暗状態光リサイクル膜及びディスプレイ
実質無偏向照明光を供給するバックライトユニット (56)、バックライトユニット(56)近傍に配置され入射してくる実質無偏向照明光を受光し実質偏向照明光を出射する背部偏光器(50b)、実質偏向照明光の偏向状態を選択的に且つ画素毎に変調することにより表示ビームを生成する液晶型光空間変調器、並びに液晶型光空間変調器と前部偏光器(50a)との間に配置され暗状態光の一部をバックライトユニット(56)方向に反射する反射型偏光器(52a)によって、液晶ディスプレイ(20)を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、偏光器を用いた液晶ディスプレイに関し、より詳細には、その前部偏光器によって吸収されてしまわないよう、暗状態光を反射型偏光器によりリサイクルさせる液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイでは、その表面に入射してくる照明光の偏向状態(polarization)を変調することによって画像を生成している。例えばバックライト型液晶ディスプレイでは、一揃いの偏光器を用い液晶による変調動作をサポートするのが普通である。使用する偏光器のうち一つは背部偏光器であり、その液晶ディスプレイの液晶型光空間変調器と、光源との間に配置される。背部偏光器は偏光(polarized light)を液晶型光空間変調器へと出射し、液晶型光空間変調器により変調された偏光は、偏光器のなかで看者の最も近くに配されており従って検光器として機能するいる偏光器、即ち前部偏光器へと出射される。また、液晶ディスプレイは複数個の画素から構成されており、各画素はその動作時に明状態(light state)及び暗状態(dark state)のうち何れかの状態をとる。明状態とは、液晶型光空間変調器により変調された光のうち、その偏向角が前部偏光器の光透過軸の向きと揃っている偏光成分が、液晶ディスプレイから出射される状態である。これに対して、暗状態とは、当該変調光の偏向角が前部偏光器の光透過軸の向きと一致していないため、光が実質的に遮られてしまい放射されない状態である。
【0003】
図6に、液晶ディスプレイの主要構成部材の概略動作を示す。図示した動作は、各画素への入射光に対する各構成部材の動作である。以下の記述においては、この図に示した記号用法及び図示手法を踏襲して図示及び説明を行うこととする。即ち、以下の説明では、P偏光を直線で、これと直交するS偏光を丸で、光入射方向はそれらに重ねた矢印で、光透過軸方向は双方向矢印又は丸で、それぞれ表すこととする。図中の偏光器50a及び50bは吸収型偏光器、即ちその偏向角が自分の光透過軸の向きと一致する偏光を透過させ、直交する偏光を吸収する偏光器である。これに対し、偏光器52a及び52bは反射型偏光器、即ちその偏向角が自分の光透過軸の向きと一致する偏光を透過させ、直交する偏光を反射する偏光器である。液晶部材54a,54bは、実質的に偏向している照明光ビームの入射を受け、それを画素毎に変調することによって、表示ビームを生成する。液晶部材にはオフ状態とオン状態とがあり、以下の説明では、入射光の偏向状態を回転させる状態をオフ状態(図中の54a)、回転させない状態をオン状態(図中の54b)と呼んでいる。また、本願においては、「液晶部材」という語を液晶型光空間変調器の構成要素となっている個々の光変調素子という意味で、「液晶型光空間変調器」という語をそれら液晶部材54a,54bのアレイという意味で、それぞれ用いている。
【0004】
また、液晶型光空間変調器による各画素の変調状態は、暗状態となるか明状態となるか、その何れかである。本願においては、画素状態について述べるときに「暗状態」「明状態」なる語を用いており、実現される画素状態ではなくて液晶部材自体の偏向作用について述べるときは上述の「オン状態」「オフ状態」なる語を用いている。
【0005】
更に重要なことに、液晶型光空間変調器の性質は種類毎に異なる。即ち、ある液晶部材がオン状態であるとき、その液晶部材により実現される画素が暗状態になるかそれとも明状態になるかは、その液晶型光空間変調器の性質によって変わる。そこで、本願では、上述の通り、
(i)その液晶部材がオン状態(54b)であるとき画素が暗状態になり、
(ii)その液晶部材がオフ状態(54a)であるとき画素が明状態になる、
という例を以て説明を行うこととする。但し、実際には、オン状態及びオフ状態と画素の明状態及び暗状態との組合せがこの例とは逆の構成にすることもできる。以下の記述のうち特記のない箇所では、図6に示しまたここで説明した取り決めに従っている。
【0006】
図1Aに、従来型液晶ディスプレイの一例構成10を示す。この図の液晶ディスプレイ10は、前部偏光器50a、液晶部材、背部偏光器50b、バックライトユニット56及び反射膜57を備えており、液晶部材はオフ状態(54a)となっている。オフ状態液晶部材54aは、丸で表されているS偏光を直線で表されるP偏光に変換し、またその逆にP偏光をS偏光に変換する。この状態では、バックライトユニット56から放射される無偏向光のうちS偏光成分だけが背部偏光器50bを透過し、透過した偏光はオフ状態液晶部材54a更には前部偏光器50aを通り抜けるので、画素は明状態となる。
【0007】
図1Bに、図1Aに示した液晶ディスプレイ10の暗状態を示す。この図の液晶部材はオン状態(54b)であり、入射光の偏向状態を変化させない。即ち、S偏光ならS偏光のまま、P偏光ならP偏光のままとする。背部偏光器50bはS偏光を透過させ、オン状態液晶部材54bはそのS偏光を透過させる。このS偏光は前部偏光器50a上の“X”部位で吸収されることとなる。
【0008】
このように、図1A及び図1Bに示した従来型液晶ディスプレイ10は機能的であるが、利用可能光量が少ないという問題がある。これは、背部偏光器50bにてP偏光が吸収されるので光エネルギがかなり無駄になり、また環境光があまり性能向上に役立っていないためである。即ち、まず図1Cに示すようにその半分が前部偏光器50aによって吸収されるので、環境光のうち液晶部材を通り抜けるのは残りの半分である。通り抜けた環境光は偏向状態を回転させるオフ状態液晶部材54aを通り抜け、更に背部偏光器50bを通り抜け、その一部が反射膜57によって反射されて、照明に再利用されることとなる。これに対し、液晶部材がオン状態(54b)であり従ってその画素が暗状態である場合は、図1Dに示すように、前部偏光器50aがP偏光を透過させ、オン状態液晶部材54bが偏向状態を変化させずにその光を透過させ、次いでS偏光でないため背部偏光器50bがその光を吸収する。従って、暗状態では環境光が前部偏光器50によって半分に減衰し、背部偏光器50bによって残り半分の大半が失われるので、環境光効果がかなり損なわれる。
【0009】
表示用照明効率を向上させる試みとしては、図2A〜図2Dに示すように、随伴する一群の偏光器の一つとして反射型偏光器52bを用いるものがある。この図の例では、バックライトユニット56からの無偏向光はまず反射型偏光器52bに送られる。反射型偏光器52bは、ある方向の偏光(図示例ではS偏光)だけを透過させ、それと直交する方向の偏光を反射する。この反射光は、バックライトユニット56、反射膜57その他のデバイス(1/4波長板、偏光解消膜等)の作用を受ける。その作用によってその偏向状態が変わるため、その反射光を照明用に再利用することができる。なお、明状態時動作及び暗状態時動作は図1A〜図1Dに示したそれと同じである。即ち、図2Aにおけるオフ状態液晶部材54は入射光の偏向状態を回転させ、前部偏光器50は自分の光透過軸の向きと同じ偏向角を有する光(ここではP偏光)を透過させる。また、図2Bにおけるオン状態液晶部材54bはS偏光を透過させ、前部偏光器50aはこれを図中の“X”にて吸収する。
【0010】
図2C及び図2Dに、環境光入射に対する反射型偏光器52bの反応を示す。環境光のうち前部偏光器50aを通り抜けるのはP偏光成分であり、この偏光はオフ状態又はオン状態の液晶部材54a,54bを通り抜ける。通り抜けた光のうちのS偏光成分は背部偏光器50b及び反射型偏光器52bを通り抜ける。反射型偏光器52bから反射されてくるP偏向環境光があればそれは背部偏光器50bによって吸収される。従って、環境光は、暗状態では前部偏光器50aにてその半分に減衰し更に背部偏光器50bによって残りの大半が失われる。そのため、環境光効果はかなり損なわれる。
【0011】
以上、図2A〜図2Dに基づき反射型偏光器を利用した従来型液晶ディスプレイの概要を説明したが、これと同様の装置について説明する特許文献は数多くある。その例としては、
「偏光素子、光学素子及び液晶ディスプレイ」(Polarizing Element, Optical Element, and Liquid Crystal Display)と題する特許文献1(発明者:Hara)、
「反射型偏光器ディスプレイ」(Reflective Polarizer Display)と題する特許文献2(発明者:Ouderkirk et al.)、
「輝度改善型反射型偏光器」(Brightness Enhancing Reflective Polarizer)と題する特許文献4(発明者:Weber et al.)、
「液晶表示装置及び電子装置」(Liquid Crystal Display Device and Electronic Apparatus)と題する特許文献5(発明者:Maeda)、
等がある。
【0012】
加えて、非特許文献1には、反射型液晶セル内で用いられ同時に偏光器、整列層及び背面電極としても機能するワイヤグリッド偏光器が記載されている。
【0013】
更に、液晶ディスプレイ内で複数種類の偏光器を用い、ディスプレイ用途に応じた特殊効果を得る手法も、幾つか知られている。例えば、「位置変更可能な前部偏光器を有する液晶ディスプレイ」(Liquid Crystal Displays with Repositionable Front Polarizers)と題する特許文献3(発明者:Kotchick et al.)には、見やすい表示になるよう、その前部偏光器を様々なタイプの偏光器から選ぶことができ、またその前部偏光器の角度や位置を変えることができる携帯型装置用液晶ディスプレイモジュールが、記載されている。同様に、「液晶ディスプレイを有する電子装置用の可換偏光器」(Interchangeable Polarizers for Electronic Devices Having a Liquid Crystal Display)と題する特許文献6(発明者:Sahouani et al.)には、様々な種類の前部偏光器を取り付けたり取り外したりすることができ、それによって狙った表示効果を得る装置構成が、記載されている。これらの文献にも示されているように、従来の常識からすれば、照明用光源たるバックライトユニット56と、背部偏光器50bとの間に反射型偏光器52bを配し、それによって輝度及び効率を改善させる図2A〜図2Dの構成が望ましい。特許文献3及び6に記載されている種々の実施形態のなかには、液晶ディスプレイ用前部偏光器として反射型偏光器を用いた構成が含まれているが、従来の常識からすれば、液晶部材54a,54bから見て看者側で反射型偏光器を用いることは明らかに望ましくない。これは、前部偏光器として反射型偏光器を用いるとコントラスト比が格段に損なわれ、それによって輝度向上効果が全く打ち消されるからである。前部偏光器として反射型偏光器を用いることが望ましいといえるのは、高々、メタリックな表示外観を得たい場合だけであろう。実際、重要なことに、特許文献3及び6の何れにおいても、特殊な表示効果であるメタリック表示を意図的に発生させたい場合を除けばかかる構成は望ましくないものであることが多い旨、(輝度や効率の向上とは関わりなく)強調されている。
【0014】
【特許文献1】米国特許第6661482号明細書
【特許文献2】米国特許第5828488号明細書
【特許文献3】米国特許第6642977号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0164914号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0061812号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0016316号明細書
【非特許文献1】"Twisted Nematic Reflective Display with Internal Wire Grid Polarizer", by T. Sergan et al., SID 02 Digest, pp.514-517 (P-81)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図2A〜図2Dに示した従来の用法、即ち上掲の特許文献に記載の通り反射型偏光器を照明用光源と背部偏光器に配するという用法は、液晶ディスプレイの輝度及び効率を向上させるのには役立つが、液晶ディスプレイの用途範囲を更に拡張するにはそれでは足りない。用途範囲拡張には、表示輝度を更に向上させること、しかもそれを従来構成に対するコスト増や構成複雑化を伴うことなく達成することが、必要である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイの輝度及び効率を向上させるため、
(a)実質無偏向照明光を供給するバックライトユニットと、
(b)バックライトユニット近傍に配置され入射してくる実質無偏向照明光を受光し実質偏向照明光を出射する背部偏光器と、
(c)実質偏向照明光の偏向状態を選択的に且つ画素毎に変調することにより表示ビームを生成する液晶型光空間変調器と、
(d)液晶型光空間変調器と前部偏光器との間に配置され暗状態光の一部をバックライトユニット方向に反射する反射型偏光器と、
を備える。
【0017】
本発明の特徴の一つは、暗状態光を反射させて再使用することができるよう、画像表示ビーム経路内に反射型偏光器を配したことにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果の一つは、従来の構成と比べ液晶表示輝度及び効率が格段によくなることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の構成要件は、本願に添付されている特許請求の範囲による明確で且つ疑義なき記載の通りであるが、より好適に理解できるようにすべく以下別紙図面を参照しながら説明する。
【0020】
以下の説明は、とりわけ、本発明に係る装置の構成部分や本発明に係る装置と密接に関連する部分についての説明である。説明中で仔細に図示乃至説明しなかった要素については、本源技術分野における習熟者(いわゆる当業者)にとり周知である様々な形態を採りうることを、ご了解頂きたい。
【0021】
本発明に係る装置及び方法は、1個又は複数個の反射型偏光器を用いて暗状態光をリサイクルさせることにより、液晶ディスプレイにて得られる輝度及び効率を向上させるものである。
【0022】
第1実施形態
図3A及び図3Bに、本発明の一実施形態に係る液晶ディスプレイ20の明状態及び暗状態(同順)を示す。この実施形態においては、反射型偏光器52aが液晶部材54a,54bと前部偏光器50aとの間に配置されている。背部偏光器50bの光透過軸と前部偏光器50の光透過軸は、±10°以内の精度で直交している。また、図1A〜図1D及び図2A〜図2Dに示した説明上の取り決めに従い、P偏光をS偏光にまたS偏光をP偏光にそれぞれ変換する液晶部材を以て、オフ状態液晶部材54aとしている。更に、反射型偏光器52aの光透過軸は前部偏光器50aの光透過軸と平行である。そして、反射型偏光器52aによりリサイクルに回される光は、前部偏光器50aの光透過軸と直交する方向の偏光である。
【0023】
光に対する液晶ディスプレイ20の作用は、明状態の場合図3Aに示す通りとなる。即ち、バックライトユニット56から背部偏光器50bに無偏向光が入射されると、背部偏光器50bはS偏光成分を透過させる一方でP偏光成分を吸収する。オフ状態液晶部材54aはその光の偏向状態を回転させ、P偏光を出射する。この光は次いで反射型偏光器52a更には前部偏光器50aを透過する。従って、明状態においては、反射型偏光器52aは単に所期通りの光を透過させるだけである。
【0024】
これに対し、暗状態の場合は、光に対する液晶ディスプレイ20の作用は図3Bに示す通りとなる。即ち、オン状態液晶部材54bは入射光の偏向状態を回転させないで透過させ、図3A及び図3Bにおける新規な構成である反射型偏光器52aは、このS偏光を全て、バックライトユニット56方向に反射する。先に説明した図1B及び図2Bの構成では、暗状態でオン状態液晶部材54bから出射されるS偏光が前部偏光器50aによって吸収されていたことを、想起されたい。この反射型偏光器52aの動作には、リサイクル効果、即ちある画素の暗状態光を明状態にある他の画素で再利用可能にする、という効果がある。例えば図7Bに示すように、液晶ディスプレイ20のうちオフ状態液晶部材54aとオン状態液晶部材54bとが隣り合っている箇所では、両者の動作が好適に噛み合う。
【0025】
図3C及び図3Dに、環境光に対する液晶ディスプレイ20の反応を示す。先に図1C、図1D、図2C及び図2Dを参照して説明したように、前部偏光器50aはS偏光を吸収する一方P偏光を透過させる。反射型偏光器52aもこれと同じくP偏光を透過させるので、環境光に対する反応は図1C、図1D、図2C及び図2Dに示したものと基本的に違いがない。このことから理解できるように、液晶部材54a,54bと前部偏光器50aの間に反射型偏光器52aを配して暗状態光の一部をリサイクルさせるに当たり、環境光によりコントラストが更に劣化するようなこともない。
【0026】
また、図3A〜図3Dに示した構成においては、反射型偏光器52aの光透過軸が前部偏光器50aの光透過軸と平行である。これに対して、図3E及び図3Fに示すように反射型偏光器52aの光透過軸を前部偏光器50aの光透過軸と直交させた場合、図中の光経路や偏向状態から理解できるように、最適とはいい難い構成となる。即ち、明状態においては反射型偏光器52aがP偏光を反射するので光が放射されず、暗状態においては前部偏光器50aがS偏光を吸収するので反射光が再利用されることもない。こうしたことから理解できるように、反射型偏光器52aの光透過軸の向きは、前部偏光器50aの光透過軸の向きに対して、±10°以内の精度で一致していなければならない。
【0027】
第2実施形態
図3G及び図3Hに、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態においては、前部偏光器50aの光透過軸と背部偏光器50bの光透過軸とが±10°以内の精度で平行である。この構成を好適に動作させるには、先に図1A〜図3Fに示した例に対し、液晶部材54c,54dのオン状態,オフ状態動作を逆にする必要がある。即ち、この構成では、オフ状態の液晶部材54cが入射光の偏向状態を変化させず、オン状態液晶部材54dが変化させる。また、この実施形態においては、図3Hに示すように暗状態光をリサイクルさせるには、反射型偏光器52aの光透過軸を前部偏光器50aの光透過軸及び背部偏光器50bの光透過軸双方と、一致させねばならない。図3A〜図3Dに示した第1実施形態と同様、図3G及び図3Hの実施形態においても、環境光が原因でコントラストが更に劣化するようなことはない。
【0028】
第3実施形態
図4A〜図4Dに、本発明の別の実施形態に係る液晶ディスプレイ30を示す。この実施形態においては、輝度及び効率を向上させるため、一対の反射型偏光器52a及び52bが用いられている。光に対する明状態時作用及び暗状態時作用は、ちょうど、図2A〜図2Dに示した従来の反射型偏光器利用例のそれと、図3A〜図3Dに示した本発明の実施形態のそれとを、組み合わせたものとなる。即ち、バックライトユニット56からの無偏向光はまず背部反射型偏光器52aに入射される。背部反射型偏光器52aは、そのうち一種類の偏光成分(図4A〜図4DではS偏光成分)を透過させる一方、それと直交する方向の偏光成分をバックライトユニット56方向に反射させ、それによってその偏光をリサイクルさせる。背部偏光器50bはS偏向成分を透過させ、残留しているP偏光成分があればそれを吸収する。オフ状態液晶部材54aは光の偏向状態を回転させてP偏光を出射する。この光は反射型偏光器52a更には前部偏光器50aを透過する。
【0029】
暗状態にある液晶ディスプレイ30の光に対する作用は、図4Bに示す通りである。即ち、暗状態におけるオン状態の液晶部材54bは光の偏向状態を回転させないので、図1B及び図2Bに示した従来の構成であればS偏光が前部偏光器50aに吸収されていたところ、図4A及び図4Bに示した構成においては、好ましいことに、反射型偏光器52aによってS偏光がバックライトユニット56方向に反射される。この作用によってリサイクル効果が生じ、当該反射光を明状態画素にて再利用することが可能になる。
【0030】
環境光に対する液晶ディスプレイ30の反応は、明状態では図4Cに、暗状態では図4Dに、それぞれ示す反応となる。即ち、環境光中のP偏光成分は背部偏光器50bによって吸収されるが、明状態ではS偏光成分がリサイクル、再使用される。従って、図4A〜図4Dに示した実施形態によれば、環境光の影響でコントラストが損なわれることなしに、輝度及び効率を向上させることができる。
【0031】
また、先に背景技術の欄で注記したように、前部偏光器50aの代わりに反射型偏光器を用いることは、輝度やコントラストの点で不利なことであるといわざるを得ない。図5A〜図5Dに、反射型偏光器52aが前部に配置された別の実施形態に係る液晶ディスプレイ40の構成と、その構成にて環境光がコントラストにどのような悪影響を与えるかを示す。図5A及び図5Bに示すように、この実施形態においては前部偏光器50aが用いられておらず、従って反射型偏光器52aが看者から見て一番手前に位置している。第2の反射型偏光器即ち背部反射型偏光器52bも示されているが、これを用いるのは必須ではない。明状態及び暗状態における動作は先に図3A、図3B、図4A及び図4Bを参照して説明した実施形態のそれと同様であるので、暗状態光のリサイクル効果は幾分あり、とりわけ背部反射型偏光器52bを用いた場合はその効果が強くなる。
【0032】
環境光に対しする液晶ディスプレイ40の反応は図5C及び図5Dに示す通りである。即ち、明状態でも暗状態でも反射型偏光器52によってある偏光成分が反射され、暗状態にしたい画素にその偏光成分が漏洩光として入射してしまうため、表示コントラストが劇的に劣化する。従って、前部偏光器50aなしで反射型偏光器52aを用いることは、メタリックな外観を提示できるというある種の美的アピールの実現に役立つものの、コントラスト劣化が生じるのでこの構成は最適なものではない。
【0033】
以上述べた実施形態に対しては、更に別の部材を付加して輝度やコントラストを向上させることができる。例えば、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポール所在のスリーエム社によって製造されている輝度改善膜Vikuiti(登録商標)等、既知のコリメーティング膜を付加して照明光を平行化することができる。これを狙い図3A〜図4Dに示した構成に付加する場合、そのコリメーティング膜乃至輝度改善膜はバックライトユニット56と液晶部材54a,54bの間に配するのがよいであろう。なお、好適に使用できる既知のコリメーティング膜は他にもある。
【0034】
暗状態光リサイクル
図7Aに、画素のうち複数個が暗画素14、他の複数個が明画素12となっている液晶ディスプレイ20の一部分について、その平面構造を示す。この図に示されているように、液晶ディスプレイ20上においては、ある個数割合を占める暗画素14とその残りを占める明画素12とを組み合わせることによって、個々の画像が形成される。本発明に係る装置及び方法においては、暗画素14で必要とされない光をうまく利用し、その光の一部を明画素12にリダイレクト(方向転換)させている。図7Bに、この動作のあらましを示す。この図には、オン状態液晶部材54bによって形成された暗画素14からの光がオフ状態液晶部材54aによって形成された明画素12へとどのようにリダイレクトされるかが、示されている。
【0035】
暗状態光リサイクルが実際にどのようにして行われるかを説明するため、ここで、幾つかの変数を次の通り
I0:バックライトユニット56の放射光束量
x:全画素に占める暗画素14の個数割合
1−x:全画素に占める明画素12の個数割合
T||:吸収型偏光器(前部偏光器50a及び背部偏光器50b)がその光透過軸沿いに偏光している光に対して呈する光透過率
Tlc:液晶層の光透過率(一次近似としてはオン状態でのTlcとオフ状態でのTlcは等しいと見なせる)
Tf:前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bとの間に配置される前部反射型偏光器52aの光透過率
Rf:前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bとの間に配置される前部反射型偏光器52aの光反射率
Tr:背部吸収型偏光器50bと液晶部材54a,54bとの間に配置される背部反射型偏光器52bの光透過率
Rr:背部吸収型偏光器50bと液晶部材54a,54bとの間に配置される背部反射型偏光器52bの光反射率
R:バックライトユニット56の光反射率
と定義する。
【0036】
例1:従来型の反射型偏光器配置を伴わない暗状態光リサイクル
本発明の第1実施形態における暗状態光リサイクルの効果は、図3A及び図3Bに示した光学的動作を図1A及び図1Bに示した従来の構成の光学的動作と比較することによって、明らかにすることができる。
【0037】
まず、暗状態光リサイクルが生じない図1Aの構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は、次の式
【数1】
によって与えられる(“〜”は“ほぼ等しい”の意;以下同様)。
【0038】
これに対し、暗状態光リサイクルが生じる構成、即ち反射型偏光器52aが前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bの間に配置されている構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は、ほぼ0.5I0T||2TlcTf(1−x)であり、全画素中xを占める暗画素14によって後方に反射され更にバックライトユニット56によって反射される光束の量は、ほぼ0.5I0T||2Tlc2RfRxとなる。また、バックライトユニット56によって反射された光束のうちあるものは全画素中1−xを占める明画素12にリダイレクトされ、他のものは全画素中xを占める暗画素14にリダイレクトされる。そのどちらになるかは確率的に決まる。
【0039】
以上のことから、リサイクル1巡目までを考慮して算出した明画素12の放射光束量は
【数2】
となり、同じくリサイクル2巡目までを考慮して算出した明画素12の放射光束量は
【数3】
となるので、従って、明画素12の放射光束総量は
【数4】
となる。利得は
【数5】
と定義でき、T||、Tlc、Tf、Rf及びRが理想値即ち1であるとすると利得は
【数6】
に等しくなる。この式は、xが100%に十分近ければ利得が最大利得(100%)、x=50%ならば33%、x=0%ならば0%となることを表している。暗状態光を経路沿いにリサイクルするとその光の半ばが背部偏光器50bによって吸収されるため、最大利得は100%に制限される。また、T||、Tlc、Tf、Rf及びRの現実的な値は、例えばT||〜0.95、Tlc〜0.95、Tf〜0.9、Rf〜0.95、R〜0.9といった値であり、これらの値を用いた場合、利得を表す式
【数7】
中の
【数8】
はほぼ0.7となる。
【0040】
図8A、図8B及び図8Cに、反射型偏光器52aの光透過率Tfが100%、95%及び80%(同順)の各場合について、暗画素14の個数割合xに対する利得の特性を示す。これらの図から解るように、どの場合でも、暗画素個数割合xが同じなら係数fが大きい程利得が高く、また係数fが一定なら暗画素個数割合xが高い程利得が高くなる。
【0041】
まず、図8Aに示すように、反射型偏光器52aの光透過率Tfが100%なら係数f及び暗画素個数割合xによらず利得は常に正になる。係数fが理想値=1であり暗画素個数割合xが十分に100%に近ければ、利得は100%になる。
【0042】
また、図8Bに示すように、反射型偏光器52aの光透過率Tfが100%に達しておらず例えば約95%である場合、暗画素個数割合xが小さい領域では利得は負になる。これは、暗画素14が少ない(明画素12が多い)画像では光効率が損なわれ、実際に損失が発生する可能性があることを表している。それでも、暗画素14が多い(明画素12が少ない)画像、即ち暗画素個数割合xが大きな画像であれば、利得は正になる。
【0043】
そして、図8Cに示すように、反射型偏光器52aの光透過率Tfがかなり低く例えば80%程度である場合、係数fが小さく例えば0.2程度であると、暗画素個数割合xが0〜1の範囲内のどの値を採っても利得が負になってしまう。但し、合理的に設計された液晶ディスプレイシステムならば通常はf≧0.7となる。f=0.7に係る曲線によれば、暗画素個数割合xが0.6以上なら利得は正になる。
【0044】
以上のことから理解できるように、暗状態光リサイクル利得の値はそのディスプレイに表示する画像によって変わる。この利得について更に数値的に調べるため、様々な値のf及びTfの組合せについて、x=0からx=1の範囲に亘り同一荷重で平均値を求めてみた。図9に、得られた平均利得を表形式で示す。この図から読み取れるように、利得が正になるのは上側三角形内であるので、損失が生じないようにするには係数f及びTfの値を当該上側三角形内の値にする必要がある。例えば、Tf=0.75ならf≧0.9の領域で、またTf=0.9ならf≧0.4の領域で、平均利得が正になっており、Tf=0.9、f=0.7なら約11%になっている。用いる条件が違えば平均利得が正になる係数f及びTfの範囲も異なるであろうし、また光効率上の利得も生の暗画素個数割合だけでなく画像パターン分布によって変わりうるのであるが、大雑把には、注目波長における光透過率が75%超の反射型偏光器を用いるのが望ましいといえよう。
【0045】
例2:従来型の反射型偏光器配置と組み合わせた暗状態光リサイクル
本発明の別の実施形態における暗状態光リサイクルの効果は、図4A及び図4Bに示した光学的動作を図2A及び図2Bに示した従来の構成における光学的動作と比較することによって、明らかにすることができる。
【0046】
まず、反射型偏光器52bによって従来型の偏光リサイクルは行われるが暗状態光リサイクルは生じない図2A及び図2Bの構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は、次の式の通り
【数9】
となる。
【0047】
これに対し、暗状態光リサイクルが生じる構成、即ち図4A及び図4Bに示すように反射型偏光器52aが前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bの間に配置されている構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は
【数10】
となる。従って、従来型の偏光リサイクルを行う図2A及び図2Bの構成との対比における利得は
【数11】
となり、T||、Tlc、Tf、Rf及びRが理想値即ち1であるとすると利得は
【数12】
に等しくなる。この式は、xが100%に十分近ければ利得は正の無限大、x=50%ならば50%、x=0%ならば0%となることを表している。また、T||、Tlc、Tf、Rf及びRの現実的な値は、例えばT||〜0.95、Tlc〜0.95、Tf〜0.9、Rf〜0.95、R〜0.9といった値であり、これらの値を用いた場合、利得を表す式
【数13】
中の
【数14】
はほぼ0.7となる。その場合、xが100%に十分近ければGainDSRPは200%に達し、xが50%であればGainDSRPは38%となる。
【0048】
液晶ディスプレイシステム
本発明によれば、暗状態光がリサイクルされるため、暗状態光リサイクルが生じない従来の構成に比べ液晶ディスプレイの明状態画素からより多くの光量を得ることができる。それによる輝度増分は前述の通りある程度まで暗画素個数割合xの影響を受けるが、ある特定の画素データ値を与えたとき暗画素個数割合xによらず常に一定の画素輝度レベルが得られるようにしたい場合もある。そこで、本願では、バックライトユニット56を構成する光源の輝度を暗画素個数割合xに基づき動的に調整することにより、ある特定の画素データ値に対し常に一定の画素輝度レベルが得られるようにする装置及び方法を提供する。図10に、輝度制御のために追加した部材をブロック図により示す。図中の制御用論理プロセッサ60は、受け取った画像データに基づき暗画素個数割合xを計算し、その結果に基づき変調した信号を駆動回路62に供給する。駆動回路62はこれに応じ可変値の信号をバックライトユニット56に供給し、バックライトユニット56を構成する光源の発光出力はこの駆動信号によって制御される。なお、バックライトユニット56は、駆動信号の変化に対し十分高速で応答しその発光強度を変えうるものである限り、どのような種類の光源でも構成することができる。使用できる光源の例としては、発光ダイオード(LED)やそのアレイがある。
【0049】
制御用論理プロセッサによる輝度調整は、図11にブロック図により例示する通り、簡潔な論理によるものである。即ち、データ取得ステップ100にて各画像の画像データにアクセスし、次いで暗画素個数割合計算ステップ110を実行して画像データからその暗画素個数割合を計算し、その結果に基づき輝度レベル計算ステップ120を実行して数式やルックアップテーブル等に従い輝度レベル更新値を計算し、計算したこの駆動目標値に基づき駆動信号調整ステップ130を実行しアナログ又はディジタル信号によってその駆動目標値を駆動回路62に指令する、という制御論理である。なお、この図の制御論理は、個別画像用制御に使用することができるのみならず、一連の画像の枚数に応じて繰り返されるループ制御にも使用することができる。
【0050】
反射型偏光器の種類
本発明の装置及び方法にて使用できる反射型偏光器の種類は数多くあり、例えばワイヤグリッド偏光器、円偏光器、多層干渉型偏光器等を使用できる。ワイヤグリッド偏光器は例えばアメリカ合衆国ユタ州オーレム所在のMoxtek,Incから入手でき、円偏光器の例としてはコレステリック液晶から形成された1/4波長リターダ付部品があり、多層干渉型偏光器の例としてはアメリカ合衆国ミネソタ州セントポール所在のスリーエム社が製造しているデュアル輝度改善膜Vikuiti(登録商標)がある。ワイヤグリッド偏光器とは、ガラス基板上に細い配線を形成し、その配線を電極、整列層及び反射型偏光器として機能させるものである。配線の向きは、液晶層に面する向きであってもよいし、前部偏光器に面する向きであってもよい。また、上に列記したもの以外にも、本発明で使用できる既知タイプの反射型偏光器がある。更に、反射型偏光器を液晶型光空間変調器の表面に結合させて使用すること、即ち同一の基板を共有するように反射型偏光器及び液晶型光空間変調器を構成することも可能である。反射型偏光器はその基板内に配することも基板外に配することもできる。
【0051】
最善の特性を得るには、反射型偏光器におけるリターダンスを極力小さくし、明状態画素にも暗状態画素にも悪影響が生じないようにする必要があるが、それでもリターダンスが生じる場合は、反射型偏光器の光透過軸に対しできる限り正確に平行になるよう又は直交するよう基板の光軸を配置するとよい。また、本件技術分野にて知られているように、補償膜を組み込むことによって反射型偏光器のビュー角、コントラスト、色純度等を改善することも可能である。
【0052】
以上、本発明についてその好適な実施形態を参照しつつ詳細に説明した。ご理解頂けるように、いわゆる当業者であれば、別紙特許請求の範囲により定義される本発明の技術的範囲内で、即ち前述の通り本発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な変形や改変を施すことができる。例えば、図3G及び図3Hに示したように液晶型光空間変調器の明状態時動作と暗状態時動作を反転させることもできる。また、前部偏光器50aと背部偏光器50bの間に反射型偏光器52aを設けると、前部偏光器50aや背部偏光器50bの構成を幾らか変える必要が生じるが、これは光学分野に習熟した者であれば容易に理解できることである。更に、反射型偏光器52aを液晶部材54a,54bの表面上に組み込むことによって、当該光空間変調器自体が反射型偏光部材機能を備えるようにすることもできる。
【0053】
このように、本願に記載した液晶ディスプレイは、反射型偏光器を用いて暗状態光をリサイクルさせ、それによって効率及び輝度を高めたものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備える明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図1B】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備える暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図1C】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備え環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図1D】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備え環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2A】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2B】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2C】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置されており、環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2D】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置されており、環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3A】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3B】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3C】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置されており、環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3D】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置されており、環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3E】比較例に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3F】比較例に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3G】本発明の別の実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3H】本発明の別の実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4A】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器を備える明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4B】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器を備える暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4C】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器及び液晶部材を備え、環境光が入射されている明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4D】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器及び液晶部材を備え、環境光が入射されている暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5A】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えていない明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5B】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えていない暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5C】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えておらず、環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5D】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えておらず、環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図6】本発明の各構成要素の分類、記号及び動作を示す側断面図である。
【図7A】典型的な画像における画素パターンを示す頂面図である。
【図7B】隣り合っている2個の液晶部材のうち一方がオフ、他方がオンである状態を示す模式的側断面図である。
【図8A】暗画素及び明画素の全個数割合範囲について相対効率利得を示したグラフである。
【図8B】暗画素及び明画素の全個数割合範囲について相対効率利得を示したグラフである。
【図8C】暗画素及び明画素の全個数割合範囲について相対効率利得を示したグラフである。
【図9】本発明に係る方法を用いた場合について、光透過率に対する利得計算値の関係を表形式で示す図である。
【図10】本発明の一実施形態における輝度制御部材を模式的に示すブロック図である。
【図11】バックライトユニットの輝度を全体としての画像輝度に適合させるのに使用される論理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
10,20,30,40 液晶ディスプレイ、12 明画素、14 暗画素、50a 前部吸収型偏光器、50b 背部吸収型偏光器、52a,52b 反射型偏光器、54a,54c オフ状態液晶部材、54b,54d オン状態液晶部材、56 バックライトユニット、57 反射膜、60 制御用論理プロセッサ、62 駆動回路、100 データ取得ステップ、110 暗画素個数割合計算ステップ、120 輝度レベル計算ステップ、130 駆動信号調整ステップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、偏光器を用いた液晶ディスプレイに関し、より詳細には、その前部偏光器によって吸収されてしまわないよう、暗状態光を反射型偏光器によりリサイクルさせる液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイでは、その表面に入射してくる照明光の偏向状態(polarization)を変調することによって画像を生成している。例えばバックライト型液晶ディスプレイでは、一揃いの偏光器を用い液晶による変調動作をサポートするのが普通である。使用する偏光器のうち一つは背部偏光器であり、その液晶ディスプレイの液晶型光空間変調器と、光源との間に配置される。背部偏光器は偏光(polarized light)を液晶型光空間変調器へと出射し、液晶型光空間変調器により変調された偏光は、偏光器のなかで看者の最も近くに配されており従って検光器として機能するいる偏光器、即ち前部偏光器へと出射される。また、液晶ディスプレイは複数個の画素から構成されており、各画素はその動作時に明状態(light state)及び暗状態(dark state)のうち何れかの状態をとる。明状態とは、液晶型光空間変調器により変調された光のうち、その偏向角が前部偏光器の光透過軸の向きと揃っている偏光成分が、液晶ディスプレイから出射される状態である。これに対して、暗状態とは、当該変調光の偏向角が前部偏光器の光透過軸の向きと一致していないため、光が実質的に遮られてしまい放射されない状態である。
【0003】
図6に、液晶ディスプレイの主要構成部材の概略動作を示す。図示した動作は、各画素への入射光に対する各構成部材の動作である。以下の記述においては、この図に示した記号用法及び図示手法を踏襲して図示及び説明を行うこととする。即ち、以下の説明では、P偏光を直線で、これと直交するS偏光を丸で、光入射方向はそれらに重ねた矢印で、光透過軸方向は双方向矢印又は丸で、それぞれ表すこととする。図中の偏光器50a及び50bは吸収型偏光器、即ちその偏向角が自分の光透過軸の向きと一致する偏光を透過させ、直交する偏光を吸収する偏光器である。これに対し、偏光器52a及び52bは反射型偏光器、即ちその偏向角が自分の光透過軸の向きと一致する偏光を透過させ、直交する偏光を反射する偏光器である。液晶部材54a,54bは、実質的に偏向している照明光ビームの入射を受け、それを画素毎に変調することによって、表示ビームを生成する。液晶部材にはオフ状態とオン状態とがあり、以下の説明では、入射光の偏向状態を回転させる状態をオフ状態(図中の54a)、回転させない状態をオン状態(図中の54b)と呼んでいる。また、本願においては、「液晶部材」という語を液晶型光空間変調器の構成要素となっている個々の光変調素子という意味で、「液晶型光空間変調器」という語をそれら液晶部材54a,54bのアレイという意味で、それぞれ用いている。
【0004】
また、液晶型光空間変調器による各画素の変調状態は、暗状態となるか明状態となるか、その何れかである。本願においては、画素状態について述べるときに「暗状態」「明状態」なる語を用いており、実現される画素状態ではなくて液晶部材自体の偏向作用について述べるときは上述の「オン状態」「オフ状態」なる語を用いている。
【0005】
更に重要なことに、液晶型光空間変調器の性質は種類毎に異なる。即ち、ある液晶部材がオン状態であるとき、その液晶部材により実現される画素が暗状態になるかそれとも明状態になるかは、その液晶型光空間変調器の性質によって変わる。そこで、本願では、上述の通り、
(i)その液晶部材がオン状態(54b)であるとき画素が暗状態になり、
(ii)その液晶部材がオフ状態(54a)であるとき画素が明状態になる、
という例を以て説明を行うこととする。但し、実際には、オン状態及びオフ状態と画素の明状態及び暗状態との組合せがこの例とは逆の構成にすることもできる。以下の記述のうち特記のない箇所では、図6に示しまたここで説明した取り決めに従っている。
【0006】
図1Aに、従来型液晶ディスプレイの一例構成10を示す。この図の液晶ディスプレイ10は、前部偏光器50a、液晶部材、背部偏光器50b、バックライトユニット56及び反射膜57を備えており、液晶部材はオフ状態(54a)となっている。オフ状態液晶部材54aは、丸で表されているS偏光を直線で表されるP偏光に変換し、またその逆にP偏光をS偏光に変換する。この状態では、バックライトユニット56から放射される無偏向光のうちS偏光成分だけが背部偏光器50bを透過し、透過した偏光はオフ状態液晶部材54a更には前部偏光器50aを通り抜けるので、画素は明状態となる。
【0007】
図1Bに、図1Aに示した液晶ディスプレイ10の暗状態を示す。この図の液晶部材はオン状態(54b)であり、入射光の偏向状態を変化させない。即ち、S偏光ならS偏光のまま、P偏光ならP偏光のままとする。背部偏光器50bはS偏光を透過させ、オン状態液晶部材54bはそのS偏光を透過させる。このS偏光は前部偏光器50a上の“X”部位で吸収されることとなる。
【0008】
このように、図1A及び図1Bに示した従来型液晶ディスプレイ10は機能的であるが、利用可能光量が少ないという問題がある。これは、背部偏光器50bにてP偏光が吸収されるので光エネルギがかなり無駄になり、また環境光があまり性能向上に役立っていないためである。即ち、まず図1Cに示すようにその半分が前部偏光器50aによって吸収されるので、環境光のうち液晶部材を通り抜けるのは残りの半分である。通り抜けた環境光は偏向状態を回転させるオフ状態液晶部材54aを通り抜け、更に背部偏光器50bを通り抜け、その一部が反射膜57によって反射されて、照明に再利用されることとなる。これに対し、液晶部材がオン状態(54b)であり従ってその画素が暗状態である場合は、図1Dに示すように、前部偏光器50aがP偏光を透過させ、オン状態液晶部材54bが偏向状態を変化させずにその光を透過させ、次いでS偏光でないため背部偏光器50bがその光を吸収する。従って、暗状態では環境光が前部偏光器50によって半分に減衰し、背部偏光器50bによって残り半分の大半が失われるので、環境光効果がかなり損なわれる。
【0009】
表示用照明効率を向上させる試みとしては、図2A〜図2Dに示すように、随伴する一群の偏光器の一つとして反射型偏光器52bを用いるものがある。この図の例では、バックライトユニット56からの無偏向光はまず反射型偏光器52bに送られる。反射型偏光器52bは、ある方向の偏光(図示例ではS偏光)だけを透過させ、それと直交する方向の偏光を反射する。この反射光は、バックライトユニット56、反射膜57その他のデバイス(1/4波長板、偏光解消膜等)の作用を受ける。その作用によってその偏向状態が変わるため、その反射光を照明用に再利用することができる。なお、明状態時動作及び暗状態時動作は図1A〜図1Dに示したそれと同じである。即ち、図2Aにおけるオフ状態液晶部材54は入射光の偏向状態を回転させ、前部偏光器50は自分の光透過軸の向きと同じ偏向角を有する光(ここではP偏光)を透過させる。また、図2Bにおけるオン状態液晶部材54bはS偏光を透過させ、前部偏光器50aはこれを図中の“X”にて吸収する。
【0010】
図2C及び図2Dに、環境光入射に対する反射型偏光器52bの反応を示す。環境光のうち前部偏光器50aを通り抜けるのはP偏光成分であり、この偏光はオフ状態又はオン状態の液晶部材54a,54bを通り抜ける。通り抜けた光のうちのS偏光成分は背部偏光器50b及び反射型偏光器52bを通り抜ける。反射型偏光器52bから反射されてくるP偏向環境光があればそれは背部偏光器50bによって吸収される。従って、環境光は、暗状態では前部偏光器50aにてその半分に減衰し更に背部偏光器50bによって残りの大半が失われる。そのため、環境光効果はかなり損なわれる。
【0011】
以上、図2A〜図2Dに基づき反射型偏光器を利用した従来型液晶ディスプレイの概要を説明したが、これと同様の装置について説明する特許文献は数多くある。その例としては、
「偏光素子、光学素子及び液晶ディスプレイ」(Polarizing Element, Optical Element, and Liquid Crystal Display)と題する特許文献1(発明者:Hara)、
「反射型偏光器ディスプレイ」(Reflective Polarizer Display)と題する特許文献2(発明者:Ouderkirk et al.)、
「輝度改善型反射型偏光器」(Brightness Enhancing Reflective Polarizer)と題する特許文献4(発明者:Weber et al.)、
「液晶表示装置及び電子装置」(Liquid Crystal Display Device and Electronic Apparatus)と題する特許文献5(発明者:Maeda)、
等がある。
【0012】
加えて、非特許文献1には、反射型液晶セル内で用いられ同時に偏光器、整列層及び背面電極としても機能するワイヤグリッド偏光器が記載されている。
【0013】
更に、液晶ディスプレイ内で複数種類の偏光器を用い、ディスプレイ用途に応じた特殊効果を得る手法も、幾つか知られている。例えば、「位置変更可能な前部偏光器を有する液晶ディスプレイ」(Liquid Crystal Displays with Repositionable Front Polarizers)と題する特許文献3(発明者:Kotchick et al.)には、見やすい表示になるよう、その前部偏光器を様々なタイプの偏光器から選ぶことができ、またその前部偏光器の角度や位置を変えることができる携帯型装置用液晶ディスプレイモジュールが、記載されている。同様に、「液晶ディスプレイを有する電子装置用の可換偏光器」(Interchangeable Polarizers for Electronic Devices Having a Liquid Crystal Display)と題する特許文献6(発明者:Sahouani et al.)には、様々な種類の前部偏光器を取り付けたり取り外したりすることができ、それによって狙った表示効果を得る装置構成が、記載されている。これらの文献にも示されているように、従来の常識からすれば、照明用光源たるバックライトユニット56と、背部偏光器50bとの間に反射型偏光器52bを配し、それによって輝度及び効率を改善させる図2A〜図2Dの構成が望ましい。特許文献3及び6に記載されている種々の実施形態のなかには、液晶ディスプレイ用前部偏光器として反射型偏光器を用いた構成が含まれているが、従来の常識からすれば、液晶部材54a,54bから見て看者側で反射型偏光器を用いることは明らかに望ましくない。これは、前部偏光器として反射型偏光器を用いるとコントラスト比が格段に損なわれ、それによって輝度向上効果が全く打ち消されるからである。前部偏光器として反射型偏光器を用いることが望ましいといえるのは、高々、メタリックな表示外観を得たい場合だけであろう。実際、重要なことに、特許文献3及び6の何れにおいても、特殊な表示効果であるメタリック表示を意図的に発生させたい場合を除けばかかる構成は望ましくないものであることが多い旨、(輝度や効率の向上とは関わりなく)強調されている。
【0014】
【特許文献1】米国特許第6661482号明細書
【特許文献2】米国特許第5828488号明細書
【特許文献3】米国特許第6642977号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0164914号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0061812号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0016316号明細書
【非特許文献1】"Twisted Nematic Reflective Display with Internal Wire Grid Polarizer", by T. Sergan et al., SID 02 Digest, pp.514-517 (P-81)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図2A〜図2Dに示した従来の用法、即ち上掲の特許文献に記載の通り反射型偏光器を照明用光源と背部偏光器に配するという用法は、液晶ディスプレイの輝度及び効率を向上させるのには役立つが、液晶ディスプレイの用途範囲を更に拡張するにはそれでは足りない。用途範囲拡張には、表示輝度を更に向上させること、しかもそれを従来構成に対するコスト増や構成複雑化を伴うことなく達成することが、必要である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイの輝度及び効率を向上させるため、
(a)実質無偏向照明光を供給するバックライトユニットと、
(b)バックライトユニット近傍に配置され入射してくる実質無偏向照明光を受光し実質偏向照明光を出射する背部偏光器と、
(c)実質偏向照明光の偏向状態を選択的に且つ画素毎に変調することにより表示ビームを生成する液晶型光空間変調器と、
(d)液晶型光空間変調器と前部偏光器との間に配置され暗状態光の一部をバックライトユニット方向に反射する反射型偏光器と、
を備える。
【0017】
本発明の特徴の一つは、暗状態光を反射させて再使用することができるよう、画像表示ビーム経路内に反射型偏光器を配したことにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果の一つは、従来の構成と比べ液晶表示輝度及び効率が格段によくなることにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の構成要件は、本願に添付されている特許請求の範囲による明確で且つ疑義なき記載の通りであるが、より好適に理解できるようにすべく以下別紙図面を参照しながら説明する。
【0020】
以下の説明は、とりわけ、本発明に係る装置の構成部分や本発明に係る装置と密接に関連する部分についての説明である。説明中で仔細に図示乃至説明しなかった要素については、本源技術分野における習熟者(いわゆる当業者)にとり周知である様々な形態を採りうることを、ご了解頂きたい。
【0021】
本発明に係る装置及び方法は、1個又は複数個の反射型偏光器を用いて暗状態光をリサイクルさせることにより、液晶ディスプレイにて得られる輝度及び効率を向上させるものである。
【0022】
第1実施形態
図3A及び図3Bに、本発明の一実施形態に係る液晶ディスプレイ20の明状態及び暗状態(同順)を示す。この実施形態においては、反射型偏光器52aが液晶部材54a,54bと前部偏光器50aとの間に配置されている。背部偏光器50bの光透過軸と前部偏光器50の光透過軸は、±10°以内の精度で直交している。また、図1A〜図1D及び図2A〜図2Dに示した説明上の取り決めに従い、P偏光をS偏光にまたS偏光をP偏光にそれぞれ変換する液晶部材を以て、オフ状態液晶部材54aとしている。更に、反射型偏光器52aの光透過軸は前部偏光器50aの光透過軸と平行である。そして、反射型偏光器52aによりリサイクルに回される光は、前部偏光器50aの光透過軸と直交する方向の偏光である。
【0023】
光に対する液晶ディスプレイ20の作用は、明状態の場合図3Aに示す通りとなる。即ち、バックライトユニット56から背部偏光器50bに無偏向光が入射されると、背部偏光器50bはS偏光成分を透過させる一方でP偏光成分を吸収する。オフ状態液晶部材54aはその光の偏向状態を回転させ、P偏光を出射する。この光は次いで反射型偏光器52a更には前部偏光器50aを透過する。従って、明状態においては、反射型偏光器52aは単に所期通りの光を透過させるだけである。
【0024】
これに対し、暗状態の場合は、光に対する液晶ディスプレイ20の作用は図3Bに示す通りとなる。即ち、オン状態液晶部材54bは入射光の偏向状態を回転させないで透過させ、図3A及び図3Bにおける新規な構成である反射型偏光器52aは、このS偏光を全て、バックライトユニット56方向に反射する。先に説明した図1B及び図2Bの構成では、暗状態でオン状態液晶部材54bから出射されるS偏光が前部偏光器50aによって吸収されていたことを、想起されたい。この反射型偏光器52aの動作には、リサイクル効果、即ちある画素の暗状態光を明状態にある他の画素で再利用可能にする、という効果がある。例えば図7Bに示すように、液晶ディスプレイ20のうちオフ状態液晶部材54aとオン状態液晶部材54bとが隣り合っている箇所では、両者の動作が好適に噛み合う。
【0025】
図3C及び図3Dに、環境光に対する液晶ディスプレイ20の反応を示す。先に図1C、図1D、図2C及び図2Dを参照して説明したように、前部偏光器50aはS偏光を吸収する一方P偏光を透過させる。反射型偏光器52aもこれと同じくP偏光を透過させるので、環境光に対する反応は図1C、図1D、図2C及び図2Dに示したものと基本的に違いがない。このことから理解できるように、液晶部材54a,54bと前部偏光器50aの間に反射型偏光器52aを配して暗状態光の一部をリサイクルさせるに当たり、環境光によりコントラストが更に劣化するようなこともない。
【0026】
また、図3A〜図3Dに示した構成においては、反射型偏光器52aの光透過軸が前部偏光器50aの光透過軸と平行である。これに対して、図3E及び図3Fに示すように反射型偏光器52aの光透過軸を前部偏光器50aの光透過軸と直交させた場合、図中の光経路や偏向状態から理解できるように、最適とはいい難い構成となる。即ち、明状態においては反射型偏光器52aがP偏光を反射するので光が放射されず、暗状態においては前部偏光器50aがS偏光を吸収するので反射光が再利用されることもない。こうしたことから理解できるように、反射型偏光器52aの光透過軸の向きは、前部偏光器50aの光透過軸の向きに対して、±10°以内の精度で一致していなければならない。
【0027】
第2実施形態
図3G及び図3Hに、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態においては、前部偏光器50aの光透過軸と背部偏光器50bの光透過軸とが±10°以内の精度で平行である。この構成を好適に動作させるには、先に図1A〜図3Fに示した例に対し、液晶部材54c,54dのオン状態,オフ状態動作を逆にする必要がある。即ち、この構成では、オフ状態の液晶部材54cが入射光の偏向状態を変化させず、オン状態液晶部材54dが変化させる。また、この実施形態においては、図3Hに示すように暗状態光をリサイクルさせるには、反射型偏光器52aの光透過軸を前部偏光器50aの光透過軸及び背部偏光器50bの光透過軸双方と、一致させねばならない。図3A〜図3Dに示した第1実施形態と同様、図3G及び図3Hの実施形態においても、環境光が原因でコントラストが更に劣化するようなことはない。
【0028】
第3実施形態
図4A〜図4Dに、本発明の別の実施形態に係る液晶ディスプレイ30を示す。この実施形態においては、輝度及び効率を向上させるため、一対の反射型偏光器52a及び52bが用いられている。光に対する明状態時作用及び暗状態時作用は、ちょうど、図2A〜図2Dに示した従来の反射型偏光器利用例のそれと、図3A〜図3Dに示した本発明の実施形態のそれとを、組み合わせたものとなる。即ち、バックライトユニット56からの無偏向光はまず背部反射型偏光器52aに入射される。背部反射型偏光器52aは、そのうち一種類の偏光成分(図4A〜図4DではS偏光成分)を透過させる一方、それと直交する方向の偏光成分をバックライトユニット56方向に反射させ、それによってその偏光をリサイクルさせる。背部偏光器50bはS偏向成分を透過させ、残留しているP偏光成分があればそれを吸収する。オフ状態液晶部材54aは光の偏向状態を回転させてP偏光を出射する。この光は反射型偏光器52a更には前部偏光器50aを透過する。
【0029】
暗状態にある液晶ディスプレイ30の光に対する作用は、図4Bに示す通りである。即ち、暗状態におけるオン状態の液晶部材54bは光の偏向状態を回転させないので、図1B及び図2Bに示した従来の構成であればS偏光が前部偏光器50aに吸収されていたところ、図4A及び図4Bに示した構成においては、好ましいことに、反射型偏光器52aによってS偏光がバックライトユニット56方向に反射される。この作用によってリサイクル効果が生じ、当該反射光を明状態画素にて再利用することが可能になる。
【0030】
環境光に対する液晶ディスプレイ30の反応は、明状態では図4Cに、暗状態では図4Dに、それぞれ示す反応となる。即ち、環境光中のP偏光成分は背部偏光器50bによって吸収されるが、明状態ではS偏光成分がリサイクル、再使用される。従って、図4A〜図4Dに示した実施形態によれば、環境光の影響でコントラストが損なわれることなしに、輝度及び効率を向上させることができる。
【0031】
また、先に背景技術の欄で注記したように、前部偏光器50aの代わりに反射型偏光器を用いることは、輝度やコントラストの点で不利なことであるといわざるを得ない。図5A〜図5Dに、反射型偏光器52aが前部に配置された別の実施形態に係る液晶ディスプレイ40の構成と、その構成にて環境光がコントラストにどのような悪影響を与えるかを示す。図5A及び図5Bに示すように、この実施形態においては前部偏光器50aが用いられておらず、従って反射型偏光器52aが看者から見て一番手前に位置している。第2の反射型偏光器即ち背部反射型偏光器52bも示されているが、これを用いるのは必須ではない。明状態及び暗状態における動作は先に図3A、図3B、図4A及び図4Bを参照して説明した実施形態のそれと同様であるので、暗状態光のリサイクル効果は幾分あり、とりわけ背部反射型偏光器52bを用いた場合はその効果が強くなる。
【0032】
環境光に対しする液晶ディスプレイ40の反応は図5C及び図5Dに示す通りである。即ち、明状態でも暗状態でも反射型偏光器52によってある偏光成分が反射され、暗状態にしたい画素にその偏光成分が漏洩光として入射してしまうため、表示コントラストが劇的に劣化する。従って、前部偏光器50aなしで反射型偏光器52aを用いることは、メタリックな外観を提示できるというある種の美的アピールの実現に役立つものの、コントラスト劣化が生じるのでこの構成は最適なものではない。
【0033】
以上述べた実施形態に対しては、更に別の部材を付加して輝度やコントラストを向上させることができる。例えば、アメリカ合衆国ミネソタ州セントポール所在のスリーエム社によって製造されている輝度改善膜Vikuiti(登録商標)等、既知のコリメーティング膜を付加して照明光を平行化することができる。これを狙い図3A〜図4Dに示した構成に付加する場合、そのコリメーティング膜乃至輝度改善膜はバックライトユニット56と液晶部材54a,54bの間に配するのがよいであろう。なお、好適に使用できる既知のコリメーティング膜は他にもある。
【0034】
暗状態光リサイクル
図7Aに、画素のうち複数個が暗画素14、他の複数個が明画素12となっている液晶ディスプレイ20の一部分について、その平面構造を示す。この図に示されているように、液晶ディスプレイ20上においては、ある個数割合を占める暗画素14とその残りを占める明画素12とを組み合わせることによって、個々の画像が形成される。本発明に係る装置及び方法においては、暗画素14で必要とされない光をうまく利用し、その光の一部を明画素12にリダイレクト(方向転換)させている。図7Bに、この動作のあらましを示す。この図には、オン状態液晶部材54bによって形成された暗画素14からの光がオフ状態液晶部材54aによって形成された明画素12へとどのようにリダイレクトされるかが、示されている。
【0035】
暗状態光リサイクルが実際にどのようにして行われるかを説明するため、ここで、幾つかの変数を次の通り
I0:バックライトユニット56の放射光束量
x:全画素に占める暗画素14の個数割合
1−x:全画素に占める明画素12の個数割合
T||:吸収型偏光器(前部偏光器50a及び背部偏光器50b)がその光透過軸沿いに偏光している光に対して呈する光透過率
Tlc:液晶層の光透過率(一次近似としてはオン状態でのTlcとオフ状態でのTlcは等しいと見なせる)
Tf:前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bとの間に配置される前部反射型偏光器52aの光透過率
Rf:前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bとの間に配置される前部反射型偏光器52aの光反射率
Tr:背部吸収型偏光器50bと液晶部材54a,54bとの間に配置される背部反射型偏光器52bの光透過率
Rr:背部吸収型偏光器50bと液晶部材54a,54bとの間に配置される背部反射型偏光器52bの光反射率
R:バックライトユニット56の光反射率
と定義する。
【0036】
例1:従来型の反射型偏光器配置を伴わない暗状態光リサイクル
本発明の第1実施形態における暗状態光リサイクルの効果は、図3A及び図3Bに示した光学的動作を図1A及び図1Bに示した従来の構成の光学的動作と比較することによって、明らかにすることができる。
【0037】
まず、暗状態光リサイクルが生じない図1Aの構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は、次の式
【数1】
によって与えられる(“〜”は“ほぼ等しい”の意;以下同様)。
【0038】
これに対し、暗状態光リサイクルが生じる構成、即ち反射型偏光器52aが前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bの間に配置されている構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は、ほぼ0.5I0T||2TlcTf(1−x)であり、全画素中xを占める暗画素14によって後方に反射され更にバックライトユニット56によって反射される光束の量は、ほぼ0.5I0T||2Tlc2RfRxとなる。また、バックライトユニット56によって反射された光束のうちあるものは全画素中1−xを占める明画素12にリダイレクトされ、他のものは全画素中xを占める暗画素14にリダイレクトされる。そのどちらになるかは確率的に決まる。
【0039】
以上のことから、リサイクル1巡目までを考慮して算出した明画素12の放射光束量は
【数2】
となり、同じくリサイクル2巡目までを考慮して算出した明画素12の放射光束量は
【数3】
となるので、従って、明画素12の放射光束総量は
【数4】
となる。利得は
【数5】
と定義でき、T||、Tlc、Tf、Rf及びRが理想値即ち1であるとすると利得は
【数6】
に等しくなる。この式は、xが100%に十分近ければ利得が最大利得(100%)、x=50%ならば33%、x=0%ならば0%となることを表している。暗状態光を経路沿いにリサイクルするとその光の半ばが背部偏光器50bによって吸収されるため、最大利得は100%に制限される。また、T||、Tlc、Tf、Rf及びRの現実的な値は、例えばT||〜0.95、Tlc〜0.95、Tf〜0.9、Rf〜0.95、R〜0.9といった値であり、これらの値を用いた場合、利得を表す式
【数7】
中の
【数8】
はほぼ0.7となる。
【0040】
図8A、図8B及び図8Cに、反射型偏光器52aの光透過率Tfが100%、95%及び80%(同順)の各場合について、暗画素14の個数割合xに対する利得の特性を示す。これらの図から解るように、どの場合でも、暗画素個数割合xが同じなら係数fが大きい程利得が高く、また係数fが一定なら暗画素個数割合xが高い程利得が高くなる。
【0041】
まず、図8Aに示すように、反射型偏光器52aの光透過率Tfが100%なら係数f及び暗画素個数割合xによらず利得は常に正になる。係数fが理想値=1であり暗画素個数割合xが十分に100%に近ければ、利得は100%になる。
【0042】
また、図8Bに示すように、反射型偏光器52aの光透過率Tfが100%に達しておらず例えば約95%である場合、暗画素個数割合xが小さい領域では利得は負になる。これは、暗画素14が少ない(明画素12が多い)画像では光効率が損なわれ、実際に損失が発生する可能性があることを表している。それでも、暗画素14が多い(明画素12が少ない)画像、即ち暗画素個数割合xが大きな画像であれば、利得は正になる。
【0043】
そして、図8Cに示すように、反射型偏光器52aの光透過率Tfがかなり低く例えば80%程度である場合、係数fが小さく例えば0.2程度であると、暗画素個数割合xが0〜1の範囲内のどの値を採っても利得が負になってしまう。但し、合理的に設計された液晶ディスプレイシステムならば通常はf≧0.7となる。f=0.7に係る曲線によれば、暗画素個数割合xが0.6以上なら利得は正になる。
【0044】
以上のことから理解できるように、暗状態光リサイクル利得の値はそのディスプレイに表示する画像によって変わる。この利得について更に数値的に調べるため、様々な値のf及びTfの組合せについて、x=0からx=1の範囲に亘り同一荷重で平均値を求めてみた。図9に、得られた平均利得を表形式で示す。この図から読み取れるように、利得が正になるのは上側三角形内であるので、損失が生じないようにするには係数f及びTfの値を当該上側三角形内の値にする必要がある。例えば、Tf=0.75ならf≧0.9の領域で、またTf=0.9ならf≧0.4の領域で、平均利得が正になっており、Tf=0.9、f=0.7なら約11%になっている。用いる条件が違えば平均利得が正になる係数f及びTfの範囲も異なるであろうし、また光効率上の利得も生の暗画素個数割合だけでなく画像パターン分布によって変わりうるのであるが、大雑把には、注目波長における光透過率が75%超の反射型偏光器を用いるのが望ましいといえよう。
【0045】
例2:従来型の反射型偏光器配置と組み合わせた暗状態光リサイクル
本発明の別の実施形態における暗状態光リサイクルの効果は、図4A及び図4Bに示した光学的動作を図2A及び図2Bに示した従来の構成における光学的動作と比較することによって、明らかにすることができる。
【0046】
まず、反射型偏光器52bによって従来型の偏光リサイクルは行われるが暗状態光リサイクルは生じない図2A及び図2Bの構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は、次の式の通り
【数9】
となる。
【0047】
これに対し、暗状態光リサイクルが生じる構成、即ち図4A及び図4Bに示すように反射型偏光器52aが前部吸収型偏光器50aと液晶部材54a,54bの間に配置されている構成においては、全画素中1−xを占める明画素12からの放射光束量は
【数10】
となる。従って、従来型の偏光リサイクルを行う図2A及び図2Bの構成との対比における利得は
【数11】
となり、T||、Tlc、Tf、Rf及びRが理想値即ち1であるとすると利得は
【数12】
に等しくなる。この式は、xが100%に十分近ければ利得は正の無限大、x=50%ならば50%、x=0%ならば0%となることを表している。また、T||、Tlc、Tf、Rf及びRの現実的な値は、例えばT||〜0.95、Tlc〜0.95、Tf〜0.9、Rf〜0.95、R〜0.9といった値であり、これらの値を用いた場合、利得を表す式
【数13】
中の
【数14】
はほぼ0.7となる。その場合、xが100%に十分近ければGainDSRPは200%に達し、xが50%であればGainDSRPは38%となる。
【0048】
液晶ディスプレイシステム
本発明によれば、暗状態光がリサイクルされるため、暗状態光リサイクルが生じない従来の構成に比べ液晶ディスプレイの明状態画素からより多くの光量を得ることができる。それによる輝度増分は前述の通りある程度まで暗画素個数割合xの影響を受けるが、ある特定の画素データ値を与えたとき暗画素個数割合xによらず常に一定の画素輝度レベルが得られるようにしたい場合もある。そこで、本願では、バックライトユニット56を構成する光源の輝度を暗画素個数割合xに基づき動的に調整することにより、ある特定の画素データ値に対し常に一定の画素輝度レベルが得られるようにする装置及び方法を提供する。図10に、輝度制御のために追加した部材をブロック図により示す。図中の制御用論理プロセッサ60は、受け取った画像データに基づき暗画素個数割合xを計算し、その結果に基づき変調した信号を駆動回路62に供給する。駆動回路62はこれに応じ可変値の信号をバックライトユニット56に供給し、バックライトユニット56を構成する光源の発光出力はこの駆動信号によって制御される。なお、バックライトユニット56は、駆動信号の変化に対し十分高速で応答しその発光強度を変えうるものである限り、どのような種類の光源でも構成することができる。使用できる光源の例としては、発光ダイオード(LED)やそのアレイがある。
【0049】
制御用論理プロセッサによる輝度調整は、図11にブロック図により例示する通り、簡潔な論理によるものである。即ち、データ取得ステップ100にて各画像の画像データにアクセスし、次いで暗画素個数割合計算ステップ110を実行して画像データからその暗画素個数割合を計算し、その結果に基づき輝度レベル計算ステップ120を実行して数式やルックアップテーブル等に従い輝度レベル更新値を計算し、計算したこの駆動目標値に基づき駆動信号調整ステップ130を実行しアナログ又はディジタル信号によってその駆動目標値を駆動回路62に指令する、という制御論理である。なお、この図の制御論理は、個別画像用制御に使用することができるのみならず、一連の画像の枚数に応じて繰り返されるループ制御にも使用することができる。
【0050】
反射型偏光器の種類
本発明の装置及び方法にて使用できる反射型偏光器の種類は数多くあり、例えばワイヤグリッド偏光器、円偏光器、多層干渉型偏光器等を使用できる。ワイヤグリッド偏光器は例えばアメリカ合衆国ユタ州オーレム所在のMoxtek,Incから入手でき、円偏光器の例としてはコレステリック液晶から形成された1/4波長リターダ付部品があり、多層干渉型偏光器の例としてはアメリカ合衆国ミネソタ州セントポール所在のスリーエム社が製造しているデュアル輝度改善膜Vikuiti(登録商標)がある。ワイヤグリッド偏光器とは、ガラス基板上に細い配線を形成し、その配線を電極、整列層及び反射型偏光器として機能させるものである。配線の向きは、液晶層に面する向きであってもよいし、前部偏光器に面する向きであってもよい。また、上に列記したもの以外にも、本発明で使用できる既知タイプの反射型偏光器がある。更に、反射型偏光器を液晶型光空間変調器の表面に結合させて使用すること、即ち同一の基板を共有するように反射型偏光器及び液晶型光空間変調器を構成することも可能である。反射型偏光器はその基板内に配することも基板外に配することもできる。
【0051】
最善の特性を得るには、反射型偏光器におけるリターダンスを極力小さくし、明状態画素にも暗状態画素にも悪影響が生じないようにする必要があるが、それでもリターダンスが生じる場合は、反射型偏光器の光透過軸に対しできる限り正確に平行になるよう又は直交するよう基板の光軸を配置するとよい。また、本件技術分野にて知られているように、補償膜を組み込むことによって反射型偏光器のビュー角、コントラスト、色純度等を改善することも可能である。
【0052】
以上、本発明についてその好適な実施形態を参照しつつ詳細に説明した。ご理解頂けるように、いわゆる当業者であれば、別紙特許請求の範囲により定義される本発明の技術的範囲内で、即ち前述の通り本発明の技術的範囲から逸脱することなく、様々な変形や改変を施すことができる。例えば、図3G及び図3Hに示したように液晶型光空間変調器の明状態時動作と暗状態時動作を反転させることもできる。また、前部偏光器50aと背部偏光器50bの間に反射型偏光器52aを設けると、前部偏光器50aや背部偏光器50bの構成を幾らか変える必要が生じるが、これは光学分野に習熟した者であれば容易に理解できることである。更に、反射型偏光器52aを液晶部材54a,54bの表面上に組み込むことによって、当該光空間変調器自体が反射型偏光部材機能を備えるようにすることもできる。
【0053】
このように、本願に記載した液晶ディスプレイは、反射型偏光器を用いて暗状態光をリサイクルさせ、それによって効率及び輝度を高めたものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備える明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図1B】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備える暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図1C】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備え環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図1D】液晶部材並びに前部及び背部偏光器を備え環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2A】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2B】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2C】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置されており、環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図2D】液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が従来式に配置されており、環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3A】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3B】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3C】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置されており、環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3D】本発明の第1実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置されており、環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3E】比較例に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3F】比較例に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3G】本発明の別の実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図3H】本発明の別の実施形態に係り、液晶部材並びに前部、背部及び反射型偏光器を備え、反射型偏光器が前部偏光器と液晶部材の間に配置された暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4A】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器を備える明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4B】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器を備える暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4C】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器及び液晶部材を備え、環境光が入射されている明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図4D】本発明の別の実施形態に係り、更に背部偏光器とバックライトユニットの間に配置された第2反射型偏光器及び液晶部材を備え、環境光が入射されている暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5A】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えていない明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5B】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えていない暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5C】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えておらず、環境光が入射している明状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図5D】比較例に係り、バックライト用及び環境光用反射型偏光器を備えているが前部偏光器を備えておらず、環境光が入射している暗状態の液晶ディスプレイを示す模式的側断面図である。
【図6】本発明の各構成要素の分類、記号及び動作を示す側断面図である。
【図7A】典型的な画像における画素パターンを示す頂面図である。
【図7B】隣り合っている2個の液晶部材のうち一方がオフ、他方がオンである状態を示す模式的側断面図である。
【図8A】暗画素及び明画素の全個数割合範囲について相対効率利得を示したグラフである。
【図8B】暗画素及び明画素の全個数割合範囲について相対効率利得を示したグラフである。
【図8C】暗画素及び明画素の全個数割合範囲について相対効率利得を示したグラフである。
【図9】本発明に係る方法を用いた場合について、光透過率に対する利得計算値の関係を表形式で示す図である。
【図10】本発明の一実施形態における輝度制御部材を模式的に示すブロック図である。
【図11】バックライトユニットの輝度を全体としての画像輝度に適合させるのに使用される論理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
10,20,30,40 液晶ディスプレイ、12 明画素、14 暗画素、50a 前部吸収型偏光器、50b 背部吸収型偏光器、52a,52b 反射型偏光器、54a,54c オフ状態液晶部材、54b,54d オン状態液晶部材、56 バックライトユニット、57 反射膜、60 制御用論理プロセッサ、62 駆動回路、100 データ取得ステップ、110 暗画素個数割合計算ステップ、120 輝度レベル計算ステップ、130 駆動信号調整ステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)実質無偏向照明光を供給するバックライトユニットと、
(b)バックライトユニット近傍に配置され入射してくる実質無偏向照明光を受光し実質偏向照明光を出射する背部偏光器と、
(c)実質偏向照明光の偏向状態を選択的に且つ画素毎に変調することにより表示ビームを生成する液晶型光空間変調器と、
(d)液晶型光空間変調器と前部偏光器との間に配置され暗状態光の一部をバックライトユニット方向に反射する反射型偏光器と、
を備える液晶ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器が液晶型光空間変調器の表面に結合された液晶ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器の光透過率が75%超である液晶ディスプレイ。
【請求項4】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、背部偏光器とバックライトユニットとの間に配置された第2の反射型偏光器を備える液晶ディスプレイ。
【請求項5】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、背部偏光器とバックライトユニットとの間に配置されたコリメーティング膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項6】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、補償膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項7】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項8】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で直交する液晶ディスプレイ。
【請求項9】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と反射型偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項10】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器がワイヤグリッド偏光器である液晶ディスプレイ。
【請求項11】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器が多層干渉型偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項12】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器が1/4波長リターダ付の円偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項13】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、バックライトユニットがその出力を制御可能な少なくとも1個の光源を備える液晶ディスプレイ。
【請求項14】
請求項13記載の液晶ディスプレイであって、光源が1個又は複数個の発光ダイオードを含む液晶ディスプレイ。
【請求項15】
(a)実質無偏向照明光を供給するバックライトユニットと、
(b)バックライトユニットからの実質無偏向照明光のうちその光透過軸に対し(i)平行方向の偏光成分は出射し(ii)直交方向の偏光成分は反射する第1反射型偏光器と、
(c)第1反射型偏光器から出射された偏向照明光を受光する背部偏光器と、
(d)上記偏向照明光を選択的に且つ画素毎に変調することにより画像を生成する液晶型光空間変調器と、
(e)液晶型光空間変調器と前部偏光器との間に配置され液晶型光空間変調器からの暗状態光の一部をバックライトユニット方向に反射する第2反射型偏光器と、
を備える液晶ディスプレイ。
【請求項16】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器が液晶型光空間変調器の表面に結合された液晶ディスプレイ。
【請求項17】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器の光透過率が75%超である液晶ディスプレイ。
【請求項18】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、背部偏光器とバックライトユニットとの間に配置されたコリメーティング膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項19】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、補償膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項20】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項21】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で直交する液晶ディスプレイ。
【請求項22】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と第2反射型偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項23】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第1反射型偏光器がワイヤグリッド偏光器である液晶ディスプレイ。
【請求項24】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器がワイヤグリッド偏光器である液晶ディスプレイ。
【請求項25】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器が多層干渉型偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項26】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器が1/4波長リターダ付の円偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項27】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、バックライトユニットがその出力を制御可能な少なくとも1個の光源を有する液晶ディスプレイ。
【請求項28】
請求項27記載の液晶ディスプレイであって、光源が1個又は複数個の発光ダイオードを含む液晶ディスプレイ。
【請求項29】
a)透過型液晶表示部材にバックライト照明光を供給し、
b)画像データに従いバックライト照明光の偏向状態を画素毎に変調することにより画像ビームを生成し、
c)画像ビーム経路内に反射型偏光器を配置し、
d)画像データに基づき暗画素と明画素の個数割合を調べ、
e)表示されている画像の暗画素と明画素の個数割合に基づきバックライト照明光の輝度レベルを変調する、
表示輝度調整方法。
【請求項30】
請求項29記載の表示輝度調整方法であって、バックライト照明光の輝度レベルを変調する際に、光源に供給する駆動電流を変化させてその光源を制御する表示輝度調整方法。
【請求項31】
請求項29記載の表示輝度調整方法であって、光源が1個又は複数個の発光ダイオードを含む表示輝度調整方法。
【請求項1】
(a)実質無偏向照明光を供給するバックライトユニットと、
(b)バックライトユニット近傍に配置され入射してくる実質無偏向照明光を受光し実質偏向照明光を出射する背部偏光器と、
(c)実質偏向照明光の偏向状態を選択的に且つ画素毎に変調することにより表示ビームを生成する液晶型光空間変調器と、
(d)液晶型光空間変調器と前部偏光器との間に配置され暗状態光の一部をバックライトユニット方向に反射する反射型偏光器と、
を備える液晶ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器が液晶型光空間変調器の表面に結合された液晶ディスプレイ。
【請求項3】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器の光透過率が75%超である液晶ディスプレイ。
【請求項4】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、背部偏光器とバックライトユニットとの間に配置された第2の反射型偏光器を備える液晶ディスプレイ。
【請求項5】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、背部偏光器とバックライトユニットとの間に配置されたコリメーティング膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項6】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、補償膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項7】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項8】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で直交する液晶ディスプレイ。
【請求項9】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と反射型偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項10】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器がワイヤグリッド偏光器である液晶ディスプレイ。
【請求項11】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器が多層干渉型偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項12】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、反射型偏光器が1/4波長リターダ付の円偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項13】
請求項1記載の液晶ディスプレイであって、バックライトユニットがその出力を制御可能な少なくとも1個の光源を備える液晶ディスプレイ。
【請求項14】
請求項13記載の液晶ディスプレイであって、光源が1個又は複数個の発光ダイオードを含む液晶ディスプレイ。
【請求項15】
(a)実質無偏向照明光を供給するバックライトユニットと、
(b)バックライトユニットからの実質無偏向照明光のうちその光透過軸に対し(i)平行方向の偏光成分は出射し(ii)直交方向の偏光成分は反射する第1反射型偏光器と、
(c)第1反射型偏光器から出射された偏向照明光を受光する背部偏光器と、
(d)上記偏向照明光を選択的に且つ画素毎に変調することにより画像を生成する液晶型光空間変調器と、
(e)液晶型光空間変調器と前部偏光器との間に配置され液晶型光空間変調器からの暗状態光の一部をバックライトユニット方向に反射する第2反射型偏光器と、
を備える液晶ディスプレイ。
【請求項16】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器が液晶型光空間変調器の表面に結合された液晶ディスプレイ。
【請求項17】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器の光透過率が75%超である液晶ディスプレイ。
【請求項18】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、背部偏光器とバックライトユニットとの間に配置されたコリメーティング膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項19】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、補償膜を備える液晶ディスプレイ。
【請求項20】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項21】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と背部偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で直交する液晶ディスプレイ。
【請求項22】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、前部偏光器の光透過軸と第2反射型偏光器の光透過軸が±10°以内の精度で平行である液晶ディスプレイ。
【請求項23】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第1反射型偏光器がワイヤグリッド偏光器である液晶ディスプレイ。
【請求項24】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器がワイヤグリッド偏光器である液晶ディスプレイ。
【請求項25】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器が多層干渉型偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項26】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、第2反射型偏光器が1/4波長リターダ付の円偏光器を含む液晶ディスプレイ。
【請求項27】
請求項15記載の液晶ディスプレイであって、バックライトユニットがその出力を制御可能な少なくとも1個の光源を有する液晶ディスプレイ。
【請求項28】
請求項27記載の液晶ディスプレイであって、光源が1個又は複数個の発光ダイオードを含む液晶ディスプレイ。
【請求項29】
a)透過型液晶表示部材にバックライト照明光を供給し、
b)画像データに従いバックライト照明光の偏向状態を画素毎に変調することにより画像ビームを生成し、
c)画像ビーム経路内に反射型偏光器を配置し、
d)画像データに基づき暗画素と明画素の個数割合を調べ、
e)表示されている画像の暗画素と明画素の個数割合に基づきバックライト照明光の輝度レベルを変調する、
表示輝度調整方法。
【請求項30】
請求項29記載の表示輝度調整方法であって、バックライト照明光の輝度レベルを変調する際に、光源に供給する駆動電流を変化させてその光源を制御する表示輝度調整方法。
【請求項31】
請求項29記載の表示輝度調整方法であって、光源が1個又は複数個の発光ダイオードを含む表示輝度調整方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−512731(P2008−512731A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531426(P2007−531426)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032423
【国際公開番号】WO2006/031734
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(307010188)ローム アンド ハース デンマーク ファイナンス エーエス (51)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032423
【国際公開番号】WO2006/031734
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(307010188)ローム アンド ハース デンマーク ファイナンス エーエス (51)
【Fターム(参考)】
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