説明

最適斜め写真提供方法及び最適斜め写真提供システム並びに最適斜め写真提供装置

【課題】地理情報検索の様々な検索用途の目的にあわせて、様々な手段により撮影された写真の中から、希望する撮影方向、希望する大きさで、かつ複数の地物が存在していても検索対象地物を容易に見つけることができる最適写真提供方法を得る。
【解決手段】会社、自宅のパソコン又は携帯電話器等の利用者端末1とサービス提供センター2とを通信ネットワーク3に接続して、サービス提供センター2が、利用者端末1に地図を提供して、この地図上で選択された対象地物を、ユーザが要望した場所(道路、公園、河川、線路・・・)に接する面を写している撮影方向の写真、俯角判定による最適な写真、オクルージョン率による最適な写真を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適写真提供方法における写真利用の手法として、目標地物に対して様々な角度・距離から撮影された複数の写真の中から、対象となる地物を利用者が要望する形式の最適な写真を提供する最適斜め写真提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のGISやGoogle社のGoogle Mapに代表されるWebでの地理情報検索システムでは、地表面に対してほぼ垂直に撮影された衛星写真や航空写真をオルソ化し、地図と重ね合わせて表示している。さらに、Google社のGoogle EarthやMicrosoft社のVirtual Earthのように、垂直以外に斜め方向から撮影された写真についても撮影範囲の座標をもとに地図との関連付けを行い表示するシステムもある。
【0003】
また、特許3212113のように地図と建物形状を利用した仮想空間での俯瞰画像を生成し地物の情報を提供するシステムもある。
【特許文献1】特許3212113
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、都市部での高層建築の密集地域で地表面に対して垂直に撮影された写真は、建物の屋上や屋根といった天頂部しか映像化されておらず、壁面等の側面は撮影されていない。
【0005】
このため、利用者の地物へのアクセスや空間認識の向上を目的としてその映像情報を提供する場合に、情報利用者である歩行者や車輛の視点からの光景と、提供された従来手法の垂直撮影写真の光景とに差異が発生しやすく、斜め撮影写真と比べて現実空間における地物と写真内の地物との対応付けが難しいという課題がある。
【0006】
また、斜め撮影写真においても、対象地物が画角の大部分を占める写真や、検索者が当該地域の土地勘がある場合や、区画形状等から一般的な二次元の地図との対応付けが容易な場合を除いては複数の地物が撮影されている斜め撮影写真の中から検索対象地物を見つけることは難しいという課題がある。
【0007】
また、撮影された地域を良く知っていたとしても、対象地物がはじめての場合は、その住所を便りに写真の中の複数の地物から対象地物を見つけることになる。
【0008】
また、対象地物が1個であっても、複数の斜め写真が存在している場合は、これらの写真の中で、例えば河川、海、道路等に対して最も大きな面で撮影されている写真かどうかは直ぐに判断できない。
【0009】
一方、斜め撮影という特性上、カメラが対象地物の方向を指向していても、手前に他の地物があればその地物の陰に対象地物が全部ないし一部が隠れてしまう場合もあり、あらゆる状況において垂直撮影写真よりも対象地物周辺の空間認識の補助手段として斜め撮影写真が優れているわけではない。
【0010】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、地理情報検索の様々な検索用途の目的にあわせて、様々な手段により撮影された写真の中から、希望する撮影方向、希望する大きさで、かつ複数の地物が存在していても検索対象地物を容易に見つけることができる最適斜め写真提供方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の最適斜め写真提供方法は、飛行経路を異ならせて地物をカメラで斜め方向から撮影した複数の斜め写真の内で、目的の対象地物が指定地物に接して撮影されている撮影点毎の斜め写真から利用者が要望する大きさで前記対象地物が撮影されている写真を最適写真として提供する最適斜め写真提供方法である。
【0012】
コンピュータが、
前記対象地物を含む所定範囲の平面地図と前記対象地物の種類に類似又は同一の地物の三次元形状を前記平面地図に標高を与えた三次元座標系で生成された三次元空間情報とを関連付けて第1の記憶手段するステップと、
前記撮影点毎の前記平面地図における撮影範囲とその撮影点のカメラの焦点距離、姿勢、画角に対応する投影面を含む標定情報とを関連付けた撮影情報を第2の記憶手段に記憶するステップと、
前記撮影点毎の前記カメラの斜め写真を前記撮影情報に関連付けて第3の記憶手段に記憶するステップと、
前記三次元空間情報に、前記撮影点と該撮影点のカメラの撮影情報の投影面の幅とを定義するステップと、
前記三次元空間情報の地表面に存在する前記指定地物と前記対象地物の地表面における形状とが接する範囲の線を判定境界線として求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の投影面に前記判定境界線上に存在する前記対象地物の線が投影されている場合は、その長さを視準可能線投影面幅として求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記視準可能線投影面幅と前記投影面幅との比を視準可能線投影面幅比として求めると共に、その撮影点に向いている前記対象地物の前記判定境界線上の線を視準可能線として求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の視準可能線と前記判定基準線との比を判定境界視準可能線比として求めて、これらの視準可能線投影面幅比同士を比較して最も大きな値の視準可能線投影面幅比を求めるステップと、
前記撮影点毎の判定境界視準可能線比を比較して、最も小さな値の判定境界視準可能線比を求めるステップと、
前記最も大きな値の視準可能線投影面幅比及び最も小さな値の判定境界視準可能線比を得た撮影点の前記斜め写真を目的の対象物の撮影方向からの最適な斜め写真として出力するステップと
を行うことを要旨とする。
【0013】
本発明の最適斜め写真提供システムは、利用者端末と最適写真提供サービスセンターのサーバとを通信ネットワークで接続して、前記サーバが飛行経路を異ならせて地物をカメラで斜め方向から撮影した複数の斜め写真の内で、目的の対象地物が指定地物に接して撮影されている撮影点毎の斜め写真から利用者が要望する大きさで前記対象地物が撮影されている写真を最適写真として前記利用者端末に送信する最適斜め写真提供システムである。
【0014】
前記サーバは、
前記対象地物を含む所定範囲の平面地図と前記対象地物の種類に類似又は同一の地物の三次元形状を前記平面地図に標高を与えた三次元座標系で生成された三次元空間情報とを関連付けて記憶した第9の記憶手段と、
前記撮影点毎の前記平面地図における撮影範囲とその撮影点のカメラの焦点距離、姿勢、画角に対応する投影面を含む標定情報とを関連付けた撮影情報を記憶した第10の記憶手段と、
前記撮影点毎の前記カメラの斜め写真を前記撮影情報に関連付けて記憶した第11の記憶手段と、
ユーザ情報及び斜め写真の検索条件が記憶される第12の記憶手段と
を備え、
コンピュータに、
前記利用者端末に、ユーザ情報及び前記斜め写真の検索条件を入力させるための入力画面情報を前記通信ネットワークを介して送信する手段と、
前記利用者端末から対象地物の地理情報が入力したとき、該対象地物を含む前記三次元空間情報、撮影情報並びに斜め写真を含む検索情報を全て検索する手段と、
該検索情報毎に、その検索情報の前記三次元空間情報に、前記撮影点と該撮影点のカメラの撮影情報の投影面の幅とを定義する手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の三次元空間情報の地表面に存在する前記指定地物と前記対象地物の地表面における形状とが接する範囲の線を判定境界線として求める手段と、
該検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の投影面に、前記判定境界線上に存在する前記対象地物の線が投影されている場合は、その長さを視準可能線投影面幅として求める手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の前記視準可能線投影面幅と前記投影面幅との比を視準可能線投影面幅比として求めると共に、その撮影点に向いている前記対象地物の前記判定境界線上の線を視準可能線として求める手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の視準可能線と前記判定基準線との比を判定境界視準可能線比として求めて、これらの視準可能線投影面幅比同士を比較して最も大きな値の視準可能線投影面幅比を求める手段と、
前記検索情報毎に、前記撮影点の判定境界視準可能線比を比較して、最も小さな値の判定境界視準可能線比を求める手段と、
前記最も大きな値の視準可能線投影面幅比及び最も小さな値の判定境界視準可能線比を得た撮影点の前記斜め写真を目的の対象物の撮影方向からの最適な斜め写真とする手段と、
前記最適な斜め写真を前記通信ネットワークを介して前記利用者端末に送信する手段と
を備え、
前記利用者端末は、ブラウザ機能を備え、
前記サーバからの入力画面を受信して、この入力画面に入力された、目的の対象地物の地理情報及び前記指定地物並びに指定地物に接する対象地物を大きさの条件を含む前記検索条件として前記サーバに送信する手段と、
前記サーバからの最適な斜め写真を受信して、これを画面に表示する手段と
を備えて
構成されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、複数の斜め写真から指定地物(例えば、道路、川、公園)に接する対象地物の面が最も大きく撮影されている撮影方向の斜め写真を検索して、これを最適写真として提供(画面又はユーザの端末)する。
【0016】
このため、利用者が指定した指定地物(道路)に接した対象地物の面側を撮影した画像を提供できる。
【0017】
例えば、飲食店や不動産等の地図上の特定地物の外観表示やアクセスを目的とした情報検索において、対象地物の様々な方向から撮影された画像が複数存在する場合に、一般的に映像利用者が現地において目にする光景と近い写真を利用者が得ることができる。
【0018】
また、撮影俯角による写真検索を行っているので、対象地物の三次元形状から利用者が観察可能な面を広く撮影した斜め写真を提供できる。このため、屋上しか写っていない写真や、足元のみの写真などを除いた建物の側壁の写真を提供できる。
【0019】
また、対象地物の周囲に多数の地物があっても、オクルージョン率を行うので、他の地物に対象地物が隠れていない、もっとも対象地物が大きく写る写真を提供することできる。
【0020】
また、表示される写真上において対象地物が強調表示されることによって、都市部における高層建築物の乱立する地点で高高度から撮影された画像のような場合に、該当地物の所在位置を迅速に探し出せない問題を回避できる。
【0021】
さらに、前記判定結果と、一般的な写真絞り込み手段である撮影情報の組合せにより、二時期の画像検索や、過去の地物の写真検索といった利用方法も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施の形態は、少なくとも、レンズの焦点距離、CCD等の撮像素子の大きさと画素数、レンズの歪み情報といった内部標定要素と、撮影したカメラの実空間の三次元座標と座標軸に対する角度といった外部標定要素と、撮影日時、撮影者、使用カメラ等の撮影情報が取得されている写真を用いる。
【0023】
また、標定情報と撮影情報に加え、その写真が撮影されている地表面上の範囲の地理座標を格納した撮影情報データベースと、前記写真をデジタル化し格納する写真データベースと、検索画面上で住宅地図等の検索対象の地物外形をユーザーが選択可能な2次元ベクトルデータで表現された二次元地図データ(平面地図;二次元情報ともいう)と、地表面の標高データや建物の三次元形状データ等の三次元データ(三次元情報ともいう)と、その他必要とする地物の属性データによって構成される地物情報データベースとによって構成され、検索対象地物の視覚的な認識と空間把握に最も適した写真を検索する最適写真提供システムである。
【0024】
最適写真提供システムは、地物情報データベースにおいて、情報提供者側が情報提供を望む地物の属性情報と、それに関連付けられている二次元地図データ上のベクトルデータがあることを前提に、二次元地図表示画面上でユーザーが情報提供可能な地物のベクトルデータを選択した場合は以下の処理を行う。
【0025】
該当地物のベクトルデータの地理座標を出力することによって得られる座標情報から、該当地物が撮影されている写真を撮影情報データベースの撮影範囲座標をもとに写真を検索し、前記画像検索結果において該当する写真が複数ある場合に、対象地物とそれに隣接する地物の空間関連性、例えば道路に接する、公共施設に接する等の相互の位置関係を基に、最も適した方向・スケールで撮影されている写真を絞り込む手段と、
対象地物の地物情報データベースの三次元データから、対象地物の立体形状について、想定される利用者の観察位置から視界に入る面を決定し、その観察可能な面が見易く撮影されている写真を絞り込む手段と、
撮影情報データベースの撮影範囲と標定情報から、写真の画角内に存在する地物情報データベースの三次元データを抽出し、この抽出データによって三次元仮想空間内に立体モデルを生成し、検索対象地物が写真内でどのように撮影されているのかシミュレーションした結果から、周辺地物の陰に隠れていない最適な写真を絞り込む手段と、
前記の三つの絞込手段の結果と、撮影情報、例えば日時情報から、最近の地物なのか、過去の地物なのかといった従来用いられている一般的な写真検索手段とを組み合わせて、求められる用途に合わせた抽出条件を調整し、写真データベースに登録されている写真の中から最適な写真を決定する手段と、
前記の最適写真について、抽出された写真内の対象地物を強調表示しユーザーへの認識の向上を図る手段と
を備えていることが望ましい。
【0026】
つまり、本実施の形態は、複数存在する写真の中から、ユーザが指定した検索対象地物(以下対象地物Hiという)の表示に最も適した写真(斜め写真)を、自動的に検索し、それらをパソコン、インターネット、携帯電話機、CATV等の複数のメディアにおいて利用される検索サービスに提供するシステムである。
【0027】
例えば、飲食店や不動産等の地図上の特定地物の外観表示やアクセスを目的とした情報検索において、対象地物の様々な方向から撮影された画像が複数存在する場合に、一般的に映像利用者が現地において目にする光景と近い写真となるように、例えば対象地物の道路に面した側を撮影した画像を優先的に検索する最適写真提供の検索サービスである。
【0028】
この検索サービスはについて以下に説明する。
【0029】
第1の検索サービスは、
1つの対象地物を様々な方向から撮影された画像が複数存在する場合又は複数の建物の中に対象地物が存在する写真が複数存在する場合、或いは対象地物が画角の大部分を占める写真の場合に、ユーザが希望する場所(道路、公園、川・・・)に接する対称地物Hiの面を優先的(大きく)に撮影している写真を提供する検索サービス(撮影方位別検索サービスともいう)である。
【0030】
対象地物が画角の大部分を占める写真や、複数の建物の中に対象地物が存在する写真が複数存在する場合で検索者が当該地域の土地勘がある場合において、新しい対象地物を検索する場合に有効である。対称地物が1つのみ写っている複数の写真がある場合においては、河川、道路、公園等の指定対象物に対して接している面が大きく写っている斜め写真を提供するので、1つの対象地物を複数方向から撮影している複数の写真から希望の写真を選ぶ場合に有効の検索方法である。
【0031】
第2の検索サービスは、
対象地物Hiの三次元形状(ポリゴン)から利用者が観察可能な面を広く撮影した斜め写真(画像)を優先的に検索する検索サービス(撮影俯角判定サービスともいう)である。
【0032】
複数の建物の中に対象地物が存在する写真が複数存在する場合で検索者が当該地域の土地勘がある場合において、新しい対象地物が最も大きな壁面を示している写真を検索するのに有効である。
【0033】
第3の検索サービスは、都市の三次元構造を考慮して他の地物に対象地物が隠れていない写真を優先的に検索する検索サービス(オクルージョン判定率ともいう)であり、第1の検索サービス、第2の検索サービスを組み合わせて実施する。
【0034】
すなわち、第3の検索サービスは、例えば対象地物の道路に面した側を撮影した画像を優先的に検索する撮影方位判定と、対象地物の三次元形状から利用者が観察可能な面を広く撮影した画像を優先的に検索する撮影俯角判定と、都市の三次元構造を考慮して他の地物に対象地物が隠れていない写真を優先的に検索するオクルージョン判定と、前記判定結果と撮影日時等の撮影情報による絞り込み手段の組合せによって写真を決定する最適写真判定手段によって、検索目的に適した写真を決定し、その写真上において該当建物を強調した画像を表示する。
【0035】
なお、(1)及び(2)の検索サービスは、撮影日時等の撮影情報による絞り込み手段の組合せによって写真を決定する検索サービス(撮影日時最適写真判定サービスともいう)を行うことも可能である。
【0036】
以下に撮影方位別検索サービスを実施の形態1、撮影俯角別判定サービスを実施の形態2、オクルージョン率による検索サービスを実施の形態3として説明する。
【0037】
<実施の形態1>
図1は本実施の形態1の最適写真提供システムの概略構成図である。図1に示すように、本システムは、会社、自宅のパソコン又は携帯電話器等の利用者端末1とサービス提供センター2とを通信ネットワーク3に接続して、サービス提供センター2が図2に示すように、利用者端末1に地図を提供して、この地図上で選択された対象地物を、ユーザが要望した場所(道路、公園、河川、線路・・・)に接する面を写している撮影方向の写真をユーザが容易に認識できる形式にして提供する。
【0038】
図2(a)はユーザの利用者端末1に提供して表示させた検索サービスの画面であり、地図の隣にユーザが要望した場所に接する面を写している撮影方向の写真画面を表示させている。
【0039】
図2(b)は、地図上にユーザが要望した場所に接する面を写している撮影方向の写真画面を地図上に重ね表示している。
【0040】
図2(c)はオルソフォト画像上において指定された対象地物を、車輌に全周囲撮影カメラ(0度〜360度)を搭載して得た全周囲画像において、ユーザが要望した場所に接する面を写している撮影方向の写真画面を表示させている。
【0041】
図1に示す利用者端末1は、WWWブラウザ、インターネット接続機能等を備えて、サービス提供センター2からの地図、写真等を表示する。
【0042】
また、サービス提供センター2は、図1に示すように、Webサーバ4と、GIS(地理情報システム)サーバ5と、データベースサーバ6と、最適写真生成装置(アプリケーションサーバ)7等を有する。
【0043】
前述の地理情報検索システムは既存のPCや携帯電話にて実現されているGISやWebで提供される地図画像と文字による属性情報を同時に表示・検索可能なシステムと同等の機能を有したものであり、地物の位置情報が取得可能なシステムである限りその形態については特に問わない。
【0044】
(各データベースの構成)
データベースサーバ6は、地物情報Aiを記憶した地物情報用データベース10と、写真情報Diを記憶した写真情報用データベース11と、撮影情報Biを記憶した撮影情報用データベース12等(総称して最適写真提供用データベースともいう)を備えている。
【0045】
これらの地物情報Ai、写真情報Di及び撮影情報Biは、撮影情報Biの撮影範囲毎に、その撮影範囲の情報を記憶している。
【0046】
地物情報用データベース10は、地物情報Ai(A1、A2、A3、・・・)を記憶している。この地理情報Aiは、例えば、情報提供する地物についての主題属性データAai(名称:○○レストラン 住所:×× 営業時間:11:00〜15:00 お勧め:△△、・・・)と、情報提供する地物についての空間属性データAci(緯度経度座標、平面直角座標等の地理座標情報)と、提供する地物についての時間属性データAbi(2008年4月1日開店)等からなる。
【0047】
なお、空間属性データAciは、前述の地理座標が割付けられた二次元地図データCai(平面地図)と三次元形状データCbi(国土地理院数値標高データと建物ポリゴンの組みあわせによる三次元都市モデル)等から構成されている。
【0048】
このうち、二次元地図情報Caiは、検索対象地物の領域と見易さ判定の判断基準となる隣接する地物の領域が、例えば、建物の区画形状と道路のように、何らかの主題属性情報Aaiにより区別される形態でベクトルデータとして格納されていることが望ましい。
【0049】
同じく、三次元情報Cbiは、建物や植生などを除いた地表面の標高データと、建築物、建造物の三次元形状のポリゴンデータを最低限有していることが望ましい。
【0050】
前述の地物情報Ai(A1、A2、・・・)は、具体的には例えば下記に説明する形式にされている。
【0051】
図3は二次元地図情報及び三次元情報の一例を説明する説明図である。図3(a)には実際の二次元地図の例を示し、図3(b)には三次元情報を示し、図3(c)には、これら実際のデータ構造を示している。図3(b)の二次元地図情報の範囲は、図3(a)と同じ範囲である。
【0052】
すなわち、三次元情報及び二次元地図情報は、地物情報Ai(A1、A2、・・・)は、地物の名称・機能等の情報により構成される主題属性情報Abi(Ab1、Ab2、・・)と、空間属性情報Aci(Ac1、Ac2、・・図示せず)と、地物の位置や形状を示す敷地形状(二次元地図情報Cai(Ca1、Ca2、・・・)と、三次元情報Cbi(Cb1、cb2、・・・:三次元座標で定義された地物のポリゴン)等からなっている。
【0053】
そして、三次元情報は地表面の標高データや建物等の地物の三次元形状データによって構成されており、標高データは、例えば国土地理院の数値地図50mメッシュ(標高)のように面的な地表面の高さ情報を持っていることが望ましく、三次元形状データは、Web、CAD、GISで利用可能なポリゴンデータにより作成されていることが望ましい。
【0054】
また、二次元地図情報と三次元情報の関連は、例えば、地物情報A2の主題属性情報Ab2に対応する敷地形状BとポリゴンBのように1対1の関係にしている。
【0055】
ただし、標高データはその情報の性質上、地理座標を保持していることが前提となるので、地物の敷地形状等の地理座標の範囲が判れば対応付けは容易である。
【0056】
つまり、二次元地図情報Cai(撮影範囲に対応)は、例えば、土地の区画形状(X、Y)や、建物外周形状、土地利用境界等の二次元ベクトルデータによって表現され、三次元情報(撮影範囲に対応)は二次元地図情報の地物(建物)を三次元的なポリゴンで示した情報である。
【0057】
写真情報用データベース11は、複数の斜め写真(航空写真、衛星写真、携帯電話写真、デジカメ、車載カメラ)を記憶している。これらの斜め写真は、カメラで撮影した画像データをデジタル化した二次元画像データ(以下単に写真という場合もある)である。
【0058】
また、撮影情報用データベース12に必要な情報が取得されている限り、その写真Di(D1、D2、・・・)の二次元データdaiと、その写真の撮影機材、撮影方法、モノクロ、カラー、符号化フォーマットなどが関連付けられて写真情報Daiとして記憶されている。さらに、撮影範囲(座標)が関連付けられて記憶されている。
【0059】
一方、複数の斜め写真は、例えば4方向の飛行経路で地上を撮影していている。図4には、異なる方向で撮影された写真の一例を示している(但し対称地物は1つ)。
【0060】
撮影情報用データベース12は、撮影情報データBi(情報提供に利用する写真についての、撮影位置姿勢・カメラ諸元からなる標定情報と、撮影範囲に関するデータ)を記憶している。
【0061】
撮影情報Biは、写真情報用データベース11の各写真(D1、D2・・)毎に、その写真について、その写真の撮影日時・撮影者・使用カメラといった関連情報Baiと、各写真が撮影されている地表面上の範囲の地理座標を計算した撮影範囲データBciと、カメラの撮影位置の三次元座標とその座標軸に対する撮影軸の回転角度、焦点距離やCCD等の撮像素子の大きさと画素数、レンズの歪み情報といった内部標定要素と、撮影したカメラの実空間の三次元座標と座標軸に対する角度といった外部標定要素等から構成されている。また、外部標定要素と内部標定要素とを総称して本実施の形態では標定情報Bbiという。
【0062】
また撮影範囲は、図5に示すように、航空機に搭載されたカメラで斜めに地上を順次斜め方向から撮影したときの、その時点のカメラの視角を空間属性情報(二次元データ、三次元データ)に投影したときの空間属性上のそれぞれの範囲(ポリゴンで定義)である。図5は、1つの撮影範囲のみを示している。
【0063】
そして、撮影範囲の定義は、図5に示すように、撮影情報データベース12の、写真の撮影位置Piの三次元座標(X,Y,Z)と、その座標軸に対する撮影軸の回転角度(ω, φ, κ)、焦点距離(f)、CCDあるはフィルム面における画素の実サイズ(dx,dy)、画像の縦横のピクセル数(px,py)とレンズの歪みに関する諸元と、地物情報データベースの三次元情報における標高データ、例えば国土地理院が発行している数値地図50mメッシュ(標高)を用いて、写真の撮影範囲Bciの地理座標を計算する。なお、図5はレンズのゆがみを除去した場合の撮影範囲Bciの概略を表している。
【0064】
これらの写真、撮影情報、三次元情報、二次元地図情報は撮影範囲に情報であるから、これらがリンク付けされていなければならない。
【0065】
このリンク付けの概略を図6のフローチャートを用いて以下に説明する。
【0066】
なお、図6においては、撮影範囲に対応する写真情報Bi、撮影情報Bi、地物情報Ai以外のこれらの情報は区別のためにiをつけないで説明する。
【0067】
初めに、情報提供地物の決定処理を行う(S1)。
【0068】
この情報提供物の決定処理は、最適写真の提供とは無関係に地物情報Aiが既に準備されている場合は、地物の地理座標が、写真の撮影情報Biの撮影範囲の内側にあるものを最適写真提供地物として抽出する。
【0069】
撮影範囲の写真情報Bi、撮影情報Bi、地物情報Aiを新規にデータベースを構築する場合は、上記手順は必要ない。
【0070】
次に、情報提供地物情報と二次元地図情報Caiの関連付けを行う(S2)。
【0071】
一般的には地物情報データベースはGISのように二次元地図と組み合わせられていることが前提であるが、情報提供する際に利用端末の画面上に表示する地図を別の地図に置き換えたい場合や、準備された地物情報と二次元地図とが合わない場合は、あらたに準備された二次元地図情報Caiと地物情報を関連付けする必要がある。
【0072】
そこで、地物の地理座標と準備された二次元地図情報Caiのポリゴン情報(例えば敷地形状)の座標との比較により、相互のデータを関連付け、二次元地図上で、地物を選択した場合に、すぐに関連した地物情報を呼び出せるようにしておく。
【0073】
次に、情報提供する地物情報Aiと撮影範囲の三次元情報の三次元形状データ(建物ポリゴン)の関連付けを行う(S3)。
【0074】
上記二次元地図の関連付けと同じように、地物とそれに対応する撮影範囲毎の三次元情報Cbiを関連付けしておく。
【0075】
次に、撮影範囲の写真内の三次元形状データを三次元情報Cbiから抽出する(S4)。
【0076】
準備された写真データの一つ一つに対して、写真内に写っている地物の三次元形状データ(建物ポリゴン)を、写真の撮影情報の撮影位置姿勢とカメラ諸元から計算(撮影範囲の計算と同じ)により求める。
【0077】
次に、これらの写真と三次元形状データとの重ね合わせ表示を行う(S5)。
【0078】
これは、上記にて抽出された三次元形状データのワイヤーフレームを、標定情報をもとに射影変換し、写真上に重ね合わせて同時に表示させる。
【0079】
次に、重ね合わせ判定処理を行う(S6)。
【0080】
上記重ね合わせ結果について、目視により写真上の地物の輪郭と、ワイヤーフレームのズレを検査する。
【0081】
ズレが無かった場合は、地物情報Aiと、二次元地図上の形状データと、三次元形状データの関連付けと、各写真に写っている地物の関連付けをデータベースに登録し、最適写真検索処理での各ステップで利用するデータを迅速に抽出することが出来る。
【0082】
ズレがある場合は、標定情報調整ステップへ移行し、その結果によって再度、重ね合わせ表示されたワイヤーフレームのズレ量が最小になるように繰り返す。
【0083】
そして、標定情報の調整を行う(S7)。
【0084】
前記、重ね合わせ判定で、写真上の地物の輪郭と、標定情報によって射影変換された三次元形状のワイヤーフレームにズレがある場合は、標定情報の撮影位置姿勢、カメラ諸元(主にレンズの焦点距離と歪み係数)の数値を変更し、その再調整された標定情報をもとに、三次元形状のワイヤーフレームを射影変換し、再度重ね合わせ表示ステップへ移行する。
【0085】
そして、ステップS6において重ね合わせがOKと判定したときは、これらの写真情報Di、三次元形状データ、二次元地図データ、地物情報等を関連付ける(S8)。すなわち、写真情報Diとこの写真情報Diの撮影範囲内の地物情報Aiと撮影範囲の地理情報とは関連付けられて最適写真情報データベースに記憶されていることになる。
【0086】
(各部の説明)
一方、第1の最適写真生成装置7は、図1に示すように、ユーザ判定・条件入力画面提供部14と、地図提供・指定地物読込部16と、地物含み撮影情報取得部18と、共通二次元地図情報作成部20と、第1の最適写真決定部22と、提供部24等を備えて、利用者端末1に対してユーザが希望の地物を含む二次元地図情報を提供して、そのユーザが要望する場所に接する対象地物を最も大きく写している写真情報Dipを提供する。
【0087】
ユーザ判定・条件入力画面提供部14は、利用者端末1からのアクセスがあったとき、そのアクセスが有効かどうかを判定し、利用可能なユーザの場合は、住所、条件(「撮影範囲に対しての周辺とする距離」、「道路に接する」、「最も大きい」、「周辺距離50m」)等を入力させるための画面を提供する。
【0088】
地図提供・対称地物読込部18は、利用者端末1からの住所(地区でもよい)を読込み、この区域の地物情報AiをGIS5によってデータベースサーバ6から読み出して、利用者端末1に送信させる。そして、利用者端末1によって指定された地図上の対象地物Hiの地理座標Aiを読み出してメモリ27に記憶(Aip)する。
【0089】
地物含み撮影情報取得部22は、ユーザが利用者端末1の二次元地図画面上でユーザーが情報提供可能な地物のベクトルデータを選択した場合に、この対象地物の座標情報を含む全ての撮影範囲Bciを検索(撮影範囲Bcip)してメモリ27に記憶すると共に、対象地物Hiを含む全ての二次元地図情報Caiを抽出(Caip)並びに三次元情報を抽出(Cbip)し、かつ対象地物Hiを含む撮影範囲Bcipを有する全ての写真情報Diを抽出(Dip)してメモリ27に記憶する。これらの抽出される情報は具体的には、その情報の識別番号であり、GISを介して取得している。
【0090】
共通二次元地図情報作成部20は、メモリ27に抽出された全ての二次元地図情報Caiと、補正値と対象地物Hiを中心とする一定範囲の二次元地図等を用いて共通に使用可能な二次元地図情報Giを生成し、これをメモリ28に記憶する。
【0091】
第1の最適写真決定部22は、メモリ27に抽出された対象地物Hiが撮影されている撮影範囲Bcipを有する撮影情報Bip毎に、対象地物Hiとの距離と、撮影地点Piの撮影方向とからユーザの検索条件(例えば、道路に近接する壁面、最も大きく写っている)を満足している撮影情報Bipを絞り込む。この結果の情報(Wi、Li)をメモリ29に記憶して、この絞り込んだ最適撮影情報Bipに対応する最適写真Dipの対象地物Hiを識別可能な状態にしてメモリ30に記憶する。
【0092】
提供部31は、第1の最適写真決定部22によって決定された最適写真Dipを利用者端末1に送信する毎に、年月日と回数とユーザコード、利用者端末番号等を対応させてメモリ31に記憶する。
【0093】
(動作説明)
上記のように構成されたシステムについて以下に動作を説明する。図7は本実施の形態の最適写真を得るまでのシーケンス図である。本実施の形態ではサービスセンターと利用者端末との間のシーケンス図で説明する。
【0094】
本発明は、少なくとも、レンズの焦点距離、CCD等の撮像素子の大きさと画素数、レンズの歪み情報といった内部標定要素と、撮影したカメラの実空間の三次元座標と座標軸に対する角度といった外部標定要素と、撮影日時、撮影者、使用カメラ等の撮影情報が取得されている写真を用いる。
【0095】
図7に示すように、ユーザは利用者端末1を操作してサービス提供センター2にアクセス(URL)する(d1)。
【0096】
サービス提供センター2のwebサーバ4は、ユーザ判定・条件入力画面提供部14からのユーザ認証のための認証コード入力画面(図示せず)を利用者端末1宛てに送信し、利用者端末1からのこの入力画面の入力情報をユーザ判定・条件入力画面部14に送出する。
【0097】
ユーザ判定・条件入力画面部15は、入力されたユーザ情報(認証コード)と予め記憶されているユーザ情報(図示せず)との比較で認証し、利用可能であればユーザ情報としてユーザ用データベース25に登録する(d2)。
【0098】
そして、ユーザ判定・条件入力画面部14は、図8(a)に示す物入力画面を及び図8(b)に示す条件入力画面をwebサーバ4に出力して利用者端末1に送信し、利用者端末1からの対象物情報(住所又は地区等)及び検索条件Eiをメモリ26に記憶する(d3)。
【0099】
本実施の形態では、検索条件Eiは図9に示すように「道路に接する」、「対称地物を最も大きく写している写真」、「周辺距離50m」として入力されてメモリ26に記憶されているとする。また、対象地物は住所とする。また、撮影日を入力してもよい。撮影日(○○年○月○日〜○○年○月○日)を入力すると、これを検索条件として、その撮影日の撮影情報から最適な写真を検索することが可能となる。
【0100】
そして、地図提供・対象地物読込み部16は、対称地物Hiの住所を含む地理情報Aiを引当て、この二次元地図情報Cai(例えば図10)を読み出して、利用者端末1に送信する(d4)。
【0101】
地図提供・指定地物読込部16は、本システムの利用可能者と判定したときは、利用者端末1からの地物の主題(例えば)を読み込み、これをGISに渡してこの地物を含む地区の地理情報(地図)をwebサーバ4によって利用者端末1に送信する。
【0102】
利用者端末1は、画面に地図を表示し、この地図上で希望の地物(二次元ポリゴン)を指定する。このとき、指定された地物の属性情報(建物名等)を表示してもよい。
【0103】
地図提供・指定地物読込部16は、指定された指定地物情報(ピクセル座標)を読み込み、この指定地物情報に対応する地理座標をGISを介して取得して地物含み撮影情報取得部18に送出する。
【0104】
次に、ユーザは利用者端末1に表示された地図から希望の対象地物Hiを指定して、サービス提供センター2に送信する(d5)。
【0105】
この対象地物Hiを地図提供・対称地物読込部16が受信してメモリ27に記憶すると、地物含み撮影情報取得部18、共通二次元地図作成部20、第1の最適写真決定部22及び提供部24とで、ユーザが希望する条件の対称地物の最適写真を求める最適写真提供処理を行う(d6)。この最適写真提供処理については詳細に後述する。
【0106】
そして、求めた最適写真を利用者端末に提供する(d7)。このとき、提供部22は、ユーザ情報(氏名、ユーザコード、住所、口座情報等)と提供回数とをメモリ31に記憶する。
【0107】
次に、最適写真提供処理について詳細に説明する。
【0108】
図11は地物含み撮影情報取得部の動作を説明するフローチャートである。
【0109】
地物含み撮影情報取得部18は、地図提供・対象地物読込み部16からの対象地物Hiの地理座標(空間属性情報の二次元地図上の座標)を有する地物情報Aiを読み込む(S21)。この読み込まれた地物情報Aiを本実施の形態では地物情報Aipと称する。
【0110】
次に、地物含み撮影情報取得部18は、対象地物Hiを含む撮影範囲Bciを有する撮影情報Biを全て抽出(図12(a)参照)してメモリ27に記憶する(S22)。
【0111】
具体的には、抽出される撮影情報Biというのは、撮影情報の識別番号である。また、抽出された撮影情報Biを本実施の形態では、撮影情報Bipと称する。
【0112】
これらの撮影範囲Bciは、図5に示すように、航空機に搭載されたカメラで斜めに地上を順次斜め方向から撮影したときの、その時点のカメラの視角情報(画角)を空間属性情報(二次元地図、三次元情報)の仮想空間座標に投影したときの空間属性上のそれぞれの範囲(ポリゴンで定義)である。
【0113】
そして、地物含み撮影・情報取得部18は、抽出された全ての撮影情報Bipにリンク付けされている全ての写真情報Diを検索し、この検索した写情報Dipを抽出してメモリ27に記憶する(S23)。このメモリ27に記憶される写真情報Diは具体的には写真情報の識別番号である。また、抽出された写真情報Diは写真情報Dipと称する。
【0114】
次に、地物含み撮影情報取得部18は、抽出した撮影情報Bipに対応する空間属性情報Aci(二次元地図情報、三次元情報)を全て抽出してメモリ27に記憶する(S24)。このメモリ27に記憶される空間属性情報は具体的には空間属性情報の識別番号である。
【0115】
また、抽出された空間属性情報Aciを空間属性情報Acipと称する。
【0116】
次に、地物含み撮影情報取得部18は、抽出した空間属性情報Acipには、ユーザが指定した対象地物Hiに対応する三次元情報のポリゴン(三次元形状データ)が存在するかどうかを判定する(S25)。
【0117】
ステップS25において、対象地物Hiに対応する三次元形状のポリゴンが存在すると判定したときは、その三次元情報のポリゴンを取得(以下Cbip)してメモリ27に記憶する(S26)。
【0118】
すなわち、メモリ27には、図13に示すように、対象地物Hiの地物情報Apiに、対象地物Hiを含む抽出された撮影情報Bip(例えばB1p、B2p・・)とがリンク付けされて記憶され、撮影情報Bip(例えばB1p、B2p・・)には、写真情報Dip(D1p、D2p・・)及び空間属性情報Acip(Ac1p、Ac2p、・・)がリンク付けされて記憶されていることになる。
【0119】
そして、共通二次元地図作成部20は、これらの情報がメモリ27に記憶されると、メモリ26に記憶されている対象地物の周辺距離とする距離値(例えば50m)を読み込み、メモリ27に記憶されている各撮影情報Bipにリンク付けされている各二次元地図情報Caipをこの距離値に基づいて広げて、これらを合成し、そして所定の補正値等を用いて共通周辺含み地図情報Gi(単に共通地図Giという)を生成してメモリ28に記憶する(S27:図12(b)及び図12(c)を参照)。
【0120】
例えば、指定地物の周辺とする距離(指定地物を起点として東西南北○○m若しくは半径○○m)と、各撮影範囲にリンク付けされている各空間属性情報(二次元地図情報)と、予め設定されている補正値と対象地物Hiを含む一定範囲の平面地図等から最適写真検索に共通に用いることができる空間属性情報(共通地図Gi)を生成して、指定地物の地理座標と関連付ける。
【0121】
この共通地図Giは、例えば、地表面に対して水平に撮影した場合に撮影範囲の奥行方向の座標が無限遠となり、抽出する情報量が膨大となってしまう場合、撮影位置を中心として対象地物より遠い範囲に限りデータを無視することによってハードウエアの能力に合わせて負荷を軽減することが可能である。
【0122】
また、ステップS25で各空間情報Aciに対象地物Hiの三次元情報(ポリゴン)が存在しないものが存在すると判定したときは、その空間情報に対応する撮影情報、写真、地理情報を削除して処理をステップS27に移す(S28)。
【0123】
次に第1の最適写真決定処理部22の動作を説明する。第1の最適写真決定処理部22は、各撮影情報と共通地図Giとを比較して、撮影方位及び撮影地点Piからの距離とによる見易さ指標(撮影方向による見易さの指標)を計算する。
【0124】
本実施の形態では、対象地物と共通地図Giと、主題属性情報(道路、建物)を用いて、対象地物を撮影している複数の写真の中から最適な撮影方向の写真を判定する指標の計算手順については、対象地物の区画が道路に面している側を撮影した写真を選ぶ場合を例に説明する。
【0125】
ただし、判定に利用する地物の組合せは、使用する地物情報データベース10において、検索対象地物の領域と、判断基準となる隣接する地物の領域が、何らかの主題属性情報により区別されている限りその内容は特に問わない。例えば、公園に面している建物、河川に面している公共施設といった組合せも考えられる。また、区画形状以外にも建物形状線を用いることも考えられる。
【0126】
図14、図15は第1の最適写真決定処理部22の動作を説明するフローチャートである。
【0127】
第1の最適写真決定処理部22は、メモリ28に共通地図情報Giが生成されると、この共通地図情報Giを地物に応じてグループ分けする(S31)。このグループ分けのデータをメモリ28に記憶する。
【0128】
例えば、図3(c)に示すようにグループ分(例えば、道路、建物敷地、建物・・:座標付き)する。
【0129】
例えば対象地物が建物であり、ユーザが検索条件として道路に面する壁面を表示としている場合では、共通地図Giの二次元データ(ポリゴン)を用いて道路中心線・道路境界線等からなる道路部分と、建物形状線・街区線・敷地境界線等からなる敷地部分といったように、対象地物と周辺の空間連続性の状況を判定する地物を別ける。
【0130】
次に、対象地物Hiの形状(図16(a)参照:EFGHI)を共通地図Giから読み込むと共にメモリ26の検索条件(道路に接する面、最も大き対象地物が写っている、・・)を読み込む(S32)。本実施の形態では図16(a)に示すように対象地物Hiの形状はEFGHIとする。
【0131】
次に、共通地図Gi上において、道路に接する対象地物Hiの判定境界線Lj(EFGH)を求めてメモリ29に記憶する(S33)。
【0132】
そして、メモリ27に記憶されている撮影地点Piの撮影情報Bip(B1p、B2p、・・)の番号bi(例えば初めの番号)を設定する(S34)。
【0133】
次に、設定された撮影情報Bipに対応する撮影地点Pi(P1)、カメラの投影面qi(q1:画角に対応)を読込み、この撮影地点P1及び投影面q1を共通地図Giに定義する(S35:図16(a)参照)。図16(a)に示すように撮影地点と投影面の幅WL1等が定義される。
【0134】
具体的には、
この撮影情報の標定情報から、カメラの投影面(写真撮影点P1の座標(X1,Y1,Z1)を中心とし、その中心点からカメラの焦点距離f分だけ離れた位置に、写真のCCDあるはフィルム面の画素の実スケール(dx,dy)と縦横のピクセル数(px,py)から求められる投影面)の中心と、撮影点P1とを結ぶ直線が座標軸XYZに対して回転角度(ω, φ, κ)で傾いているときの、投影面の4隅の三次元座標から高さ0とする地表面におろした垂線の交点A,B,C,Dの座標を求める。同じく写真撮影点Pについて高さを0とした点P’1(X1,Y1,0)を求める。
【0135】
この点P’1と点A,B,C,Dとを結ぶ直線のうち、最も角度が大きくなる直線の組合せを地表面上(共通地図・三次元情報の二次元データ)での仮の画角として設定する。図では直線P’1−A, 直線P’1−Bとなっている。
【0136】
さらに、仮の画角に用いられた点A,B を結んだ直線を地表面上での仮の投影面W1としその幅WL1を求める。当然ながら選択される4つの点は写真の回転角度(ω, φ, κ)によって異なる。
【0137】
次に、点P1から仮の投影面W1に得られる指定地物の壁面の線長(視準可能線投影面幅wci)を求める(S36)。
【0138】
具体的には、
地表面上の画角内において、点P’1と判定境界線(EFGH)上の任意の点を結ぶ直線が、その直線区間において区画形状(EFGHI)の内側を一度も通過していない点を撮影点より判定境界線が視準可能な点とする。その集合が点P’1の視準可能線(EF)となる。
【0139】
ただし、区画形状のある頂点では視準可能な点と判定されるが、隣接する頂点との間に連続した視準可能線が存在しない場合は、その点は視準可能とは認めない。
【0140】
次に、写真撮影点P1からその画角内において視準可能な判定境界線Ljの画像内に占める割合Wiを求める。つまり、撮影点P1のカメラの画角(WL1)での対象地物をみたときの壁面(EF)の長さ(Lci)の大きさを求める(S37)。
【0141】
前述の割合Wiを視準可視線投影比Wiと称し、Wi=Wci/Wliとして求めてメモリ29に記憶する。
【0142】
具体的には、前記点P’1の視準可能線(EF)上の任意の2点と点P’1を結ぶ直線のなす角度が最大となる組合せを探索し(図では点E,F)、この2点と点P’1を結ぶそれぞれの直線が地表面上での仮の投影面W1と交差する点J,Kの間の長さ視準可能線投影面幅wc1を求める。
【0143】
また、前記仮の投影面の決定方法として、図16(b)に示すように、m例えば、航空写真のように直上から撮影された写真では、投影面の四隅の座標を地表面上におろした交点A,B,C,Dに囲まれる範囲内に撮影点Pがある場合に、前記交点A,B,C,Dと撮影点Pを結ぶ直線で作られる4つの領域(領域AB、領域AC、領域CD、領域BD)の内、対象地物が含まれる領域BDを構成する交点B,Dについて、仮の投影面とするような方法がある
次に、前記点P’1の視準可能線投影面幅wc1と地表面上での仮の投影面の幅WL1との比として、点P’1の視準可能線投影比wc1/ WL1を求める。つまり、判定境界線の実際の延長距離と写真内で視準可能であった部分の延長距離の比を計算する。この二つの値を撮影方位判定での見易さ指標として判定条件となる地物に面する部分を撮影した写真を判定する。
【0144】
次に、メモリに撮影情報Bipが他にあるかどうかを判定する(S38)。ステップS38において、他に撮影情報が存在すると判定したときは、次の撮影情報に更新して処理をステップS34に移す。
【0145】
このような処理を行うことで、メモリ29には、対象地物Hiに対しての各撮影地点P1、P2、P3の撮影情報のカメラの画角で対象物を撮影したときの道路面に接する壁面の判定境界線の割合(地表面での撮影地点から見える壁面の割合)が図17に示すように記憶されることになる。
【0146】
次に、ステップS38において抽出した撮影情報Bipが他にないと判定したときは、メモリ29に記憶されている判定境界線Ljと、各撮影点からの視準可能線(EF又はEFGH)の長さLci(Lc1、Lc2)との比Liを、順次求め、これらを撮影地点毎の判定境界線視準可能比Li(L1、L2、・・)としてメモリ29に記憶する(S41)。
【0147】
例えば撮影地点P1においては、
判定境界線(EFGH)の長さLjと、点P’1の視準可能線(EF)の長さLc1との比Lc1/Ljを判定境界線視準可能比L1として求める。このような処理を各撮影地点毎に対して行う。従ってメモリ29には、図17に示すように対象地物Hiと撮影地点Piと判定境界線視準可能比Liとが対応させられて記憶されることになる。
【0148】
そして、メモリに記憶された各撮影点の視準可能線投影比Wiの大きさを比較する(S42)。
【0149】
図16(a)を例にすると、これらの視準可能線投影比Wiを用いることによって、例えば、図16(a)の点P’1と同じカメラで撮影位置と撮影方位のみ異なり対象地物からの距離が等しい撮影点P’2とP’3がある。これら3つの撮影点での投影面の幅はWL1=WL2=WL3と等しい。
【0150】
図では撮影点P’2は、判定境界線(EFGH)上の点と撮影点を結ぶ直線がすべて区画形状(EFGHI)の内側を通過するのでwc2=0となり、視準可能線投影比wc2/ WL2=0となる。点P’3は視準可能線がP’1の(EF)より広く(EFGH)となるので視準可能線投影面幅wc3はP’1よりも大きくなる。
【0151】
よって、3つの撮影点での視準可能線投影比wc/WLはP’3 > P’1 > P’2となり、点P’3から撮影した写真が、画角内において判定境界線とした対象地物の道路側をもっとも大きく撮影していると判断できる。
【0152】
当然ながら比較する写真のカメラの焦点距離や対象地物からの距離によって投影面幅WLが変化するので、視準可能線投影比も変化し、様々な撮影条件も考慮した判定境界線Ljの画角内での大きさを比較可能である。
【0153】
また、判定境界線視準可能比Liの大きさを比較する(S43)。
【0154】
図16(a)を例にした判定境界線視準可能比Li(L1、L2、L3)を用いることによって、例えば図16(a)の撮影点P’1と点P’2、点P’3の判定境界線視準可能比Li(L1、L2、L3)を比較した場合に、P’1ではLc1/Lj=(EF) /(EFGH)< 1となり、点P’2ではLc2/Lj=0 / (EFGH)=0、点P’3ではLc3/Lj=(EFGH) / (EFGH)=1となる。
【0155】
このため、判定境界線視準可能比はP’3 > P’1 > P’2となることから、点P’3から撮影された写真が、判定境界線とした対象地物の道路側を満遍なく撮影していると判断することが可能となる。
【0156】
次に、視準可能線投影比Wiと判定境界線視準可能比Liとの二つの指標が最大となったさ撮影地点Piの撮影情報を抽出し、この撮影情報の写真情報Dipを、ユーザが指定した対象物に対してのユーザの検索条件を満足する最低写真情報とする(S44)。
【0157】
そして、メモリ30に記憶する(S45)。つまり、判定境界線の撮影地点のカメラの画角に対しての大きさの比と写真内で視準可能であった部分の比を計算する。この二つの値を撮影方位判定での見易さ指標として判定条件となる地物に面する部分を撮影した写真を判定している。
【0158】
これによって、判定境界線視準可能比Liによって、対象地物Hiに非常に接近して撮影した写真が、視準可能線投影比Wiにおいて最大であると判断された場合でも、判定境界線視準可能比Liが小さければ、他の判定境界線を、満遍なく撮影された撮影情報として選ぶことが可能である。
【0159】
次に、抽出した撮影情報に対応する対象地物の三次元情報のポリゴンをこの写真情報に、輪郭強調(例えば赤、ピンク)して重ねる(S46)。そして、この写真情報を利用者端末に送信させる(S47)。
【0160】
すなわち、
以上の視準可能線投影比wc / WLと判定境界線視準可能比Lc / Ljの二つの指標は、対象地物の周辺空間の属性から利用者が指定する地物に面した側を撮影している写真を抽出するために、撮影する方位と距離によって変化する見易さの条件を示す数値である。
【0161】
ここで、第1の最適写真決定部22について説明を補充する。図17は第1の最適写真決定部の処理動作をメモリと関連付けて説明する説明図である。
【0162】
前述の撮影地点Pi毎の視準可能線投影比Wiはメモリ29aに記憶され、撮影地点Pi毎の判定境界線視準可能比Liは、メモリ29bに記憶され、判定境界線Ljはメモリ29cに記憶される。また、抽出された地物情報Aipと撮影情報Bipと写真情報Dipとはメモリ27に記憶されている。また、共通地図Giはメモリ28に記憶されている。
【0163】
第1の最適写真決定処理部22は、メモリ28に記憶された共通地図Giにメモリ27の抽出された撮影情報Bip(撮影位置Pi含む)、撮影位置Piのカメラの投影面qi(q1:画角に対応)を定義する(S35:図16(a)参照)。図16(a)に示すように撮影地点と投影面の幅WL1等が定義される。
【0164】
そして、共通地図Giの各撮影点Pi(P1、P2、P3)から仮の投影面W1に得られる指定地物の壁面の線長(視準可能線投影面幅wci)を求める。
【0165】
次に、写真撮影点Piからその画角内においてユーザが指定した検索条件の一つである道路に接する面の判定境界線Lj(図16(a)においてはEFGH)の画像内に占める割合Wiを求める。
【0166】
具体的には、前記点P’1の視準可能線投影面幅wc1と地表面上での仮の投影面の幅WL1との比として、点P’1の視準可能線投影比Wi(wc1/ WL1)を求め、これを撮影地点Piの撮影情報に対応させてメモリ29aに記憶する。
【0167】
また、メモリ29cに記憶されている判定境界線Ljと、各撮影点からの視準可能線(EF又はEFGH)の長さLci(Lc1、Lc2)との比Liを、順次求め、これらを撮影地点Pi毎の判定境界線視準可能比Li(L1、L2、・・)としてメモリ29bに記憶する。
【0168】
そして、メモリ29aに記憶された各撮影点の視準可能線投影比Wiの大きさを比較すると共に、メモリ29bの判定境界線視準可能比Li(L1、L2、L3)の大きさを比較し、この比較結果をメモリ29dに記憶する。
【0169】
次に、視準可能線投影比Wiと判定境界線視準可能比Liとの二つの指標が最大となったさ撮影地点Piの撮影情報Bipを抽出し、この撮影情報Bipの写真情報Dipを、ユーザが指定した対象物に対してのユーザの検索条件を満足する最適写真情報Dipとする。
【0170】
そして、この最適写真情報Dipに対象地物Hiの三次元情報のポリゴンをこの写真情報に、輪郭強調(例えば赤、ピンク)して重ねた画像データをメモリ30に記憶する。そして、この写真情報を利用者端末1に送信させる。
【0171】
図18は重ね処理を説明する説明図である。第1の最適写真提供部22は、図18(a)に示す対象地物Hiが存在する二次元地図情報と同じ範囲の三次元形状情報(地物はポリゴン、XYZの座標系に定義)から対象地物Hiのポリゴンを除いて他のポリゴンを削除する(図18(b))。そして、このポリゴンの輪郭線をピンク、赤、黄色等で色付けする(S40)。
【0172】
そして、対象地物Hiを含む撮影範囲を有する撮影情報Bipにリンク付けされている写真情報Dipとこの対象地物Hiのみのポリゴンレイヤーを合成し(図18(c)、(b))、これを最適写真(図18(e)として利用者端末1に送信させる。
【0173】
一方、また、ここで示した例は、二次元空間で数値を計算しているが、三次元空間にて実施してもかまわない。
【0174】
図19は対象地物の区画形状が点座標のみの場合の判定境界線の生成方法につい説明する説明図である。
【0175】
前記撮影方向による見易さ指標の計算において、二次元地図情報に対象となる地物の区画形状がなく点座標しかない場合に、擬似的に判定境界線を生成する手法を説明する。
【0176】
例えば、道路や鉄道、河川、公共施設といった供用空間データのみで構成された二次元地図情報において、個別の一般建物の敷地境界線が含まれていない場合に、対象地物の点座標を中心としてある半径の円を発生させ、その円内にある供用空間の線情報を判定境界線として利用する。図19では、道路線を判定境界線Ljとして利用している。
【0177】
発生させる円の半径は、対象地物の主題属性情報の機能情報、例えば商業施設や住宅といったような土地利用の用途から大規模・小規模施設等の区分を設けて、その長さを変更することも可能である。
【0178】
また、円内に2区間以上の判定境界線が存在した場合は、存在する判定境界線のうち最も長い区間を採用するといった方法や、同一線上の二つの判定境界線の間の距離がある閾値以下の場合は、その間の円外の区間も含めて一つの判定境界線として接合するといった方法がある。
【0179】
<実施の形態2>
実施の形態2は第2の検索サービスであり、対象地物Hiの三次元形状(ポリゴン)から利用者が観察可能な面を広く撮影した画像を優先的に検索する検索サービス(撮影俯角判定サービスともいう)である。
【0180】
実施の形態2は、撮影情報Bipと抽出された三次元情報Cbip(建物の立体的なポリゴン)を用いて、撮影俯角による見易さ指標を計算する。
【0181】
例えば、対象地物を地表面から観察した場合に、円錐形状や三角錐など天頂部まで見ることが可能な形状を除いて、ビルなどの立方体や直方体の建物ではその屋上部分を視界に入れることは出来ない。このように、ある地点から観察すると視界に入らない面を持つ形状の地物については撮影位置の高さと俯角の変化によって見え方が変化ので、利用者から観察可能な面がより見易く写っている写真を選択するよう次の指標を計算して、この指標に基づいて決定した最適写真を利用者端末1に提供する。
【0182】
図20は実施の形態2の概略構成図である。本実施の形態では図1と同様な部分については説明を省略する。また、実施の形態2ではアブリケーションサーバ7の構成のみを示す。
【0183】
実施の形態2は実施の形態1の第1の最適写真決定部22に代えて第2の最適写真決定部35を有する。
【0184】
第2の最適写真決定部35は、地物含み撮影情報取得部18によって取得された対象地物Hiを含む三次元情報Cbipの地表面の標高データと対象地物の三次元形状データをもとに、仮想空間内(メモリ38)に都市の立体モデルを生成する。
【0185】
そして、メモリ39に予め記憶されている、その仮想空間内において対象地物から特定距離だけ離れた地表面上に観察者の視点を擬似的に表現するような仮想の視準位置(XYZ)を設定し、そこから対象地物の三次元形状表面の直接観察可能な面を視準可能面(KYZ)としてメモリ36に記憶する。
【0186】
次に、その対象地物Hiの視準可能面の面積とそれ以外の面の面積を求める。次に、前記仮想空間に生成した立体モデルを判定したい写真の標定情報と同じ条件により撮影した二次元の仮想俯瞰図を生成し、この仮想俯瞰図上に写っている対象地物の視準可能面とそれ以外の面の画像上の面積を求める。
【0187】
前記視準可能面とそれ以外の面の仮想空間内と仮想俯瞰図上での面積比の関係を撮影俯角判定での見易さ指標として視準可能面を見易く撮影している写真を判定する。
【0188】
この第2の最適写真決定部35の処理について以下に説明する。
【0189】
図21は視準可能面を求める方法を模式的に説明する説明図である。図22は視準可能面を求める方法のフローチャートである。図23は視準可能面を用いた撮影俯角による見易さの指標を説明する説明図である。図24は視準可能面を用いた撮影俯角による見易さの指標を求めるフローチャートである。
【0190】
初めに、図22を説明する。
【0191】
対象地物の見易さ指標の計算において撮影俯角判定は、地物の立体形状表面のうち、利用者が観察可能な面を視準可能面Rpiする。
【0192】
この視準可能面Rpiは、利用者は車輛や歩道など、地表面上から対象地物を観察すると想定し、対象地物Hiの三次元形状データと地表の標高データを用いて、対象地物の地表面との接点から設定された視準距離Riだけ離れた地表面上の点を仮想視準点Miとし、仮想視準点Miから見通せる対象地物Hiの三次元形状データ(ポリゴン)の表面を視準可能面Rpiとする。ただし、地表面と接する面は、そのどちらにも含まないこととする。
【0193】
仮想視準点Miは、可能であれば撮影方位判定で用いる判定境界線Ljと同じ面についてのみ設定することが理想である。また、非常に詳細な三次元情報を用いる場合は、仮想視準点Mi近くの微細な地形に影響されるので、仮想視準点Miを地表面より平均的な身長や車輛の高さ分だけ高くオフセットして設定する方法も考慮してよい。
【0194】
視準距離Riは、予め特定数値を設定する方法や、撮影方向判定で用いる判定境界線Ljの決定に用いた地物によって設定する方法がある。例えば、判定境界線Ljの決定に道路を用いている場合では、道路幅を視準距離Riとして用いることが考えられる。
【0195】
第2の最適写真決定部35は、地物含み撮影情報取得部18によって、対象地物Hiを含む地物情報Aip、撮影情報Bip、写真情報Dipがメモリ27に記憶され、かつ共通二次元地図情報作成部20によって共通地図Giがメモリ28に生成されると、メモリ27の撮影情報Bipを読み込む(S51)。
【0196】
次に、撮影情報Bipの撮影範囲Bcipに含まれている対象地物Hiの三次元形状Ri(ポリゴン:XYZが付与)を、メモリ27の三次元情報Cbip(地表面及び標高データ)を元に、仮装空間内(メモリ38)に都市の立体モデルGpを生成する(S52)。
【0197】
次に、この立体モデルGpにおいて、対象地物Hiの判定境界線Ljをメモリ29から検索する(S53)。
【0198】
そして、検索した対象地物Hiの三次元形状の近傍に、予めメモリ39に設定されている視準位置Miを設定する(S54:図21参照)。
【0199】
次に、この視準位置Miから対象地物Hiの三次元形状を構成する面に視準線を引いて視準可能面Rpiと視準不可面Rqiとを決定する(S55)。次に、視準可能面Rpi又は視準不可面Rqiをメモリ29に記憶されている判定境界線Ljにリンク付けされている対象地物Hi、撮影情報Bip、写真情報Dip等を読み込み、メモリ36にリンク付けして記憶する(S56)。
【0200】
この視準可能面Rpiと視準不可面Rqiとは、対象地物Hiの三次元形状の面の条件の比較で決定する。地表面に接する面は視準不可面Rqiとする。
【0201】
次に、撮影情報Bipはメモリ27に他に記憶されているかどうかを判断し(57)、他に記憶されている場合は、次の撮影情報Bipに更新して処理をステップS51に移す(S58)。すなわち、対象地物Hiを撮影した全ての撮影地点からのカメラの撮影範囲の地表面に設置した視準位置Mi毎に、その撮影方向からの視準可能面Rpiと視準不可面Rqiが求められてメモリ36に記憶される(図25参照)。
【0202】
次に、視準可能面を用いた撮影俯角による見易さの指標を判定する処理を説明する。
【0203】
この判定処理は、撮影地点毎に、そのカメラが撮影した対象地物の仮想俯瞰図を生成し、この仮想俯瞰図の視準可能面と視準不可面との面積比(見易さの指標)と、同じ撮影地点のカメラが撮影した対象地物の視準可能面Rpiと視準不可能面Rqiとの面積比(見易さの指標)との比較で最適写真を決定する。
【0204】
次に図23を説明する。
【0205】
撮影地点毎に、対象地物の三次元形状データの視準可能面と視準不可面を決定した後に、その3次元空間内での視準可能面の面積総和Scと視準不可面積の面積総和Snを求める。
【0206】
次に、同じ三次元形状データと標高データを用いて、各写真の撮影情報データベースの標定情報をもとに同じカメラ諸元・位置・姿勢で撮影したような二次元の仮想俯瞰図を生成し、その画像上での視準可能面の面積総和Acと視準不可面の面積総和Anを求める。
【0207】
求められた面積の総和について、撮影俯角による視準可能面積の見易さ指標として実際の面積比に対する写真上の面積比(Sc・An)/(Sn・Ac)を求める。この値が小さいほど視準可能面を見やすく画角内に捉えていると判断する。
【0208】
例えば、図23では、写真1、2について生成された仮想俯瞰図があり、両者の視準可能面の面積総和Scと視準不可面積の面積総和Snは対象が同じ地物なので等しい。写真1の仮想俯瞰図上の視準可能面積の総和は、二つの領域がありAc1=Ac11+Ac12となり、同じく視準不可面積の総和An1=An11+An12となる。
【0209】
同様に写真2の仮想俯瞰図ではAc2=Ac21+Ac22となり、視準不可面積は一つの領域しかないのでAn2となる。これらについて面積比を比較すると、(Sc・An1)/(Sn・Ac1)<(Sc・An2)/(Sn・Ac2)となるので、写真1のような視準可能面に正対している写真の方を見易いと判断する。
【0210】
次に図24のフローチャートを用いて説明する。第2の最適写真決定部35は、メモリ29に記憶されている対象地物Hiの撮影情報Bipを読み込む(S61)。
【0211】
次に、読み込んだ撮影情報Bipの標定情報のカメラカメラ諸元・位置・姿勢で対象地物を撮影したような二次元の仮想俯瞰図Fiを生成してメモリ37に記憶する(S62)。
【0212】
例えば、メモリ29に記憶されている判定境界線Ljを有するメモリ38の対象地物の三次元形状を、読み込んだ撮影情報Bipの標定情報のカメラカメラ諸元・位置・姿勢で対象地物を撮影したような二次元の仮想俯瞰図Fiを生成する。つまり、メモリ37には、撮影地点毎のカメラの撮影情報で撮影したときの仮想俯瞰図Fi(F1、F2・・)が判定境界線Ljと撮影情報Bip(B1p、B2p、・・・)等がリンク付けされて記憶される。
【0213】
次に、撮影情報Bipは他にあるかどうかを判定し(S63)、他に存在する場合は処理をステップS61に戻す(S64)。つまり、メモリ37には、撮影地点毎のカメラの撮影情報で撮影したときの仮想俯瞰図Fi(F1、F2・・)が判定境界線Ljと撮影情報Bip(B1p、B2p、・・・)等がリンク付けされて記憶される。
【0214】
ステップS63において、撮影情報Bipが他に存在しないと判定したときは、仮想俯瞰図Fi毎に、その画像上での視準可能面の面積総和Acと視準不可面の面積総和Anを求める(S65)。
【0215】
次に、求められた面積の総和について、撮影俯角による視準可能面積の見易さ指標として実際の面積比に対する写真上の面積比Ji(Sc・An)/(Sn・Ac)を求める(S66)。
【0216】
次に、仮想俯瞰図Fiは他にあるかどうかを判断する(S67)。ステップS67において仮想俯瞰図Fiが他にあると判断したときは、次の仮想俯瞰図Fiに更新して処理をステップS65に移す(S68)。
【0217】
すなわち、図25に示すようにメモリ37には、仮想俯瞰図Fi毎の撮影俯角による視準可能面積の見易さ指標として実際の面積比に対する写真上の面積比Ji(Ji=(Sc・An)/(Sn・Ac))が記憶されることになる。
【0218】
また、ステップS67において、仮想俯瞰図Fiが他に存在しないと判定したときは、メモリ37の仮想俯瞰図Fi毎の撮影俯角による視準可能面積の見易さ指標として実際の面積比に対する写真上の面積比Ji(Ji=(Sc・An)/(Sn・Ac))が最も小さい値となった撮影点の撮影情報Bipに対応する写真情報Dipを最適写真情報Dipと決定してメモリ40に記憶する(S69)。
【0219】
そして、この最適写真情報の対象地物の輪郭強調を行い(S70)、提供部24にこの写真情報を送出して利用者端末1に送信させる(S71)。
【0220】
<実施の形態3>
第3の検索サービスは、都市の三次元構造を考慮して他の地物に対象地物が隠れていない写真を優先的に検索する検索サービス(オクルージョン判定ともいう)を、第1の検索サービス、第2の検索サービスを組み合わせたサービスである。
【0221】
オクル−ジョン判定は、撮影情報Bipと抽出された三次元情報を用いて、オクルージョンによる見易さ指標を計算する。
【0222】
図26は実施の形態3の最適写真提供システムの概略構成図である。本実施の形態のシステムは、撮影方向、距離別の最適写真判定処理を第1の最適写真決定部22、撮影俯角による最適写真決定処理を第2の最適写真決定部35、オクル−ジョン判定による処理を第3の最適写真提供部50として説明する。
【0223】
また、第3の実施の形態の提供部は55、メモリ30に記憶されている撮影方向距離別の最適写真とメモリ40に記憶されている撮影俯角判定の最適写真とメモリ52に記憶されているオクルージョン判定の最適写真とを引当て、撮影日時(ユーザ又はセンター側で設定)による絞り込みを行った最適写真を送信する機能を有する。
【0224】
また、予め設定されている優先度の度合いに応じた順番でこれらのメモリ30、メモリ40、メモリ52の最適写真を提供する機能を有している。このとき、閾値によって種類や枚数を変更する。
【0225】
第3の最適写真提供部50は、メモリ57の立体モデルGkiに複数の建物ポリゴンが存在するかどうかを判断し、存在する場合は、撮影俯角判定の際に生成した仮想俯瞰図Fiと同じ手法で、今度は判定する写真の画角内に含まれている周辺地物の三次元形状(建物のポリゴン)を含めた仮想俯瞰図FKiをメモリ57に生成する。
【0226】
この仮想俯瞰図FKi上で、対象地物が建物や地形等の他の地物によって隠れていない部分の視準可能面の面積を求め、対象地物以外の地物が無い場合の視準可能面の面積との比をオクルージョン率Qiとして計算する。
【0227】
この値をオクルージョン判定による見易さ指標として、他の地物の陰に対象地物が隠れている部分が少ない写真を判定する。
【0228】
図27を用いて更に説明する。
【0229】
図27は地物の三次元形状データの視準可能面を用いたオクルージョン判定による見易さ指標の計算を説明する説明図である。
【0230】
対象地物Hiの三次元形状データと標高データと撮影情報Bipをもとに生成した仮想俯瞰図Fi上の視準可能面の面積総和Acを求めた後に、同じ画角内に存在する周辺地物の三次元形状データを含めた仮想俯瞰図Fkiを同様にメモリ57に生成する。そして、この仮想俯瞰図上においての他の地物の陰に隠れていない対象地物の視準可能面の面積総和Ac’を求める。
【0231】
具体的には周囲のポリゴンと対象地物のポリゴンとを重ねて、他の地物に隠れていない対象地物の面を抽出してそれを視準可能面A´ciとしている。
【0232】
この対象地物の三次元形状データのみの場合と、画角内の他の地物を含む場合の、視準可能面の面積総和AcとAc’の比Ac’/Acをオクルージョン率として、オクルージョン判定による見易さ指標となる。この指標が1に近い程、周辺地物による遮蔽の影響が少ない写真と判断することが可能となる。
【0233】
例えば、図27では、写真1の周辺地物を含む仮想俯瞰図上の視準可能面の面積総和Ac’1=Ac’11+Ac’12となり、同じく写真2の視準可能面の面積総和Ac’2=Ac’21+Ac’22となる。ここで、写真1の仮想俯瞰図のAc’11は図23のAc11と比べて手前の地物の陰に隠れた分だけ面積が減少している。
【0234】
これに対して、写真2の仮想俯瞰図では図23と比べて視準可能面の面積変化はない。このことからオクルージョン率Ac’/Acは、(Ac’1/Ac1)<(Ac’2/Ac2)=1となり、写真2の方が周辺地物によって対象地物の視準可能面が隠れていない見易い写真と判断する。
【0235】
次に、図28のフローチャートを用いて説明する。
【0236】
対象地物Hiの三次元形状データと標高データと撮影情報Bipをもとに生成した仮想俯瞰図Fi上の視準可能面の面積総和Acを求めた後に、第3の最適写真提供部は、対象地物Hiを含む撮影情報Bipをメモリ56に読み込む(S81)。
【0237】
次に、読み込んだ撮影情報Bipの撮影範囲の三次元情報を用いてその立体モデルGkiをメモリ57に生成する(S82:図29参照)。
【0238】
次に、この立体モデルGkを読み込んだ撮影情報Bipのカメラで撮影したときの仮想俯瞰図Fkiを生成する(S83)。
【0239】
次に、生成した仮想俯瞰図Fkiの視準境界線Liを含む面と仮想俯瞰図Fki内の他の地物の三次元形状HBpの面とを比較して、オクル−ジョン率Qiを求め、これを撮影情報Bipに関連させてメモリ56に記憶する(S83)。
【0240】
このオクル−ジョンQiは、対象地物の三次元形状データと標高データと撮影情報Bipの撮影範囲をもとに生成した仮想俯瞰図Fi上の視準可能面の面積総和Acを求めた後に、同じ画角内に存在する周辺地物の三次元形状データを含めた仮想俯瞰図Fki上においての他の地物の陰に隠れていない対象地物の視準可能面の面積総和Ac’を求める(メモリ56に撮影情報Bipにリンク付けして記憶)。
【0241】
具体的には周囲のポリゴンと対象地物のポリゴンとを重ねて、他の地物に隠れていない対象地物の面を抽出してそれを視準可能面A´ciとしている。
【0242】
この対象地物の三次元形状データHBpのみの場合と、画角内の他の地物を含む場合の、視準可能面の面積総和AcとAc’の比Ac’/Acをオクルージョン率Qiとして、オクルージョン判定による見易さ指標とする。
【0243】
次に、他に撮影情報Bipがメモリ27に存在していないかどうかを判断し、存在していない場合は、次の撮影情報Bipに更新して処理をステップS89に戻す(S85)。
【0244】
すなわち、図29に示すように、メモリ57に記憶されている仮想俯瞰図Fkiと、メモリ56に記憶されている撮影情報BipにおけるHiの三次元形状(撮影情報Bipと判定境界線Ljとこの撮影情報BipにおけるHiの三次元形状と、視準可能面の総和Aciとオクリージョン率Qiとが対応させられている)との比較結果をオクルージョン率として得て、これをメモリ56に記憶している。図29においては、撮影情報の撮影範囲の対象地物Hiの三次元形状(建物ポリゴン)をHBpとして記載している。
【0245】
次に、これらのオクル−ジョン率Qiの中で「1」に最も近いオクルージョン率Qiを有する撮影情報の写真情報Dipを最適写真情報として決定してメモリ52に記憶する(S87)。
【0246】
そして、この最適写真情報に対応する仮想俯瞰図Fkiの対象地物Hiのポリゴンを重ねて、これを強調処理して(S88)、提供部55によって利用者端末に送信させる(S89)。
【0247】
図30は強調処理を説明する説明図である。
【0248】
オクルージョン判定による見易さ指標の計算と同じ手法を用いて、画角内の周辺地物の陰に隠れていない対象地物の三次元形状ポリゴンの仮想俯瞰図Fki上の領域を求める。この領域は前記視準可能面と視準不可面の両方を含めている。
【0249】
次に、生成した仮想俯瞰図と写真データをオーバーレイさせ、対象地物の領域について、例えば、ワイヤーフレームの着色や、領域の塗りつぶし・半透明等の画像処理を加えることによって、対象地物の写真上の見える部分について強調表示した画像を生成する。本システムでは、この強調表示に関わる画像処理の手法については特に問わない。図30では写真上の対象地物領域を半透明処理により塗りつぶすことによって強調している。
【0250】
従って、本実施の形態では、図31にフローチャートに示す処理を行うことが可能である。
【0251】
図31のフローチャートは処理の概念を時系列的に示す。
【0252】
利用者が地理情報活用者端末1上で地物を指定すると(S110)、センターの地理情報検索部によって該当する地物情報Ai、地理座標がデータベースより検索される(S111、S112)。また、本システムとは別のシステムからの地理座標情報を入力することも可能である(S100)。
【0253】
次に、入力された地物の地物情報に記載されている地理座標が撮影範囲Bciに含まれている写真の撮影情報Bipを撮影情報データベース12から検索する(S113)。
【0254】
次に、この撮影情報の検索によって抽出された撮影情報の撮影範囲内に含まれる二次元地図情報と、その写真の画角内に含まれる三次元情報を地物情報データベース10から検索する(S114)。
【0255】
この情報検索では、例えば、地表面に対して水平に撮影した場合に撮影範囲の奥行方向の座標が無限遠となり、抽出する情報量が膨大となってしまう場合、撮影位置を中心として対象地物より遠い範囲に限りデータを無視することによってハードウエアの能力に合わせて負荷を軽減することが可能である。
【0256】
次に、撮影情報Bipと抽出された二次元地図情報を用いて、撮影方位による見易さ指標を計算する(S115)。
【0257】
次に、撮影情報Bipと抽出された三次元情報を用いて、撮影俯角による見易さ指標を計算する(S116)。
【0258】
次に、撮影情報Bipと抽出された三次元情報を用いて、オクルージョン率Qiによる見易さ指標を計算する(S117)。
【0259】
次に、対象地物を撮影した写真が複数ある場合は、撮影方位・撮影俯角・オクルージョン判定結果と撮影情報データベース12の情報から、任意に設定する閾値と抽出条件に沿った対象地物の最も見やすい最適写真を決定する。
【0260】
条件に合う写真が無かった場合は、利用者端末1に該当写真がない旨を表示する(S118)。
【0261】
次に、最適写真とそれに対応する仮想俯瞰図を重ね合わせ、仮想俯瞰図上の対象地物の範囲の色調を変更することにより写真上の対象地物を強調する(S119)。この地物強調画像を利用者端末1に表示(写真表示部)する。
【0262】
強調表示の手法としては、例えば基となる地物の三次元形状情報がポリゴン形式で提供されている場合は、そのポリゴンの頂点を結んだワイヤーフレームを任意の色(具体的にはどんな色を想定していますか:周りが写真なので)により着色した画像を重ねあわせたり、範囲内を塗りつぶし・半透明等の処理を加えたりする手法が想像できるが、その手法については本システムでは特に問わない。
【0263】
そして、最も検索条件に近い写真を利用者端末1に送信して表示させる(S120)。
【0264】
表示させる写真は、一つでも複数でも構わない。また、計算された指標から見易い順に並べて表示する方法もある。
【0265】
<実施の形態4>
すなわち、図32にフローチャートに示すように撮影方位、俯角、オクルージョン率による最適写真のいずれか又はこれらの組合せを得ることが可能である。
【0266】
この例を実施の形態4として説明する。
【0267】
図32に示すように、最適写真決定部は、写真が複数の場合は、撮影日時で撮影情報を絞り込む(S131)。そして、これらの撮影情報で撮影方位判定処理を行って、これらの撮影方位判定処理の写真を送信する(S133)。
【0268】
また、撮影日時で絞り込んだ撮影情報を用いて撮影俯角判定処理を行い(S134)、これらを送信する(S135)。また、撮影日時で絞り込んだ撮影情報を用いてオクルージョン判定処理を行い(S136)、これらを送信する(S137)。
【0269】
これらの写真は一組のサムネイル画面で送信されるのが好ましい。
【0270】
そして、ユーザは画面を見て、見やすい大きさ、見やすい角度、隠れていないか等を判定し、これらの中から最適な写真を選択する(S138〜S141)。
【0271】
ステップS138〜S141は、画面には、撮影方位毎の多数の最適写真の組みと、俯角別による多数の最適写真の組みと、オクルージョン率による多数の最適写真の組みとがサムネイル表示され、いずれかのものがユーザによって最適写真とされるのが好ましい。
【0272】
<実施の形態5>
実施の形態5は、利用者端末に写真と三次元形状とを重ねた画面を提供して、その画像から撮影方向、俯角判定、オクルージョン処理した結果の写真を提供する。
【0273】
図33は実施の形態5を説明するフローチャートである。
【0274】
利用者が、表示したい地物を変更したい場合や、検索する地物が決定していない場合に、先に写真表示部に写真が表示されている状態から写真上の任意の地物の最適写真を表示させる手順を説明する。
【0275】
利用者は、画面の画像上から希望の地物を選択する(S210)。それに対応する撮影情報を撮影情報データベース12より検索する(S211)。
【0276】
次に、撮影情報検索によって抽出された撮影情報Bipについて、撮影範囲内の二次元地図情報と、その写真の画角内に含まれる三次元情報を地物情報データベース10より抽出する(S212)。
【0277】
ここで選択されている写真の撮影範囲に関わる二次元地図情報1は利用者端末の表示可能(二次元地図表示部)である。
【0278】
次に、撮影情報Bipと抽出された三次元情報から、地表面の標高データと画角内の撮影されている地物の三次元形状データをもとに三次元の仮想空間内に都市の立体モデルを生成し、その立体モデルを撮影情報の標定情報と同じ条件で撮影したような二次元の仮想俯瞰図を生成する。
【0279】
この仮想俯瞰図は、地物の画角内に写っている部分を二次元の領域に区別し、地物毎に仮想俯瞰図上の座標と地物情報と関連付けられていることが望ましい。そして、前記仮想俯瞰図と選択されている写真を重ね合わせ、利用者端末1にそのオーバーレイ画像を表示(写真表示部)する(S213)。
【0280】
次に、表示されたオーバーレイ画像上の任意の地物をマウス等のポインティングデバイスにより利用者が選択する(S215)と、
前述のオーバーレイ画像の生成過程から想像できるとおり、画像上の座標と関連付けされている地物情報を地物情報データベース10より検索する(S215)。検索された地物情報Aipは利用者端末1に表示可能(地物属性情報表示部)である(S216)。
【0281】
次に、前記地物情報の地理座標をもとに図示した最適写真検索手順に沿って、新たに最適写真を検索する(S217)。
【0282】
この最適写真の検索は、前記最適写真とそれに対応する仮想俯瞰図を重ね合わせ、仮想俯瞰図上の対象地物の範囲の色調を変更することにより写真上の対象地物を強調する。この地物強調画像を利用者端末1に表示(写真表示部)する(S218)。
【0283】
強調表示の手法としては、図34に示すように、例えば基となる地物の三次元形状情報がポリゴン形式で提供されている場合は、そのポリゴンの頂点を結んだワイヤーフレームを任意の色(具体的にはどんな色を想定していますか:周りが写真なので)により着色した画像を重ねあわせたり、範囲内を塗りつぶし・半透明等の処理を加えたりする手法が想像できるが、その手法については本システムでは特に問わない。
【0284】
また、ここで、当初選択されていた写真の撮影範囲に関わる二次元地図を表示(二次元地図表示部)していた場合は、オーバーレイ画像上で選択された地物を中心とした地図に置き換えることも可能である。
【0285】
この最適写真の表示は、最も検索条件に近い写真を表示(写真表示部)させる。表示させる写真は、一つでも複数でも構わない。また、計算された指標から見易い順に並べて表示する方法もある。
【0286】
ただし、対象地物に関連する写真が一つ以下の場合は、前記の見易さ指標を計算する処理を省略しても構わない。
【0287】
図34は、S213において写真上にて区分けされた二次元領域と地物情報が関連図けられていることを模式的にあらわしている。
【0288】
写真内地物探索に用いる写真が、最適写真検索結果により選択された写真の場合は、その検索途中で生成される周辺地物を含めた仮想俯瞰図とのオーバーレイ結果から得られる写真上の各地物の二次元領域情報を用いて、写真表示部に表示されている写真上の任意の位置を、例えば、マウス等のポインティングデバイスによって座標を指定し、その座標が含まれる領域を選択する方法や、各領域をキー操作により順送りに強調表示して領域を選択する方法等によって、その領域に関連付けられた地物情報を呼び出し、例えば、地物属性情報表示部に情報を表示することや、その他の処理に利用することを容易に想像できる。
【0289】
ただし、任意に選択された写真の場合は、前記周辺地物を含めた仮想俯瞰図を新たに生成し、同様に写真上の各地物の二次元領域情報を求める必要がある。
【0290】
選択された二次元領域情報に対応する地物情報のから、直前の動作において既に最適写真の対象地物となっていた場合を除いて、新たに選択された地物である場合は、その選択された地物を対象地物として最適写真検索処理を実行し、新たに写真表示部に最適写真を表示することも可能である。
【0291】
なお、上記実施の形態では、利用者端末とサービスセンターとでネットワークを接続して最適写真を提供するとしたが、1台のパソコンで構成してもよい。本発明の実施の形態を説明するために各図において示したサーバや端末の機能や保持するデータの配置は、あくまでも例示であって、本発明の機能を実現するために限定したものでない。よって、本発明の機能が実現可能な範囲において、種々の処理手段の配置の組み合わせが考え得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0292】
【図1】本実施の形態1の最適写真提供システムの概略構成図である。
【図2−1】本実施の形態1の利用者端末に表示される画面の説明図である。
【図2−2】本実施の形態1の利用者端末に表示される画面の説明図である。
【図3】二次元地図情報及び三次元情報の一例を説明する説明図である。
【図4】斜め写真の撮影方法の説明図である。
【図5】撮影範囲の説明図である。
【図6】写真、撮影情報、三次元情報、二次元地図情報はリンク付けの説明図である。
【図7】本実施の形態の最適写真を得るまでのシーケンス図である。
【図8】利用者端末の入力情報を説明する説明図である。
【図9】検索条件の説明図である。
【図10】利用者端末に表示される地図情報の説明図である。
【図11】地物含み撮影情報取得部の動作を説明するフローチャートである。
【図12】共通地図の説明図である。
【図13】メモリ27に記憶される情報を説明する説明図である。
【図14】第1の最適写真決定処理部22の動作を説明するフローチャートである。
【図15】第1の最適写真決定処理部22の動作を説明するフローチャートである。
【図16】撮影方向別の最適写真を得る方法の説明図である。
【図17】第1の最適写真決定部の処理動作をメモリと関連付けて説明する説明図である。
【図18】重ね処理を説明する説明図である。
【図19】対象地物の区画形状が点座標のみの場合の判定境界線の生成方法につい説明する説明図である。
【図20】実施の形態2の最適写真提供システムの概略構成図である。
【図21】視準可能面を求める方法を模式的に説明する説明図である。
【図22】視準可能面を求める方法のフローチャートである。
【図23】視準可能面を用いた撮影俯角による見易さの指標を説明する説明図である。
【図24】視準可能面を用いた撮影俯角による見易さの指標を求めるフローチャートである。
【図25】メモリ36、メモリ37に記憶される情報を説明する説明図である。
【図26】実施の形態3の最適写真提供システムの概略構成図である。
【図27】地物の三次元形状データの視準可能面を用いたオクルージョン判定による見易さ指標の計算7を説明する説明図である。
【図28】オクルージョン比率を求めるためのフローチャートである。
【図29】メモリ56、メモリ57の情報を説明する説明図である。
【図30】強調処理を説明する説明図である。
【図31】第3の検索サービスを説明する概略フローチャートである。
【図32】実施の形態4を説明するフローチャートである。
【図33】実施の形態5を説明するフローチャートである。
【図34】実施の形態5の建物強調の説明図である。
【符号の説明】
【0293】
1 利用者端末
2 サービス提供センター
14 ユーザ判定・条件入力画面提供部
16 地図提供・指定地物読込部
18 地物含み撮影情報取得部
20 共通二次元地図情報作成部
22 第1の最適写真決定部
24 提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行経路を異ならせて地物をカメラで斜め方向から撮影した複数の斜め写真の内で、目的の対象地物が指定地物に接して撮影されている撮影点毎の斜め写真から利用者が要望する大きさで前記対象地物が撮影されている写真を最適写真として提供する最適斜め写真提供方法であって、
コンピュータが、
前記対象地物を含む所定範囲の平面地図と前記対象地物の種類に類似又は同一の地物の三次元形状を前記平面地図に標高を与えた三次元座標系で生成された三次元空間情報とを関連付けて第1の記憶手段するステップと、
前記撮影点毎の前記平面地図における撮影範囲とその撮影点のカメラの焦点距離、姿勢、画角に対応する投影面を含む標定情報とを関連付けた撮影情報を第2の記憶手段に記憶するステップと、
前記撮影点毎の前記カメラの斜め写真を前記撮影情報に関連付けて第3の記憶手段に記憶するステップと、
前記三次元空間情報に、前記撮影点と該撮影点のカメラの撮影情報の投影面の幅とを定義するステップと、
前記三次元空間情報の地表面に存在する前記指定地物と前記対象地物の地表面における形状とが接する範囲の線を判定境界線として求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の投影面に前記判定境界線上に存在する前記対象地物の線が投影されている場合は、その長さを視準可能線投影面幅として求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記視準可能線投影面幅と前記投影面幅との比を視準可能線投影面幅比として求めると共に、その撮影点に向いている前記対象地物の前記判定境界線上の線を視準可能線として求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の視準可能線と前記判定基準線との比を判定境界視準可能線比として求めて、これらの視準可能線投影面幅比同士を比較して最も大きな値の視準可能線投影面幅比を求めるステップと、
前記撮影点毎の判定境界視準可能線比を比較して、最も小さな値の判定境界視準可能線比を求めるステップと、
前記最も大きな値の視準可能線投影面幅比及び最も小さな値の判定境界視準可能線比を得た撮影点の前記斜め写真を目的の対象物の撮影方向からの最適な斜め写真として出力するステップと
を行うことを特徴とする最適斜め写真提供方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記撮影点毎に、その撮影点の撮影情報と該撮影点の写真と該撮影点のカメラの投影面の幅と判定境界線と視準可能線投影面幅と視準可能線投影面幅比と視準可能線と判定境界視準可能線比とを関連付けた撮影方向毎写真判定情報を第4のメモリに記憶するステップと、
前記撮影点毎の撮影方向毎斜め写真判定情報の内で、視準可能線投影面幅比及び判定境界視準可能線比の値に応じて順位を設定するステップと、
前記順位に応じて前記撮影点毎の撮影方向毎写真判定情報に含まれている前記斜め写真をサムネイル化した写真情報又は最も高い順位の撮影地点の斜め写真の写真情報の、いずれかを送出するステップと
を行うことを特徴とする請求項1記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、
前記三次元空間情報の前記対象地物に対応する三次元形状の輪郭強調を行って前記最適な斜め写真に重ね合わせるステップと
を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項4】
前記コンピュータが、
前記対象地物の地表面における形状が存在しない場合は、対象地物の地理座標を起点とした所定範囲の円を前記三次元空間情報に定義し、該円内の該三次元空間上の前記指定地物の線を、前記判定境界線とするステップと
を行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項5】
前記コンピュータが、
前記撮影点毎に、その撮影点の撮影範囲の三次元空間情報に、前記判定境界線に対向する前記指定対象物の所定位置に仮想視準点を定義するステップと、
前記仮想視準点から前記対象地物の三次元形状の判定境界線上の面に直線を引いたときの当該撮影点の撮影俯角による視準可能面の総面積を求めると共に、該視準可能面以外の当該撮影点の撮影俯角による視準不可能面の総和面積を求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記標定情報で前記対象地物を撮影したときの立体的な仮想俯瞰図を第5の記憶手段に生成するステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の仮想俯瞰図の前記対象地物に前記視準可能面及び視準不可能面を定義するステップと、
前記撮影点毎に、前記当該撮影点の撮影俯角による視準可能面の総面積と前記仮想俯瞰図の視準不可能面の総面積との第1の積を求めると共に、当該撮影点の撮影俯角による視準不可能面の総面積と前記仮想俯瞰図の視準可能面の総面積との第2の積を求めるステップと、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記第1の積と第2の積との比を求め、該比が小さい値を示している撮影点の前記斜め写真をカメラが最も大きく撮影している斜め写真を撮影俯角による最適な斜め写真として送出するステップと
を行うことを特徴とする請求項1記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項6】
前記コンピュータが、
前記第1の積と第2の積の比に、その撮影点の撮影情報と該撮影点の写真とを関連付けた俯角による写真判定情報を第6の記憶手段に記憶するステップと、
前記俯角による写真判定情報の前記第1の積と第2の積の比の値に応じて順位を設定するステップと、
前記順位に応じて前記撮影地毎の俯角による写真判定情報に含まれている前記斜め写真をサムネイル化した写真情報又は最も高い順位の撮影地点の斜め写真の写真情報の、いずれかを送出するステップと
を行うことを特徴とする請求項5記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項7】
前記コンピュータが、
前記三次元空間情報の前記対象地物に対応する三次元形状の輪郭強調を行って前記最適な斜め写真に重ね合わせるステップと
を行うことを特徴とする請求項5又は6記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項8】
コンピュータが、
前記撮影点毎の仮想俯瞰図において、該仮想俯瞰図毎に、前記対象地物が他の地物に隠れていない対象地物の視準可能面の総和を順次求めるステップと、
前記仮想俯瞰図毎の前記対象地物が他の地物に隠れていない対象地物の視準可能面の総和同士の比をオクルージョン率としてそれぞれ求めるステップと、
前記オクリージョン率が大きい値を得た撮影点の撮影情報を有する写真をオクルージョン率による最適な斜め写真として出力するステップと
を行うことを特徴とする請求項5記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項9】
前記コンピュータが、
前記オクルージョン率に、その撮影点の撮影情報と該撮影点の写真とを関連付けたオクルージョン率による写真判定情報を第7の記憶手段に記憶するステップと、
前記オクルージョン率の値に応じて順位を設定するステップと、
前記順位に応じて前記撮影地毎のオクルージョン率による写真判定情報内の斜め写真をサムネイル化した写真情報又は最も高い順位の撮影地点の斜め写真の写真情報の、いずれかを送出するステップと
を行うことを特徴とする請求項8記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項10】
前記コンピュータが、
前記三次元空間情報の前記対象地物に対応する三次元形状の輪郭強調を行って前記最適な斜め写真に重ね合わせるステップと
を行うことを特徴とする請求項8又は9記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項11】
前記コンピュータが、
前記撮影点毎に、その撮影点の撮影情報と該撮影点の写真と該撮影点のカメラの撮影情報の投影面の幅と判定境界線と視準可能線投影面幅と視準可能線投影面幅比と視準可能線と判定境界視準可能線比とを関連付けた撮影方向毎写真判定情報及び前記俯角による写真判定情報並びに前記オクルージョン率による写真判定情報を第8の記憶手段に記憶するステップと、
前記オクルージョン率の値に応じて順位を設定するステップと、
前記順位に応じて前記撮影地毎のオクルージョン率による写真判定情報内の斜め写真をサムネイル化した写真情報又は最も高い順位の撮影地点の斜め写真の写真情報のいずれかを送出するステップと
を行うことを特徴とする請求項8記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項12】
前記コンピュータが、
前記三次元空間情報の前記対象地物に対応する三次元形状の輪郭強調を行って前記最適な斜め写真に重ね合わせるステップと
を行うことを特徴とする請求項8、9、10又は11記載の最適斜め写真提供方法。
【請求項13】
利用者端末と最適写真提供サービスセンターのサーバとを通信ネットワークで接続して、前記サーバが飛行経路を異ならせて地物をカメラで斜め方向から撮影した複数の斜め写真の内で、目的の対象地物が指定地物に接して撮影されている撮影点毎の斜め写真から利用者が要望する大きさで前記対象地物が撮影されている写真を最適写真として前記利用者端末に送信する最適斜め写真提供システムであって、
前記サーバは、
前記対象地物を含む所定範囲の平面地図と前記対象地物の種類に類似又は同一の地物の三次元形状を前記平面地図に標高を与えた三次元座標系で生成された三次元空間情報とを関連付けて記憶した第9の記憶手段と、
前記撮影点毎の前記平面地図における撮影範囲とその撮影点のカメラの焦点距離、姿勢、画角に対応する投影面を含む標定情報とを関連付けた撮影情報を記憶した第10の記憶手段と、
前記撮影点毎の前記カメラの斜め写真を前記撮影情報に関連付けて記憶した第11の記憶手段と、
ユーザ情報及び斜め写真の検索条件が記憶される第12の記憶手段と
を備え、
コンピュータに、
前記利用者端末に、ユーザ情報及び前記斜め写真の検索条件を入力させるための入力画面情報を前記通信ネットワークを介して送信する手段と、
前記利用者端末から対象地物の地理情報が入力したとき、該対象地物を含む前記三次元空間情報、撮影情報並びに斜め写真を含む検索情報を全て検索する手段と、
該検索情報毎に、その検索情報の前記三次元空間情報に、前記撮影点と該撮影点のカメラの撮影情報の投影面の幅とを定義する手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の三次元空間情報の地表面に存在する前記指定地物と前記対象地物の地表面における形状とが接する範囲の線を判定境界線として求める手段と、
該検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の投影面に、前記判定境界線上に存在する前記対象地物の線が投影されている場合は、その長さを視準可能線投影面幅として求める手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の前記視準可能線投影面幅と前記投影面幅との比を視準可能線投影面幅比として求めると共に、その撮影点に向いている前記対象地物の前記判定境界線上の線を視準可能線として求める手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の視準可能線と前記判定基準線との比を判定境界視準可能線比として求めて、これらの視準可能線投影面幅比同士を比較して最も大きな値の視準可能線投影面幅比を求める手段と、
前記検索情報毎に、前記撮影点の判定境界視準可能線比を比較して、最も小さな値の判定境界視準可能線比を求める手段と、
前記最も大きな値の視準可能線投影面幅比及び最も小さな値の判定境界視準可能線比を得た撮影点の前記斜め写真を目的の対象物の撮影方向からの最適な斜め写真とする手段と、
前記最適な斜め写真を前記通信ネットワークを介して前記利用者端末に送信する手段と
を備え、
前記利用者端末は、ブラウザ機能を備え、
前記サーバからの入力画面を受信して、この入力画面に入力された、目的の対象地物の地理情報及び前記指定地物並びに指定地物に接する対象地物を大きさの条件を含む前記検索条件として前記サーバに送信する手段と、
前記サーバからの最適な斜め写真を受信して、これを画面に表示する手段と
を備えて
構成されたことを特徴とする最適斜め写真提供システム。
【請求項14】
前記サーバは、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記標定情報で前記対象地物を撮影したときの立体的な仮想俯瞰図を記憶する第13の記憶手段とを備え、
前記コンピュータに、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の撮影範囲の三次元空間情報に、前記判定境界線に対向する前記指定対象物の所定位置に仮想視準点を定義する手段と、
前記仮想視準点毎に、その仮想視準点から前記対象地物の三次元形状の判定境界線上の面に直線を引いたときの当該撮影点の撮影俯角による視準可能面の総面積を求めると共に、該視準可能面以外の当該撮影点の撮影俯角による視準不可能面の総和面積を求める手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記標定情報で前記対象地物を撮影したときの立体的な仮想俯瞰図を第14の記憶手段に生成する手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の仮想俯瞰図の前記対象地物に前記視準可能面及び視準不可能面を定義する手段と、
前記撮影点毎に、前記当該撮影点の撮影俯角による視準可能面の総面積と前記仮想俯瞰図の視準不可能面の総面積との第3の積を求めると共に、当該撮影点の撮影俯角による視準不可能面の総面積と前記仮想俯瞰図の視準可能面の総面積との第4の積を求める手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記第3の積と第4の積との比を求め、該比が小さい値を示している撮影点の前記斜め写真をカメラが最も大きく撮影している撮影俯角による最適な斜め写真として前記利用者端末に送信する手段と
を有することを特徴とする請求項13記載の最適斜め写真提供システム。
【請求項15】
前記コンピュータに、
前記撮影点毎の仮想俯瞰図において、該仮想俯瞰図毎に、前記対象地物が他の地物に隠れていない対象地物の視準可能面の総和を順次求める手段と、
前記仮想俯瞰図毎の前記対象地物が他の地物に隠れていない対象地物の視準可能面の総和同士の比をオクルージョン率としてそれぞれ求める手段と、
前記オクリージョン率が大きい値を得た撮影点の撮影情報を有する写真をオクルージョン率による最適な斜め写真として前記利用者端末に送信する手段と
を有することを特徴とする請求項13又は14記載の最適斜め写真提供システム。
【請求項16】
飛行経路を異ならせて地物をカメラで斜め方向から撮影した複数の斜め写真の内で、目的の対象地物が指定地物に接して撮影されている撮影点毎の斜め写真から利用者が要望する大きさで前記対象地物が撮影されている写真を最適写真として前記利用者端末に送信する最適斜め写真提供装置であって
前記サーバは、
前記対象地物を含む所定範囲の平面地図と前記対象地物の種類に類似又は同一の地物の三次元形状を前記平面地図に標高を与えた三次元座標系で生成された三次元空間情報とを関連付けて記憶した第15の記憶手段と、
前記撮影点毎の前記平面地図における撮影範囲とその撮影点のカメラの焦点距離、姿勢、画角に対応する投影面を含む標定情報とを関連付けた撮影情報を記憶した第16の記憶手段と、
前記撮影点毎の前記カメラの斜め写真を前記撮影情報に関連付けて記憶した第17の記憶手段と、
ユーザ情報及び斜め写真の検索条件が記憶される第4の記憶手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記標定情報で前記対象地物を撮影したときの立体的な仮想俯瞰図を記憶する第18の記憶手段とを備え
を備え、
コンピュータに、
前記斜め写真の検索条件を入力させて、これを読み込む手段と、
前記対象地物の地理情報が前記検索条件として入力したとき、該対象地物を含む前記三次元空間情報、撮影情報並びに斜め写真を含む検索情報を全て検索する手段と、
該検索情報毎に、その検索情報の前記三次元空間情報に、前記撮影点と該撮影点のカメラの撮影情報の投影面の幅とを定義する手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の三次元空間情報の地表面に存在する前記指定地物と前記対象地物の地表面における形状とが接する範囲の線を判定境界線として求める手段と、
該検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の投影面に、前記判定境界線上に存在する前記対象地物の線が投影されている場合は、その長さを視準可能線投影面幅として求める手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の前記視準可能線投影面幅と前記投影面幅との比を視準可能線投影面幅比として求めると共に、その撮影点に向いている前記対象地物の前記判定境界線上の線を視準可能線として求める手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の視準可能線と前記判定基準線との比を判定境界視準可能線比として求めて、これらの視準可能線投影面幅比同士を比較して最も大きな値の視準可能線投影面幅比を求める手段と、
前記検索情報毎に、前記撮影点の判定境界視準可能線比を比較して、最も小さな値の判定境界視準可能線比を求める手段と、
前記最も大きな値の視準可能線投影面幅比及び最も小さな値の判定境界視準可能線比を得た撮影点の前記斜め写真を目的の対象物の撮影方向からの最適な斜め写真とする手段と、
前記検索情報毎に、その検索情報の前記撮影点の撮影範囲の三次元空間情報に、前記判定境界線に対向する前記指定対象物の所定位置に仮想視準点を定義する手段と、
前記仮想視準点毎に、その仮想視準点から前記対象地物の三次元形状の判定境界線上の面に直線を引いたときの当該撮影点の撮影俯角による視準可能面の総面積を求めると共に、該視準可能面以外の当該撮影点の撮影俯角による視準不可能面の総和面積を求める手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記標定情報で前記対象地物を撮影したときの立体的な仮想俯瞰図を第18の記憶手段に生成する手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の仮想俯瞰図の前記対象地物に前記視準可能面及び視準不可能面を定義する手段と、
前記撮影点毎に、前記当該撮影点の撮影俯角による視準可能面の総面積と前記仮想俯瞰図の視準不可能面の総面積との第5の積を求めると共に、当該撮影点の撮影俯角による視準不可能面の総面積と前記仮想俯瞰図の視準可能面の総面積との第6の積を求める手段と、
前記撮影点毎に、その撮影点の前記第5の積と第6の積との比を求め、該比が小さい値を示している撮影点の前記斜め写真をカメラが最も大きく撮影している撮影俯角による最適な斜め写真として送出する手段と
前記撮影点毎の仮想俯瞰図において、該仮想俯瞰図毎に、前記対象地物が他の地物に隠れていない対象地物の視準可能面の総和を順次求める手段と、
前記仮想俯瞰図毎の前記対象地物が他の地物に隠れていない対象地物の視準可能面の総和同士の比をオクルージョン率としてそれぞれ求める手段と、
前記オクリージョン率が大きい値を得た撮影点の写真をオクルージョン率による最適な斜め写真とする手段と、
前記撮影方向による最適な斜め写真、撮影俯角による斜め写真、オクルージョン率による最適な斜め写真の組み、若しくはいずれかの最適な斜め写真を送出する手段と
を有することを特徴とする最適斜め写真提供装置。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図4】
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【図34】
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【公開番号】特開2009−258386(P2009−258386A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107240(P2008−107240)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】