説明

更新プログラム配信システム

【課題】顧客情報をデータベース上に保存することなく、契約を行なっているユーザにのみ更新プログラムを配信することを可能にすること、及び不正に複数台への更新プログラムのインストールを行うことができないようにすることで、製品を提供するベンダーの利益を守る更新プログラム配信システムを提供する。
【解決手段】サーバ11は、クライアントソフトウェア14から送信されたシリアル番号がライセンス情報管理データベース19に存在するか否かを確認する。存在する場合には、最大使用回数を超えていないかを判定する。そして、最大使用回数に達していない場合には、クライアントソフトウェア14に登録が成功した旨の情報を送信する。この場合、クライアントソフトウェア14は、シリアル番号をシリアル番号管理機能に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアパッケージ製品等のライセンス保有ユーザに対して当該ソフトウェアパッケージ製品等の更新プログラムを配信する更新プログラム配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、パーソナルコンピュータで用いられる様々なソフトウェアパッケージ製品が販売されている。そして、それらの製品毎にバージョンアップ等に基づく多くの更新プログラムが提供されている。更新プログラムには、依存関係の存在する場合があるため、ある更新プログラムを適用するためには、別の更新プログラムを事前に適用しておく必要がある。そのため、このような依存関係をもった更新プログラムを配布して、適用させることはソフトウェアパッケージ製品の販売元及びエンドユーザにとって大きな負担を強いることになる。
【0003】
そこで、更新プログラムとその依存関係の情報とをサーバのデータベースに予め蓄えておき、インターネット上に公開する。そして、システムがエンドユーザの更新プログラムの適用状況を把握することで、エンドユーザが適用の順番を意識することなく、最新の更新プログラムを配信することが可能なサービスが普及してきている。
【0004】
こうした更新プログラム配信システムの従来技術について簡単に説明する。
図16に示すように、従来技術における更新プログラム配信システムは、サーバ41及びクライアント端末42を備える。サーバ41及びクライアント端末42は、通信網としてのインターネット43に通信可能に接続されており、サーバ41をサーバコンピュータとして、クライアント端末42をクライアントコンピュータとして、クライアントサーバーシステムが構築されている。
【0005】
サーバ41には、更新プログラムデータベース44及び顧客契約情報データベース45を登録した磁気ディスク46が備えられている。更新プログラムデータベース44には、更新プログラム47、更新プログラム検出条件48、更新プログラム依存関係に関する情報49が登録されている。また、顧客契約情報データベース45には、顧客情報50及び契約情報51が登録されている。サーバ41は、クライアント端末42に更新プログラム47、更新プログラム検出条件48、更新プログラム依存関係に関する情報49を送信する機能を有する。
【0006】
また、クライアント端末42には、ソフトウェアパッケージ製品であるクライアントソフトウェア52がインストールされている。
このように構成されている従来の更新プログラム配信システムの動作は、以下のとおりである。
まず、クライアント端末42上で実行されるクライアントソフトウェア52から適用可能な更新プログラム要求のリクエストがインターネット43を介してサーバ41へ送信される。
【0007】
次に、サーバ41は、クライアント端末42から送信された顧客情報50のキーデータを用いて顧客契約情報データベース45を照会することで、顧客情報50を特定する。そして、サーバ41は、顧客情報50に紐付けられた顧客契約情報データベース45における契約情報51から契約上ダウンロード可能な更新プログラム47を特定する。
次に、サーバ41は、契約上ダウンロード可能な更新プログラム47に関する更新プログラム検出条件48、更新プログラムの依存関係に関する情報49をクライアント端末42へ返信する。
【0008】
クライアント端末42におけるクライアントソフトウェア52は適用すべき更新プログラム47を更新プログラム検出条件48及び更新プログラム依存関係に関する情報49を用いて判定する。クライアント端末42は当該判定結果に基づいて、必要な更新プログラム47をサーバ41へ要求するとともに、当該更新プログラム47のダウンロードを実行した後、更新プログラム47の適用を実施する。
これにより、エンドユーザは更新プログラム47の依存関係を意識することなく、更新プログラム47をクライアントソフトウェア52へ適用するが可能となる。
なお、本発明に関する公知技術文献としては特許文献1がある。
【特許文献1】特許公開2005−222453
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、契約に基づいてダウンロード可能な更新プログラムを判定するためには、顧客契約データベースに顧客情報を保持しておき、契約内容に基づいてダウンロード可否を判定する必要がある。
【0010】
また、エンドユーザが複数の製品について契約を結んだ場合には、追加で購入した製品の契約情報を顧客契約データベースに追加しなくてはならない。このとき、契約情報を追加するためには契約したエンドユーザを特定することが必要となる。しかしながら、ソフトウェアベンダーの多くは、ソフトウェアの販売を販売会社経由で行っており、エンドユーザの情報を把握することは容易でない。そのため、エンドユーザが製品を追加購入しても、ソフトウェアベンダーは、どのエンドユーザに対して追加製品のダウンロード許可を与えればよいのかが分からない。
【0011】
また、仮に顧客情報を入手することができた場合であっても、管理コストの面で問題がある。さらには、顧客情報の管理は、個人情報保護法が施行されたこともあって、個人情報の漏洩等が発生しないように厳重に管理する必要がある。そのため、個人情報を管理するシステムに対するセキュリティ要件は非常に高く、更新プログラム配信サービス提供者にとって、運営にかかるコストが増大するといった大きな問題が発生する。
本発明の目的は、顧客情報をデータベース上に保存することなく、契約しているユーザにのみ更新プログラムを配信する仕組みを提供することにある。
【0012】
一方、一般に更新プログラムの適用対象となる製品は、指定台数のクライアント端末にのみインストールすることが許諾されており、指定台数を超えて複数台のクライアント端末にインストールすることはライセンス違反となる。エンドユーザが不正に複数台に更新プログラムの適用対象となる製品をインストールして、クライアントソフトウェアも複数台のクライアント端末にインストールした場合には、ライセンス違反を犯しているクライアント端末に対しても更新プログラムを配信することになり、更新プログラムの適用対象となる製品を提供するベンダーの利益を阻害することになる。
2つめの本発明の目的は、不正に複数台への更新プログラムのインストールを行うことができないようにすることで、製品を提供するベンダーの利益を守ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の更新プログラム配信システムは、更新プログラムデータベース及びライセンス情報管理データベースが記憶されている記憶手段を備えるサーバと、更新プログラムの適用されるクライアントソフトウェアがインストールされているクライアント端末とが通信網を介して通信可能に接続されている更新プログラム配信システムであって、前記更新プログラムデータベースには、前記クライアント端末にインストールされる更新プログラムと、更新プログラムの検出を行うための更新プログラム検出条件と、複数の更新プログラム間の依存関係を記録したデータである更新プログラム依存関係データとが格納されており、前記ライセンス情報管理データベースには、前記クライアントソフトウェアを識別するためのシリアル番号を管理するシリアル番号情報と、ダウンロード可能である更新プログラム及びダウンロード可能な期間を有したチケット番号を管理するチケット番号情報と、前記シリアル番号情報及びチケット番号情報の結びつけを管理するマッピング情報とが格納されており、前記サーバは、前記更新プログラムデータベース及びライセンス情報管理データベースの更新を行うデータベース更新部と、前記クライアントソフトウェアからの要求に対してダウンロード可能な更新プログラムを前記ライセンス情報管理データベース及び更新プログラムデータベースから検索する検索処理部と、前記クライアントソフトウェアに対してダウンロード可能な更新プログラム一覧を送信するとともに、前記クライアント端末から送信されたデータを受信する送受信部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の更新プログラム配信システムによれば、次のような効果がある。
・顧客情報をデータベース上に保存することなく、契約しているユーザにのみ更新プログラムを配信することができる。
・不正に複数台への更新プログラムのインストールを行うことができないようにすることで、製品を提供するベンダーの利益を守ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した更新プログラム配信システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、更新プログラム配信システムは、サーバ11及びクライアント端末12を備える。サーバ11及びクライアント端末12は、通信網としてのインターネット13に通信可能に接続されており、サーバ11をサーバコンピュータとして、クライアント端末12をクライアントコンピュータとして、クライアントサーバーシステムが構築されている。
【0016】
クライアント端末12には、ソフトウェアパッケージ製品であるクライアントソフトウェア14がインストールされている。
サーバ11には、データベース更新部15、検索処理部16、送受信部17が備えられているとともに、更新プログラムデータベース18及びライセンス情報管理データベース19を記憶した記憶手段としての磁気ディスク20が備えられている。
データベース更新部15は、更新プログラムデータベース18及びライセンス情報管理データベース19の更新を実行する機能を有する。
【0017】
検索処理部16は、クライアントソフトウェア14からの要求に対してダウンロード可能な更新プログラム21をライセンス情報管理データベース19及び更新プログラムデータベース18から検索する機能を有する。
送受信部17は、クライアント端末12から送信された各種データを受信するとともに、クライアント端末12に対してダウンロード可能な更新プログラム21の一覧データを送信する。
【0018】
更新プログラムデータベース18には、更新プログラム21、更新プログラム検出条件22、更新プログラム依存関係データ23が登録されている。
更新プログラム21は、クライアント端末12にインストールされる。更新プログラム検出条件22は、更新プログラム21を検出する機能を有する。更新プログラム依存関係データ23は、複数の更新プログラム21間の依存関係を記録したデータである。
【0019】
また、ライセンス情報管理データベース19には、シリアル番号情報24、チケット番号情報25、マッピング情報26が登録されている。
シリアル番号情報24は、クライアントソフトウェア14を識別するためのシリアル番号を管理するための情報である。チケット番号情報25は、ダウンロード可能な更新プログラム21とダウンロード可能な期間に関する情報を備えたチケット番号を管理するための情報である。マッピング情報26は、シリアル番号とチケット番号との結びつけを管理するための情報である。
【0020】
次に、クライアントソフトウェア14の概要について説明する。
図2に示すように、クライアントソフトウェア14は、ユーザインタフェース機能27、送受信機能28、データ処理機能29を有する。ユーザインタフェース機能27は、チケット番号の管理及び更新プログラム21の適用を実行するための、ユーザからの入力を受け付ける機能を有する。送受信機能28は、サーバ11とデータの送受信を行う機能を有する。そして、データ処理機能29は、シリアル番号及びチケット番号の管理と適用可能な更新プログラム21の判定と更新プログラム21の適用とを行う機能を有する。
【0021】
また、データ処理機能29には、シリアル番号管理機能30、適用可能更新プログラム判定機能31、更新プログラム受信機能32、更新プログラム適用機能33が備えられている。
シリアル番号管理機能30は、クライアントソフトウェア14をクライアント端末12にインストールする際に入力されたシリアル番号を記録しておくとともに、サーバ11へ通信する際に記録したシリアル番号を送受信部17から送信する。
【0022】
適用可能更新プログラム判定機能31は、更新プログラム検出条件22及び更新プログラム依存関係データ23をサーバ11から受信して、クライアント端末12上に実際にインストールされている更新プログラム21の検出を行い、まだインストールされていない更新プログラム21を判定する処理を行う。
更新プログラム受信機能32は、適用可能更新プログラム判定機能31によってインストール可能と判定された更新プログラム21をサーバ11からダウンロードする処理を行う。
更新プログラム適用機能33は、更新プログラム受信機能によってダウンロードされた更新プログラム21を、クライアント端末12に実際にインストールする処理を行う。
【0023】
次に、ライセンス情報管理データベース19に格納されているシリアル番号情報24のテーブル構造について説明する。
図3に示すように、ライセンス情報管理データベース19に格納されているシリアル番号情報24のテーブル要素は、シリアル番号、使用回数、最大使用回数で構成されている。シリアル番号は、本システムで一意となる番号であり、クライアントソフトウェア14のインストールを行う際に必要となるものである。
【0024】
次に、ライセンス情報管理データベース19に格納されているチケット番号情報25のテーブル構造について説明する。
図4に示すように、ライセンス情報管理データベース19に格納されているチケット番号情報25のテーブル要素は、チケット番号、製品名、チケットの契約開始日、契約終了日、チケットの使用回数、最大使用回数で構成されている。チケット番号は、本システムで一意にチケットを識別するための文字列である。
【0025】
次に、ライセンス情報管理データベース19に格納されているマッピング情報26のテーブル構造について説明する。
図5に示すように、ライセンス情報管理データベース19に格納されているマッピング情報26のテーブル要素は、シリアル番号及びチケット番号で構成されている。シリアル番号は、シリアル番号情報に保存されているシリアル番号である。チケット番号はチケット番号情報に保存されているチケット番号である。1つのシリアル番号に対して、複数のチケット番号を結びつけることができる。これは、エンドユーザが追加の製品を購入した場合に1つのクライアントソフトウェア14で複数の製品の更新プログラムをダウンロードさせることを可能とするためである。
【0026】
次に、更新プログラムデータベース18に格納されている更新プログラム検出条件22のテーブル構造について説明する。
図6に示すように、更新プログラムデータベース18に格納されている更新プログラム検出条件22のテーブル要素は、修正プログラム名、製品名、検出条件、バイナリで構成されている。修正プログラム名は、修正プログラムを一意に示す名称である。製品名は、修正プログラム名がどの製品に属するかを示す。検出条件は、修正プログラム名がインストールされていることを検出するための条件である。具体的には、ファイルの存在やオペレーティングシステム上のレジストリデータベースの値などを検出の条件として記述する。
【0027】
次に、以上のように構成された更新プログラム配信システムの動作を説明する。
まず、サーバ11ではデータベース更新部15を使用して、ライセンス情報管理データベース19にシリアル番号情報24及びチケット番号情報25が作成される。発行されたシリアル番号情報24は図3に示すテーブルに格納される。具体的には、発行されたシリアル番号がシリアル番号に、未使用であることを示す0が使用回数に、シリアル番号の最大使用回数が最大使用回数にそれぞれ記録される。
【0028】
また、発行されたチケット番号情報25は図4に示すテーブルに格納される。具体的には、発行されたチケット番号がチケット番号に、チケットでダウンロード可能となる製品を示す名称が製品名に、契約の開始日の日付が契約開始日に、契約の終了日の日付が契約終了日に、未使用であることを示す0が使用回数に、チケットの最大使用回数が最大使用回数にそれぞれ記録される。
ここで発行されたシリアル番号及びチケット番号は、電子メールや書面に記載して郵送することなどにより、ベンダーからエンドユーザへと受け渡される。
【0029】
クライアントソフトウェア14は、クライアント端末12へインストールされる際にサーバ11にシリアル番号を登録する。
シリアル番号をサーバ11に登録する処理は、図7に示すように、まず、クライアントソフトウェア14が、サーバ11に対してシリアル番号登録要求を送信する(ステップS71)。次に、サーバ11は、シリアル番号登録処理を実行するとともに(ステップS72)、クライアントソフトウェア14に対して処理結果をシリアル番号登録結果返信として返送する(ステップS73)。
【0030】
次に、シリアル番号登録処理の概要について説明する。
図8に示すように、まず、サーバ11は、クライアントソフトウェア14から送信されたシリアル番号が図3に示すテーブルに存在するか否かを確認する(ステップS81)。存在しない場合には、サーバ11は、クライアントソフトウェア14に登録に失敗した旨の情報を送信する(ステップS82)。一方、存在する場合には、サーバ11は、最大使用回数を超えていないかを判定する(ステップS83)。
【0031】
最大使用回数に達している場合には、サーバ11は、クライアントソフトウェア14に登録に失敗した旨の情報を送信する(ステップS82)。最大使用回数を超えていない場合には、最大使用回数をインクリメントして(ステップS84)、クライアントソフトウェア14に登録が成功した旨の情報を送信する(ステップS85)。登録に成功した旨の情報を受信した場合、クライアントソフトウェア14は、シリアル番号をシリアル番号管理機能30に保存する。
【0032】
クライアントソフトウェア14は、ユーザインタフェース機能27の1つとして、図9に示すチケットの追加及び削除を行うためのチケット管理画面34をクライアント端末12の図示しないディスプレイに表示させる機能を有する。
ここで、チケット管理画面34で発生する通信処理の概要について説明する。
図10に示すように、ユーザによってチケット管理画面34が開かれると、クライアントソフトウェア14はサーバ11に対して、クライアントソフトウェア14が保持しているシリアル番号をサーバ11に送信することで、チケット一覧要求を行う(ステップS101)。
【0033】
次に、サーバ11は、クライアントソフトウェア14からの要求に対して、チケット一覧取得処理を行う(ステップS102)。そして、サーバ11はシリアル番号に紐付けられたチケットの一覧を作成するとともに、チケット一覧返信を行う(ステップS103)。具体的に、サーバ11はクライアントソフトウェア14から受け取ったシリアル番号を元に図5に示すテーブルからシリアル番号に紐付けられたチケット番号の一覧を取得するとともに、図4に示すテーブルからチケット番号に紐づく製品名、契約開始日、契約終了日を取得し、クライアントソフトウェアへチケット一覧を返信する。クライアントソフトウェア14は、サーバ11から返信されたチケット一覧をチケット管理画面34のチケット一覧の領域に表示する。
【0034】
エンドユーザが新しい製品を購入した場合、対応する製品のチケット番号を図9に示すチケット管理画面34から登録する。
エンドユーザによってチケット追加ボタンが押下されると、チケット登録要求処理によってチケット管理画面34から入力されたチケット番号とクライアントソフトウェア14のシリアル番号がサーバ11に送信される(ステップS104)。
サーバ11では、チケット登録処理を行い(ステップS105)、クライアントソフトウェア14によって送信されたチケット番号とシリアル番号とを紐付けて、チケット登録結果返信を行う(ステップS106)。
【0035】
ここで、チケット番号登録処理の概要について説明する。
図11に示すように、まず、サーバ11は、クライアントソフトウェア14から送信されたチケット番号を図4に示すテーブルから検索して、最大使用回数を超えていないかを判定する(ステップS111)。最大使用回数に達している場合には、サーバ11は、クライアントソフトウェア14に登録に失敗した旨の情報を送信する(ステップS112)。
一方、最大使用回数を超えていない場合には、使用回数をインクリメントするとともに(ステップS113)、図5に示すテーブルにシリアル番号とチケット番号との紐付けを記録する(ステップS114)。そして最後に、クライアントソフトウェア14に登録が成功した旨の情報を送信する(ステップS115)。
【0036】
ここで、図10に示すチケット管理画面34で発生する通信処理の説明に戻る。
エンドユーザが購入済み製品のライセンスを他のコンピュータへ移動する場合に、使用済のチケットを削除する必要がある。チケットを削除する場合、エンドユーザは図9に示すチケット管理画面34からチケット削除ボタンを押下する。チケット削除ボタンが押下されると、チケット削除要求がサーバ11へと送信される(ステップS107)。具体的にはチケット管理画面34から削除指定されたチケット番号とクライアントソフトウェア14のシリアル番号とがサーバ11に送信される。
【0037】
サーバ11では、チケット削除処理が実行される(ステップS108)。そして、サーバ11はクライアントソフトウェア14によって送信されたチケット番号とシリアル番号との紐付けを解除するとともに、チケット削除結果返信を行う(ステップS109)。
ここで、チケット番号削除処理の概要について説明する。
図12に示すように、まず、サーバ11はクライアントソフトウェア14から送信されたチケット番号とシリアル番号との組を図5に示すテーブルから検索するとともに、レコードの削除を行うことで紐付けを解除する(ステップS121)。
【0038】
次に、サーバ11はクライアントソフトウェア14から送信されたチケット番号を図4に示すテーブルから検索するとともに、使用回数をデクリメントする(ステップS122)。そして、サーバ11は削除成功の結果に関する情報をクライアントソフトウェア14へ返信する(ステップS123)。
【0039】
次に、クライアントソフトウェア14が更新プログラムの一覧をサーバ11に要求して適用するまでの処理について説明する。
図13に示すように、クライアントソフトウェア14は更新プログラム一覧取得要求をサーバ11に行う(ステップS131)。すると、サーバ11は更新プログラム一覧取得要求処理を実行するとともに(ステップS132)、クライアントソフトウェア14へ更新プログラム一覧に関するデータを返信する(ステップS133)。
【0040】
次に、クライアントソフトウェア14は、更新プログラム一覧画面表示処理を実行するとともに、適用可能な更新プログラムの一覧である更新プログラム一覧画面をクライアント端末12の図示しないディスプレイに表示させる(ステップS134)。
次に、クライアントソフトウェア14は更新プログラム一覧画面からエンドユーザによって選択された更新プログラムをダウンロードするために、更新プログラムダウンロード要求を実施する(ステップS135)。
【0041】
サーバ11はその要求をうけて更新プログラムダウンロード処理要求を実施する(ステップS136)。具体的には、更新プログラム一覧画面からエンドユーザによって選択されたインストールされていない更新プログラムの一覧をクライアントソフトウェア14が送信すると、サーバ11は図6に示すテーブルから更新プログラムのバイナリデータを取得するとともに、クライアントソフトウェア14へと送信する。
【0042】
サーバ11はダウンロード処理要求の結果としてクライアントソフトウェア14に対して、更新プログラムを返信する(ステップS137)。クライアントソフトウェア14はダウンロードしたソフトウェアをクライアント端末12上で実行して更新プログラム適用処理を実施する(ステップS138)。具体的には、クライアントソフトウェア14はサーバ11からダウンロードした更新プログラムを、クライアント端末12上で実行して、更新プログラムのインストールを行う。
【0043】
ここで、図13のステップS132における更新プログラム一覧取得要求処理の詳細を説明する。図14に示すように、まずクライアントソフトウェア14から送られたチケット番号とシリアル番号との組を図5に示すテーブルから検索する(ステップS141)。次に、図4に示すテーブルからチケット番号に紐付けられた製品名を検索するとともに(ステップS142)、図6に示すテーブルから製品名が一致する修正プログラムの修正プログラム名及び検出条件を取得する。そして、その一覧リストをクライアントソフトウェア14へ返信する(ステップS143)。
【0044】
次に、図13のステップS134における更新プログラム一覧画面表示処理の詳細を説明する。
図15に示すように、まず、クライアントソフトウェア14は、サーバ11から取得した一覧リストに対して、修正プログラムのリストから検出条件を調べる。そして、一覧リスト上の修正プログラムが実際にクライアントにインストールされているか否かを判定するとともに、インストールされていない更新プログラムのリストを作成する(ステップS151)。そして、インストールされていない更新プログラムのリストを更新プログラム一覧画面に表示させる(ステップS152)。
【0045】
以上説明したとおり、本実施形態の更新プログラム配信システムによれば、次のような効果がある。
・顧客情報をデータベース上に保存することなく、契約しているユーザにのみ更新プログラムを配信することができる。
・不正に複数台への更新プログラムのインストールを行うことができないようにすることで、製品を提供するベンダーの利益を守ることができる。
【0046】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・通信網の代表としてインターネット13を例に説明したが、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークであってもよい。
・クライアント端末12がインターネット13に1台接続されているシステムを例に説明したが、クライアント端末12は、インターネット13に複数台接続されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム構成図。
【図2】クライアントソフトウェアの構成図。
【図3】データベースに格納されているシリアル番号情報の構成図。
【図4】データベースに格納されているチケット番号情報の構成図。
【図5】データベースに格納されているマッピング情報の構成図。
【図6】データベースに格納されている更新プログラム検出条件の構成図。
【図7】シリアル番号登録におけるシーケンス図。
【図8】シリアル番号登録処理の概要を示すフローチャート。
【図9】チケット管理画面の構成図。
【図10】チケット追加及び削除処理におけるシーケンス図。
【図11】チケット番号登録処理の概要を示すフローチャート。
【図12】チケット番号削除処理の概要を示すフローチャート。
【図13】更新プログラム取得及び適用処理におけるシーケンス図。
【図14】更新プログラム一覧取得要求処理の概要を示すフローチャート。
【図15】更新プログラム一覧画面表示処理の概要を示すフローチャート。
【図16】従来の更新プログラム配信システムを示すシステム構成図。
【符号の説明】
【0048】
11…サーバ、12…クライアント端末、13…通信網としてのインターネット、14…クライアントソフトウェア、15…データベース更新部、16…検索処理部、17…送受信部、18…更新プログラムデータベース、19…ライセンス情報管理データベース、20…記憶手段としての磁気ディスク、21…更新プログラム、22…更新プログラム検出条件、23…更新プログラム依存関係データ、24…シリアル番号情報、25…チケット番号情報、26…マッピング情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新プログラムデータベース及びライセンス情報管理データベースが記憶されている記憶手段を備えるサーバと、
更新プログラムの適用されるクライアントソフトウェアがインストールされているクライアント端末と
が通信網を介して通信可能に接続されている更新プログラム配信システムであって、
前記更新プログラムデータベースには、前記クライアント端末にインストールされる更新プログラムと、更新プログラムの検出を行うための更新プログラム検出条件と、複数の更新プログラム間の依存関係を記録したデータである更新プログラム依存関係データとが格納されており、
前記ライセンス情報管理データベースには、前記クライアントソフトウェアを識別するためのシリアル番号を管理するシリアル番号情報と、ダウンロード可能である更新プログラム及びダウンロード可能な期間を有したチケット番号を管理するチケット番号情報と、前記シリアル番号情報及びチケット番号情報の結びつけを管理するマッピング情報とが格納されており、
前記サーバは、
前記更新プログラムデータベース及びライセンス情報管理データベースの更新を行うデータベース更新部と、
前記クライアントソフトウェアからの要求に対してダウンロード可能な更新プログラムを前記ライセンス情報管理データベース及び更新プログラムデータベースから検索する検索処理部と、
前記クライアントソフトウェアに対してダウンロード可能な更新プログラム一覧を送信するとともに、前記クライアント端末から送信されたデータを受信する送受信部と
を備えることを特徴とする更新プログラム配信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−104433(P2009−104433A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276030(P2007−276030)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】