説明

有機エレクトロニクスデバイスの製造方法及び有機エレクトロニクスデバイス

【課題】低粘度のインクを用いた印刷において、高精細なパターン印刷の再現性に優れ、かつ、有機エレクトロニクス層の膜厚均一性が高く、特に有機エレクトロニクス層をその端部まで均一な厚さで成膜できる有機エレクトロニクスデバイスの製造方法、及び有機エレクトロニクスデバイスを提供すること。
【解決手段】有機エレクトロニクス層30を形成するインクに含まれる溶媒に対して撥液性を示す撥液性部12aと、該溶媒に対して親液性を示す親液性部11aとを有するパターンが形成されたパターン付き基板10を作製する工程と、ブランケット22上に前記インクを塗布して有機エレクトロニクス層30を形成する工程と、パターン付き基板10に有機エレクトロニクス層30を接触させて、親液性部11aに有機エレクトロニクス層30を転写する工程とを有することを特徴とする有機エレクトロニクスデバイスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機トランジスタや有機エレクトロルミネッセンス等の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法、及び有機エレクトロニクスデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロニクスデバイスの一つである有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)は、有機発光層と有機発光補助層とを有する有機発光媒体層が一対の電極間に配置された複数の積層構造からなり、該有機発光媒体層に電流が流れることにより発光する。有機ELを効率良く発光させるには、有機発光媒体層の膜厚のコントロールが重要であり、膜厚を10〜100nm(ナノメートル)程度に極めて薄膜にする必要がある。さらに、有機ELをディスプレイ化するには、有機発光媒体層を形成する材料を基板上に高精細にパターニングする必要がある。このように、有機ELの製造においては、有機発光媒体層の薄膜化と高精細のパターン形成とを両立できるプロセスが求められる。また、有機トランジスタの有機半導体層の形成においても同様の技術が求められる。
【0003】
有機発光媒体層を形成する材料のパターニングは、これまで微細パターンのメタルマスクを用いた抵抗加熱蒸着法(真空蒸着法)等により行われてきた。しかし、この方法では、基板が大型化するほど、パターニング精度が出難いという問題があった。
【0004】
これに対して、最近では、有機発光媒体層を形成する材料が溶媒に溶解した塗工用インク液をウェットコーティング法により基板上に塗布して薄膜を形成する方法が行われている。このウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、吐出コート法、ディップコート法等がある。
しかし、高精細にパターニングしたり、レッド(R)とグリーン(G)とブルー(B)の3色に塗り分けしたりすることは、該ウェットコーティング法では難しい。これらの高精細のパターン形成、塗り分けパターニングに対しては、パターン印刷法による薄膜形成が有効である。
【0005】
有機EL素子や有機ELディスプレイでは、基板としてガラス基板が多用されている。そのため、有機ELの製造においては、グラビア印刷法等のような金属製やセラミック製等の硬い印刷版を用いる方法は不向きである。
有機ELの製造において好適なパターン印刷法としては、弾性を有するゴム製の印刷版を用いた印刷法、ゴム製の印刷用ブランケットを用いたオフセット印刷法(たとえば特許文献1参照)、弾性を有するゴムやその他の樹脂を主成分とした感光性樹脂版を用いる凸版印刷法や凹版印刷法(たとえば特許文献2参照)、パターンの所定の領域に塗工用インク液を打ち込むインクジェット印刷法(たとえば特許文献3参照)等を採用することができる。
また、シリコーンブランケット上に、有機発光材料と溶媒とを含有するインクを塗布して有機エレクトロニクス層のパターンを形成してから基板に転写する反転オフセット印刷法が提案されている(特許文献4参照)。該反転オフセット印刷法によれば、有機エレクトロニクス層は基板への転写時に乾燥がある程度進み、基板に転写された段階では流動性が無いため、転写後の有機エレクトロニクス層の膜厚均一性を高くできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−93668号公報
【特許文献2】特開2001−155858号公報
【特許文献3】特許第3911775号公報
【特許文献4】特開2003−17261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、有機トランジスタの有機半導体層を形成する材料、又は有機ELの有機発光媒体層を形成する材料をパターン印刷法により基板に印刷して成膜する場合、有機発光材料が水又は有機溶媒(必要に応じてバインダー樹脂)中に分散又は溶解したインクが用いられている。
しかし、一般的にインク化の可能な有機発光材料は、溶媒に対する溶解性が高い場合であっても、溶媒に対する最大固形分比が5質量%程度であり、これを超えると有機発光材料が固体として析出しやすい。このため、インクの高粘度化は難しい。有機トランジスタの有機半導体層を形成する材料は、有機ELの有機発光媒体層を形成する材料とほぼ同様のパイ共役系の芳香族構造のものが多く利用されているものの、有機ELの有機発光媒体層を形成する材料よりも材料同士の相互作用が強いため、一般的に溶媒への溶解性が低い。
【0008】
一方、有機エレクトロニクス層を形成する材料をパターン成膜し、素子として駆動させる場合、その素子の耐久性は、成膜される膜の純度が高い方が良いとされている。このため、増粘剤などの粘度調整剤は、成膜される膜中に残留して純度を低下させる要因となるために添加しにくい。このような理由から、有機エレクトロニクス層を形成する材料のインクを数十mPa・s以上へ高粘度化することは難しい。特に分子量が10万以下の材料の高粘度化は望めない。
【0009】
ところで、オフセット印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法等の各種パターン印刷法に用いられるインクには、最適な粘度があることが知られている。
ところが、有機エレクトロニクスデバイスの製造においては、上記のように、有機エレクトロニクス層を形成する材料のインクが低粘度であるという制約から、使用できるプロセスが限られてくる。
該プロセスに用いる方法として前述したウェットコーティング法は、インクが低粘度であっても、概ね使用することが可能である。
一方、前述したパターン印刷法(オフセット印刷法、凸版印刷法など)では、有機エレクトロニクス層の膜厚が不均一になりやすいため、有機エレクトロニクス層を形成する材料のインクはパターンを再現性良く形成することが難しい粘度領域を有していると云える。
【0010】
また、ディスプレイの画素構造に代表されるように、基板上に樹脂等で形成された隔壁と該隔壁に囲まれた開口部とを有するパターン付き基板に、ウェットコーティング法やインクジェット印刷法によりインクを該開口部に流入させる方法が実際のプロセスとして行われている。
この場合、低粘度のインクを該開口部に流入させると、該隔壁にインクが付着し、隔壁近傍には表面張力により曲率を持ったメニスカス構造が形成される。そのため、隔壁近傍の有機エレクトロニクス層端部が厚膜化してしまうという現象を避けることができない。
【0011】
また、隔壁にフッ素化炭素ガスを用いたプラズマ処理を施し、開口部にインクジェット印刷法によりインクを打ち込んだ場合、隔壁表面とインクとの親和性が低くなっているため、インクが開口部中央側へ偏ることにより、開口部周辺側の有機エレクトロニクス層端部が薄膜化しやすい。この場合、隔壁のインクに対する濡れ性や乾燥条件の制御がいずれも難しいため、有機エレクトロニクス層の膜厚均一性を高めることが困難である。
【0012】
また、ディスプレイ画面等を製造するために、ある程度大きな面積のパターン印刷を行う場合、パターン周辺(ディスプレイ周辺)側とその中央側とでは、蒸気圧等の溶媒雰囲気が異なるため、乾燥速度に違いが生じる。そのため、複数の素子間で、メニスカス構造が不均一に形成される、流入するインク量が異なる等、有機エレクトロニクス層の膜厚に差が生じ、素子ごとに性能が少しずつ異なる結果となってしまう。特に、形成しようとするパターンの精細度が細かいほど、この影響は大きくなる。
【0013】
これに対して、各パターン印刷法において、乾燥速度を一様にするため、高沸点の溶媒を用いて乾燥速度を緩やかにしたり、基板上の不必要な箇所にも印刷を意図的に行い、必要箇所との蒸気圧の差をなくしたりする方法が提案されている。
しかし、これらの方法においては、高沸点の溶媒を乾燥させるためにスループットが低減したり、有機エレクトロニクス層を形成する材料が高温乾燥により性能劣化を生じたり、不要な場所に印刷することにより、有機エレクトロニクス層を形成する材料の消費量が増加して原価コストが増したりする等の問題がある。
【0014】
特許文献4の発明においては、弾力性のあるシリコーンブランケットが変形しやすいため、印刷時の印圧や有機エレクトロニクス層を形成する材料に含まれる溶媒等による膨潤が避けられず、形成するパターンの位置精度を得ることが非常に難しいという問題がある。
【0015】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、上記問題を解決する新しい印刷法を用いた有機エレクトロニクスデバイスの製造方法、及び有機エレクトロニクスデバイスを課題とする。
具体的には、低粘度のインクを用いた印刷において、高精細なパターン印刷の再現性に優れ、かつ、有機エレクトロニクス層の膜厚均一性が高い有機エレクトロニクスデバイスの製造方法、及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することを課題とする。特に、有機エレクトロニクス層をその端部まで均一な厚さで成膜できる有機エレクトロニクスデバイスの製造方法、及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様による有機エレクトロニクスデバイスの製造方法は、有機エレクトロニクス層を形成するインクに含まれる溶媒に対して撥液性を示す撥液性部と、該溶媒に対して親液性を示す親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を作製する工程と、ブランケット上に前記インクを塗布して有機エレクトロニクス層を形成する工程と、前記パターン付き基板に前記有機エレクトロニクス層を接触させて、前記親液性部に前記有機エレクトロニクス層を転写する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様による有機エレクトロニクスデバイスの製造方法は、前記撥液性部を、四フッ化炭素ガスでプラズマ処理することにより形成することを特徴とする。
本発明の一態様による有機エレクトロニクスデバイスの製造方法は、前記撥液性部を、フッ素樹脂を含有するレジストによるパターニングを行うことにより形成することを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様による有機エレクトロニクスデバイスは、前記本発明の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低粘度のインクを用いた印刷において、高精細なパターン印刷の再現性に優れ、かつ、有機エレクトロニクス層の膜厚均一性が高く、特に有機エレクトロニクス層をその端部まで均一な厚さで成膜できる有機エレクトロニクスデバイスの製造方法、及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】パターン付き基板の一実施形態例を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)中のA−A線に沿う断面図である。
【図2】ブランケット上に有機エレクトロニクス層(有機EL層)を形成する方法の一実施形態例を説明するための断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、ブランケット上に形成された有機エレクトロニクス層(有機EL層)をパターン付き基板に転写する方法の一実施形態例を説明するための断面図である。
【図4】図3(b)の一部を拡大した断面図である。
【図5】開口部周辺における、有機EL層の膜形状を示す断面図であり、図5(a)は本発明、図5(b)はインクジェット法、図5(c)はスピンコート法によりそれぞれ形成された有機EL層の膜形状を示す断面図である。
【図6】本実施例においてフォトリソグラフィ法により得られた、隔壁と該隔壁に囲まれた開口部とからなるパターンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<有機エレクトロニクスデバイスの製造方法>
本発明の一実施形態による有機エレクトロニクスデバイスの製造方法は、有機エレクトロニクス層を形成するインクに含まれる溶媒に対して撥液性を示す撥液性部と、該溶媒に対して親液性を示す親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を作製する工程(以下「パターン付き基板作製工程」という。)と、ブランケット上に前記インクを塗布して有機エレクトロニクス層を形成する工程(以下「有機エレクトロニクス層形成工程」という。)と、前記パターン付き基板に前記有機エレクトロニクス層を接触させて、前記親液性部に前記有機エレクトロニクス層を転写する工程(以下「転写工程」という。)とを有する。
本実施形態は、有機薄膜トランジスタ(TFT)等の有機トランジスタ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、有機ELディスプレイ等の有機エレクトロニクスデバイスを製造する方法である。
【0022】
(インク)
インクは、有機エレクトロニクス層を構成する材料と溶媒とを含有する。
有機エレクトロニクス層を構成する材料としては、有機トランジスタの場合及び有機ELの場合、それぞれ以下に示すものが挙げられる。
有機トランジスタの場合、半導体材料としてペンタセン、ナフタセン、チフェンオリゴマー、ペリレン、α−セキシフェニル又はその誘導体、ナフタレン、アントラセン、ルブレン又はその誘導体、コロネン又はその誘導体、金属含有/非含有フタロシアニン又はその誘導体などの低分子半導体;チオフェンやフルオレンをベースとしたポリアルキルチオフェン、ポリアルキルフルオレン又はその誘導体などの高分子半導体が挙げられる。
有機ELの場合、発光材料として低分子材料、高分子材料のいずれも用いることができる。高分子材料は、溶媒に溶解又は安定に分散でき、インクとしての安定性が良好であることから好ましい。近年ではインクとして塗布可能な低分子材料もある。これまで低分子材料を真空蒸着法で成膜するのが主流であったが、高分子材料を用いることで、大気圧下での成膜が可能となり、設備コストが安いという利点もある。発光材料として具体的には、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に低分子の蛍光色素を溶解させたもの;ポリフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリアルキルフルオレン誘導体(PAF)等の高分子蛍光体などが挙げられる。なかでも、リン光発光性の高分子材料は発光効率が高いことから好ましい。
溶媒としては、水、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール、メシチレン、メトキシトルエン、アミルベンゼン、テトラリン、ジメチルテトラリン、ジメトキシベンゼン、フェニルシクロヘキサン等が挙げられる。
インク中の有機エレクトロニクス層を構成する材料の含有量は、溶媒に対する溶解性又は分散性が良好であることから、インクの総質量に対して0.3〜2.5質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。
【0023】
以下、本発明の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法の一実施形態として、有機ELディスプレイの製造方法について説明する。
【0024】
[パターン付き基板作製工程]
本工程では、有機エレクトロニクス層を形成するインクに含まれる溶媒に対して撥液性を示す撥液性部と、該溶媒に対して親液性を示す親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を作製する。
図1は、パターン付き基板の一実施形態例を示し、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)中のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態のパターン付き基板10は、基板13と、基板13の一方の面に積層された透明電極14と、透明電極14上に形成された隔壁12とを有する。パターン付き基板10には、隔壁12と隔壁12で囲まれた開口部11がそれぞれ表面処理されて、撥液性部12aと親液性部11aとからなる格子状のパターンが形成されている。親液性部11aは発光画素部分となる。
【0025】
パターン付き基板10は、たとえば以下のようにして作製することができる。
基板13上に、透明電極用材料を真空蒸着法又はパターニングにより成膜して透明電極14を積層する。
基板13としては、ガラス基板、フレキシブルなフィルム状基板が挙げられる。基板13の厚さは0.02〜1mm(ミリメートル)程度が好ましい。
透明電極14は、基板13側から光を取り出す場合には金属酸化膜(ITO)等が用いられ、基板13と反対側から光を取り出す場合には反射率の高い金属電極等が用いられる。
透明電極14が積層された基板13としては、パッシブ駆動の、電気信号の入出力用の配線パターンを有するもの等を用いることができる。
【0026】
次いで、透明電極14上に、レジストを用いて格子状のパターンを描くようにパターニングを行う。これにより、隔壁12と隔壁12で囲まれた開口部11とが格子状に形成される。
レジストとしては、ポリイミド系、ノボラック系、アクリル系等の通常用いられる高分子レジストを用いることができ、ポジ型のレジストでも、ネガ型のレジストでもよい。
隔壁12の高さは、5μm(マイクロメートル)以下とすることが好ましい。
【0027】
その後、開口部11と隔壁12とをそれぞれ表面処理することにより、開口部11表面が上記インクに含まれる溶媒に対して親液性を示す親液性部11aとなり、隔壁12表面が該溶媒に対して撥液性を示す撥液性部12aとなるパターン付き基板10が作製される。
【0028】
本発明において「溶媒に対して親液性を示す」とは、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、製品名:Face Contact Angle Meter モデルCA−D)により測定される、上記インクに含まれる溶媒に対する接触角が20°(度)以下であることを意味する。
また、「溶媒に対して撥液性を示す」とは、前記接触角測定装置により測定される、上記インクに含まれる溶媒に対する接触角が50°以上であることを意味する。上記インクに含まれる溶媒が特にトルエン、キシレン、アニソール等の芳香族化合物の場合、転写される有機エレクトロニクス層の膜厚均一性が高まることから、撥液性部12aの該溶媒に対する接触角を70°以上とすることが好ましい。
【0029】
開口部11を表面処理して親液性部11aを形成する方法としては、酸素プラズマ処理、紫外線/オゾン洗浄などが挙げられる。
【0030】
隔壁12を表面処理して撥液性部12aを形成する方法としては、スプレーコート、カーテンコート、ダイコート、ディップコートなどの一般的なコーティング方法により撥液性材料を隔壁12表面に塗布する方法が挙げられる。
なかでも簡便な方法であることから、スプレーコート、ディップコートにより撥液性材料を隔壁12表面に塗布する方法が好ましい。ただし、これらの方法を用いる場合、開口部11又は親液性部11aに撥液性材料が付着しないようにするため、開口部11又は親液性部11aにレジストを塗布し、形成される該レジストの膜表面に撥液性材料層を形成した後、該レジストの膜を現像により除去することが好ましい。
撥液性材料としては、フッ素樹脂、シリコーン系材料(シリコーン樹脂など)を溶媒に溶解又は分散したもの等が挙げられる。
【0031】
また、隔壁12を表面処理して撥液性部12aを形成する方法としては、簡便な方法であることから、四フッ化炭素ガスでプラズマ処理する方法が好ましい。四フッ化炭素ガスを用いると、樹脂部分のみをフッ素化することができて、隔壁12表面に撥液性を付与することができる。
【0032】
親液性部11aと撥液性部12aとを形成する方法としては、より簡便なことから、透明電極14上に開口部11と隔壁12とを格子状に形成した後、酸素プラズマ処理、又は紫外線/オゾン洗浄の少なくとも一方を行うことにより開口部11に親液性を付与し、その後、四フッ化炭素ガスでプラズマ処理することにより隔壁12表面に撥液性を付与する方法が好ましい。
なお、隔壁12表面に撥液性を付与した後、開口部11に親液性を付与することもできる。酸素プラズマ処理、又は紫外線/オゾン洗浄の影響で、隔壁12表面への撥液性付与の効果が低減する場合がある。その場合、隔壁12表面を加熱処理することにより撥液性が高まる。
【0033】
[有機エレクトロニクス層形成工程]
本工程では、ブランケット上に前記インクを塗布して有機エレクトロニクス層を形成する。
図2は、ブランケット上に有機エレクトロニクス層(有機EL層)を形成する方法の一実施形態例を説明するための断面図である。
本実施形態の方法では、ごく簡単な円圧式の印刷機20が用いられている。印刷機20は、回転軸を中心に回転するブランケット胴21と、ブランケット胴21表面の一部に固定されたブランケット22と、ブランケット22にインクを供給するインク吐出口23とを備えている。
ブランケット胴21としては、金属製又は樹脂製の硬質ロール、適度な弾力性を有する硬質ロール等が用いられる。
ブランケット22には、インクに含まれる溶媒(特にトルエン、キシレン、アニソール等の芳香族化合物)に対する溶媒耐性が要求される。
ブランケット22の素材としては、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム等のゴム;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール等の合成樹脂、又はこれらの合成樹脂を構成する繰返し単位の2種以上を有する共重合体;セルロース等の天然高分子、フッ素樹脂などを用いることができる。なかでも、パターン付き基板10への転写の際における剥離性が良好であることから、ゴム、フッ素樹脂が好ましい。ゴムのなかでもシリコーンゴムが特に好ましい。
【0034】
本実施形態によれば、ブランケット胴21が回転軸を中心に矢印方向に回転しながら、インク吐出口23からブランケット22上にインクが供給される。そして、ブランケット22全面に供給されたインクは、ブランケット22上で流動しない程度まで乾燥されて、ブランケット22全面を覆う有機EL層30が均一な厚さで成膜される。
この乾燥条件は、インク組成、転写条件(印圧、印刷速度、湿度等)などによって適宜決定すればよい。たとえばインクに含まれる溶媒の種類に応じて、以下に示す乾燥温度、乾燥時間とすることが好ましい。ただし、以下に示す各溶媒における乾燥温度、乾燥時間は、インクに含まれる有機EL層30を構成する材料の種類、溶媒として混合溶媒を用いる場合などによって制御される。
(A群)
乾燥温度:トルエン110℃、キシレン138℃、エチルベンゼン136℃
乾燥時間:前記の各乾燥温度で5〜10秒間程度
(B群)
乾燥温度:アニソール154℃、メシチレン165℃、メトキシトルエン174℃
乾燥時間:前記の各乾燥温度で10〜30秒間程度
(C群)
乾燥温度:アミルベンゼン205℃、テトラリン207℃、ジメトキシベンゼン207℃、フェニルシクロヘキサン240℃
乾燥時間:前記の各乾燥温度で30秒から数分間程度
【0035】
ブランケット22上へのインクの供給量は、設定される有機EL層30の膜厚に応じて適宜決定すればよい。
【0036】
[転写工程]
本工程では、前記パターン付き基板に、前記ブランケット上に形成された有機エレクトロニクス層を接触させて、前記親液性部に前記有機エレクトロニクス層を転写する。
図3(a)〜(c)は、ブランケット上に形成された有機エレクトロニクス層(有機EL層)をパターン付き基板に転写する方法の一実施形態例を説明するための断面図である。
【0037】
本実施形態においては、移動定盤40上に載せられたパターン付き基板10と印刷機20とが所定の位置に配置されている(図3(a))。
設定された印刷速度等に対応する速度で、ブランケット胴21は回転軸を中心に矢印方向に回転し、パターン付き基板10は矢印方向に進む。
その際、撥液性部12aと親液性部11aに、有機EL層30が接触する(図3(b))。
図4は、図3(b)の一部を拡大した断面図である。
撥液性部12aと親液性部11aに有機EL層30が接触することにより、有機EL層30は、撥液性部12aには転写されず、親液性部11aには転写される。
このようにして、ブランケット22上に形成された有機EL層30が、パターン付き基板10の親液性部11aのみに転写される(図3(c))。
【0038】
次に、乾燥等を行うことにより、転写後の有機EL層30に残留する溶媒を除去する。
次いで、真空蒸着法又はパターニングによって、有機EL層30上にカルシウム層、アルミニウム層などを積層して陰極を形成する。
その後、封止等することにより有機ELディスプレイが製造される。
【0039】
(作用効果)
図1〜4に示す本実施形態の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法においては、基板13側にパターンが形成されていることにより、パターン位置が常に一定である。そのため、ブランケット22側には、ブランケット22全面に有機EL層30を成膜するだけでよく、基板13側に転写する際、有機EL層30の転写位置を気にする必要がなく、高精細なパターン印刷を再現性良く行うことができる。加えて、収率やスループットの面で有利に有機EL素子を生産することができる。
また、本実施形態の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法においては、いったんブランケット22上に有機EL層30が形成される。これにより、低粘度のインクでも安定に成膜することができる。さらに、ブランケット22上に所定の膜厚で形成された有機EL層30を基板13側に転写するため、有機EL層30の膜厚均一性が高い。加えて、撥液性部12aと親液性部11aとを有するパターンが形成されたパターン付き基板10が用いられていることにより、親液性部11aのみに有機EL層30が転写され、開口部11周辺(有機EL層30端部)まで均一な厚さで有機EL層30を成膜することができる。これにより、有機EL素子が画素全面で均一な発光を示すようになる。
【0040】
図5は、開口部周辺における、有機EL層の膜形状を示す断面図である。
図5(a)は本発明、図5(b)はインクジェット法、図5(c)はスピンコート法によりそれぞれ形成された有機EL層の膜形状を示している。
図5(a)においては、開口部周辺(隔壁12との界面)まで均一な膜厚の有機EL層30が形成されている。これは、いったんブランケット22上に所定の膜厚で形成された有機EL層30が基板13側に転写されること、また、ブランケット22上の有機EL層30は、ブランケット22上で流動しない程度まで乾燥され、適度に溶媒を含んでいるため、親液性部11aとの親和力により容易にブランケット22から剥離し得ることに因る。
図5(b)においては、開口部周辺が薄膜化している。これは、撥液性部12aとインクとの親和性が低くなっていることにより、インク表面が開口部中央側へ偏りやすいためである。
図5(c)においては、開口部周辺が厚膜化している。これは、低粘度のインクが開口部に流入すると、隔壁12の開口部側の面にインクが付着し、表面張力により曲率を持ったメニスカス構造が形成されるためである。
【0041】
本発明の製造方法には、有機エレクトロニクス材料全般を用いることができる。
特に、親液性部11aに有機EL層30が転写される本実施形態の製造方法は、有機EL層30自体が親液性を有する層となることから、有機材料を積層する場合に適している。
【0042】
本発明の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法は、図1に示す実施形態に限らず、格子状以外のパターン構造が形成されたパターン付き基板を用いてもよい。
また、図1に示す実施形態において、隔壁12を親液性部とし、開口部11を撥液性部としてもよい。
また、パターン付き基板作製工程で、透明電極14上に隔壁12と隔壁12で囲まれた開口部11とを形成(パターン構造を形成)する方法として、樹脂を用いたパターン印刷法等を用いることもできる。
また、撥液性部を形成する方法としては、上記レジストにフッ素樹脂、シリコーン系材料(シリコーン樹脂など)を加えた材料を用いてパターニングを行うことにより隔壁を形成する方法も好ましい。なかでも、フッ素樹脂を含有するレジストによるパターニングを行う方法が特に好ましい。この場合、形成される隔壁は、その表面のみならず隔壁全体が上記インクに含まれる溶媒に対して撥液性を示すため、パターン欠陥の少ない印刷物が得られやすい。該フッ素樹脂としては、フッ素系エラストマー、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ六フッ化ビニリデン、又はこれらの重合体を構成する繰返し単位の2種以上を有する共重合体が挙げられる。
また、隔壁を設けていない、撥液性部と親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を用いることもできる。この場合、ブランケット上に形成される有機エレクトロニクス層の乾燥状態を制御することにより、有機エレクトロニクス層の転写を良好に行うことができる。
また、前述した各工程の前後にその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、パターン付き基板作製工程と有機エレクトロニクス層形成工程との間に設けられる正孔輸送層形成工程などが挙げられる。
【0043】
本発明の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法の他の実施形態として、有機薄膜トランジスタ(TFT)を以下のようにして製造する方法が挙げられる。
基板上にゲート電極を形成し、その全面にゲート絶縁膜を積層し、このゲート絶縁膜上部に、有機半導体層を構成する材料と溶媒とを含有するインクを用い、前述したパターン付き基板作製工程、有機エレクトロニクス層形成工程及び転写工程と同様にして有機半導体層を形成し、その後にソース電極及びドレイン電極を所定のチャネル間隔にて形成することによりTFTが製造される。
【0044】
なお、有機エレクトロニクス層を基板側にパターン状に転写する必要がない場合、有機エレクトロニクス層が転写される面の全面を親液性部とした支持体(基板と透明電極との積層体)を用いることによって、該親液性部に、ブランケット上に形成された有機エレクトロニクス層を全面転写することができる。この方法により、該支持体周辺まで均一な膜厚の有機エレクトロニクス層を形成できる。
【0045】
<有機エレクトロニクスデバイス>
本発明の一実施形態による有機エレクトロニクスデバイスは、前記本発明の一実施形態による有機エレクトロニクスデバイスの製造方法により製造されたものである。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
・有機発光層用インク(X)の調製
有機EL層を構成する発光材料として、下記化学式(1)で表されるポリ(パラフェニレンビニレン)誘導体からなる高分子蛍光体を用いた。式中のnは繰返し数を表す。
溶媒として、キシレンとアニソールとの質量比で1:1の混合溶媒を用いた。
前記高分子蛍光体を前記混合溶媒に溶解することにより、高分子蛍光体濃度が0.6質量%の有機発光層用インク(X)を調製した。
【0047】
【化1】

【0048】
・印刷機
印刷機は、図2に示す印刷機20と略同一の実施形態のものを用いた。
印刷機として具体的には、ロール部(ブランケット胴)と、該ロール部表面の一部に固定された印刷用ブランケットと、該印刷用ブランケットに有機発光層用インク(X)を供給するエアー押し出し方式のスリットダイ(スリット幅30μm)とを備えた印刷テスト機を用いた。
印刷用ブランケットは、2液型シリコーンゴム(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)を、長さ150mm、幅100mm、厚さ5mmに成形したものを用い、ロール部に巻きつけ、両面テープで固定した。
【0049】
(実施例1)
[パターン付き基板作製工程]
100mm角、厚さ0.7mmのガラス基板上に、表面抵抗率15ΩのITO膜を回路パターン状に成膜した透明電極作製用基材(ジオマテック(株)製)のITO膜側に、ポジ型感光性ポリイミドDL1000(東レ株式会社製)を、フォトリソグラフィ法により厚さ3μmでパターン成膜した。
【0050】
図6は、本実施例においてフォトリソグラフィ法により得られた、隔壁と該隔壁に囲まれた開口部とからなるパターンの平面図である。
隔壁12の高さ3μm、1つの開口部11のサイズは縦108μm、横76μmであった。このサイズの開口部11が、縦ピッチ318μm(平面図中の縦方向の矢印)、横ピッチ106μm(平面図中の横方向の矢印)で、縦50個、横150個配列した、擬似的なパッシブ型ディスプレイ構造を作製した。
【0051】
次に、ITO表面を酸素プラズマで3分間処理することにより親液性を付与した。その後、四フッ化炭素ガスでプラズマ処理することにより、前記隔壁表面に撥液性を付与した。
この時点での隔壁表面の接触角は、キシレンに対する接触角で86°であった。開口部表面の接触角は、キシレンに対する接触角で11°であった。接触角は、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、製品名:Face Contact Angle Meter モデルCA−D)を用いて測定した。
以上により、撥液性部と親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を作製した(得られたパターン付き基板は、図1に示す実施形態と略同一である)。
【0052】
[有機エレクトロニクス層形成工程]
ロール部を、回転軸を中心に回転させながら、スリットダイから印刷用ブランケット全面に有機発光層用インク(X)を供給した。次いで、25℃で15秒間、印刷用ブランケット全面に供給された有機発光層用インク(X)を、印刷用ブランケット上で流動しない程度まで乾燥し、印刷用ブランケット全面を覆う有機EL層を均一な厚さ(53nm)で成膜した。
【0053】
[転写工程]
図3(a)〜(c)に示す実施形態と略同一の実施形態により転写を行った。具体的には、移動定盤上に載せたパターン付き基板と、印刷用ブランケット上に有機EL層が形成された印刷機とを所定の位置に配置し、前の工程における乾燥処理15秒間が経過した時点から、パターン付き基板に、印刷用ブランケット上に形成された有機EL層を接触させ始めて転写した。この結果、パターン付き基板の親液性部のみに有機EL層が転写された。
【0054】
次に、有機EL層が転写されたパターン付き基板を、100℃の真空オーブンにて2時間乾燥し、転写後の有機EL層に残留する溶媒を除去した。
次いで、パターン付き基板を真空蒸着機(ULVAC社製)に入れ、カルシウム層7nm、アルミニウム層80nmを順次積層して陰極を形成して、複数の有機EL素子からなる有機ELディスプレイを得た。
【0055】
(実施例2)
実施例1と同様にして、撥液性部と親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を作製した。
【0056】
次に、得られたパターン付き基板に、インクジェット法により、下記化学式(2)で表されるポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を膜厚50nmで成膜して正孔輸送層を形成した。
次いで、このPEDOT/PSS薄膜を、減圧下、180℃で1時間乾燥した。
【0057】
【化2】

【0058】
その後、実施例1と同様にして、[有機エレクトロニクス層形成工程]、[転写工程]、乾燥、陰極の形成をそれぞれ行うことにより、複数の有機EL素子からなる有機ELディスプレイを得た。
【0059】
(比較例1)
前記化学式(1)で表されるポリ(パラフェニレンビニレン)誘導体からなる高分子蛍光体をシクロヘキシルベンゼンに溶解することにより、高分子蛍光体濃度が1.5質量%の有機発光層用インク(Y)を調製した。
実施例2において、インクジェット法により正孔輸送層を形成した後、有機発光層用インク(Y)もインクジェット法により成膜して有機EL層を形成した。
次に、ホットプレート100℃にて10分間乾燥し、続けて100℃の真空オーブンにて2時間乾燥し、有機EL層に残留する溶媒を除去した。
次いで、実施例1と同様にして陰極を形成して、複数の有機EL素子からなる有機ELディスプレイを得た。
【0060】
<評価結果>
実施例1では、転写の際、厳密な位置合わせが不要であり、高精細なパターン印刷の再現性に優れていた。
実施例1の製造方法により製造された有機ELディスプレイに、ITO膜を介して電圧を印加して発光状態の確認を行ったところ、画素内の膜厚分布は48nm±8nmであった。この結果より、膜厚均一性の高いこと、有機EL層端部まで厚さが均一であることが確認できた。
また、画素全面で均一な発光を示した。発光の輝度は10Vにて30cd/mであった。
【0061】
実施例2では、転写の際、厳密な位置合わせが不要であり、高精細なパターン印刷の再現性に優れていた。
実施例2の製造方法により製造された有機ELディスプレイに、ITO膜を介して電圧を印加して発光状態の確認を行ったところ、画素内の膜厚分布は45nm±9nmであった。この結果より、膜厚均一性の高いこと、有機EL層端部まで厚さが均一であることが確認できた。加えて、有機材料(PEDOT/PSS)が親液層として画素内に成膜されている場合でも印刷性に影響は無く、均一な膜厚で有機EL層を形成できることも確認できた。
また、画素全面で均一な発光を示した。実施例2では正孔輸送層を導入したため、実施例1の場合よりも輝度が向上し、発光の輝度は10Vにて150cd/mであった。
【0062】
比較例1では、インクジェット法を用いているため、塗布ムラが生じ、高精細なパターン印刷の再現性に劣っていた。
比較例1の製造方法により製造された有機ELディスプレイに、ITO膜を介して電圧を印加して発光状態の確認を行ったところ、画素内の膜厚分布は50nm±22nmであり、画素中央部が厚くて膜厚が70nm程度、画素周辺部の膜厚が30nm以下となり、凸形状をしていた。
また、電流の流れやすい画素周辺部分が強く発光し、不均一な発光となった。さらに、画素周辺部分が薄いため、ショートを引き起こし、発光をしない画素も多くみられた。
【符号の説明】
【0063】
10 パターン付き基板
11 開口部
11a 親液性部
12 隔壁
12a 撥液性部
13 基板
14 透明電極
20 印刷機
21 ブランケット胴
22 ブランケット
23 インク吐出口
30 有機EL層
40 移動定盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロニクス層を形成するインクに含まれる溶媒に対して撥液性を示す撥液性部と、該溶媒に対して親液性を示す親液性部とを有するパターンが形成されたパターン付き基板を作製する工程と、
ブランケット上に前記インクを塗布して有機エレクトロニクス層を形成する工程と、
前記パターン付き基板に前記有機エレクトロニクス層を接触させて、前記親液性部に前記有機エレクトロニクス層を転写する工程と
を有することを特徴とする有機エレクトロニクスデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記撥液性部を、四フッ化炭素ガスでプラズマ処理することにより形成することを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記撥液性部を、フッ素樹脂を含有するレジストによるパターニングを行うことにより形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロニクスデバイスの製造方法により製造されたことを特徴とする有機エレクトロニクスデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146444(P2012−146444A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2974(P2011−2974)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】