに基づき編集位置情報信号S7を認識することにより、ユーザの要求に適合した編集内容で第2のデジタル映像音声信号2を記録メディア5に編集ダビングすることができる。
【0054】
なお、編集ダビングされたDVDの編集後第2のデジタル映像音声信号S2pにおいても再生表示は問題なく行えることは勿論である。さらに、変換記録モードで記録再生手段3に記録する第2のデジタル映像音声信号S2の転送レートが、デジタル映像音声信号の記録長とDVDの容量から算出されるため、編集位置情報信号S7に基づき第2のデジタル映像音声信号S2の必要箇所のみ編集された編集後第2のデジタル映像音声信号S2pを、確実にDVDの容量内に収めることができる。
【0055】
なお、上述した実施の形態1及び実施の形態2において、ダビング対象のデジタル映像音声信号がいわゆるコピーワンスと呼ばれる、コンテンツ権利保護対策として、1回だけ複製可能なコンテンツに該当する場合、DVDへのダビング時は複製ではなく移動扱いとなり、ダビング終了と同時に該当する第1のデジタル映像音声信号S1が記録再生手段3から自動的に消去される。
【0056】
また、実施の形態1及び実施の形態2においては、記録メディア5としてDVDを主に説明した。DVDにおいては、4.7GBの1層ディスクと8.5GBの2層ディスクとの2種類が存在するが、どちらの種類のディスクであるかは記録再生装置内の転送制御手段6において自動判別する機能を搭載するか、ユーザーによる設定で行うかにより対応が可能である。
【0057】
また、記録メディア5は主としてDVDとして説明したが、次世代DVDや外部メモリー、および携帯再生装置であっても同様のダビングが可能であることは勿論である。
【0058】
<実施の形態3>
図3は、この発明の実施の形態3である映像音声信号記録再生装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、実施の形態3の映像音声信号記録再生装置はデジタル映像音声信号取得手段1、記録用映像音声信号変換手段9、再生用映像音声信号変換手段4及び記録再生手段8から構成される。なお、デジタル映像音声信号取得手段1及び再生用映像音声信号変換手段4の動作内容は前述した実施の形態1、実施の形態2と映像音声信号記録再生装置と同様であるため説明は省略する。
【0059】
また、(映像音声)記録再生手段8は実施の形態1及び実施の形態2の記録再生手段3の同様な無変換モード及び変換記録モードの記録機能を有しており、記録用映像音声信号変換手段9は実施の形態1及び実施の形態2の記録用映像音声信号変換手段2のように転送制御手段6(図3では図示せず)より得られる変換指示情報S6が指示する指定変換内容に基づき、第1のデジタル映像音声信号S1を第2のデジタル映像音声信号S2に変換する構成であっても、予め設定されたフォーマット及び転送レートを指定した変換指示内容に基づき、第1のデジタル映像音声信号S1を第2のデジタル映像音声信号S2に変換する構成であっても良い。
【0060】
このような構成の実施の形態3の映像音声信号記録再生装置は、デジタル映像音声信号取得手段1から出力される第1のデジタル映像音声信号S1をHDDに代表される記録再生手段8に記録する際、無変換モードで記録しながら、変換記録モードで第2のデジタル映像音声信号S2を記録する。
【0061】
この際、無変換モード記録の場合は、変換記録モード記録とは比較にならない記録容量が必要となり、例えば記録再生手段8が250GBのHDD容量の場合は約20数時間分しか記録できないことになる。
【0062】
そこで、実施の形態3においては、記録再生手段8は、一定期間経過すると記録容量が大きい無変換モードで記録された第1のデジタル映像音声信号S1を自動的に消去するようにしている。
【0063】
ただし、第1のデジタル映像音声信号S1の消去後においても、変換記録モードで記録された、消去された第1のデジタル映像音声信号S1と対をなす第2のデジタル映像音声信号S2を用いて、消去した第1のデジタル映像音声信号S1のコンテンツを確認することができる。
【0064】
すなわち、記録再生手段8から第2のデジタル映像音声信号S2を再生用映像音声信号S3として読み出して再生し、再生用映像音声信号変換手段4において再生表示するためにフォーマット変換を行って表示用映像音声信号S4を出力することにより、表示用映像音声信号S4に基づき、映像音声信号記録再生装置と接続されているTV等の表示装置により表示させることができる。
【0065】
また、上記した一定期間経過として再生履歴情報も加え、一度も再生せずに一定期間が経過した場合は、記録容量が大きい無変換モード記録の第1のデジタル映像音声信号S1を記録再生手段8内で消去する機能を持たせることも可能である。
【0066】
なお、変換記録モードで記録した第2のデジタル映像音声信号S2は、主目的は無変換モードで記録した第1のデジタル映像音声信号S1を消去することによるHDD残量(記録再生手段8の残量)を確保しながら、記録したデジタル映像音声信号の内容確認を行うものであるため、記録用映像音声信号変換手段9において低レートかつ高圧縮で第2のデジタル映像音声信号S2に変換して記録することも可能である。
【0067】
また、実施の形態1及び実施の形態2で示したように、記録メディア5を接続可能な転送制御手段6を具備することにより、記録メディア5に適合した転送レートによる変換記録を行うことにより、実施の形態1及び実施の形態2と同様、記録メディア5へのダビング機能を持たせることも可能である。
【0068】
また、一定期間経過による第1のデジタル映像音声信号S1の消去後、さらに一定期間が経過した場合、変換記録した第2のデジタル映像音声信号S2をも消去する機能を備えることも可能である。
【0069】
図4は、実施の形態3における記録再生手段8による第1のデジタル映像音声信号S1及び第2のデジタル映像音声信号S2の自動消去機能の処理手順を示したフローチャートである。以下、同図を参照してその処理手順を説明する。
【0070】
ステップST1で録画開始か否かを判断し、開始していない(NO)の場合はステップST1を繰り返し、ステップST1で録画開始が確認されると(YES)、ステップST2へ移行する。以降、ステップST2で録画終了か否かを判断し、終了していない(NO)場合はステップST2を繰り返し、ステップST2で録画終了が確認されると(YES)、ステップST3へ移行する。
【0071】
ステップST3では録画終了後からの経過時間をカウントするカウンター(記録再生手段8内に存在,図3では図示せず)をリセット(カウンター値CTを“0”にする)してステップST4にてカウンターを起動させ、ステップST5へ移行する。
【0072】
ステップST5において、カウンター値CTが予め設定した一定経過時間T1を越えているか否か判断し、越えていない(NO)の場合はステップST5を繰り返し、ステップST5において(CT≧T1)と判断した(YES)場合はステップST6へ移行する。
【0073】
ステップST6において、第1のデジタル映像音声信号S1を記録再生手段8内から消去する第1の消去処理を行いステップST7へ移行する。
【0074】
ステップST7において、カウンター値CTが経過時間T1を超え、さらに予め設定した一定経過時間T2(T2>T1)を越えているか否か判断し、越えていない(NO)の場合は、ステップST7を繰り返し、ステップST7において(CT≧T2)を判断した(YES)場合はステップST8へ移行する。ステップST8において、ステップST6で既に消去した第1のデジタル映像音声信号S1と対をなる第2のデジタル映像音声信号S2を記録再生手段8内から消去する第2の消去処理を行う。
【0075】
このように、実施の形態3の映像音声信号記録再生装置記録再生手段8は、少なくとも第1のデジタル映像音声信号S1を所定時間経過後に消去する機能を有するため、情報量が第2のデジタル映像音声信号S2より大きい第1のデジタル映像音声信号S1を所定時間経過後に自動的に消去することにより、記録再生手段8の記録容量を効率的に活用することができる。
【0076】
また、第1のデジタル映像音声信号S1消去後においても、第2のデジタル映像音声信号S2は残存しているため、第2のデジタル映像音声信号S2によって消去した番組内容を確認することができる。
【0077】
ただし、記録再生手段8が図4で示す消去機能を有し、第2の消去処理(ST8)の実行後は、第2のデジタル映像音声信号S2も消去されるため確認することはできない。
【0078】
また、実施の形態3においても、実施の形態1と同様に転送制御手段6を有し、転送制御手段6及び記録再生手段8が記録メディア5に接続可能に構成すれば(図1参照)、第1のデジタル映像音声信号S1を無変換記録するのと同時に変換記録することにより、変換記録した第2のデジタル映像音声信号S2をそのまま記録メディア5に高速ダビングすることができる。
【0079】
さらに、実施の形態3において、実施の形態2と同様に編集情報記憶手段7を備える構成にすれば(図2参照)、記録再生手段8に記録された第2のデジタル映像音声信号S2において、編集位置情報信号S7に基づき編集後第2のデジタル映像音声信号S2pを記録メディア5へ高速ダビングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の実施の形態1である映像音声信号記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態2である映像音声信号記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態3である映像音声信号記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態3における記録再生手段による第1及び第2のデジタル映像音声信号の自動消去機能の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 デジタル映像音声信号入力手段、2,9 記録用映像音声信号変換手段、3,8 記録再生手段、4 再生用映像音声信号変換手段、5 記録メディア、6 転送制御手段、7 編集情報記憶手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデジタル映像音声信号を取得するデジタル映像音声信号取得手段と、
前記第1のデジタル映像音声信号を指定変換内容で変換して、前記第1のデジタル映像音声信号より情報量が小さい第2のデジタル映像音声信号を出力する記録用映像音声信号変換手段と、
所定の番組における前記第1及び第2のデジタル映像音声信号を併せて記録する映像音声記録手段と、
を備える映像音声信号記録再生装置。
【請求項2】
請求項1記載の映像音声信号記録再生装置であって、
記録メディアを接続可能であり、前記記録メディアとの接続時に前記記録メディアのフォーマットを含む記録関連情報を検出して、前記記録関連情報に基づき前記指定変換内容を前記記録用映像音声信号変換手段に与える変換内容制御手段をさらに備え、
前記映像音声記録手段は、前記第2のデジタル映像音声信号を前記記録メディアに転送可能に前記記録メディアに接続される、
映像音声信号記録再生装置。
【請求項3】
請求項2記載の映像音声信号記録再生装置であって、
指定された編集内容に基づき、所定の番組における前記第1及び第2のデジタル映像音声信号の映像音声記録手段への記録時に、前記編集内容に適合した前記第2のデジタル映像音声信号における編集位置情報を認識して記憶する編集情報記憶手段をさらに備え、
前記映像音声記録手段は、前記第2のデジタル映像音声信号の前記記録メディアへの転送時に前記編集位置情報に基づき前記第2のデジタル映像音声信号を選択的に前記記録メディアに転送する、
映像音声信号記録再生装置。
【請求項4】
請求項3記載の映像音声信号記録再生装置であって、
前記編集情報記憶手段は、外部より入力される編集指示信号に基づき、前記編集内容を認識する、
映像音声信号記録再生装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4記載のうち、いずれか1項に記載の映像音声信号記録再生装置であって、
前記記録関連情報は前記記録メディアの記録容量及び前記所定の番組の記録時間を含み、
前記指定変換内容は、前記記録メディアの記録容量に前記所定の番組が収まる転送レートを含む、
映像音声信号記録再生装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうち、いずれか1項に記載の映像音声信号記録再生装置であって、
前記映像音声記録手段は、前記所定の番組における前記第1及び第2のデジタル映像音声信号を記録後、前記第1のデジタル映像音声信号を所定時間経過後に消去する機能を有する、
映像音声信号記録再生装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうち、いずれか1項に記載の映像音声信号記録再生装置であって、
前記映像音声記録手段より前記第1あるいは第2のデジタル映像音声信号を受け、前記第1あるいは第2のデジタル映像音声信号を所定の表示装置に表示可能な再生用映像音声信号に変換する再生用映像音声信号変換手段をさらに備える、
映像音声信号記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−59622(P2008−59622A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231545(P2006−231545)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】