景観解析方法とこの方法を実行するコンピュータプログラムおよびこのプログラムを格納した媒体
【課題】可視・被可視性および隠蔽性に関する視覚的な影響の度合いを迅速に解析する。
【解決手段】中央演算処理装置5は、視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rとの各データを処理して表示装置4Aで仮想の3次元空間を表示する。景観の解析には、まず、視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rをそれぞれ多角形ポリゴンに図形化し、精度を規定する単位格子を設定し、設定された単位格子に基づいて各領域P、Qと景観構成要素Rとの多角形ポリゴンを分割し、次に、分割単位毎に中心点に基づいて頂点列データを生成し、各領域間の相互照射レイを設定し、両領域を結ぶ相互照射レイを抽出し、多角形ポリゴンの両領域の点間の距離と、相互照射レイと多角形ポリゴンとにより得られる角度とに基づき、見え面積を導き、景観構成要素のデータから隠れ面積を導き、仮想の3次元空間に視点と視対象との位置関係に応じた景観を表示して解析するようにしている。
【解決手段】中央演算処理装置5は、視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rとの各データを処理して表示装置4Aで仮想の3次元空間を表示する。景観の解析には、まず、視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rをそれぞれ多角形ポリゴンに図形化し、精度を規定する単位格子を設定し、設定された単位格子に基づいて各領域P、Qと景観構成要素Rとの多角形ポリゴンを分割し、次に、分割単位毎に中心点に基づいて頂点列データを生成し、各領域間の相互照射レイを設定し、両領域を結ぶ相互照射レイを抽出し、多角形ポリゴンの両領域の点間の距離と、相互照射レイと多角形ポリゴンとにより得られる角度とに基づき、見え面積を導き、景観構成要素のデータから隠れ面積を導き、仮想の3次元空間に視点と視対象との位置関係に応じた景観を表示して解析するようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的特性に基づき、3次元空間内における視点と視対象の位置関係により可視・被可視性および隠蔽性の度合いを、定量的に評価する景観解析方法とこの方法を実行するコンピュータプログラムおよびこのプログラムを格納した媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、景観の評価構造は、例えば、図19に示すような概念として捉えられる。景観を工学的に評価する場合、1つの評価軸として、景観(対象物)とそれを知覚する主体(人間)との知覚的な関係性を明らかにする必要がある。つまり、景観を視覚的に評価する場合には、主たる対象物と見る側の位置関係及び知覚的特性を踏まえた「景観空間」があり、その解析が求められる。一方で、知覚する人間の側において、その景観をどう感じるかという心理的な「評価空間」が存在する。前者に属するものとしては、対象物との距離による見え方の違い、人間の移動に伴う景観の連続性(シークエンス)等の視覚的構造に関するものが挙げられ、本発明は前者に関連するものである。
【0003】
従来、景観、特に視点からの眺望に関する視覚的構造については、これまで様々な指標や要因が提案されている(非特許文献1参照)。例えば、(1)可視・不可視、(2)距離、(3)視線入射角、(4)不可視深度、(5)俯角、(6)仰角、(7)奥行、(8)日照による陰陽度の8要素を掲げ、眺望の視覚的構造を説明したものが知られている(非特許文献1参照)。上記要素のうち、本願発明と関連する指標として、(1)可視・不可視、(2)距離、(3)視点、(4)視線入射角、(5)見られ頻度、(6)標準見え面積SVE(図20参照)が挙げられる。このうち特に、標準見え面積SVEは、景観評価指標の中でも人間の視覚的特性との関係性が高い指標の1つとして知られている。標準見え面積SVEは、図20に示すように、注目している視対象OBJの見えの大きさを定量する指標であり、視点VPから1m先に立てた標準視覚画面SSV上の実面積に等しい。視点VPが視対象OBJに近づくほど視対象OBJは大きく見え、視覚的な影響は大きくなり、視対象OBJから遠ざかるにつれ視対象OBJは小さく見え、視覚的な影響は小さくなる。このように「標準見え面積」は視覚的な影響の度合いを示す指標である。
【0004】
対象物(視対象)の大きさは、一般にその長さ、幅、高さ、面積等の物理量で表される。人間の視覚的特性によりその対象物OBJの見えの大きさは、光を介して空間的な位置関係によって、近ければ近いほど大きく見え、遠ければ遠いほど小さく見える。また、対象物の表面と視線のなす角によっても見えの面積が異なることが知られている。このような視覚的特性を踏まえた景観評価指標の一つとして、視対象の「標準見え面積」があるが、一般的には、ある視点から撮った写真画像などの2次元フレーム内で解析されることが多い。この場合、写真画像のピクセル数をカウントする方法(非特許文献2参照)や仰角・俯角といった他の指標を代用する方法が挙げられる。
ところで「標準見え面積」について説明すると、「標準見え面積」とは、注目している視対象の見えの大きさを定量する指標である。標準見え面積SVE(図20参照)は、注目している視対象OBJの見えの大きさを定量する指標であり、視点VPから1m先に立てた標準視覚画面SSV上の実面積に等しい。物体の見え方の特徴として、見え面積は距離dの二乗に反比例し、視線と面の法線のなす角θに比例して見え面積が減少する性質(光の性質としてランバートの余弦則(ランベルトの法則ともいう)が知られており(非特許文献3参照)、この法則に適っている)により、視対象OBJの表面積がaのとき、標準見え面積A=a×cosθ/d2 の算定式で導かれる。
【0005】
さらに、従来、仮想現実の景観をCG(コンピュータグラフィック)で忠実に再現する描画性能の向上や描画の欠落防止を目的とした表示装置及び表示方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。しかし、これら従来の表示装置及び表示方法は、地理情報をメッシュに切って関係のない情報をカットすることで描画処理を高速化して表示する技術であり、3次元CGを用いて景観を評価するための技術ではない。また、3次元空間データの送信表示装置が提案されている(特許文献3参照)。しかし、これはデータ量が多くなることで送信能力が低下することを防ぐ技術であり、3次元CGを用いて景観を評価するための技術ではない。
【0006】
【非特許文献1】樋口忠彦著「景観の構造」技報堂出版株式会社、1975年、p.28〜30
【非特許文献2】栗田英治・木村吉寿・松森堅治・長利洋「棚田景観の評価構造と関係する物理的評価指標」農村計画学会論文集第6集、2004年、p.86〜87
【非特許文献3】JamesD.Foley他共著「コンピュータグラフィックス理論と実践」オーム社、2001年、p.721〜722
【特許文献1】特開2003−208633
【特許文献2】特開2002−279449
【特許文献3】特開2003−115058
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記記載の写真画像等の2次元フレームを用いた解析方法では、視点(見る側の位置)及び視線方向(視点から視対象の中心への向き)が限定されることが多く、視点や視線方向が変化する場合には、解析をやり直す必要が生じる。このため、視点や視線方向毎に変化する対象物の「標準見え面積」の変化の程度を測るには、様々なパターンの2次元フレームを設定して解析しなければならなかった(非特許文献2参照)。視点毎に逐一計測して写真画像のピクセル数をカウントする解析方法では、膨大な手間と時間を要するという不都合があった。また、仮想の遮蔽物(例えば、視対象である水路が雑草によって見えなくなる状況を想定すると、雑草が仮想の遮蔽物に相当する。)を設ける等の条件を変化させてシミュレーションを行う際は、さらに複雑な処理を必要とすると考えられる。なお、上記特許文献1ないし3に示された技術は、CG上で景観を忠実に再現するための技術、または高速に動画を描画するために不必要な情報を除外する技術、またはデータ量が多くなることで送信能力が低下することを防ぐ技術であり、コンピュータを用いて画面上に3次元空間を表示する意味での関連性はあるが、本発明のように景観を解析する目的としての技術とは異なる技術である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、容易かつ迅速に景観の評価を行うことができる景観解析方法とこの方法を実行するコンピュータプログラムおよびこのプログラムを格納した媒体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る景観解析方法は、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0010】
本発明の請求項1に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、景観の評価に必要な、多様な視点からの景観の解析を容易かつ迅速に行うことができる。
【0011】
請求項2に係る景観解析方法は、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視点領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視対象の位置に対応した視点からの見られの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0012】
請求項2に係る景観解析方法では、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視点領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視対象の位置に対応した視点からの見られの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、視対象側からの被可視性の度合いを定量的に評価することができるので、評価の精度を向上させることができる。
【0013】
請求項3に係る景観解析方法は、請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見えと隠れの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0014】
請求項3に係る景観解析方法では、請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見えと隠れの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、視点側からの可視性の度合いに加え、景観構成要素の遮蔽性の度合いを定量的に評価することができる。このため、景観遮蔽度の指標化を果たすことができ、景観形成機能に及ぼす影響を確実に評価することができる。
【0015】
請求項4に係る景観解析方法は、 請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見られと隠されの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0016】
請求項4に係る景観解析方法では、 請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見られと隠されの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、視点側からの可視性の度合いに加え、景観構成要素の遮蔽性の度合いを定量的に評価することができ、見られの大きさの度合いおよび隠されの大きさの度合いを評価することができる。
【0017】
請求項5に係る景観解析方法は、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0018】
請求項5に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたことにより、景観の評価に必要な、多様な視点からの標準見え面積を容易に算出することができ、視点側からの可視性の度合いを定量的に評価することができ、景観の解析を容易かつ迅速に行うことができる。
【0019】
請求項6に係る景観解析方法は、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域からの見られの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0020】
請求項6に係る景観解析方法では、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域からの見られの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたので、視対象側からの被可視性の度合いを定量的に評価することができ、見られの大きさの度合いを評価することができる。
【0021】
請求項7に係る景観解析方法は、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えと隠れの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0022】
請求項7に係る景観解析方法では、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積とを算定する第5のステップと、 第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えと隠れの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたことにより、視点側からの可視性の度合いに加え、景観構成要素の遮蔽性の度合いを定量的に評価することができ、見えの大きさの度合いおよび隠れの大きさの度合いを評価することができる。
【0023】
請求項8に係る景観解析方法は、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域の見られと隠されの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0024】
請求項8に係る景観解析方法では、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域の見られと隠されの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたことにより、視対象側からの被可視性の度合いを定量的に評価することができ、見られの大きさの度合いおよび隠されの大きさの度合いを評価することができる。
【0025】
請求項9に係る景観解析方法は、第7のステップで、第6のステップで集計された面積を比率に換算して出力するようにしたものである。
【0026】
請求項9に係る景観解析方法では、第7のステップで、第6のステップで集計された面積を比率に換算して出力するようにしたことにより、比率の取り方は様々であるもの、全体面積や視界の面積などを比率尺度に換算すると、評価に尺度値を用いることができ、多様な視点からの景観の評価をより精密に行うことができる。
【0027】
請求項10に係る景観解析方法は、視点領域と視対象領域を示すデータおよび解析の精度を示す単位の設定について、小さい単位で両領域を分割することで計算負荷が増大する第1の場合、両領域のうち少なくともいずれか一方の領域の範囲が大きいために計算負荷が増大する第2の場合、両領域間を結ぶ相互照射レイの長さが長くなり算定される値が小さくなる第3の場合、または相互照射レイの方向ベクトルと分割された単位の面の法線ベクトルが垂直または垂直に近い関係にあることから算定される値が小さくなる第4の場合に、予め所定の数値を設定して算定処理を打ち切るか、算定結果を端数処理するか、または設定の変更を促す処理をするかして計算負荷の軽減を図るようにしたものである。
【0028】
請求項10に係る景観解析方法では、視点領域と視対象領域を示すデータおよび解析の精度を示す単位の設定について、小さい単位で両領域を分割することで計算負荷が増大する第1の場合、両領域のうち少なくともいずれか一方の領域の範囲が大きいために計算負荷が増大する第2の場合、両領域間を結ぶ相互照射レイの長さが長くなり算定される値が小さくなる第3の場合、または相互照射レイの方向ベクトルと分割された単位の面の法線ベクトルが垂直または垂直に近い関係にあることから算定される値が小さくなる第4の場合に、予め所定の数値を設定して算定処理を打ち切るか、算定結果を端数処理するか、または設定の変更を促す処理をするかして計算負荷の軽減を図るようにしたことにより、計算負荷を軽減させることができ、作業の効率化および装置の小型化を図ることができる。
【0029】
請求項11に係る景観解析方法は、見え面積、見られ面積、隠れ面積または隠され面積が算定された後、算定結果と他の調査データを重ね合わせて加工修正し、処理結果の出力に反映させるようにしたものである。
【0030】
請求項11に係る景観解析方法では、見え面積、見られ面積、隠れ面積または隠され面積が算定された後、算定結果と他の調査データを重ね合わせて加工修正し、処理結果の出力に反映させるようにしたことにより、他のデータと重ね合わせることができるので、評価の制度を向上させることができる。
【0031】
請求項12に係る景観解析方法を実行するコンピュータプログラムは、請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能にしたものである。
【0032】
請求項12に係る景観解析方法を実行するコンピュータプログラムでは、請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能にしたことにより、プログラムがコンピュータに読み取られると、コンピュータを通じて景観の解析を行うことができる。
【0033】
請求項13に係る媒体は、景観解析方法を実行するコンピュータプログラムを格納した媒体は、請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りが可能にしたものである。
【0034】
請求項13に係る媒体では、請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りが可能にしたことにより、媒体に格納されたプログラムがコンピュータに読み取られると、コンピュータを通じて景観の解析を行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたので、仮想の3次元空間において多様な視点と視対象の位置とに基づいて、可視性および被可視性に関する視覚的な影響の度合いを容易かつ迅速に解析することができる。このため、景観計画を策定する際、眺望点や遊歩道の設置位置の検討に活用することができる。また、看板や建造物など景観遮蔽物を設置する際の景観影響評価にも適用できる。
【0036】
また、請求項5に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたので、景観の評価に必要な、多様な視点からの標準見え面積を容易に算出することができ、視点側からの可視性の度合いを定量的に評価することができ、景観の解析を容易かつ迅速に行うことができる。
【0037】
請求項12に係る景観解析方法を実行するコンピュータプログラムは、請求項1ないし10のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りを可能にしたので、コンピュータにプログラムを読み込ませコンピュータにより景観の解析を行うことができる。
【0038】
請求項13に係る媒体は、請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りを可能にしたので、媒体からコンピュータにプログラムを読み込ませコンピュータにより景観の解析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
可視性・被可視性および隠蔽性に関する視覚的な影響の度合いを容易かつ迅速に解析するという目的を、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域と景観を構成する要素データとが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を仮想の3次元空間に表示するかまたは印刷するかのうち少なくともいずれか1つの動作を行う出力手段とを備え、視点領域と視対象領域と景観構成要素をそれぞれ平面上に図形化された2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するとともに、座標データとして図形化された形の精度を規定する単位を設定し、設定された単位に基づいて各領域と景観構成要素との図形化された形を分割し、分割単位毎に基準となる点に基づいて座標データを生成し、各領域の点同士を結ぶ線分を設定し、これら線分のうち両領域の座標データ間を結ぶ線分を抽出し、両領域の点間の距離と、線分と図形化された形とにより得られる角度とに基づき、視点と視対象との間で、視点から所定の距離離れて設定される標準視覚画面上に写し出される標準見え面積、視対象が視点領域より視対象側の標準視覚画面上に写し出される標準見られ面積、景観構成要素により遮蔽されることにより遮蔽物が視点側の標準視覚画面上に写し出される標準隠れ面積及び景観構成要素(遮蔽物)が視対象側の標準視覚画面上に写し出される標準隠され面積を導き、さらに得られたデータを比率の尺度値に換算または他のデータとの組み合わせにより加工修正して、仮想の3次元空間における視点と視対象の位置関係に応じた視覚的影響に関する指標値を表示して景観を解析するようにして実現した。
【実施例1】
【0040】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は、本実施例に係る景観解析方法に用いられる解析装置のシステム構成図で、図2は図1の解析装置により実行される処理のフローチャートである。解析装置2は、図1に示すように、キーボードやマウス等の入力装置3と、CRT画面や液晶画面等の画面に解析結果が表示される表示装置(出力手段)4Aと、解析結果が印刷されるプリンタ(出力手段)4Bと、これら入力装置3と表示装置4Aとプリンタ4Aとを制御して処理を実行する中央演算処理装置(CPU)5と、この中央演算処理装置5と接続され制御プログラムが書き込まれたメインメモリ6と、中央演算処理装置5と接続され解析結果を記憶する外部記憶装置(外部記憶手段)7とを備えている。
【0041】
本実施例に係る景観解析方法では、中央演算処理装置5は、後述する視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rとの各データを処理して表示装置4Aで仮想の3次元空間を表示するようになっている。景観の解析には、まず、視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rをそれぞれ多角形ポリゴンに図形化し、精度を規定する単位格子を設定し、設定された単位格子に基づいて各領域P、Qと景観構成要素Rとの多角形ポリゴンを分割するようになっている。次に、分割単位毎に中心点に基づいて頂点列データを生成し、各領域間の相互照射レイを設定し、両領域を結ぶ相互照射レイを抽出し、多角形ポリゴンの両領域の点間の距離と、相互照射レイと多角形ポリゴンとにより得られる角度とに基づき、見え面積を導き、景観構成要素のデータから隠れ面積を導き、仮想の3次元空間に視点と視対象との位置関係に応じた景観を表示して解析するようにしている。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、上記処理を行うようになっている。上記処理に関して、各々の内容を以下に説明する。
【0042】
精度を規定する単位格子について説明する。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて解析精度を規定する単位格子(単位格子メッシュ)の大きさ(1辺の長さ)(図6参照)を、入力装置3、外部記憶装置7またはメインメモリ6内で設定するようになっている。図6は、領域を分割する際の単位格子とその中心点(基準点)を示しており、単位格子の大きさを正方形の1辺の長さgで規定している。図6に示す単位格子の大きさは、正方形の格子の一辺の長さgで規定され、単位格子の位置は単位格子の重心である中心点の位置座標を代表値として与える。このとき、単位格子の面積dAはdA=g×gとなる。
【0043】
中央演算処理装置5は、入力装置3または外部記憶装置7により視点領域P(図3参照)と、視対象領域Q(図4参照)と、景観構成要素領域R(図5参照)とにより構成される多角形ポリゴン(図形)の頂点列データが仮想の3次元空間(コンピュータグラフィクス)上の座標値として入力または取得されるとメインメモリ6に格納するようになっている。すなわち、入力装置3または外部記憶装置7により上記視点領域Pと上記視対象領域Qと上記景観構成要素(遮蔽物)Rとが入力されると、中央演算処理装置5は、これら領域P、Qおよび景観構成要素Rとをそれぞれ平面上の2次元的図形または空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するようになっている。単位格子メッシュの設定は、解析の精度を規定するための単位として微小領域を設定するものであって、ここでいう微小領域とは、例えば、1辺の長さg=10cmの正方形のように設定される。
【0044】
視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素領域Rについて説明する。視点領域Pとは、仮想の3次元空間において人が見る視点位置の範囲を多角形ポリゴンの領域で示したものである。すなわち、入力装置3または外部記憶装置7により上記視点領域Pが入力されると、中央演算処理装置5は、この領域Pを平面上の2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するようになっている。例えば、図3に示すように、歩道を示す符号10上を人が歩くときの視点すなわち目の位置の可動範囲を多角形ポリゴンで示した領域11(破線枠)が視点領域である。
【0045】
視対象領域Qとは、仮想の3次元空間内において人が見る対象物の表面形状の範囲を多角形ポリゴンの領域で示したものである。図4に示すものは、水路脇の歩行者が水路を眺めたときの水路景観の事例(透視投影図)であり、解析対象となる視対象を水路内の水面に設定するとき、その範囲を多角形ポリゴンで示した領域12(破線枠)が視対象領域である。符号13は草が伸びていない状態の水路の法面を、符号14はコンクリート溝の溝壁を、符号15は水路の法面の法肩に接続する歩道をそれぞれ示す。視対象領域Qについても、視点領域Pと同様に、入力装置3または外部記憶装置7により上記視対象領域Qが入力されると、中央演算処理装置5は、この領域Qを平面上の2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するようになっている。
【0046】
景観構成要素領域Rとは、仮想の3次元空間における物体のうち、解析対象として設定した視対象領域以外の物体(草、壁、建物等)を示した範囲を多角形ポリゴンの領域で示したものである。図4は、水路の法面を示す符号13、コンクリート溝壁を示す符号14および歩道を示す符号15を多角形ポリゴンの領域で示しているが、これらは必要に応じて、それぞれ景観構成要素領域Rとなりうる。また、これらはそれぞれ必要に応じて景観構成要素領域Rとするかどうか変更可能である。
【0047】
図5では、図4の景観構成要素領域Rに対して、草で覆われた状態の水路法面を示す符号16を多角形ポリゴンの領域として付け加えた事例である。図5は、図4と比較して水路の法面に草が20cm伸びた状態となるため、水面の見える範囲が草に隠れて減少していることがわかる。これは、視点と視対象との間に景観構成要素Rが存在することで、視対象領域Qの見え方が変化することを示している。このように、景観構成要素Rは視点領域Pと視対象領域Qとの位置関係によって遮蔽物となって、見え方に影響を与える存在となる。この景観構成要素Rについても、上記視点領域P、上記視対象領域Qと同様に、入力装置3または外部記憶装置7により上記景観構成要素Rが入力されると、中央演算処理装置5は、この景観構成要素Rを平面上の2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定する。
【0048】
各領域にかかる多角形ポリゴンを単位格子で分割する処理について説明する。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、入力または取得された視点領域Pと視対象領域Qを示す多角形ポリゴンが決定されると、この多角形ポリゴンを分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出するようになっている。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、入力または取得された視点領域Pと視対象領域Qを示す多角形ポリゴンについて、設定された単位格子メッシュの大きさで両領域P、Q内の多角形ポリゴンの内部を分割し、各単位格子の中心点の頂点列データを生成するようになっている。
【0049】
頂点列データの生成方法について説明する。図8ないし図12に示すように、多角形ポリゴンが形成される平面上に交差判定のためのスキャンラインを一定間隔で走らせることで生成できる。具体的には、(1)多角形ポリゴンをX−Y軸、Y−Z軸またはZ−X軸平面上に投影して(座標変換の行列式を算定する必要がある。)、スキャンラインを走らせ、単位格子メッシュの中心点の頂点列データを生成後、元の多角形ポリゴン内の位置座標へ変換する方法や(2)多角形ポリゴンが形成する平面の方程式より平面上の直線をスキャンラインとして単位格子メッシュの中心点の頂点列データを生成することが可能と考えられる。なお、これらの方法のうち、多角形ポリゴンをX−Y軸、Y−X軸またはZ−X軸平面に投影して、軸に平行な直線(X=n、Y=nまたはZ=n、なお、nは変数)をスキャンラインとして頂点列データを生成する方法については後述する。
【0050】
相互照射レイの設定について説明する。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、入力または取得された視点領域Pと視対象領域Q内に生成した単位格子メッシュの中心点同士を結ぶ両領域P、Q間の相互照射レイ(線分)を設定するようになっている。相互照射レイ(線分)とは、例えば、図13に示すように、視点領域P内の微小領域(単位区画、ここでは五角形の図形)を示す中心点piと視対象領域Q内の微小領域(単位区画、ここでは六角形の図形)を示す中心点qjとの間を結ぶ線分dをいう。中心点は、基準点となるもので、例えば重心を基準点として設定してもよい。多角形ポリゴン内に単位格子メッシュの中心点を示す頂点列データを生成する際、多角形ポリゴンを内包する平面の法線ベクトルと頂点列データの点の数を算定するようになっている。なお、この法線ベクトルと頂点列データの点の数は別途算定しておくようにしてもよい。
【0051】
「標準見え面積」について説明する。背景技術でも触れたように、注目している視対象の見えの大きさを定量する指標である。標準見え面積SVE(図20参照)は、注目している視対象OBJの見えの大きさを定量する指標であり、視点VPから1m先に立てた標準視覚画面SSV上の実面積に等しい。物体の見え方の特徴として、見え面積は距離dの二乗に反比例し、視線と面の法線のなす角θに比例して見え面積が減少する性質(光の性質としてランバートの余弦則(ランベルトの法則ともいう)が知られており(非特許文献3参照)、この法則に適っている)により、視対象OBJの表面積がaのとき、標準見え面積A=a×cosθ/d2 の算定式で導かれる(なお、光の屈折・反射・大気による減衰などの光の性質を考慮して実際の見え方は異なるが、ここでの解析例では光に関する特殊な影響を排除して空間的な位置関係からランバートの余弦則に基づき標準視覚画面上の見えの大きさを算定した。なお、光の屈折・反射による蜃気楼の発生、濃霧発生時の見え方など特殊な光の性質を考慮した場合にも、各法則に適った算定式を制御プログラムに追加して解析することは容易に可能である。)。ここでの用語として「標準見られ面積」は、「標準見え面積」とは逆に、視対象領域側から視点領域を見たときの標準見え面積を算定することで見られの大きさを定量する指標として定義する。視対象OBJ内の点から1mの距離に立てた標準視覚画面上の視点領域の実面積に相当する。
【0052】
抽出された相互照射レイ(線分)に基づいて行う処理について説明する。相互照射レイが抽出されると、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出するようになっている。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、視点領域Pと視対象領域Q内に生成した頂点列データ間を結ぶ相互照射レイを抽出し、点と点との距離及び相互照射レイと面法線のなす角を算定するようになっている。例えば、多角形ポリゴンを形成する視点領域Pと視対象領域Q内の微小な単位格子メッシュの中心点同士を結ぶ相互照射レイと面の法線とのなす角θをそれぞれについて図13に示している。
【0053】
中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、相互照射レイが景観構成要素Rの領域と交差するか否か交差判定を行い、交差しない場合は可視、交差する場合は不可視として場合分けを行うようになっている(図14参照)。なお、ここでは、不可視と判定された標準見え面積(標準見られ面積)を、可視と判定されたものと区別するため、標準隠れ面積(標準隠され面積)と定義する。標準視覚画面上の視点領域または視対象領域が景観構成要素に遮蔽されている部分の実面積に相当する。
【0054】
中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、各相互照射レイに関して、標準見え面積(標準見られ面積)または標準隠れ面積(標準隠され面積)を算定し、その値を微小な単位格子メッシュの中心点毎に視点領域P側、視対象領域Q側各々で集計するようになっている。視点領域P側における単位格子メッシュの中心点付近の拡大図を図15に示している。集計の結果は、各領域(P,Q)内の単位格子メッシュの頂点列データの座標値と併せて、点毎の標準見え面積(P側)、標準見られ面積(Q側)、標準隠れ面積(P側)または標準隠され面積(Q側)の値として出力され、表示装置4Aに表示したり、プリンタ4Bで印刷したり、外部記憶装置7に記憶するようになっている。
【0055】
導出された定量化されたデータに基づき、視対象の見えの大きさの度合いを導くことについて説明する。視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータが導出されると、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析できるようにする。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、点毎の標準見え面積(標準見られ面積)、標準隠れ面積(標準隠され面積)のデータの基準値に対する割合として、比率尺度(面積率)へ換算する処理を行うことが可能となっている。
【0056】
面積率を算定するにあたって、基準(分母)となる値の取り方はいくつか考えられる。視点位置から視対象の視線方向の向きによって仰瞰景または俯瞰景(仰ぎ見る方向から見た景観または上から見下ろす方向から見た景観)として解析する場合には、面積率算定のための基準として、半径1mの半球の表面積2πとなり、全方向を対象とするならば、球全体の表面積は4πとなる(図16参照)。人の視線方向が限定される場合(俯角=約5°〜10°など)には、半径1mの球の表面積における対象範囲を算定し、基準値とすることもできる。その際、視界や視線の角度(方向)などによって重み付けすることも可能である(例えば、人の視界は60度の円錐(コーン)に近似していることや、視線は俯角10度付近に集中するといった経験則を適用することも、制御プログラムに追加することは容易に可能である。)。
【0057】
中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、視点領域Pと視対象領域Qの面積を基準として、これに対する標準見え面積(標準見られ面積)の割合を算定することができるようになっている。また、遮蔽性に関しても同様に基準値を定めることで「隠れ面積率(隠され面積率)」に換算されるようになっている。この換算された結果は、単位格子メッシュの頂点列データの座標軸と併せて、点毎の輝度値として出力され、表示装置4Aに表示したり、プリンタ4Bで印刷したり、外部記憶装置7に記憶するようになっている。さらに、中央演算処理装置5は、上述のようにして得られた視覚的特性値を、外部から得られた交通量調査の結果や、景観評価実験の結果と組み合わせて、評価値を算定し、評価値の結果が表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7に出力されるように制御プログラムに追加することは容易に可能である。なお、以上の結果を、表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力する際、頂点列データ間の輝度値(評価値)をグローシェーディングなどの線形補間方法を適用して出力することも制御プログラムに追加することで容易に可能である。
【0058】
計算負荷軽減について説明する。視点領域Pまたは視対象領域Qの設定範囲が大きくなったとき、または微小領域の大きさをきわめて小さく設定したときには、計算負荷が増大するおそれがある。このため、中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、視点領域Pまたは視対象領域Qの設定範囲が大きくなったとき、または微小領域の大きさをきわめて小さく設定したとき、計算負荷を軽減するための措置として、距離が一定範囲を超えて極めて長い、または「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさが一定範囲を超えて極めて小さいと判断される場合、処理時間の短縮等のため演算処理を打ち切る設定が可能である。打ち切りの閾値の設定は、対象領域の大きさ、解析の精度、CPUの処理能力等に応じて検討すべき事項である。
【0059】
次に、本発明に係る景観解析方法について、上記実施例に係る解析装置2の作用に基づいて説明する。本発明に係る景観解析方法は、図2に示すように、まず第1のステップS1で、入力装置3により視点領域Pと、視対象領域Qと、景観構成要素(遮蔽物)Rとにより構成される多角形ポリゴンの頂点列データを、仮想の3次元空間(コンピュータグラフィクス)上の座標値として入力するか、または外部記憶装置7によりこれらデータを取得して、メインメモリ6に格納し、視点領域P(単一または複数の多角形ポリゴン)と、視対象領域Q(単一または複数の多角形ポリゴン)と、景観構成要素(遮蔽物)R(単一または複数の多角形ポリゴン)を設定する。次に、第2のステップS2で、領域を細分化するための単位格子(単位格子メッシュ)の大きさを設定する。つまり、解析精度を規定する単位格子の大きさ(1辺の長さ)(図6参照)を、入力装置3、外部記憶装置7またはメインメモリ(制御プログラム)6内で設定する。なお、この第2のステップS2は、第1のステップS1の前に行うようにしてもよい。次に、第3のステップS3で、視点領域Pと視対象領域Qとの多角形ポリゴン毎に単位格子の中心点の頂点列データを生成する。すなわち、視点領域Pと視対象領域Qを示す多角形ポリゴンのそれぞれについて、第2のステップS2で設定された単位格子の大きさ(一辺g、面積dA=g×g)で両領域P、Q内の多角形ポリゴンの内部を分割し、各単位格子の中心点の頂点列データを生成する。第1のステップS1から第3のステップS3までに対応する演算処理フローの詳細は、段落番号(0064)〜(0070)において詳述する。
【0060】
次に、第4のステップS4で、視点領域P内と視対象領域Q内の各頂点列データ間の相互照射レイ(線分)を設定する。すなわち、視点領域P内と視対象領域Q内に生成した単位格子の中心点同士を結ぶ両領域P、Q間の相互照射レイ(線分)を設定する。次に、第5のステップS5で、対象領域の大きさ、解析の精度、CPUの処理能力等を勘案して、距離または「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさによる打ち切りの閾値を設定して、演算処理の打ち切り判定を行う。すなわち、距離が一定範囲を超えて極めて長い、または「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさが一定範囲を超えて極めて小さいと判断される場合、演算処理を打ち切る処理である。次に、第6のステップS6で、相互照射レイ(線分)の距離、レイベクトルと多角形ポリゴンの法線ベクトルのなす角を算定する。すなわち、視点領域Pと視対象領域Q内に生成した頂点列データ間を結ぶ相互照射レイを抽出し、点と点との距離及び相互照射レイと面法線のなす角を算定する。次に、第7のステップS7では、相互照射レイと景観構成要素Rとの交差判定と交点の算定を行う。つまり、相互照射レイが景観構成要素Rの領域と交差するか否か交差判定を行い、交差しない場合は可視、交差する場合は不可視として場合分けを行う。次に、第8のステップS8では、視点領域P内の各点における標準見え面積/視点領域Q内の各点における標準見られ面積と視点領域P内の各点における標準隠れ面積/視点領域Q内の各点における標準隠され面積とを算定し、その値を微小な単位格子の中心点毎に積分する。また、第8のステップS8で得られた結果を、単位格子の頂点列データの座標値と併せて、点毎の標準見え面積、標準見られ面積、標準隠れ面積または標準隠され面積の値として、表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力することもできるようになっている(後述する第9のステップS9、第8のステップS8の手順を踏まずに第11のステップS11にあたる算定結果の出力を行うことが可能である。)。
【0061】
なお、第8のステップS8は、第6のステップS6の処理後でなければ処理できないものの、第7のステップS7は、第6のステップS6あるいは第8のステップS8と独立に処理することもできる。第8のステップS8では、可視、不可視の場合分けをして積分しているが、遮蔽物がないことが予め判明している場合、第7のステップS7を省略することができ、第8のステップS8で可視、不可視の場合分けを行う必要がなくなる。
【0062】
次に、第9のステップS9では、視点領域P内の各点における標準見え面積率と視点領域Q内の各点における標準見られ面積率と視点領域P内の各点における標準隠れ面積率と視点領域Q内の各点における標準隠され面積率とのうち少なくともいずれか1つを算定する。すなわち、ステップS8で算定された「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさをある一定の値を、基準に対する割合として、比率尺度(面積率)へ換算する処理である。これら面積率で算定された結果は、単位格子の頂点列データの座標値と併せて、点毎の輝度値や階級区分された色調等として表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力することが可能である(後述の第11のステップS11の説明を参照)。このように、算定される標準見え面積と標準見られ面積とのうち少なくともいずれか一方、または、標準隠れ面積と標準隠され面積とのうち少なくともいずれか一方の値を所定の値を基準とする比率の尺度値に換算し、処理結果の出力に反映させるようにしているが、モニター画面に出力する場合には、比率尺度に換算する必要が生じる。比率の取り方は様々であり、全体面積や視界の面積などが挙げられる。評価に尺度値を用いることができ、多様な視点からの景観の評価をより精密に行うことができる。
【0063】
次に、第10のステップS10で、評価値を算定する。評価値の算定は、第8および第9のステップS8、S9で得られた視覚的特性値の結果に基づいて、入力装置4または外部記憶装置7により入力または取得される外部からの情報、すなわち、交通量調査の結果、視線入射方向の情報、景観評価実験の結果等と組み合わせて評価値が算定される。次に、第11のステップS11で、第10のステップS10で得られた評価値が表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力される。このとき、第8、第9のステップS8、S9で算定された視覚特性の結果も出力されるようになっており、仮想の3次元空間において、解析装置2により得られた視覚的特性値の結果に基づき、可視性、被可視性および隠蔽性に関する視覚的な影響の度合いを他の情報と関連付けて(例えば、景観的な重要度評価など)解析することができる。
【0064】
次に、上記実施例に係る景観解析方法のうち、図2のステップS2からステップS3までの演算処理の詳細について、図7に基づいて説明する。図2のステップS2からステップ3までの処理は、多角形ポリゴンの頂点座標と単位格子の大きさ(1辺の長さg)の設定から各単位格子の中心点の座標値の頂点列データを生成する過程の処理である。まず、図2のステップS1で設定された視点領域及び視対象領域を示す多角形ポリゴンに関して、図7のステップ101(S101)に示すように、多角形ポリゴンを形成する任意の3点の座標値より多角形ポリゴンを内包する平面の方程式(平面L:ax+by+cz+d=0の係数)を算定する。なお、図2のステップS2より単位格子の格子の1辺の長さgが設定されている。このとき、平面Lの方程式の係数a,b,cは、平面の法線ベクトルはN(a,b,c)となり、ベクトルの外積を用いて算定することができる(ただし、面の表向きを設定するため、右手系か左手系のいずれかに統一する必要がある。)。なお、多角形ポリゴンが複数設定されている場合は各々算定するが、説明を容易にするため、視点領域および視対象領域の各々に単一の多角形ポリゴンが設定されているものと仮定して説明する。次に、ステップ102(S102)でa,b,cの各成分の大きさ(±符号なし)を比較して最大値を投影する平面を(XY軸、YZ軸またはXZ軸で形成される平面)選定する。このとき、いずれの平面に投影しても算定できるが、法線ベクトルのX,Y,Z成分の大きさ(±符号なし)が最大値となる成分を除いた成分で形成される平面に投影する(例えば、aが最大値の場合、X成分を除くYZ軸で形成されるY−Z平面とする。)。これは成分の大きな軸を含めると投影後の領域を分割しにくくなるためである。
【0065】
次に、ステップ103(S103)で、多角形ポリゴンのエッジを構成する頂点間のベクトルを求める。これは、多角形ポリゴンを構成するエッジの線分ベクトルを交差判別の際に使用するため、予め算定しておくものである。次に、ステップ104(S104)で、スキャンライン(Y=p)のpの値を−無限大から+無限大まで変化させて交差判別処理を行うことは無駄が多いので、予め各頂点のY座標に関して最大値と最小値を求める。このように予め範囲を絞っておくことで処理速度を上げることができる。次に、ステップ105(S105)でスキャンラインによる交差判別処理を行う。続いて、ステップ106(S106)で単位格子の中心点の頂点列データ(座標値)をX−Y平面に投影された多角形ポリゴン領域内に生成する。
【0066】
投影する平面がX,Y軸で形成されるX−Y平面であった場合を具体例として説明する。このとき、スキャンラインはY=pまたはX=p(pは定数であるが、判別式として値が変化する。)のいずれかで設定することが判別式として考えられるが、ここではY=pをスキャンラインとした場合を例に説明する。なお、多角形ポリゴンの座標値データをX−Y平面に投影したときの座標値はZ成分の座標値を削除することで2次元のX−Y平面に投影される。図8はX−Y平面に投影された多角形ポリゴンTについて、Y=p(pは変数)のスキャンラインによる公差判別処理を行い、単位格子の中心点の頂点列データを生成する例を示したものである。予め求めた多角形ポリゴンの頂点に関するY座標の最大値がymaxと最小値がyminであるとき、単位格子の格子の1辺の長さがgであることから、図8に示すように、Y=pのスキャンラインは、Y=ymin+(g/2)に始まり、スキャンラインと多角形ポリゴンを形成する線分との交点のX座標の最小値xminを求め、X=xmin+(g/2)より順次+g分増分させて、X=xmaxを越えない範囲まで、順次、中心点の位置座標(X,Y)を生成していく。Y=ymin+(g/2)に関して頂点列データを生成した後は、Yの値を+g分増分させて交差判別処理及び頂点列データの生成処理を同様に行う。スキャンラインの式は、Y=ymin+(g/2)+n×g(nは自然数)と表せるが、境界領域において、微小な単位格子が必ずしも誤差なく収まるとは限らないことから、Y=ymax−(g/4)を閾値として、これを越える場合は処理を行わないという条件設定を一例として示す。その他境界部の誤差を小さくするために、単位格子の大きさを境界部のみ小さく設定する方法も考えられるが、その後の演算処理が場合分け等が必要になり煩雑となる。
【0067】
交差判別処理と頂点列データの生成に関して、より詳細な説明を加える。多角形ポリゴンは、図8に示すように、複数の線分a0−a1、a1−a2、・・・によって構成されている。これら各線分とスキャンラインとの交差判定の判別式は、図9に示すように、線分の端点an(x1,y1)、an+1(x2,y2)とすると、線分の傾きm=(x2−x1)/(y2−y1)よりx=m×y+n、n=x1−m×y1と表される。また、スキャンラインy=p(ymin≦p≦ymax)とし、判別式D=(p−y1)/(y2−y1)と定義すると、0≦D≦1のとき交点が存在する。このとき、交点のx座標を求めるには、線分を含む直線の方程式にy=pを代入すればよく、x=my+n=D×(x2−x1)+x1で求められる。
【0068】
多角形ポリゴンが、図10に示すように、凸型の多角形である場合は、スキャンラインと多角形を構成する線分の交点は2点しか存在しない(線分の傾きmが0の場合を除く。)。このとき、単位格子の1辺の長さはgであるから、単位格子の中心点は、スキャンライン上の点(xmin+(g/2),p)を起点にx座標を+gだけ増やしてゆくことで、頂点列データ(x,y成分)を生成することができる。スキャンラインが多角形ポリゴンの線分と交差する点の範囲内でx座標は、xmin+(g/2)+n×g(nは自然数)と生成される。交点xmaxより小さい値の範囲で、境界領域内に微小領域が隙間なく収まるとは限らないため、xmax−(g/4)より大きな値となるときは、点データを生成しない条件設定にしておく。誤差を少なくするための処理として、境界付近をさらに小さい領域に分割する方法等の処理を行ってもよい。
【0069】
さらに、図11に示すように、多角形ポリゴンを構成する線分の傾きが0の場合は、判別式Dの分母が0となり、エラーが発生する。この場合は、頂点列データを生成しないこととする。境界部の誤差を減らす処理として、境界部の微小領域をさらに小さい領域に分割する方法等の処理を行ってもよい。
【0070】
多角形ポリゴンが凹型の多角形である場合、図8に示すように、スキャンラインY=pと線分との交点が2つ以上となっている。交点のx座標を昇順にソートし(x1<x2<x3<x4)、交点のx座標の最小値を1番目として数えたときに、奇数番目の交点から偶数番目の交点の間は多角形ポリゴンの内側にラインがあり、偶数番目の交点から奇数番目の交点の間は多角形ポリゴンの外側にあることから、これによって頂点列データの生成を行うか否かの場合分けを行う。また、図12に示すように、穴のあいた穴あき多角形ポリゴンにおいても、穴を形成する多角形ポリゴンの座標が判明していれば、その線分とスキャンラインとの交点を求め、同様に交点を昇順にソートすれば、偶数番目の交点から奇数番目の交点の間は多角形ポリゴンには内包されない穴として、頂点列データを生成しない扱いにすることで処理できるようになっている。XY平面上の頂点列データの(x,y)座標が確定した後、多角形ポリゴンを内包する平面の方程式に代入し、z座標を算定することで、頂点列データ(x,y,z)が生成できる。
【0071】
上述のように、本実施例に係る景観解析方法では、入力装置3または外部記憶装置7により視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素(遮蔽物)Rとにより構成される多角形ポリゴンの頂点列データが、仮想の3次元空間(コンピュータグラフィクス)上の座標値として入力または取得され、かつ、単位格子の大きさ(1辺の長さ)を予め設定しさえすれば、視覚的特性を容易にかつ迅速に、しかも正確に得ることができるので、可視性、被可視性および遮蔽性に関する視覚的な影響の度合いを解析することができる。これにより景観計画を策定する際、眺望点や遊歩道の設置位置の検討に活用することができる。本実施例に係る景観解析方法は、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能なコンピュータプログラムとして作成される。また、このコンピュータプログラムは、コンピュータによる読み取りが可能な媒体に格納される。
【0072】
なお、従来のものでは、演算処理の効率化を図るため視点周囲の領域全体をメッシュ格子で分割するのに対し、本発明では、解析の精度を規定するため、視点または視対象領域を設定し、これら視点領域と視対象領域との内部を、設定された単位格子で分割するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施例に係る解析装置のシステム構成図である。(実施例1)
【図2】図1の解析装置により景観解析を行う処理のフローチャートである。
【図3】視点領域Pの一例を示す説明図である。
【図4】視対象領域Qの一例を示す説明図である。
【図5】景観構成要素(遮蔽物)Rの一例を示す説明図である。
【図6】解析精度を規定する単位格子の大きさを示す説明図である。
【図7】図2のステップS1からステップS3までに対応する演算処理のステップを示すフローチャートである。
【図8】凹型多角形ポリゴンの場合のスキャンラインと線分との交点を示すグラフである。
【図9】図8の多角形ポリゴンについて、各線分とスキャンラインとの交差判定の判別式を導くグラフである。
【図10】凸型多角形ポリゴンの場合のスキャンラインと線分との交点を示すグラフである。
【図11】多角形ポリゴンを構成する線分の傾きが0の場合を示すグラフである。
【図12】穴あき多角形ポリゴンの場合のスキャンラインと線分との交点を示すグラフである。
【図13】多角形ポリゴンを形成する視点領域Pと視対象領域Q内の微小な単位格子の中心点同士を結ぶ相互照射レイと面の法線とのなす角θを示す説明図である。
【図14】相互照射レイが景観構成要素Rの領域と交差する場合、不可視として場合分けを行う際の説明図である。
【図15】単位格子の中心点付近の拡大図である。
【図16】視点位置から視対象の視線方向の向きによって見られる景観を示す説明図である。
【図17】全体の処理の前半を示すフローチャートである。
【図18】全体の処理の後半を示すフローチャートである。
【図19】一般的な景観の評価構造を示す概念図である。
【図20】標準見え面積を示す説明図である。
【符号の説明】
【0074】
P 視点領域(視点領域データ)
Q 視対象領域(視対象データ)
3 入力装置(入力手段)
4A 表示装置(出力手段)
4B プリンタ(出力手段)
5 中央演算処理装置
6 メインメモリ(記憶手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的特性に基づき、3次元空間内における視点と視対象の位置関係により可視・被可視性および隠蔽性の度合いを、定量的に評価する景観解析方法とこの方法を実行するコンピュータプログラムおよびこのプログラムを格納した媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、景観の評価構造は、例えば、図19に示すような概念として捉えられる。景観を工学的に評価する場合、1つの評価軸として、景観(対象物)とそれを知覚する主体(人間)との知覚的な関係性を明らかにする必要がある。つまり、景観を視覚的に評価する場合には、主たる対象物と見る側の位置関係及び知覚的特性を踏まえた「景観空間」があり、その解析が求められる。一方で、知覚する人間の側において、その景観をどう感じるかという心理的な「評価空間」が存在する。前者に属するものとしては、対象物との距離による見え方の違い、人間の移動に伴う景観の連続性(シークエンス)等の視覚的構造に関するものが挙げられ、本発明は前者に関連するものである。
【0003】
従来、景観、特に視点からの眺望に関する視覚的構造については、これまで様々な指標や要因が提案されている(非特許文献1参照)。例えば、(1)可視・不可視、(2)距離、(3)視線入射角、(4)不可視深度、(5)俯角、(6)仰角、(7)奥行、(8)日照による陰陽度の8要素を掲げ、眺望の視覚的構造を説明したものが知られている(非特許文献1参照)。上記要素のうち、本願発明と関連する指標として、(1)可視・不可視、(2)距離、(3)視点、(4)視線入射角、(5)見られ頻度、(6)標準見え面積SVE(図20参照)が挙げられる。このうち特に、標準見え面積SVEは、景観評価指標の中でも人間の視覚的特性との関係性が高い指標の1つとして知られている。標準見え面積SVEは、図20に示すように、注目している視対象OBJの見えの大きさを定量する指標であり、視点VPから1m先に立てた標準視覚画面SSV上の実面積に等しい。視点VPが視対象OBJに近づくほど視対象OBJは大きく見え、視覚的な影響は大きくなり、視対象OBJから遠ざかるにつれ視対象OBJは小さく見え、視覚的な影響は小さくなる。このように「標準見え面積」は視覚的な影響の度合いを示す指標である。
【0004】
対象物(視対象)の大きさは、一般にその長さ、幅、高さ、面積等の物理量で表される。人間の視覚的特性によりその対象物OBJの見えの大きさは、光を介して空間的な位置関係によって、近ければ近いほど大きく見え、遠ければ遠いほど小さく見える。また、対象物の表面と視線のなす角によっても見えの面積が異なることが知られている。このような視覚的特性を踏まえた景観評価指標の一つとして、視対象の「標準見え面積」があるが、一般的には、ある視点から撮った写真画像などの2次元フレーム内で解析されることが多い。この場合、写真画像のピクセル数をカウントする方法(非特許文献2参照)や仰角・俯角といった他の指標を代用する方法が挙げられる。
ところで「標準見え面積」について説明すると、「標準見え面積」とは、注目している視対象の見えの大きさを定量する指標である。標準見え面積SVE(図20参照)は、注目している視対象OBJの見えの大きさを定量する指標であり、視点VPから1m先に立てた標準視覚画面SSV上の実面積に等しい。物体の見え方の特徴として、見え面積は距離dの二乗に反比例し、視線と面の法線のなす角θに比例して見え面積が減少する性質(光の性質としてランバートの余弦則(ランベルトの法則ともいう)が知られており(非特許文献3参照)、この法則に適っている)により、視対象OBJの表面積がaのとき、標準見え面積A=a×cosθ/d2 の算定式で導かれる。
【0005】
さらに、従来、仮想現実の景観をCG(コンピュータグラフィック)で忠実に再現する描画性能の向上や描画の欠落防止を目的とした表示装置及び表示方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。しかし、これら従来の表示装置及び表示方法は、地理情報をメッシュに切って関係のない情報をカットすることで描画処理を高速化して表示する技術であり、3次元CGを用いて景観を評価するための技術ではない。また、3次元空間データの送信表示装置が提案されている(特許文献3参照)。しかし、これはデータ量が多くなることで送信能力が低下することを防ぐ技術であり、3次元CGを用いて景観を評価するための技術ではない。
【0006】
【非特許文献1】樋口忠彦著「景観の構造」技報堂出版株式会社、1975年、p.28〜30
【非特許文献2】栗田英治・木村吉寿・松森堅治・長利洋「棚田景観の評価構造と関係する物理的評価指標」農村計画学会論文集第6集、2004年、p.86〜87
【非特許文献3】JamesD.Foley他共著「コンピュータグラフィックス理論と実践」オーム社、2001年、p.721〜722
【特許文献1】特開2003−208633
【特許文献2】特開2002−279449
【特許文献3】特開2003−115058
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記記載の写真画像等の2次元フレームを用いた解析方法では、視点(見る側の位置)及び視線方向(視点から視対象の中心への向き)が限定されることが多く、視点や視線方向が変化する場合には、解析をやり直す必要が生じる。このため、視点や視線方向毎に変化する対象物の「標準見え面積」の変化の程度を測るには、様々なパターンの2次元フレームを設定して解析しなければならなかった(非特許文献2参照)。視点毎に逐一計測して写真画像のピクセル数をカウントする解析方法では、膨大な手間と時間を要するという不都合があった。また、仮想の遮蔽物(例えば、視対象である水路が雑草によって見えなくなる状況を想定すると、雑草が仮想の遮蔽物に相当する。)を設ける等の条件を変化させてシミュレーションを行う際は、さらに複雑な処理を必要とすると考えられる。なお、上記特許文献1ないし3に示された技術は、CG上で景観を忠実に再現するための技術、または高速に動画を描画するために不必要な情報を除外する技術、またはデータ量が多くなることで送信能力が低下することを防ぐ技術であり、コンピュータを用いて画面上に3次元空間を表示する意味での関連性はあるが、本発明のように景観を解析する目的としての技術とは異なる技術である。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、容易かつ迅速に景観の評価を行うことができる景観解析方法とこの方法を実行するコンピュータプログラムおよびこのプログラムを格納した媒体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る景観解析方法は、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0010】
本発明の請求項1に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、景観の評価に必要な、多様な視点からの景観の解析を容易かつ迅速に行うことができる。
【0011】
請求項2に係る景観解析方法は、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視点領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視対象の位置に対応した視点からの見られの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0012】
請求項2に係る景観解析方法では、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視点領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視対象の位置に対応した視点からの見られの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、視対象側からの被可視性の度合いを定量的に評価することができるので、評価の精度を向上させることができる。
【0013】
請求項3に係る景観解析方法は、請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見えと隠れの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0014】
請求項3に係る景観解析方法では、請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見えと隠れの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、視点側からの可視性の度合いに加え、景観構成要素の遮蔽性の度合いを定量的に評価することができる。このため、景観遮蔽度の指標化を果たすことができ、景観形成機能に及ぼす影響を確実に評価することができる。
【0015】
請求項4に係る景観解析方法は、 請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見られと隠されの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたものである。
【0016】
請求項4に係る景観解析方法では、 請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見られと隠されの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたことにより、視点側からの可視性の度合いに加え、景観構成要素の遮蔽性の度合いを定量的に評価することができ、見られの大きさの度合いおよび隠されの大きさの度合いを評価することができる。
【0017】
請求項5に係る景観解析方法は、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0018】
請求項5に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたことにより、景観の評価に必要な、多様な視点からの標準見え面積を容易に算出することができ、視点側からの可視性の度合いを定量的に評価することができ、景観の解析を容易かつ迅速に行うことができる。
【0019】
請求項6に係る景観解析方法は、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域からの見られの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0020】
請求項6に係る景観解析方法では、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域からの見られの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたので、視対象側からの被可視性の度合いを定量的に評価することができ、見られの大きさの度合いを評価することができる。
【0021】
請求項7に係る景観解析方法は、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えと隠れの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0022】
請求項7に係る景観解析方法では、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積とを算定する第5のステップと、 第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えと隠れの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたことにより、視点側からの可視性の度合いに加え、景観構成要素の遮蔽性の度合いを定量的に評価することができ、見えの大きさの度合いおよび隠れの大きさの度合いを評価することができる。
【0023】
請求項8に係る景観解析方法は、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域の見られと隠されの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたものである。
【0024】
請求項8に係る景観解析方法では、請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域の見られと隠されの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたことにより、視対象側からの被可視性の度合いを定量的に評価することができ、見られの大きさの度合いおよび隠されの大きさの度合いを評価することができる。
【0025】
請求項9に係る景観解析方法は、第7のステップで、第6のステップで集計された面積を比率に換算して出力するようにしたものである。
【0026】
請求項9に係る景観解析方法では、第7のステップで、第6のステップで集計された面積を比率に換算して出力するようにしたことにより、比率の取り方は様々であるもの、全体面積や視界の面積などを比率尺度に換算すると、評価に尺度値を用いることができ、多様な視点からの景観の評価をより精密に行うことができる。
【0027】
請求項10に係る景観解析方法は、視点領域と視対象領域を示すデータおよび解析の精度を示す単位の設定について、小さい単位で両領域を分割することで計算負荷が増大する第1の場合、両領域のうち少なくともいずれか一方の領域の範囲が大きいために計算負荷が増大する第2の場合、両領域間を結ぶ相互照射レイの長さが長くなり算定される値が小さくなる第3の場合、または相互照射レイの方向ベクトルと分割された単位の面の法線ベクトルが垂直または垂直に近い関係にあることから算定される値が小さくなる第4の場合に、予め所定の数値を設定して算定処理を打ち切るか、算定結果を端数処理するか、または設定の変更を促す処理をするかして計算負荷の軽減を図るようにしたものである。
【0028】
請求項10に係る景観解析方法では、視点領域と視対象領域を示すデータおよび解析の精度を示す単位の設定について、小さい単位で両領域を分割することで計算負荷が増大する第1の場合、両領域のうち少なくともいずれか一方の領域の範囲が大きいために計算負荷が増大する第2の場合、両領域間を結ぶ相互照射レイの長さが長くなり算定される値が小さくなる第3の場合、または相互照射レイの方向ベクトルと分割された単位の面の法線ベクトルが垂直または垂直に近い関係にあることから算定される値が小さくなる第4の場合に、予め所定の数値を設定して算定処理を打ち切るか、算定結果を端数処理するか、または設定の変更を促す処理をするかして計算負荷の軽減を図るようにしたことにより、計算負荷を軽減させることができ、作業の効率化および装置の小型化を図ることができる。
【0029】
請求項11に係る景観解析方法は、見え面積、見られ面積、隠れ面積または隠され面積が算定された後、算定結果と他の調査データを重ね合わせて加工修正し、処理結果の出力に反映させるようにしたものである。
【0030】
請求項11に係る景観解析方法では、見え面積、見られ面積、隠れ面積または隠され面積が算定された後、算定結果と他の調査データを重ね合わせて加工修正し、処理結果の出力に反映させるようにしたことにより、他のデータと重ね合わせることができるので、評価の制度を向上させることができる。
【0031】
請求項12に係る景観解析方法を実行するコンピュータプログラムは、請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能にしたものである。
【0032】
請求項12に係る景観解析方法を実行するコンピュータプログラムでは、請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能にしたことにより、プログラムがコンピュータに読み取られると、コンピュータを通じて景観の解析を行うことができる。
【0033】
請求項13に係る媒体は、景観解析方法を実行するコンピュータプログラムを格納した媒体は、請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りが可能にしたものである。
【0034】
請求項13に係る媒体では、請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りが可能にしたことにより、媒体に格納されたプログラムがコンピュータに読み取られると、コンピュータを通じて景観の解析を行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析するようにしたので、仮想の3次元空間において多様な視点と視対象の位置とに基づいて、可視性および被可視性に関する視覚的な影響の度合いを容易かつ迅速に解析することができる。このため、景観計画を策定する際、眺望点や遊歩道の設置位置の検討に活用することができる。また、看板や建造物など景観遮蔽物を設置する際の景観影響評価にも適用できる。
【0036】
また、請求項5に係る景観解析方法では、仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析するようにしたので、景観の評価に必要な、多様な視点からの標準見え面積を容易に算出することができ、視点側からの可視性の度合いを定量的に評価することができ、景観の解析を容易かつ迅速に行うことができる。
【0037】
請求項12に係る景観解析方法を実行するコンピュータプログラムは、請求項1ないし10のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りを可能にしたので、コンピュータにプログラムを読み込ませコンピュータにより景観の解析を行うことができる。
【0038】
請求項13に係る媒体は、請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りを可能にしたので、媒体からコンピュータにプログラムを読み込ませコンピュータにより景観の解析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
可視性・被可視性および隠蔽性に関する視覚的な影響の度合いを容易かつ迅速に解析するという目的を、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域と景観を構成する要素データとが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を仮想の3次元空間に表示するかまたは印刷するかのうち少なくともいずれか1つの動作を行う出力手段とを備え、視点領域と視対象領域と景観構成要素をそれぞれ平面上に図形化された2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するとともに、座標データとして図形化された形の精度を規定する単位を設定し、設定された単位に基づいて各領域と景観構成要素との図形化された形を分割し、分割単位毎に基準となる点に基づいて座標データを生成し、各領域の点同士を結ぶ線分を設定し、これら線分のうち両領域の座標データ間を結ぶ線分を抽出し、両領域の点間の距離と、線分と図形化された形とにより得られる角度とに基づき、視点と視対象との間で、視点から所定の距離離れて設定される標準視覚画面上に写し出される標準見え面積、視対象が視点領域より視対象側の標準視覚画面上に写し出される標準見られ面積、景観構成要素により遮蔽されることにより遮蔽物が視点側の標準視覚画面上に写し出される標準隠れ面積及び景観構成要素(遮蔽物)が視対象側の標準視覚画面上に写し出される標準隠され面積を導き、さらに得られたデータを比率の尺度値に換算または他のデータとの組み合わせにより加工修正して、仮想の3次元空間における視点と視対象の位置関係に応じた視覚的影響に関する指標値を表示して景観を解析するようにして実現した。
【実施例1】
【0040】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は、本実施例に係る景観解析方法に用いられる解析装置のシステム構成図で、図2は図1の解析装置により実行される処理のフローチャートである。解析装置2は、図1に示すように、キーボードやマウス等の入力装置3と、CRT画面や液晶画面等の画面に解析結果が表示される表示装置(出力手段)4Aと、解析結果が印刷されるプリンタ(出力手段)4Bと、これら入力装置3と表示装置4Aとプリンタ4Aとを制御して処理を実行する中央演算処理装置(CPU)5と、この中央演算処理装置5と接続され制御プログラムが書き込まれたメインメモリ6と、中央演算処理装置5と接続され解析結果を記憶する外部記憶装置(外部記憶手段)7とを備えている。
【0041】
本実施例に係る景観解析方法では、中央演算処理装置5は、後述する視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rとの各データを処理して表示装置4Aで仮想の3次元空間を表示するようになっている。景観の解析には、まず、視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素Rをそれぞれ多角形ポリゴンに図形化し、精度を規定する単位格子を設定し、設定された単位格子に基づいて各領域P、Qと景観構成要素Rとの多角形ポリゴンを分割するようになっている。次に、分割単位毎に中心点に基づいて頂点列データを生成し、各領域間の相互照射レイを設定し、両領域を結ぶ相互照射レイを抽出し、多角形ポリゴンの両領域の点間の距離と、相互照射レイと多角形ポリゴンとにより得られる角度とに基づき、見え面積を導き、景観構成要素のデータから隠れ面積を導き、仮想の3次元空間に視点と視対象との位置関係に応じた景観を表示して解析するようにしている。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、上記処理を行うようになっている。上記処理に関して、各々の内容を以下に説明する。
【0042】
精度を規定する単位格子について説明する。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて解析精度を規定する単位格子(単位格子メッシュ)の大きさ(1辺の長さ)(図6参照)を、入力装置3、外部記憶装置7またはメインメモリ6内で設定するようになっている。図6は、領域を分割する際の単位格子とその中心点(基準点)を示しており、単位格子の大きさを正方形の1辺の長さgで規定している。図6に示す単位格子の大きさは、正方形の格子の一辺の長さgで規定され、単位格子の位置は単位格子の重心である中心点の位置座標を代表値として与える。このとき、単位格子の面積dAはdA=g×gとなる。
【0043】
中央演算処理装置5は、入力装置3または外部記憶装置7により視点領域P(図3参照)と、視対象領域Q(図4参照)と、景観構成要素領域R(図5参照)とにより構成される多角形ポリゴン(図形)の頂点列データが仮想の3次元空間(コンピュータグラフィクス)上の座標値として入力または取得されるとメインメモリ6に格納するようになっている。すなわち、入力装置3または外部記憶装置7により上記視点領域Pと上記視対象領域Qと上記景観構成要素(遮蔽物)Rとが入力されると、中央演算処理装置5は、これら領域P、Qおよび景観構成要素Rとをそれぞれ平面上の2次元的図形または空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するようになっている。単位格子メッシュの設定は、解析の精度を規定するための単位として微小領域を設定するものであって、ここでいう微小領域とは、例えば、1辺の長さg=10cmの正方形のように設定される。
【0044】
視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素領域Rについて説明する。視点領域Pとは、仮想の3次元空間において人が見る視点位置の範囲を多角形ポリゴンの領域で示したものである。すなわち、入力装置3または外部記憶装置7により上記視点領域Pが入力されると、中央演算処理装置5は、この領域Pを平面上の2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するようになっている。例えば、図3に示すように、歩道を示す符号10上を人が歩くときの視点すなわち目の位置の可動範囲を多角形ポリゴンで示した領域11(破線枠)が視点領域である。
【0045】
視対象領域Qとは、仮想の3次元空間内において人が見る対象物の表面形状の範囲を多角形ポリゴンの領域で示したものである。図4に示すものは、水路脇の歩行者が水路を眺めたときの水路景観の事例(透視投影図)であり、解析対象となる視対象を水路内の水面に設定するとき、その範囲を多角形ポリゴンで示した領域12(破線枠)が視対象領域である。符号13は草が伸びていない状態の水路の法面を、符号14はコンクリート溝の溝壁を、符号15は水路の法面の法肩に接続する歩道をそれぞれ示す。視対象領域Qについても、視点領域Pと同様に、入力装置3または外部記憶装置7により上記視対象領域Qが入力されると、中央演算処理装置5は、この領域Qを平面上の2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定するようになっている。
【0046】
景観構成要素領域Rとは、仮想の3次元空間における物体のうち、解析対象として設定した視対象領域以外の物体(草、壁、建物等)を示した範囲を多角形ポリゴンの領域で示したものである。図4は、水路の法面を示す符号13、コンクリート溝壁を示す符号14および歩道を示す符号15を多角形ポリゴンの領域で示しているが、これらは必要に応じて、それぞれ景観構成要素領域Rとなりうる。また、これらはそれぞれ必要に応じて景観構成要素領域Rとするかどうか変更可能である。
【0047】
図5では、図4の景観構成要素領域Rに対して、草で覆われた状態の水路法面を示す符号16を多角形ポリゴンの領域として付け加えた事例である。図5は、図4と比較して水路の法面に草が20cm伸びた状態となるため、水面の見える範囲が草に隠れて減少していることがわかる。これは、視点と視対象との間に景観構成要素Rが存在することで、視対象領域Qの見え方が変化することを示している。このように、景観構成要素Rは視点領域Pと視対象領域Qとの位置関係によって遮蔽物となって、見え方に影響を与える存在となる。この景観構成要素Rについても、上記視点領域P、上記視対象領域Qと同様に、入力装置3または外部記憶装置7により上記景観構成要素Rが入力されると、中央演算処理装置5は、この景観構成要素Rを平面上の2次元的図形としてまたは空間上の3次元的立体像として認識される座標データとして設定する。
【0048】
各領域にかかる多角形ポリゴンを単位格子で分割する処理について説明する。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、入力または取得された視点領域Pと視対象領域Qを示す多角形ポリゴンが決定されると、この多角形ポリゴンを分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出するようになっている。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、入力または取得された視点領域Pと視対象領域Qを示す多角形ポリゴンについて、設定された単位格子メッシュの大きさで両領域P、Q内の多角形ポリゴンの内部を分割し、各単位格子の中心点の頂点列データを生成するようになっている。
【0049】
頂点列データの生成方法について説明する。図8ないし図12に示すように、多角形ポリゴンが形成される平面上に交差判定のためのスキャンラインを一定間隔で走らせることで生成できる。具体的には、(1)多角形ポリゴンをX−Y軸、Y−Z軸またはZ−X軸平面上に投影して(座標変換の行列式を算定する必要がある。)、スキャンラインを走らせ、単位格子メッシュの中心点の頂点列データを生成後、元の多角形ポリゴン内の位置座標へ変換する方法や(2)多角形ポリゴンが形成する平面の方程式より平面上の直線をスキャンラインとして単位格子メッシュの中心点の頂点列データを生成することが可能と考えられる。なお、これらの方法のうち、多角形ポリゴンをX−Y軸、Y−X軸またはZ−X軸平面に投影して、軸に平行な直線(X=n、Y=nまたはZ=n、なお、nは変数)をスキャンラインとして頂点列データを生成する方法については後述する。
【0050】
相互照射レイの設定について説明する。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、入力または取得された視点領域Pと視対象領域Q内に生成した単位格子メッシュの中心点同士を結ぶ両領域P、Q間の相互照射レイ(線分)を設定するようになっている。相互照射レイ(線分)とは、例えば、図13に示すように、視点領域P内の微小領域(単位区画、ここでは五角形の図形)を示す中心点piと視対象領域Q内の微小領域(単位区画、ここでは六角形の図形)を示す中心点qjとの間を結ぶ線分dをいう。中心点は、基準点となるもので、例えば重心を基準点として設定してもよい。多角形ポリゴン内に単位格子メッシュの中心点を示す頂点列データを生成する際、多角形ポリゴンを内包する平面の法線ベクトルと頂点列データの点の数を算定するようになっている。なお、この法線ベクトルと頂点列データの点の数は別途算定しておくようにしてもよい。
【0051】
「標準見え面積」について説明する。背景技術でも触れたように、注目している視対象の見えの大きさを定量する指標である。標準見え面積SVE(図20参照)は、注目している視対象OBJの見えの大きさを定量する指標であり、視点VPから1m先に立てた標準視覚画面SSV上の実面積に等しい。物体の見え方の特徴として、見え面積は距離dの二乗に反比例し、視線と面の法線のなす角θに比例して見え面積が減少する性質(光の性質としてランバートの余弦則(ランベルトの法則ともいう)が知られており(非特許文献3参照)、この法則に適っている)により、視対象OBJの表面積がaのとき、標準見え面積A=a×cosθ/d2 の算定式で導かれる(なお、光の屈折・反射・大気による減衰などの光の性質を考慮して実際の見え方は異なるが、ここでの解析例では光に関する特殊な影響を排除して空間的な位置関係からランバートの余弦則に基づき標準視覚画面上の見えの大きさを算定した。なお、光の屈折・反射による蜃気楼の発生、濃霧発生時の見え方など特殊な光の性質を考慮した場合にも、各法則に適った算定式を制御プログラムに追加して解析することは容易に可能である。)。ここでの用語として「標準見られ面積」は、「標準見え面積」とは逆に、視対象領域側から視点領域を見たときの標準見え面積を算定することで見られの大きさを定量する指標として定義する。視対象OBJ内の点から1mの距離に立てた標準視覚画面上の視点領域の実面積に相当する。
【0052】
抽出された相互照射レイ(線分)に基づいて行う処理について説明する。相互照射レイが抽出されると、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出するようになっている。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、視点領域Pと視対象領域Q内に生成した頂点列データ間を結ぶ相互照射レイを抽出し、点と点との距離及び相互照射レイと面法線のなす角を算定するようになっている。例えば、多角形ポリゴンを形成する視点領域Pと視対象領域Q内の微小な単位格子メッシュの中心点同士を結ぶ相互照射レイと面の法線とのなす角θをそれぞれについて図13に示している。
【0053】
中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、相互照射レイが景観構成要素Rの領域と交差するか否か交差判定を行い、交差しない場合は可視、交差する場合は不可視として場合分けを行うようになっている(図14参照)。なお、ここでは、不可視と判定された標準見え面積(標準見られ面積)を、可視と判定されたものと区別するため、標準隠れ面積(標準隠され面積)と定義する。標準視覚画面上の視点領域または視対象領域が景観構成要素に遮蔽されている部分の実面積に相当する。
【0054】
中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、各相互照射レイに関して、標準見え面積(標準見られ面積)または標準隠れ面積(標準隠され面積)を算定し、その値を微小な単位格子メッシュの中心点毎に視点領域P側、視対象領域Q側各々で集計するようになっている。視点領域P側における単位格子メッシュの中心点付近の拡大図を図15に示している。集計の結果は、各領域(P,Q)内の単位格子メッシュの頂点列データの座標値と併せて、点毎の標準見え面積(P側)、標準見られ面積(Q側)、標準隠れ面積(P側)または標準隠され面積(Q側)の値として出力され、表示装置4Aに表示したり、プリンタ4Bで印刷したり、外部記憶装置7に記憶するようになっている。
【0055】
導出された定量化されたデータに基づき、視対象の見えの大きさの度合いを導くことについて説明する。視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータが導出されると、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析できるようにする。中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、点毎の標準見え面積(標準見られ面積)、標準隠れ面積(標準隠され面積)のデータの基準値に対する割合として、比率尺度(面積率)へ換算する処理を行うことが可能となっている。
【0056】
面積率を算定するにあたって、基準(分母)となる値の取り方はいくつか考えられる。視点位置から視対象の視線方向の向きによって仰瞰景または俯瞰景(仰ぎ見る方向から見た景観または上から見下ろす方向から見た景観)として解析する場合には、面積率算定のための基準として、半径1mの半球の表面積2πとなり、全方向を対象とするならば、球全体の表面積は4πとなる(図16参照)。人の視線方向が限定される場合(俯角=約5°〜10°など)には、半径1mの球の表面積における対象範囲を算定し、基準値とすることもできる。その際、視界や視線の角度(方向)などによって重み付けすることも可能である(例えば、人の視界は60度の円錐(コーン)に近似していることや、視線は俯角10度付近に集中するといった経験則を適用することも、制御プログラムに追加することは容易に可能である。)。
【0057】
中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、視点領域Pと視対象領域Qの面積を基準として、これに対する標準見え面積(標準見られ面積)の割合を算定することができるようになっている。また、遮蔽性に関しても同様に基準値を定めることで「隠れ面積率(隠され面積率)」に換算されるようになっている。この換算された結果は、単位格子メッシュの頂点列データの座標軸と併せて、点毎の輝度値として出力され、表示装置4Aに表示したり、プリンタ4Bで印刷したり、外部記憶装置7に記憶するようになっている。さらに、中央演算処理装置5は、上述のようにして得られた視覚的特性値を、外部から得られた交通量調査の結果や、景観評価実験の結果と組み合わせて、評価値を算定し、評価値の結果が表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7に出力されるように制御プログラムに追加することは容易に可能である。なお、以上の結果を、表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力する際、頂点列データ間の輝度値(評価値)をグローシェーディングなどの線形補間方法を適用して出力することも制御プログラムに追加することで容易に可能である。
【0058】
計算負荷軽減について説明する。視点領域Pまたは視対象領域Qの設定範囲が大きくなったとき、または微小領域の大きさをきわめて小さく設定したときには、計算負荷が増大するおそれがある。このため、中央演算処理装置5は、制御プログラムに基づいて、視点領域Pまたは視対象領域Qの設定範囲が大きくなったとき、または微小領域の大きさをきわめて小さく設定したとき、計算負荷を軽減するための措置として、距離が一定範囲を超えて極めて長い、または「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさが一定範囲を超えて極めて小さいと判断される場合、処理時間の短縮等のため演算処理を打ち切る設定が可能である。打ち切りの閾値の設定は、対象領域の大きさ、解析の精度、CPUの処理能力等に応じて検討すべき事項である。
【0059】
次に、本発明に係る景観解析方法について、上記実施例に係る解析装置2の作用に基づいて説明する。本発明に係る景観解析方法は、図2に示すように、まず第1のステップS1で、入力装置3により視点領域Pと、視対象領域Qと、景観構成要素(遮蔽物)Rとにより構成される多角形ポリゴンの頂点列データを、仮想の3次元空間(コンピュータグラフィクス)上の座標値として入力するか、または外部記憶装置7によりこれらデータを取得して、メインメモリ6に格納し、視点領域P(単一または複数の多角形ポリゴン)と、視対象領域Q(単一または複数の多角形ポリゴン)と、景観構成要素(遮蔽物)R(単一または複数の多角形ポリゴン)を設定する。次に、第2のステップS2で、領域を細分化するための単位格子(単位格子メッシュ)の大きさを設定する。つまり、解析精度を規定する単位格子の大きさ(1辺の長さ)(図6参照)を、入力装置3、外部記憶装置7またはメインメモリ(制御プログラム)6内で設定する。なお、この第2のステップS2は、第1のステップS1の前に行うようにしてもよい。次に、第3のステップS3で、視点領域Pと視対象領域Qとの多角形ポリゴン毎に単位格子の中心点の頂点列データを生成する。すなわち、視点領域Pと視対象領域Qを示す多角形ポリゴンのそれぞれについて、第2のステップS2で設定された単位格子の大きさ(一辺g、面積dA=g×g)で両領域P、Q内の多角形ポリゴンの内部を分割し、各単位格子の中心点の頂点列データを生成する。第1のステップS1から第3のステップS3までに対応する演算処理フローの詳細は、段落番号(0064)〜(0070)において詳述する。
【0060】
次に、第4のステップS4で、視点領域P内と視対象領域Q内の各頂点列データ間の相互照射レイ(線分)を設定する。すなわち、視点領域P内と視対象領域Q内に生成した単位格子の中心点同士を結ぶ両領域P、Q間の相互照射レイ(線分)を設定する。次に、第5のステップS5で、対象領域の大きさ、解析の精度、CPUの処理能力等を勘案して、距離または「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさによる打ち切りの閾値を設定して、演算処理の打ち切り判定を行う。すなわち、距離が一定範囲を超えて極めて長い、または「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさが一定範囲を超えて極めて小さいと判断される場合、演算処理を打ち切る処理である。次に、第6のステップS6で、相互照射レイ(線分)の距離、レイベクトルと多角形ポリゴンの法線ベクトルのなす角を算定する。すなわち、視点領域Pと視対象領域Q内に生成した頂点列データ間を結ぶ相互照射レイを抽出し、点と点との距離及び相互照射レイと面法線のなす角を算定する。次に、第7のステップS7では、相互照射レイと景観構成要素Rとの交差判定と交点の算定を行う。つまり、相互照射レイが景観構成要素Rの領域と交差するか否か交差判定を行い、交差しない場合は可視、交差する場合は不可視として場合分けを行う。次に、第8のステップS8では、視点領域P内の各点における標準見え面積/視点領域Q内の各点における標準見られ面積と視点領域P内の各点における標準隠れ面積/視点領域Q内の各点における標準隠され面積とを算定し、その値を微小な単位格子の中心点毎に積分する。また、第8のステップS8で得られた結果を、単位格子の頂点列データの座標値と併せて、点毎の標準見え面積、標準見られ面積、標準隠れ面積または標準隠され面積の値として、表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力することもできるようになっている(後述する第9のステップS9、第8のステップS8の手順を踏まずに第11のステップS11にあたる算定結果の出力を行うことが可能である。)。
【0061】
なお、第8のステップS8は、第6のステップS6の処理後でなければ処理できないものの、第7のステップS7は、第6のステップS6あるいは第8のステップS8と独立に処理することもできる。第8のステップS8では、可視、不可視の場合分けをして積分しているが、遮蔽物がないことが予め判明している場合、第7のステップS7を省略することができ、第8のステップS8で可視、不可視の場合分けを行う必要がなくなる。
【0062】
次に、第9のステップS9では、視点領域P内の各点における標準見え面積率と視点領域Q内の各点における標準見られ面積率と視点領域P内の各点における標準隠れ面積率と視点領域Q内の各点における標準隠され面積率とのうち少なくともいずれか1つを算定する。すなわち、ステップS8で算定された「標準見え(見られ)面積」、「標準隠れ(隠され)面積」の大きさをある一定の値を、基準に対する割合として、比率尺度(面積率)へ換算する処理である。これら面積率で算定された結果は、単位格子の頂点列データの座標値と併せて、点毎の輝度値や階級区分された色調等として表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力することが可能である(後述の第11のステップS11の説明を参照)。このように、算定される標準見え面積と標準見られ面積とのうち少なくともいずれか一方、または、標準隠れ面積と標準隠され面積とのうち少なくともいずれか一方の値を所定の値を基準とする比率の尺度値に換算し、処理結果の出力に反映させるようにしているが、モニター画面に出力する場合には、比率尺度に換算する必要が生じる。比率の取り方は様々であり、全体面積や視界の面積などが挙げられる。評価に尺度値を用いることができ、多様な視点からの景観の評価をより精密に行うことができる。
【0063】
次に、第10のステップS10で、評価値を算定する。評価値の算定は、第8および第9のステップS8、S9で得られた視覚的特性値の結果に基づいて、入力装置4または外部記憶装置7により入力または取得される外部からの情報、すなわち、交通量調査の結果、視線入射方向の情報、景観評価実験の結果等と組み合わせて評価値が算定される。次に、第11のステップS11で、第10のステップS10で得られた評価値が表示装置4Aやプリンタ4B、外部記憶装置7へ出力される。このとき、第8、第9のステップS8、S9で算定された視覚特性の結果も出力されるようになっており、仮想の3次元空間において、解析装置2により得られた視覚的特性値の結果に基づき、可視性、被可視性および隠蔽性に関する視覚的な影響の度合いを他の情報と関連付けて(例えば、景観的な重要度評価など)解析することができる。
【0064】
次に、上記実施例に係る景観解析方法のうち、図2のステップS2からステップS3までの演算処理の詳細について、図7に基づいて説明する。図2のステップS2からステップ3までの処理は、多角形ポリゴンの頂点座標と単位格子の大きさ(1辺の長さg)の設定から各単位格子の中心点の座標値の頂点列データを生成する過程の処理である。まず、図2のステップS1で設定された視点領域及び視対象領域を示す多角形ポリゴンに関して、図7のステップ101(S101)に示すように、多角形ポリゴンを形成する任意の3点の座標値より多角形ポリゴンを内包する平面の方程式(平面L:ax+by+cz+d=0の係数)を算定する。なお、図2のステップS2より単位格子の格子の1辺の長さgが設定されている。このとき、平面Lの方程式の係数a,b,cは、平面の法線ベクトルはN(a,b,c)となり、ベクトルの外積を用いて算定することができる(ただし、面の表向きを設定するため、右手系か左手系のいずれかに統一する必要がある。)。なお、多角形ポリゴンが複数設定されている場合は各々算定するが、説明を容易にするため、視点領域および視対象領域の各々に単一の多角形ポリゴンが設定されているものと仮定して説明する。次に、ステップ102(S102)でa,b,cの各成分の大きさ(±符号なし)を比較して最大値を投影する平面を(XY軸、YZ軸またはXZ軸で形成される平面)選定する。このとき、いずれの平面に投影しても算定できるが、法線ベクトルのX,Y,Z成分の大きさ(±符号なし)が最大値となる成分を除いた成分で形成される平面に投影する(例えば、aが最大値の場合、X成分を除くYZ軸で形成されるY−Z平面とする。)。これは成分の大きな軸を含めると投影後の領域を分割しにくくなるためである。
【0065】
次に、ステップ103(S103)で、多角形ポリゴンのエッジを構成する頂点間のベクトルを求める。これは、多角形ポリゴンを構成するエッジの線分ベクトルを交差判別の際に使用するため、予め算定しておくものである。次に、ステップ104(S104)で、スキャンライン(Y=p)のpの値を−無限大から+無限大まで変化させて交差判別処理を行うことは無駄が多いので、予め各頂点のY座標に関して最大値と最小値を求める。このように予め範囲を絞っておくことで処理速度を上げることができる。次に、ステップ105(S105)でスキャンラインによる交差判別処理を行う。続いて、ステップ106(S106)で単位格子の中心点の頂点列データ(座標値)をX−Y平面に投影された多角形ポリゴン領域内に生成する。
【0066】
投影する平面がX,Y軸で形成されるX−Y平面であった場合を具体例として説明する。このとき、スキャンラインはY=pまたはX=p(pは定数であるが、判別式として値が変化する。)のいずれかで設定することが判別式として考えられるが、ここではY=pをスキャンラインとした場合を例に説明する。なお、多角形ポリゴンの座標値データをX−Y平面に投影したときの座標値はZ成分の座標値を削除することで2次元のX−Y平面に投影される。図8はX−Y平面に投影された多角形ポリゴンTについて、Y=p(pは変数)のスキャンラインによる公差判別処理を行い、単位格子の中心点の頂点列データを生成する例を示したものである。予め求めた多角形ポリゴンの頂点に関するY座標の最大値がymaxと最小値がyminであるとき、単位格子の格子の1辺の長さがgであることから、図8に示すように、Y=pのスキャンラインは、Y=ymin+(g/2)に始まり、スキャンラインと多角形ポリゴンを形成する線分との交点のX座標の最小値xminを求め、X=xmin+(g/2)より順次+g分増分させて、X=xmaxを越えない範囲まで、順次、中心点の位置座標(X,Y)を生成していく。Y=ymin+(g/2)に関して頂点列データを生成した後は、Yの値を+g分増分させて交差判別処理及び頂点列データの生成処理を同様に行う。スキャンラインの式は、Y=ymin+(g/2)+n×g(nは自然数)と表せるが、境界領域において、微小な単位格子が必ずしも誤差なく収まるとは限らないことから、Y=ymax−(g/4)を閾値として、これを越える場合は処理を行わないという条件設定を一例として示す。その他境界部の誤差を小さくするために、単位格子の大きさを境界部のみ小さく設定する方法も考えられるが、その後の演算処理が場合分け等が必要になり煩雑となる。
【0067】
交差判別処理と頂点列データの生成に関して、より詳細な説明を加える。多角形ポリゴンは、図8に示すように、複数の線分a0−a1、a1−a2、・・・によって構成されている。これら各線分とスキャンラインとの交差判定の判別式は、図9に示すように、線分の端点an(x1,y1)、an+1(x2,y2)とすると、線分の傾きm=(x2−x1)/(y2−y1)よりx=m×y+n、n=x1−m×y1と表される。また、スキャンラインy=p(ymin≦p≦ymax)とし、判別式D=(p−y1)/(y2−y1)と定義すると、0≦D≦1のとき交点が存在する。このとき、交点のx座標を求めるには、線分を含む直線の方程式にy=pを代入すればよく、x=my+n=D×(x2−x1)+x1で求められる。
【0068】
多角形ポリゴンが、図10に示すように、凸型の多角形である場合は、スキャンラインと多角形を構成する線分の交点は2点しか存在しない(線分の傾きmが0の場合を除く。)。このとき、単位格子の1辺の長さはgであるから、単位格子の中心点は、スキャンライン上の点(xmin+(g/2),p)を起点にx座標を+gだけ増やしてゆくことで、頂点列データ(x,y成分)を生成することができる。スキャンラインが多角形ポリゴンの線分と交差する点の範囲内でx座標は、xmin+(g/2)+n×g(nは自然数)と生成される。交点xmaxより小さい値の範囲で、境界領域内に微小領域が隙間なく収まるとは限らないため、xmax−(g/4)より大きな値となるときは、点データを生成しない条件設定にしておく。誤差を少なくするための処理として、境界付近をさらに小さい領域に分割する方法等の処理を行ってもよい。
【0069】
さらに、図11に示すように、多角形ポリゴンを構成する線分の傾きが0の場合は、判別式Dの分母が0となり、エラーが発生する。この場合は、頂点列データを生成しないこととする。境界部の誤差を減らす処理として、境界部の微小領域をさらに小さい領域に分割する方法等の処理を行ってもよい。
【0070】
多角形ポリゴンが凹型の多角形である場合、図8に示すように、スキャンラインY=pと線分との交点が2つ以上となっている。交点のx座標を昇順にソートし(x1<x2<x3<x4)、交点のx座標の最小値を1番目として数えたときに、奇数番目の交点から偶数番目の交点の間は多角形ポリゴンの内側にラインがあり、偶数番目の交点から奇数番目の交点の間は多角形ポリゴンの外側にあることから、これによって頂点列データの生成を行うか否かの場合分けを行う。また、図12に示すように、穴のあいた穴あき多角形ポリゴンにおいても、穴を形成する多角形ポリゴンの座標が判明していれば、その線分とスキャンラインとの交点を求め、同様に交点を昇順にソートすれば、偶数番目の交点から奇数番目の交点の間は多角形ポリゴンには内包されない穴として、頂点列データを生成しない扱いにすることで処理できるようになっている。XY平面上の頂点列データの(x,y)座標が確定した後、多角形ポリゴンを内包する平面の方程式に代入し、z座標を算定することで、頂点列データ(x,y,z)が生成できる。
【0071】
上述のように、本実施例に係る景観解析方法では、入力装置3または外部記憶装置7により視点領域Pと視対象領域Qと景観構成要素(遮蔽物)Rとにより構成される多角形ポリゴンの頂点列データが、仮想の3次元空間(コンピュータグラフィクス)上の座標値として入力または取得され、かつ、単位格子の大きさ(1辺の長さ)を予め設定しさえすれば、視覚的特性を容易にかつ迅速に、しかも正確に得ることができるので、可視性、被可視性および遮蔽性に関する視覚的な影響の度合いを解析することができる。これにより景観計画を策定する際、眺望点や遊歩道の設置位置の検討に活用することができる。本実施例に係る景観解析方法は、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能なコンピュータプログラムとして作成される。また、このコンピュータプログラムは、コンピュータによる読み取りが可能な媒体に格納される。
【0072】
なお、従来のものでは、演算処理の効率化を図るため視点周囲の領域全体をメッシュ格子で分割するのに対し、本発明では、解析の精度を規定するため、視点または視対象領域を設定し、これら視点領域と視対象領域との内部を、設定された単位格子で分割するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施例に係る解析装置のシステム構成図である。(実施例1)
【図2】図1の解析装置により景観解析を行う処理のフローチャートである。
【図3】視点領域Pの一例を示す説明図である。
【図4】視対象領域Qの一例を示す説明図である。
【図5】景観構成要素(遮蔽物)Rの一例を示す説明図である。
【図6】解析精度を規定する単位格子の大きさを示す説明図である。
【図7】図2のステップS1からステップS3までに対応する演算処理のステップを示すフローチャートである。
【図8】凹型多角形ポリゴンの場合のスキャンラインと線分との交点を示すグラフである。
【図9】図8の多角形ポリゴンについて、各線分とスキャンラインとの交差判定の判別式を導くグラフである。
【図10】凸型多角形ポリゴンの場合のスキャンラインと線分との交点を示すグラフである。
【図11】多角形ポリゴンを構成する線分の傾きが0の場合を示すグラフである。
【図12】穴あき多角形ポリゴンの場合のスキャンラインと線分との交点を示すグラフである。
【図13】多角形ポリゴンを形成する視点領域Pと視対象領域Q内の微小な単位格子の中心点同士を結ぶ相互照射レイと面の法線とのなす角θを示す説明図である。
【図14】相互照射レイが景観構成要素Rの領域と交差する場合、不可視として場合分けを行う際の説明図である。
【図15】単位格子の中心点付近の拡大図である。
【図16】視点位置から視対象の視線方向の向きによって見られる景観を示す説明図である。
【図17】全体の処理の前半を示すフローチャートである。
【図18】全体の処理の後半を示すフローチャートである。
【図19】一般的な景観の評価構造を示す概念図である。
【図20】標準見え面積を示す説明図である。
【符号の説明】
【0074】
P 視点領域(視点領域データ)
Q 視対象領域(視対象データ)
3 入力装置(入力手段)
4A 表示装置(出力手段)
4B プリンタ(出力手段)
5 中央演算処理装置
6 メインメモリ(記憶手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、
上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする景観解析方法。
【請求項2】
視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視点領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視対象の位置に対応した視点からの見られの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする請求項1に記載の景観解析方法。
【請求項3】
請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見えと隠れの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする請求項1に記載の景観解析方法。
【請求項4】
請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見られと隠されの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする請求項1に記載の景観解析方法。
【請求項5】
仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、
上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、
解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、
第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、
第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、
第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする景観解析方法。
【請求項6】
第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見られの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域からの見られの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする請求項5に記載の景観解析方法。
【請求項7】
請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、
第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、
第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えと隠れの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする請求項5に記載の景観解析方法。
【請求項8】
請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、
第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、
第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域の見られと隠されの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする請求項5に記載の景観解析方法。
【請求項9】
第7のステップで、第6のステップで集計された面積を比率に換算して出力することを特徴とする請求項5ないし8のうちいずれか1に記載の景観解析方法。
【請求項10】
視点領域と視対象領域を示すデータおよび解析の精度を示す単位の設定について、小さい単位で両領域を分割することで計算負荷が増大する第1の場合、両領域のうち少なくともいずれか一方の領域の範囲が大きいために計算負荷が増大する第2の場合、両領域間を結ぶ相互照射レイの長さが長くなり算定される値が小さくなる第3の場合、または相互照射レイの方向ベクトルと分割された単位の面の法線ベクトルが垂直または垂直に近い関係にあることから算定される値が小さくなる第4の場合に、予め所定の数値を設定して算定処理を打ち切るか、算定結果を端数処理するか、または設定の変更を促す処理をするかして計算負荷の軽減を図ることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1に記載の景観解析方法。
【請求項11】
見え面積、見られ面積、隠れ面積または隠され面積が算定された後、算定結果と他の調査データを重ね合わせて加工修正し、処理結果の出力に反映させることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1に記載の景観解析方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能なことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りが可能なことを特徴とする媒体。
【請求項1】
仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、
上記視点領域と上記視対象領域とを、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定するとともに、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視対象領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視点の位置に対応した視対象の見えの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする景観解析方法。
【請求項2】
視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、線分の方向ベクトルと視点領域内の基準点における単位区画の面の法線ベクトルとのなす角と基準点間の距離と単位区画の面積とに基づき、視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られの大きさを示す定量化されたデータを導出し、視対象の位置に対応した視点からの見られの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする請求項1に記載の景観解析方法。
【請求項3】
請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視点領域内の基準点における視対象領域の視覚的な見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見えと隠れの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする請求項1に記載の景観解析方法。
【請求項4】
請求項1に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示すデータである景観構成要素領域とを入力手段により入力し、それぞれ空間上の図形として認識される座標データとして設定し、解析の精度を規定する単位を設定し、設定された単位データに基づいて、図形化された視点領域と視対象領域との各領域をそれぞれ分割し、分割された単位区画毎にその区画を代表する基準点の座標データをそれぞれ生成し、視点領域と視対象領域との両領域の基準点間を結ぶ線分を抽出して、各線分と景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、景観構成要素領域に遮られることによって生じる視対象領域内の基準点における視点領域の視覚的な見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータを導出し、そのデータに基づいて見られと隠されの大きさの度合いとして出力し、景観を解析することを特徴とする請求項1に記載の景観解析方法。
【請求項5】
仮想の三次元空間において、視点となる領域を示すデータである視点領域と視対象となる領域を示すデータである視対象領域とが入力される入力手段と、入力された各データを格納する記憶手段と、制御プログラムに基づいて、上記記憶手段に記憶されたデータを処理して処理結果を外部に出力する中央演算処理装置と、中央演算処理装置から出力された処理結果を表示する出力手段とを備え、
上記視点領域と上記視対象領域とをそれぞれ空間上の図形を示す座標データとして設定する第1のステップと、
解析の精度を規定する単位格子の大きさを設定する第2のステップと、
第1のステップで設定された視点領域と視対象領域とを示す図形内部を、第2のステップで設定された単位格子の大きさにより分割し、分割された単位格子毎にその格子を代表する基準点による点列データを生成する第3のステップと、
第3のステップで生成された点列データに基づいて視点領域側の基準点と視対象領域側の基準点同士を結ぶ線分である相互照射レイを設定する第4のステップと、
第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見えの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする景観解析方法。
【請求項6】
第4のステップで設定された相互照射レイに関して、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見られの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域からの見られの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする請求項5に記載の景観解析方法。
【請求項7】
請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、
第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、
第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視点領域側の各基準点における視対象領域側の各単位格子の見えと隠れの面積を、視点領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見えと隠れの大きさを示す定量化されたデータに基づく視点領域における視対象領域の見えと隠れの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする請求項5に記載の景観解析方法。
【請求項8】
請求項5に記載の視点領域と視対象領域に加えて、景観を構成する要素を示す景観構成要素領域とが入力手段により入力され、
第1のステップで、空間上の図形を示す座標データとして、視点領域と視対象領域と景観構成要素領域とを設定し、
第4のステップで設定された基準点間を結ぶ相互照射レイに関して、各相互照射レイと景観構成要素領域との交差判定を行い、非交差の場合を可視とみなし、交差の場合を不可視とみなす場合分けを行い、可視と判定された場合は見えの面積を、不可視と判定された場合は隠れの面積を、相互照射レイ毎に両領域の単位格子の基準点間の距離と、相互照射レイの方向ベクトルと視対象領域側の単位格子の面の法線ベクトルとのなす角と、単位格子の面積とに基づき視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積とを算定する第5のステップと、
第5のステップで算定された視対象領域側の各基準点における視点領域側の各単位格子の見られと隠されの面積を、視対象領域側の各基準点毎に集計する第6のステップと、
第6のステップで導出された見られと隠されの大きさを示す定量化されたデータに基づく視対象領域における視点領域の見られと隠されの度合いを処理結果として出力する第7のステップとを有し、景観を解析することを特徴とする請求項5に記載の景観解析方法。
【請求項9】
第7のステップで、第6のステップで集計された面積を比率に換算して出力することを特徴とする請求項5ないし8のうちいずれか1に記載の景観解析方法。
【請求項10】
視点領域と視対象領域を示すデータおよび解析の精度を示す単位の設定について、小さい単位で両領域を分割することで計算負荷が増大する第1の場合、両領域のうち少なくともいずれか一方の領域の範囲が大きいために計算負荷が増大する第2の場合、両領域間を結ぶ相互照射レイの長さが長くなり算定される値が小さくなる第3の場合、または相互照射レイの方向ベクトルと分割された単位の面の法線ベクトルが垂直または垂直に近い関係にあることから算定される値が小さくなる第4の場合に、予め所定の数値を設定して算定処理を打ち切るか、算定結果を端数処理するか、または設定の変更を促す処理をするかして計算負荷の軽減を図ることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1に記載の景観解析方法。
【請求項11】
見え面積、見られ面積、隠れ面積または隠され面積が算定された後、算定結果と他の調査データを重ね合わせて加工修正し、処理結果の出力に反映させることを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1に記載の景観解析方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のうちいずれか1に記載の景観解析方法を、コンピュータに実行させるためコンピュータによる読み取りが可能なことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納しコンピュータによる読み取りが可能なことを特徴とする媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−200130(P2007−200130A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19433(P2006−19433)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】
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