説明

暖房便座とそれを備えた衛生洗浄装置

【課題】着座時の快適な使用感を損なうことなく、省エネルギー化を実現する便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】人体検知部600により使用者の存在が検知された場合は、便座使用時に適した第1の保温温度を便座設定温度とし、使用者の存在が検知されない場合は、第1の保温温度よりも低い第2の保温温度を便座設定温度とし、使用者の存在が検知されない場合のうちトイレ使用の頻度が低いと想定される条件下では、第2の保温温度を補正することにより、トイレ使用の頻度が低いと想定される条件下での、消費電力を低減することが可能となり、着座時の快適な使用感を損なうことなく、省エネルギー化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体を検知して便座を暖房する暖房便座のヒータ制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の暖房便座はトイレ内の人体の検知と、便座の開閉状態と、便座の着座部の温度検知により、制御手段は便座の温度を通常使用の保温温度と、第1の保温温度と、第2の保温温度との3段階の温度に制御することで省エネルギー化を図るとともに、快適な使用感を得るこものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は特許文献1の暖房便座の加熱方法を示すフローチャートである。使用者の存在が検知されず、着座部の温度を検知する温度検知手段が所定温度以下であると判断した場合は、制御手段は一番低い保温温度である第2の保温温度T2を保持し、トイレ内に人体を検知した場合、便座が閉じた状態においては通常使用の保温温度T0に保持し、便座が開いた状態においては通常使用の保温温度より低い第1の保温温度T1に保持する構成となっている。
【特許文献1】特開2006−175217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記従来の構成では、トイレ内に人体を検知しない状態、すなわちトイレを使用しないときは常に第2の保温温度T2に保持する構成であるが、第2の保温温度T2は、使用者がトイレに入室してから便座に着座するまでの短時間に便座の着座部の温度を通常使用の保温温度T0まで上昇可能な温度に保持するため、相当高い温度に設定する必要があり、特に夜間や、平日の日中のような、一般家庭の生活パターンにおいてはトイレ使用頻度が極端に低い時間帯においては便座の保温に無駄な電力が使用されているという課題を有していた。
【0005】
本発明は、着座時の快適な使用感を損なうことなく、生活パターンに合わせて便座の保温温度を制御することにより、省エネルギー効果の高い便座装置およびそれを備えるトイレ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は、人体検知部により使用者の存在が検知された場合は、便座使用時に適した第1の保温温度を便座設定温度とし、使用者の存在が検知されない場合は、使用者がトイレットルームに入室してから、着座するまでの時間内に、便座部を第1の保温温度または使用者が冷たさのため不快感を感じることのない温度まで上昇させることが可能な、第1の保温温度よりも低い第2の保温温度を便座設定温度とし、使用者の存在が検知されない場合のうちトイレ使用の頻度が低いと想定される条件下では、第2の保温温度を補正するとしたものである。
【0007】
これによって、トイレ使用の頻度が低いと想定される条件下での、消費電力を低減することが可能となり、省エネルギー化を実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る便座装置は、快適な使用感を損なうことなく、省エネルギー効果を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明に係る便座装置は、便座部と、便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、便座部の保温温度を設定する便座温度設定手段と、便座部の温度が保温温度となるように発熱体の駆動を制御する制御部を備え、便座温度設定手段は、人体検知部により使用者の存在が検知された場合は、便座使用時に適した第1の保温温度を便座設定温度とし、使用者の存在が検知されない場合は、使用者がトイレットルームに入室してから、着座するまでの時間内に、便座部を第1の保温温度または使用者が冷たさのため不快感を感じることのない温度まで上昇させることが可能な、第1の保温温度よりも低い第2の保温温度を便座設定温度とし、使用者の存在が検知されない場合のうちトイレ使用の頻度が低いと想定される条件下では、第2の保温温度を補正するものである。
【0010】
これにより、トイレ使用の頻度が低いと想定される条件下では、通常の待機状態の第2の保温温度より低い温度に補正した温度で便座部を保温することとなり、便座部を保温するための消費電力を低減することが可能となり、省エネルギー化を実現することができる。
【0011】
第2の発明に係る便座装置は、特に第1の発明において、トイレ使用の頻度を判断する手段として、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の人体検知情報を記憶する人体検知履歴記憶手段を備え、前記便座温度設定手段は、人体検知履歴記憶手段の情報により、トイレ使用の頻度が低いと想定される時間帯には、第2の保温温度を補正するものである。
【0012】
これにより、人体検知履歴記憶手段の情報に基づいた実際の生活パターンに対応した第2の保温温度の補正が可能となるため、さらなる省エネルギー化を実現しながら、使用時には着座時に冷たさを感じることなく快適に使用できる便座装置が実現できる。
【0013】
第3の発明に係る便座装置は、特に第2の発明において、同一時間帯で連続して使用者の検知がない日数を計測する人体非検知日数計測手段を備え、便座温度設定手段が、前記人体非検知日数計測手段の計数値に応じて、前記第2の保温温度を補正するものである。
【0014】
これにより、人体非検知日数計測手段の情報に基づいた実際の生活パターンに対応した第2の保温温度の正確な補正が可能となるため、さらなる省エネルギー性の向上と、使用時の快適性を確保することができる。
【0015】
第4の発明に係る便座装置は、特に第2または第3の発明において、便座温度設定手段が人体非検知日数計測手段の計数値が大きくなれば大きくなるほど、第2の保温温度の補正量を大きく切り換えるものである。
【0016】
これにより、同一時間帯で使用者が使用されていない日数が少ない場合は、使用者の生活パターンが変化して間もない、または、通常の生活パターンと一時的に異なるパターンが発生したと推定して、第2の保温温度の補正量を少なくすることで、元の生活パターンに沿って快適な使用できる第2の保温温度とする。また、同一時間帯で使用者が使用されていない日数が連続するほど使用者の生活パターンの規則性による予測が確立し、使用されていないと推定されるため、さらに補正量を大きくし、第2の保温温度を下げることで、さらに省エネルギー性を向上させるものである。
【0017】
第5の発明に係る便座装置は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明において、使用者の意思により、便座部への通電を一定時間停止することができる操作部を備えたものである。
【0018】
制御部は、操作部より、便座部への通電を一定時間停止する信号を受信すると一定時間発熱体の駆動を停止するものである。
【0019】
これにより、使用者の生活パターンの規則性による予測が確立しない場合でも、使用者がトイレを使用しないという意思がある場合は、便座部への通電を一定時間停止することで、確実に節電でき、省エネルギー性と使い勝手が向上する。
【0020】
第6の発明に係る便座装置は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、発熱体を輻射型発熱体としたものである。これにより、輻射エネルギーにより便座部を迅速に昇温することができるため第2の保温温度を低く設定できることとなり、さらに省エネルギー性を向上することができる。
【0021】
第7の発明に係る便座装置は、第6の発明において、輻射型発熱体をランプヒータとしたものである。これにより、ランプヒータの輻射エネルギーにより便座部を迅速に昇温することができるため第2の保温温度を低く設定できることとなり、さらに省エネルギー性を向上することができる。
【0022】
第8の発明は、特に、第1〜7いずれかの1つの発明に係る便座装置と、局部洗浄手段を備えた衛生洗浄装置とするもので、暖房機能と同時に局部洗浄機能も利用でき、快適である。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る衛生洗浄装置を便器上に設置した状態の外観斜視図を示し、図2は便座装置の便座部の断面図を示すものである。
【0025】
図1に示すように、衛生洗浄装置は便器700上に設置した便座装置100と、便座装置に一体に設置した局部洗浄装置800で構成している。
【0026】
便座装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400、蓋部500および入室検知センサ600により構成される。
【0027】
本体部200には、便座部400および蓋部500が回動自在に取り付けてある。さらに、本体部200には着座センサ290と制御部210(図示せず)が内臓してあるとともに、局部洗浄装置800が一体に設けてある。
【0028】
本体部200に一体に設けた局部洗浄装置800は、水道配管に接続されており、加熱手段(図示せず)により加熱した温水を洗浄ノズル(図示せず)より噴射して用便後の使用者の局部を洗浄することができる。
【0029】
着座センサ290は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ290は、人体から反射された赤外線を検出した場合に便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0030】
また、本体部200の上面側にはお知らせLED280が設けられている。お知らせLED280は、便座部400の温度が後述の便座設定温度に達したときに点灯する。
【0031】
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられており、その中に使用者が操作す
る温度調節スイッチ(図示せず)が設置してある。温度調節スイッチは押下操作することにより、便座使用時の便座保温温度を使用者の好みに合わせて調節できるものであり、着座温度に適した34℃、36℃、38℃が選択可能となっている。
【0032】
この遠隔操作装置300は、便座部400上に着座する使用者が操作可能なトイレットルームの壁面等に取り付けられる。
【0033】
入室検知センサ600は、トイレットルームの入口付近の壁面等に取り付けられる。入室検知センサ600は、反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0034】
本体部200の制御部210は、着座センサ290、遠隔操作装置300および入室検知センサ600から送信される信号に基づいて、便座部400に内蔵されたランプヒータ480の駆動を制御する。
【0035】
さらに、本体部200の制御部210は、洗浄水供給機構(図示せず)、本体部200に設けられた脱臭装置(図示せず)および温風供給装置(図示せず)等の制御も行う。
【0036】
図2に示すように、便座部400は内部を空洞とし、空洞部401には着座部410に対向して、アルミ板を鏡面仕上げした輻射反射板420、輻射型発熱体としてランプヒータ480とが設けられている。
【0037】
ランプヒータ480は、ガラス管481の内部にタングステンからなるフィラメント482を貫通しハロゲンガスを封入して構成されており、フィラメント482の発熱に伴ってハロゲン化タングステンを形成するハロゲンサイクル反応を繰り返すことにより、フィラメントの消耗を防止するようにしている。これにより熱容量の非常に小さいフィラメントを熱源とすることができ、輻射エネルギーの極めて急峻な立ち上がりを行わせることができる。
【0038】
着座部410の下面には着座部の温度検知手段としてサーミスタ411が設置してあり、ランプヒータ480の近傍にはランプヒータ480の異常な温度上昇を検知しランプヒータ480の通電を遮断するサーモスタット421と温度ヒューズ422が設置してある。
【0039】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る便座装置100の構成を示す模式図である。上述のように、便座装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および入室検知センサ600を備える。
【0040】
図3に示すように、本体部200には、制御部210、温度測定部220、ヒータ駆動部230、便座温度設定手段250、お知らせLED280、および着座センサ290を含み、便座温度設定手段250は制御部210に内蔵された構成とする。
【0041】
制御部210はマイクロコンピュータを主構成部材とし、使用者の入室および便座部400の温度等を判定する判定部、タイマ機能を有する計時部、種々の情報を記憶する記憶部、ならびに、ヒータ駆動部230の動作を制御するための通電率切替回路等を含む。
【0042】
本体部200の温度測定部220は、便座部400のサーミスタ411に接続されている。これにより、温度測定部220は、サーミスタ411から出力される信号に基づいて便座部400の着座部410の温度を正確に測定する。
【0043】
また、本体部200のヒータ駆動部230は、便座部400のランプヒータ480に接続されている。これにより、ヒータ駆動部230はランプヒータ480を駆動する。
【0044】
以上のように構成された暖房便座について、以下その動作、作用を説明する。
【0045】
トイレットルームに使用者の入室がない場合は、便座温度設定手段250は第2の保温温度(本実施の形態における初期値は18℃)を待機時の便座部400の設定温度とする。制御部210がヒータ駆動部230を制御することにより、ランプヒータ480が低出力で駆動される。それにより、便座部400が第2の保温温度(18℃)となるように温度調節される。
【0046】
上記待機時において冬季以外で室温が高く、便座部400が第2の保温温度(18℃)以上の場合は、制御部210はランプヒータ480の駆動を停止する。
【0047】
使用者がトイレットルームに入室すると、入室検知センサ600は使用者の入室を検知する。それにより、使用者の入室を示す信号が制御部210に送信される。
【0048】
制御部210の制御信号によりヒータ駆動部230はランプヒータ480に高出力の通電を開始する。投入エネルギーは瞬時に輻射エネルギーに変換され、フィラメントからガラス管および輻射反射板420を経て上方に放射され、便座部400の着座部410の昇温に寄与する。
【0049】
ここで、輻射反射板420の端部は図2に示すように全周にわたり上方への折り曲げ部を有しており、その折り曲げ部によりランプヒータ480からの熱輻射が偏向されるので、ランプヒータ480から離れている外周縁部および内周縁部の輻射密度を上げるように作用し、便座上部への輻射分布の均一化を図っている。従ってランプヒータ480は、使用者がトイレに入室し、衣服を下ろし、便座に着座するまでの数秒間(本実施の形態においては約6秒間)で着座部410を着座しても冷たく感じない温度まで昇温させることができる。
【0050】
便座部400の着座部410の温度が設定温度である第1の保温温度(本実施の形態においては36℃)に到達すると、制御部210は低出力駆動に切り替え、使用者が退室するまで第1の保温温度を保持する。また、本体部200の上面側に設置したお知らせLED280が点灯し、着座部410が着座に適した温度になったことを使用者が認知できるように表示する。
【0051】
使用者が排便を済ませた後は、局部洗浄装置の操作をすることにより、局部洗浄装置の洗浄ノズルより温水が噴射して排便後の局部を洗浄する。
【0052】
用便終了後、使用者がトイレットルームから退室したことを人体検知センサ600が検知すると、制御部210の制御信号により、ヒータ駆動部230はランプヒータ480の駆動を停止し、便座部400の着座部410を第2の保温温度(18℃)まで低下すると低出力で第2の保温温度を維持する。この時室温高く便座部400の着座部410の温度が第2の保温温度(18℃)以上の場合ランプヒータ480の駆動の停止を継続する。
【0053】
さらに使用者の遠隔操作装置300の操作により便座温度設定手段250に予め設定した、夜間等のトイレ使用頻度が低いと予測される時間帯になると、第2の保温温度をより低い温度に補正する。本発明の実施の形態では2℃下げている。これは、本実施の形態で採用したランプヒータ480は、高出力時の昇温速度が2℃/秒となっているためである
。もし使用者の入室があった場合は、便座が第1の保温温度に到達するまで約1秒遅くなるが、1秒前の温度は、実験により得た冷たいと感じない最低温度である約28℃を下回らないため使用には差し支えない程度である。これにより待機時の電力使用を抑えることができる。
【0054】
また、使用者が事前または使用中に遠隔操作装置300の温度調節スイッチ(図示せず)を押下操作することにより、便座使用時の便座設定温度である第1の保温温度を調節することができる。本実施の形態においては第1の保温温度の初期値は36℃に設定してあるが、温度調節スイッチを押下操作することにより、遠隔操作装置300より制御部210に信号が送信され、制御部210に内蔵される便座温度設定手段250は第1の保温温度を38℃または34℃とし記憶部に記憶する。
【0055】
以上のように本実施の形態の便座装置は、便座の加熱手段として短時間昇温できる輻射型発熱体であるランプヒータを使用したことにより、使用していないときの保温温度を低く設定することができるため、待機状態での電力消費を低減することができ、しかも使用者が着座したときは着座部は着座に適した温度に昇温するため、快適に使用することができる。
【0056】
しかも、夜間等のトイレの使用頻度が低い時間帯は保温温度をより低くするため待機状態での電力消費をより削減することができる。また、室温が高く便座部の温度が第2の保温温度以上の場合、ランプヒータの駆動を停止することで電力消費をより削減することができる。
【0057】
なお、本実施例では発熱体はランプヒータとしたが、特に限定されるものではなく、他の輻射型発熱体やコードヒータ、面状ヒータ等でも近似の効果を得ることができる。
【0058】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る便座装置の制御部の詳細を示す模式図である。実施の形態1と異なる点は、トイレ使用の頻度が低い時間帯を判断する手段として、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の人体検知情報を記憶する人体検知履歴記憶手段251を設けた点である。実施の形態1と同一符号の構成要素については実施の形態1と同一構成であり、説明を省略する。
【0059】
以下本発明の第2の実施の形態の動作を説明する。人体検知履歴記憶手段251は、1日の24時間を1時間単位に分割し、その1時間の間に使用者の入室を検出したときには「1」を、検出しなかったときには「0」を記憶する。例えば、4人家族で、大人の男性1人、大人の女性1人、子供の男性1人、子供の女性1人で、大人は共に仕事に従事し、子供は学校に行っているため昼間の時間帯でのトイレの使用はなされていないという状況の場合、これらの1日のトイレ使用状況を記憶することで、ある時間帯(例えば深夜の0時〜5時、昼間9時〜14時)はトイレが使用されない家庭であると予測し、この時間帯での待機温度である第2の保温温度を低温側へ補正する。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同じく2℃下げている。
【0060】
また、実施の形態1と同様に、室温高く便座部の着座部の温度が第2の保温温度(本実施の形態における補正の温度16℃)以上の場合ランプヒータの駆動を停止する。この場合、人体検知履歴記憶手段への人体検知情報の蓄積とデータの保存は継続する。
【0061】
以上のように、本実施の形態においては便座温度設定手段250が人体検知履歴記憶手段251の記憶情報により、使用者の生活パターンを学習し、トイレの使用頻度の判定を正確に行うことができるため、使用者の快適性を損なわずに、さらに省エネルギー性を向
上させることができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては人体検知履歴記憶手段251の記憶データは入室検知センサのデータを使用したが、入室検知センサ600に変えて着座センサ290が検出する使用者の着座検出の「あり」「なし」のデータを使用することができる。実際に便座の昇温が必要なのは着座する場合のみであり、男性小用時は不要である。着座センサを使用することにより、さらにトイレの使用頻度の判定を正確に行うことが可能となり、省エネルギー性と使用者の快適性が両立できる。
【0063】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る便座装置構成の制御部の詳細を示す模式図である。実施の形態1および2と異なる点は、同一時間帯で連続して使用者の検知がない日数を計測する人体非検知日数計測手段252を設けた点である。実施の形態1および2と同一符号の構成要素については実施の形態1および2と同様であり、説明を省略する。
【0064】
以下本発明の第3の実施の形態の動作を説明する。人体非検知日数計測手段252は、1日の24時間を1時間単位に分割し、その1時間の間にトイレットルーム内に人体が検出されたか否かを人体検知履歴記憶手段251にて記憶し、各々の時間帯で何日間人体非検知が連続したかを計数する。
【0065】
例えば3時〜4時の1時間において2日前に一度使用されている場合、当日までの人体非検出の連続日数としては「1」となり、人体非検知日数計測手段252の計数値は「1」となる。同様に、13時〜14時の1時間において過去5日間は一度も使用されていない場合、13時〜14時における人体非検出の連続日数は「5」、17時〜18時の1時間において3日前に使用されている場合「2」となる。この人体非検知日数計測手段252の計数値は使用者のトイレ使用の生活パターンを意味する事となり、この計数値が大きければ大きいほど、その時間帯でのトイレ使用はほとんどされていないと判断できる。人体非検知日数計測手段252の計数値が「0」即ちその時間帯で前日はトイレを使用された時には、待機温度である第2の保温温度の補正は行わない。計数値が「1」の場合は第2の保温温度を2℃低温側へ補正する。計数値が「2」の場合は4℃低温側へ補正する。
【0066】
計測値が小さい場合、即ちトイレが使用されていない日数が短い時は、生活パターンの一時的な変化であると想定されるため、通常の生活パターンでの待機温度から2〜4℃程度と、低温側への補正を少なくして、使用者に対して低温側へ補正しすぎて冷たいという感覚を与えないようにしている。また、トイレが使用されていない日数が連続して多くなるほど、生活パターンが安定しているため、通常生活パターンでの待機温度から10℃などと大きく低温側へ補正することができる。この補正量(低温側へ補正した温度差)の分だけ、ランプヒータ480への通電率を低下させることができ、より省エネルギー性を向上させることができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態においては人体非検知日数計測手段252が同一時間帯で連続して人体非検出であった日数を計数し、より使用者の生活パターンの規則性を予測することで、トイレが使用されるか否かの予測が正確になり、この計数値に応じて便座温度設定手段250が待機温度である第2の保温温度を補正することで、使用されると予測される時間帯には、着座時快適な温度に昇温可能となるように温度調節を行い、また使用されないと予測される時間帯には、省エネルギーとなるように温度調整を行うことで、さらに快適性と省エネルギー性の向上を行うものである。
【0068】
また人体検知履歴記憶手段251の記憶内容や人体非検知日数計測手段252の計数値は、着座センサ290が検出する使用者の着座検出の「あり」「なし」に限定することも
できる。これにより本発明の第2の実施の形態と同様に、さらにトイレの使用頻度の判定を正確に行うことが可能となり、省エネルギー性と使用者の快適性が両立できる。
【0069】
(実施の形態4)
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る便座装置の制御部の詳細を示す模式図である。実施の形態1〜3と異なる点は、補正された待機温度である第2の保温温度を所定日数保持する保持手段253と、保持手段253が保持する日数を人体非検知日数計測手段252の計数値に応じて決定する保持日数決定手段254を設けた点である。実施の形態1〜3と同一符号の構成要素については実施の形態1〜3と同様であり、説明を省略する。
【0070】
以下本発明の第4の実施の形態の動作を説明する。例えば、トイレが使用されていない日数が「1日」(1日前はトイレ未使用であったが2日前は使用されていた)の時には、生活パターンの一時的な変化であると想定されるため、第2の保温温度の補正量を切り換える日数を「1日」とし、この時の補正量も2〜4℃程度と、低温側への補正を少なくして、使用者に対して低温側へ補正しすぎて冷たいという感覚を与えないようにしている。同様にトイレが使用されていない日数が「2日」の時には補正量を切り換える日数を「1日」、トイレが使用されていない日数が「3日〜7日」の時には補正量を切り換える日数を「5日」と、また、トイレが使用されていない日数が連続して多くなるほど、生活パターンが安定しているため、補正量を10℃等の低温側へと大きくとることができ、また、補正量を切り換える日数も長くすることができる。
【0071】
例からも分かるように、トイレ未使用日数が短いほど、待機温度である第2の保温温度の補正量を小さく、また細かく補正し、トイレ未使用日数が長いほど、補正量を大きく、また、補正された温度を長く保持する。この補正量(低温側へ補正した温度差)の分だけ、ランプヒータ480への通電率を低下させることができ、より省エネルギー性を向上させることができる。
【0072】
以上のように、本実施の形態においては、保持手段253が補正後の待機温度である第2の保温温度を所定日数保持し、保持日数決定手段254がこの所定日数を同一時間帯で使用者が使用されていない日数に応じて決定することで、生活パターンが安定するまで細かな温度設定とし、低温しすぎない適切な温度設定を行うことができる。また、生活パターンが安定した時には補正後の温度を保持する日数を長くすることで、補正値を大きく低温側へとるなどにより省エネルギー性の高い温度調節ができる。
【0073】
(実施の形態5)
本実施の形態が実施の形態1〜4と異なる点は、図1に示す遠隔操作装置300に使用者の意思により、便座部への通電を一定時間停止することができる操作スイッチ(図示せず)を設けた点である。
【0074】
使用者は、就寝前や外出前などトイレを使用しないことが明らかな場合に、操作部スイッチを操作すると、制御部210は操作スイッチの操作信号を受信すると、ランプヒータ480への通電を一定時間停止する。本実施の形態では6時間と8時間を選択することができ、その間ランプヒータ480への通電を停止する。
【0075】
以上のように、本実施の形態においては、使用者の生活パターンの規則性による予測が確立しない場合でも、使用者がトイレを使用しないという意思がある場合は、便座部への通電を一定時間停止することで、確実に節電でき、省エネルギー性と使い勝手を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の便座装置は、使用頻度の差が大きい暖房機能の省エネルギー性を向上することができるので、居室やトイレ等の暖房装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態1に係る便座装置を備える衛生洗浄装置の外観斜視図
【図2】本発明の実施の形態1に係る便座装置の便座部の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る便座装置の制御の構成を示す模式図
【図4】本発明の実施の形態2に係る便座装置の制御の構成を示す模式図
【図5】本発明の実施の形態3に係る便座装置の制御の構成を示す模式図
【図6】従来の便座装置の加熱方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0078】
100 便座装置
210 制御部
250 便座温度設定手段
251 人体検知履歴記憶手段
252 人体非検知日数計測手段
400 便座部
480 ランプヒータ(発熱体)
210 制御部
600 入室検知センサ(人体検知部)
800 局部洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座部と、前記便座部を加熱する発熱体と、使用者の存在を検知する人体検知部と、前記便座部の保温温度を設定する便座温度設定手段と、前記便座部の温度が保温温度となるように前記発熱体の駆動を制御する制御部を備え、前記便座温度設定手段は、前記人体検知部により使用者の存在が検知された場合は、便座使用時に適した第1の保温温度に設定し、使用者の存在が検知されない場合は、使用者がトイレットルームに入室してから、着座するまでの時間内に、前記便座部を第1の保温温度または使用者が冷たさのため不快感を感じることのない温度まで上昇させることが可能な、第1の保温温度よりも低い第2の保温温度に設定し、使用者の存在が検知されない場合のうちトイレ使用の頻度が低いと想定される条件下では、第2の保温温度を補正することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の人体検知情報を記憶する人体検知履歴記憶手段を備え、便座温度設定手段は、前記人体検知履歴記憶手段の情報により、トイレ使用の頻度が低いと想定される時間帯には、第2の保温温度を補正することを特徴とする請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
同一時間帯で連続して使用者の検知がない日数を計測する人体非検知日数計測手段を備え、便座温度設定手段は、前記人体非検知日数計測手段の計数値に応じて、第2の保温温度を補正することを特徴とする請求項2に記載の便座装置。
【請求項4】
便座温度設定手段は、人体非検知日数計測手段の計数値が大きくなれば大きくなるほど、第2の保温温度の補正量を大きく切り換えることを特徴とする請求項2または3に記載の便座装置。
【請求項5】
使用者の意思により、便座部への通電を一定時間停止することができる操作部を備え、制御部は、前記操作部より、便座部への通電を一定時間停止する信号を受信すると一定時間発熱体の駆動を停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
発熱体は輻射型発熱体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の便座装置。
【請求項7】
輻射型発熱体は、ガラス管にハロゲンガスを封入したランプヒータであることを特徴とする請求項6に記載の便座装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の暖房便座と、局部洗浄手段を備えた衛生洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−73149(P2008−73149A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254326(P2006−254326)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】