説明

時間治療(chronotherapeutic)投与形態

【課題】患者による経口摂取後、既定の時間に患者の体内に薬剤を放出する経口医薬投与形態を提供すること。
【解決手段】活性物質(例えば薬剤)を含有するコア、およびコア表面上に適用される天然または合成ガムを含有する遅延放出圧縮コーティングを含有する時間治療用医薬製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療的有効量の薬剤を含有する時間治療(chronotherapeutic)投与形態に関する。本発明は更に同製剤の調製法および同製剤を利用する治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療による生体リズム(時間生物学)の調整は時間治療と呼ばれる。時間治療は投薬のタイミング、そして場合によってはその量の決定において個人の生体リズムを考慮に入れて、薬剤の所望の効果を最適化し、望ましくない効果を最小限にする。この新しい、絶えず発展し続けている分野の専門家によれば、投薬レベルと疾病活性の生体リズムに同時性を持たせることは、一般的な心血管症状、例えば高血圧、高コレステロール、アンギナ、卒中、および虚血性心疾患の管理においてますます多くの役割を果たしている。例えばヒトにおいて、午前1時には術後の死亡が最も起こりやすく;午前2時には消化性潰瘍が再発し;午前3時には血圧が最低となり;午前4時には喘息が最悪の状態となる。枯草熱は起床時に最も苦痛が激しく、血圧が日中に適合するように上昇する朝の時間帯に心臓発作または卒中が最も起こりやすい。リウマチ性関節炎は日中は改善するが、骨関節炎は悪化する。アルコールはカクテル・アワーである午後5時頃、身体への毒性が最も低い。
【0003】
時間治療の最初の適用は1960年代であるが、これは合成コルチコステロイド錠剤(Medrol, Upjohn)であった。臨床医による発見によれば、薬剤を朝使用するとより効果的であり、副作用がより少ない。時間治療を使用する市販品の別の例は気管支拡張剤、Uniphyl(登録商標)であり、これはPurdue Frederickが製造する長期作用型テオフィリン製剤である(1989年にFDA認可)。1日1回、夕食時に摂取して夜間の喘息症状を制御する。Uniphyl(登録商標)によって、困難な午前の時間の間に血中テオフィリンレベルがそのピークに達し、肺機能を向上する。
【0004】
また経口制御放出運搬系は十二指腸、空腸、および回腸を含む全小腸管を通過することができうるため、そのような部位特異的運搬が必要とされる場合、活性成分を直接結腸で放出することができる。これを行う一つの方法は活性医薬製剤コアの周りにコーティングを施与し、これによって製剤が胃管を通過する際に無傷であるようにすることによる。胃管の高酸性度と胃管中のタンパク分解酵素および他の酵素の存在によって高度の消化環境が生じており、これによって何らかのタイプの胃に耐性のある防御を有さない医薬製剤は容易に分解される。この分解は一般に活性物質の持続放出に対して不利益な影響を有する。それらのコーティングを施与した医薬製剤は、錠剤のコア内に含まれる活性物質の放出速度を遅延するのに加え、活性成分の放出を所望の期間遅らせて活性物質コアの溶解を遅延することもできる。遅延放出のためのコーティングを施与した医薬運搬系の例は米国特許第4,863,742号(Panozら)および5,891,474号(Busettiら)、並びにEP366 621、EP572 942、およびEP629 398に見られる。それらの文献のそれぞれに記載されている遅延放出錠剤では治療活性物質コアを少なくとも一層、場合によっては数層のコーティングで被覆するが、コーティングの層は、錠剤コア内の活性物質の患者の系への一定時間後の放出に直接影響を与える。
【0005】
当業者に考慮されるように、薬剤の運搬に適合できる経口制御放出運搬系を提供して放出速度および血漿中の薬剤プロフィールを生理学的および時間治療的必要を満たすようにすることができるのが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
発明の目的および概要
本発明の目的は、患者による経口摂取後、既定の時間に患者の体内に薬剤を放出する経口医薬投与形態を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は経口医薬投与形態を提供することであり、同投与形態は経口摂取後、既定の時間に患者の胃腸管に薬剤を遅延放出させる。
【0008】
本発明のある実施形態の更なる目的は薬剤を含むコアを有する経口医薬投与形態を提供することであり、同コアはコーティングで圧縮コーティングされ、これによって投与形態を患者に経口投与した後に投与形態から薬剤が遅延放出される。
【0009】
本発明のある実施形態の更なる目的は薬剤を含むコアを有する経口医薬投与形態を提供することであり、同コアはコーティングで圧縮コーティングされ、これによって投与形態を患者に経口投与した際に薬剤が遅延放出される。
【0010】
本発明のある実施形態の更なる目的は、広範囲の疾患への時間特異的投与を可能とする投与形態を提供することである。
【0011】
本発明のある実施形態の更なる目的は、概日リズムに対応して一般的に早朝により症状が出る関節炎、高血圧、または喘息等の疾患に対して時間特異的投与を可能とする投与形態を提供することである。
【0012】
本発明のある実施形態の更なる目的は、投与形態から薬剤が遅延放出され、その後同投与形態が胃腸管を通過する際に薬剤が持続放出される投与形態を提供することである。
【0013】
本発明のある実施形態の更なる目的は圧縮コーティングされた投与形態を提供することであり、同投与形態は圧縮コーティングされたコアを更にコーティングする薬剤の即時放出層を有し、これによって同投与形態から同じ若しくは異なる薬剤が遅延放出され;同コアは必要により、その後同投与形態が胃腸管を通過する際に薬剤を持続放出する。
【0014】
本発明のある実施形態の更なる目的は、(例えば結腸への)薬剤を部位特異的に運搬する経口投与形態を提供することである。
【0015】
本発明のある実施形態の更なる目的は、薬剤を計画(programmed)放出させる経口投与形態を開発することである。
【0016】
本発明のある実施形態の更なる目的は、薬剤を拍動的に(pulsatile)放出させる経口投与形態を開発することである。
【0017】
上記の本発明の目的に従って、本発明は一部には治療的有効量の薬剤を含有するコアおよび同コアに適用される圧縮コーティング剤を含む経口投与形態に関し、同圧縮コーティング剤はコアの表面上を圧縮コーティングする1つ以上の天然または合成ガムを含む遅延放出剤を含有し、これによって同投与形態の哺乳動物(例えばヒト患者)への経口投与後に、投与形態からの薬剤の放出が所望の時間遅延される。
【0018】
ある好ましい実施形態では、圧縮コーティングはキサンタンガム、ローカストビーンガム、および製薬上許容される糖質、例えば単糖、二糖、多価アルコール、またはそれらのいずれかを組み合わせたものの混合物(例えばマトリクス)を含有する。ある好ましい実施形態では、コアは薬剤を1つ以上の製薬上許容される添加剤と共に含有する即時放出コアである。
【0019】
更に本発明は一部には、治療的有効量の薬剤を含有するコアおよび該コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含む遅延放出経口固形投与形態に関し、同遅延放出剤は1つ以上の天然または合成ガムを含有し、同圧縮コーティングは該投与形態からの該薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後約2時間から約18時間の間遅延させる。
【0020】
更に本発明は一部には、治療的有効量の薬剤を含有するコアおよび同コア上に圧縮コーティングされる凝集させた(agglimerated)遅延放出剤を含む遅延放出経口固形投与形態に関し、同塊状遅延放出剤は例えばホモ多糖、ヘテロ多糖、およびホモ多糖とへテロ多糖との混合物から選択されるガムを製薬上許容される添加剤と共に含有し、同圧縮コーティングは同投与形態からの該薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後、既定の時間遅延させる。
【0021】
更に本発明は一部には、治療的有効量の薬剤および崩壊剤を含有するコア、および同コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含む遅延放出経口固形投与形態に関し、該遅延放出剤は1つ以上の天然または合成ガムを含有し、該圧縮コーティングは同投与形態からの同薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後、既定の時間遅延させ、同崩壊剤は有効量でコアに含有され、これによって該既定時間後1時間以内に少なくとも約50%の同薬剤が該水溶液中に放出される。
【0022】
更に本発明は一部には、治療的有効量の薬剤を含有する錠剤コアおよび同コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含む遅延放出経口固形錠剤に関し、同遅延放出剤は1つ以上の天然または合成ガムを含有し、同ガムは錠剤の約6.5重量%から約83重量%含有され、該圧縮コーティングは同投与形態からの該薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後、約2時間から約18時間遅延させる。
【0023】
更に本発明は、約0.01mgから約40mgの薬剤を含有するコアおよび同コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含む低投与量薬剤のための時間治療遅延放出経口固形投与形態に関し、同遅延放出剤は1つ以上の天然または合成ガムを含有し、同圧縮コーティングは同経口固形投与形態の約75から約94重量%含有され、同コアと同圧縮コーティング中のガムの比率は約1:0.37から約1:5(重量比)であり、同圧縮コーティングは同投与形態からの該薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後約2時間から約18時間遅延させる。
【0024】
更に本発明は一部には、約41mgから約300mgの薬剤を含有するコアおよび同コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含む比較的高投与量の薬剤のための時間治療遅延放出経口固形投与形態に関し、同遅延放出剤は1つ以上の天然または合成ガムを含有し、同コアと同圧縮コーティング中のガムの比率は約1:0.3から約1:3(重量比)であり、経口固形投与形態の総重量は約500mgから約1500mgであり、同圧縮コーティングは同投与形態からの該薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後約2時間から約18時間遅延させる。
【0025】
更に本発明は一部には、薬剤の時間治療経口固形投与形態の調製法に関し、同方法は治療的有効量の薬剤およびコアの約5から約20重量%の崩壊剤を含有するコアの調製、1つ以上の天然または合成ガムを含有する遅延放出剤の顆粒の調製、該コアへの同顆粒の圧縮コーティングを含み、同圧縮コーティングは該薬剤の放出を、同投与形態の水溶液への暴露後約2時間から約18時間まで遅延させる。ある好ましい実施形態では、方法は1つ以上の天然または合成ガムを少なくとも1つの製薬上許容される添加剤と共に湿式造粒法によって顆粒化することによって遅延放出剤の顆粒を調製し、得られる顆粒を乾燥して遅延放出剤の塊状粒子を得ることを更に含む。ある実施形態では、方法は圧縮コーティング段階に先だってグルココルチコステロイド、崩壊剤、および製薬上許容される不活性希釈剤を顆粒化することを更に含む。
【0026】
ある好ましい実施形態では、遅延放出時間が終了して1時間以内に少なくとも約50%の薬剤を水溶液中に放出させるのに有効な量でコアに混合される高度崩壊剤(superintegrant)である。
【0027】
本発明は更に、本明細書に開示した製剤を利用した治療方法に関する。
【0028】
ある実施形態では、経口投与形態は(例えばヒト被験体または患者への)経口投与後約2から約18時間の遅延時間を与える(薬剤の放出を遅延する)。
【0029】
ある好ましい実施形態では、経口投与形態は、圧縮コーティングによって提供される遅延時間の終了後、同コア中に含有される薬剤の少なくとも約50%を約1時間以内に、好ましくは同コア中に含有される薬剤の少なくとも約80%を約1または2時間以内に放出する。
【0030】
ある実施形態では、本発明の経口投与形態は(例えばヒト患者への)経口投与後、約5時間から約8時間の遅延時間を与え、約8時間から約12時間で完全に放出する。
【0031】
ある好ましい実施形態では、経口投与形態は、同投与形態の経口投与後約6時間から約7時間の遅延時間を与え、約8時間から約9時間で完全に放出する。
【0032】
他の好ましい実施形態では、経口投与形態は経口投与後約6時間から約7時間の遅延時間を与え、続いて約7時間から約8時間で同薬剤を完全に放出する。
【0033】
更に別の実施形態では、製剤は経口投与後約9時間から約12時間の遅延時間を与え、約11時間から約13時間で完全に放出し、好ましくは同投与形態の経口投与後約10時間から約11時間の遅延時間を与え、続いて約11時間から約12時間で完全に放出する。
【0034】
更に別の実施形態では、製剤は(例えば約3-12時間の)遅延時間を与え、約24時間以内、または(あるいは)24時間後に同投与形態から同薬剤を完全に放出する。
【0035】
本発明の目的において“遅延放出”とは、薬剤の放出が遅延され、投与形態に含まれる同薬剤が一定時間後まで製剤から実質的に放出されず、例えばそれによって患者による錠剤の摂取に際して直ちにではなく、特定の時間後(例えば4時間から9時間の遅延)になって初めて患者の血流中に同薬剤が放出されることを意味する。本発明の目的では、遅延放出は“一定時間遅延”もしくは遅延時間後の薬剤の放出、またはプログラム放出と同義である。
【0036】
本発明の目的において“持続放出”とは、一度薬剤が製剤から放出されると制御された速度で放出され、それによって医薬品の治療的に有益な血中レベル(しかし毒性レベル未満)が薬剤放出の開始から長時間にわたって保持され、例えば遅延時間以後の薬剤放出時点から一定時間(例えば約4時間から約24時間)にわたって放出を進行させることを意味する。
【0037】
本発明の目的において“環境液体(environmental fluid)”とは、例えば水溶液(例えばin vitroの溶解槽(dissolution bath))または胃腸液を含むことを意図する。
【0038】
ここで使用する米国薬局方器具III型という用語は、例えば米国薬局方XXV(2002)に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な説明
本発明を利用して薬学的に活性な薬剤の時間遅延放出を実施してもよく、また、ある実施形態では薬学的に活性な薬剤の制御放出医薬製剤を提供してもよく、同薬剤は必要に応じて既定の時間にわたって運搬される。本発明の製剤は薬学的に活性な薬剤の時間遅延放出を提供し、必要に応じて時間遅延薬剤送達メカニズムを通して治療される症状の治療に有用でありうる。例えば本発明の製剤は関節炎、高血圧及び喘息(その症状は一般に患者が眠りから覚める朝に、より激しい)のような朝の病状、すなわち症状、疾患または他の疾病の治療に有用である。これらの症状を治療するために、本発明にかかる時間遅延放出製剤を就寝前に患者に投与し、ほぼ患者の起床時に薬学的に活性な薬剤の運搬を行うか、または好ましくは同薬剤が治療効果が得られる程度まで投与形態からすでに運搬(そして胃腸管から吸収)されていて、それによって朝の病状が軽減されていてもよい。
【0040】
本発明の製剤は活性な薬剤を含有するコア、および同コアを被覆する圧縮コーティング(これは1つ以上の製薬上許容される天然または合成ガムを含有する)を含有する。ある特定の好ましい実施形態では、圧縮コーティングはヘテロ多糖ガム(例えばキサンタンガム)およびホモ多糖ガム(例えばローカストビーンガム)を組み合わせたものを、製薬上許容される糖(例えばラクトース、デキストロース、マンニトールなど)と共に含有する。ある好ましい実施形態では、ガムを必要に応じた糖と共に湿式造粒法によって顆粒化し、例えばキサンタンガム、ローカストビーンガム、およびデキストロースの混合物を含む塊状粒子を形成する。
【0041】
本発明の圧縮コーティングの目的は活性物質の放出を既定の時間(当該分野ではこれを“遅延時間”と呼ぶ)遅延させることである。ある実施形態では、活性物質の放出は投与形態の投与後約2時間から約18時間遅延される、またはその遅延時間を有する。
【0042】
活性物質を含有するコアは活性物質を即時放出または持続放出のいずれをするようにも調製できる。活性物質の即時放出および持続放出のための製剤はいずれも当業者に周知である。
【0043】
本発明では、活性な薬剤を含有するコアを即時放出として調製する場合、当業者に周知の好適な錠剤製造法のいずれによっても調製できる。例えば薬学的に活性な薬剤を添加剤と混合し、慣例的な錠剤プレスまたは慣例的な湿式造粒法を使用して錠剤コアとしてもよい。本発明のある好ましい実施形態によれば、コアの成分をV-混合機で乾式混合し、回転式錠剤プレスで圧縮して錠剤コアとする。あるいはまた、ある実施形態では、コアの成分を湿式造粒法により顆粒化、乾燥し、その後圧縮して錠剤コアとすることができる。好ましくは、コアは更なる加工の際(例えばコーティング加工の際)に欠けたりバラバラにならない程度の硬度まで圧縮すべきである。ある実施形態では、コアを重量50mg、硬度2から8、好ましくは4から8、最も好ましくは4-5kPまで圧縮できる。更に錠剤コアのサイズは1/8インチから5/8インチ、好ましくは1/8インチから1/2インチ、より好ましくは3/16インチから1/4インチの範囲であるべきである。
【0044】
コアが湿式造粒段階を経ないで製造され、最終混合物を圧縮して錠剤コアとするある実施形態では、コア中の添加剤の全てまたは一部は既製の直接圧縮希釈剤を含有してもよい。それらの既製の直接圧縮希釈剤の例にはEmcocel(登録商標)(微結晶セルロース、米国国民医薬品集(N.F.))、Emdex(登録商標)(デキストレート(dextrates)(米国国民医薬品集))、およびTab-Fine(登録商標)(スクロース、フルクトース、およびデキストロースを含む多くの直接圧縮糖)があり、これらは全てPenwest Pharmaceuticals社(Patterson, New York)から販売されている。他の直接圧縮希釈剤には以下がある:無水ラクトース(ラクトース(米国国民医薬品集))、無水直接錠剤(direct tableting))(Sheffield Chemical, Union N.J. 07083);Elcems(登録商標)G-250(粉末セルロース(米国国民医薬品集)(Degussa, D-600 Frankfurt (Main) Germany);Fast-Flo Lactose(登録商標)(ラクトース(米国国民医薬品集)、噴霧乾燥物)(Foremost Whey Produsts, Banaboo, WI 53913);Maltrin(登録商標)(塊状マルトデキストリン)(Grain Processing社, Muscatine, IA 52761);Neosorb 60(登録商標)(ソルビトール(米国国民医薬品集)、直接圧縮物)(Roquet社, 645 5th Ave. New York, N.Y. 10022);Nu-Tab(登録商標)(圧縮性糖(米国国民医薬品集))(Ingredient Technology社, Pensauken, N.J. 08110);Polyplasdone XL(登録商標)(クロスポビドン(Crospovidone)(米国国民医薬品集)、架橋ポリビニルピロリドン)(GAF社, New York, N.Y. 10020);Primojel(登録商標)(デンプングルコール酸ナトリウム(米国国民医薬品集)、カルボキシメチルデンプン)(Generichem社, Little Falls, N.J.07424);Solka Floc(登録商標)(綿状セルロース)(Penwest Pharmaceuticals社, Patterson N.Y. 10512);Spray-dried lactose(登録商標)(ラクトース(米国国民医薬品集)、噴霧乾燥物)(Foremost Whey Products, Baraboo, WI 53913、およびDMV社, Vehgel, Holland);およびSta-Rx 1500(登録商標)(Starch 1500)(α化デンプン(米国国民医薬品集)、圧縮性)(Colorcon社, West Point, PA 19486)。本発明のある実施形態では、本発明のコアに使用される直接圧縮可能な不活性希釈剤は米国特許第5,585,115号(1996年12月17日発行、“改善された圧縮性を有する医薬添加剤(Pharmaceutical Excipient Having Improved Compressibility)”)に開示される増強(augmented)微結晶セルロースであり、同特許は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。そこに記載される増強微結晶セルロースはProsolv(登録商標)の商品名でPenwest Pharmaceuticals社から販売されている。PROSOLV SMCC 50はケイ化微結晶セルロースである。この特定のグレードは、粒子サイズの中央値(ふるい分析による)が約50μmである。PROSOLV SMCC 90はケイ化微結晶セルロースである。このグレードは、粒子サイズの中央値(ふるい分析による)が約90μmである。
【0045】
あるいはまた、ある実施形態では、活性薬剤を含有するコアを活性薬剤の持続放出のための持続放出コアとして調製することができる。活性薬剤を含有するコアを持続放出として調製する場合、当該分野で知られる多くの方法で同コアを調製することができる。例えば、活性薬剤を持続放出マトリクスに混合し、その後圧縮してコアとするか、または持続放出剤を即時放出コア上にコーティングして活性薬剤を持続放出させるか、または圧縮した持続放出マトリクスおよびコア上の持続放出コーティングを併用することができる。更に、活性薬剤を含有する球状物質、または持続放出コーティングを有し、活性薬剤を含有する多微粒子(multiparticlates)を必要に応じた結合剤および他の添加剤と共に圧縮して持続放出コアとしてもよい。
【0046】
本発明のコアが持続放出マトリクスを含有する場合、同マトリクス製剤は一般に当該分野で周知の標準的な方法を使用して調製される。一般に、それらは持続放出剤、希釈剤、活性物質、および必要に応じた他の添加剤を乾式混合し、その後好適な顆粒が得られるまで混合物を顆粒化して調製する。顆粒化は当該分野で周知の方法によって行う。一般に湿式造粒法では、湿性顆粒をfluid bed dryerで乾燥し、ふるいにかけ、粉砕して好適なサイズとする。潤滑剤を乾燥した顆粒と混合して最終的なコア製剤を得る。
【0047】
出願人の米国特許第4,994,276号;5,128,143号;5,135,757号;5,455,046号;5,512,297号;5,554,387号;5,667,801号;5,846,563号;5,773,025号;6,048,548号;5,662,933号;5,958,456号;5,472,711号;5,670,168号;6,039,980号(これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)で出願人が報告したように、相乗作用性ヘテロ分散多糖(例えばキサンタンガムのようなヘテロ多糖)のようなゲル化剤を(好ましくは同ヘテロ多糖と架橋を形成できる多糖ガム(例えばローカストビーンガム)と共に)含有する制御放出添加剤は、薬剤および潤滑剤粉末の添加後の直接圧縮、慣例的な湿式造粒法、またはその2つの併用で経口固形投与形態に加工することができる。これらの系(制御放出添加剤)はTIMERx(登録商標)の商品名で本発明の譲渡人であるPenwest Pharmaceuticals社(Patterson, N.Y.)から販売されている。
【0048】
本発明の、コアが活性物質を持続放出する実施形態では、同コアは出願人の上記の特許に開示されるような持続放出マトリクスを含有する。例えば本発明のある実施形態では、活性物質に加え、コアは、ヘテロ多糖ガムおよび環境液体に暴露した時に該ヘテロ多糖と架橋構造を形成できるホモ多糖ガムを含むゲル化剤を含む持続放出添加剤、および不活性な医薬希釈剤を含有する。好ましくはヘテロ多糖ガムとホモ多糖ガムの比率は約1:3から約3:1であり、活性物質とゲル化剤の比率は好ましくは約1:3から約1:8である。得られるコアは、好ましくは少なくとも約4時間、そしてある好ましい実施形態では約24時間の間、治療的に有効な血中レベルの活性物質を提供する。ある好ましい実施形態では、持続放出添加剤は以下に記載するような有効量の製薬上許容されるイオン化可能なゲル強度増強剤を更に含有し、コアが環境液体に暴露されると、活性物質が持続放出される。(必要に応じたイオン化可能なゲル強度増強剤を含有する、またはしない)持続放出添加剤を、親水性マトリクスを分解することなくガムの水和を遅延する疎水性物質の導入によって更に修飾してもよい。更にある態様では、コア中に製薬上許容される界面活性剤または湿潤剤を含有させることによって活性物質の2相または多相放出プロフィールを提供するように持続放出添加剤を修飾することができる。あるいはまた、持続放出添加剤は上記のガムの1つだけを含有する。更に別の態様では、持続放出添加剤は別の製薬上許容されるガムを含有する。
【0049】
上記に加え、他の持続放出物質を本発明の製剤の持続放出マトリクスコアに使用してもよい。本発明にかかる持続放出マトリクスに含有させてもよい好適な持続放出物質の非制限的なリストには親水性および/または疎水性物質(例えば持続放出ポリマーガム、アクリル樹脂、タンパク質誘導物質、ワックス、シェラック)、およびオイル(例えば硬化ヒマシ油、硬化植物油)がある。好ましい持続放出ポリマーにはアルキルセルロース、例えばエチルセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーおよびコポリマー;およびセルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロース(特にヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびカルボキシアルキルセルロースがある。好ましいワックスには例えば天然および合成ワックス、脂肪酸、脂肪族アルコール、およびそれらの混合物(例えば蜜蝋、カルナウバ蝋、ステアリン酸、およびステアリルアルコール)がある。ある実施形態では、コアのマトリクスに上記の持続放出剤のいずれかの混合物を使用する。しかしながら、活性物質を持続放出させる能力のある製薬上許容される疎水性または親水性持続放出物質のいずれを本発明に従って使用してもよい。
【0050】
あるいはまた、本発明のある実施形態では、十分量の疎水性コーティングを有する(上記のような)即時放出コアを使用して活性物質を即時放出コアから持続放出させることによって、活性物質の持続放出をさせるようにコアを調製してもよい。疎水性コーティングは当業者に周知の方法および技術を使用してコアに適用してもよい。好適なコーティング装置の例にはfluid bed coaters、pan coatersなどがある。それらの疎水性コーティングに使用してもよい疎水性物質の例には、例えばアルキルセルロース(例えばエチルセルロース)、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマー、ワックス、シェラック、ゼイン、硬化植物油、それらの混合物などがある。
【0051】
更に持続放出マトリクスおよび持続放出コーティングを併用して、活性物質の持続放出のためにコアを調製してもよい。また持続放出コア(例えば持続放出マトリクス、持続放出コーティング、またはその組み合わせ)および即時放出コアは好適な量の更なる添加剤、例えば薬学分野で慣例的な潤滑剤、結合剤、顆粒化助剤、希釈剤、着色剤、着香剤、および平滑化剤(glidant)を含有してもよい。
【0052】
コアの調製に使用してもよい製薬上許容される希釈剤および添加剤の特定の例はHandbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)に記載されており、同文献は参照によりここに組み込まれる。
【0053】
ある好ましい実施形態では、経口投与形態は1つ以上の崩壊剤を(好ましくはコアに混合して)含有する。それらの薬剤がコアに含有される場合、(圧縮コーティングによって起こる最初の遅延後の)薬剤の放出速度は即時パルス効果(an immidiate pulse effect)である。ある実施形態では、崩壊剤が存在しない場合に制御されたプロフィールを生み出してもよい。好適な崩壊剤は当業者に知られており、それらには例えばデンプングリコール酸ナトリウム(Penwest Pharmaceuticals社からExplotab(登録商標)として販売されている)がある。
【0054】
崩壊の機構は崩壊剤の膨潤、ウィッキング(wicking)、および変形に基づく。圧縮錠剤を水溶液に配すると速やかに水分を吸収し、崩壊剤の膨潤によって速やかに錠剤が崩壊する。治療活性物質を即時放出のために調製するある実施形態で、崩壊剤が錠剤のコアに存在する場合、活性物質の放出速度は即時パルス効果である。治療活性物質を即時放出のために調製するある実施形態で、崩壊剤が存在しない場合、制御されたプロフィールを生み出してもよい。
【0055】
本発明に使用するためのそれらの崩壊剤の例には、例えばデンプン、ビーガム(veegum)、クロスポビドン、セルロース、カオリン、微結晶セルロース(例えばAvicel PH101およびPH102)、架橋ポリビニルピロリドン(例えばKollidon CL)、およびそれらの混合物がある。ある好ましい実施形態では、崩壊剤は高度崩壊剤、例えばクロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびそれらの混合物である。高度崩壊剤は通常の崩壊剤より低レベルで導入して水分含量を増加させることができる。本発明に使用するための商標名のついた高度崩壊剤にはAc-Di-Sol(登録商標)、Primojel(登録商標)、Explotab(登録商標)、およびCrospovidone(登録商標)がある。
【0056】
ある実施形態では、本発明のコアは崩壊剤に加えて、または崩壊剤の代わりにウィッキング(wicking)剤を含む。必要により崩壊剤として既に記載した物質のようなウィッキング剤(例えば微結晶セルロース)を含有させて水分吸収の速度を速めてもよい。ウィッキング剤として作用するのに好適な他の物質には、それに限定されるわけではないが以下がある:コロイド状二酸化ケイ素、カオリン、二酸化チタン、fumed 二酸化ケイ素、アルミナ、ナイアシンアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、低分子量ポリビニルピロリドン、m-ピロール、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエステル、ポリエチレン、それらの混合物など。
【0057】
ある実施形態では、コア中に1つ以上の崩壊剤がコアの約5から約20重量パーセント、好ましくは約6から約10重量パーセント、最も好ましくは約8重量パーセントの量で含有される。錠剤全体の重量(例えばコアおよび圧縮コーティング)に関しては、コア中に1つ以上の崩壊剤が錠剤(製剤全体)の約0.1から約5重量パーセント、好ましくは約0.3から約2重量パーセントの量で含有される。
【0058】
本発明によれば、活性物質を含有するコアを圧縮コーティングで完全に、または実質的に包囲する。圧縮コーティングは好ましくは医薬的に活性な薬剤の放出を既定の時間遅延し、この時間はコーティングの処方およびコーティング層の厚さに依存する。活性成分の放出に好適な時間は製剤の調製に先立って決定することができ、コーティングの好適な厚さおよび組成を適用し、活性成分の放出前の所望の時間の遅延、および遅延時間に次ぐ活性成分の所望の放出速度となるように製剤を設計できる。
【0059】
好ましくは、圧縮コーティングはゲル化剤として機能する天然または合成ガムを含有し、これによって圧縮コーティングされた錠剤が環境液体(例えば水または胃腸液)に暴露されるとコアはゲルで包囲され、それによって薬剤は、圧縮コーティングを通して環境液体が拡散し、環境液体に薬剤が溶解し、そして溶解した薬剤が圧縮コーティング錠剤の周囲の液体に溶出した後に放出される。
【0060】
ある実施形態では、圧縮コーティングに使用するためのガムには、例えば非制限的に以下がある:ヘテロ多糖、例えばキサンタンガム、ホモ多糖、例えばローカストビーンガム、ガラクタン、マンナン、植物性ガム、例えばアルギネート、インドガム、ペクチン、寒天、トラガカント、アカシア、カラゲナン、トラガカント、キトサン、寒天、アルギン酸、他の多糖ガム(例えば親水コロイド)、および上記のいずれかの混合物。本発明の圧縮コーティングに有用でありうる特定のガムの更なる例には、限定されるわけではないが以下がある:アセンヤク、salai guggal、indian bodellum、コパイバガム、アギ、cambi gum、Enterolobium cyclocarpum、マスチックガム、ベンゾインガム、サンダラック、gambier gum、butea frondosa(Flame of Forest Gum)、ミルラ、コンニャクマンナン、グアールガム、welan gum、gellan gum、tara gum、ローカストビーンガム、カラゲナンガム、グルコマンナン、ガラクタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、キサンタンガム、脱アセチル化キサンタンガム、ペクチン、ポリペクチンナトリウム、グルテン、インドガム、タマリンドガム、ghatti gum、Accaroid/Yacca/Red gum、ダンマルガム、ネズノキガム、エステルガム、ipil-ipil seed gum、gum talha(acacia seyal)、および培養植物細胞ガム(以下の種類の植物のものを含む:アカシア、actinidia、aptenia、carbobrotus、chickorium、キュウリ(cucumis)、グリシン、ハイビスカス、hordeum、letuca、トマト(lycopersicon)、リンゴ(malus)、ウマゴヤシ(medicago)、mesembryanthemum、oryza、panicum、phalaris、phleum、poliathus、ポリカルボフィル、sida、ナス(solanum)、ジャジクソウ(trifolium)、trigonella、Afzelia africana seed gum、Treculia africana gum、detarium gum、カワラケツメイガム(cassia gum)、carob gum、Prosopis africana gum、Colocassia esulenta gum、Hakea gibbosa gum、khaya gum、scleroglucan、トウモロコシ、上記のいずれかの混合物など。
【0061】
ある特に好ましい実施形態では、圧縮コーティングはヘテロ多糖(例えばキサンタンガム)、ホモ多糖(例えばローカストビーンガム)、または1つ以上のヘテロ多糖および1つ以上のホモ多糖の混合物を含有する。出願人の米国特許第4,994,276号、5,128,143号、および5,135,757号で持続放出錠剤マトリクスとして既に開示したヘテロ分散(heterodisperse)添加剤を本発明の圧縮コーティングに利用してもよい。例えば本発明のある実施形態では、相乗作用を示すヘテロおよびホモ多糖の両方のゲル化剤、例えば2つ以上の多糖ガムの組み合わせで、同ガムのいずれか単独で予期されるものより粘性が高く、水和が早く、得られるゲルがより早く形成され、より固いものを本発明の圧縮コーティングに使用してもよい。
【0062】
本発明で使用する“ヘテロ多糖”という用語は2種類以上の糖単位を含有する水溶性多糖と定義し、同ヘテロ多糖は分枝またはらせん構造を有し、優れた吸水(water-wicking)性および非常に高い増粘性を有する。
【0063】
特に好ましいヘテロ多糖はキサンタンガムであり、これは高分子量(>10)のヘテロ多糖である。他の好ましいヘテロ多糖にはキサンタンガムの誘導体、例えば脱アシル化キサンタンガム、カルボキシメチルエーテル、およプロピレングリコールエステルがある。
【0064】
本発明に使用されるホモ多糖でヘテロ多糖と架橋構造を形成できるものにはガラクトマンナン、すなわちマンノースおよびガラクトースのみから成る多糖がある。ガラクトマンナンおよびヘテロ多糖間の相互作用の考えられる機構はヘテロ多糖のらせん領域とガラクトマンナンの未置換マンノース領域間の相互作用に関係する。未置換マンノース領域の比率が高いガラクトマンナンほど、ヘテロ多糖との相互作用がより高くなることが明らかになっている。従って、ガラクトースに対するマンノースの比率がより高いローカストビーンガムは、他のガラクトマンナン(例えばグアールガムおよびヒドロキシプロピルグアールガム)に比較して特に好ましい。
【0065】
ある好ましい実施形態では、ヘテロ多糖は圧縮コーティングの約1から約50重量パーセント、ホモ多糖物質は圧縮コーティングの約50から約1重量パーセント含有される。ある好ましい実施形態では、ヘテロ多糖とホモ多糖物質の比率は約1:3から3:1、好ましくは約2:3から3:2、または1:1である。
【0066】
ある好ましい実施形態では、圧縮コーティングは約5から約70重量パーセント以上の親水性物質(例えばガム)を含有する。本発明のある好ましい実施形態では、圧縮コーティング中のガムのパーセンテージが高いほど活性物質の放出の遅延または“遅延時間”が長くなる。
【0067】
ある実施形態では、圧縮コーティング中のガムのパーセンテージは活性物質の遅延放出に相関するが、これはpHには依存しない。例えばある好ましい実施形態では、圧縮コーティングが約25%未満のガムである(好ましくは約5から約15%のガムを含有する)場合、遅延放出は約25%より高いガム(例えば30、40、または50%のガム)を含有する圧縮コーティングより更にpHに非依存的である。
【0068】
ある好ましい実施形態では、圧縮コーティングはまた、製薬上許容される添加剤、例えば糖、例えば単糖、二糖、もしくは多価アルコール、および/または上記のいずれかの混合物、あるいは微結晶セルロースもしくはデンプンを含有する。好適なそれらの添加剤の例にはスクロース、デキストロース、ラクトース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、デンプン、それらの混合物などがある。ある実施形態では、可溶性医薬添加剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、またはそれらの混合物が圧縮コーティングに使用される物質に含有されるのが好ましい。ある好ましい実施形態では、ガムを製薬上許容される添加剤と共に湿式造粒法によって顆粒化した後、本発明の内部コアの表面上の圧縮コーティングとして使用する。圧縮コーティングは、例えば約95重量%までの製薬上許容される添加剤を含有してもよい。
【0069】
ある実施形態では、圧縮コーティングに含有されるガムの量は錠剤全体の約1重量パーセントから約90重量パーセント、好ましくは約6.5重量パーセントから約83重量パーセントである。
【0070】
ある実施形態では、湿式造粒段階を使用せずに圧縮(遅延放出)コーティングの成分を乾式混合することができる。湿式造粒段階を行わずに混合物を製造し、最終混合物を成型済みの錠剤コア上に圧縮コーティングする場合、製薬上許容される添加剤の全部または一部に十分な圧縮性をもたせて製薬上許容される製品を提供すべきである。本発明に従って調製される特定の添加剤系の性質および特性は、一部には、(例えばホモ多糖およびヘテロ多糖成分の)ポリマー溶解度、ガラス遷移温度などに関する個々の特性に依存し、同様に溶解液-添加剤相互作用の修飾では別のホモ多糖とヘテロ多糖間、およびホモ多糖およびヘテロ多糖と不活性な糖成分間の相互作用に依存しうる。
【0071】
圧縮コーティングがヘテロ多糖、ホモ多糖、またはその両方を含有する本発明のある実施形態では、持続放出マトリクスにおけるそれらの物質の使用に関する出願人の過去の特許に記載するような放出修飾物質を圧縮コーティングに使用することもできる。それらの放出修飾物質および既製の添加剤(出願人の米国特許第5,455,046号;5,512,297号;5,554,387号;5,677,801号;5,846,563号;5,773,025号;6,048,548号;5,662,933号;5,958,456号;5,472,711号;5,670,168号;6,039,980号に開示)を本発明の圧縮コーティングに使用してもよい。
【0072】
従って、例えば放出修飾物質はイオン化可能なゲル強度増強剤を含有してもよい。本発明に関連して必要に応じて使用されるイオン化可能なゲル強度増強剤は単価または多価金属カチオンであってもよい。好ましい塩は無機塩であり、それらには種々のアルカリ金属および/またはアルカリ度類金属の硫酸塩、塩化物、ホウ酸塩、臭化物、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩などがある。好適なイオン化可能なゲル強度増強剤の特定の例には以下がある:硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、およびフッ化ナトリウム。多価金属カチオンを使用してもよい。しかしながら、好ましいイオン化可能なゲル強度増強剤は二価である。特に好ましい塩は硫酸カルシウムおよび塩化ナトリウムである。本発明のイオン化可能なゲル強度増強剤は、ゲル化剤(例えばヘテロ多糖およびホモ多糖ガム)の架橋形成によって所望の強化されたゲル強度を得るのに有効な量で添加する。別の実施形態では、イオン化可能なゲル強度増強剤は本発明の遅延放出添加剤に、遅延放出添加剤の約1から約20重量%の量で、そして最終投与形態の0.5から約16重量%の量で含有される。ある実施形態では、イオン化可能なゲル強度増強剤の含有によって活性物質の放出が遅延されるだけでなく、活性物質の持続放出が提供される。
【0073】
本発明のある実施形態では、コア上にコーティングされる(遅延放出)圧縮コーティングは約1から約90重量パーセントのゲル化剤(ヘテロ多糖およびホモ多糖ガムを含有)、約0から約20重量パーセントのイオン化可能なゲル強度増強剤、そして約10から約95重量パーセントの製薬上許容される添加剤を含有する。他の実施形態では、圧縮コーティング物質は約5から約75パーセントのゲル化剤(ガム)、約0から約15パーセントのイオン化可能なゲル強度増強剤、そして約30から約95パーセントの製薬上許容される添加剤(例えば不活性な希釈剤)を含有する。更に別の実施形態では、圧縮コーティング物質は約7.5から約50パーセントのゲル化剤、約0から約10パーセントのイオン化可能なゲル強度増強剤、そして約30から約95パーセントの製薬上許容される添加剤を含有する。
【0074】
本発明に使用してもよい界面活性剤には一般に製薬上許容される陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性(両親媒性/両親性(amphophilic))界面活性剤、および非イオン性界面活性剤がある。好適な製薬上許容されるイオン性界面活性剤には例えば以下がある:一価アルキルカルボキシレート、アシルラクチレート、アルキルエーテルカルボキシレート、N-アシルサルコシネート、多価アルキルカーボネート、N-アシルグルタメート、脂肪酸-ポリペプチド縮合物、硫酸エステル、アルキルスルフェート(ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む)、エトキシル化アルキルスルフェート、エステル結合スルホネート(ドクセートナトリウムまたはコハク酸ジオクチルナトリウム(DSS)を含む)、αオレフィンスルホネート、およびリン酸化エトキシル化アルコール。
【0075】
好適な製薬上許容される陽イオン界面活性剤には例えばモノアルキル4級アンモニウム塩、ジアルキル4級アンモニウム化合物、アミドアミン、およびアミンイミドがある。
【0076】
好適な製薬上許容される両性(両親媒性/両親性(amphophilic))界面活性剤には例えばN-置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、スルホベタイン、およびN-アルキルβ-アミノプロピオネート(aminoproprionates)がある。
【0077】
本発明に関する使用に好適な他の界面活性剤にはエステルまたはエーテルとしてのポリエチレングルコールがある。例としてポリエトキシル化ヒマシ油、ポリエトキシル化硬化ヒマシ油、ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸、または硬化ヒマシ油由来のポリエトキシル化脂肪酸がある。使用できる市販の界面活性剤はCremophor、Myrj、Polyoxyl 40ステアレート、Emerest 2675、Lipal 395、およびPEG 3350の商標名で知られている。
【0078】
溶解速度を変化させる特定の能力のために好適な量で添加してもよい製薬上許容される他の放出修飾物質には例えば以下がある:ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、ステアリルアルコール、硬化綿実油、塩化ナトリウム、および以下に記載するある種の崩壊剤。
【0079】
使用するそれらの放出修飾物質の量は必要とされる放出特性および物質の性質に依存する。本発明にかかる遅延放出製剤では、使用する放出修飾物質のレベルは総組成物の約0.1から約25重量%、好ましくは約0.5から約10重量%であってもよい。
【0080】
本発明のある別の実施形態では、圧縮コーティングはpH調整剤を含む。pH調整剤は圧縮コーティング中に、最終投与形態の約1重量%から約10重量%含有されてもよい。好ましい実施形態では、pH調整剤はクエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルタル酸、または乳酸のような有機酸である。
【0081】
ある好ましい実施形態では、環境水溶液(例えば投与形態を取り巻く水または胃腸液など)が投与形態の圧縮コーティングを通して拡散し、コアの水和および薬剤の溶解が起こると薬剤が放出され、その後これはコアの周囲の液体中に通過できる。
【0082】
ある好ましい実施形態では、薬剤の遅延放出(遅延時間)は圧縮コーティングの厚さの増加(遅延時間の増加)または圧縮コーティングの厚さの減少(遅延時間の減少)によって変化する。遅延放出は例えば以下によっても変化しうる:遅延放出圧縮コーティングに含有されるガムの変化(特定のガムの組み合わせの選択)、圧縮コーティング中の製薬上許容される添加剤(例えば糖(多糖を含む)または糖(または多糖)の組み合わせ)の含有または未含有、圧縮コーティング(例えばマトリクス)を通して内部コアに水(または胃腸液)が拡散すること(これによって内部コアの水和が可能となる)を更に遅延させるための圧縮コーティングへの更なる物質の変化または添加。更に、圧縮コーティングを適用するのに使用される圧縮力を使用して活性成分の放出速度を変化させてもよい。また、圧縮コーティングに更なる顆粒添加剤(extragranular excipient)を添加することによって放出を変化させることもできる。それらの成分は、例えば微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングルコールなどを含有してもよい。
【0083】
薬剤の遅延放出は更に、(i)コアおよび圧縮コーティング間;(ii)圧縮コーティング上;または(iii)コアと圧縮コーティング間および圧縮コーティング上の両方への更なるコーティングの使用によって変化しうる。それらのコーティングは、例えば親水性ポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)および/または疎水性ポリマー(例えばアクリルポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマー、アルキルセルロース、例えばエチルセルロースなど)を含んでもよい。そのような状況では、投与形態からの薬剤の放出は液体が圧縮コーティングを通して拡散した時に起こるだけではなく、この段落に記載する更なるコーティングの浸食によっても薬剤の放出が遅延されうる。
【0084】
本発明の溶解速度を(上記の必要に応じた修飾物質を用いて、または用いないで)、親水性マトリクスを崩壊させずにガムの水和を遅延する疎水性物質を圧縮コーティングに混合することによって更に修飾してもよい。これは、本発明の別の実施形態で、遅延放出添加剤を疎水性物質の溶液または分散液と共に顆粒化してからコアを圧縮コーティングすることによって行われる。疎水性ポリマーは以下から選択してもよい:アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、他の疎水性セルロース物質、アクリル酸またはメタクリル酸エステルから誘導されるポリマーまたはコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸エステルのコポリマー、ゼイン、ワックス、シェラック、硬化植物油、および当業者に周知の他の製薬上許容される疎水性物質。疎水性物質のための溶媒は水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物であってもよい。遅延放出添加剤に混合される疎水性物質の量は、環境液体への暴露時に生成される親水性マトリクスを崩壊させずにガムの水和を遅延するのに有効な量である。本発明のある好ましい実施形態では、疎水性物質は圧縮コーティング中に約1から約20重量パーセントの量で含有される。
【0085】
圧縮コーティングは好適な量の、例えば以下に記載する、製薬業界で慣例的である潤滑剤、結合剤、顆粒化助剤、希釈剤、着色剤、着香剤、および平滑化剤を含有してもよい。
【0086】
圧縮コーティングに含有させる物質が既製品である好ましい実施形態では、ガム質ゲル化剤(例えばキサンタンガムおよびローカストビーンガムの混合物)と医薬添加剤を組み合わせ、放出修飾剤を含有させるか、または含有させずに、既製の圧縮コーティング製品を提供し、調製者は圧縮コーティングによって同物質をコア上に適用するだけで所望の時間治療投与形態を得ることができる。圧縮コーティングはガムと可溶性添加剤(例えば圧縮性スクロース、ラクトース、デキストロースなど)との物理的混合物を含んでもよいが、ガムを混合物を含まない製薬上許容される添加剤(すなわち結晶)スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトールなどと共に顆粒化または凝集させて圧縮コーティングに使用する遅延放出添加剤を生成するのが好ましい。顆粒形態はある種の利点を有するが、それには流動性および圧縮性に関して最適化できるということが含まれる。
【0087】
圧縮コーティングに使用されるガムおよび必要に応じた医薬添加剤は、好ましくは凝集技術に従って調製し、許容される添加剤産物を得る。湿式造粒法では、所望の量の親水性物質(例えばヘテロ多糖ガムおよび/またはホモ多糖ガム)および不活性希釈剤を混合し、その後湿潤剤(例えば水、プロピレングリコール、グリセロール、アルコールなど)を添加して湿った塊を調製する。次に湿った塊を乾燥する。続いて乾燥した塊を慣例的な装置で粉砕して顆粒とする。その後、添加剤産物はいつでも使用できる状態となる。
【0088】
(好ましくは)既製の遅延放出添加剤は好ましくは流動性があり、直接圧縮することができる。従って、治療的に活性な医薬品の成型済みの内部コア上に添加剤を直接圧縮してコーティング錠を生成してもよい。成型済みの錠剤コア上に均一にコーティングするのに十分な量の遅延放出コーティング混合物を、慣例的な生産スケールの錠剤製造機で、通常の圧縮圧、すなわち約2000-1600ポンド/平方インチで錠剤化する。しかしながら混合物は、その後に胃腸液に暴露される際にその水和が困難になるほど圧縮すべきではない。
【0089】
本発明の顆粒化遅延放出添加剤の平均粒子サイズは約50ミクロンから約400ミクロン、好ましくは約185ミクロンから約265ミクロンの範囲である。顆粒の粒子サイズは厳密に重要ではなく、重要なパラメーターは顆粒の平均粒子サイズが医薬的に活性な錠剤コアをコーティングする、直接圧縮できる添加剤の生成を可能にするものであることである。本発明の顆粒の所望の特質(tap)およびかさ密度は通常、約0.3から約0.8g/mlの間であり、平均密度は約0.5から約0.7g/mlである。
【0090】
本発明の圧縮コーティングは、好ましくは種々の粒子サイズ分布の範囲にわたって均一の充填性を有し、潤滑剤の添加に次いで、直接圧縮を使用して成型済みの錠剤コア上に加工を施与することが可能である。
【0091】
錠剤コアに(必要に応じて)使用されるのに加え、ある実施形態では1つ以上の製薬上許容される潤滑剤を(好ましくはあらかじめ凝集させた)圧縮コーティング物質に添加し、その後混合物をコアの表面上に圧縮コーティングするのが好ましい。本発明のコアおよび圧縮コーティングに使用するのに好適な潤滑剤の例には、例えば非制限的にタルク、ステアリン酸、植物油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどがある。好ましくは有効量の一般的に許容される医薬潤滑剤(カルシウムまたはマグネシウム石鹸を含む)を好ましくは成分の混合物に添加した後、成型済みの固形錠剤コア上に同混合物を圧縮する。特に好ましい潤滑剤はステアリルフマル酸ナトリウム(米国国民医薬品集)であり、Penwest Pharmaceuticals社からPruv(登録商標)の商標名で販売されている。
【0092】
ある実施形態では、本発明は更に本発明の遅延放出固形経口投与形態(例えば錠剤)を製造する方法に関する。ある好ましい実施形態では、本発明の遅延放出経口固形投与形態を調製するための段階は以下を含んでもよい:
内部コア製剤の調製:
1.(A)活性成分(例えば薬剤)を必要に応じた添加剤と共に湿式造粒法で顆粒化した後、乾燥および粉砕(必要により)して顆粒を得る;または
(B)活性成分を必要に応じた添加剤と、必要によって幾何学的希釈剤を使用して乾式混合して顆粒を得る;
2.必要により、更に顆粒化するために添加剤を段階1で調製した物質に、好適な混合で添加する;
3.好ましくは、段階1または2で調製した粉末混合物を潤滑化する;
4.段階3で調製した粉末混合物を使用し、好適な圧縮機でコアを圧縮する;
5.必要により、段階4で調製した錠剤コア上に機能性フィルムコーティングを適用する;
遅延放出(圧縮)コーティングの調製は、例えば以下のように行ってもよい:
6.(A)ガム(例えばヘテロ多糖ガムおよびホモ多糖ガム)を必要に応じた添加剤と共に湿式造粒法で顆粒化して遅延放出剤(塊状粒子)を生成し、その後遅延放出剤を乾燥する;または
(B)ガムを必要に応じた添加剤と共に乾式混合して遅延放出剤(顆粒)を生成する;
7.好ましくは、段階6で調製した遅延放出剤を粉砕する;
8.好ましくは、段階6または7で調製した遅延放出剤を平滑化する;
内部コアのコーティング:
9.段階6-8で調製した遅延放出剤を段階1-5で調製した錠剤コア上に圧縮コーティングする;
10.必要により、最終投与形態をフィルムでコーティングする(所望の場合)。
【0093】
ある実施形態では、例えば以下に記載するDry-Cota Pressを使用する際、段階4および10を合わせて単一ユニット操作とする。錠剤コアの機能性コーティングは、圧縮機を改造してコア錠剤投入システムを装着すればDry-Cota Pressを使用して行いうる。
【0094】
Manesty Dry-Cota Press圧縮機は、2つの並んで互いに連結した錠剤プレスから成り、一方のプレスでコアが生成され、次いで自動的に次のプレスに移動されて圧縮コーティングが行われる。それぞれの“プレス”は独立した粉末投入機構を有し、それによってコア混合物は一方の機械に、そしてコーティング混合物は他方に導入される。自動移動アームは機械間を回転し、一方のプレスからコアを取り出し、コーティングプレスにそれらを移動する。使用してもよい他の、およびより現代的なタイプのプレス(例えばElizabeth Hata HT-AP 44-MSU-C、Killian RUD、Fette PT 4090)はコーティング混合物と成型済みのコアの同時投入システムを有する。この形状はよりフレキシブルであり、コアを圧縮コーティングの前に機能性または見た目を良くするための(cosmetic)コーティングでパンコーティングすることができる。更にこれにより、既に圧縮コーティングした錠剤を循環させることによって複数の圧縮コーティング層を施与することが可能となる。どちらのタイプのプレスも、垂直方向にも完全に(both vertically and radically)コーティング内で錠剤を中心に位置させるような機構を有する。当業者に理解されるように、他の錠剤プレスを使用して本発明の最終投与形態を提供してもよい。
【0095】
一般に圧縮コーティングはコア全体を包囲するが、本発明のある実施形態では、圧縮コーティングは錠剤コアを実質的に包囲するが、完全には包囲しない。そのような場合、内部コアの圧縮コーティングされていない部分から最初に錠剤コアからの薬剤の放出が起こる。本発明の他の実施形態では、圧縮コーティングを内部コア全体に同じ厚さで適用せず、そのため他の部分より早く(および遅く)薬剤を放出する圧縮投与形態の部分ができる。これは、例えばプレス中で中央にならないように圧縮コーティングをそのコアに適用することによって行ってもよい。
【0096】
最善の結果を得るには、コアの圧縮コーティングから生成される錠剤は約4から約25kP、好ましくは約5から約15kP、最も好ましくは約8から約9kPの硬度である。ある好ましい実施形態では、円形圧縮コーティング錠では直径が5/8インチ以上までであってもよく、caplet型圧縮コーティング錠では直径が3/4インチ以上までであってもよい。本発明に従って調製する(非圧縮)コーティングの平均流動度(flow)は約25から約40g/秒である。
【0097】
本発明のある実施形態では、その後圧縮コーティング錠を腸溶性コーティング物質または疎水性物質で更にコーティングしてもよい。好適な腸溶性ポリマーの例には酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピル-フタル酸メチルセルロース(hydroxypropyl-methylcellulose phthalate)、ポリビニルアセテートフタレート(polyvinylacetate phthalate)、メタクリル酸コポリマー、シェラック、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルローストリメリテート、および上記のいずれかの混合物がある。好適な市販の腸溶性物質の一例として、Eudragit(登録商標) L30D55の商標名で入手できるものがある。
【0098】
更なる実施形態では、投与形態を上記の腸溶性コーティングまたは疎水性コーティングに加え、またはその代わりに親水性コーティングでコーティングしてもよい。それらの親水性コーティングに使用してもよい好適な物質の一例としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばOpadry(登録商標)、Colorcon, West Point, Pennsylvaniaから販売)がある。
【0099】
更に別の実施形態では、必要に応じた腸溶性および/または疎水性および/または親水性コーティングをコアおよび圧縮コーティング間の中間層として、代替として、または更に適用してもよい。
【0100】
必要に応じた腸溶性および/または疎水性および/または親水性コーティングは当業者に周知の製薬上許容される様式で適用してもよい。例えばある実施形態では、fluidized bedを介して、またはコーティングパン中でコーティングを適用する。例えば、コーティングした錠剤を、例えば約60-70℃で約3-4時間コーテングパンで乾燥してもよい。疎水性ポリマーまたは腸溶性コーティングのための溶媒は有機溶媒、水性溶媒、または有機溶媒と水性溶媒の混合物であってもよい。有機溶媒は、例えば水を含有する、または含有しないイソプロピルアルコール、エタノールなどであってもよい。
【0101】
本発明の更なる実施形態では、サポートプラットホーム(support platforms)を本発明に従って製造した錠剤に適用する。好適なサポートプラットホームは当業者に周知である。好適なサポートプラットホームの例は、例えば米国特許第4,839,177号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。同特許では、サポートプラットホームは錠剤を部分的にコーティングし、水溶液に不溶なポリマー物質から成る。サポートプラットホームは、例えば治療的に活性な医薬品の移動の際に、その不浸透性を維持するように設計してもよい。サポートプラットホームは、例えば錠剤表面の一部への圧縮コーティングを介して、サポートプラットホームを含有するポリマー物質を錠剤表面の全部または一部にスプレーするか、またはポリマー物質の溶液に錠剤を浸漬することによって錠剤に適用してもよい。
【0102】
サポートプラットホームは、例えば、圧縮によって適用する場合は約2mm、スプレーコーティングまたは浸漬コーティングによって適用する場合は約10μの厚さであってもよい。一般に、遅延放出コーティングを覆って疎水性ポリマーまたは腸溶性コーティングを錠剤に適用する本発明の実施形態では錠剤を約1から約20%、ある好ましい実施形態では約5%から約10%の重量増加となるまでコーティングする。
【0103】
本発明の疎水性コーティングおよびサポートプラットホームに有用な物質にはアクリル酸の誘導体(例えばアクリル酸、メタクリル酸のエステル、およびそれらのコポリマー)、セルロースおよびその誘導体(例えばエチルセルロース)、ポリビニルアルコールなどがある。
【0104】
上記のように、コアおよび/または圧縮コーティングは好適な量の、例えば潤滑剤、結合剤、顆粒化助剤、希釈剤、着色剤、着香剤、および平滑化剤で、薬学分野で慣例的なものを含有してもよい。
【0105】
本発明における使用に好適な結合剤の例には、例えば非制限的にポビドン、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、セルロースガム、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ゼラチン、デンプン、およびα化デンプンがある。
【0106】
本発明における使用に好適な平滑化剤の例にはタルク、二酸化ケイ素、およびコーンスターチがある。
【0107】
本発明のある実施形態では、錠剤コアは更なる用量の薬剤(または治療的有効量の別の薬剤)を含有し、これは(必要に応じた)疎水性もしくは腸溶性コーティングのいずれかに含有されるか、または(疎水性または腸溶性コーティングを有さない)錠剤コアの外表面上を被覆する更なる(必要に応じた)コーティング、もしくは圧縮コーティング(および、適用できる場合には疎水性および/または腸溶性コーティング物質)を含むベースとなるコーティングの表面上を被覆する更なるコーティング層として含有される。これは、例えば薬剤の負荷量が、製剤が最初に胃液に暴露される時に治療的に有効な血中レベルの活性物質を提供することを必要とされる場合に所望されうる。コーティング層に含有される薬剤の負荷量は、例えば製剤中に含有される薬剤の総量の約10%から約40%であってもよい。
【0108】
本発明に導入するのに好適な薬剤の例には以下がある:
抗ヒスタミン剤(例えばマレイン酸アザタジン、マレイン酸ブロムフェニルアミン、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニルアミン、マレイン酸デキスクロルフェニルアミン、塩酸ジフェンヒドラミン、コハク酸ドキシルアミン、塩酸メトジラジン、プロメタジン、酒石酸トリメプラジン、クエン酸トリペレナミン、塩酸トリペレナミン、および塩酸トリプロリジン);
抗生物質(例えばペニシリンVカリウム、クロキサシリンナトリウム、ジクロキサシリンナトリウム、ナフシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、リン酸クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン(clindamycin palmitate HCL)、塩酸リンコマイシン、ノボビオシンナトリウム、ニトロフラントインナトリウム、塩酸メトロニダゾール);抗拮抗剤(例えばイソニアジド);
コリン作動物質(例えば塩化アンベノニウム、塩化ベタネコール、臭化ネオスチグミン、臭化ピリドスチグミン);
抗ムスカリン作用物質(例えば臭化メチルアニソトロピン、臭化クリニジウム、塩酸ジシクロミン、グリコピロレート、メチル硫酸ヘキソサイクリウム、臭化メチルホマトロピン、硫酸ヒオスシアミン、臭化メタンテリン、臭化水素酸ヒヨスチン、臭化オキシフェノニウム、臭化プロパンテリン、塩化トリジヘキセチル);
交感神経作用物質(例えばメシル酸ビトルテロール、エフェドリン、塩酸エフェドリン、硫酸エフェドリン、硫酸オルシプレナリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸リトドリン、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン);
交感神経遮断物質(例えば塩酸フェノキシベンザミン);その他の自律神経作用物質(例えばニコチン);
鉄製剤(例えばグルコン酸第1鉄、硫酸第1鉄);
止血剤(例えばアミノカプロン酸);
強心剤(例えば塩酸アセブトロール、リン酸ジソピラミド、酢酸フレカイニド、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、グルコン酸キニジン、マレイン酸チモロール、塩酸トカイニド、塩酸ベラパミル);
抗高血圧剤(例えばカプトプリル、塩酸クロニジン、塩酸ヒドララジン、塩酸メカミラミン、酒石酸メトプロロール);血管拡張剤(例えば塩酸パパベリン);
非ステロイド系抗炎症剤(例えばサリチル酸コリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、サリチル酸マグネシウム、メクロフェナメートナトリウム(meclofenamate sodium)、ナプロキセンナトリウム、トルメチンナトリウム);
オピエートアゴニスト(例えば塩酸コデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、酒石酸デキストロモルアミド、重酒石酸ヒドロコドン、塩酸ヒドロモルホン、塩酸ペチジン、塩酸メタドン、硫酸モルフィン、酢酸モルフィン、乳酸モルフィン、メコン酸モルフィン、硝酸モルフィン、第1リン酸モルフィン(morphine monobasic phosphate)、酒石酸モルフィン、吉草酸モルフィン、臭化水素酸モルフィン、塩酸モルフィン、塩酸プロポキシフェン);
抗痙攣剤(例えばフェノバルビタールナトリウム、フェニトインナトリウム、トロキシドン、エトスクシミド、バルプロエートナトリウム);
精神安定剤(例えばマレイン酸アセトフェナジン、塩酸クロルプロマジン、塩酸フルフェナジン、プロクロルペラジンエディシレート、塩酸プロメタジン、塩酸チオリダジン、塩酸トリフルオロペラジン、クエン酸リチウム、塩酸モリンドン、塩酸チオチキシン(thiothixine hydrochloride));
化学療法薬(例えばドキソルビシン、シスプラチン、フロクスウリジン、メトトレキセート、それらの組み合わせなど);
脂質低下剤(例えばゲムフィブロジル、クロフィブレート、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、例えばアトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンなど);
H2アンタゴニスト(例えばシメチジン、ファモチジン、ニザチジン、塩酸ラニチジンなど);
抗凝血剤および抗血小板剤(例えばワルファリン、シピリダモール、チクロピジンなど);
気管支拡張剤(例えばアルブテロール、イソプレテレノール、メタプロテレノール、テルブタリンなど);
刺激剤(例えば塩酸ベンズアンフェタミン(benzamphetamine hydrochloride)、硫酸デキストロアンフェタミン、リン酸デキストロアンフェタミン、塩酸ジエチルプロピオン、塩酸フェンフルラミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸メチルフェニデート、酒石酸フェンジメトラジン、塩酸フェンメトラジン、クエン酸カフェイン);
バルビツレート(例えばアミロバルビタールナトリウム、ブタバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウム);
鎮静剤(例えば塩酸ヒドロキシジン、メスプリロン);去痰剤(例えばヨウ化カリウム);
制吐剤(例えば塩酸ベンズアキナミド(benzaquinamide hydrochloride)、塩酸メトクロプロパミド、塩酸トリメトベンズアミド);
胃腸剤(例えば塩酸ラニチジン);重金属アンタゴニスト(例えばペニシラミン、塩酸ペニシラミン);
抗甲状腺剤(例えばメチマゾール);
尿生殖器平滑筋弛緩剤(例えば塩酸フラボキセート、塩酸オキシブチニン);
ビタミン(例えば塩酸チアミン、アスコルビン酸);
分類されていない薬剤(例えば塩酸アマンタジン、コルヒチン、エチドロネート2ナトリウム、ロイコボリンカルシウム、メチレンブルー、塩化カリウム、塩化プラリドキシム。
【0109】
ステロイド、特にグルココルチコイド(例えばプレドニゾロン、プレドニゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン)。
【0110】
薬剤はその基剤(in their base for)で使用してもよく、または製薬上許容される塩もしくは複合体を使用してもよい。上記の考え得る治療物質の種類または特定の薬剤のリストは単に例証であり、本発明の範囲をいかなるようにも制限しないことを意図する。
【0111】
本発明の時間治療製剤を使用して、それらの治療が有益であることが当業者に知られている(または知られるようになった)症状を治療してもよい。それらの治療には、それに制限されるわけではないがアレルギー性鼻炎、注意欠陥障害、喘息、関節炎、癌治療、心血管障害、高コレステロール、高血圧、および潰瘍がある。
【0112】
アレルギー性鼻炎に関しては、主な症状であるくしゃみ、鼻水、および鼻づまりは、一般に所定の日の活動時間中より、起床時に悪化する。本発明の時間治療法はくしゃみ、鼻の充血、鼻水、およびアレルギーから来る目の回復(offset)も促進する。例えば、枯草熱の症状は朝がピークとなる。いくつかの研究で明らかになっているところによれば、抗ヒスタミン剤を日中ではなく夕方に摂取すると、症状の開始を待つのではなく、患者の起床前に症状を抑える。従って、便宜な時間に摂取し、それがある時点で用量(the dose)を放出し、それによって投与形態の効果が朝に最大となるようになるような(例えば抗ヒスタミン剤の)時間治療経口製剤を提供することは非常に望まれる。
【0113】
喘息に関しては、正常な肺機能は24時間周期で変化し、早朝に低くなる。この低下(dip)を特に喘息と呼ぶ。喘息の時間治療は、早朝に気管支拡張剤からの最大効果を得ることを目的とする。喘息の症例を管理するかぎは時間治療であり、夜間の喘息を改善するための治療によって日中の喘息の兆候を改善できることが提言されてきた(proferred)。確かに投与量およびタイミングは喘息患者に関して関連づけられており、それらの患者の数は1975年以来、アメリカだけで倍増している。喘息患者の大半は夜間に最も悪化し、おそらくこれは、その時間に身体の自然の抗炎症剤であるコルチゾールがその最も低いレベルとなるためである。最も一般的な発作の時間は午前4時であるため、多くの場合、喘息そのものの苦痛は不眠という更なる苦痛によって一層ひどくなる。従って、便宜な時間に摂取し、それが例えば午前4時の少し前に用量(the dose)を放出し、それによって投与形態の効果がその時間に最大となるようになるような(例えば抗ヒスタミン剤の)時間治療経口製剤を提供することは非常に望まれる。
【0114】
本発明の時間治療製剤を使用して関節炎を治療してもよい。グルココルチコイドはリウマチ性関節炎の症状、例えば朝の硬直、関節痛、および関節の腫張(swelling)に対して非常に好ましい効果を有する。関節炎に関しては、時間生物学的パターンが関節痛で観察されている。骨関節炎(関節炎の最も一般的な型)に罹患した人は朝に痛みがより少なく、夜に強い傾向がある。ところがリウマチ性関節炎に罹患した人では通常、痛みは朝にピークとなり、1日の経過と共に減少する。最近の動物実験はラットにおける関節炎が24時間にわたって変動することを示しており、これらの観察を患者および医師の両方によって支持している。この治療分野における考え得る薬剤候補には(全ての型の関節炎のための)標準的な治療であるNSAIDおよびコルチコステロイドなどがある。好ましくは、薬剤の血中レベルが最も高くなる時が痛みのピークと確実に同時になるように投与の時間を設定すべきである。骨関節炎では、NSAID(イブプロフェンなど)の最適時間はおよそ正午または午後の中頃である。リウマチ性関節炎では、NSAIDを摂取するのに最適な時間は夕食後である。
【0115】
注意欠陥障害に関しては、持続放出製剤を使用すると薬剤の血漿濃度のピークがより低いことが観察されており、ある場合には、メチルフェニデートの持続放出は慣例的な投与形態より効果が低いことが観察されている。注意欠陥障害を治療するための最も有効な量の薬剤の放出を遅延させる投与形態は、特に投与形態によって1回の投与で活性物質が最初に放出され、次いで予測可能な遅延があり、その後活性物質の2回目の放出が起これば、有用である。考え得る薬剤候補には刺激剤、例えばメチルフェニデートおよび製薬上許容されるその塩がある。
【0116】
癌治療に関しては、癌治療薬を慎重に選択した時間に投与すれば、時間治療はより効果的で毒性がより低くなりうることが動物実験で示唆されている。現在、正常細胞と腫瘍細胞では異なる時間生物学的サイクルがあり得ることが研究で示唆されている。これが真実なら、ゴールは癌治療薬の投与の時間を腫瘍細胞の時間生物学的サイクルに合わせ、癌に対してより効果的に、正常組織に対してはより毒性を低くすることである。考え得る薬剤候補には、例えば注射液、例えばドキソルビシンおよびシスプラチン(併用)、そしてフロクスウリジンがある。
【0117】
心血管障害の治療において、時間治療は全く新しいわけではない。1986年以来、アンギナに罹患した患者にニトログリセリン貼付剤での治療が行われてきたが、これは朝患者の胸部または肩部に貼付し、夕方に除去する。これは、疾病が1日のうちのある時間に悪化するために1日のうちのその時間に治療すべきであるという認識に基づいているのではないため、“正規ではない(side door)”時間治療と考えられる。むしろこれは、ニトログリセリンは連続的に投与すると効果的でないという認識から来たものである。心臓病には24時間のパターンがあるという事実に基づいて、本発明の時間治療製剤の使用は非常に好ましい。当業者が認識してきたところによれば、心臓発作、突然死、アンギナ、および卒中は全て朝に最も多いようである。従って、便宜な時間に摂取し、投与形態の効果がその時間に最大となるように用量(the dose)が放出されるような時間治療経口製剤を提供することは非常に望まれる。考え得る薬剤候補には抗高血圧剤、抗虚血剤、および血液凝固を制御する薬剤がある。
【0118】
高血圧に関しては、血圧は24時間にわたって(日周期性で)変動する。ほとんどの正常血圧患者およびほとんどの本態性高血圧患者(全身性の血管収縮が細動脈における末梢血管耐性の増加と関連する)では、日周期性の機構、そして睡眠/活動サイクルの際の活動およびストレスの差異によって起床時に血圧の急激な上昇が起こる。血圧は日中の活動中にピークとなった後、睡眠中に日中の平均レベルの10%から20%低下する。血圧および心拍は共に一般に早朝に上昇し、心筋の酸素必要量が著しく増加し、これによって既知の、または未診断の冠状動脈疾患を有する患者において心筋虚血が起こる。起床時の血圧の急激な上昇は朝の脳血管発作および心筋梗塞の高い発生率と関係する。更に、脳血管発作および他の心血管現象(突然死、急性心筋梗塞、および全ての虚血性症状(total ischemic burden))は日周期性であり、活動時間の最初の6時間(午前6時から正午)の間に最も多く、睡眠中は最も少ないことがFraminghamの研究結果から観察されている。理論上、朝の血圧上昇によって冠状動脈のアテローム斑、損傷が潜在する組織が破壊され、凝血プロセスが最も活動的な早朝に血餅の生成が促進される。従って、便宜な時間に摂取し、投与形態の効果がその時間に最大となるように用量(the dose)を放出するような時間治療経口製剤を提供することは非常に望まれる。
【0119】
起床時の血圧の急激な上昇に加え、血圧の“低下(dip)”は夜間の睡眠中にほとんどの人で起こる。この低下(dip)は多様であり、あるいはより重篤な型の高血圧患者および続発性高血圧患者ではこれが見られない場合もあり、それらの患者では血圧は予測通りに低下しないか、または睡眠中に日中のレベルに比較して上昇する。血圧のパターンは4つのカテゴリーに分類される:(i)“ディッパー(dippers)”は日中の平均血圧レベルに比較して夜間の睡眠中は10%から20%の血圧低下を示す;(ii)“ノン・ディッパー(nondippers)”は夜間の血圧が日中のレベルからわずかにしか変化しない;(iii)“スーパー・ディッパー(superdippers)”は夜間に血圧が日中の平均レベルより20%以上低下する;そして(iv)“ライザー(risers)”は夜間の血圧が日中レベルに比較して高い。血圧の正常な日周期性からの逸脱は、終末器官の損傷および望ましくない心血管現象のリスクの増加と関係する。夜間の血圧パターンがスーパー・ディップまたはノン・ディップである高血圧患者は眼、腎臓、および心臓異常がより発生しやすく、心血管現象、例えば脳血管発作および心筋梗塞の率が正常なディッパーより高い。
【0120】
時間治療は、患者のニーズに比例した量の医薬品を運搬し、それにより血圧の日周期リズムと同時性を持たせることによって日中および夜間の血圧をより良好に制御することを可能とする治療法である。血圧が最高となる朝および日中により多くの時間治療抗高血圧剤を運搬し、一般的に血圧が最低レベルまで低下する夜間により少ない薬剤を運搬する。好適な運搬系を使用して必要とされる薬剤の時間治療投与を行うことによって早朝の血圧および心拍の上昇を抑制すれば、理論的に早朝の心血管現象の発生率を低下させることができる。
【0121】
カルシウムチャンネル遮断薬、ベラパミルは心拍並びに血圧を低下させ、虚血性心疾患および高血圧の両方に罹患した患者に特に有用である。ベラパミルのこれらの特性およびその半減期により、時間治療経口薬剤吸収系(chronotherapeutic oral drug absorption system;CODAS)を有する抗高血圧剤の製剤としてベラパミルは良好な選択である。この系は就寝時に摂取し、4から5時間の薬剤運搬の最初の遅延があり、その後薬剤が制御放出されるように設計されたものである。CODAS-ベラパミルカプセル(Verelan(登録商標)PM)はCODAS多粒子(multiparticulate)技術をベラパミルをコーティングしたビーズと共に使用して生成された。この製剤は指示通り摂取すると、朝の起床時頃に血漿中のベラパミル濃度が最高となる。研究で明らかになったところによれば、ベラパミル時間治療薬を夜間に投与することにより、朝の急激な血圧上昇を慣例的な抗高血圧剤より良好に制御することが可能となる。また、ベラパミル時間治療薬を就寝時に投与すると低血圧または夜間の血圧の過剰な低下を起こすことなく日中の血圧が制御され、潅流圧(perfusion pressure)の不足による標的器官の損傷のリスクが低下する。更に、ベラパミル時間治療薬は慣例的なベラパミルおよび他の抗高血圧剤より、日中により多くの医薬品を運搬するように設計される。考え得る薬剤候補にはカルシウムチャンネル遮断薬のような抗高血圧剤がある。
【0122】
高コレステロールを制御するための医薬品、例えばHMG-CoAレダクターゼ阻害剤も、酵素活性レベルがピークとなる夕方に投与するとより良好に作用すると考えられる。従って、便宜な時間に摂取し、それが投与形態の効果がその時間に最大となるように用量(the dose)を放出する時間治療経口製剤を提供することは非常に望まれる。
【0123】
潰瘍の治療は、タイミングが重要である別な例である。胃から生成される酸性度は午後6時にピークとなることが知られているので、胃での酸の分泌を低下させる医薬品をそれに応じて運搬することができる。
【0124】
時間治療の利点には、安全かつ慣例的な療法より効果の高い治療であるという点がある。これは疾病のリスクが大きいほどより多くの薬剤を運搬し、疾病症状の可能性が低いほどより少ない薬剤を運搬することによるものである。本発明の他の利点には、クオリティオブライフが高く、1日1回の薬剤運搬系であって患者のコンプライアンス(compliance)が高められるということがある。
【0125】
治療すべき疾病状態の兆候(例えば喘息の発作、関節炎による痛み)が起床時に最大であるような本発明のある好ましい実施形態では、時間治療製剤を好ましくは就寝時(例えばおよそ午後9または10時)に患者に経口投与し、約5または6時間の遅延時間があり、それによって例えば圧縮コーティングされた遅延放出経口投与形態中の実質的な部分の薬剤は例えば午前2-3時の間、または午前3-4時の間に放出され、薬剤は胃腸管から吸収され、疾病状態の兆候のピークに相関した時間に治療的効能を提供する。
【0126】
活性薬剤が低投与量の活性薬剤(例えば約0.01mgから約40mgの(単位)投与量で投与される薬剤)である場合、ある好ましい実施形態では、錠剤の総重量は約220mgから約900mgであり;コアの重量は好ましくは約50mgから約170mgである。好ましくはコアは錠剤の総重量の約5から約23重量パーセント、最も好ましくは約18から約20重量パーセントである。活性薬剤が低投与量活性薬剤である実施形態において、コーティングは好ましくは約150mgから約850mgである。好ましくは、コーティングは錠剤の総重量の約75から約94重量パーセント、最も好ましくは約78から80重量パーセントである。好ましくは、活性薬剤が低投与量活性薬剤である場合、コアとガム(圧縮コーティング中の)の比率は約1:0.37から約1:5、好ましくは約1:0.37から約1:1.12、最も好ましくは約1:0.75である。活性薬剤が低投与量活性薬剤である場合、コアと圧縮コーティング物質(全成分)の比率は好ましくは約1:2から約1:9であり、ある好ましい実施形態ではより好ましくは約1:4である。
【0127】
活性薬剤が比較的高投与量の活性薬剤(例えば約41mgから約300mgの(単位)投与量で投与される薬剤)である場合、コアとガム(圧縮コーティング中の)の比率は約1:0.3から約1:3、好ましくは約1:0.6から約1:1.5である。ある実施形態において、好ましくは活性薬剤が高投与量の活性薬剤である場合、コアと圧縮コーティング物質(全成分)の比率は約1:1から約1:5、好ましくは約1:2から約1:3である。活性薬剤が比較的高投与量の活性薬剤である場合、錠剤の総重量は好ましくは約500mgから約1500mg、より好ましくは約750mgから約1000mgである。約1:9であり、ある好ましい実施形態ではより好ましくは約1:4である。
【0128】
添付する実施例において、一般に、回転式錠剤プレスで手動によって、活性成分を含有するコアをコーティング製剤で圧縮コーティングする。それらの工程では、おおよそ半分の外側コア物質を最初に鋳型に添加する。一般に内部コア錠剤を粉末ベッド上で中央に配し、もう半分の外側コーティング粉末で被覆する。しかしながら、当業者に認識されるように、圧縮コーティングは、商業化のために自動錠剤プレスによって行ってもよい。錠剤プレスでの圧縮コーティングに先立って、好ましくは0.75%のPruv(登録商標)(ステアリルフマル酸ナトリウム(米国国民医薬品集))または他の好適な潤滑剤を圧縮コーティング物質に添加する。コーティングがガムを必要とするある実施例では、例えば50%キサンタンガム(XG)の場合、コーティングはデキストロースで希釈した50%キサンタンガムを含有し;例えば50%ローカストビーンガム(LBG)の場合、コーティングはデキストロースで希釈した50%ローカストビーンガムを含有する。
【実施例】
【0129】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下の実施例によって本発明の種々の観点を例証する。それらは特許請求の範囲をいかようにも制限しないものと解釈される。
【0130】
(実施例1)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表1に記載する処方で調製する:
【表1】

工程:
1.必要量のキサンタンガム、ローカストビーンガム、およびデキストロースを高速混合機/造粒機で3分間乾式混合する。
【0131】
2.水(125-150ml)を同乾式混合物に添加し、更に3分間顆粒化する。
【0132】
3.その後、顆粒をfluid bed dryerで、約10重量%未満のLOD(乾燥減量)(例えば4-7% LOD)まで乾燥する。
【0133】
(実施例2)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表2に記載する処方で調製する:
【表2】

工程:
1.必要量のキサンタンガム、ローカストビーンガム、硫酸カルシウム、およびデキストロースを高速混合機/造粒機で3分間乾式混合する。
【0134】
2.エチルセルロースをエチルアルコールに溶解して疎水性ポリマー(エチルセルロース)のスラリーを調製する。
【0135】
3.スラリーを同乾式混合物に添加し、更に3分間顆粒化する。
【0136】
4.その後、顆粒をfluid bed dryerで、約10重量%未満のLOD(乾燥減量)(例えば4-7% LOD)まで乾燥する。
【0137】
(実施例3)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表3に記載する処方で調製する:
【表3】

工程:
1.必要量のキサンタンガム、ローカストビーンガム、硫酸カルシウム、およびデキストロースを高速混合機/造粒機で3分間乾式混合する。
【0138】
2.水(125-150ml)を同乾式混合物に添加し、更に3分間顆粒化する。
【0139】
3.その後、顆粒をfluid bed dryerで、約10重量%未満のLOD(乾燥減量)(例えば4-7% LOD)まで乾燥する。
【0140】
(実施例4)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表4に記載する処方で調製する:
【表4】

工程:
実施例1と同じ工程を使用して実施例4の遅延放出コーティングを調製する。
【0141】
(実施例5)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表5に記載する処方で調製する:
【表5】

工程:
実施例3と同じ工程を使用して実施例5における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0142】
(実施例6)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表6に記載する処方で調製する:
【表6】

工程:
実施例3と同じ工程を使用して実施例6における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0143】
(実施例7)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表7に記載する処方で調製する:
【表7】

工程:
実施例1と同じ工程を使用して実施例7における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0144】
(実施例8)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表8に記載する処方で調製する:
【表8】

工程:
実施例1と同じ工程を使用して実施例8における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0145】
(実施例9)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表9に記載する処方で調製する:
【表9】

工程:
実施例1と同じ工程を使用し、デキストロースの代わりにラクトースを使用して、実施例5における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0146】
(実施例10)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表10に記載する処方で調製する:
【表10】

工程:
1.必要量のキサンタンガム、ローカストビーンガム、マンニトール、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを高速混合機/造粒機で3分間乾式混合する。
【0147】
2.水(125-150ml)を同乾式混合物に添加し、更に3分間顆粒化する。
【0148】
3.その後、顆粒をfluid bed dryerで、約10重量%未満のLOD(乾燥減量)(例えば4-7% LOD)まで乾燥する。
【0149】
(実施例11)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表11に記載する処方で調製する:
【表11】

工程:
実施例1と同じ工程を使用し、デキストロースの代わりにマンニトールを使用して、実施例11における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0150】
(実施例12)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表12に記載する処方で調製する:
【表12】

工程:
実施例10と同じ工程を使用して、実施例12における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0151】
(実施例13)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表13に記載する処方で調製する:
【表13】

工程:
実施例12と同じ工程を使用して、実施例13における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0152】
(実施例14)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表14に記載する処方で調製する:
【表14】

工程:
実施例12と同じ工程を使用して、実施例14における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0153】
(実施例15)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表15に記載する処方で調製する:
【表15】

工程:
実施例12と同じ工程を使用して、実施例15における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0154】
(実施例16)
遅延放出コーティングを以下の表16に記載する処方で調製する:
【表16】

工程:
実施例12と同じ工程を使用して、実施例16における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0155】
(実施例17)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表17に記載する処方で調製する:
【表17】

工程:
1.必要量のキサンタンガム、ローカストビーンガム、デキストロース、および微結晶セルロースを高速混合機/造粒機で3分間乾式混合する。
【0156】
2.水(125-150ml)を同乾式混合物に添加し、更に3分間顆粒化する。
【0157】
3.その後、顆粒をfluid bed dryerで、約10重量%未満のLOD(乾燥減量)(例えば4-7% LOD)まで乾燥する。
【0158】
(実施例18)
本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を以下の表18に記載する処方で調製する:
【表18】

工程:
実施例1と同じ工程を使用し、デキストロースの代わりに微結晶セルロースを使用して、実施例18における本発明の圧縮コーティングに使用される遅延放出剤を調製する。
【0159】
(実施例19)
プレドニゾロン・コア組成物を表19に記載する製剤成分で調製する:
【表19】

工程:
1.必要量のプレドニゾロンおよびProsolv(商標) SMCC 50をV-混合機を使用して5分から10分間混合する。
【0160】
2.必要量のProsolv(商標) SMCC 90、Explotab(登録商標)、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを同混合物に添加し、更に5分間混合を続ける。
【0161】
3.必要量のPruvを同混合物に添加し、更に5分間混合する。
【0162】
4.錠剤プレスを使用して錠剤コアを圧縮する。
【0163】
(実施例20)
プレドニゾロン・コア組成物を表20に記載する製剤成分で調製する:
【表20】

工程:
1.必要量のプレドニゾロン、Prosolv(商標) SMCC 90、Explotab(登録商標)を5分から10分間混合する。
【0164】
2.必要量のPruvおよびPVPを同混合物に添加し、更に5分間混合する。
【0165】
3.錠剤プレスを使用して錠剤コアを圧縮する。
【0166】
(実施例21)
プレドニゾロン・コア組成物を表21に記載する製剤成分で調製する:
【表21】

工程:
1.必要量のプレドニゾロン、Prosolv(商標) SMCC 90、Explotab(登録商標)、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを5分から10分間混合する。
【0167】
2.必要量のPruvおよびPVPを同混合物に添加し、更に5分間混合する。
【0168】
3.錠剤プレスを使用して錠剤コアを圧縮する。
【0169】
(実施例22)
プレドニゾロン・コア組成物を表22に記載する製剤成分で調製する:
【表22】

工程:
1.必要量のプレドニゾロンおよびProsolv(商標) SMCC 50をV-混合機を使用して5分から10分間混合する。
【0170】
2.必要量のProsolv(商標) SMCC 90、Explotab(登録商標)、PVP、およびタルクを同混合物に添加し、更に5分間混合を続ける。
【0171】
3.必要量のPruvを同混合物に添加し、更に5分間混合する。
【0172】
4.錠剤プレスを使用して錠剤コアを圧縮する。
【0173】
(実施例23)
プレドニゾロン・コア組成物を表23に記載する製剤成分で調製する:
【表23】

工程:
1.必要量のプレドニゾロンおよびProsolv(商標) SMCC 50をV-混合機を使用して5分から10分間混合する。
【0174】
2.必要量のProsolv(商標) SMCC 90、Explotab(登録商標)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびタルクを同混合物に添加し、更に5分間混合を続ける。
【0175】
3.必要量のPruvを同混合物に添加し、更に5分間混合する。
【0176】
4.錠剤プレスを使用して錠剤コアを圧縮する。
【0177】
(実施例24)
プレドニゾロン・コア組成物を表24に記載する製剤成分で調製する:
【表24】

工程:
実施例23と同じ工程を使用して実施例24のコアを調製する。
【0178】
(実施例25)
プレドニゾロン・コア組成物を表25に記載する製剤成分で調製する:
【表25】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、Explotab(登録商標)およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させずに、実施例25のコアを調製する。
【0179】
(実施例26)
プレドニゾロン・コア組成物を表26に記載する製剤成分で調製する:
【表26】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させずに、実施例26のコアを調製する。
【0180】
(実施例27)
プレドニゾロン・コア組成物を表27に記載する製剤成分で調製する:
【表27】

工程:
実施例23と同じ工程を使用して実施例27のコアを調製する。
【0181】
(実施例28)
プレドニゾロン・コア組成物を表28に記載する製剤成分で調製する:
【表28】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、Explotab(登録商標)を含有させずに、実施例28のコアを調製する。
【0182】
(実施例29)
プレドニゾロン・コア組成物を表29に記載する製剤成分で調製する:
【表29】

工程:
実施例23と同じ工程を使用して実施例29のコアを調製する。
【0183】
(実施例30)
プレドニゾロン・コア組成物を表30に記載する製剤成分で調製する:
【表30】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、Explotab(登録商標)を含有させずに、実施例30のコアを調製する。
【0184】
(実施例31)
プレドニゾロン・コア組成物を表31に記載する製剤成分で調製する:
【表31】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させずに、実施例31のコアを調製する。
【0185】
(実施例32)
プレドニゾロン・コア組成物を表32に記載する製剤成分で調製する:
【表32】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させずに、実施例32のコアを調製する。
【0186】
(実施例33)
プレドニゾロン・コア組成物を表33に記載する製剤成分で調製する:
【表33】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させずに、実施例33のコアを調製する。
【0187】
(実施例34)
プレドニゾロン・コア組成物を表34に記載する製剤成分で調製する:
【表34】

工程:
実施例23と同じ工程を使用して実施例34のコアを調製する。
【0188】
(実施例35)
プレドニゾロン・コア組成物を表35に記載する製剤成分で調製する:
【表35】

工程:
実施例23と同じ工程を使用し、Explotab(登録商標)を含有させずに、実施例35のコアを調製する。
【0189】
(実施例36)
プレドニゾロン・コア組成物を表36に記載する製剤成分で調製する:
【表36】

工程:
実施例23と同じ工程を使用して実施例36のコアを調製する。
【0190】
(実施例37-39)
実施例37-39では、実施例21に記載するコア製剤および実施例3に記載するコーティング製剤を有するプレドニゾロン錠剤を調製した。実施例37-39の錠剤処方を以下の表37に記載する。
【表37】

工程:
1.必要量の即時放出コアを秤量し、置いておく。
【0191】
2.0.75重量%のPruv(登録商標)ステアリルフマル酸ナトリウム(米国国民医薬品集)、(Edward Mendell社から販売されている)を必要量のコーティングと5分間混合する。
【0192】
3.圧縮コーティングの約半量を秤量する。
【0193】
4.圧縮コーティングの下層を鋳型の下側のパンチに注入する。
【0194】
5.圧縮コーティングの中央に即時放出コアを配する。
【0195】
6.上層を鋳型に注入する。
【0196】
7.パンチステーション(punch station)を回転させて圧縮する。
【0197】
8.完成した錠剤を秤量して適切な重量となっていることを確認する。
【0198】
実施例37-39の錠剤を、米国薬局方器具III型を使用し、250mLの脱イオン水を用いて15回浸漬/分 (dpm)で試験し、以下の表38に示す結果を得た:
【表38】

実施例37-39の錠剤の結果は表39に記載するように以下の遅延時間(錠剤からプレドニゾロンが放出される時間)および完全放出時間(錠剤から全てのプレドニゾロンが放出される時間)であった:
【表39】

(実施例40-42)
実施例40-42では、実施例21に記載するコア製剤および実施例2に記載するコーティング製剤を有するプレドニゾロン錠剤を調製した。実施例40-42の錠剤処方を以下の表40に記載する。
【表40】

工程:
実施例37-39と同じ工程を使用して実施例40-42の錠剤を調製する。
【0199】
実施例40-42の錠剤を、米国薬局方器具III型を使用し、250mLの脱イオン水を用いて15回浸漬/分 (dpm)で試験し、以下の表41に示す結果を得た:
【表41】

実施例40-42の錠剤の結果は表42に記載するように以下の遅延時間(錠剤からプレドニゾロンが放出される時間)および完全放出時間(錠剤から全てのプレドニゾロンが放出される時間)であった:
【表42】

ここに見られるように、錠剤の総重量が(コーティング重量の増加によって)増加するほど、遅延時間および相当する放出時間が増加する傾向がある。
【0200】
(実施例43)
実施例43では、種々の遅延放出コーティング製剤を調製し、コーティング製剤中のガムのパーセンテージが錠剤コア中の活性物質の放出時間および放出速度に与える影響を確認した。
【0201】
種々のガム・パーセンテージを有するこの実施例の種々の遅延放出コーティング顆粒の成分は以下の通りである:
【表43a】

遅延放出圧縮コーティング中のガムの種々のパーセンテージの影響を以下の表に示す:
【表43b】

表43bに示すように、20%のガムを含有する製剤は30%または50%のガムを含有する製剤より速く活性物質を放出した。結果は、顆粒化した遅延放出の実施例ではガムの%のランク順位に従った。キサンタンガム(未顆粒化)はこの実施例における他の遅延放出コーティング(顆粒化ガムを含有)と同様にはならなかった(例えば同じ遅延放出を起こさなかった)。
【0202】
上記の結果に見られるように、製剤中の薬剤に関するガムの量が増えるほど、それに対応して薬剤放出前の遅延時間の増加が観察される。
【0203】
(実施例44)
実施例44では、種々の例の遅延放出圧縮コーティング製剤を調製し、錠剤中の薬剤とコーティング製剤中のガムの比率の、錠剤コア中の活性物質の放出時間および放出速度に対する影響を確認した。
【0204】
種々の遅延放出コーティング顆粒の成分を上記の実施例に示す。種々の薬剤とガムの比率の影響を以下の表に記載する。
【表44】

この実施例では、実施例8のコーティング(薬剤:ガムの比率が1:33.75)のガムは実施例3のコーティング製剤(薬剤:ガムの比率が1:50.6)および実施例2のコーティング(薬剤:ガムの比率が1:84.4)のいずれよりも速い放出時間を示した。キサンタンガムはそのものに関してはランク順位に従ったが(例えばより多くのガム総量を含有するより大きな錠剤はより長い遅延を示す)、顆粒化物質(実施例8、2、および3のコーティング)に関しては従わなかった。薬剤に対してガムの量が増加するほど、それに対応して遅延時間の増加が観察される。達した結論によれば、薬剤に対するガムの比率が増加するほど、薬剤の放出前の放出遅延時間が増加(延長)される。
【0205】
(実施例45)
実施例45では、種々のロットの遅延放出コーティング製剤を調製し、持続放出コーティングの厚さが錠剤コア中の活性物質の放出時間および放出速度に与える影響を確認した。
【0206】
種々の内部コア製剤の成分を上記の実施例に示し、種々の遅延放出コーティング顆粒の成分を表45に示す。遅延放出コーティングの厚さの影響を以下の表に示す。
【表45】

この実施例で、実施例8のコーティングを170mg含有する錠剤は実施例8のコーティングを250mg含有する錠剤より放出が速いことが観察された。従って、錠剤においてコーティングの厚さが増加するほどそれに対応して遅延時間の増加が観察される。達した結論によれば、コーティングが厚い錠剤ほど薬剤の放出前の遅延時間が長い。
【0207】
(実施例46)
実施例46では、実施例2の遅延放出コーティングへの更なる顆粒添加剤の添加の影響を測定した。この実施例において、添加した添加剤のタイプは微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、およびポリエチレングリコールであり、これらの添加剤を0、5%、および10%のレベルで添加した。
【0208】
この実施例の内部コア製剤の成分を上記の実施例24に示し、この実施例の種々の遅延放出コーティング顆粒の成分を上記の実施例2に示す。添加した更なる顆粒添加剤の量またはパーセンテージを以下の表46aおよび46bに記載する:
【表46a】

【表46b】

持続放出コーティングへの更なる顆粒添加剤の添加の影響を以下の表に示す。
【表46c】

この実施例において、5%および10%のポリエチレングリコール6000を添加すると活性物質の放出がわずかに速まることが観察された。5% PVP K-30を含有する錠剤も、対照に比較してわずかに短い遅延時間を示している。10% PVP K-30を含有する錠剤の放出速度および遅延時間は変化しなかった。10% MCCで調製した錠剤は遅延時間については変化を示さなかったが、5% MCCではより遅かった。達した結論によれば、遅延時間は持続放出コーティング中への更なる添加剤の添加によって変化しうる。
【0209】
(実施例47)
実施例47では、スケールアップした持続放出コーティングの生成を行って、生産スケールで製造した錠剤が、実験スケールで生成した錠剤のものと同様の放出プロフィールを示すかどうかを確認した。
【0210】
この実施例では、Elizabeth Hataの製造プレスでコアをコーティングした錠剤を製造した。HT-AP44MSU-C44ステーション コアコーティングプレスを使用して錠剤を圧縮した。錠剤の内部コアは1/4インチの平丸形で斜めのエッジ(beveled edge)とし、170mgおよび8-10kPの錠剤とした。最終錠剤は9mmの丸凹形であり、525および560mg、8-10kPの錠剤とした。
【0211】
生産スケールの混合物は以下の組成であった:
内部コア:
2% プレドニゾロン
40% Prosolv SMCC 50
47.75% Prosolv SMCC 90
6% クロスカルメロースナトリウム
2% デンプングリコールエステルナトリウム
2% タルク
0.25% ステアリルフマル酸ナトリウム
外部コーティング混合物:
実施例2(0.75% ステアリルフマル酸ナトリウムを含有)
錠剤の生産では、プレス速度は9から12rpmであった。
【0212】
遅延放出コーティングのスケールアップした生産の影響を以下の表47に記載するデータポイントに示す。
【表47】

この実施例では、生産スケールで生産された錠剤は実験スケールで生成された錠剤と同様の放出プロフィ-ルを示すことが観察された。従って、達した結論によれば、調製および生成技術は問題なくスケールアップできる。
【0213】
(実施例48-57)
実施例48-57では、種々の量の崩壊剤を含有するコア製剤および実施例10に記載するコーティング製剤を含むようにプレドニゾロン錠剤を調製した。それぞれの錠剤は同じコア重量、同じコーティング重量、および同じ錠剤総重量であった。実施例48-57の錠剤処方を以下の表48および49に記載する:
【表48】

【表49】

実施例48-57の錠剤を、米国薬局方溶解器具III型を使用し、250mLの水を用いて15回浸漬/分 (dpm) で試験し、以下の表50に記載する結果を得た:
【表50】

結果は、コア中に崩壊剤が含有されることにより活性物質がより迅速に製剤から放出されることを示した。
【0214】
(実施例58-60)
実施例58-60では、実施例24のコア製剤、および実施例2、4、および実施例2と4を組み合わせた(実施例2が52%、実施例4が75%)コーティング製剤を含有するようにプレドニゾロン錠剤を調製した。それぞれの錠剤は同じコア重量、同じコーティング重量、および同じ錠剤総重量であった。実施例58-60の錠剤処方を以下の表51に記載する:
【表51】

実施例58-60に記載する製剤を含有する錠剤を、米国薬局方器具III型を使用し、250mLの水を用いて15回浸漬/分 の溶解試験を行った。結果を以下の表52に示す。
【表52】

(実施例61)
実施例61では、実施例59に記載する製剤を含有するプレドニゾロン錠剤を、pH、イオン強度、および浸漬速度に関して溶解の変化を試験した。評価したpHは1.5、7.5、およびpH変化であった。
【0215】
pH変化法では、1つの溶解容器から次の容器へとpHを上昇させて行き、胃腸管を通じる投与形態の移動をシミュレーションする。最初、pHは1.5で1時間である。第2ステーションのpHは3.5で更に2時間であり、その後第3ステーションは5.5で更に2時間である。最後に3つの最終ステーションはpH7.5である。3つの最終ステーションの時間の長さは、その投与形態で予期される放出に依存して変化させることができる。
【0216】
結果を以下の表53および54に示す。結果は、実施例59に従って調製した製剤の溶解プロフィールを示し、溶解する溶解媒体のpHおよびイオン強度は種々であった。
【表53】

【表54】

以下の表55および56に記載する結果は、実施例59に従って調製した製剤の溶解プロフィ-ルの標準化した平均値を提供し、ここではpH変化法(0.1M)で15および30dpmをそれぞれ使用した。
【表55】

【表56】

(実施例62)
実施例62では、2mgのプレドニゾロンコア組成物を、コア中のプレドニゾロンの量を増加させ、Prosolve SMCC 90の量を減少させ、以下の表57に記載する製剤を含有させて、実施例24と同様に調製した:
【表57】

(実施例63-68)
実施例63-68では、実施例62のコア製剤を実施例11、12、13、14、15、および16に従って調製したコーティングで被覆した。それらの実施例の処方を以下の表58に示す:
【表58】

米国薬局方器具3を使用し、250mlの溶解媒体、15dpmで、各製剤について溶解試験を行った。異なる溶解媒体(1)DI水および(2)pH変化を使用して2つの溶解法を実施した。表59はDI水での溶解の結果であり、表60はpH変化(0.1M)での溶解の結果である。
【表59】

【表60】

データの分析により、得られたデータのlinear fitに基づく遅延時間の概算が可能となる。データは遅延時間が製剤中のガムのレベルに依存して0から8時間まで変化しうることを示している。表61は実施例、使用したガムの比率(%)、および概算した放出前の遅延時間の概要である。
【表61】

(実施例69)
実施例69では、他の製剤を調製し、米国薬局方器具3型を使用し、250mlの溶解媒体を用い、表62に示す浸漬/分で試験した。
【0217】
特定の溶解媒体を以下に示す:
DI水:米国薬局方 純水;
pH変化、または、pH変化 NI(“イオン未含有”):実施例61に記載するpH変化法で、イオンを使用しないでpH調整する;
pH変化(0.1M):実施例61に記載するpH変化法で、塩を使用してイオン強度を0.1モルとする;
pH7.5:pH7.5である溶解媒体;
pH7.5(0.1M):pH7.5、イオン強度0.1Mである溶解媒体;
SGI:胃液をシミュレーションしたもの;
ピーナッツ油 pH7.5:pH7.5のピーナッツ油;
記載する他の溶解媒体は、上記を考慮して、当業者に容易に理解される(例えばpH1.5:pH1.5である溶解媒体、など)。
【0218】
コメント部分に記載するある種の添加剤に関しては、それらの添加剤はコアをコーティングする前に圧縮コーティングに添加した。
【表62】











コメント:
1.試験9は平均した統合データである。
2.試験14は平均した統合データである。
3.試験16は平均した統合データである。
4.試験17は更なる添加剤として5% PVPをコーティングに添加した。
5.試験18は更なる添加剤として10% PVPをコーティングに添加した。
6.試験19は更なる添加剤として5% MCCをコーティングに添加した。
7.試験20は更なる添加剤として5% MCCをコーティングに添加した。
8.試験21は更なる添加剤として10% PEGをコーティングに添加した。
9.試験22は更なる添加剤として5% PEGをコーティングに添加した。
10.試験23は更なる添加剤として10% MCCをコーティングに添加した。
11.試験24は更なる添加剤として20% MCCをコーティングに添加した。
12.試験25は更なる添加剤として5% PEGをコーティングに添加した。
13.試験26は更なる添加剤として5% PEGをコーティングに添加した。
14.試験27は更なる添加剤として10% PVPをコーティングに添加した。
15.試験28は更なる添加剤として10% PVPをコーティングに添加した。
16.試験29は更なる添加剤として10% PEGをコーティングに添加した。
17.試験30は更なる添加剤として5% PVPをコーティングに添加した。
18.試験31は更なる添加剤として15% PEGをコーティングに添加した。
19.試験32は更なる添加剤として5% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
20.試験33は更なる添加剤として10% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
21.試験34は更なる添加剤として10% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
22.試験35は更なる添加剤として30% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
23.試験36は更なる添加剤として5% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
24.試験37は更なる添加剤として10% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
25.試験38は更なる添加剤として30% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
26.試験39は更なる添加剤として30% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
27.試験40は更なる添加剤として15% PEGをコーティングに添加した。
28.試験41は更なる添加剤として305% 硫酸カルシウムをコーティングに添加した。
29.試験54は平均した統合データである。
30.試験90は平均した統合データである。
31.試験96は2個の錠剤に基づいて行った。
32.試験97は2個の錠剤に基づいて行った。
33.試験98は3個の錠剤に基づいて行った。
34.試験99は3個の錠剤に基づいて行った。
35.試験100は6個の錠剤に基づいて行った。
36.試験101は3個の錠剤に基づいて行った。
37.試験102は平均した統合データである。
38.試験103は3個の錠剤に基づいて行った。
39.試験104は3個の錠剤に基づいて行った。
40.試験105は3個の錠剤に基づいて行った。
41.試験106は12個の錠剤に基づいて行った。
42.試験107は平均した統合データである。
43.試験108は6個の錠剤に基づいて行った。
44.試験109は12個の錠剤に基づいて行った。
45.試験110は12個の錠剤に基づいて行った。
46.試験111は3個の錠剤に基づいて行った。
47.試験112は6個の錠剤に基づいて行った。
48.試験113は12個の錠剤に基づいて行った。
49.試験117は平均した統合データである。
50.試験120は平均した統合データである。
51.試験140は平均した統合データである。
52.試験146は平均した統合データである。
53.試験150は平均した統合データである。
【0219】
(実施例70)
アルブテロール・コア組成物を表63に記載する製剤成分で調製した:
【表63】

工程:
実施例70では、実施例23と同じ工程を使用してコアを調製する。
【0220】
(実施例71)
アルブテロール・コア組成物を表64に記載する製剤成分で調製した:
【表64】

工程:
実施例71では、実施例23と同じ工程を使用してコアを調製する。
【0221】
(実施例72)
アルブテロール・コア組成物を表65に記載する製剤成分で調製した:
【表65】

工程:
実施例72では、実施例23と同じ工程を使用してコアを調製する。
【0222】
(実施例73)
アルブテロール・コア組成物を表66に記載する製剤成分で調製した:
【表66】

工程:
実施例73では、実施例23と同じ工程を使用してコアを調製する。
【0223】
(実施例74)
アルブテロール・コア組成物を表67に記載する製剤成分で調製した:
【表67】

工程:
実施例74では、実施例23と同じ工程を使用してコアを調製する。
【0224】
(実施例75)
アルブテロール・コア組成物を表68に記載する製剤成分で調製した:
【表68】

工程:
実施例75では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表68参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0225】
(実施例76)
アルブテロール・コア組成物を表69に記載する製剤成分で調製した:
【表69】

工程:
実施例76では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表69参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0226】
(実施例77)
アルブテロール・コア組成物を表70に記載する製剤成分で調製した:
【表70】

工程:
実施例77では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表70参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0227】
(実施例78)
アルブテロール・コア組成物を表71に記載する製剤成分で調製した:
【表71】

工程:
実施例78では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表71参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0228】
(実施例79)
アルブテロール・コア組成物を表72に記載する製剤成分で調製した:
【表72】

工程:
実施例79では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表72参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0229】
(実施例80)
アルブテロール・コア組成物を表73に記載する製剤成分で調製した:
【表73】

工程:
実施例80では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表73参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0230】
(実施例81)
アルブテロール・コア組成物を表74に記載する製剤成分で調製した:
【表74】

工程:
実施例81では、実施例23と同じ工程を使用し、該当する場合には(表74参照)フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0231】
(実施例82)
実施例82では、他の製剤を調製し、米国薬局方器具3型を使用し、実施例75に示すような250mlの溶解媒質および浸漬/分で試験した。
【0232】
特定の溶解媒質は以下のように定義する:
DI水:米国薬局方 純水;
pH変化 NI(“イオン未使用”):実施例63に記載するpH変化法で、イオンを使用しないでpH調整する;
pH変化または変化(0.1M):実施例63に記載するpH変化法で、塩を使用してイオン強度を0.1モルとする;
【表75】




持続放出コーティング内の種々のパーセントのガムの効果を以下の表76に示す:
【表76】

表76に示すように、20%のガムを含有する製剤は30%または50%のガムを含有する製剤より速く活性物質を放出した。使用するコーティングが放出速度に影響を与える。実施例82(a)では、コーティング重量および圧縮力が錠剤コア内の活性物質の放出時間および放出速度に与える影響を確認するために遅延放出コーティング製剤を調製した。
【0233】
(実施例83)
メトプロロール・コア組成物を表77に記載する製剤成分で調製した:
【表77】

実施例83では、実施例23と同じ工程を使用し、フィルムコーティングを施与してコアを調製する。
【0234】
実施例83のコアを、次いで先の実施例の圧縮コーティング物質で圧縮コーティングし、得られた錠剤を、以下の表78に示すようにin-vitro溶解研究に使用した。
【表78】

上に提供した実施例は限定的なものでないことを意図する。本発明の多くの他の変法は当業者に明白であり、添付の特許請求の範囲内であることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的有効量の薬剤を含有するコア、及び該コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含有する遅延放出経口固形投与形態であって、該遅延放出剤が1つ以上の天然または合成ガムを含有し、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後約2時間から約18時間遅延させる、上記投与形態。
【請求項2】
上記1つ以上の天然または合成ガムが、上記コア上に圧縮コーティングされる前に糖で凝集(agglomerated)されている、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項3】
上記薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後少なくとも約4時間まで遅延させる、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項4】
上記ガムがキサンタンガムとローカストビーンガムの混合物を含有する、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項5】
上記遅延放出剤が、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、硫酸マグネシウム、フッ化ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるイオン化可能なゲル強度増強剤を更に含有する、請求項4記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項6】
上記イオン化可能なゲル強度増強剤が硫酸カルシウムである、請求項5記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項7】
上記遅延放出剤が、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性(両親媒性/両親性(amphophilic))界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤を更に含有する、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項8】
上記遅延放出剤が、疎水性物質を更に含有する、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項9】
上記疎水性物質が、環境液体に暴露した際にゲル化剤の水和を遅延させるのに効果的な量で、アルキルセルロース、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマー、ワックス、シェラック、ゼイン、硬化植物油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項8記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項10】
上記疎水性物質がエチルセルロースを含む、請求項8記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項11】
上記糖が、スクロース、デキストロース、ラクトース、フルクトース、マンニトール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項12】
上記コアが、約5〜約20重量%の崩壊剤を更に含有する、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項13】
上記崩壊剤が高度崩壊剤である、請求項12記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項14】
上記崩壊剤が、デンプン、ビーガム(veegum)、クロスポビドン、セルロース、カオリン、微結晶セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項15】
上記高度崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項16】
上記内部コアが、スクロース、デキストロース、ラクトース、微結晶セルロース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択される不活性希釈剤を更に含有する、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項17】
上記コアが即時放出コアである、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項18】
上記コアが持続放出担体を更に含有する、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項19】
治療的有効量の薬剤を含有するコア、及び該コア上に圧縮コーティングされる凝集した遅延放出剤を含有する遅延放出経口固形投与形態であって、該凝集した遅延放出剤はホモ多糖、ヘテロ多糖、及びホモ多糖及びヘテロ多糖の混合物からなる群から選択されるガムと、製薬上許容される添加剤とを含有し、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後、既定の時間遅延させる、上記投与形態。
【請求項20】
上記ヘテロ多糖ガムが遅延放出コーティングの約20〜約80%の量であり、上記ホモ多糖ガムが遅延放出コーティングの約80〜約20%の量である、請求項1記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項21】
上記へテロ多糖ガムがキサンタンガムであり、上記ホモ多糖ガムがローカストビーンガムである、請求項20記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項22】
上記コアが有効量の崩壊剤を更に含有する、請求項20記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項23】
治療的有効量の薬剤及び有効量の崩壊剤を含有するコア、及び該コア上に圧縮コーティングされる凝集した遅延放出剤を含有する遅延放出経口固形投与形態であって、該遅延放出剤が本質的に1つ以上の天然または合成の製薬上許容されるガム及び1つ以上の任意の医薬添加剤からなり、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後、既定の時間遅延させる、上記投与形態。
【請求項24】
上記コアが約5〜約20重量%の崩壊剤を含有する、請求項23記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項25】
上記崩壊剤が、デンプン、ビーガム、クロスポビドン、セルロース、カオリン、微結晶セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項24記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項26】
上記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項24記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項27】
上記薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後少なくとも約4時間まで遅延させる、請求項22記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項28】
上記ガムがキサンタンガム及びローカストビーンガムの混合物を含有する、請求項22記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項29】
治療的有効量の薬剤及び崩壊剤を含有するコア、及び該コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含有する遅延放出経口固形投与形態であって、該遅延放出剤が1つ以上の天然または合成ガムを含有し、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後、既定時間遅延させるものであり、該崩壊剤が、該既定時間の後1時間以内に該薬剤の少なくとも約50%が該水溶液中に放出されるのに効果的な量で該コアに含有されている、上記投与形態。
【請求項30】
上記崩壊剤がコアの約5〜約20重量%で含有される、請求項29記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項31】
上記崩壊剤が上記経口固形投与形態の約0.1〜約5重量%で含有される、請求項29記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項32】
上記崩壊剤が高度崩壊剤である、請求項29記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項33】
上記高度崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項32記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項34】
上記ガムがキサンタンガム及びローカストビーンガムの混合物を含有する、請求項29記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項35】
上記キサンタンガム及び上記ローカストビーンガムが、上記コア上に圧縮コーティングされる前に糖で凝集されている、請求項34記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項36】
治療的有効量の薬剤を含有する錠剤コア、及び該コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含有する遅延放出経口固形錠剤であって、該遅延放出剤が1つ以上の天然または合成ガムを含有し、該ガムは錠剤の約6.5〜約83重量%で含有され、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後約2時間から約18時間遅延させる、上記錠剤。
【請求項37】
上記錠剤コアが約5〜約20%の高度崩壊剤を更に含有する、請求項36記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項38】
約0.01mgから約40mgの薬剤を任意の製薬上許容される添加剤と共に含有するコア、及び該コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含有する低投与量薬剤のための時間治療用遅延放出経口固形投与形態であって、該遅延放出剤が1つ以上の天然または合成ガムを含有し、該圧縮コーティングが経口固体投与形態の約75〜約94重量%で含有され、コアと該圧縮コーティング中のガムの比率が重量比で約1:0.37から約1:5であり、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後約2時間から約18時間までの時間遅延させる、上記投与形態。
【請求項39】
上記投与形態の総重量が約220mgから約900mgである、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項40】
コア重量が約50mgから約170mgである、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項41】
上記コアが投与形態の総重量の約5〜約23重量%である、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項42】
上記圧縮コーティングが約150mgから約850mgである、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項43】
上記コーティングが投与形態の総重量の約78〜80重量%である、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項44】
コアと圧縮コーティングにおけるガムの比率が約1:0.37から約1:1.12であり、最も好ましくは約1:0.75以上である、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項45】
コアと圧縮コーティングの比率が重量比で好ましくは約1:2から約1:9である、請求項38記載の経口固形投与形態。
【請求項46】
約41mgから約300mgの薬剤を含有するコア、及び該コア上に圧縮コーティングされる遅延放出剤を含有する比較的高投与量の薬剤のための時間治療用遅延放出経口固形投与形態であって、該遅延放出剤が1つ以上の天然または合成ガムを含有し、コアと該圧縮コーティング中のガムの比率が重量比で約1:0.3から約1:3であり、該経口固形投与形態の総重量が約500mgから約1500mgであり、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出を、投与形態を水溶液に暴露した後約2時間から約18時間までの時間遅延させる、上記投与形態。
【請求項47】
コアと圧縮コーティングにおけるガムの比率が重量比で約1:0.6から約1:1.5である、請求項46記載の経口固形投与形態。
【請求項48】
コアと圧縮コーティングの比率が重量比で約1:1から約1:5である、請求項46記載の経口固形投与形態。
【請求項49】
コアと圧縮コーティングの比率が約1:2から約1:3である、請求項46記載の経口固形投与形態。
【請求項50】
上記投与形態の総重量が約750mgから約1000mgである、請求項46記載の経口固形投与形態。
【請求項51】
薬剤の時間治療用経口固形投与形態の調製方法であって、
治療的有効量の薬剤、及びコアの約5〜約20重量%の崩壊剤を含有するコアを調製し、
1つ以上の天然または合成ガムを含有する遅延放出剤の顆粒物を調製し、
該顆粒物を該コア上に圧縮コーティングする、
ことを含み、該圧縮コーティングによって、該投与形態からの該薬剤の放出が、投与形態が水溶液に暴露した後約2〜約18時間遅延する、上記方法。
【請求項52】
更に、遅延放出剤の上記顆粒物を、1つ以上の天然または合成ガムを少なくとも1種の製薬上許容される添加剤と共に湿潤顆粒化し、得られた顆粒物を乾燥することによって調製し、上記遅延放出剤の凝集粒子を得ることを含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
上記薬剤、上記崩壊剤、及び製薬上許容される不活性希釈剤を、上記圧縮コーティングステップの前に顆粒化することを更に含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
上記崩壊剤が該コア中に組み込まれた高度崩壊剤であり、該遅延放出のための時間終了後1時間以内に該薬剤の少なくとも約50%が該水溶液中に放出されるのに効果的な量で該コアに含有される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
投与形態が胃腸液に暴露した後少なくとも約4時間まで薬剤の放出を遅延させる、時間治療用医薬の製造における、請求項1、19、23、29、36、38、または46記載の経口固形投与形態の使用。
【請求項56】
投与形態の経口投与後、薬剤が約4〜約12時間の間、投与形態から放出されない、請求項55記載の遅延放出経口固形投与形態。
【請求項57】
投与形態の経口投与後、遅延時間が終了後、少なくとも約4時間かけて薬剤が放出される、請求項55記載の遅延放出経口固形投与形態。

【公開番号】特開2009−149691(P2009−149691A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86332(P2009−86332)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【分割の表示】特願2002−570994(P2002−570994)の分割
【原出願日】平成14年3月13日(2002.3.13)
【出願人】(500175152)ペンウェスト ファーマシューティカルズ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】