説明

時刻管理システム、時刻管理方法、並びにこれに用いられるクライアント及びクライアントプログラム。

【課題】クライアントが有する内部時計の時刻の不正操作を防止する時刻管理システムを提供する。
【解決手段】クライアント50は、下位時刻サーバ30にアクセスし、識別情報を要求する。クライアント50は、下位時刻サーバ30から送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する。正規の識別情報である場合、下位時刻サーバ30に時刻情報を要求し、送信された時刻情報に基づいてクライアント50内のクライアント内部時計の時刻を調整する。一方、判断の結果、送信された識別情報が正規の識別情報でない場合、時刻情報を要求せず、その判断結果をセンタサーバ10に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻管理システム、時刻管理方法、並びにこれに用いられるクライアント及びクライアントプログラムに関し、さらに詳しくは、クライアントの内部時計の時刻を調整する時刻管理システム、時刻管理方法、並びにこれに用いられるクライアント及びクライアントプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ダウンロード型コンテンツ配信システムは一般に、動画や音楽等の多数のコンテンツを蓄積したサーバと、サーバからコンテンツをダウンロードして再生するクライアントとを備える。サーバはサービスプロバイダによって運営され、クライアントは利用者によって操作される。
【0003】
このようなダウンロード型コンテンツ配信システムにより提供されるコンテンツには、著作権保護のためにコンテンツに有効期限が設けられる。クライアントは、ダウンロードしたコンテンツのうち、自身の内部時計の現在時刻が有効期限内であるコンテンツのみ再生する。したがって、クライアントの内部時計の時刻は正確でなければならない。
【0004】
一般的に、クライアントの内部時計の時刻調整には、NTP(Network Time Protocol)サーバが利用される。クライアントは、NTPサーバにアクセスして正確な時刻(標準時)の情報を取得して、自身の内部時計の時刻を調整する。これにより、内部時計の時刻を標準時に合わせることができる。
【0005】
しかしながら、NTPサーバを用いてクライアントの内部時計の時刻を調整する場合、内部時計の時刻を不正に操作することも可能である。たとえば、クライアントが、標準時の時刻情報を提供するNTPサーバではなく、標準時より遅れた時刻の時刻情報を提供するNTPサーバにアクセスして時刻情報を取得した場合、クライアントの内部時計の時刻を標準時よりも遅らせることができる。クライアントは標準時よりも遅れた時刻に基づいて、コンテンツの再生可否を判断するため、有効期限の切れたコンテンツを再生可能と判断し、そのコンテンツを再生してしまう。
なお、特開2001−14404号公報(特許文献1)は、NTPサーバを用いた視聴期間の設定方法を開示するが、NTPサーバの正当性については何ら記載されていない。
【特許文献1】特開2001−14404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、クライアントが有する内部時計の時刻の不正操作を防止する時刻管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明による時刻管理システムは、下位時刻サーバと、下位時刻サーバに接続されるクライアントとを備える。下位時刻サーバは、サーバ内部時計と、記憶手段と、送信手段とを備える。記憶手段は、下位時刻サーバ自身の識別情報を記憶する。送信手段は、クライアントからの要求に応じて識別情報及びサーバ内部時計に基づく第1の時刻情報をクライアントに送信する。クライアントは、クライアント内部時計と、識別情報要求手段と、判断手段と、時刻要求手段と、第1の調整手段とを備える。識別情報要求手段は、識別情報を要求する。判断手段は、送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する。時刻要求手段は、判断の結果、送信された識別情報が正規の識別情報であるとき、下位時刻サーバに第1の時刻情報を要求する。第1の調整手段は、送信された第1の時刻情報に基づいて、クライアント内部時計の時刻を調整する。
【0008】
この時刻管理システムでは、クライアントは下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する。すなわち、クライアントは下位時刻サーバが正規の下位時刻サーバであるか否か確認し、正規の下位時刻サーバに対してのみ時刻情報を要求する。そのため、偽の時刻サーバからの時刻情報の取得を防止し、クライアント内部時計の時刻の不正な操作を防止できる。
【0009】
好ましくは、時刻管理システムはさらに、下位時刻サーバに接続される上位時刻サーバを備える。下位時刻サーバはさらに、取得手段と、第2の調整手段とを備える。取得手段は、上位時刻サーバから第2の時刻情報を取得する。第2の調整手段は、第2の時刻情報に基づいて、サーバ内部時計の時刻を調整する。
【0010】
この場合、下位時刻サーバは、正確な時刻を提供する上位時刻サーバから時刻情報を取得することで、サーバ内部時計の時刻を正確な時刻に調整できる。そのため、下位時刻サーバは、クライアントに対して正確な時刻を提供できる。
【0011】
好ましくは、時刻管理システムはさらに、クライアントを監視する監視サーバを備える。判断手段は、送信された識別情報が正規の識別情報と異なると判断したとき、その判断結果を監視サーバに通知する。
【0012】
この場合、クライアントが偽の時刻サーバにアクセスした事実を監視サーバで把握できる。したがって、監視サーバで不正を容易に確認できる。
【0013】
本発明による時刻管理方法は、上記時刻管理システムを動作させる方法である。
【0014】
本発明によるクライアントは、下位時刻サーバに接続可能である。クライアントは、クライアント内部時計と、識別情報要求手段と、判断手段と、時刻要求手段と、第1の調整手段とを備える。識別情報要求手段は、下位時刻サーバの識別情報を要求する。判断手段は、下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する。時刻要求手段は、判断の結果、送信された識別情報が正規の識別情報であるとき、下位時刻サーバに第1の時刻情報を要求する。第1の調整手段は、送信された第1の時刻情報に基づいて、クライアント内部時計の時刻を調整する。
【0015】
このクライアントは、下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する。すなわち、クライアントは下位時刻サーバが正規の下位時刻サーバであるか否か確認し、正規の下位時刻サーバに対してのみ時刻情報を要求する。そのため、偽の時刻サーバからの時刻情報の取得を防止し、クライアント内部時計の時刻の不正な操作を防止できる。
【0016】
好ましくは、クライアントはさらに、クライアントを監視する監視サーバに接続可能であり、判断手段は、送信された識別情報が正規の識別情報と異なると判断したとき、その判断結果を監視サーバに通知する。
【0017】
この場合、クライアントは正規の下位時刻サーバと異なる偽の時刻サーバにアクセスした事実を監視サーバに報告する。そのため、監視サーバで不正を容易に確認できる。
【0018】
本発明によるクライアントプログラムは、下位時刻サーバに接続可能であり、クライアント内部時計を有するクライアントコンピュータに実行させるためのプログラムである。クライアントプログラムは、クライアントコンピュータに、下位時刻サーバの識別情報を要求するステップと、下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断するステップと、判断の結果、送信された識別情報が正規の識別情報であるとき、下位時刻サーバに第1の時刻情報を要求するステップと、送信された第1の時刻情報に基づいて、クライアント内部時計の時刻を調整するステップとを実行させる。
【0019】
このクライアントプログラムは、下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する。すなわち、クライアントプログラムは、下位時刻サーバが真正の下位時刻サーバであるか否か確認し、真正の下位時刻サーバに対してのみ時刻情報を要求する。そのため、偽の時刻サーバからの時刻情報の取得を防止し、クライアント内部時計の時刻の不正な操作を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
1.構成
[全体構成]
図1を参照して、本実施の形態による時刻管理システムは、センタサーバ10と、上位時刻サーバ20と、下位時刻サーバ30と、DNS(Domain Name System)サーバ40と、複数のクライアント50とを備える。これらはインターネット60経由で相互に接続されるが、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他のコンピュータネットワーク経由で相互に接続されてもよい。
【0022】
上位時刻サーバ20は、原子時計やGPS受信機等を内部に備え、正確な時刻(標準時)を提供する。
【0023】
センタサーバ10、下位時刻サーバ30及びDNSサーバ40は、サービスプロバイダによって運用され、クライアント50は一般利用者によって操作される。
【0024】
センタサーバ10は各クライアント50に有効期限付のコンテンツファイルを配信する。センタサーバ10はさらに、監視サーバとして各クライアント50の動作状況を監視する。センタサーバ10は、配信用の複数のコンテンツファイルと、複数のコンテンツファイルに関する複数のコンテンツ情報と、各クライアントの動作状況に関する監視情報とを有する。コンテンツファイルは、映画等の動画、音楽、及び静止画等のファイルである。コンテンツ情報は、対応するコンテンツファイルの有効期限と、コンテンツのタイトルやジャンル等の情報とを有する。センタサーバ10は、コンテンツファイルだけでなく、コンテンツ情報もクライアント50に送信する。
【0025】
クライアント50は、利用者の操作に応じて、センタサーバ10から所望のコンテンツファイルをダウンロードし、ダウンロードしたコンテンツファイルに基づくコンテンツを再生する。要するに、このシステムはダウンロード型のコンテンツ配信システムである。
【0026】
下位時刻サーバ30は、上位時刻サーバ20から時刻情報を取得し、自身の内部時計(サーバ内部時計)の時刻を調整し、標準時に合わせる。
クライアント50は、DNSサーバ40から下位時刻サーバ30のIPアドレスを取得し、取得したIPアドレスを用いて下位時刻サーバ30にアクセスして時刻情報を取得する。取得した時刻情報に基づいて自身の内部時計(クライアント内部時計)の時刻を調整する。クライアント50はまた、クライアント内部時計の現在時刻が有効期限内であるコンテンツファイルを選択し、選択したコンテンツファイルに基づくコンテンツを再生する。
【0027】
[下位時刻サーバの構成]
図2を参照して、下位時刻サーバ(コンピュータ)30は、サーバ内部時計31と、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)32と、メモリ33と、ハードディスクドライブ(HDD)34とを含む。これらはバス37で互いに接続される。
【0028】
サーバ内部時計31は、システムクロック及びハードウェアクロックである。
HDD34は、下位時刻サーバ30のサーバ証明書を記憶する。サーバ証明書は、下位時刻サーバ30が自身を証明するための識別情報であり、証明機関が発行した署名付き公開鍵である。HDD34は、署名付き公開鍵に対応する秘密鍵も記憶する。
【0029】
HDD34はさらに、サーバモジュール(プログラム)35と、クライアントモジュール(プログラム)36とを記憶する。サーバモジュール35は、クライアント50からの要求を受け、クライアント50にサーバ証明書を送信したり、サーバ内部時計31に基づく時刻情報を送信したりする。クライアントモジュール36は、上位時刻サーバ20に時刻情報を要求し、上位時刻サーバ20から送信された時刻情報を受信する。また、受信した時刻情報に基づいて、サーバ内部時計31の時刻を調整する。すなわち、下位時刻サーバ30は、上位時刻サーバ20に対してクライアントとして機能し、クライアント50に対してサーバとして機能する。
【0030】
CPU32は、サーバモジュール35及びクライアントモジュール36をメモリ33に読み出して、上記のサーバモジュール35及びクライアントモジュール36の動作を実行する。
【0031】
[クライアントの構成]
図3を参照して、クライアント(コンピュータ)50は、クライアント内部時計51と、CPU52と、メモリ53と、HDD54と、ディスプレイ58とを含む。これらは、バス59により相互に接続される。
【0032】
クライアント内部時計51は、システムクロック及びハードウェアクロックである。
HDD54は、コンテンツデータベース55と、コンテンツ情報データベース56とを記憶する。コンテンツデータベース55には、センタサーバ10から配信された複数のコンテンツファイルが登録される。コンテンツ情報データベース56には、コンテンツデータベース55に登録された複数のコンテンツファイルに対応した複数のコンテンツ情報が登録される。このとき、コンテンツ情報は、コンテンツファイルの登録順にコンテンツ情報データベース56に登録される。
【0033】
HDD54はさらに、クライアントアプリケーション(プログラム)57を記憶する。クライアントアプリケーション57は、下位時刻サーバ30にサーバ証明書や時刻情報を要求したり、下位時刻サーバ30から送信された時刻情報に基づいてクライアント内部時計51を調整したりする。また、クライアント内部時計51の現在時刻が有効期限内であるコンテンツファイルに基づいて、コンテンツを再生する。
なお、HDD54は、下位時刻サーバ30にサーバ証明書を発行した証明機関の公開鍵を予め記憶する。
【0034】
CPU52は、クライアントアプリケーション57をメモリ53に読み出して、上記のクライアントアプリケーション57の動作を実行する。
【0035】
ディスプレイ58は、クライアント50の動作状況(再生、停止等)や再生可能なコンテンツの情報を表示する。
【0036】
2.動作
次に、上述した時刻管理システムの動作を説明する。
【0037】
[下位時刻サーバ時刻調整処理]
まず図4を参照して、下位時刻サーバ30がサーバ内部時計31の時刻を調整するための処理を説明する。
【0038】
下位時刻サーバ30内のクライアントモジュール36は、上位時刻サーバ20に時刻情報を要求する(S1)。上位時刻サーバ20は下位時刻サーバ30からの要求を受け、標準時の時刻情報を送信する。下位時刻サーバ30は上位時刻サーバ20から送信された時刻情報を受信する(S2)。続いて、クライアントモジュール36は、受信した時刻情報に基づいて、サーバ内部時計31の時刻を調整し、サーバ内部時計31の時刻を標準時に合わせる(S3)。
【0039】
クライアントモジュール36は、上記の処理を所定期間ごとに実行する。したがって、下位時刻サーバ30は、サーバ内部時計31の時刻を正確な時刻に調整でき、クライアント50に正確な時刻情報を提供できる。
また、下位時刻サーバ30は、上位時刻サーバ20から正確な時刻情報を取得するため、下位時刻サーバ30自身に原子時計やGPS受信機等を備える必要がない。そのため、下位時刻サーバの設備費用を抑えることができる。
【0040】
[クライアント時刻調整処理]
次に、図5を参照して、クライアント50がクライアント内部時計51の時刻を調整するための処理について説明する。クライアント50は、下位時刻サーバ30から時刻情報を取得することにより、時刻を調整する。このとき、クライアント50はアクセスした時刻サーバが正規の下位時刻サーバ30であることを確認した後、時刻情報を取得する。そのため、クライアント50は、下位時刻サーバ30と異なる時刻サーバからの時刻情報に基づいて時刻を調整することができない。以下、詳細を説明する。
【0041】
初めに、クライアント50は下位時刻サーバ30にアクセスするために、DNSサーバ40に下位時刻サーバ30のIPアドレスを問い合わせる(S11)。クライアント50は、DNSサーバ40からIPアドレスを受信し(S12)、受信したIPアドレスを用いて下位時刻サーバ30にアクセスする。このとき、クライアント50は下位時刻サーバ30の識別情報であるサーバ証明書(署名付き公開鍵)を要求する(S13)。下位時刻サーバ30内のサーバモジュール35は、クライアント50からの要求を受け、サーバ証明書を送信する(S14)。
【0042】
クライアント50は、サーバ証明書を受信した後(S15)、受信したサーバ証明書が正規のものであるか否かを判断する(S16)。具体的には、予めHDD54に記憶された公開鍵を用いてサーバ証明書を復号し、そのサーバ証明書が正規のものであるか否か、つまり、下位時刻サーバ30のものであるか否かを判断する。判断の結果、受信したサーバ証明書が正規の証明書でない場合(S16でNO)、クライアント50は、その判断結果をセンタサーバ10に送信する(S21)。これにより、センタサーバ10はクライアント50の不正アクセスを検知できる。
【0043】
一方、判断の結果、受信したサーバ証明書が正規のものである場合(S16でYES)、クライアント50は、サーバ証明書を送信した下位時刻サーバ30に対して時刻情報を要求する(S17)。下位時刻サーバ30内のサーバモジュール35は、サーバ内部時計31に基づく時刻情報をクライアント50に送信する(S18)。クライアント50は時刻情報を受信し(S19)、受信した時刻情報に基づいてクライアント内部時計51の時刻を調整して標準時とする(S20)。なお、ステップS17〜S19におけるクライアント50と下位時刻サーバ30との間の通信には、公開鍵暗号方式が用いられる。そのため、クライアント50は、下位時刻サーバ30から時刻情報を取得できる。
【0044】
以上の動作により、クライアント50は、下位時刻サーバ30から送信されたサーバ証明書が正規の証明書である場合のみ、時刻情報を要求する。そのため、クライアント内部時計51を正確な時刻(標準時)に調整できる。換言すれば、クライアント50は、サーバ証明書が正規の証明書と異なる場合、そのサーバ証明書を送信した時刻サーバに時刻情報を要求しない。そのため、サービスプロバイダが運営する下位時刻サーバ30と異なる時刻サーバを用いてクライアント内部時計51の時刻を調整できず、クライアント内部時計51の時刻の不正な操作を防止できる。
【0045】
なお、上記のクライアント時刻調整処理では、下位時刻サーバ30の識別情報としてサーバ証明書を採用し、正規の下位時刻サーバ30であるか否かを判断したが、他の方法により判断してもよい。たとえば、下位時刻サーバ30の識別情報をクライアント50が予め記憶しており、下位時刻サーバ30から識別情報が送信されたとき、クライアント50が送信された識別情報を予め記憶した識別情報と照合することにより、送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断してもよい。
【0046】
[再生処理]
次に、クライアント50の再生処理について説明する。再生処理では、上述のクライアント時刻調整処理により調整されたクライアント内部時計51の時刻を用いて、再生可能なコンテンツファイルを選択し、再生する。
図6を参照して、クライアント50は、初めに、HDD56に記憶されたコンテンツ情報データベース56の最初のレコードに登録されたコンテンツ情報を対象コンテンツ情報とする(S31)。続いて、対象コンテンツ情報の有効期限を参照し、クライアント内部時計51の現在時刻が有効期限内であるか否かを判断する(S32)。有効期限内であるとき(S32でYES)、対象コンテンツ情報(コンテンツのタイトル等)をディスプレイ58に表示する(S33)。
【0047】
ディスプレイ58に表示後(S33)、又はステップS32で現在時刻が有効期限内でないとき(S32でNO)、対象コンテンツ情報がコンテンツ情報データベース56に登録された最後のコンテンツ情報か否かを判断する(S34)。最後のコンテンツ情報でない場合(S34でNO)、コンテンツ情報データベース56の次のレコードに登録されたコンテンツ情報を対象コンテンツ情報として(S35)、ステップS32以降の動作を繰り返す。
【0048】
コンテンツ情報データベース56に登録された全てのコンテンツ情報についてステップS32及びS33の処理を実行したとき(S34でYES)、ディスプレイ58には再生可能なコンテンツ情報が列挙される。以上の動作により、クライアント50はクライアント内部時計51の現在時刻が有効期限内であるコンテンツファイルを選択する。
【0049】
クライアント50の利用者はディスプレイ58を見て、所望のコンテンツ情報を選択し、再生を指示する。クライアント50は選択されたコンテンツ情報に対応したコンテンツファイルを読み出し、コンテンツを再生する(S36)。
【0050】
なお、クライアント時刻調整処理により、クライアント内部時計51の時刻は正しい時刻(標準時)となっている。したがって、クライアント50は有効期限を渡過したコンテンツファイルを不正に再生できない。
【0051】
以上の実施の形態では、クライアントサーバ方式によりコンテンツを配信しているが、これに代えて、図7に示すようにハイブリッド型のピアツーピア方式を採用してもよい。図7において、センタサーバ10はコンテンツ情報と監視情報とを有するが、コンテンツファイルは有さない。また、クライアント50と異なり、複数のピア70は互いに接続される。各ピア70の構成は、図3に示す構成に加え、他のピア70からコンテンツファイルを受信する機能と、他のピアへコンテンツファイルを配信する機能とを有する。各ピア70は、コンテンツ情報をセンタサーバ10から取得し、取得したコンテンツ情報に基づいて、他のピア70からコンテンツファイルを取得する。
ただし、各ピア70は、下位時刻サーバ30に対してクライアントとして機能する。そのため、下位時刻サーバ30及びピア70の時刻調整処理は、上記2.で説明した動作と同じである。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態による時刻管理システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示した下位時刻サーバの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1に示したクライアントの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図1に示した時刻管理システムのうち、下位時刻サーバの時刻調整処理を示すフロー図である。
【図5】図1に示した時刻管理システムのうち、クライアントの時刻調整処理を示すフロー図である。
【図6】図1に示した時刻管理システムのうち、クライアントの再生処理を示すフロー図である。
【図7】図1構成の構成と異なる他の時刻管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
20 上位時刻サーバ
30 下位時刻サーバ
31 サーバ内部時計
35 サーバモジュール
36 クライアントモジュール
50 クライアント
51 クライアント内部時計
54 クライアントアプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下位時刻サーバと、前記下位時刻サーバに接続されるクライアントとを備えた時刻管理システムであって、
前記下位時刻サーバは、
サーバ内部時計と、
自身の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記クライアントからの要求に応じて前記識別情報及び前記サーバ内部時計に基づく第1の時刻情報を前記クライアントに送信する送信手段とを備え、
前記クライアントは、
クライアント内部時計と、
前記識別情報を要求する識別情報要求手段と、
前記送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する判断手段と、
判断の結果、前記送信された識別情報が前記正規の識別情報であるとき、前記下位時刻サーバに前記第1の時刻情報を要求する時刻要求手段と、
前記送信された第1の時刻情報に基づいて、前記クライアント内部時計の時刻を調整する第1の調整手段とを備えることを特徴とする時刻管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の時刻管理システムであってさらに、
前記下位時刻サーバに接続される上位時刻サーバを備え、
前記下位時刻サーバはさらに、
前記上位時刻サーバから前記第2の時刻情報を取得する取得手段と、
前記第2の時刻情報に基づいて、前記サーバ内部時計の時刻を調整する第2の調整手段とを備えることを特徴とする時刻管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の時刻管理システムであってさらに、
前記クライアントを監視する監視サーバを備え、
前記判断手段は、前記送信された識別情報が前記正規の識別情報と異なると判断したとき、その判断結果を前記監視サーバに通知することを特徴とする時刻管理システム。
【請求項4】
下位時刻サーバと、前記下位時刻サーバに接続され、クライアント内部時計を含むクライアントとを備えた時刻管理システムによる時刻管理方法であって、
前記クライアントから前記下位時刻サーバに識別情報を要求するステップと、
前記下位時刻サーバから送信された前記識別情報が正規の識別情報であるか否かを前記クライアントで判断するステップと、
前記送信された識別情報が前記正規の識別情報であるとき、前記クライアントから前記下位時刻サーバに第1の時刻情報を要求するステップと、
前記下位時刻サーバから送信された前記第1の時刻情報に基づいて、前記クライアント内部時計を調整するステップとを備えることを特徴とする時刻管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の時刻管理方法であって、
前記時刻管理システムはさらに、上位時刻サーバを備え、
前記下位時刻サーバはサーバ内部時計を含み、
前記時刻管理方法はさらに、
前記上位時刻サーバから第2の時刻情報を取得するステップと、
前記第2の時刻情報に基づいて、前記サーバ内部時計の時刻を調整するステップとを備えることを特徴とする時刻管理方法。
【請求項6】
下位時刻サーバに接続可能なクライアントであって、
クライアント内部時計と、
前記下位時刻サーバの識別情報を要求する識別情報要求手段と、
前記下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断する判断手段と、
判断の結果、前記送信された識別情報が前記正規の識別情報であるとき、前記下位時刻サーバに第1の時刻情報を要求する時刻要求手段と、
前記送信された前記第1の時刻情報に基づいて、前記クライアント内部時計の時刻を調整する第1の調整手段とを備えることを特徴とするクライアント。
【請求項7】
請求項6に記載のクライアントであって、
前記クライアントはさらに、前記クライアントを監視する監視サーバに接続可能であり、
前記判断手段は、前記送信された識別情報が前記正規の識別情報と異なると判断したとき、その判断結果を前記監視サーバに通知することを特徴とするクライアント。
【請求項8】
下位時刻サーバに接続可能であり、クライアント内部時計を有するクライアントコンピュータに実行させるためのクライアントプログラムであって、
前記下位時刻サーバの識別情報を要求するステップと、
前記下位時刻サーバから送信された識別情報が正規の識別情報であるか否かを判断するステップと、
判断の結果、前記送信された識別情報が前記正規の識別情報であるとき、前記下位時刻サーバに第1の時刻情報を要求するステップと、
前記送信された前記第1の時刻情報に基づいて、前記クライアント内部時計の時刻を調整するステップとをクライアントコンピュータに実行させるためのクライアントプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−18445(P2007−18445A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202043(P2005−202043)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】