説明

書籍収納ボックス

【課題】書籍を散乱させることなく移動させることが可能な、新規かつ改良された書籍収納ボックスを提供すること。
【解決手段】背面壁114に手持ち用の孔122が形成され、上面が開放した箱状の書籍収納ボックス100であって、陳列時には背面壁と書籍150との間に挿入され、移動時には背面壁と対向する正面壁112と書籍との間に挿入されて、書籍の正面側への移動を制限する着脱自在な補助壁130とを備えていることを特徴とする。上記補助壁の上端部には、陳列時において正面側に傾斜する傾斜面134が形成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
書店に書籍を陳列する際に、収納部に書籍を収納する書籍収納ボックスが用いられている。書籍収納ボックスは、書籍を内部に収納できる収納部を有している。書籍は、収納部内部で、書籍の表紙側が上を向くように平積みされたり、背表紙が前方を向くように立てて配列されたりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、書籍収納ボックスを収納された書籍と共に移動するとき、収納部の壁部より書籍が高く積まれている場合等において、書籍収納ボックスを傾けてしまうと、書籍が散乱しやすいという問題があった。また、陳列時において、書籍収納ボックスは、収納部の手前側の壁部ができるだけ低く形成されていれば、収納された書籍が取り出しやすいが、書籍収納ボックスを移動させる場合、書籍が散乱しやすくなるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、書籍を散乱させることなく移動させることが可能な、新規かつ改良された書籍収納ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、背面壁に手持ち用の孔が形成され、上面が開放した箱状の書籍収納ボックスであって、陳列時には背面壁と書籍との間に挿入され、移動時には背面壁と対向する正面壁と書籍との間に挿入されて、書籍の正面側への移動を制限する着脱自在な補助壁とを備えていることを特徴とする書籍収納ボックスが提供される。
【0006】
かかる構成により、書籍収納ボックスは書籍を収納し、手持ち用の孔は、書籍収納ボックスの背面壁に形成されることで設けられる。補助壁は、着脱自在であり、陳列時には、補助壁は、背面壁と書籍との間に挿入され、移動時には、補助壁は、正面壁と書籍との間に挿入される。その結果、手持ち用孔によって書籍収納ボックスを移動させることができ、補助壁は、移動時に、書籍収納ボックスに収納された書籍が正面側へ移動すること制限することができる。
【0007】
上記補助壁の上端部には、陳列時には正面側に傾斜する傾斜面が形成されてもよい。かかる構成により、傾斜面に、例えば、書籍の販売促進用の広告などが印刷されたり、貼付されたりすることによって、書籍収納ボックスに収納された書籍の上に広告などを配置することができる。
【0008】
上記正面壁は、背面壁よりも高さが低く形成されてもよい。かかる構成により、書籍収納ボックスに書籍が低く積まれている場合でも、収納された書籍が取り出しやすくなる。一方、移動時には、補助壁を正面壁に重ねれば、補助壁が書籍の正面側への移動を制限し、正面から書籍が散乱することはない。
【0009】
上記補助壁は、移動時に正面側へかかる書籍の荷重を支持することが可能な剛性を有することができる。かかる構成により、補助壁を正面壁に重ねて書籍収納ボックスを移動させるとき、正面側に書籍収納ボックスが傾いても、補助壁は、書籍収納ボックスに収納された書籍を支持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、書籍を散乱させることなく移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
まず、本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの構成について説明する。
【0013】
書籍収納ボックスは、書店に書籍150を陳列する際に用いられている。書籍収納ボックスは、書籍150を内部に収納可能な収納部110と、陳列時には収納部110の背面壁114と書籍150との間に挿入され、移動時には、背面壁114と対向する正面壁112と書籍150との間に挿入される補助壁130とからなる。
【0014】
以下に、収納部110と、補助壁130について詳細に説明する。
【0015】
収納部110は、壁部と、底部118とを有して、上面が開口した箱型形状である。壁部は、正面壁112と、背面壁114と、互いに対向する2つの側面壁116とからなる。壁部と、底部118は、例えば、薄板状の部材であるが、移動時に書籍150を支持することが可能な剛性を有する。壁部と、底部118は、例えば、プラスチック、ボール紙などの材料からなる。
【0016】
正面壁112は、例えば、四角形状の面部材であり、書籍収納ボックス100の陳列時に、背面壁114などのその他の壁部よりも高さが低くなるように形成される。正面壁112は、陳列時に下端部となる1辺が底部118と接続され、上下方向に配置される2辺がそれぞれ側面壁116と接続される。
【0017】
背面壁114は、例えば、四角形状の面部材であり、持ち手部120が設けられる。背面壁114は、書籍収納ボックス100の陳列時に下側となる1辺が底部118と接続され、上下方向に配置される2辺がそれぞれ側面壁116と接続される。
【0018】
持ち手部120は、書籍収納ボックス100を例えば手で持ち上げるために使用する握り手である。持ち手部120は、背面壁114の上部側に形成される。持ち手部120は、背面壁114に貫通孔122が形成されることで構成される。貫通孔122は、手持ち用の孔の一例である。貫通孔122は、例えば、背面壁114の上辺に沿って、平行に形成され、例えば、人の片手、両手又は指が挿入できる大きさで形成される。貫通孔122は、背面壁114の上辺から所定の間隔だけ離れた位置に設けられる。ここで、所定の間隔とは、例えば、背面壁114の上辺と貫通孔122の上辺との間の背面壁114によって、握り手が形成されるような長さである。なお、貫通孔122は、背面壁114に1つ形成される場合に限定されず、2つ以上形成されてもよい。
【0019】
側面壁116は、例えば、台形形状の面部材である。側面壁116は、書籍収納ボックス100の陳列時に下側となる1辺が底部118と接続され、上下方向に配置される2辺のうち1辺が正面壁112と接続され、他の1辺が背面壁114と接続される。側面壁116は、正面壁112側では、側面壁116の1辺と正面壁112の1辺は同一長さを有する。一方、側面壁116は、背面壁114側では、側面壁116の1辺の長さが、背面壁114の1辺の長さの約1/2の長さである。そのため、側面壁116の上辺は、背面壁114の約1/2の高さの位置で背面壁114と接続される。
【0020】
側面壁116のうち背面壁114に接続される辺は、正面壁112に接続される辺よりも長く形成される。そのため、側面壁116の上辺は、陳列時において手前側(正面壁112側)に傾斜して形成される。このような構成により、側面壁116は、収納部110に収納された書籍150を両側で支持しながら、正面壁112は、低い高さで形成されることから、収納された書籍150が取り出しやすい。
【0021】
なお、側面壁116は、背面壁114側では、側面壁116の1辺の長さが、背面壁114の1辺の長さに対して約1/2の長さであるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、上述したように側面壁116が正面壁112側に傾斜した台形形状を有するのではなく、正面壁112と接続する辺と、背面壁114と接続する辺の長さが同一であるとして、側面壁116が四角形状の面部材であるとしてもよい。また、例えば、側面壁116の背面壁114と接続される辺の長さは、背面壁114の1辺の長さに対して約1/2の長さ以外の任意の長さとすることができる。
【0022】
底部118は、例えば、四角形状の面部材であり、収納された書籍150を支持する。正面壁112と、背面壁114と、側面壁116は、底部118の各辺からほぼ垂直に立ち上がって形成される。なお、本実施形態では、底部118が四角形であり、底部118から立ち上がる壁部が4面である場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、底部が四角形以外の多角形であり、多角形の辺に対応した数の壁部を有するとしてもよい。この場合、壁部の少なくとも一面は、持ち手部が形成された壁部である。
【0023】
補助壁130は、陳列時には、収納部110の背面壁114と書籍150との間に挿入され、移動時には、正面壁112と書籍150との間に挿入されて、収納部110に対して着脱可能である。補助壁130は、板状部材の支持部132と、支持部132に対して傾斜したPOP面134とを有する。
【0024】
支持部132は、例えば、四角形状の面部材であり、移動時などにおいて、書籍収納ボックス100が傾いた場合でも、書籍150の荷重を支持することができる剛性を有する材料、例えば、プラスチック、ボール紙などからなる。
【0025】
支持部132の幅方向の長さは、例えば、収納部110の背面壁114側の内法長さとほぼ同じ長さであり、収納部110に収納可能な長さである。支持部132の高さ方向の長さは、例えば、背面壁114の長さとほぼ同じ長さである。収納部110に書籍150が収納されているとき、支持部132は、書籍150と背面壁114との間に挿入可能であり、持ち手部120が形成された背面壁114と重ねられる。また、支持部132は、書籍150と正面壁112との間に挿入可能であり、正面壁112と重ねられる。
【0026】
支持部132は、背面壁114とほぼ同一高さを有しているので、正面壁112に重ねられて配置されると、移動時には、書籍150の正面側への移動を制限し、正面壁112のみで支持する書籍150の数よりも多くの数の書籍150を支持することができる。
【0027】
POP面134は、傾斜面の一例であり、支持部132の上端部に沿って形成される。POP面134には、例えば、書籍150の販売促進用の広告が印刷されたり、貼付されたりする。POP面134の幅方向の長さは、例えば、支持部132の幅方向の長さと同一である。POP面134は、例えば、支持部132が、正面壁112又は背面壁114に重ねられて配置されたとき、補助壁130の上部側に配置される。POP面134は、陳列時において、手前(正面壁112側)に傾斜して形成される面を有する。なお、POP面134は、陳列時において、手前に傾斜して形成されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。POP面134の傾斜角度は、支持部132に対して鋭角であってもよいし、直角であってもよいし、鈍角であってもよい。また、POP面134は、板状部材に限られず、角柱形状の部材が支持部132の上端部で水平に延設され、傾斜面を有するとしてもよい。
【0028】
補助壁130の支持部132には、図示しないが、貫通孔が形成されてもよい。貫通孔122は、支持部132の上辺に沿って、平行に形成され、例えば、人の片手が挿入できる大きさで形成される。そして、補助壁130が背面壁114の貫通孔122に重ねられたとき、背面壁114の貫通孔122とほぼ同じ高さとなる位置に、支持部132の貫通孔が形成されるとよい。
【0029】
このような構成を有することにより、補助壁130を背面壁114に重ねて配置しているときでも、貫通孔122と支持部132の貫通孔とに手を入れることができ、書籍収納ボックス100を容易に移動させることが可能である。
【0030】
なお、支持部132の貫通孔が形成されている場合、補助壁130を正面壁112に重ねて配置すると、背面壁114の貫通孔122と支持部132の貫通孔の両方を使って書籍収納ボックス100を移動させようとする可能性がある。しかし、補助壁130は、書籍150と正面壁112の間に挿入されているに過ぎないため、補助壁130は収納部110から抜けてしまい、逆に書籍150を散乱させてしまうおそれがある。従って、補助壁130の支持部132には、貫通孔が形成されないほうがよい場合もある。
【0031】
次に、本実施形態に係る書籍収納ボックスの使用方法について説明する。
【0032】
陳列時において、書籍収納ボックス100には、収納部110内部に書籍150を収納する。このとき、図示するように、書籍150の表紙側が上を向くように書籍150を平積みすることができる。なお、書籍150の収納の仕方は、図示に限定されず、背表紙が前方を向くように書籍150を立てて配列してもよい。また、図では、収納部110に書籍150を1列平積みしている状態を示しているが、収納部110に2列以上平積みしてもよい。
【0033】
また、陳列時には、補助壁130を、POP面134が手前に傾斜するように、背面壁114と書籍150の間に挿入する。このように補助壁130を配置することで、POP面134上の書籍150の広告などを、陳列された平積みの書籍150の上に配置することができる。また、正面壁112の高さが低く形成されている場合には、収納部110の底のほうに収納された書籍150も容易に取り出すことができる。
【0034】
移動時には、本実施形態の書籍収納ボックス100は、収納部110に書籍150を収納したまま、貫通孔122に手を挿入して持ち手部120を把持して持ち上げることで、移動させることができる。このとき、図に示すように、正面壁112と書籍150の間に補助壁130を挿入する。このように補助壁130を配置することで、収納部110内に書籍150が収納されていて、更に、正面壁112よりも高い位置に書籍150が積まれていても移動が可能である。例えば、移動時に、持ち手部120を把持して書籍収納ボックス100持ち上げることで、正面壁112側が下側になるように傾くが、補助壁130が書籍150を支持可能であるためである。
【0035】
なお、図示しないが、補助壁130の支持部132に、上述したように貫通孔が設けられてもよい。この場合、移動時において、収納部110に収納された書籍150が少ないとき、例えば、正面壁112よりも低く書籍150が積まれているときは、補助壁130を背面壁114に重ねたまま、貫通孔122と支持部132の貫通孔に手を挿入して、書籍収納ボックス100を持ち上げて移動させることができる。なお、補助壁130に貫通孔が形成されている場合は、補助壁130を正面壁112に重ねて、書籍収納ボックス100を移動させようとするとき、補助壁130の貫通孔に手をかけても、補助壁130は書籍150と正面壁112の間に挿入されているだけであるため、書籍収納ボックス100から抜けてしまう。そのため、移動の際、書籍150を散乱させることがないように、補助壁130には貫通孔を形成しないほうがよい場合もある。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部の見取り図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの補助壁の見取り図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの補助壁の平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの補助壁の正面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの補助壁の側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部と補助壁の組立時の見取り図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部と補助壁の平面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部と補助壁の組立時の正面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの収納部と補助壁の組立時の側面図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの書籍陳列時の使用状態を示す見取り図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る書籍収納ボックスの書籍移動時の使用状態を示す見取り図である。
【符号の説明】
【0038】
100 書籍収納ボックス
110 収納部
112 正面壁
114 背面壁
116 側面壁
118 底部
120 持ち手部
122 貫通孔
130 補助壁
132 支持部
134 POP面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面壁に手持ち用の孔が形成され、上面が開放した箱状の書籍収納ボックスであって、
陳列時には前記背面壁と書籍との間に挿入され、移動時には前記背面壁と対向する正面壁と書籍との間に挿入されて、書籍の正面側への移動を制限する着脱自在な補助壁と、
を備えていることを特徴とする、書籍収納ボックス。
【請求項2】
前記補助壁の上端部には、陳列時には正面側に傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の書籍収納ボックス。
【請求項3】
前記正面壁は、前記背面壁よりも高さが低く形成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の書籍収納ボックス。
【請求項4】
前記補助壁は、移動時に正面側へかかる書籍の荷重を支持することが可能な剛性を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の書籍収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−213935(P2008−213935A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204205(P2007−204205)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(506285242)ジョイ・プランニング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】