説明

書込装置、画像形成装置及び書込方法

【課題】容易に良質な出力画像を得る。
【解決手段】画像データに応じた2値の信号を受信して、当該信号に基づいて画像の書き込みを行う書込装置であって、受信した2値の信号に基づき、2値の整数倍である多値の信号を出力する多値化手段と、多値の信号に基づいて、画像データよりも解像度が大きい2値の画像の書き込みを行う書込手段と、を備える。これによって、容易に良質な出力画像を得ることができる。画像形成装置は、書込装置を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書込装置、画像形成装置及び書込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体に光を照射して潜像を書き込む書込装置には、レーザ光によるLD走査方式や、LED発光素子をアレイ状に配置した発光素子アレイ方式がある。発光素子アレイ方式の書込装置は、LD走査方式におけるポリゴンミラーのような可動部がなく信頼性が高い。また、発光素子アレイ方式の書込装置は、A0幅などの大判サイズのプリント出力を行う広幅の画像形成装置においても、主走査方向に光ビームを走査させるための光学的空間が不要である。また、発光素子アレイ方式の書込装置は、LED発光素子アレイとセルフォック(登録商標)レンズアレイ等の光学素子を一体化したLEDヘッドを配置すれば良く、装置全体を小型化することができる。
【0003】
発光素子アレイ方式の書込装置では、画像書込幅以上の発光素子アレイが必要となる。発光素子アレイの長さを長くすると、使用するLED素子ドライバICが増えて生産の歩留まりが低下する。また、書込ビーム配列精度を維持するために部品精度を良くする必要がある。また、長くされた発光素子アレイユニットは、1ドットでも故障するとユニットごと交換しなければならない。この問題を解決するために、複数の発光素子アレイユニットを主走査方向に並べて配置したものが提案されている。
【0004】
また、複数の発光素子アレイユニットの繋ぎ目に位置する発光素子の発光量を制御するために、多値発光素子アレイユニットを用いられることがある。多値発光素子アレイユニットは、例えば1ドットの発光が5ビット(32値)と多値であり、32段階で光束を変更することができる。多値発光素子アレイユニットは、複数の発光素子アレイユニットの繋ぎ目位置での白スジ、黒スジの光量ムラ(繋ぎ目位置の組付け精度から発生する発光素子のピッチムラ)を抑制するように調整制御が可能である。しかしながら、2値制御の発光素子の場合には、光束を変更することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、特許文献1では、発光素子アレイユニットの繋ぎ目部の画像データとそれ以外の画像データを1ラインの間で分割して転送させ、デューティ比を制御させて繋ぎ目部の白スジ、黒スジ等を目立たないように抑制している。しかし、繋ぎ目部の画像はいろいろあり、一定の点灯時間では、画像がかすれたり、太ったりする可能性があり、画像ドット間の隙間の光量ムラを改善するには至らなかった。具体的には、1ドットの孤立点が繋ぎ目部にある場合、繋ぎ目のデューティ比が小さいと点灯時間が短くなり通常画像の点灯時間に満たないためドット径が満足できない。逆に、ハーフトーン部では、周りのドット径と等しくならなくなる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、容易に良質な出力画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像データに応じた2値の信号を受信して、当該信号に基づいて画像の書き込みを行う書込装置であって、前記受信した2値の信号に基づき、前記2値の整数倍である多値の信号を出力する多値化手段と、前記多値の信号に基づいて、前記画像データよりも解像度が大きい2値の画像の書き込みを行う書込手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、原画像の解像度よりも高い解像度で書き込みをすることができる。これにより、容易に良質な出力画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置が備える機能及びその周辺の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、LED書込制御回路の構成及びその周辺を示す図である。
【図4】図4は、画素データのコード化の例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、LEDヘッドの配置の概要を示す図である。
【図5−2】図5−2は、図5−1のLEDヘッドの繋ぎ目部分の拡大図である。
【図5−3】図5−3は、解像度を600dpiから1200dpiに変換した図である。
【図6−1】図6−1は、画素データと点灯時間(デューティ10%)の例を示す図である。
【図6−2】図6−2は、画素データと点灯時間(1画素当たり2.5%分)の例を示す図である。
【図6−3】図6−3は、画素データとパターンの例を示す図である。
【図6−4】図6−4は、画素データと点灯時間の制御例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置が備える機能及びその周辺の構成を示すブロック図である。図1に示す機能を備えた画像形成装置は、例えば、ファクシミリ装置、印刷装置(プリンタ)、複写機、又は複合機などである。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置は、読取部100、画像処理部300、エンジン制御部350、操作部400、書込部500及びコントローラ部610を有し、外部端末機650が接続可能にされている。読取部100は、原稿を読み取る読取手段である。画像処理部300は、それぞれ異なる機能を備えた複数の画像処理モジュール301を有し、読取部100が読取った原稿及びコントローラ部610を介して受け入れた画像データから、書込部500が書込みに用いる画像データを生成する。
【0012】
エンジン制御部350は、画像形成装置を構成する各部が行う一連のプロセスを実行制御するシステム制御装置302、及び画像形成装置内の各駆動装置を制御する駆動制御回路504を有する。操作部400は、キー入力を行う操作手段としての操作パネル402、及び操作パネル402とコントローラ部610との接続を制御する操作制御回路404とを有する。コントローラ部610は、画像を一時蓄積するメモリ612、及びそれぞれ異なる機能を備えた制御モジュール614を有する。制御モジュール614は、例えばインターフェイス(I/F)制御及びメモリ制御などを行う。なお、外部端末機650は、例えばPC(Personal Computer)などであり、例えば解像度(画素密度)600dpiの画像データを画像形成装置に対して出力し、後述するように例えば画像形成装置に解像度1200dpiの画像を形成させる。
【0013】
次に図1及び図2を参照して、読取部100の構成と動作を説明する。図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す図である。オペレータが原稿を読取部100の挿入口から挿入すると、原稿は、ローラ1の回転に応じて密着センサ2と白色ローラ3との間を搬送される。搬送中の原稿は、密着センサ2に取り付けられているLEDにより照射され、その反射光は密着センサ2に結像され、原稿画像情報が読み取られる。図1を参照すると、センサ101上に結像した原稿画像は電気信号に変換され、このアナログ信号は、画像増幅回路102で増幅される。AD変換回路103は、画像増幅回路102で増幅されたアナログ画像信号を画素毎の多値デジタル画像信号に変換する。変換されたデジタル画像信号は、同期制御回路106から出力されるクロックに同期して出力され、シェーディング補正回路104により、光量ムラ、コンタクトガラスの汚れ、センサ101の感度ムラ等による歪みが補正される。この補正されたデジタル画像情報は、画像処理回路105でデジタル記録画像情報(画像データ)に変換された後、画像処理部300に対して出力される。
【0014】
次に、画像処理部300に入力された画像データに基づく画像を記録紙に形成するための一連のプロセスを制御しているシステム制御装置302と書込部500の構成について説明する。システム制御装置302は、上述したように一連のプロセスを実行制御する機能を備え、読取制御回路107、同期制御回路106、画像処理部300及びLED書込制御回路502での画像データ転送と、駆動制御回路504の制御により動作するスキャナ駆動装置108及びプリンタ駆動装置505を介して図示しないモータ等の駆動を行い、読取り原稿及び記録紙の搬送を円滑に制御している。書込部500は、画像処理部300より転送基準クロック信号に同期して転送された画像データをLED書込制御回路502で1画素単位にビット変換し、LEDヘッド503_1〜503_3で赤外光に変換して出力する。
【0015】
次に、図2を参照しながら、画像形成装置が記録紙に画像を形成するまでのプロセスについて説明する。帯電装置4は、感光体ドラム5を−1200Vに一様に帯電させるグリッド付きのスコロトロンチャージャと呼ばれるものである。発光素子アレイユニット(LEDヘッド)6は、LEDをアレイ状に並べたもので、SLA(セルフォック(登録商標)レンズアレイ)を介して感光体ドラム5を照射する。発光素子アレイユニット(LEDヘッド)6は、図1のLEDヘッド503_1〜503_3に相当する。
【0016】
感光体ドラム5に対してデジタル画像情報に基づいたLED光が照射されると、光導電現象により感光体ドラム5の表面の電荷が感光体ドラム5のアースに流れて消滅する。ここで、原稿濃度の淡い部分は、LEDを発光させないようにし、原稿濃度の濃い部分は、LEDを発光させる。これにより、感光体ドラム5のLED光非照射部は、画像の濃淡に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像を現像ユニット7によって現像する。現像ユニット7内のトナーは攪拌により負に帯電されており、−700Vのバイアスが印加されているため、LED光照射部分だけにトナーが付着する。一方、記録紙は、3つの給紙台及び手差しから選択し、レジストローラ8で所定のタイミングで感光体ドラム5の下部を通過し、このときに転写チャージャ9によりトナー像を記録紙上に転写させる。記録紙は、次に感光体ドラム5から分離チャージャ10により分離され、搬送タンク11により搬送されて定着ユニット12に送られ、そこでトナーが記録紙に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙トレイ13又は14により機外の前後に送られ排紙される。
【0017】
例えばコピーが実行される場合には、画像データは、読取部100から画像処理部300、そしてコントローラ部610に入り、再度、画像処理部300より書込部500へ転送される。また、プリンタ出力時には、画像データは、外部端末機650から出力されてコントローラ部610を通過し、画像処理部300を介し、書込部500へ転送される。次に、コピーが実行される場合及びプリンタ出力時の共通の画像データ経路となる画像処理部300から書込部500への画像データの流れを説明する。画像データは、画像処理部300から書込部500内のLED書込制御回路502へ送られる。具体的には、画像処理部300に記憶されている解像度600dpiの2値画像データは、転送基準クロック信号に同期して2画素パラレルで、LED書込制御回路502に送られる。このパラレルで送られる2画素は、2値画像データの主走査方向の奇数番目の画素(ODD)と偶数番目の画素(EVEN)である。次に、2画素パラレルで送られてきた画像データは、LED書込制御回路502内部で1ラインの画像データに合成される。1ラインの画像データとは、2値画像データにおいて主走査方向の全画素、副走査方向の1画素からなる画像データである。1ラインの画像データは、その後LED書込制御回路502内部で3分割され、LEDヘッド503_1〜503_3へ転送される。
【0018】
次に、図3を参照して、LED書込制御回路502について説明する。図3は、LED書込制御回路502の構成及びその周辺を示す図である。まず、画像データ入力部(LVDSレシーバ)512について説明する。2値画像データ(偶数画素(EVEN)、奇数画素(ODD))及びタイミング信号は、画像処理部300から低電圧差動信号素子LVDSドライバ(図示せず)によってパラレルからシリアルに変換され、LED書込制御回路502に転送基準クロック周波数で送られる。LED書込制御回路502では、LVDSレシーバ512によってシリアル信号をパラレル信号に変換し、PKDE、PKDO、CLKA、LSYNC_N、LGATE_N、FGATEIPU_Nの各信号がIC510内の機能ブロック510_1に入力される。
【0019】
次に、書込部500へ入力された2値画像データを複数ライン分記憶する第1画像データRAM部(SRAM)550_1〜550_6に対するIC510の動作について説明する。IC510内の機能ブロック510_1は、2画素単位のDEOI[1:0]データを、基準クロック信号CLKAに同期させて1ラインずつ順にSRAM550_1〜550_6へ格納する。そして、機能ブロック510_1は、SRAM550_1〜550_3に3ライン分の画像データを格納した後、4ライン目の画像データをSRAM550_4に転送している間に、他のSRAM550_5、550_6、550_1〜550_3の画像データをアドレス順に読み出してIC510内の機能ブロック510_2に転送する。機能ブロック510_2は、転送された画像データのうち、SRAM550_1の1ライン目の画素データに注目し、注目した画素データとその画素データを取り巻く(画素データの周囲の)主走査方向及び副走査方向の画素データとを比較して2値から16値に変換(コード化、多値化)し、次段の第2画像データRAM部に転送する。さらに、機能ブロック510_2は、2ライン目の画像データ処理として、5ライン目の画像データをSRAM550_5に転送している間に、SRAM550_6、550_1〜550_4の画像データを順に読み出し、2ライン目の注目画素データとその画素データを取り巻く主走査方向及び副走査方向の画素データとを比較して2値から16値にコード化(多値化)し、次段の第2画像データRAM部に転送する。コード化については、図5を用いて後述するが、例えば黒を印字する場合、画素の2値データは2進数で1bとなるが、16値へ変換されると1111bとなる。
【0020】
このように、IC510は、SRAM550_1〜550_6を順番に動作させて、1ライン分の画像データの転送を行いながら、転送を行っていない他の5個のSRAMの画像データをアドレス順に読み出し、注目ラインに対して主走査方向及び副走査方向に拡がるマトリクスパターンとして画像データをコード化する。なお、コード化(多値化)する際の16値は例であり、2値の整数倍の多値であれば良い。
【0021】
次に、第2画像データRAM部(SRAM)514A_1〜514A_3及び514B_1〜514B_3に対するIC510の動作について説明する。機能ブロック510_2は、コード化(多値化)した画素データを、クロック周波数を上げて4画素単位に処理し、SRAMDI[15:0]としてSRAMアドレス信号ADRA[10:0]及びADRB[10:0]により、A群のSRAM3個(514A_1〜514A_3)及びB群のSRAM3個(514B_1〜514B_3)に転送して格納させる。ここで、機能ブロック510_2は、1ライン目の画素データのうち、LEDヘッド503_1の画素データをA群のSRAM514A_1に、LEDヘッド503_2の画素データをSRAM514A_2に、LEDヘッド503_3の画素データをSRAM514A_3に格納する。
【0022】
次に、機能ブロック510_2は、A群のSRAM3個(514A_1〜514A_3)に順次格納した画素データを、次のラインをB群に転送している間に、A群のSRAM3個(514A_1〜514A_3)から同時に読み出す。機能ブロック510_2は、A群のSRAM3個(514A_1〜514A_3)に順次格納した画素データを読み出す場合、主走査方向のLEDヘッドによる書込み速度を2倍にするために、読み出し時のクロック周波数を書込み時のクロック周波数の2倍にする。つまり、機能ブロック510_2は、1200dpiを出力できるLEDヘッドに解像度(画素密度)が変換された画像を印刷させるためのクロック周波数の変換を行う。さらに、機能ブロック510_2は、副走査方向の書込み周期を1200dpiのLEDヘッドに合わせるように画素データを読み出す。副走査方向のLEDヘッドによる書込み周期を2分の1にする場合、ライン単位のLEDヘッドによる書込み開始タイミングを制御するLSYNC信号の周期を2分の1に変更することになる。このように、機能ブロック510_2は、2値(1画素:1bit)の画素データを600dpiで記録紙に書込む領域に、16値(4画素:4bit)の画素データを1200dpiで記録紙に書込可能にするように、600dpiから1200dpiへ画素の密度変換(解像度変換)を行う。機能ブロック510_2は、始めのラインでは、コード化(多値化)した画素データのうち、画素それぞれの下位2ビット分を読み出し、画像データ遅延部のフィールドメモリ(FM)515_1〜515_3に転送する。
【0023】
すなわち、機能ブロック510_2は、1回目の読み出しで上記の通り、16値化した各デ−タの下位2ビットを取り出し、2回目の読み出しで上位2ビットの画素データを取り出す。そして、機能ブロック510_2は、主走査方向に2倍のデ−タ量とし、副走査方向に2ライン分とした画像データをフィールドメモリ515_1〜515_3に転送する。なお、本実施の形態では、IC510が2回の読み出しを行って副走査方向に2ライン分の画像データをフィールドメモリ515_1〜515_3に転送するように制御しているが、LEDヘッド503_1〜503_3の画像転送方式によっては、画像データ転送順に応じて転送回数が変わる。なお、機能ブロック510_2は、記憶手段としてのレジスタ510_4に設定されたライン数分の画像データの書き込みをフィールドメモリ515_1〜515_3に対して行う。LEDヘッド503_1は、副走査方向の書き込みタイミングの基準とされているため、遅延動作を必要としない。また、機能ブロック510_2は、LEDヘッド503_2の画像データをフィールドメモリ515_1にカスケード接続されたフィールドメモリ515_2へ、LEDヘッド503_3の画像データをフィールドメモリ515_3に転送する。そして、機能ブロック510_2は、1ライン目の画像データをA群のSRAM514A_1〜514A_3から読み出している間に、次のラインの画像データをB群のSRAM514B_1〜514B_3へA群と同様に格納する。そして、機能ブロック510_2は、読み出し及び書き込みを、A群のSRAM514A_1〜514A_3及びB群のSRAM514B_1〜514B_3に対して交互に行うことにより、ライン間の繋ぎを行う。
【0024】
次に、画像データ遅延部515_1〜515_3について説明する。LEDヘッド503_1〜503_3はいわゆる千鳥配置、つまり主走査方向に延びるように並べられ、互いの端部が副走査方向にずれて重なるように配置されている。例えば、LEDヘッド503_2は、LEDヘッド503_1を基準として、副走査方向に17.5mmずらして取り付けられている。このため、A群のSRAM3個(514A_1〜514A_3)及びB群のSRAM3個(514B_1〜514B_3)から出力された画像データが同時に処理されてLEDヘッド503_2に転送されると、LEDヘッド503_1に対してLEDヘッド503_2は副走査方向に17.5mmずれて印字してしまう。
【0025】
この機械的なずれを補正するために、機能ブロック510_2は、A群のSRAM514A_2及びB群のSRAM514B_2からLEDヘッド503_2の画像データをクロック周波数を変更して読み出し、フィールドメモリ515_1へ書き込む。そして、機能ブロック510_2は、書き込んだ順にフィールドメモリ515_1から画像データを読み出すと同時に、フィールドメモリ515_1にカスケード接続されたフィールドメモリ515_2に対し、レジスタ510_4に設定されたライン分の画像データの書き込みを行う。次に、機能ブロック510_3は、フィールドメモリ515_2から画像データを書き込まれた順にL2DFMO[7:0]として読み出す。ここで、機能ブロック510_3は、レジスタ510_4に設定されたライン分の画像データの書き込みが終わった後に、画像データの読み出しを開始する。つまり、機能ブロック510_3は、ライン単位で画像データの読み出し時間を遅らせることにより、画像データに遅延を生じさせる。これにより、LEDヘッド503_2の画像データは、副走査方向にライン単位で17.5mm分までの書込みタイミングの遅延を生じさせられる。副走査方向の遅延のライン数は、レジスタ510_4に設定されたライン数から選択可能にされている。すなわち、遅延させるライン数はLEDヘッド503_2の部品精度、組付けのバラツキにより個々に異なるが、1ライン単位での遅延の制御が可能となっている。
【0026】
また、LEDヘッド503_3は、LEDヘッド503_1を基準として、副走査方向に0.5mmずらして取り付けられている。このため、A群のSRAM3個(514A_1〜514A_3)及びB群のSRAM3個(514B_1〜514B_3)から出力された画像データが同時に処理されてLEDヘッド503_3に転送されると、LEDヘッド503_1に対してLEDヘッド503_3は副走査方向に0.5mmずれて印字してしまう。この機械的なずれを補正するために、機能ブロック510_2は、A群のSRAM514A_3及びB群のSRAM514B_3からLEDヘッド503_3の画像データをクロック周波数を変更して読み出し、フィールドメモリ515_3へ書き込む。次に、機能ブロック510_3は、フィールドメモリ515_3から画像データを書き込まれた順にL3DFMO[7:0]として読み出す。これにより、LEDヘッド503_3の画像データは、副走査方向にライン単位で0.5mm分までの書込みタイミングの遅延を生じさせられる。副走査方向の遅延のライン数は、レジスタ510_4に設定されたライン数から選択可能にされている。すなわち、遅延させるライン数はLEDヘッド503_3の部品精度、組付けのバラツキにより個々に異なるが、1ライン単位での遅延の制御が可能となっている。
【0027】
次に、機能ブロック510_3の画像データ出力部(ドライバ)519を介した出力について説明する。機能ブロック510_3は、LEDヘッド503_1に対する画像データと、画像データ遅延部515_1〜3を介したLEDヘッド503_2及びLEDヘッド503_3に対するデータとを、画像データ出力部519を介してLEDヘッド503_1〜3へ制御信号とともに出力する。ここで、機能ブロック510_3は、データを両エッジで選択して出力する。なお、LEDヘッドに対する画像データの出力は、LEDヘッドの仕様に応じて他の方式で行われてもよい。
【0028】
次に、LEDヘッド503_1〜503_3について説明する。LEDヘッド503_1〜503_3は、読取手段(読取部100のセンサ101)の解像度よりも解像度の大きい2値の書込手段である。例えば、読取部100のセンサ101の解像度が600dpiである場合、LEDヘッド503_1〜503_3の解像度は例えば1200dpi以上である。機能ブロック510_2が、A群、B群のSRAMから読み出す場合のクロック周波数を書き込み時のクロック周波数の2倍にして読み出した画素データを、1200dpiで、かつLSYNC信号を1200dpiにあった周期(600dpiの場合の2分の1)にすることにより、600dpiとして入力されたデータを1200dpiに変更して書き込むことができる。
【0029】
次に、光量補正RAM部516について説明する。LEDヘッド503_1〜503_3は、各LED素子の光量バラツキを補正するために、LED素子毎の補正データ及びLEDアレイチップ毎の補正データを格納した光量補正ROMを搭載している。IC510は、電源が投入されると、まずLEDヘッド503_1の光量補正データを読み出して、シリアル/パラレル変換し、8ビット単位の補正データHOSEID[7:0]として光量補正RAM部516に格納する。IC510は、全ての補正データを光量補正RAM部516に格納後、今度は、光量補正RAM部516から補正データを読み出し、再びLEDヘッド503_1に転送する。IC510は、この動作をLEDヘッド503_2及び503_3に対しても同様に順次行う。LEDヘッド503_1〜503_3は、電源がオフにされない限り、IC510から転送された補正データを内部に保持する構成となっている。
【0030】
次に、システム制御装置(条件設定部)302について説明する。システム制御装置302は、制御信号LDATA[7:0]、アドレスLADR[5:0]、ラッチ信号VDBCS及びPセンサパターン信号SGATE_NをIC510に入力することにより、LED書込制御回路502への書き込み条件を設定する。なお、レジスタ510_4は、機能ブロック510_1〜3と接続されており、操作部400及びシステム制御装置302を介して入力される遅延のライン数、後述する点灯時間(デューティ)及び点灯位置(点灯パターン)などの設定を記憶する。また、レジスタ510_4は、記憶するデータの種類に応じて複数設けられてもよい。
【0031】
次に、画素データのコード化(多値化)について詳述する。図4は、画素データのコード化(多値化)の例を示す図である。機能ブロック510_2は、LEDヘッド503_1〜503_3の繋ぎ目部の画素データを図4に示すようにコード化する。例えば、機能ブロック510_2は、600dpiの2値として黒画像のデータを“1”とし、白画像のデータを“0”とする場合、1200dpiの16値として黒画像のデータを“1111b”とし、白画像のデータを“0000b”とする。さらに、機能ブロック510_2は、LEDヘッド間の繋ぎ目部の画素において、上記の2パターンのほか、4ドットのうち1ドットしか点灯させない場合に“0001b”とし、4ドットのうち2ドット点灯させる場合に“0011b”とし、4ドットのうち3ドット点灯させる場合に“0111b”とするコード化も可能にされている。コード化のビットの配列は、図4に示すように、下位ビットから1データ値、2データ値、3データ値、4データ値としている。また、機能ブロック510_2は、操作部400を介して入力されたレジスタ510_4の設定に応じて、LEDヘッド503_2が出力する画像の両端部の画素をコード化して制御する。
【0032】
図5−1は、LEDヘッド503_1〜503_3の配置の概要を示す図である。図5−2は、図5−1のLEDヘッド503_1とLEDヘッド503_2との繋ぎ目部分の拡大図である。図5−3は、解像度を600dpiから1200dpiに変換した図である。図5−1に示すように、LEDヘッド503_1とLEDヘッド503_2との繋ぎ目部に注目すると、LEDヘッド503_1とLEDヘッド503_2とが重なっていることにより、グレースケール画像を出力する場合、副走査方向に黒スジが発生する。この黒スジを図5−2は濃度で表現している。図5−2においては、隣り合った画像の濃度が近いため、波形の落ち込んだ部分の濃度が濃くなり、見た目で黒スジが発生してしまう。
【0033】
画像を単純に2値で表現する場合には、画像データを印字する又は印字しない(データ1又は0)のいずれかしかできず、LEDヘッドの繋ぎ目部の光量ムラ(スジ)の抑制は困難である。これに対し、画像データを多値化すると、LEDヘッドの繋ぎ目部の画像データ量を変更することが可能になる。具体例として、図5−3に示すように、入力解像度600dpiに対し、LEDヘッドへの転送解像度を1200dpiのように整数倍(ここでは2倍)にすると、LEDヘッド間の繋ぎ目部の画素が600dpiでは1画素であったのに対し、1200dpiでは4倍の4画素となり、解像度が向上する。このように、画像データを2値から16値に多値化すると、2値の1データが2値の4つのデータとなるので、点灯時間(デューティ)での繋ぎ補正や、1画素の光量補正データの制御ではなく、4つの画素データの値(点灯パターン)を制御可能になる。図5−3では、繋ぎ目部の4画素中の2画素を1として印字した場合を示しており、繋ぎ目部における濃度の落ち込みが低減され、見た目上黒スジが目立たなくなっている。
【0034】
また、本実施の形態の制御において、LEDヘッドは印字密度(解像度)1200dpi仕様を採用することとしている。実際の動作制御としては、まず、入力画像600dpiを1200dpiに変換した画像のままで、繋ぎ目画像データを2通り(0000b、1111b)にコード化してグレースケール画像を出力する。その結果、繋ぎ目部の画像に白スジが発生していれば、書込制御によって主走査方向に画像データを移動させ、白スジにならないで黒スジになるレベルまで画像を出力し調整を行う。そして、繋ぎ目が1画素未満になると、今度は繋ぎ目部の画素の印字を減らし、黒スジの濃度を減少させてムラを見えにくくする。
【0035】
更に、点灯時間(デューティ)を変化させることにより、繋ぎ目部の光量ムラをより抑制することが可能である。図6−1〜図6−4は、画素データと点灯時間(デューティ)又はパターンの例を示す図である。まず、図6−1に示すように、600dpiの1画素を主走査時間の10%の点灯時間(デューティ)で点灯させているとする。600dpiから1200dpiへの解像度変換(画素密度変換)によって、1画素を主走査方向2画素×副走査方向2画素の4画素に分割でき、4画素トータルの点灯時間(デューティ)を10%として、全画素均等の点灯とすると、図6−2に示すように、1画素当たり2.5%分の点灯時間(デューティ)となる。
【0036】
ここで、解像度変換に伴い、4画素中1画素を点灯させる場合、図6−3に示すパターン2が選択される。パターン2には、左上画素(第1画素という)を点灯する第1のパターンと、右上画素(第2画素という)を点灯する第2のパターンと、左下画素(第3画素という)を点灯する第3のパターンと、右下画素(第4画素という)を点灯する第4のパターンとがある。ここで、第1画素の点灯時間(デューティ)を1%、第2画素の点灯時間(デューティ)を2%、第3画素の点灯時間(デューティ)を3%、第4画素の点灯時間(デューティ)を4%とすると、図6−4に示すように、4画素中1画素を点灯させる場合に、第1画素〜第4画素のうちのどの画素を選択するか、つまり第1〜第4のパターンのどのパターンを選択するかにより、濃度をより細かく制御することが可能となる。このように、印字パターンと点灯時間比率のマトリクスによって、繋ぎ目部の1画素単位のより細かな制御が可能になる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能およびスキャナ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
100 読取部
101 センサ
102 画像増幅回路
103 AD変換回路
104 シェーディング補正回路
105 画像処理回路
106 同期制御回路
107 読取制御回路
108 スキャナ駆動装置
300 画像処理部
301 画像処理(モジュール)
302 システム制御装置
400 操作部
500 書込部
502 LED書込制御回路
504 駆動制御回路
505 プリンタ駆動装置
503_1〜503_3 LEDヘッド
510 IC
510_1〜510_3 機能ブロック
510_4 レジスタ
512 画像データ入力部(LVDSレシーバ)
519 画像データ出力部(ドライバ)
514A_1〜514A_3 A群のSRAM
514B_1〜514B_3 B群のSRAM
515_1〜515_3 フィールドメモリ
550_1〜550_6 SRAM
610 コントローラ部
612 メモリ
650 外部端末機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2004−122718号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じた2値の信号を受信して、当該信号に基づいて画像の書き込みを行う書込装置であって、
前記受信した2値の信号に基づき、前記2値の整数倍である多値の信号を出力する多値化手段と、
前記多値の信号に基づいて、前記画像データよりも解像度が大きい2値の画像の書き込みを行う書込手段と、
を備えることを特徴とする書込装置。
【請求項2】
前記書込手段は、
互いの端部が副走査方向に重なるように配置され、それぞれ複数の光源により画像の書き込みを行う複数の書込アレイユニットを有し、
前記多値化手段は、
前記複数の書込アレイユニットの重なる部分に位置する前記光源に対応する前記多値の信号を、記憶手段に予め記憶された値に基づく信号とすること
を特徴とする請求項1に記載の書込装置。
【請求項3】
前記画像データに応じた2値の信号が示す画素による画像上の領域と、前記多値の信号が示す複数の画素による画像上の領域とが対応するように、解像度変換を行う解像度変換手段をさらに有し、
前記書込手段は、
前記解像度変換手段が解像度変換した結果に応じて2値の画像の書き込みを行うこと
を特徴とする請求項2に記載の書込装置。
【請求項4】
前記光源はLEDであり、
前記記憶手段は、
前記多値の信号1つに対応する複数の前記光源のいずれを点灯させて前記書込手段が画像の書き込みを行うかを示す値を記憶すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の書込装置。
【請求項5】
前記光源はLEDであり、
前記記憶手段は、
前記光源の点灯時間を示す値を記憶すること
を特徴とする請求項2又は3に記載の書込装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の書込装置を具備する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像データに応じた2値の信号に基づき、前記2値の整数倍である多値の信号を出力する工程と、
前記多値の信号に基づいて、前記画像データよりも解像度が大きい2値の画像の書き込みを行う工程と、
を含むことを特徴とする書込方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【公開番号】特開2013−75514(P2013−75514A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191982(P2012−191982)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】