曲がりパイプ製造装置
【課題】角パイプ素材の自動供給技術を提供することを課題とする。
【解決手段】図(b)に示すように、中子芯金31が傾いているとする。中子芯金31の傾きに対応して(a)に示すように、ブロック部材34が傾いている。対策として、(c)に示すように、シリンダ37を作動させ、ピストンロッド37aを前進させる。弾性体39及びディスク38を介してピストンロッド37aで平坦面34aが押され、この平坦面34aが水平になる。(d)に示すように、中子芯金31は水平になる。
【効果】中子芯金を所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、備えられている。材料台車上の角パイプ素材と中子芯金の姿勢が合っているため、角パイプ素材を材料台車からパイプベンダーへ移動するだけで、角パイプ素材を中子芯金に被せることができる。角パイプ素材の自動供給が可能となる。
【解決手段】図(b)に示すように、中子芯金31が傾いているとする。中子芯金31の傾きに対応して(a)に示すように、ブロック部材34が傾いている。対策として、(c)に示すように、シリンダ37を作動させ、ピストンロッド37aを前進させる。弾性体39及びディスク38を介してピストンロッド37aで平坦面34aが押され、この平坦面34aが水平になる。(d)に示すように、中子芯金31は水平になる。
【効果】中子芯金を所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、備えられている。材料台車上の角パイプ素材と中子芯金の姿勢が合っているため、角パイプ素材を材料台車からパイプベンダーへ移動するだけで、角パイプ素材を中子芯金に被せることができる。角パイプ素材の自動供給が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプベンダーの自動化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプベンダーは、パイプを曲げる装置であって広く実用に供されている。パイプベンダーへのパイプ素材の供給は、人手で行われてきたが、近年、自動供給技術が提案されている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図29は従来のパイプ供給装置の原理図であり、任意の傾斜棚201に載せられた丸パイプ素材202Aは、ストッパ203を下げることで待機位置へ落とされる。待機位置で丸パイプ素材202Bは、コンベア204でスロープ205まで搬送され、スロープ205に沿って滑り落ち、昇降部材206に載せられる。
【0004】
昇降部材206上の丸パイプ素材202Cは、ロボットハンド207により、パイプベンダー208へ移される。以上により、丸パイプ素材202Cは自動的にパイプベンダー208へ供給される。
【0005】
一般に、パイプベンダー208には、図30(a)に示すように、丸パイプ素材202Cの一端を把持するチャック209と、潰れ防止のために丸パイプ素材202Cに挿入する中子芯金210とが装備さている。
【0006】
(b)に示すように、丸パイプ素材202Cの前部を、押し部材212で金型213に押し付けることで、丸パイプ素材202Cを二次元又は三次元的に曲げる。なお、この曲げ加工を妨げないように、中子芯金210は軸周りに回転可能とされている。
(c)に示すように、中子芯金210が入っているので、丸パイプ素材202Cが偏平化する心配がない。
【0007】
(b)で、曲げられたパイプは、人手又はロボットハンドにより、チャック209及び中子芯金210から外されるが、この取り外しの際に、中子芯金210が僅かではあるが回転する。この回転は、曲げが三次元的にある場合に顕著となる。
【0008】
また、近年、丸パイプ素材の他、角パイプ素材に対しても曲げ加工を施すようになってきた。
図31に示すように、角パイプ素材215に対しては矩形断面の中子芯金216が準備される。図中の中子芯金216は、取り外しの反動で回転し、傾いている。
【0009】
仮に人手で角パイプ素材215を供給するのであれば、目視で角パイプ素材215を矢印(A)のように回し、矢印(B)のように中子芯金216に被せ、次に、角パイプ素材215を矢印(C)のように戻すことで、中子芯金216を所定の姿勢にすることができる。
【0010】
一方、図29で説明したパイプ素材の供給装置は、丸パイプ素材には好適であるものの、角パイプ素材215が中子芯金216に当たって挿入不能となるため、角パイプ素材215には不適である。
以上の理由により、角パイプのベンダーにおいては、角パイプ素材の自動供給が困難であり、自動化が遅れていた。
【0011】
しかし、曲がり角パイプの需要が増加するなか、角パイプ素材の自動供給技術の開発及び完成が待たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、角パイプ素材の自動供給技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、所定の姿勢で並べられる角パイプ素材を載置する材料台車と、前記角パイプ素材をピックアップしパイプベンダーまで搬送するパイプ搬送機構と、前記角パイプ素材に挿入される潰れ防止用の中子芯金を有し前記角パイプ素材の一端を把持するチャックを有し前記角パイプ素材を三次元的に曲げる前記パイプベンダーと、前記曲げられたパイプを前記チャック及び前記中子芯金から外し所定の場所まで移動する払い出し機構とからなる曲がりパイプ製造装置であって、
前記払い出し機構で前記曲げられたパイプを払い出す際に傾いた前記中子芯金を、前記所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、前記パイプベンダーに備えられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明では、中子芯金は、ロッドで支持され、このロッドに平坦面を有するブロック部材が付設され、平坦面が中子芯金の上面と面一とされ、芯金姿勢補正機構は、パイプベンダーに縦向きに取付けられたシリンダと、このシリンダから下方へ延びて前記ブロック部材の平坦面を押すピストンロッドとからなることを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明では、材料台車は、角パイプ素材がパイプ搬送機構の搬送路に平行に延びるようにして複数本が密に並べられる載置面を上面に備え、パイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ走行する車輪を下面に備えており、
車輪を支える床には、材料台車をパイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ角パイプ素材の1個分だけ移動させる台車移動機構が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明では、パイプ搬送機構は、材料台車からパイプベンダーまで延びる搬送路と、この搬送路に沿って移動するスライダ部材と、このスライダ部材を移動させる駆動機構と、スライダ部材から下げられ角パイプ素材を掴むパイプ把持部材と、スライダ部材に取付けられパイプ把持部材で掴んでいた角パイプ素材をチャックへ押し出すパイプキック部材と、材料台車上の角パイプ素材上面に吸着する吸着パッド及び吸着パッドを支えるパッド支持部材と、スライダ部材に取付けられパッド支持部材を上昇させてパイプ把持部材に角パイプ素材を受け渡し更にパッド支持部材を待機位置まで上昇させる昇降手段とからなる特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、中子芯金を所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、パイプベンダーに備えられている。材料台車上の角パイプ素材と中子芯金の姿勢が合っているため、角パイプ素材を材料台車からパイプベンダーへ移動するだけで、角パイプ素材を中子芯金に被せることができる。結果、角パイプ素材の自動供給が可能となり、曲がりパイプ製造装置における無人化、自動化が可能となる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、芯金姿勢補正機構は、シリンダと、このシリンダから下方へ延びるピストンロッドからなる。いわゆる、市販のシリンダユニットをパイプベンダーに付設するだけでよい。芯金姿勢補正機構は、安価で、構造が簡単であり、曲がりパイプ製造装置の製造コスト上昇を抑制することができる。
【0020】
請求項3に係る発明では、床上を走行する材料台車は、台車移動機構で角パイプ素材1個分だけ移動される。結果、パイプ搬送機構に、搬送路に直交する方向へ移動させる機能が不要となり、パイプ搬送機構の簡素化が図れる。
【0021】
請求項4に係る発明では、角パイプ素材を掴むパイプ把持部材と、吸着パッド及び吸着パッドを支えるパッド支持部材とを、別々に設けた。
【0022】
仮に、パイプ把持部材が無くて、吸着パッド及び吸着パッドを支えるパッド支持部材でパイプ搬送機構の要部を構成すると、角パイプ素材をパイプベンダー側のチャックに位置合わせするには、高度な制御が必要となる。吸着パッドはレバー製のカップであるため、弾性変形し位置狂いの要因となるからである。
【0023】
この点、本発明では、吸着パッドとは別にパイプ把持部材を設けた。パイプ把持部材は、パイプベンダー側のチャックに位置が合っている。
吸着パッドには位置精度を求めないため、吸着パッドに高度な制御が不要となり、トータルとしてパイプ搬送機構を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る曲がりパイプ製造装置のレイアウト図である。
【図2】図1の2矢視図(材料台車の正面図)である。
【図3】図2の3−3線断面図(台車移動機構の構成図)である。
【図4】台車移動機構の作用説明図である。
【図5】台車移動機構の別の作用説明図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】芯金姿勢補正機構の斜視図である。
【図8】芯金姿勢補正機構の作用図である。
【図9】図1の9矢視図(パイプ搬送機構の構成図)である。
【図10】角パイプ素材のピックアップに関する作動説明図である。
【図11】角パイプ素材をチャックに挿入する手順を説明する図である。
【図12】パイプベンダーの作用を説明する図である。
【図13】曲げられたパイプの斜視図である。
【図14】払い出し機構のフィンガーの形態を説明する図である。
【図15】フィンガーの作用図である。
【図16】払い出し機構の作用図である。
【図17】パイプ端末加工装置の正面図である。
【図18】第1芯金の構造図である。
【図19】第1芯金の作用図である。
【図20】第2芯金の構造図である。
【図21】図20の21矢視図(L字刃の構造を説明する図)である。
【図22】L字刃の作用を説明する図である。
【図23】曲がりパイプにおいて、側辺の切断工程を説明する図である。
【図24】曲がりパイプにおいて、上辺の切断工程を説明する図である。
【図25】曲がりパイプにおいて、下辺の切断工程を説明する図である。
【図26】製品図である。
【図27】製品台車の側面図である。
【図28】製品台車の平面図である。
【図29】従来のパイプ供給装置の原理図である。
【図30】従来のパイプベンダーの作用説図である。
【図31】従来の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、曲がりパイプ製造装置10は、所定の姿勢で角パイプ素材11を載置する材料台車20と、角パイプ素材11をピックアップしパイプベンダー30まで搬送するパイプ搬送機構40と、角パイプ素材11に挿入される潰れ防止用の中子芯金31を有し角パイプ素材11の一端を把持するチャック32を有しており角パイプ素材11を三次元的に曲げるパイプベンダー30と、曲げられたパイプをチャック32及び中子芯金31から外し所定の場所(この例では仮置き台68)まで移動するロボットなどの払い出し機構60と、曲げられたパイプの両端に加工を施すパイプ端末加工装置75と、端末加工を終えた製品115をストックする製品台車120と、材料台車20の移動制御、パイプ搬送機構40の制御、パイプベンダー30の制御、払い出し機構60の制御、パイプ端末加工装置75の制御を複合且つ統合して実施する制御部125と、からなる。
【0027】
図示するように、払い出し機構60を囲うように、パイプベンダー30と、仮置き台68と、パイプ端末加工装置75と、製品台車120とが、配列されている。1基の払い出し機構60で、パイプベンダー30→仮置き台68→パイプ端末加工装置75→製品台車120の順でパイプを運搬させることができる。
【0028】
なお、材料台車20上の角パイプ素材11は、パイプ搬送機構40の搬送路41に平行に延びるようにして複数本が密に並べられている。
【0029】
以下、各構成要素の詳細を説明する。
図2は図1の2矢視図であり、材料台車20は、鋼材及び/又は鋼板を組み合わせて作製したボックス状の台車本体21と、この台車本体21の下面22に備えられる複数の車輪23、23と、台車本体21の下面22の中央に付設されたドライバプレート24とからなる。
【0030】
床12には、左右の車輪23、23のうち、一方の車輪23を挟む形態でガイドするガイドレール13、13が取付けられている。
さらに、車輪23、23を支える床12には、材料台車20を図面表裏方向(パイプ搬送機構の搬送路(図1、符号41)に直交する方向)へ角パイプ素材11の1個分だけ移動させる台車移動機構25が設けられている。
【0031】
この台車移動機構25の詳細を説明する。
図2の3−3線断面図である、図3に示すように、台車移動機構25は、材料台車側に設けられているドライバプレート24と、このドライバプレート24を挟むようにして一側にてピストンロッド26aがドライバプレート24へ進退する姿勢で床12に固定される第1シリンダユニット26と、他側にてピストンロッド27aがドライバプレート24へ進退する姿勢で床12に固定される第2シリンダユニット27と、この第2シリンダユニット27をドライバプレート24に平行に案内する案内部材28と、第2シリンダユニット27をドライバプレート24に平行に移動させるために床12に固定される第3シリンダユニット29とからなる。
【0032】
ドライバプレート24には、角パイプ素材の幅寸法(図6、符号P)に合致するピッチPで、ピストンロッド26a、27aに対応する大きさの穴24aが多数個開けられている。
【0033】
以上に述べた台車移動機構25の作用を次に説明する。
図4(a)に示すように、第1〜第3シリンダユニット26、27、29は、ピストンロッド26a、27a、29aを後退させておく。この形態は、図2に相当し、図2において材料台車20を図面表裏方向へ移動させることができる。すなわち、角パイプ素材11を満載した材料台車20をセットし、空になった材料台車20を払い出すことができる。
【0034】
次に、図4(b)にて、第2シリンダユニット27のピストンロッド27aを前進させてドライバプレート24の穴27aの一つに嵌合する。(c)にて、第3シリンダユニット29のピストンロッド29aを前進させる。なお、第3シリンダユニット29のストロークはピッチPと同一に設定されている。ドライバプレート24は、1ピッチだけ移動したことになる。
【0035】
次に、(d)に示すように、第1シリンダユニット26のピストンロッド26aを前進させながら、第2シリンダユニット27のピストンロッド27aを後退させる。(e)にて、第3シリンダユニット29のピストンロッド29aを後退させ、第2シリンダユニット27を(b)の位置へ戻す。
【0036】
以降、(e)→(b)→(c)→(d)→(e)・・・の順に作動を繰り返すことで、材料台車を1ピッチずつ移動(前進移動)させることができる。
【0037】
また、図5(a)〜(d)に示すようにして、材料台車を1ピッチずつ移動(後退移動)させることもできる。
【0038】
図6に示すように、材料台車20は、上面に、密に並べた角パイプ素材11を更に段積みした形態で載置する載置面21aを備えている。
最上段の第1層における角パイプ素材11を供給するときには、図4に示す要領で材料台車20を前進移動する。図示せぬ前進限リミットスイッチに到達したら、この到達信号に基づいて材料台車20の後退移動を開始する。
【0039】
第2層における角パイプ素材11を供給するときには、図5に示す要領で材料台車20を後退移動する。図示せぬ後退限リミットスイッチに到達したら、この到達信号に基づいて材料台車20の前進移動を開始する。
第3層については前進移動、第4層については後退移動させれば、材料台車20の移動が最小限度で済み、作動に無駄がない。
【0040】
ところで、材料台車20を移動させる手段としてストロークが大きなシリンダユニットがよく使われる。しかし、大きなストロークのシリンダユニットを、ピッチP毎に止めながら運転させる場合、停止精度に問題が残る。そのため、大きなストロークのシリンダユニットは、制御精度の良い、サーボシリンダを使用することになるが、サーボシリンダは高価である。また、大きなストロークのシリンダユニットが床12上に延びていると邪魔になる。
【0041】
この点、図3に示す台車移動機構25は、移動台車20に下に収まり、邪魔にならない。また、台車移動機構25は、サーボシリンダではなく、小ストロークで安価な汎用エアシリンダで構成できるため、機構の調達コストを下げることができる。
【0042】
さらには、本発明では、角パイプ素材11の準備をしている間(又は、パイプ搬送機構で角パイプ素材をチャックに挿入するまでの間)に、中子芯金の姿勢を補正することを特徴とする。
【0043】
図7に示すように、中子芯金31は、ロッド33で支持され、このロッド33に平坦面34aを有するブロック部材34が付設される。このブロック部材34の上面に相当する平坦面34aは、中子芯金31の上面31aと面一に設定されている。ブロック部材34はフォーク部材であってもよく、平坦面34aが形成できる部材であれば種類、形状は問わない。
【0044】
そして、芯金姿勢補正機構35は、パイプベンダーに設けられるブラケット36に縦向きに取付けられたシリンダ37と、このシリンダ37から下方へ延びてブロック部材34の平坦面34aを押すピストンロッド37aとからなる。ピストンロッド37aの先端にピストンロッド37aの外径の5〜10倍の径のディスク(金属製円板)38を取付け、このディスク38の下面に弾性体39を取付けるとなお良い。弾性体39はフェルト板、ゴム板、軟質樹脂板が望ましい。
【0045】
芯金姿勢補正機構35の作用を次に説明する。
図8(b)に示すように、中子芯金31が傾いているとする。この中子芯金31の傾きと同じだけ、(a)に示すように、ブロック部材34が傾いている。
(c)に示すように、シリンダ37を作動させ、ピストンロッド37aを前進させる。弾性体39及びディスク38を介してピストンロッド37aで平坦面34aが押され、この平坦面34aが水平になる。結果、(d)に示すように、中子芯金31が水平姿勢となる。
【0046】
次に、図9〜図11に基づいて、パイプ搬送機構40の詳細を説明する。
図9に示すように、パイプ搬送機構40は、材料台車からパイプベンダーまで延びる搬送路41と、この搬送路41を支える支柱42、42と、搬送路41で支持され搬送路41に沿って移動するスライダ部材43と、このスライダ部材43を移動させるシリンダユニットなどの駆動手段44と、スライダ部材43から下げられ角パイプ素材を掴むパイプ把持部材45と、スライダ部材43に取付けられパイプ把持部材45で掴んでいた角パイプ素材をチャックへ押し出すパイプキック部材46と、材料台車上の角パイプ素材上面に吸着する吸着パッド47及び吸着パッド47を支えるパッド支持部材48と、スライダ部材43に取付けられパッド支持部材48を上昇させてパイプ把持部材45に角パイプ素材を受け渡し更にパッド支持部材48を待機位置まで上昇するシリンダユニットなどの昇降手段49と、パッド支持部材48に昇降可能に取付けられているパイプ検知棒51と、このパイプ検知棒51が上昇したことを検出するためにパッド支持部材48に付設された、リミットスイッチや近接スイッチなどのセンサ52と、からなる。
【0047】
この種の搬送機構では、吸着パッド47を、x−y−z方向に三次元的に移動させるものが主流である。しかし、本発明のパイプ搬送機構40では、吸着パッド47を図面表裏方向へは移動させない。すなわち、吸着パッド47を二次元的に移動させる。そのため、本発明のパイプ搬送機構40は、構造が簡単になり、制御も簡単になる。
【0048】
図10(a)に示すように、材料台車20の上方にスライダ部材43を移動する。次に、昇降手段49を伸動させる。結果、吸着パッド47が角パイプ素材11の上面に当たる。このときに、角パイプ素材11の上面でパイプ検知棒51が押し上げられ、センサ52がパイプ検知棒51を検出する。この検出により、角パイプ素材11に吸着パッド47が正しく接触したことが確認できる。吸着パッド47は真空引き作用により、角パイプ素材11を吸着する。昇降手段49を縮動させることで、(b)に示すように、1本の角パイプ素材11を材料台車20からピックアップすることができる。
【0049】
以上の説明から明らかなように、吸着パッド47が角パイプ素材11に当たることで伸動が終了する。いわゆる、当て止めの方式を作用した。結果、昇降手段49において、伸動位置を制御する必要がなく、昇降手段49の制御は簡略化が図れる。
【0050】
図10(b)において、更に、昇降手段49を縮動させると、角パイプ素材11がパイプ把持部材45の高さに到達する。この時点で、昇降手段49を一旦止める。
そして、パイプ把持部材45を閉じて、パイプ把持部材45で角パイプ素材11の端部を把持させる。続いて、昇降手段49を更に縮動させてパッド支持部材48を待機位置へ移動する。
【0051】
図11(a)に示すように、角パイプ素材11はパイプ把持部材45で把持され、パッド支持部材48及び吸着パッド47は待機位置にある。この状態で、スライダ部材43をチャック32に向けて矢印のように前進させる。中子芯金31の姿勢と角パイプ素材11の姿勢が合致しているため、角パイプ素材11は、中子芯金31に円滑に被さり、さらに、チャック32に軽く挿入される。ただし、まだ挿入代が不足する。
【0052】
そこで、パイプ把持部材45を開き、(b)に示すように、パイプキック部材46で角パイプ素材11を水平に前方へ押し出す。結果、角パイプ素材11は、十分にチャック32に挿入される。
(c)において、チャック32を閉じて、角パイプ素材11の一端を強固に把持する。並行して、スライド部材43を矢印のように戻す。
【0053】
図12(a)に示すように、角パイプ素材11は上面が水平になるようにして保持されている。プッシャ(図1、符号54、55)及び金型(図1、符号56)を用いて、角パイプ素材11を白抜き矢印のように曲げる。これで、(b)に示すように、角パイプ素材11がL1だけ曲がった。次に、チャック32を時計方向に90°回す。すると、(c)のようになる。
【0054】
(c)において、プッシャ(図1、符号54、55)及び金型(図1、符号56)を用いて、角パイプ素材11を白抜き矢印のように曲げる。これで、(d)に示すように、角パイプ素材11がL2だけ曲がった。チャック32を反時計方向に90°回す。(e)に示すように、チャック32が(a)の位置に戻る。
【0055】
図13に示すように三次元的に曲げられた曲がりパイプ57が得られた。
次に、図1に示す払い出し機構60の先端に設けられるハンド61の構造を説明する。
【0056】
図14に示すように、ハンド61は、第1フィンガー62と第2フィンガー63とを備えている。第1フィンガー62には、先端側に角パイプ素材の長辺の長さ(図6、P)に対応する長さの第1溝64が切り欠き形成され、この第1溝64より基部側に角パイプ素材の短辺を収納する第2溝65が形成されている。
第2フィンガー63には、第2溝65に対応する第3溝66が形成されている。
【0057】
図15(a)に示すように、横向きにした曲がりパイプ57を、第1溝64を用いて第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟むことができる。
また、(b)に示すように、縦向きにした曲がりパイプ57を、第2溝65及び第3溝66を用いて第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟むことができる。
【0058】
次に、払い出し機構60の作用を説明する。
図16(a)に示すように、第1フィンガー62と第2フィンガー63とで曲がりパイプ57の端部を挟み図手前へ引くことで、曲がりパイプ57をチャック32から外す。
【0059】
曲がりパイプ57は三次元的に曲がっているため、例えば図16(b)に示すように、中子芯金31が水平線に対してαだけ傾く。この傾きは、芯金姿勢補正機構(図7、符号35)で、αが0になるよう補正にする。
【0060】
(c)に示すように、曲がりパイプ57を仮置き台68に置く。次に、(d)に示すように、曲がりパイプ57の中央部付近を、第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟む。すなわち、仮置き台68を利用して「持ち替え」を行う。
【0061】
図1に示すように、パイプベンダー30は、プッシャ54、55や金型56が配置されている関係で、側方からハンド61を挿入することは難しい。そこで、図16(a)のようにハンド61を上方から下向きに挿入する。
【0062】
また、図17に示すパイプ端末加工装置75では、汎用プレス機70を利用することから正面と裏面とが開いているものの上は塞がれている。そのため、曲がりパイプ57は、図面表裏方向へ移動することでパイプ端末加工装置75へセットする(又は、取り出す)。
そのためには、図16(c)及び(d)で説明した「持ち替え」が有用となり、併せて、図14の構造が役立つ。
【0063】
すなわち、図16(a)、(c)、(d)において、曲がりパイプ57は常に横向き(広い面が上下面となる向き)である。このような曲がりパイプ57を、図14で説明したような第1溝64、第2溝65及び第3溝66を有しない、普通のフラットなフィンガーで挟むと、運搬中に曲がりパイプ57が落ちる心配がある。
この点、図14に述べた構造のハンド61を採用することで、曲がりパイプ57の脱落が防止される。
【0064】
次に、パイプ端末加工装置75の詳細を説明する。
図17に示すように、ベッド71と、このベッド71を覆う門型フレーム72と、この門型フレーム72に取付けられる油圧シリンダ73とを基本構成とする汎用のプレス機70を利用して、このプレス機70にパイプ端末加工装置75を組み込む。
すなわち、パイプ端末加工装置75は、プレス機のベッド71に載せられる要素と、油圧シリンダ73により昇降自在に保持される昇降板76に取付けられる要素とからなる。
【0065】
ベッド71に載せられる要素は以下の通りである。
ベッド71に載せられる要素は、ベース板77と、このバース板77に設けられ曲がりパイプ(三次元的に曲げられた角パイプ)57を支えるパイプ支持台78、78、79と、これのパイプ支持台78、78、79で支持された曲がりパイプ57の一端の外側にてベース板77に設けられる第1芯金ガイド81と、この第1芯金ガイド81に曲がりパイプ57の一端の軸方向に移動自在に支持され曲がりパイプ57の一端に挿入する第1芯金82と、曲がりパイプ57の他端の外側にて曲がりパイプ57の他端の軸方向に移動可能にベース板77に載せられているスライドブロック83と、このスライドブロック83に上下のみ移動可能に取付けられ曲がりパイプ57の他端に挿入される第2芯金84と、スライドブロック83に上下のみ移動可能に取付けられる昇降ブロック85と、この昇降ブロック85に設けられ下降して曲がりパイプ57の他端の上辺及び片方の側辺を切断するL字刃86とからなる。
【0066】
昇降板76に設けられる要素は以下の通りである。
昇降板76に設けられる要素は、第1芯金82を曲がりパイプ57の一端へ押し出す第1ドライバカム88と、曲がりパイプ57の一端に穴を開けるピン部材89と、スライドブロック83を押し出し第2芯金84を曲がりパイプ57の他端へ挿入する第2ドライバカム91と、曲がりパイプ57をパイプ支持台79へ押し付ける押さえパッド92と、からなる。
【0067】
なお、昇降板76は、厚さが一定の平板である。図から明らかなように、昇降板76の一端は、第1ドライバカム88及びピン部材89の反力(上向き力)を受け、他端は、第2ドライバカム91及び昇降ブロック85の反力を受ける。昇降ブロック85の反力は、ピン部材89の反力より格段に大きい。
【0068】
一般に、大きい方の第2ドライバカム91及び昇降ブロック85の反力に耐えるように、昇降板76の厚さが決定される。しかし、昇降板76が厚くなると重くなり、油圧シリンダ73の負荷が大きくなり、油圧シリンダ73の運転コストも嵩む。
【0069】
そこで、本例では、昇降板76の他端に略三角形の補強板93を付設した。この構造により、昇降板76の厚さを薄くすることができ、昇降板76を軽くすることができる。結果、油圧シリンダ73の負荷が小さくなり、油圧シリンダ73の運転コストを低減させることができる。
【0070】
第1芯金82及び第2芯金84の詳細構造及び作用を図18〜図25に基づいて説明する。
図18に示すように、第1芯金ガイド81に移動自在に第1芯金82が保持されている。第1芯金82は、後部(図左側の部位)に傾斜したカム面94を有する。第1芯金82は、リターンばね95により後退側へ付勢される。ストッパ96により第1芯金82の後退限位置が規定される。
【0071】
図19(a)にて、第1ドライバカム88が下がると、この第1ドライバカム88がカム面94に接触し、カム作用により第1芯金82を押し出す。第1ドライバカム88と同期してピン部材89も下がる。
すると、(b)に示すように、第1芯金82が曲がりパイプ57の一端に挿入され、ピン部材89で曲がりパイプ57に穴57aが開けられる。第1芯金82が曲がりパイプ57の一端に挿入されているため、曲がりパイプ57が歪む心配はない。
【0072】
また、ピン部材89に付属するパッド板98及びスプリング99で、曲がりパイプ57の上面を第1芯金82に押し付けることができるため、穴57aを精度良く開けることができる。
第1ドライバカム88が上がると、リターンばね95が伸びて、第1芯金82は(a)の位置に戻る。
【0073】
図20に示すように、スライドブロック83は、後部(図右側の部位)に第2ドライバカム(図17、符号91)で押されるカム部材101を備え、図左右方向へ移動可能にベース板77に載せられている。
スライドブロック83は、後退側へ付勢されるリターンばね102を備える。このリターンばね102で押されるスライドブロック83は、ストッパ103により後退限位置が規定される。
【0074】
スライドブロック83に前方(図左側)へ開口する空洞部104が設けられている。この空洞部104は奥が壁105で塞がれている。空洞部104の縦横寸法は、縦(高さ)寸法が第2芯金84の高さ寸法より大きく設定され、横寸法(図面表裏方向寸法)が第2芯金84の横寸法にクリアランスを加えた寸法に設定されている。
したがって、第2芯金84は、上下のみ移動可能にスライドブロック83に取付けられている。第2芯金84は、押しばね106により、上方へ付勢され、空洞部104の天井107に当たって、上限位置が規制される。
【0075】
第2芯金84は、先端上部にL字刃86を収納する(逃がす)凹部84aを備え、先端下部に刃部84bを備えている。
【0076】
スライドブロック83からサイドガイド108(図面表裏方向に2枚)が立てられ、サイドガイド108を介してスライドブロック83上に昇降ブロック85が昇降自在に取付けられている。昇降ブロック85はスプリング109、109により上方へ付勢される。
【0077】
このような昇降ブロック85に、L字刃86が取付けられ、このL字刃86にボルト状の押し部材111が付設されている。
【0078】
L字刃86は、図21に示すように、水平刃112と、この水平刃112の一端から斜めに下がる傾斜刃113とを備える。
【0079】
図22(a)に示すように、パイプ支持台79に曲がりパイプ57が載っており、この曲がりパイプ57に第2芯金84が挿入されている。
(a)の側面断面図である(b)において、L字刃86を下げる。
【0080】
すると、図23に示すように、曲がりパイプ57の一方の側辺57bが傾斜刃113により、ほぼ切断される。さらに、L字刃86を下げる。
【0081】
すると、図24(a)に示すように、曲がりパイプ57の一方の側辺57bが傾斜刃113により、完全に切断されると共に、水平刃112により曲がりパイプ57の上辺57cが切断される。
(b)に示すように、切断により、スクラップ部114が製品115から分離される。そして、L字刃86が曲がりパイプ57に食い込むことで、押し部材111の下面がスクラップ部114に当たる。
【0082】
さらに、L字刃86を下げると、押し部材111はスクラップ部114を介して第2芯金84を押し下げる。なお、曲がりパイプ57の下辺57dは、第2芯金84に形成された刃部84bと、パイプ支持台79の上面端部に形成された受け刃部79aで挟まれている。
【0083】
図25に示すように、刃部84bと受け刃部79aとにより、曲がりパイプ57の下辺57dが切断される。
一般に、物品を切断する場合、刃部84bのみで切断する手法と、鋏のように刃部84b及び受け刃部79aで切断する手法がある。上辺と側辺とが切り込まれて、切断条件が厳しくなった下辺57dについては、刃部84b及び受け刃部79aで切断することにより、綺麗な切断面を得ることができる。
【0084】
得られた製品115は、図26に示す通りに、曲がりパイプの一端に穴57aが開けられ、他端が斜め又は円弧状に切断されている。このような製品115は、他端が円弧状に切断されているため、自動二輪車の左又は右メインフレームや左又は右シートレールなど、丸パイプに一端が溶接される車体フレームに好適である。
【0085】
製品115は、図27に示す製品台車120にストックし、満杯又は一定量溜まったら搬出することが望まれる。
好ましい製品台車120は、図27に示すように、車輪121を備えた台車枠122と、この台車枠122上部に斜めに渡されたスロープ123と、からなる。
第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟まれた製品115が矢印のようにスロープ123の上部に置かれる。
すると、製品115はスロープ123を滑り降りる。
【0086】
図27の平面図である図28に示すように、複数本の製品115が、自動的に整列される。製品115が三次元的に曲がっているにも拘わらず、多数本が効率よくストックされる。なお、スロープ123は丸パイプ、丸棒、角パイプ又は角棒を傾斜配置することで構成するとよい。
【0087】
尚、本発明の曲がりパイプ製造装置は、自動二輪車の車体フレームの製造に好適であるが、角パイプ素材を出発材料にするものであれば、曲がりパイプの用途は格別に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の曲がりパイプ製造装置は、角パイプを三次元的に曲げる曲がりパイプ製造装置に適しており、特に、自動二輪車の車体フレームの製造に好適である。
【符号の説明】
【0089】
10…曲がりパイプ製造装置、11…角パイプ素材、12…床、20…材料台車、21a…載置面、23…車輪、24…ドライバプレート、24a…ドライバプレートに開いている穴、25…台車移動機構、26…第1シリンダユニット、27…第2シリンダユニット、29…第3シリンダユニット、30…パイプベンダー、31…中子芯金、31a…中子芯金の上面、32…チャック、33…ロッド、34…ブロック部材、34a…ブロック部材の平坦面、35…芯金姿勢補正機構、37…芯金姿勢補正機構の主要素であるシリンダ、37a…シリンダ37のピストンロッド、40…パイプ搬送機構、41…搬送路、43…スライダ部材、44…駆動手段、45…パイプ把持部材、46…パイプキック部材、47…吸着パッド、48…パッド支持部材、49…昇降手段、57…曲がりパイプ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプベンダーの自動化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプベンダーは、パイプを曲げる装置であって広く実用に供されている。パイプベンダーへのパイプ素材の供給は、人手で行われてきたが、近年、自動供給技術が提案されている(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図29は従来のパイプ供給装置の原理図であり、任意の傾斜棚201に載せられた丸パイプ素材202Aは、ストッパ203を下げることで待機位置へ落とされる。待機位置で丸パイプ素材202Bは、コンベア204でスロープ205まで搬送され、スロープ205に沿って滑り落ち、昇降部材206に載せられる。
【0004】
昇降部材206上の丸パイプ素材202Cは、ロボットハンド207により、パイプベンダー208へ移される。以上により、丸パイプ素材202Cは自動的にパイプベンダー208へ供給される。
【0005】
一般に、パイプベンダー208には、図30(a)に示すように、丸パイプ素材202Cの一端を把持するチャック209と、潰れ防止のために丸パイプ素材202Cに挿入する中子芯金210とが装備さている。
【0006】
(b)に示すように、丸パイプ素材202Cの前部を、押し部材212で金型213に押し付けることで、丸パイプ素材202Cを二次元又は三次元的に曲げる。なお、この曲げ加工を妨げないように、中子芯金210は軸周りに回転可能とされている。
(c)に示すように、中子芯金210が入っているので、丸パイプ素材202Cが偏平化する心配がない。
【0007】
(b)で、曲げられたパイプは、人手又はロボットハンドにより、チャック209及び中子芯金210から外されるが、この取り外しの際に、中子芯金210が僅かではあるが回転する。この回転は、曲げが三次元的にある場合に顕著となる。
【0008】
また、近年、丸パイプ素材の他、角パイプ素材に対しても曲げ加工を施すようになってきた。
図31に示すように、角パイプ素材215に対しては矩形断面の中子芯金216が準備される。図中の中子芯金216は、取り外しの反動で回転し、傾いている。
【0009】
仮に人手で角パイプ素材215を供給するのであれば、目視で角パイプ素材215を矢印(A)のように回し、矢印(B)のように中子芯金216に被せ、次に、角パイプ素材215を矢印(C)のように戻すことで、中子芯金216を所定の姿勢にすることができる。
【0010】
一方、図29で説明したパイプ素材の供給装置は、丸パイプ素材には好適であるものの、角パイプ素材215が中子芯金216に当たって挿入不能となるため、角パイプ素材215には不適である。
以上の理由により、角パイプのベンダーにおいては、角パイプ素材の自動供給が困難であり、自動化が遅れていた。
【0011】
しかし、曲がり角パイプの需要が増加するなか、角パイプ素材の自動供給技術の開発及び完成が待たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平5−727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、角パイプ素材の自動供給技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、所定の姿勢で並べられる角パイプ素材を載置する材料台車と、前記角パイプ素材をピックアップしパイプベンダーまで搬送するパイプ搬送機構と、前記角パイプ素材に挿入される潰れ防止用の中子芯金を有し前記角パイプ素材の一端を把持するチャックを有し前記角パイプ素材を三次元的に曲げる前記パイプベンダーと、前記曲げられたパイプを前記チャック及び前記中子芯金から外し所定の場所まで移動する払い出し機構とからなる曲がりパイプ製造装置であって、
前記払い出し機構で前記曲げられたパイプを払い出す際に傾いた前記中子芯金を、前記所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、前記パイプベンダーに備えられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明では、中子芯金は、ロッドで支持され、このロッドに平坦面を有するブロック部材が付設され、平坦面が中子芯金の上面と面一とされ、芯金姿勢補正機構は、パイプベンダーに縦向きに取付けられたシリンダと、このシリンダから下方へ延びて前記ブロック部材の平坦面を押すピストンロッドとからなることを特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明では、材料台車は、角パイプ素材がパイプ搬送機構の搬送路に平行に延びるようにして複数本が密に並べられる載置面を上面に備え、パイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ走行する車輪を下面に備えており、
車輪を支える床には、材料台車をパイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ角パイプ素材の1個分だけ移動させる台車移動機構が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明では、パイプ搬送機構は、材料台車からパイプベンダーまで延びる搬送路と、この搬送路に沿って移動するスライダ部材と、このスライダ部材を移動させる駆動機構と、スライダ部材から下げられ角パイプ素材を掴むパイプ把持部材と、スライダ部材に取付けられパイプ把持部材で掴んでいた角パイプ素材をチャックへ押し出すパイプキック部材と、材料台車上の角パイプ素材上面に吸着する吸着パッド及び吸着パッドを支えるパッド支持部材と、スライダ部材に取付けられパッド支持部材を上昇させてパイプ把持部材に角パイプ素材を受け渡し更にパッド支持部材を待機位置まで上昇させる昇降手段とからなる特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、中子芯金を所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、パイプベンダーに備えられている。材料台車上の角パイプ素材と中子芯金の姿勢が合っているため、角パイプ素材を材料台車からパイプベンダーへ移動するだけで、角パイプ素材を中子芯金に被せることができる。結果、角パイプ素材の自動供給が可能となり、曲がりパイプ製造装置における無人化、自動化が可能となる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、芯金姿勢補正機構は、シリンダと、このシリンダから下方へ延びるピストンロッドからなる。いわゆる、市販のシリンダユニットをパイプベンダーに付設するだけでよい。芯金姿勢補正機構は、安価で、構造が簡単であり、曲がりパイプ製造装置の製造コスト上昇を抑制することができる。
【0020】
請求項3に係る発明では、床上を走行する材料台車は、台車移動機構で角パイプ素材1個分だけ移動される。結果、パイプ搬送機構に、搬送路に直交する方向へ移動させる機能が不要となり、パイプ搬送機構の簡素化が図れる。
【0021】
請求項4に係る発明では、角パイプ素材を掴むパイプ把持部材と、吸着パッド及び吸着パッドを支えるパッド支持部材とを、別々に設けた。
【0022】
仮に、パイプ把持部材が無くて、吸着パッド及び吸着パッドを支えるパッド支持部材でパイプ搬送機構の要部を構成すると、角パイプ素材をパイプベンダー側のチャックに位置合わせするには、高度な制御が必要となる。吸着パッドはレバー製のカップであるため、弾性変形し位置狂いの要因となるからである。
【0023】
この点、本発明では、吸着パッドとは別にパイプ把持部材を設けた。パイプ把持部材は、パイプベンダー側のチャックに位置が合っている。
吸着パッドには位置精度を求めないため、吸着パッドに高度な制御が不要となり、トータルとしてパイプ搬送機構を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る曲がりパイプ製造装置のレイアウト図である。
【図2】図1の2矢視図(材料台車の正面図)である。
【図3】図2の3−3線断面図(台車移動機構の構成図)である。
【図4】台車移動機構の作用説明図である。
【図5】台車移動機構の別の作用説明図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】芯金姿勢補正機構の斜視図である。
【図8】芯金姿勢補正機構の作用図である。
【図9】図1の9矢視図(パイプ搬送機構の構成図)である。
【図10】角パイプ素材のピックアップに関する作動説明図である。
【図11】角パイプ素材をチャックに挿入する手順を説明する図である。
【図12】パイプベンダーの作用を説明する図である。
【図13】曲げられたパイプの斜視図である。
【図14】払い出し機構のフィンガーの形態を説明する図である。
【図15】フィンガーの作用図である。
【図16】払い出し機構の作用図である。
【図17】パイプ端末加工装置の正面図である。
【図18】第1芯金の構造図である。
【図19】第1芯金の作用図である。
【図20】第2芯金の構造図である。
【図21】図20の21矢視図(L字刃の構造を説明する図)である。
【図22】L字刃の作用を説明する図である。
【図23】曲がりパイプにおいて、側辺の切断工程を説明する図である。
【図24】曲がりパイプにおいて、上辺の切断工程を説明する図である。
【図25】曲がりパイプにおいて、下辺の切断工程を説明する図である。
【図26】製品図である。
【図27】製品台車の側面図である。
【図28】製品台車の平面図である。
【図29】従来のパイプ供給装置の原理図である。
【図30】従来のパイプベンダーの作用説図である。
【図31】従来の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、曲がりパイプ製造装置10は、所定の姿勢で角パイプ素材11を載置する材料台車20と、角パイプ素材11をピックアップしパイプベンダー30まで搬送するパイプ搬送機構40と、角パイプ素材11に挿入される潰れ防止用の中子芯金31を有し角パイプ素材11の一端を把持するチャック32を有しており角パイプ素材11を三次元的に曲げるパイプベンダー30と、曲げられたパイプをチャック32及び中子芯金31から外し所定の場所(この例では仮置き台68)まで移動するロボットなどの払い出し機構60と、曲げられたパイプの両端に加工を施すパイプ端末加工装置75と、端末加工を終えた製品115をストックする製品台車120と、材料台車20の移動制御、パイプ搬送機構40の制御、パイプベンダー30の制御、払い出し機構60の制御、パイプ端末加工装置75の制御を複合且つ統合して実施する制御部125と、からなる。
【0027】
図示するように、払い出し機構60を囲うように、パイプベンダー30と、仮置き台68と、パイプ端末加工装置75と、製品台車120とが、配列されている。1基の払い出し機構60で、パイプベンダー30→仮置き台68→パイプ端末加工装置75→製品台車120の順でパイプを運搬させることができる。
【0028】
なお、材料台車20上の角パイプ素材11は、パイプ搬送機構40の搬送路41に平行に延びるようにして複数本が密に並べられている。
【0029】
以下、各構成要素の詳細を説明する。
図2は図1の2矢視図であり、材料台車20は、鋼材及び/又は鋼板を組み合わせて作製したボックス状の台車本体21と、この台車本体21の下面22に備えられる複数の車輪23、23と、台車本体21の下面22の中央に付設されたドライバプレート24とからなる。
【0030】
床12には、左右の車輪23、23のうち、一方の車輪23を挟む形態でガイドするガイドレール13、13が取付けられている。
さらに、車輪23、23を支える床12には、材料台車20を図面表裏方向(パイプ搬送機構の搬送路(図1、符号41)に直交する方向)へ角パイプ素材11の1個分だけ移動させる台車移動機構25が設けられている。
【0031】
この台車移動機構25の詳細を説明する。
図2の3−3線断面図である、図3に示すように、台車移動機構25は、材料台車側に設けられているドライバプレート24と、このドライバプレート24を挟むようにして一側にてピストンロッド26aがドライバプレート24へ進退する姿勢で床12に固定される第1シリンダユニット26と、他側にてピストンロッド27aがドライバプレート24へ進退する姿勢で床12に固定される第2シリンダユニット27と、この第2シリンダユニット27をドライバプレート24に平行に案内する案内部材28と、第2シリンダユニット27をドライバプレート24に平行に移動させるために床12に固定される第3シリンダユニット29とからなる。
【0032】
ドライバプレート24には、角パイプ素材の幅寸法(図6、符号P)に合致するピッチPで、ピストンロッド26a、27aに対応する大きさの穴24aが多数個開けられている。
【0033】
以上に述べた台車移動機構25の作用を次に説明する。
図4(a)に示すように、第1〜第3シリンダユニット26、27、29は、ピストンロッド26a、27a、29aを後退させておく。この形態は、図2に相当し、図2において材料台車20を図面表裏方向へ移動させることができる。すなわち、角パイプ素材11を満載した材料台車20をセットし、空になった材料台車20を払い出すことができる。
【0034】
次に、図4(b)にて、第2シリンダユニット27のピストンロッド27aを前進させてドライバプレート24の穴27aの一つに嵌合する。(c)にて、第3シリンダユニット29のピストンロッド29aを前進させる。なお、第3シリンダユニット29のストロークはピッチPと同一に設定されている。ドライバプレート24は、1ピッチだけ移動したことになる。
【0035】
次に、(d)に示すように、第1シリンダユニット26のピストンロッド26aを前進させながら、第2シリンダユニット27のピストンロッド27aを後退させる。(e)にて、第3シリンダユニット29のピストンロッド29aを後退させ、第2シリンダユニット27を(b)の位置へ戻す。
【0036】
以降、(e)→(b)→(c)→(d)→(e)・・・の順に作動を繰り返すことで、材料台車を1ピッチずつ移動(前進移動)させることができる。
【0037】
また、図5(a)〜(d)に示すようにして、材料台車を1ピッチずつ移動(後退移動)させることもできる。
【0038】
図6に示すように、材料台車20は、上面に、密に並べた角パイプ素材11を更に段積みした形態で載置する載置面21aを備えている。
最上段の第1層における角パイプ素材11を供給するときには、図4に示す要領で材料台車20を前進移動する。図示せぬ前進限リミットスイッチに到達したら、この到達信号に基づいて材料台車20の後退移動を開始する。
【0039】
第2層における角パイプ素材11を供給するときには、図5に示す要領で材料台車20を後退移動する。図示せぬ後退限リミットスイッチに到達したら、この到達信号に基づいて材料台車20の前進移動を開始する。
第3層については前進移動、第4層については後退移動させれば、材料台車20の移動が最小限度で済み、作動に無駄がない。
【0040】
ところで、材料台車20を移動させる手段としてストロークが大きなシリンダユニットがよく使われる。しかし、大きなストロークのシリンダユニットを、ピッチP毎に止めながら運転させる場合、停止精度に問題が残る。そのため、大きなストロークのシリンダユニットは、制御精度の良い、サーボシリンダを使用することになるが、サーボシリンダは高価である。また、大きなストロークのシリンダユニットが床12上に延びていると邪魔になる。
【0041】
この点、図3に示す台車移動機構25は、移動台車20に下に収まり、邪魔にならない。また、台車移動機構25は、サーボシリンダではなく、小ストロークで安価な汎用エアシリンダで構成できるため、機構の調達コストを下げることができる。
【0042】
さらには、本発明では、角パイプ素材11の準備をしている間(又は、パイプ搬送機構で角パイプ素材をチャックに挿入するまでの間)に、中子芯金の姿勢を補正することを特徴とする。
【0043】
図7に示すように、中子芯金31は、ロッド33で支持され、このロッド33に平坦面34aを有するブロック部材34が付設される。このブロック部材34の上面に相当する平坦面34aは、中子芯金31の上面31aと面一に設定されている。ブロック部材34はフォーク部材であってもよく、平坦面34aが形成できる部材であれば種類、形状は問わない。
【0044】
そして、芯金姿勢補正機構35は、パイプベンダーに設けられるブラケット36に縦向きに取付けられたシリンダ37と、このシリンダ37から下方へ延びてブロック部材34の平坦面34aを押すピストンロッド37aとからなる。ピストンロッド37aの先端にピストンロッド37aの外径の5〜10倍の径のディスク(金属製円板)38を取付け、このディスク38の下面に弾性体39を取付けるとなお良い。弾性体39はフェルト板、ゴム板、軟質樹脂板が望ましい。
【0045】
芯金姿勢補正機構35の作用を次に説明する。
図8(b)に示すように、中子芯金31が傾いているとする。この中子芯金31の傾きと同じだけ、(a)に示すように、ブロック部材34が傾いている。
(c)に示すように、シリンダ37を作動させ、ピストンロッド37aを前進させる。弾性体39及びディスク38を介してピストンロッド37aで平坦面34aが押され、この平坦面34aが水平になる。結果、(d)に示すように、中子芯金31が水平姿勢となる。
【0046】
次に、図9〜図11に基づいて、パイプ搬送機構40の詳細を説明する。
図9に示すように、パイプ搬送機構40は、材料台車からパイプベンダーまで延びる搬送路41と、この搬送路41を支える支柱42、42と、搬送路41で支持され搬送路41に沿って移動するスライダ部材43と、このスライダ部材43を移動させるシリンダユニットなどの駆動手段44と、スライダ部材43から下げられ角パイプ素材を掴むパイプ把持部材45と、スライダ部材43に取付けられパイプ把持部材45で掴んでいた角パイプ素材をチャックへ押し出すパイプキック部材46と、材料台車上の角パイプ素材上面に吸着する吸着パッド47及び吸着パッド47を支えるパッド支持部材48と、スライダ部材43に取付けられパッド支持部材48を上昇させてパイプ把持部材45に角パイプ素材を受け渡し更にパッド支持部材48を待機位置まで上昇するシリンダユニットなどの昇降手段49と、パッド支持部材48に昇降可能に取付けられているパイプ検知棒51と、このパイプ検知棒51が上昇したことを検出するためにパッド支持部材48に付設された、リミットスイッチや近接スイッチなどのセンサ52と、からなる。
【0047】
この種の搬送機構では、吸着パッド47を、x−y−z方向に三次元的に移動させるものが主流である。しかし、本発明のパイプ搬送機構40では、吸着パッド47を図面表裏方向へは移動させない。すなわち、吸着パッド47を二次元的に移動させる。そのため、本発明のパイプ搬送機構40は、構造が簡単になり、制御も簡単になる。
【0048】
図10(a)に示すように、材料台車20の上方にスライダ部材43を移動する。次に、昇降手段49を伸動させる。結果、吸着パッド47が角パイプ素材11の上面に当たる。このときに、角パイプ素材11の上面でパイプ検知棒51が押し上げられ、センサ52がパイプ検知棒51を検出する。この検出により、角パイプ素材11に吸着パッド47が正しく接触したことが確認できる。吸着パッド47は真空引き作用により、角パイプ素材11を吸着する。昇降手段49を縮動させることで、(b)に示すように、1本の角パイプ素材11を材料台車20からピックアップすることができる。
【0049】
以上の説明から明らかなように、吸着パッド47が角パイプ素材11に当たることで伸動が終了する。いわゆる、当て止めの方式を作用した。結果、昇降手段49において、伸動位置を制御する必要がなく、昇降手段49の制御は簡略化が図れる。
【0050】
図10(b)において、更に、昇降手段49を縮動させると、角パイプ素材11がパイプ把持部材45の高さに到達する。この時点で、昇降手段49を一旦止める。
そして、パイプ把持部材45を閉じて、パイプ把持部材45で角パイプ素材11の端部を把持させる。続いて、昇降手段49を更に縮動させてパッド支持部材48を待機位置へ移動する。
【0051】
図11(a)に示すように、角パイプ素材11はパイプ把持部材45で把持され、パッド支持部材48及び吸着パッド47は待機位置にある。この状態で、スライダ部材43をチャック32に向けて矢印のように前進させる。中子芯金31の姿勢と角パイプ素材11の姿勢が合致しているため、角パイプ素材11は、中子芯金31に円滑に被さり、さらに、チャック32に軽く挿入される。ただし、まだ挿入代が不足する。
【0052】
そこで、パイプ把持部材45を開き、(b)に示すように、パイプキック部材46で角パイプ素材11を水平に前方へ押し出す。結果、角パイプ素材11は、十分にチャック32に挿入される。
(c)において、チャック32を閉じて、角パイプ素材11の一端を強固に把持する。並行して、スライド部材43を矢印のように戻す。
【0053】
図12(a)に示すように、角パイプ素材11は上面が水平になるようにして保持されている。プッシャ(図1、符号54、55)及び金型(図1、符号56)を用いて、角パイプ素材11を白抜き矢印のように曲げる。これで、(b)に示すように、角パイプ素材11がL1だけ曲がった。次に、チャック32を時計方向に90°回す。すると、(c)のようになる。
【0054】
(c)において、プッシャ(図1、符号54、55)及び金型(図1、符号56)を用いて、角パイプ素材11を白抜き矢印のように曲げる。これで、(d)に示すように、角パイプ素材11がL2だけ曲がった。チャック32を反時計方向に90°回す。(e)に示すように、チャック32が(a)の位置に戻る。
【0055】
図13に示すように三次元的に曲げられた曲がりパイプ57が得られた。
次に、図1に示す払い出し機構60の先端に設けられるハンド61の構造を説明する。
【0056】
図14に示すように、ハンド61は、第1フィンガー62と第2フィンガー63とを備えている。第1フィンガー62には、先端側に角パイプ素材の長辺の長さ(図6、P)に対応する長さの第1溝64が切り欠き形成され、この第1溝64より基部側に角パイプ素材の短辺を収納する第2溝65が形成されている。
第2フィンガー63には、第2溝65に対応する第3溝66が形成されている。
【0057】
図15(a)に示すように、横向きにした曲がりパイプ57を、第1溝64を用いて第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟むことができる。
また、(b)に示すように、縦向きにした曲がりパイプ57を、第2溝65及び第3溝66を用いて第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟むことができる。
【0058】
次に、払い出し機構60の作用を説明する。
図16(a)に示すように、第1フィンガー62と第2フィンガー63とで曲がりパイプ57の端部を挟み図手前へ引くことで、曲がりパイプ57をチャック32から外す。
【0059】
曲がりパイプ57は三次元的に曲がっているため、例えば図16(b)に示すように、中子芯金31が水平線に対してαだけ傾く。この傾きは、芯金姿勢補正機構(図7、符号35)で、αが0になるよう補正にする。
【0060】
(c)に示すように、曲がりパイプ57を仮置き台68に置く。次に、(d)に示すように、曲がりパイプ57の中央部付近を、第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟む。すなわち、仮置き台68を利用して「持ち替え」を行う。
【0061】
図1に示すように、パイプベンダー30は、プッシャ54、55や金型56が配置されている関係で、側方からハンド61を挿入することは難しい。そこで、図16(a)のようにハンド61を上方から下向きに挿入する。
【0062】
また、図17に示すパイプ端末加工装置75では、汎用プレス機70を利用することから正面と裏面とが開いているものの上は塞がれている。そのため、曲がりパイプ57は、図面表裏方向へ移動することでパイプ端末加工装置75へセットする(又は、取り出す)。
そのためには、図16(c)及び(d)で説明した「持ち替え」が有用となり、併せて、図14の構造が役立つ。
【0063】
すなわち、図16(a)、(c)、(d)において、曲がりパイプ57は常に横向き(広い面が上下面となる向き)である。このような曲がりパイプ57を、図14で説明したような第1溝64、第2溝65及び第3溝66を有しない、普通のフラットなフィンガーで挟むと、運搬中に曲がりパイプ57が落ちる心配がある。
この点、図14に述べた構造のハンド61を採用することで、曲がりパイプ57の脱落が防止される。
【0064】
次に、パイプ端末加工装置75の詳細を説明する。
図17に示すように、ベッド71と、このベッド71を覆う門型フレーム72と、この門型フレーム72に取付けられる油圧シリンダ73とを基本構成とする汎用のプレス機70を利用して、このプレス機70にパイプ端末加工装置75を組み込む。
すなわち、パイプ端末加工装置75は、プレス機のベッド71に載せられる要素と、油圧シリンダ73により昇降自在に保持される昇降板76に取付けられる要素とからなる。
【0065】
ベッド71に載せられる要素は以下の通りである。
ベッド71に載せられる要素は、ベース板77と、このバース板77に設けられ曲がりパイプ(三次元的に曲げられた角パイプ)57を支えるパイプ支持台78、78、79と、これのパイプ支持台78、78、79で支持された曲がりパイプ57の一端の外側にてベース板77に設けられる第1芯金ガイド81と、この第1芯金ガイド81に曲がりパイプ57の一端の軸方向に移動自在に支持され曲がりパイプ57の一端に挿入する第1芯金82と、曲がりパイプ57の他端の外側にて曲がりパイプ57の他端の軸方向に移動可能にベース板77に載せられているスライドブロック83と、このスライドブロック83に上下のみ移動可能に取付けられ曲がりパイプ57の他端に挿入される第2芯金84と、スライドブロック83に上下のみ移動可能に取付けられる昇降ブロック85と、この昇降ブロック85に設けられ下降して曲がりパイプ57の他端の上辺及び片方の側辺を切断するL字刃86とからなる。
【0066】
昇降板76に設けられる要素は以下の通りである。
昇降板76に設けられる要素は、第1芯金82を曲がりパイプ57の一端へ押し出す第1ドライバカム88と、曲がりパイプ57の一端に穴を開けるピン部材89と、スライドブロック83を押し出し第2芯金84を曲がりパイプ57の他端へ挿入する第2ドライバカム91と、曲がりパイプ57をパイプ支持台79へ押し付ける押さえパッド92と、からなる。
【0067】
なお、昇降板76は、厚さが一定の平板である。図から明らかなように、昇降板76の一端は、第1ドライバカム88及びピン部材89の反力(上向き力)を受け、他端は、第2ドライバカム91及び昇降ブロック85の反力を受ける。昇降ブロック85の反力は、ピン部材89の反力より格段に大きい。
【0068】
一般に、大きい方の第2ドライバカム91及び昇降ブロック85の反力に耐えるように、昇降板76の厚さが決定される。しかし、昇降板76が厚くなると重くなり、油圧シリンダ73の負荷が大きくなり、油圧シリンダ73の運転コストも嵩む。
【0069】
そこで、本例では、昇降板76の他端に略三角形の補強板93を付設した。この構造により、昇降板76の厚さを薄くすることができ、昇降板76を軽くすることができる。結果、油圧シリンダ73の負荷が小さくなり、油圧シリンダ73の運転コストを低減させることができる。
【0070】
第1芯金82及び第2芯金84の詳細構造及び作用を図18〜図25に基づいて説明する。
図18に示すように、第1芯金ガイド81に移動自在に第1芯金82が保持されている。第1芯金82は、後部(図左側の部位)に傾斜したカム面94を有する。第1芯金82は、リターンばね95により後退側へ付勢される。ストッパ96により第1芯金82の後退限位置が規定される。
【0071】
図19(a)にて、第1ドライバカム88が下がると、この第1ドライバカム88がカム面94に接触し、カム作用により第1芯金82を押し出す。第1ドライバカム88と同期してピン部材89も下がる。
すると、(b)に示すように、第1芯金82が曲がりパイプ57の一端に挿入され、ピン部材89で曲がりパイプ57に穴57aが開けられる。第1芯金82が曲がりパイプ57の一端に挿入されているため、曲がりパイプ57が歪む心配はない。
【0072】
また、ピン部材89に付属するパッド板98及びスプリング99で、曲がりパイプ57の上面を第1芯金82に押し付けることができるため、穴57aを精度良く開けることができる。
第1ドライバカム88が上がると、リターンばね95が伸びて、第1芯金82は(a)の位置に戻る。
【0073】
図20に示すように、スライドブロック83は、後部(図右側の部位)に第2ドライバカム(図17、符号91)で押されるカム部材101を備え、図左右方向へ移動可能にベース板77に載せられている。
スライドブロック83は、後退側へ付勢されるリターンばね102を備える。このリターンばね102で押されるスライドブロック83は、ストッパ103により後退限位置が規定される。
【0074】
スライドブロック83に前方(図左側)へ開口する空洞部104が設けられている。この空洞部104は奥が壁105で塞がれている。空洞部104の縦横寸法は、縦(高さ)寸法が第2芯金84の高さ寸法より大きく設定され、横寸法(図面表裏方向寸法)が第2芯金84の横寸法にクリアランスを加えた寸法に設定されている。
したがって、第2芯金84は、上下のみ移動可能にスライドブロック83に取付けられている。第2芯金84は、押しばね106により、上方へ付勢され、空洞部104の天井107に当たって、上限位置が規制される。
【0075】
第2芯金84は、先端上部にL字刃86を収納する(逃がす)凹部84aを備え、先端下部に刃部84bを備えている。
【0076】
スライドブロック83からサイドガイド108(図面表裏方向に2枚)が立てられ、サイドガイド108を介してスライドブロック83上に昇降ブロック85が昇降自在に取付けられている。昇降ブロック85はスプリング109、109により上方へ付勢される。
【0077】
このような昇降ブロック85に、L字刃86が取付けられ、このL字刃86にボルト状の押し部材111が付設されている。
【0078】
L字刃86は、図21に示すように、水平刃112と、この水平刃112の一端から斜めに下がる傾斜刃113とを備える。
【0079】
図22(a)に示すように、パイプ支持台79に曲がりパイプ57が載っており、この曲がりパイプ57に第2芯金84が挿入されている。
(a)の側面断面図である(b)において、L字刃86を下げる。
【0080】
すると、図23に示すように、曲がりパイプ57の一方の側辺57bが傾斜刃113により、ほぼ切断される。さらに、L字刃86を下げる。
【0081】
すると、図24(a)に示すように、曲がりパイプ57の一方の側辺57bが傾斜刃113により、完全に切断されると共に、水平刃112により曲がりパイプ57の上辺57cが切断される。
(b)に示すように、切断により、スクラップ部114が製品115から分離される。そして、L字刃86が曲がりパイプ57に食い込むことで、押し部材111の下面がスクラップ部114に当たる。
【0082】
さらに、L字刃86を下げると、押し部材111はスクラップ部114を介して第2芯金84を押し下げる。なお、曲がりパイプ57の下辺57dは、第2芯金84に形成された刃部84bと、パイプ支持台79の上面端部に形成された受け刃部79aで挟まれている。
【0083】
図25に示すように、刃部84bと受け刃部79aとにより、曲がりパイプ57の下辺57dが切断される。
一般に、物品を切断する場合、刃部84bのみで切断する手法と、鋏のように刃部84b及び受け刃部79aで切断する手法がある。上辺と側辺とが切り込まれて、切断条件が厳しくなった下辺57dについては、刃部84b及び受け刃部79aで切断することにより、綺麗な切断面を得ることができる。
【0084】
得られた製品115は、図26に示す通りに、曲がりパイプの一端に穴57aが開けられ、他端が斜め又は円弧状に切断されている。このような製品115は、他端が円弧状に切断されているため、自動二輪車の左又は右メインフレームや左又は右シートレールなど、丸パイプに一端が溶接される車体フレームに好適である。
【0085】
製品115は、図27に示す製品台車120にストックし、満杯又は一定量溜まったら搬出することが望まれる。
好ましい製品台車120は、図27に示すように、車輪121を備えた台車枠122と、この台車枠122上部に斜めに渡されたスロープ123と、からなる。
第1フィンガー62と第2フィンガー63とで挟まれた製品115が矢印のようにスロープ123の上部に置かれる。
すると、製品115はスロープ123を滑り降りる。
【0086】
図27の平面図である図28に示すように、複数本の製品115が、自動的に整列される。製品115が三次元的に曲がっているにも拘わらず、多数本が効率よくストックされる。なお、スロープ123は丸パイプ、丸棒、角パイプ又は角棒を傾斜配置することで構成するとよい。
【0087】
尚、本発明の曲がりパイプ製造装置は、自動二輪車の車体フレームの製造に好適であるが、角パイプ素材を出発材料にするものであれば、曲がりパイプの用途は格別に限定しない。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の曲がりパイプ製造装置は、角パイプを三次元的に曲げる曲がりパイプ製造装置に適しており、特に、自動二輪車の車体フレームの製造に好適である。
【符号の説明】
【0089】
10…曲がりパイプ製造装置、11…角パイプ素材、12…床、20…材料台車、21a…載置面、23…車輪、24…ドライバプレート、24a…ドライバプレートに開いている穴、25…台車移動機構、26…第1シリンダユニット、27…第2シリンダユニット、29…第3シリンダユニット、30…パイプベンダー、31…中子芯金、31a…中子芯金の上面、32…チャック、33…ロッド、34…ブロック部材、34a…ブロック部材の平坦面、35…芯金姿勢補正機構、37…芯金姿勢補正機構の主要素であるシリンダ、37a…シリンダ37のピストンロッド、40…パイプ搬送機構、41…搬送路、43…スライダ部材、44…駆動手段、45…パイプ把持部材、46…パイプキック部材、47…吸着パッド、48…パッド支持部材、49…昇降手段、57…曲がりパイプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の姿勢で並べられる角パイプ素材を載置する材料台車と、前記角パイプ素材をピックアップしパイプベンダーまで搬送するパイプ搬送機構と、前記角パイプ素材に挿入される潰れ防止用の中子芯金を有し前記角パイプ素材の一端を把持するチャックを有し前記角パイプ素材を三次元的に曲げる前記パイプベンダーと、前記曲げられたパイプを前記チャック及び前記中子芯金から外し所定の場所まで移動する払い出し機構とからなる曲がりパイプ製造装置であって、
前記払い出し機構で前記曲げられたパイプを払い出す際に傾いた前記中子芯金を、前記所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、前記パイプベンダーに備えられていることを特徴とする曲がりパイプ製造装置。
【請求項2】
前記中子芯金は、ロッドで支持され、このロッドに平坦面を有するブロック部材が付設され、前記平坦面が前記中子芯金の上面と面一とされ、
前記芯金姿勢補正機構は、前記パイプベンダーに縦向きに取付けられたシリンダと、このシリンダから下方へ延びて前記ブロック部材の前記平坦面を押すピストンロッドとからなることを特徴とする請求項1記載の曲がりパイプ製造装置。
【請求項3】
前記材料台車は、前記角パイプ素材が前記パイプ搬送機構の搬送路に平行に延びるようにして複数本が密に並べられる載置面を上面に備え、前記パイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ走行する車輪を下面に備えており、
前記車輪を支える床には、前記材料台車を前記パイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ前記角パイプ素材の1個分だけ移動させる台車移動機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の曲がりパイプ製造装置。
【請求項4】
前記パイプ搬送機構は、前記材料台車から前記パイプベンダーまで延びる搬送路と、この搬送路に沿って移動するスライダ部材と、このスライダ部材を移動させる駆動機構と、前記スライダ部材から下げられ前記角パイプ素材を掴むパイプ把持部材と、前記スライダ部材に取付けられ前記パイプ把持部材で掴んでいた前記角パイプ素材を前記チャックへ押し出すパイプキック部材と、前記材料台車上の前記角パイプ素材上面に吸着する吸着パッド及び前記吸着パッドを支えるパッド支持部材と、前記スライダ部材に取付けられ前記パッド支持部材を上昇させて前記パイプ把持部材に前記角パイプ素材を受け渡し更に前記パッド支持部材を待機位置まで上昇させる昇降手段とからなる特徴とする請求項3記載の曲がりパイプ製造装置。
【請求項1】
所定の姿勢で並べられる角パイプ素材を載置する材料台車と、前記角パイプ素材をピックアップしパイプベンダーまで搬送するパイプ搬送機構と、前記角パイプ素材に挿入される潰れ防止用の中子芯金を有し前記角パイプ素材の一端を把持するチャックを有し前記角パイプ素材を三次元的に曲げる前記パイプベンダーと、前記曲げられたパイプを前記チャック及び前記中子芯金から外し所定の場所まで移動する払い出し機構とからなる曲がりパイプ製造装置であって、
前記払い出し機構で前記曲げられたパイプを払い出す際に傾いた前記中子芯金を、前記所定の姿勢に合致するように姿勢補正する芯金姿勢補正機構が、前記パイプベンダーに備えられていることを特徴とする曲がりパイプ製造装置。
【請求項2】
前記中子芯金は、ロッドで支持され、このロッドに平坦面を有するブロック部材が付設され、前記平坦面が前記中子芯金の上面と面一とされ、
前記芯金姿勢補正機構は、前記パイプベンダーに縦向きに取付けられたシリンダと、このシリンダから下方へ延びて前記ブロック部材の前記平坦面を押すピストンロッドとからなることを特徴とする請求項1記載の曲がりパイプ製造装置。
【請求項3】
前記材料台車は、前記角パイプ素材が前記パイプ搬送機構の搬送路に平行に延びるようにして複数本が密に並べられる載置面を上面に備え、前記パイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ走行する車輪を下面に備えており、
前記車輪を支える床には、前記材料台車を前記パイプ搬送機構の搬送路に直交する方向へ前記角パイプ素材の1個分だけ移動させる台車移動機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の曲がりパイプ製造装置。
【請求項4】
前記パイプ搬送機構は、前記材料台車から前記パイプベンダーまで延びる搬送路と、この搬送路に沿って移動するスライダ部材と、このスライダ部材を移動させる駆動機構と、前記スライダ部材から下げられ前記角パイプ素材を掴むパイプ把持部材と、前記スライダ部材に取付けられ前記パイプ把持部材で掴んでいた前記角パイプ素材を前記チャックへ押し出すパイプキック部材と、前記材料台車上の前記角パイプ素材上面に吸着する吸着パッド及び前記吸着パッドを支えるパッド支持部材と、前記スライダ部材に取付けられ前記パッド支持部材を上昇させて前記パイプ把持部材に前記角パイプ素材を受け渡し更に前記パッド支持部材を待機位置まで上昇させる昇降手段とからなる特徴とする請求項3記載の曲がりパイプ製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2012−91187(P2012−91187A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238791(P2010−238791)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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