説明

有機エレクトロルミネッセンス素子材料および有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】従来よりも高効率、長寿命で、かつ、点灯初期の輝度の低下が緩やかな有機EL素子用材料、更には低電圧駆動、長寿命、耐熱性などに優れた有機EL素子を提供する。
【解決手段】下記一般式[1]で表される有機エレクトロルミネッセンス素子材料。一般式[1]


[式中、Z1はS、OまたはN−R3を表す。R1〜R3は水素原子、アルキル基、アリール基等の置換基を表す。Ar1およびAr2は2価のアリール基、または2価の複素環基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面光源や表示に使用される有機エレクトロルミネッセンス素子材料およびこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極から注入された電子と、陽極から注入された正孔とが、これら両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光する有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)素子は、固体発光型の表示素子としての用途が有望視され、近年活発に研究開発が行われている。
【0003】
この研究は、イーストマン・コダック社のC.W.Tang氏らにより有機薄膜を積層したEL素子に端を発しており、この報告では、金属キレート錯体を発光層、アミン系化合物を正孔注入層に使用することで、6〜10Vの直流電圧での輝度が数1000(cd/m2)、最大発光効率が1.5(lm/W)の緑色発光を得ている(非特許文献1)。現在、様々な研究機関でフルカラーディスプレイの実用化に向けて、有機EL素子の高効率化、高耐久化の研究が進められており、有機EL素子材料としてさまざまな構造の材料が検討されている。
【0004】
有機EL素子は、これまで様々な材料を用いた素子の研究が進められており、オレフィン化合物を用いた有機EL素子の検討も行われてきた。オレフィン化合物が蛍光色素として有用であることは、有機EL素子が見出される以前から広く知られていた(特許文献1)。現在有機EL素子材料として代表的なものは、主に炭素と水素とからなる、中心にベンゼン環あるいは縮合ベンゼン環を有するπ共役系オレフィン化合物が挙げられる(特許文献2〜3)。しかし、このような材料を有機EL素子に用いた場合、発光効率は高いが発光寿命が短いという問題点があった。
【0005】
また、ヘテロ原子を含む化合物、特に複素五員環化合物を用いた有機EL素子の検討も行われている。たとえば、チオフェン誘導体(特許文献4〜7)、フラン誘導体(特許文献8〜10)、ピロール誘導体(特許文献11〜16)などでの検討が行われている。このような材料を有機EL素子に用いた場合、発光寿命が改善するという報告がなされている。
【0006】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.,第51巻,913頁,1987年
【特許文献1】米国特許第3697513号
【特許文献2】特開2000-53676号公報
【特許文献3】特開2000-53677号公報
【特許文献4】特開平4−304466号広報
【特許文献5】特開2000−26451号広報
【特許文献6】特開2005−63679号広報
【特許文献7】特開2003−13054号広報
【特許文献8】特開平10−125468号広報
【特許文献9】特開平10−152676号広報
【特許文献10】特開平11−111460号広報
【特許文献11】特開2000-260567号公報
【特許文献12】特開2003-129044号公報
【特許文献13】特開2004-075980号公報
【特許文献14】特開2004-311410号公報
【特許文献15】特開2004-311412号公報
【特許文献16】特開2004-335427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、有機ELの性能向上のために、従来の技術に述べた材料を用いた有機EL素子よりも、高効率を示し、また、長寿命で、かつ、点灯初期の輝度の低下が緩やかな、有機EL素子用材料および有機EL素子を提供することである。更には、低電圧駆動、長寿命、耐熱性などの優れた特性を示す有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、以上の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。すなわち本発明は、下記一般式[1]で表される有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に関する。
【0009】
一般式[1]
【化1】

【0010】
[式中、Z1はS、OまたはN−R3を表す。R1〜R3は水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換もしくは未置換の2価のアリール基、または置換もしくは未置換の2価の複素環基を表す。
1は水素原子または下記一般式[2]で表される基を表し、W2は下記一般式[2]で表される基を表す。]
【0011】
一般式[2]
【化2】

【0012】
[式中、Y1およびY2はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
Ar3およびAr4はそれぞれ独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ただし、Ar3とAr4とが結合し環を形成してもよい。]
【0013】
また、本発明は、一般式[2]が下記一般式[3]〜[6]で表される基のいずれかである上記有機エレクトロルミネッセンス素子材料に関する。
【0014】
一般式[3]
【化3】

【0015】
[式中、Y3およびY4はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
4〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
【0016】
一般式[4]
【化4】

【0017】
[式中、Y5およびY6はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
12〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
【0018】
一般式[5]
【化5】

【0019】
[式中、Y7およびY8はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
18〜R21はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
【0020】
一般式[6]
【化6】

【0021】
[式中、Y9およびY10はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
2、Z3はそれぞれ独立に、S、OまたはN−R26を表す。
22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
【0022】
また、本発明は、一対の電極間に発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が上記有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0023】
また、本発明は、一対の電極間に発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層が上記有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0024】
また、本発明は、発光層が更にりん光発光材料を含んでなる上記有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の化合物を有機EL素子用材料として用いた有機EL素子は、低い電圧で駆動し、かつ、長寿命であるため、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや平面発光体として好適に使用することができ、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、詳細にわたって本発明を説明する。
【0027】
一般式[1]における、R1〜R3は水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表す。
【0028】
ここで示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
【0029】
また、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基が挙げられる。
【0030】
また、アリール基としては、1価の単環、縮合環、環集合炭化水素基が挙げられる。ここで、1価の単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の炭素数6〜18の1価の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0031】
また、1価の縮合環炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の炭素数10〜18の1価の縮合環炭化水素基が挙げられる。
【0032】
また、1価の環集合炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の炭素数12〜18の1価の環集合炭化水素基が挙げられる。
【0033】
また、複素環基としては、脂肪族複素環基、芳香族複素環基が挙げられる。ここで、脂肪族複素環基としては、2−ピラゾリノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基といった炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基が挙げられる。
【0034】
また、1価の芳香族複素環基としては、トリアゾリル基、3−オキサジアゾリル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、3−ピラゾリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、N−インドリル基、N−カルバゾリル基、N−アクリジニル基、2−チオフェニル基、3−チオフェニル基、ビピリジル基、フェナントロリル基といった炭素数2〜18の1価の芳香族複素環基が挙げられる。
【0035】
これらR1〜R3における、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、または複素環基は、さらに他の置換基によって置換されていても良い。そのような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシル基、アリ−ルオキシ基、アルキルチオ基、アリ−ルチオ基、置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ−ルスルホニル基等が挙げられる。
【0036】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0037】
また、アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基といった炭素数1〜8のアルコキシル基が挙げられる。
【0038】
また、アリ−ルオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基といった炭素数6〜14のアリ−ルオキシ基が挙げられる。
【0039】
また、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基といった炭素数1〜8のアルキルチオ基が挙げられる。
【0040】
また、アリ−ルチオ基としては、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基といった炭素数6〜14のアリ−ルチオ基が挙げられる。
【0041】
また、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜26の置換アミノ基が挙げられる。
【0042】
また、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜14のアシル基が挙げられる。
【0043】
また、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0044】
また、アリ−ルオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0045】
また、アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基等の炭素数2〜14のアルキルスルホニル基が挙げられる。
【0046】
また、アリ−ルスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の炭素数2〜14のアリ−ルスルホニル基が挙げられる。
【0047】
次に、一般式[1]における、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換もしくは未置換の2価のアリール基、または置換もしくは未置換の2価の複素環基を表す。
【0048】
ここで、2価のアリール基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントレニレン基、フルオレニレン基、テトラセニレン基、ペンタセニレン基、ペリレニレン基等が挙げられる。
【0049】
また、2価の複素環基としては、チエニレン基、ピロリレン基、フリレン基、ピリジレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、フェナントロリニレン基、ベンゾチエニレン基、ベンゾフリレン基、インドリレン基等が挙げられる。
【0050】
また、Ar1およびAr2が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0051】
次に、一般式[2]における、Y1およびY2はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0052】
また、Y1およびY2が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0053】
次に、一般式[2]における、Ar3およびAr4はそれぞれ独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0054】
また、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
【0055】
また、Ar3およびAr4が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0056】
また、Ar3とAr4とが結合し新たな環を形成する場合の基としては、ピロリル基、インドリル基、チエノピロリル基、フロピロリル基、ジピロリル基、カルバゾリル基、ジチエノピロリル基、トリピロリル基、ジフロピロリル基、チエノフロピロリル基、チエノジピロリル基、フロジピロリル基、ホスホリル基、ホスフィンドリル基、ホスホロチエニル基、ホスホロピロリル基、ホスホロフラニル基、ベンゾホスフィンドリル基、チエノホスホロチエニル基、ピローロホスホロピロリル基、フロホスホロフラニル基、フロホスホロピロリル基、チエノホスホロピロリル基、チエノホスホロフラニル基等が挙げられる。
【0057】
また、Ar3とAr4とが結合し形成される環は置換基を有してもよく、ここで示す置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0058】
次に、一般式[3]における、Y3およびY4はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0059】
また、Y3およびY4が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0060】
次に、一般式[3]における、R4〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0061】
また、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0062】
また、置換アミノ基としては、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−フェニル−N−メチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ビス(m−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−トリル)アミノ基、N,N−ビス(p−ビフェニリル)アミノ基、ビス[4−(4−メチル)ビフェニリル]アミノ基、N−α−ナフチル−N−フェニルアミノ基、N−β−ナフチル−N−フェニルアミノ基等の炭素数2〜26の置換アミノ基が挙げられる。
【0063】
また、R4〜R11が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0064】
次に、一般式[4]における、Y5およびY6はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0065】
また、Y5およびY6が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0066】
次に、一般式[4]における、R12〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すハロゲン原子、置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R4〜R11におけるハロゲン原子、置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0067】
また、R12〜R17が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0068】
次に、一般式[5]における、Y7およびY8はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0069】
また、Y7およびY8が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0070】
次に、一般式[5]における、R18〜R21はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すハロゲン原子、置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R4〜R11におけるハロゲン原子、置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0071】
また、R18〜R21が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0072】
次に、一般式[6]における、Y9およびY10はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R1〜R3におけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0073】
また、Y9およびY10が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0074】
次に、一般式[6]における、R22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ここで示すハロゲン原子、置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基としては、それぞれ、R4〜R11におけるハロゲン原子、置換アミノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、および、複素環基と同義である。
【0075】
また、R22〜R26が有してもよい置換基としては、R1〜R3が有してもよい置換基と同義である。
【0076】
一般式[1]中のR1、R2として、好ましいものとしては、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、水素原子、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられ、特に好ましいものとしては、水素原子、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられる。
【0077】
一般式[1]中のR3として、好ましいものとしては、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられ、特に好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられる。
【0078】
一般式[1]中のAr1、Ar2として、好ましいものとしては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントレニレン基、チエニレン基、ピロリレン基、フリレン基、ピリジレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、フェナントロリニレン基、ベンゾチエニレン基、ベンゾフリレン基、インドリレン基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、フェニレン基、ナフチレン基、チエニレン基、ピロリレン基、フリレン基、ベンゾチエニレン基、ベンゾフリレン基、インドリレン基が挙げられ、特に好ましいものとしては、フェニレン基、チエニレン基、ピロリレン基、フリレン基が挙げられる。
【0079】
一般式[2]中Ar3、Ar4として、好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が好ましく、さらに好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられ、特に好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられる。
【0080】
一般式[3]〜[6]中のR4〜R25として、好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられ、特に好ましいものとしては、水素原子、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基が挙げられる。
【0081】
一般式[6]中のR26として、好ましいものとしては、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられ、特に好ましいものとしては、置換もしくは未置換のアリール基が挙げられる。
【0082】
一般式[2]〜[6]中のY1〜Y10として、好ましいものとしては、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基が挙げられ、さらに好ましいものとしては、水素原子、シアノ基が挙げられ、特に好ましいものとしては、水素原子が挙げられる。
【0083】
以下、表1に本発明の有機EL素子に用いることができる一般式[1]で表される有機EL素子用材料の代表例(例示化合物1〜150)を示すが、本発明は、なんらこれらに限定されるものではない。
【0084】
表1
【表1】

【0085】
【表1】

【0086】
【表1】

【0087】
【表1】

【0088】
【表1】

【0089】
【表1】

【0090】
【表1】

【0091】
【表1】

【0092】
【表1】

【0093】
【表1】

【0094】
【表1】

【0095】
【表1】

【0096】
【表1】

【0097】
【表1】

【0098】
【表1】

【0099】
【表1】

【0100】
【表1】

【0101】
【表1】

【0102】
【表1】

【0103】
【表1】

【0104】
【表1】

【0105】
【表1】

【0106】
【表1】

【0107】
上記一般式[1]で表される有機EL素子材料である化合物群は、公知の方法で得ることができ、例えば、4−ブロモフェナシルブロミドと、4’−ブロモアセトフェノンなどを出発原料として、2〜3段階の反応を経て得ることが出来る(例えば、Synthesis,2000,1259、The Journal of Organic Chemistry,2007,Vol.72,6901−6904、Organic Syntheses,Coll. Vol.10,418、The Journal of Organic Chemistry,2003,Vol.68,5392−5394、Journal of Medicinal Chemistry,Vol44,3838、Organic Letters,1999,Vol.1,No.10,1575−1578、Chemical Physics Letters,2005,403,405−409、Tetrahedron Letters,1997,Vol.38,No.35,6131−6134等に記載)。以下に反応例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0108】
【化7】

【0109】
有機EL素子材料は、特に高純度の材料が要求されるが、このような場合に、本発明の有機EL素子材料は、昇華精製法や再結晶法、再沈殿法、ゾーンメルティング法、カラム精製法、吸着法など、あるいはこれら方法を組み合わせて行うことができる。これら精製法の中でも再結晶法によるのが好ましい。昇華性を有する化合物においては、昇華精製法によることが好ましい。昇華精製においては、目的化合物が昇華する温度より低温で昇華ボートを維持し、昇華する不純物を予め除去する方法を採用するのが好ましい。また昇華物を採集する部分に温度勾配を施し、昇華物が不純物と目的物に分散するようにするのが望ましい。以上のような昇華精製は不純物を分離するような精製であり、本発明に適用しうるものである。また、昇華精製を行うことにより、材料の蒸着性の難易度を予測するのに役立つ。
【0110】
ここで、有機EL素子について詳細に説明する。
【0111】
有機EL素子は、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型有機EL素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指す。一方、多層型有機EL素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。したがって、多層型有機EL素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層した素子構成が考えられる。
【0112】
また、上述した各有機層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良く、いくつかの層が繰り返し積層されていても良い。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述の多層型有機EL素子の一部の層を多層化する「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が提案されている。これは例えば、ガラス基板/陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子注入層/電荷発生層/発光ユニット/陰極から構成される有機EL素子に於いて、電荷発生層と発光ユニットの部分を複数層積層するといった方法が挙げられる。
【0113】
本発明の有機EL素子用材料は、上述したいかなる層に用いても構わないが、特に発光層に好適に使用することができる。また、本発明の有機EL素子用材料は、単一の化合物での使用はもちろんのこと、2種類以上の化合物を組み合わせて、すなわち混合、共蒸着、積層するなどして使用することが可能である。さらに、上述した発光層において、他の材料と共に用いても構わない。
【0114】
正孔注入層には、発光層に対して優れた正孔注入効果を示し、かつ陽極界面との密着性と薄膜形成性に優れた正孔注入層を形成できる正孔注入材料が用いられる。また、このような材料を多層積層させ、正孔注入効果の高い材料と正孔輸送効果の高い材料とを多層積層させた場合、それぞれに用いる材料を正孔注入材料、正孔輸送材料と呼ぶことがある。本発明の有機EL素子用材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも好適に使用することができる。これら正孔注入材料や正孔輸送材料は、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい必要がある。このような正孔注入層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であるものが好ましい。本発明の有機EL素子用材料と混合して使用することができる、他の正孔注入材料および正孔輸送材料としては、上記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0115】
このような正孔注入材料や正孔輸送材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、西独特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等をあげることができる。
【0116】
正孔注入材料や正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)を用いることもできる。例えば、米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル等や、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等をあげることができる。また、正孔注入材料として銅フタロシアニンや水素フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体も挙げられる。さらに、その他、芳香族ジメチリデン系化合物、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入材料や正孔輸送材料として使用することができる。
【0117】
芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−ビフェニリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−ジフェニルアミノ−4−フェニル)−N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン、N,N’−ビス(4’−フェニル(1−ナフチル)アミノ−4−フェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン、N,N’−ビス(4’−フェニル(1−ナフチル)アミノ−4−フェニル)−N,N’−ジ(1−ナフチル)ベンジジン等があげられ、これらは正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも使用することができる。
【0118】
正孔注入材料として、特に好ましい例を表2に示す。
【0119】
表2
【表2】

【0120】
【表2】

【0121】
また、本発明の有機EL素子用材料と共に用いることが出来る正孔輸送材料としては、下記表3に示す化合物も挙げられる。
【0122】
表3
【表3】

【0123】
【表3】

【0124】
上に説明した正孔注入層を形成するには、上述の化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化する。正孔注入層の膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。
【0125】
一方、電子注入層には、発光層に対して優れた電子注入効果を示し、かつ陰極界面との密着性と薄膜形成性に優れた電子注入層を形成できる電子注入材料が用いられる。そのような電子注入材料の例としては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体、カルシウムアセチルアセトナート、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料(高分子学会予稿集,第50巻,4号,660頁,2001年発行)や、第50回応用物理学関連連合講演会講演予稿集、No.3、1402頁、2003年発行記載のBCP、TPP、T5MPyTZ等も電子注入材料の例として挙げられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陰極からの電子を注入できて、電子を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
【0126】
上記電子注入材料の中で好ましいものとしては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体が挙げられる。本発明に使用可能な好ましい金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)クロロアルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、4−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、5−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物の他、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物が挙げられる。
【0127】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体があげられ、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5 −フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert− ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
【0128】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいオキサジアゾール誘導体の具体例を表4に示す。
【0129】
表4
【表4】

【0130】
【表4】

【0131】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいトリアゾール誘導体の具体例を表5に示す。表5中、Phは、フェニル基を表わす。
【0132】
表5
【表5】

【0133】
【表5】

【0134】
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、特に好ましいシロール誘導体としての具体例を、表6に示す。
【0135】
表6
【表6】

【0136】
【表6】

【0137】
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。
【0138】
本発明の有機EL素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよい。
【0139】
本発明の有機EL素子材料は、発光層として好適に用いることが出来る。特に青色発光素子を作成する材料として好適に用いることができる。また、本発明の有機EL素子材料をホスト材料又はドーパント材料に使用して、他の化合物と組み合わせて発光層を形成しても良い。例えば、可視域、特に青色から緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を用いることができる。これら化合物の具体例としては、例えば特開昭59−194393号公報に開示されている化合物をあげることができる。さらに他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971)628〜637頁および640頁に列挙されている。
【0140】
前記金属キレート化オキシノイド化合物としては、例えば、特開昭63−295695号公報に開示されている化合物を用いることができる。その代表例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体や、ジリチウムエピントリジオン等が好適な化合物としてあげることができる。
【0141】
また、前記スチリルベンゼン系化合物としては、例えば、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されているものを用いることができる。そして、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体も、発光層の材料として用いることができる。このほか、欧州特許第0387715号明細書に開示されているポリフェニル系化合物も発光層の材料として用いることができる。
【0142】
さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物およびスチリルベンゼン系化合物等以外に、例えば12−フタロペリノン(J. Appl. Phys.,第27巻,L713(1988年))、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以上Appl. Phys. Lett.,第56巻,L799(1990年))、ナフタルイミド誘導体(特開平2−305886号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報、または第38回応用物理学関係連合講演会で浜田らによって開示されたオキサジアゾール誘導体)、アルダジン誘導体(特開平2−220393号公報)、ピラジリン誘導体(特開平2−220394号公報)、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ピロロピロール誘導体(特開平2−296891号公報)、スチリルアミン誘導体(Appl. Phys. Lett., 第56巻,L799(1990年)、クマリン系化合物(特開平2−191694号公報)、国際特許公報WO90/13148やAppl. Phys. Lett.,vol58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、9,9',10,10’−テトラフェニル−2,2’−ビアントラセン、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)誘導体、ポリフルオレン誘導体やそれら共重合体等、例えば、下記一般式[7]〜一般式[9]の構造をもつものが挙げられる。
【0143】
一般式[7]
【化8】

【0144】
(式中、Rx1およびRX2は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を、n1は、3〜100の整数を表す。)
【0145】
一般式[8]
【化9】

【0146】
(式中、Rx3およびRX4は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を、n2およびn3は、それぞれ独立に、3〜100の整数を表す。)
【0147】
一般式[9]
【化10】

【0148】
(式中、RX5およびRX6は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を、n4およびn5は、それぞれ独立に、3〜100の整数を表す。Phはフェニル基を表す。)
【0149】
また、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2 −Al−O−L3(式中、L3はフェニル部分を含んでなる炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−L3はフェノラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子を示し、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回り結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を示す〕で表される化合物も挙げられる。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
【0150】
白色の発光を得る場合の発光層としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。
有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。
二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。
発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。
青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。
青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
これらの中では、上記の構成のものが特に好ましい。
【0151】
また、本発明の有機EL素子では、リン光発光材料を用いることができる。この場合、本発明の化合物は発光層中のホスト材料として好適に用いることができる。ここでいうリン光発光材料とは、励起三重項状態から基底状態へ遷移する際に発光する化合物を意味する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用できるリン光発光材料は、例えば有機金属錯体があげられ、ここで金属原子は通常、遷移金属であり、好ましくは周期では第5周期または第6周期、族では6族から11族、さらに好ましくは8族から10族の元素が対象となる。具体的にはイリジウムや白金などである。また、配位子としては2−フェニルピリジンや2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジンなどがあり、これらの配位子上の炭素原子が金属と直接結合しているのが特徴である。別の例としてはポルフィリンまたはテトラアザポルフィリン環錯体などがあり、中心金属としては白金などが挙げられる。例えば、下記に示す公知の化合物がリン光発光材料として好適に用いられる(ただし、Phはフェニル基を表す)。
【0152】
【化11】

【0153】
【化12】

【0154】
さらに、本発明の有機EL素子の陽極に使用される材料は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO2 、ZnO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
【0155】
また、本発明の有機EL素子の陰極に使用される材料は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
【0156】
本発明の有機EL素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
【0157】
この有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上、好ましくは90%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
【0158】
これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板が挙げられる。
【0159】
本発明の有機EL素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。また、特表2002−534782やS.T.Lee, et al., Proceedings of SID’02, p.784(2002)に記載されているLITI(Laser Induced Thermal Imaging、レーザー熱転写)法や、印刷(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)、インクジェット等の方法を適用することもできる。
【0160】
有機層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
【0161】
本願で言う塗布による製膜とは、スピンコーティング、ディッピング、フローコーティング、インクジエット法、スプレー法等の湿式成膜法のいずれかを示すものである。
【0162】
また、有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
【0163】
本発明の有機EL素子に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
【0164】
本発明の有機EL素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。また、本発明の有機EL素子から光を取り出す方法としては、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという方法のみならず、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという方法にも適用可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
【0165】
本発明の有機EL素子のフルカラー化方式の主な方式としては、3色塗り分け方式、色変換方式、カラーフィルター方式が挙げられる。3色塗り分け方式では、シャドウマスクを使った蒸着法や、インクジェット法や印刷法が挙げられる。また、特表2002−534782やS.T.Lee, et al., Proceedings of SID’02, p.784(2002)に記載されているレーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI法ともいわれる)も用いることができる。色変換方式では、青色発光の発光層を使って、蛍光色素を分散した色変換(CCM)層を通して、青色より長波長の緑色と赤色に変換する方法である。カラーフィルター方式では、白色発光の有機EL素子を使って、液晶用カラーフィルターを通して3原色の光を取り出す方法であるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで、素子全体の発光効率をあげることもできる。
【0166】
さらに、本発明の有機EL素子は、マイクロキャビティ構造を採用しても構わない。これは、有機EL素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極及び陰極の反射率、透過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Technical Papers,OD−2,p.77〜80(2002)に記載されている。
【0167】
以上述べたように、本発明の有機EL素子材料を用いた有機EL素子は、低い駆動電圧で長時間の青色発光を得ることが可能である。故に、本有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや各種の平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
【実施例】
【0168】
はじめに、実施例に先立って本発明の有機EL素子用材料の合成例を述べる。なお、例示化合物の合成に必要な中間体は特願2008−040803、特願2008−085146、特願2008−225383に記載の方法により合成した。
【0169】
合成例1
例示化合物(1)の合成
【0170】
【化13】

【0171】
300mLフラスコに2,5−ビス(4−ブロモフェニル)チオフェン(3.94g)、N−ビニルカルバゾール(4.83g)、酢酸パラジウム(0.11g)、トリ−o−トリルホスフィン(0.30g)、トリエチルアミン(6.93mL)を入れ、DMF中窒素雰囲気下31時間95℃で攪拌した。反応液を冷却後、DMFを留去し、クロロホルム(200mL)を加え水で洗浄(200mL×3回)し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別後、ろ液に活性炭(2.1g)を加え1時間攪拌した。活性炭をろ別後、ろ液を減圧濃縮し得られた淡褐色固体をシクロヘキサンで再結晶後、クロロホルム−メタノールで再沈殿させて例示化合物(1)(4.78g)を得た。例示化合物(1)は、EI−MS(サーモエレクトロン社製 PolarisQ)、 1H−NMR、および13C−NMR(日本電子製、ECX−400P)によって同定した。例示化合物(1)のUVスペクトル、蛍光(PL)スペクトルを、それぞれ図1、図2に示す。なお、UVスペクトルは、日立分光(株)製光度計(U−3500)、蛍光(PL)スペクトルは、日本分光(株)製蛍光分光光度計(FP−6500)により測定した。
【0172】
合成例2〜70
合成例1において、2,5−ビス(4−ブロモフェニル)チオフェンおよびN−ビニルカルバゾールのかわりに、以下の表7に示す臭化アリールおよびオレフィン化合物をそれぞれ用いて同様の反応を行った。得られた化合物及びその質量分析の結果を表7に示す。
【0173】
表7
【表7】

【0174】
【表7】

【0175】
【表7】

【0176】
【表7】

【0177】
【表7】

【0178】
【表7】

【0179】
【表7】

【0180】
実施例
以下、本発明の有機EL素子用材料を用いた有機EL素子の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。実施例においては、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。蒸着(真空蒸着)は10-6Torrの真空中で、基板加熱、冷却等の温度制御なしの条件下で行った。また、素子の発光特性評価においては、発光面積2mm×2mmの有機EL素子の特性を測定した。
【0181】
実施例1
洗浄したITO電極付きガラス板上に、表3のHTM8を真空蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を得た。次いで、本発明の表1中の化合物(1)を真空蒸着して膜厚50nmの発光層を得た。さらに、トリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム錯体(Alq3)を真空蒸着して膜厚20nmの電子注入層を作成し、その上に、まずフッ化リチウムを1nm、次いでアルミニウム(Al)を200nm蒸着して電極を形成し、有機EL素子を得た。この素子は、8Vにて発光輝度5000(cd/m2)の青色発光を示し、その色度は、x=0.16、y=0.15であった。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0182】
実施例2〜70
化合物(1)のかわりに表8に示すEL材料を用いて発光層を作成した以外は実施例1と同様に素子を作成した。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0183】
比較例1
以下に示す化合物(A)〜(C)を用いて発光層を作成した以外は実施例31と同様に素子を作成した。この素子は、青色発光を示した。これらの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表8に示す。
【0184】
【化14】

【0185】
【化15】

【0186】
【化16】

【0187】
表8
【表8】

【0188】
【表8】

【0189】
【表8】

【0190】
表8からも明らかなように、本発明の化合物はいずれも、比較例の化合物(A)〜(C)を用いて作成した素子よりも、長寿命で高い輝度が得られた。
【0191】
実施例71
ITO電極付きガラス板上に、表2のHIM4を真空蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を得た。次に、表1の化合物(1)と化合物(D)とを97:3の組成比で共蒸着して膜厚45nmの発光層を形成した。さらに化合物(E)を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、酸化リチウム(Li2O)を1nm、さらにAlを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率は3.4%を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表9に示す。
【0192】
【化17】

【0193】
【化18】

【0194】
実施例72〜90
化合物(1)の代わりに表9中の化合物を用いた以外は、実施例71と同様に素子を作成した。これらの素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率がいずれも3%以上を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表9に示す。
【0195】
比較例4〜6
化合物(1)のかわりに、化合物(A)〜(C)を用いた以外は実施例71と同様に素子を作成した。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表9に示す。
【0196】
表9
【表9】

【0197】
表9から明らかなように、本発明の化合物はいずれも、比較例の化合物(A)〜(C)を用いて作成した素子よりも、長寿命で高い輝度が得られた。
【0198】
実施例91
ITO電極付きガラス板上に、表2のHIM9を真空蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を得た。次に、化合物(F)と表1の化合物(1)とを97:3の重量組成比で共蒸着して膜厚45nmの発光層を形成した。さらに化合物(G)を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、Li2Oを1nm、さらにAlを100nm蒸着によって陰極を形成して有機EL素子を得た。この素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率は3.5%を示した。また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表10に示す。
【0199】
【化19】

【0200】
【化20】

【0201】
実施例92〜100
化合物(1)のかわりに表10中の化合物を用いた以外は、実施例91と同様に素子を作成した。これら素子は、直流電圧10Vでの外部量子効率はいずれも3%以上を示し、また、発光輝度500(cd/m2)で定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表10に示す。
【0202】
比較例7〜9
化合物(1)のかわりに化合物(A)〜(C)を用いた以外は実施例91と同様に素子を作成した。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命を測定した。また、電流密度10mA/cm2で駆動させた時の初期輝度、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の輝度を測定した。結果を表10に示す。
【0203】
表10
【表10】

【0204】
表10から明らかなように、本発明の化合物はいずれも、比較例の化合物(A)〜(C)を用いて作成した素子よりも、長寿命で高い輝度が得られた。
【0205】
実施例101
洗浄したITO電極付きガラス板上に、表3のHTM8を真空蒸着して膜厚60nmの正孔注入層を得た。次いで、本発明の表1中の化合物(1)を真空蒸着して膜厚60nmの電子輸送性発光層を得た。その上に、まずフッ化リチウムを1nm、次いでAlを200nm蒸着して電極を形成して、有機EL素子を得た。この素子は、8Vにて発光輝度600(cd/m2)の青色発光を示した。
【0206】
実施例102
洗浄したITO電極付きガラス板上に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシ)−2,5−チオフェン/ポリスチレンスルホン酸)をスピンコ−ト法で60nmの膜厚に製膜した。さらに、表1の化合物(76)と化合物(D)を97:3の組成比でトルエン溶媒に溶解させスピンコ−ト法にて塗布し、膜厚50nmの発光層を作成した。この塗布基板に真空蒸着法にさらに(G)を蒸着して膜厚20nmの電子注入層を形成した。その上に、Li2Oを1nm、さらにAlを100nm蒸着によって陰極を形成して有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。この素子は、8Vにて発光輝度4500(cd/m2)の青色発光を示し、その色度は、x=0.16、y=0.15であった。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であった。
【0207】
実施例103
化合物(76)のかわりに表1中の化合物(116)を用いた以外は、実施例102と同様に素子を作成した。これらの素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの半減寿命はすべて1000時間以上であった。
【0208】
実施例104
洗浄したITO電極付きガラス板上に、銅フタロシアニンを蒸着して膜厚25nmの正孔注入層を形成した。次に、表1の化合物(8)と化合物(H)とを97:3の組成比で共蒸着して膜厚45nmの発光層を形成した。さらに(G)を蒸着して膜厚20nmの正孔ブロッキング層を形成した。その上に、さらに、Alq3を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入型発光層を作成し、その上に、まずフッ化リチウムを1nm、次いでAlを200nm蒸着して電極を形成して、有機EL素子を得た。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は、1000時間以上あった。
【0209】
【化21】

【0210】
実施例105
洗浄したITO電極付きガラス板上に、表2の化合物(HIM2)を蒸着して膜厚30nmの正孔注入層を形成した。次に、表1の化合物(76)を蒸着して膜厚20nmの正孔輸送層を形成し、さらに、化合物(F)を蒸着して膜厚30nmの発光層を形成した。その上に、さらに、化合物(G)を真空蒸着して膜厚30nmの電子注入層を作成し、その上に、まずフッ化リチウムを1nm、次いでAlを200nm蒸着して電極を形成して、有機EL素子を得た。この素子を発光輝度500(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は、1000時間以上あった。
【0211】
以上述べた実施例から明らかなように、本発明の有機EL素子は発光効率の向上および長寿命化を達成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】図1は、化合物(1)のUVスペクトルである。(トルエン溶媒中)
【0213】
【図2】図2は、化合物(1)のPLスペクトルである。(トルエン溶媒中)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式[1]で表される有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
一般式[1]
【化1】



[式中、Z1はS、OまたはN−R3を表す。R1〜R3は水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、置換もしくは未置換の2価のアリール基、または置換もしくは未置換の2価の複素環基を表す。
1は水素原子または下記一般式[2]で表される基を表し、W2は下記一般式[2]で表される基を表す。]
一般式[2]
【化2】



[式中、Y1およびY2はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
Ar3およびAr4はそれぞれ独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルケニル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。ただし、Ar3とAr4とが結合し環を形成してもよい。]
【請求項2】
一般式[2]が下記一般式[3]〜[6]で表される基のいずれかを有する、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子材料。
一般式[3]
【化3】



[式中、Y3およびY4はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
4〜R11はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
一般式[4]
【化4】



[式中、Y5およびY6はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
12〜R17はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
一般式[5]
【化5】



[式中、Y7およびY8はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
18〜R21はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
一般式[6]
【化6】



[式中、Y9およびY10はそれぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。
XはNまたはPを表す。
2、Z3はそれぞれ独立に、S、OまたはN−R26を表す。
22〜R26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換アミノ基、シアノ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、または、置換もしくは未置換の複素環基を表す。]
【請求項3】
一対の電極間に発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、少なくとも一層が請求項1または2に記載される有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
一対の電極間に発光層を含む複数層の有機化合物薄膜を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層が請求項1または2に記載される有機エレクトロルミネッセンス素子材料を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
発光層に更にりん光発光材料を含んでなる、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−126571(P2010−126571A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300583(P2008−300583)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】