説明

時分割通信規制システム、基地局通信装置、携帯端末装置、規制装置、及び、方法、プログラム

【課題】通信を規制された携帯端末の利用者は次に通信可能な時間を知ることができ、発信の試みを防止して、電波の輻輳を抑制できる通信システムの規制技術を提供する。
【解決手段】時分割通信規制システムは、基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置とを含む。基地局通信装置は、通信可能な時間を割り当てられたグループに属する携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において基地局通信装置と通信可能であるという規則に従って携帯端末装置からの接続要求及び携帯端末装置への接続要求を規制する第一規制部と、規則情報を携帯端末装置に送信する第一送信部と、を含む。携帯端末装置は、規則情報を受信する受信部と、規則に従って、基地局通信装置との無線通信を規制する第二規制部と、無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を当該携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する報知部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置と、を含む通信システムの通信を規制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時、緊急時等に多数の携帯端末装置(以下、単に「携帯端末」ともいう)の利用者が共通の無線を使って通信を試みると、電波や基地局、交換機の能力が不足するため、通信を規制せざるを得なかった。この規制方法として特許文献1〜3記載の方法が知られている。特許文献1には、着信電話番号と発信電話番号に基づく規制規則を定め、該当する電話番号の接続要求は、接続しないことが記載されている。特許文献2には、通話要求数に応じて、通話可能な時間を設定し、その時間を超えたら、強制的に通話を切断することが記載されている。特許文献3には、携帯電話の電波の送信規制信号を受け取ると、携帯電話の電波の送信を停止すること、及び、送信規制されている旨の警告表示をすること、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−284188号公報
【特許文献2】特開2001−186254号公報
【特許文献3】特開2000−4479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、利用者が規制のための規則の内容を知ることができない。そのため、利用者は規制されていることを知らず、また、現在規制されていることを知ったとしてもいつ再開されるかが判らない。そうすると、利用者は通信ができるまで発信を試み続けなければならない。いつ通信できるか分からないまま、発信を試み続けることは利用者にとって大きな負担となる。また、携帯端末側において、強制的に発信を止めてしまう場合を除いて、その試みの行為による電波の発信を規制することはできず、基地局通信装置とその基地局通信装置のセル内の携帯端末間で電波の輻輳が生じるという問題がある。図1を用いて説明する。なお、図中、各装置間を結ぶ実線は有線の通信路を表し、破線は無線の通信路を表す。基地局通信装置30とそのセル内の携帯端末40,40,…,40との通信は、トラフィック量が増加したため、一定の割合の携帯端末のみが基地局通信装置30と通信可能となるように規制されているとする。例えば、携帯端末40のみが基地局通信装置30と通信可能であるとする。しかし、他の携帯端末40,…,40はその規制内容を知らないため、基地局通信装置30に発信を試み続け、電波の輻輳が生じ、効率的な通信ができなくなる。
【0005】
本発明は、通信を規制された携帯端末の利用者が次に通信可能な時間を知ることができ、発信の試みを防止して、電波の輻輳を抑制できる通信システムの規制技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、時分割通信規制システムは、基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置とを含む。基地局通信装置は、通信可能な時間を割り当てられたグループに属する携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において基地局通信装置と通信可能であるという規則に従って携帯端末装置からの接続要求及び携帯端末装置への接続要求を規制する第一規制部と、規則に対応する情報(以下「規則情報」という)を携帯端末装置に送信する第一送信部と、を含む。携帯端末装置は、規則情報を受信する受信部と、規則に従って、基地局通信装置との無線通信を規制する第二規制部と、無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を当該携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する報知部と、を含む。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第二の態様によれば、携帯端末装置と無線通信する基地局通信装置は、規則に従って携帯端末装置からの接続要求及び携帯端末装置への接続要求を規制し、規則情報を携帯端末装置に送信する。但し、規則に従って、通信を規制された携帯端末装置の利用者及び携帯端末装置に通信を試みる者が次に通信可能な時間を感知できるものとする。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第三の態様によれば、基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置は、規則情報を受信し、規則に従って、基地局通信装置との無線通信を規制し、無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第四の態様によれば、基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置と、を含む通信システムの通信を規制する規制装置は、規則情報を、基地局装置に送信する。但し、規則に従って、通信を規制された携帯端末装置の利用者及び携帯端末装置に通信を試みる者が次に通信可能な時間を感知できるものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る規制技術によれば、規則に従って、通信を規制された携帯端末の利用者は次に通信可能な時間を知ることができるので、発信の試みを止め、電波の輻輳を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術の通信規制方法を示すための図。
【図2】時分割通信規制システム100の構成図。
【図3】基地局通信装置130の機能ブロック図。
【図4】規制部133の処理フローを示す図。
【図5】携帯端末140の機能ブロック図。
【図6】記憶部146に格納される規制識別子と報知情報の例を示す図。
【図7】規制部143、表示部147、スピーカ148の処理フローを示す図。
【図8】無線ネットワーク制御装置(Radio Network Controller、以下「RNC」という)の機能ブロック図。
【図9】規制部123の処理フローを示す図。
【図10】時分割通信規制システム200の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。
【0013】
<第一実施形態>
図2を用いて、第一実施形態に係る時分割通信規制システム100の構成例を示す。時分割通信規制システム100はRNC120と基地局通信装置130とそのセル内のN個の携帯端末140(但し、n=1,2,…,N)とを含む。
【0014】
本実施形態では、携帯端末140の識別子に基づいて基地局通信装置130のセル内の携帯端末140,140,…,140を1以上のグループに分類し、各グループに対して異なる通信可能な時間を割り当てる。なお、本実施形態では、この割り当て処理を通信の規制に先立ち予め行っておく。つまり、通信の規制に先立ち、規則(所定の条件を満たす携帯端末のみが所定の時間において基地局通信装置と通信可能であるという規則、言い換えると、通信可能な時間を割り当てられたグループに属する携帯端末のみが、その割り当てられた時間において基地局通信装置と通信可能であるという規則)を作成しておく。また、本実施形態では、携帯端末の識別子として、電話番号を用いるが他の情報を用いてもよい。本実施形態では、以下の三つの規制モードに対応する規則(1)〜(3)に従って規制する。
【0015】
(1)平常時モード:何ら規制のない状態である。言い換えると、セル内の全ての携帯端末を1つのグループに分類し、このグループに対して通信可能な時間として全時間を割り当てる。
【0016】
(2)モードA:セル内の携帯端末を電話番号の下一桁の数字で10個のグループに分類し、各グループに対して通信可能な時間として毎時(6×x)分から(6×x+5)分までを割り当てる。但し、xは下一桁の数字を表す。
【0017】
(3)モードB:セル内の携帯端末を電話番号の下一桁の数字で奇数のグループと偶数のグループに分類し、一方のグループに対して通信可能な時間として毎時00分から29分まで、他方のグループに対して30分から59分までを割り当てる。
【0018】
なお、上記規則は例示であって、他の規則に従って規制してもよい。例えば、電話番号の下二桁を使って、携帯端末を100種類のグループに分類し、24時間を100分割し、各時間区分に対してグループを割り当ててもよい。また、セル内に存在する携帯端末の電話番号に偏りがある場合には、偏りに応じて時間を配分してもよい。例えば、下一桁が偶数である携帯端末と奇数である携帯端末の割合が、一対三の場合には、下一桁が偶数である携帯端末は毎時00分から14分まで通話可能であり、下一桁が奇数である携帯端末は毎時15分から59分まで通話可能とする規則を設けてもよい。また、規則の個数も適宜設定することができ、少なくとも平常時の規則(何ら規制されない規則)と規制用の規則があればよい。
【0019】
上述のような規則に従って、後述する各装置の規制部133、143、123において通信を規制する。なお、本実施形態において「通信」とは、データ通信若しくは音声通信、または、その両方を指し、規制したい通信の内容に応じて適宜設定すればよい。
【0020】
さらに、通信を規制したときには、その携帯電話の利用者や外部から携帯端末に通信を試みる者が感知できるように次に通信可能な時間を報知する。報知の方法は、ディスプレイによるテキストデータの表示やスピーカによる音声データの再生等があり、視覚や聴覚等により感知することができればよい。
【0021】
時分割通信規制システム100は、平常時は規則(1)に従い、特に通信を規制しないが、災害時等の基地局通信装置130のトラフィック量が急増するような状態のときには、基地局通信装置130の通信を上述の規則(2)や(3)等に従って規制する。時分割通信規制システム100内の各装置において、携帯端末140の電話番号と各装置の備える時計を用いて、同一の規則に基づき同一の規制を実施する。そのために、基地局通信装置130において何れかの規則を選択し、規則に対応する情報(以下「規則情報」という)を携帯端末140とRNC120に送信する。携帯端末140及びRNC120は、受信した規則情報に対応する規則を設定し、その規則に従って、通信を規制する。規則情報の受信側では現在規制されているという事実とともに、いつ再開されるかの情報を知ることができる。以下、主に基地局通信装置130、携帯端末140及びRNC120の処理内容を説明する。
【0022】
<基地局通信装置130>
基地局通信装置130は、図示しない基地局内に設置される。基地局通信装置130は、そのセル内の携帯端末140と無線通信を行う。なお、セルとは、基地局通信装置の電波が届く範囲(通信可能な範囲)である。基地局通信装置130は、時計131と選択部132と規制部133と送信部134と受信部135と記憶部136とを含む(図3参照)。
【0023】
(選択部132)
前述の通り、時分割通信規制システム100の各装置は、予め定めた規則に従って、通信を規制する。その規則を選択する方法として様々な方法が考えられえる。例えば、(1)基地局通信装置130の利用者(管理者)が規則を選択する方法や、(2)基地局通信装置130のトラフィック量やトラフィック量の増加速度等を指標として規則を選択する方法や、(3)災害情報(地震速報や津波警報等)に基づき規則を選択する方法等が考えられる。なお、デフォルトとして規則(1)(平常時モード)が選択されているものとする。
【0024】
(1)の場合、基地局通信装置130の管理者は、所望の規則を選択し、図示しない入力部(キーボードやマウス等の入力デバイス)から規則情報(本実施形態では規則情報として規則を一意に特定する規則識別子を用いる)を入力する。この場合、基地局通信装置130は選択部132を含まなくともよい。
【0025】
(2)の場合、選択部132は、常時、基地局通信装置130のトラフィック量を監視する。選択部132は、トラフィック量やその増加速度が所定の閾値T以上になると、モードBを選択し、所定の閾値T以上になるとモードAを選択する。モードA選択から数時間経過後に平常時モードを選択する。このように、段階的に閾値を設定し、トラフィック量やその増加速度に応じて、グループの分類の数を変化させる。つまり、トラフィック量やその増加速度が大きいほど、グループの分類の数を多くし、一つのグループに属する携帯端末の数量を少なくする。
【0026】
(3)の場合、選択部132は、図示しない災害情報源から受信部135を介して、災害情報を受け取り、その情報に応じて、規則を選択する。以下、選択のルールを例示する。(i)大津波警報を受信した場合にはモードAを選択し、大津波警報の解除を受信した場合、受信から数時間後に平常時モードを選択する。(ii)震度4以上震度5弱までの地震速報を受信した場合にはモードBを選択し、震度5強以上の地震速報を受信した場合にはモードAを選択し、地震速報を受信後数時間後に平常時モードを選択する。つまり、災害の規模が大きくなるほど、その後に発生するトラフィック量は増加すると仮定し、災害の規模が大きくなるほどグループの分類の数を多くする(一つのグループに属する携帯端末の数量を少なくする)という選択のルールを作成しておく。選択部132は、このルールと災害情報に基づき、規則を選択する。
【0027】
なお、基地局通信装置130の管理者が入力した規則情報や選択部132が選択した規則に対応する規則情報は記憶部136に格納される。規則情報の入力時または選択時に、(言い換えると、規則情報が変更されたタイミングで)規制部133と送信部134に以下で説明する処理を開始するように制御信号を送信してもよい。
【0028】
(規制部133)
規制部133は、制御信号を受け取ると、記憶部136から規則情報を取得し、規則に従って携帯端末140からの接続要求及び携帯端末140への接続要求を規制する。
【0029】
図4を用いて説明する。まず規則情報に基づき、規則が設定される(s133a)。受信部135を介して、携帯端末140からの接続要求または携帯端末140への接続要求を受信すると(s133b)、携帯端末140からの接続要求であれば接続要求に含まれる発信電話番号を取得し、携帯端末140への接続要求であれば接続要求に含まれる着信電話番号を取得する(s133c)。時計131からその時点の時刻を取得する(s133d)。取得した発信または着信電話番号と時刻に基づき、規則に従っているか否かを判断する(s133e)。規則に従っている場合には、接続要求を受け付ける(s133f)。規則に従っていない場合には、接続要求を拒否する(s133g)。
【0030】
接続要求を受け付ける処理及び拒否する処理をより詳細に説明する。通常、基地局通信装置は、携帯端末からの接続要求及び携帯端末への接続要求を受信すると、認証のためにチャレンジ信号を携帯端末に送信する。本実施形態では、規則に従っている場合には認証のためにチャレンジ信号を送信部134を介して携帯端末140に送信し、規則に従っていない場合にはチャレンジ信号を携帯端末140に送信せず認証を行わない。
【0031】
例えば、上述のモードAの場合、下一桁の数字が「1」の場合、通信可能な時間は毎時6分から11分まである。よって、例えば接続要求を受信した時刻が「0時10分」であればその接続要求を受け付け、「0時11分」まで通信を可能とし、時刻が「0時30分」であればその接続要求を拒否する。
【0032】
このような構成により、基地局通信装置130は通信を規制する。携帯端末140からの接続要求を規制することで、基地局通信装置130からRNC120に向かう通信量を減らすことができる。また、外部から携帯端末140への接続要求を規制ことで、基地局通信装置130から携帯端末140へ向かう無線通信の通信量を減らすことができる。
【0033】
(送信部134)
送信部134は、制御信号を受け取ると、記憶部136から規則情報を取得し、規則情報を携帯端末140とRNC120とに送信する。このような構成とすることで、基地局で状況に応じて決定した規則をセル内の全ての携帯端末に同報することもできる。
【0034】
<携帯端末140
携帯端末140は、時計141と規制部143と送信部144と受信部145と記憶部146と表示部147とスピーカ148とを含む(図5参照)。
【0035】
受信部145は、規則情報を受信し、記憶部146に格納し、規制部143と表示部147とスピーカ148とに制御信号を送信する。
【0036】
記憶部146には、規則情報とは別に、規則識別子と報知情報との組合せが予め格納されている(図6参照)。なお、図6において規則の内容を記載しているが、実際には、規則識別子と報知情報との組合せのみが格納されている。さらに、記憶部146には、携帯端末140自体の電話番号が記憶されている。なお、報知情報とは、少なくとも、次にいつから再開されるかを示す情報、言い換えると、次に通信可能な時間を含む情報であり、例えば、規則の内容の詳細であってもよいし、現在規制されているという事実と次に通信可能な時間を知らせる情報であってもよい(図6参照)。
【0037】
(規制部143)
規制部143は、制御信号を受け取ると(s143i)、記憶部146から規則情報を受け取り(s143ii)、受け取った規則情報に対応する規則に従って、基地局通信装置130との無線通信を規制する(図7参照)。
【0038】
以下、さらに図7を用いて詳細を説明する。まず規則情報に基づき、規則が設定される(s143a)。携帯端末140の利用者が図示しない入力部(タッチパネルやテンキー等)から電話番号を入力し発信のための操作をすると(s143b)、記憶部146に格納されている携帯端末140自体の電話番号を取得する(s143c)。時計141からその時点の時刻を取得する。時計141からその時点の時刻を取得する(s143d)。取得した携帯端末140自体の電話番号と時刻に基づき、規則に従っているか否かを判断する(s143e)。規則に従っている場合には、送信部144を介して接続要求を基地局通信装置130に送信する(s143f)。規則に従っていない場合には、接続要求を送信せず、発信のための操作を拒否する(s143g)。制御信号を後述する表示部147及びスピーカ148に送信し、報知情報を表示部147において表示し、スピーカ148において再生する(s147)。
【0039】
このように携帯端末140の接続要求を規制することで、携帯端末140から基地局通信装置130へ向かう無線通信の通信量を強制的に減らすことができる。つまり、携帯端末140は、基地局通信装置130と規則を共有し、時計141と携帯端末140自体の電話番号に基づき、通信を規制する。
【0040】
(表示部147とスピーカ148)
表示部147はディスプレイ等であり、制御信号を受け取ると、記憶部146から規則情報に対応する報知情報(テキストデータ)を受け取り、報知情報を表示する。
【0041】
スピーカ148は、制御情報を受け取ると、記憶部146から規則情報に対応する報知情報(音声データ)を受け取り、報知情報を再生する。
【0042】
表示部147とスピーカ148は上述の通り、受信部145が規則情報を受信したタイミング、及び、発信のための操作を拒否したタイミングで制御信号を受け取り、各処理を行う。
【0043】
表示部147、スピーカ148等を報知部ともいう。報知部は、少なくとも無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を携帯端末140の利用者が感知できるように報知することができればよく、表示部147、スピーカ148に限定されるものではない。例えば表示またはアナウンス等は、”この時間帯は通話は規制されています。毎時XX分よりYY分のみ通話、接続可能です。”とすればよい(図6参照)。
【0044】
このような構成とすることで、無線通信を規制された携帯端末の利用者は表示またはアナウンスで通信可能な時間帯を知ることができる。また、規制が解除となる時点(規制モードから平常時モードに変更されるタイミング)においても規則情報を受信するので、携帯端末の利用者は通信可能になったことを知ることができる。
【0045】
<RNC120>
RNC120は、時計121と規制部123と送信部124と受信部125と記憶部126とを含む(図8参照)。
【0046】
受信部125は、規則情報を受信し、記憶部126に格納し、規制部123に制御信号を送信する。
【0047】
記憶部126には、規則情報とは別に、規則識別子と報知情報との組合せが予め格納されている(図6参照)。
【0048】
(規制部123)
規制部123は、制御信号を受け取ると(s123i)、記憶部126から規則情報を受け取り(s123ii)、受け取った規則情報に対応する規則に従って、基地局通信装置130との無線通信を規制する(図9参照)。
【0049】
以下、さらに図9を用いて詳細を説明する。まず規則情報に基づき、規則が設定される(s123a)。受信部125を介して携帯端末140への接続要求を受信すると(s123b)、接続要求に含まれる着信電話番号を取得する(s123c)。時計121からその時点の時刻を取得する(s123d)。取得した着信電話番号と時刻に基づき、規則に従っているか否かを判断する(s123e)。規則に従っている場合には、接続要求を受け付け(s123f)、送信部124を介して接続要求を基地局通信装置130に送信する。規則に従っていない場合には、接続要求を拒否し(s123g)、破棄する。さらに、規制部123は、その規則に対応する報知情報を記憶部126から取得し、送信部124を介し、さらに、加入者交換機110を経由して発信元端末(固定電話端末や携帯端末等)に送信する(s123h)。報知情報は、発信元端末のディスプレイやスピーカにおいて表示、再生される。
【0050】
図1の従来技術では、外部から基地局通信装置30のセル内の携帯端末40,40,…,40に発信を試みる場合も、トラフィック量の増加により、基地局通信装置30と一定の割合の携帯端末のみが通信可能となるが、外部から携帯端末に発信を試みる者はその規制内容を知らないため、通信できるまで発信を試み続けることになる。その結果、基地局通信装置30の負荷が増大する。
【0051】
一方、本実施形態のように携帯端末140への接続要求を規制することで、RNC120から基地局通信装置130へ向かう無線通信の通信量を減らすことができる。また、発信元端末の利用者の発信操作を強制的に止めることはできないが、発信元端末の利用者に規則を知らせることで、発信元端末の利用者は携帯端末への発信操作を止めることが期待されるため、発信元端末からRNC120への通信量を減らすことができる。また、発信元端末側の利用者の発信を試み続ける負担も取り除くことができる。
【0052】
なお、規則が変更となる時点で発信者に変更後の規則を自動応答する構成としてもよい。例えば、以下のように実現する。接続要求を拒否した場合(s123g)には、規制部123は発信電話番号を記憶部126に格納しておく。さらに、規制部123は、受信部125から制御信号を受け取ったタイミング(言い換えると、規則が変更されたタイミング)で、記憶部126から発信電話番号と変更された規則に対応する報知情報を取得し、送信部124を介し、さらに、加入者交換機110を経由して発信元端末に送信する。このような構成とすることで、規制が解除となる時点(規制モードから平常時モードに変更されるタイミング)で自動応答により発信元端末の利用者も解除情報を知ることができる。
【0053】
<効果>
このような構成とすることで、携帯端末の利用者及び携帯端末に通信を試みる者は次に通話可能な時間を知ることができるので、通信できるまで発信を試み続けるという負担を取り除くことができる。また、通信可能になり次第、発信が可能となる。
【0054】
言い換えると、平常時モードから規制モード(モードAやモードB)に変更になった際に、携帯端末は基地局から規則情報を受け取り、携帯端末の利用者に次に通信可能な時間を報知し、また、携帯端末の利用者の発信のための操作を拒否したときに、次に通信可能な時間を報知するので、携帯端末の利用者は通信可能な時間を知ることができる。発信を試み続けずとも、通信可能になり次第、発信することができる。また、規則モードから平常時モードに変更になった際に、携帯端末は基地局から規則情報を受け取り、携帯端末の利用者に規則の内容(規制されないこと)を報知するので、携帯端末の利用者は通信可能になり次第、その内容を知ることができる。携帯端末に通信を試みる者も同様である。
【0055】
基地局通信装置130に対して電波を発信する携帯端末を強制的に規制できるので(例えば、規則(2)に従った場合には1/10に、規則(3)に従った場合には1/2に規制できるので)、全ての携帯端末利用者が決められた時間帯での通信が可能となる。さらに、同時に次に通信可能な時間を携帯端末利用者もその携帯端末に通信を試みる者にも報知することができ、無駄な接続要求の試みやその電波消費を抑えることができ、緊急連絡が効率的に実現できる。また基地局通信装置130を含む基地局での処理を軽減できる。
【0056】
<変形例>
なお、本実施形態では、基地局通信装置130において規則情報が変更されたタイミングで制御信号を送信部134に送り、送信部134から各装置に規則情報として規則識別子を送信している。これを、定期的に記憶部136を参照して送信部134から各装置に規則情報を送信する構成としてもよい。その場合、携帯端末140やRNC120のそれぞれの規制部は、それぞれの記憶部を参照し、規則情報に変更があった場合には、規則を設定しなおし、報知情報を表示、再生させる。規則情報として規則識別子のみを送信するので、定期的に規則情報を送信したとしても、わずかの電波で同報することができる。
【0057】
携帯端末140やRNC120の記憶部に、規則識別子と報知情報の組合せが予め格納されていない構成としてもよい。その場合、基地局通信装置130の記憶部136に規則識別子と報知情報の組合せが予め格納しておき、基地局通信装置130は、規則情報として、選択した規則に対応する規則識別子と報知情報とを送信する。携帯端末140は表示部147とスピーカ148で報知情報を表示、再生する。RNC120は規則情報に含まれる報知情報を発信元端末に送信する。このような構成としても本実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、各装置間の通信量が報知情報の分だけ増加する。
【0058】
なお、基地局通信装置130は規制部133を含まなくともよい。外部から携帯端末140への接続要求はRNC120で規制され、携帯端末140から外部への接続要求は携帯端末140で規制されるため、本発明の効果を得ることができる。
【0059】
但し、基地局通信装置130のセル内の携帯端末が必ずしも携帯端末140と同様の構成を有しているとは限らない。基地局通信装置130が規制部133を含む場合には、この規制部133において、規制部143を持たない携帯端末からの接続要求を規制することができる。その場合、基地局通信装置130の記憶部136に規則識別子と報知情報の組合せが予め格納しておき、基地局通信装置130は、接続要求を規制したときには、規制した携帯端末に報知情報を送信する。このような構成とすることで基地局通信装置130からRNC120へ向かう通信の通信量を減らすことができる。また、携帯端末の利用者の発信操作を強制的に止めることはできないが、携帯端末の利用者に規則を知らせることで、携帯端末の利用者は外部への発信操作を止めることが期待されるため、携帯端末から基地局通信装置130への通信量を減らすことができる。同様に基地局通信装置130が規制部133を含む場合には、RNC120には規制部123を含まずともよい。その場合、RNC120で行っていた処理を基地局通信装置130で行えばよい。この場合、RNC120から基地局通信装置130へ向かう通信の通信量を規制することはできない。
【0060】
<第二実施形態>
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図10を用いて、第二実施形態に係る時分割通信規制システム200の構成例を示す。時分割通信規制システム200はRNC220と、M個の基地局通信装置230(m=1,…,M)と各セルm内のN(m)個の携帯端末140mn(n=1,2,…,N(m))とを含む(図中、符号1401N(1)の下付文字1N(1)は1N(1)を表す)。各セルm内のN(m)個の携帯端末140mnは、第一実施形態で説明した携帯端末140と同様の構成である。
【0061】
通常、RNCは複数の無線基地局を管理する。本実施形態では、RNC220が選択部132を含み、M個の基地局通信装置230を管理し、規制情報を送信する構成とする。
【0062】
RNC220の送信部は、選択された規則に対応する規則識別子を規則情報として基地局通信装置230に送信し、さらに、基地局通信装置230を介して、携帯端末140mnに送信する。RNC220は、選択した規則に従って外部から携帯端末140mnに向かう通信を規制する。基地局通信装置230も規則情報を受信し、この規則情報に対応する規則を設定し、通信を規制する。基地局通信装置230において規則を選択する必要はないので、基地局通信装置は選択部132を含まない構成であってもよい。
【0063】
選択された規則の内容を、携帯端末140mn及び発信元端末の利用者はその表示部及びスピーカからの表示及びアナウンスを見聞きすることができる点は第一実施形態と同様である。
【0064】
<効果>
このような構成とすることで第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、時分割通信規制システム200の利用者(管理者)は、基地局通信装置230のトラフィック量等を一括して監視しながら、その通信を規制することができるという効果を奏する。
【0065】
<変形例>
選択部132は、必ずしもRNCに含まれなくともよく、例えば加入者交換機内の含まれる構成としてもよい。第二実施形態のRNC220や上述の加入者交換機など、基地局通信装置とは別装置であって、基地局通信装置のトラフィック量を監視し、選択部132を含み、規制情報を送信する送信部を備える装置を規制装置と呼ぶ。規制装置は上述のRNC220や加入者交換機とは別装置として設けてもよい。規制装置は、基地局通信装置230と、この基地局通信装置230と無線通信する携帯端末140mnと、を含む通信システム(時分割通信規制システム)の通信を規制する。
【0066】
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。例えば、必ずしも記憶部を介してデータの受け渡さなければならないわけではなく、各部間で直接データを受け渡してもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0067】
<プログラム及び記録媒体>
上述した携帯端末装置、基地局通信装置、規制装置は、コンピュータにより機能させることもできる。この場合はコンピュータに、目的とする装置(各種実施例で図に示した機能構成をもつ装置)として機能させるためのプログラム、またはその処理手順(各実施例で示したもの)の各過程をコンピュータに実行させるためのプログラムを、CD−ROM、磁気ディスク、半導体記憶装置などの記録媒体から、あるいは通信回線を介してそのコンピュータ内にダウンロードし、そのプログラムを実行させればよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置と、を含む時分割通信規制システムであって、
前記基地局通信装置は、
通信可能な時間を割り当てられたグループに属する前記携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において前記基地局通信装置と通信可能であるという規則に従って前記携帯端末装置からの接続要求及び前記携帯端末装置への接続要求を規制する第一規制部と、
前記規則に対応する情報(以下「規則情報」という)を前記携帯端末装置に送信する第一送信部と、を含み、
前記携帯端末装置は、
前記規則情報を受信する受信部と、
前記規則に従って、前記基地局通信装置との無線通信を規制する第二規制部と、
無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を当該携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する報知部と、を含む、
時分割通信規制システム。
【請求項2】
携帯端末装置と無線通信する基地局通信装置であって、
通信可能な時間を割り当てられたグループに属する前記携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において当該基地局通信装置と通信可能であるという規則に従って、通信を規制された前記携帯端末装置の利用者及び前記携帯端末装置に通信を試みる者が次に通信可能な時間を感知できるものとし、前記規則に従って前記携帯端末装置からの接続要求及び前記携帯端末装置への接続要求を規制する第一規制部と、
前記規則に対応する情報を前記携帯端末装置に送信する第一送信部と、を含む、
基地局通信装置。
【請求項3】
基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置であって、
通信可能な時間を割り当てられたグループに属する当該携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において前記基地局通信装置と通信可能であるという規則に対応する情報を受信する受信部と、
前記規則に従って、前記基地局通信装置との無線通信を規制する第二規制部と、
無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を当該携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する報知部と、を含む、
携帯端末装置。
【請求項4】
基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置と、を含む通信システムの通信を規制する規制装置であって、
通信可能な時間を割り当てられたグループに属する前記携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において前記基地局通信装置と通信可能であるという規則に従って、通信を規制された前記携帯端末装置の利用者及び前記携帯端末装置に通信を試みる者が次に通信可能な時間を感知できるものとし、前記規則に対応する情報を、前記基地局装置に送信する第二送信部と、を含む、
規制装置。
【請求項5】
前記規則において、前記電話番号の下一桁の数字に基づいて1以上のグループに分類し、
通信可能な時間を各グループに割り当てる、
請求項2から4の何れかに記載の装置。
【請求項6】
基地局通信装置と、この基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置と、を含む通信システムの通信を規制する方法であって、
前記基地局通信装置の第一規制部が、通信可能な時間を割り当てられたグループに属する前記携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において前記基地局通信装置と通信可能であるという規則に従って前記携帯端末装置からの接続要求及び前記携帯端末装置への接続要求を規制する第一規制ステップと、
前記基地局通信装置の第一送信部が、前記規則に対応する情報(以下「規則情報」という)を前記携帯端末装置に送信する第一送信ステップと、
前記携帯端末装置の受信部が、前記規則情報を受信する受信ステップと、
前記携帯端末装置の第二規制部が、前記規則に従って、前記基地局通信装置との無線通信を規制する第二規制ステップと、
無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を当該携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する報知ステップと、を含む、
時分割通信規制方法。
【請求項7】
基地局通信装置と無線通信する携帯端末装置の通信を規制する方法であって、
前記携帯端末装置の受信部が、通信可能な時間を割り当てられたグループに属する当該携帯端末装置のみが、その割り当てられた時間において前記基地局通信装置と通信可能であるという規則に対応する情報を受信する受信ステップと、
前記携帯端末装置の第二規制部が、前記規則に従って、前記基地局通信装置との無線通信を規制する第二規制ステップと、
前記携帯端末装置の報知部が、無線通信を規制したときに次に通信可能な時間を当該携帯端末装置の利用者が感知できるように報知する報知ステップと、を含む、
時分割通信規制方法。
【請求項8】
請求項2から5の何れかに記載の装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−34083(P2013−34083A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168912(P2011−168912)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】