説明

有機エレクトロルミネッセンス表示装置及びその製造方法

【課題】有機EL材料を迅速且つ適切に塗布できる有機EL表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置は、基板110と、基板110上に配置された複数の画素電極140と、画素電極140を囲む縦壁120a及び横壁120bを有するバンク120と、複数の画素電極140のそれぞれの上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層160と、有機エレクトロルミネッセンス層160上に形成された対向電極150と、を有する。横壁120bの高さは、縦壁120bの高さよりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置は、例えば特許文献1に開示されるように、基板上に設けられ、バンク層に囲まれた複数の第1電極に有機EL材料をインクジェット法によって塗布し、その有機EL材料の上に第2電極を設けて製造される。
【0003】
【特許文献1】特開2000−353594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インクジェット法による成膜では、個々の画素ごとに成膜しているので画素数の著しく多い高精細な表示装置を製造するにあたっては、生産性が低いといった問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、有機EL材料を迅速且つ適切に塗布することができる有機エレクトロルミネッセンス表示装置及びその有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、
基板と、
前記基板上に配置された複数の第1電極と、
前記第1電極を囲む第1の部位及び第2の部位を有し、前記第2の部位の高さが前記第1の部位の高さよりも低いバンクと、
前記複数の第1電極のそれぞれの上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記複数の第1電極は、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿ってマトリクス状に配置され、
前記第1方向に沿って配列された複数の第1電極上には、同一の発光色の前記有機エレクトロルミネッセンス層が形成され、前記第2方向に沿って前記バンクを介して互いに隣接して配置される複数の第1電極上には、互いに異なる発光色の前記有機エレクトロルミネッセンス層が形成され、
前記バンクは、前記第1の部位が前記第1の方向に沿って設けられ、前記第2の部位が前記第2の方向に沿って設けられている、ことも可能である。
【0008】
また、前記バンクは、前記第1の部位が互いに対向して設けられ、前記第2の部位が互いに対向して設けられた矩形の開口部を有する、ことも可能である。
【0009】
また、前記第2の部位は、頭頂部から下に傾斜している傾斜部分を有する、ことも可能である。
【0010】
また、前記バンクの前記第2の部位の高さは、前記バンクの前記第1の部位の高さの0.6倍から0.8倍である、ことも可能である。
【0011】
また、上記目的を達成するため、この発明の第2の観点に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、
基板と、
前記基板上に配置された複数の第1電極と、
前記第1電極を囲む第1の部位及び第2の部位を有し、前記第2の部位の高さが前記第1の部位の高さよりも低いバンクと、
前記複数の第1電極のうち前記第1の部位に沿って配置された第1電極上に同一の材料が堆積され、前記第2の部位によって仕切られた互いに隣接する第1電極上に互いに異なる材料が堆積されることによってなる複数の有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、この発明の第3の観点に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法は、
基板上に設けられた複数の第1電極を囲む第1の部位と前記第1の部位の高さよりも低い第2の部位とを有するバンクを形成するバンク形成工程と、
前記第2の部位をまたいで前記複数の第1電極上に連続して有機エレクトロルミネッセンス材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液を塗布する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液塗布工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、前記複数の第1電極は、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿ってマトリクス状に配置され、
有機エレクトロルミネッセンス材料含有液塗布工程は、前記第1方向に沿って配列された複数の第1電極上には、同一の発光色の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液を塗布するとともに、前記第2方向に沿って前記バンクを介して互いに隣接して配置される複数の第1電極上には、互いに異なる発光色の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液を塗布する、ことも可能である。
【0014】
また、前記バンク形成工程は、
前記基板上に感光性樹脂を配置する工程と、
前記感光性樹脂の第1の部位形成予定領域と第2の部位形成予定領域とを異なった光量で露光する露光工程と、
前記感光性樹脂を感光度に応じて現像することにより、前記第1の部位及び前記第2の部位を形成する工程と、を有する、ことも可能である。
【0015】
また、前記露光工程は、前記第2の部位形成予定領域の露光度が前記第1の部位の延在方向に沿って変化するように、前記感光性樹脂を露光する、ことも可能である。
【0016】
また、前記露光工程は、光を遮光する遮光部と、光を透過させる開口部と、単位面積あたりの光透過量が前記遮光部の透過量より少なく、前記開口部の透過量より多いハーフ開口部と、を有するフォトマスクを用いて露光する、ことも可能である。
【発明の効果】
【0017】
本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置によれば、有機エレクトロルミネッセンス材料を迅速且つ適切に塗布することができる有機EL表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔有機エレクトロルミネッセンス表示装置〕
以下、本発明の実施形態1に係る有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置について、説明する。
本実施形態の有機EL表示装置は、図1に平面で、及び、図1のX−Xにおける矢視断面図である図2に断面で示されるように、基板110上に設けられた複数の画素ごとに有機EL素子を備えており、各有機EL素子は、画素電極140と、下地絶縁膜130及びバンク120に囲まれた有機EL層160と、対向電極150と、を有している。
【0019】
画素電極140は、図1に示すように、基板110の上にマトリクス状に複数配置されている。個々の画素電極140は、厚さが30nm〜100nmで長方形の透明電極であり、有機EL素子のアノードとして機能する。画素電極140は、有機EL表示装置が後述する有機EL層160で発する光を基板110側から外に出射する、いわゆるボトムエミッション型であれば、例えば、ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In)等の透明導電材料から形成されることが好ましく、有機EL表示装置が後述する有機EL層160で発する光を封止基板113側から外に出射する、いわゆるトップエミッション型であれば、有機EL層160からの光を反射する導電性材料を少なくとも含むことが好ましい。
【0020】
下地絶縁膜130は、基板110における各画素電極140を囲むように配置されるとともに、画素電極140の周縁部を覆うことにより画素電極140の露出部分を規定している。このように下地絶縁膜130は、画素電極140の中央部を露出する開口部によって上方から平面視して編み目状構造となり、厚さが150nm〜300nmの膜から構成されている。下地絶縁膜130は、例えば窒化珪素または酸化珪素等の無機化合物から形成される。
【0021】
バンク120は、下地絶縁膜130の上に設けられ、下地絶縁膜130よりやや幅狭の壁として感光性樹脂等によって形成されている。具体的には、バンク120は、平面視して下地絶縁膜130と略同一形状となるように複数の開口部を囲むことで規定する壁であり、対向する長手方向の縦壁120aと、縦壁120aと一体的に形成され、対向する短手方向の横壁120bとを有している。バンク120は、図1の点線Yで囲まれる部分を表す図3(a)に示すように、縦壁120aと横壁120bとで個々の画素電極140を囲んでいる。そして、図3(a)のB−B線での断面図である図3(b)と、図3(a)のC−C線での断面図である図3(c)とから理解されるように、バンク120、下地絶縁膜130及び画素電極140によって略直方体形状の容器を形成している。なお、図3(a)では、区別を容易にするため、縦壁120a、横壁120bにそれぞれ異なるハッチングを施して示している。
【0022】
図3(a)のD−D線での断面図である図3(d)に示すように、縦壁120aの高さ120ahは横壁120bの高さ120bhより高く形成されている。
横壁120bの高さ120bhは、縦壁120aの高さ120ahの0.6〜0.8倍とするのが好ましい。なぜなら、120bhが120ahの0.6倍よりも小さいと、横壁の高さが低くなりすぎて、隣接する一方の発光層からの光が他方の発光層へ漏洩することを防止することが困難となるおそれがあるからである。また、120bhが120ahの0.8倍よりも大きいと、縦壁120aの上面の高さと横壁102bの上面の高さとの差が少なくなり、横壁120bの上に有機EL材料を含有する有機EL材料含有液が塗布した場合、後述するように有機EL材料含有液が縦壁120aの上面を越えて、隣接する画素領域に浸入することを防止することが困難となるからである。
【0023】
有機EL層160は、縦壁120aと横壁120bとが構成する直方体形状の容器内に、画素電極140を覆うように形成されている。
有機EL層160は、正孔輸送層、電子輸送層等の複数の電荷輸送層を有する積層構造であり、これらの電荷輸送層のうち、発光する層には有機EL化合物が含まれている。この有機EL化合物は、湿式成膜できる点において高分子系発光化合物が好ましいが、低分子材料であっても湿式成膜できればこれに限らない。好適な蛍光発光性高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリチオフェン類などの共役系高分子構造を骨格とし、これに蛍光発光部位(代表的なものとしては、遷移金属錯体または希土類金属錯体の一価基または二価基を例示できる。)が結合した高分子化合物を用いることができる。蛍光発光部位は主鎖に組み込まれていても側鎖に組み込まれていてもよい。
有機EL材料は、電流が流れることによって例えばR、G、Bの何れかに発光する材料であって、縦壁120aで区画された領域内の複数の画素電極140上には同一色の有機EL材料がストライプ状に配置され、横壁120bで互いに異なる発光色の有機EL材料が仕切られている。
【0024】
有機EL層160のうちの正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等のアミン化合物等の有機材料や高抵抗の無機化合物を用いることができる。
【0025】
さらに、有機EL層160の上には、対向電極150がストライプ状に設けられている。各対向電極150は、縦壁120aで区画された列に配置された複数の画素電極140に対向しており、EL素子のカソードとして機能する。
【0026】
対向電極150は、厚さが30nm〜100nmの、好ましくは仕事関数が4.5ev以下の金属から構成され、有機EL表示装置がボトムエミッション型であれば、有機EL層160で発光する光を反射する反射板としても機能する。
対向電極150は、電子注入をしやすくするため、例えば、Li、Na、Mg、Ca、Ba等の金属を単体であるいは合金で用いることができる。また、これら低仕事関数の金属薄膜とAl、Crなどの安定な比較的高仕事関数の金属薄膜とを2層以上積層して構成される多層構造であることが好ましく、低仕事関数金属と高仕事関数金属との合金を含んでいてもよい。また、有機EL表示装置がトップエミッション型であれば、可視光波長域よりも十分薄い1〜20nmの厚さの上述した低仕事関数金属薄膜と、その上にインジウム酸化物、亜鉛酸化物、錫酸化物などの透明導電性酸化物の薄膜を堆積した透明電極として用いることもできる。
【0027】
画素電極140と対向電極150とが有機EL層160を挟持し、発光層を形成している。バンク120は、隣接する一方の発光層からの光が他方の発光層へ漏洩することを防止する。そのため、バンク120を形成する縦壁120aと横壁120bとは隙間無く連結して、画素電極140を囲んでいる。
【0028】
保護膜220は、画素電極140、下地絶縁膜130、有機EL層160、対向電極150を被覆して封止する。保護膜220は、絶縁性材料を、スパッタ法、蒸着法等のPVD法や、CVD法などで成膜して構成されている。絶縁性材料には、例えば、透明性が高く、電気絶縁性を有し、水分、酸素等に対するバリア性を有する材料、例えば、SiO等を用いることができ、その他に絶縁性の金属酸化物を用いてもよい。
【0029】
接着層230は、保護膜220と封止基板113とを接着する。接着層230は、例えば、エポキシ樹脂、透明シリコーンゴム、透明シリコーンゲル、アクリル樹脂のような有機材料等を用いることができる。
【0030】
なお、上記構成の有機EL表示装置は、各画素ごとに薄膜トランジスタ(TFT)等の画素回路を有していてもよい。
【0031】
〔有機EL表示装置の製造方法〕
次に、上記構成を有する有機EL表示装置の製造方法について説明する。
まず、基板110上に、図示していないが、マトリクス状に複数の画素が配列するよう各画素ごとにTFT等の画素回路を形成する。各画素回路のトランジスタの数は、1つ以上であれば複数であってもよい。
そして、基板110の上に、画素回路にそれぞれ接続された画素電極140をマトリクス状に複数形成する。画素電極140は、ボトムエミッションであればITO等の透明金属酸化物であってもよく、またトップエミッションであれば、Al等の光反射性金属を含んでもよく、例えば、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応法、コーティング法、真空蒸着法等を用いることで形成することができる。
【0032】
次に、基板110の上に、窒化シリコン等の画素ごとに開口部を有する下地絶縁膜130を設ける。下地絶縁膜130はフォトリソグラフィやエッチング等により形成することができる。下地絶縁膜130の網目の開口部からは画素電極140が露出する。
【0033】
次に、バンク120を下地絶縁膜130の上に形成する。バンク120の形成は、図4(a)に示すフォトマスクを用い、ポジ型の感光性樹脂にフォトマスクを介して光を照射することで形成される。
【0034】
フォトマスクは、縦壁120aに対応する縦方向に延在する複数の遮光部320と、遮光部320、320間に配置する複数の開口部310と、横壁120bに対応する横方向に延在するハーフ現像可能なハーフ開口部330と、を有し、ハーフ開口部330では、全体的に、開口部310よりも単位面積あたりの光透過量が少なく、遮光部320よりも単位面積あたりの光透過量が多い。ここでハーフ現像とは、完全な現像(完全硬化パターニング)から未現像(一部未硬化パターニング)までの間の状態の現像をいう。
図4(a)に示すように、ハーフ開口部330は、遮光する遮光部320と同一部材で形成され、遮光部320よりも微細な寸法の複数の矩形遮光パターン(図中黒地部分)と、各矩形遮光パターンと略同一形状で矩形遮光パターンと縦横方向に互い違いに配列された複数の開口パターン(図中白地部分)と、の組合せによってなされているチェッカー型であってもよい。
【0035】
また、ハーフ開口部330は、図4(b)に示されるような遮光部320の延在方向に沿って伸びる複数のストライプ形遮光パターン(図中黒地部分)と、遮光部320の延在方向に沿って伸びるストライプ形開口パターン(図中白地部分)と、の組合せによってなされているストライプ型であってもよい。この場合、複数のストライプ形遮光パターンは、複数のストライプ形遮光パターンの各端部において、横壁120bの延在方向に沿って伸びる支持部分によって支持され、この支持部分は、その各端部を遮光部320によって支持されている。
【0036】
ポジ型の感光性樹脂としては、例えばポリイミドやポリアクリル等を用いることが可能であり、その具体的な商品としては、東レ株式会社製のフォトニースPW−1030やフォトニースDL−1000等を用いることができる。
【0037】
一般的に感光性樹脂の加工は、塗布膜厚とフォトマスクの開口幅の比が1:1程度が限界である。また、フォトマスクの開口幅を細くするほど感光性樹脂の加工断面は、エッジがまるまった状態になる。フォトマスクの開口パターンをEB(エレクトロンビーム)で形成する場合、最小加工単位は0.5μm程度なので、例えば約1.5μmの膜厚の未硬化状態の感光性樹脂をバンク120形成領域に塗布し、図4(a)や図4(b)に示すハーフ開口の短手方向の開口幅が0.5μmのフォトマスクを用いて励起光を感光性樹脂に照射すると、現像後のハーフ開口部は0.5μm程度の深さ分だけ現像され、ハーフ開口部での現像後の感光性樹脂の膜厚は1μm程度となる。感光性樹脂にポリイミドを用いた場合、焼成時に収縮するため膜厚が減少するので、フォトマスクの遮光部320におけるプリベーク、露光、現像、焼成後の感光性樹脂が硬化してなるバンク120の厚さが約1.0μmとなるのに対して、透過光量が遮光部320よりの多いフォトマスクのハーフ開口部330におけるプリベーク、露光、現像、焼成後の感光性樹脂が硬化してなるバンク120の厚さが約0.5μmとなる。
【0038】
最終的に形成されたバンク120を図4(c)に示す。遮光部320に対応する部分とハーフ開口部330に対応する部分とに、バンク120が形成されている。
遮光部320に対応する部分は長手方向の縦壁120aとして形成される。一方、ハーフ開口部330に対応する部分は短手方向の横壁120bとして形成される。
なお、図4(c)では、図面の理解促進のため、横壁120b及び縦壁120aにはそれぞれハッチングが施してある。
【0039】
有機EL層160の成膜工程では、まず酸素プラズマ処理若しくはUVオゾン処理により画素電極140の親液化を行う。この酸素プラズマ処理若しくはUVオゾン処理をすることで、画素電極140の濡れ性を向上し塗布した有機EL材料を含有する有機EL材料含有液が画素電極140全体に広がりやすくする。このとき、レジストは画素電極140ほど濡れ性は向上せず、ある程度有機EL材料含有液をはじくことができる。
【0040】
その後は、導電性高分子であるPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)及びドーパントとなるPPS(ポリスチレンスルホン酸)を分散した水を主成分とする正孔輸送材料含有液を調製し、ノズルプリント法で隣接する縦壁120a、120a間に縦方向に沿って配列された複数の画素電極140上及びこれら画素電極140を囲む複数の横壁120b上に連続した一筋に正孔輸送材料含有液を塗布する。このPEDOT及びPPSの混合物は有機EL層160の正孔輸送層となる。このように、個々の画素領域ごとに液滴を吐出するインクジェット法に対して複数の画素領域にまとめて連続して塗布しているので迅速に成膜することができる。
ここで、バンク120の横壁120bの高さ120bhが、縦壁120aの高さ120ahよりも低く構成してあるから、縦壁120a、120a間に縦方向に沿って配列された複数の画素電極140上及びこれら画素電極140を囲む複数の横壁120bに連続して一筋の正孔輸送材料含有液を塗布すると、正孔輸送材料含有液は、バンク120、下地絶縁膜130及び画素電極140によって略直方体形状の容器の中でより低いバンク120の横壁120bから流出することになるので、より高いバンク120の縦壁120a上に正孔輸送材料含有液上にあまり残らない。このため、縦壁120aの上面の面積は横壁120bの上面の面積より広いので画素電極140上に堆積されない正孔輸送材料含有液の無駄を起こりにくくすることができる。
【0041】
正孔輸送材料含有液を塗布後は、所定の温度に加熱して乾燥を行い、正孔輸送層が形成される。
【0042】
その後、ノズルプリント法でバンク120の縦壁120a、120a間に縦方向に沿って配列された複数の画素電極140上の正孔輸送層上及びこれら正孔輸送層を囲む複数の横壁120b上に連続した一筋に電子輸送性発光層材料を含有する電子輸送性発光層材料含有液を塗布する。このように、個々の画素領域ごとに液滴を吐出するインクジェット法に対して複数の画素領域にまとめて連続して塗布しているので迅速に成膜することができる。電子輸送性発光層材料含有液は、バンク120、下地絶縁膜130及び画素電極140によって略直方体形状の容器の中でより低いバンク120の横壁120bから流出することになるので、より高いバンク120の縦壁120a上に電子輸送性発光層材料含有液上にあまり残らない。このため、電子輸送性発光層材料含有液は縦壁120aを越えて、隣接する異なる色に発光する材料と混じることを防止できる。
電子輸送性発光層材料は、赤・緑・青色のポリオレフィン系の発光材料である。溶媒は、キシレン、メシチレン、テトラリン等の有機溶媒を用いることが可能である。緑色発光のための材料は、例えば、PPV(ポリフェニレンビニレン)の前駆体用液をDMF、グリセリン、ジエチレングリコールの混合液で希釈してインク化したものを用いてもよい。赤色発光のための材料は、このPPVを用いた緑色インクに赤色色素ローダミン101をPPVに対して1.5wt%加えたインクを用いてもよい。青色発光のための材料は、ポリジオクチルスルフルオレンをキシレンに溶解したものをインクとして用いてもよい。
【0043】
図5は、図1におけるZ−Z矢視断面に沿って矢印200の方向に有機EL材料含有液170を連続的に塗布するようすを説明するものである。
【0044】
塗布装置190は、画素電極140と対向電極150との間に積層される有機EL層160を形成する正孔輸送材料含有液や電子輸送性発光層材料含有液等の有機EL材料含有液170を塗布する装置である。塗布装置190は、有機EL材料含有液170を吐出口180から連続して吐き出すノズルコータである。
【0045】
電子輸送性発光層材料含有液を塗布する塗布装置190は、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層の各層の材料ごとに異なる複数の吐出口180を有しており、各電子輸送性発光層材料含有液170がそれぞれ独立したタンクに充填されている。赤色発光層を設ける場合は赤色吐出口180から赤色有機EL材料含有液を吐き出す。緑色発光層を設ける場合は緑色吐出口180から緑色有機EL材料含有液を吐き出す。青色発光層を設ける場合は青色吐出口180から青色有機EL材料含有液を吐き出す。
【0046】
塗布装置190は、有機EL材料含有液170をバンク内の画素電極140に長手方向(図1において、長方形の画素電極140の長辺の方向)に連続的に塗布する。
ある列に配列する画素電極140の上には赤色発光用の有機EL材料含有液170が塗布される。その列に隣接する一方の列に配列する画素電極140の上には緑色発光用の有機EL材料含有液170が塗布される。さらにその列に隣接する他方の列の上に配列する画素電極140の上には青色発光用の有機EL材料含有液170が塗布される。このように、赤色発光用、緑色発光用、青色発光用の有機EL材料含有液170がその順に個別にバンク120内の画素電極140の上に塗布される。バンク120は、赤、緑、青の各色の有機EL材料含有液170がバンク120で囲まれた領域内で混合することを防止する役割を有する。
【0047】
有機EL材料は酸素や水蒸気等に接触すると特性変化を生じる場合があるので、有機EL材料含有液170を塗布する場合は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で塗布することが望ましい。
【0048】
図6(a)及び図6(b)は有機EL材料含有液の塗布状況を模式的に表した斜視図である。図6(a)に示すように、本実施形態に係る有機EL表示装置では、バンク120の横壁120bの高さ120bhが、縦壁120aの高さ120ahよりも低く構成してある。即ち、横壁120bの両端部は上下の縦壁120aに挟持されている。そのため、横壁120bの上に、塗布装置190から矢印200に沿って、有機EL材料を溶媒に溶解させた有機EL材料含有液170を塗布したとしても、該横壁120bの上下に位置する縦壁120aに流れ出す可能性が少ない。だから隣の列に位置する隣接する電極に塗布された有機EL材料どうしの混色を防止しうる。
一方で、図6(b)に示すように、バンク120の横壁の高さと縦壁の高さとが同一である場合は、横壁の上に有機EL材料含有液170が塗布された場合、該横壁の上下に位置する縦壁にも有機EL材料含有液170が流れ出すことがある。該縦壁に流れ出した有機EL材料含有液170は、隣の列に位置する電極に塗布された有機EL材料と混色するおそれがある。
【0049】
なお、有機EL材料含有液170は、第1表示基板140の上に全体的に広がる程度の粘性を有していることが望ましい。そして、有機EL材料含有液170がある程度の粘性を有していても、バンク120の横壁120bの高さ120bhが、縦壁120aの高さ120ahよりも低く構成してあるから、横壁120bの上に、有機EL材料含有液170が塗布したとしても、上面が該横壁120bの上面より高い位置にある縦壁120aに流れ出す可能性が少ない。
【0050】
有機EL材料含有液170が塗布された後は、窒素等の不活性ガス雰囲気中で所定の温度に加熱して乾燥を行い、残留溶媒の除去をすることで、有機EL材料含有液170は有機EL層160となる。
【0051】
その後は、有機EL層160の上に、対向電極150が設けられる。対向電極150は、上述した材料を例えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いて形成することができる。
最後は、封止基板113を貼り合わせることで有機EL表示装置が製造される。
【0052】
〔有機EL表示装置の製造方法その2〕
上述の製造方法の実施形態1では、バンク120の形成は、高精細なパターニングが可能なポジ型の感光性樹脂にフォトマスクを介して光を照射することで形成した。
もっとも、これに限定されず、バンク120の形成は、ネガ型の感光性樹脂にフォトマスクを介して光を照射することで形成することも可能である。
【0053】
図7(a)は、ネガ型の感光性樹脂を現像するためのフォトマスクである。このフォトマスクは、縦壁120aに対応する縦方向に延在する開口部310と、開口部310、310間に配置する複数の遮光部320と、横壁120bに対応する横方向に延在するハーフ現像可能なハーフ開口部330と、を有し、ハーフ開口部330では、全体的に、開口部310よりも単位面積あたりの光透過量が少なく、遮光部320よりも単位面積あたりの光透過量が多い。ここでハーフ現像とは、完全な現像(完全硬化パターニング)から未現像(一部未硬化パターニング)までの間の状態の現像をいう。ハーフ開口部330は、遮光する遮光部320と同一部材で形成され、遮光部320よりも微細な寸法の複数の矩形遮光パターン(図中黒地部分)と、各矩形遮光パターンと略同一形状で矩形遮光パターンと縦横方向に互い違いに配列された複数の開口パターン(図中白地部分)と、の組合せによってなされているチェッカー型となっている。
【0054】
また、ハーフ開口部330は、図7(b)に示されるような遮光部320の延在方向に沿って伸びる複数のストライプ形遮光パターン(図中黒地部分)と、遮光部320の延在方向に沿って伸びるストライプ形開口パターン(図中白地部分)と、の組合せによってなされているストライプ型であってもよい。この場合、複数のストライプ形遮光パターンは、複数のストライプ形遮光パターンの各端部において遮光部320によって支持されている。
【0055】
このようなネガ型の感光性樹脂を用いた場合も、上述のポジ型の感光性樹脂を用いた場合と同様に、光を照射して現像することで図7(c)に示すバンク120を形成することで同様の構造を形成することが可能であるが、フォトマスクの遮光部と開口部とが互いに入れ代わっている。なお、図7(c)では、図面の理解促進のため、横壁120b及び縦壁120aにはそれぞれハッチングが施してある。
【0056】
〔有機EL表示装置の製造方法その3〕
上述の製造方法の実施形態では、バンク120の形成は、ハーフ開口部330を有するフォトマスクを使用して、感光性樹脂を現像することで行われたがこれに限定される必要はない。図8(a)に示すように、開口密度勾配を有するハーフ開口部330を有するネガ型フォトマスクを用いることも可能である。
【0057】
このフォトマスクは、遮光部320と開口部310と開口密度勾配を有するハーフ開口部330とを有する。
開口密度勾配を有するハーフ開口部330は、横壁120bに沿って延在する細いストライプの複数の遮光部分が形成されており、中央部ほど遮光部分同士の間隔が広いので光透過量が多く、その中央部からハーフ開口部330の両端に至るまで徐々に遮光部分同士の間隔が狭くなるので光透過量が徐々に減り、両端では完全に遮光する。即ち、開口密度勾配は、中央部から両端部まで高くなっている。
【0058】
ネガ型の感光性樹脂に、このようなフォトマスクを介して光を照射することで、図8(c)に示すようにバンク120が現像される。なお、図8(c)では、図面の理解促進のため、横壁120b及び縦壁120aにはそれぞれハッチングが施してある。
【0059】
このバンク120は、図8(d)に示されるように、横壁120bは三角柱の形状であり、三角柱の二つの側面が上方を向いている。
そのため、このようなバンク120を用いた場合、横壁120bに塗布された有機EL材料含有液170は、三角柱の二つの側面の傾斜にしたがって速やかに両端に垂れて、画素電極140の上に流れ込むから、有機EL材料の無駄をより効率的に防止することが可能となる。さらには横壁120bの高さは縦壁120aより低いので、該横壁120bから縦壁120aに流れていくおそれを少なくすることができ、そのため、隣り合う列に存在する画素電極140に塗布される有機EL材料の混色を起こりにくくすることができる。
【0060】
なお、ポジ型の感光性樹脂を用いる場合は、図8(b)に示すようなフォトマスクを用いる。
このフォトマスクでは、開口密度勾配を有するハーフ開口部330は、中央部が遮光部となっており、その中央部から両端に至るまで徐々に密度が低くなる。即ち、開口密度勾配は、中央部から両端部まで低くなっている。
【0061】
ネガ型の感光性樹脂に、このようなフォトマスクを介して光を照射することでも、図8(c)に示すようにバンク120が現像される。
【0062】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態では、同色の複数の画素が縦壁120aに沿って配列され、バンク120の横壁120bの高さ120bhは、縦壁120aの高さ120ahよりも低く形成し、有機EL材料を横壁120bをまたぐように塗布したが、同色の複数の画素が横壁120bに沿って配列されている場合は、これに限定されない。この場合、図9に示すように、バンク120の縦壁120aの高さ120ahを、横壁120bの高さ120bhよりも低く形成することも可能である。即ち、縦壁120aの両端部は左右の横壁120bに挟持されている。そして、有機EL材料含有液170を縦壁120aをまたぐように同色の複数の画素に連続して塗布することも可能である。
【0063】
また図10に示すようなハーフ開口部330のポジ型の感光性樹脂を現像するためのフォトマスクを適用することもできる。ハーフ開口部330は、図10(a)に示すように複数のストライプ形遮光パターンが横方向に延在するストライプ形状とすることや、図10(b)、図10(c)に示すように斜線のストライプ形状とすることや、図10(d)に示すように互いに交差する斜めのチェック模様とすることや、図10(e)に示すように渦巻き模様とすることも可能である。図10(b)〜図10(d)はいずれにおいても、複数の遮光パターンは、複数のストライプ形遮光パターンの各端部において、横壁120bの延在方向に沿って伸びる支持部分によって支持され、この支持部分は、その各端部を遮光部320によって支持されていることが好ましい。また、ネガ型の感光性樹脂を現像するためのフォトマスクにおいても、図10と同様の形状もしくは模様のハーフ開口部330を有するものを用いることができる。ただし、この場合、フォトマスクの遮光部320と開口部310とが互いに入れ代わっている。
【0064】
上述の実施形態では、基板110はガラスであったが、高温プロセスを要せず、光を透過させる性質を有するもので、かつ、硬質の基材であるならばガラス以外のポリスチレン、ポリプロピレン等の高分子化合物を材質とすることも可能である。
【0065】
上述の実施形態では、有機EL層160は、正孔輸送層と電子輸送性発光層の2層構造であったが、発光層があれば、これに限らず単層構造であってもよく、正孔輸送性発光層と電子輸送層の組合せでもよく、3層以上の構造であってもよい。
【0066】
上述の実施の形態では、有機EL化合物としては、共役系高分子構造を骨格とする蛍光発光性高分子化合物を用いたが、ノズルプリント法に適用することができる材料であれば、これに限定されない。
【0067】
上述の実施形態では、画素電極140を長方形状とし、そしてバンク120は、長手方向の縦壁120aと短手方向の横壁120bとで画素電極140を囲むものとした。もっともこれに限定されない。画素電極を正方形状とし、そしてバンク120は、同一長さの縦壁と横壁とで画素電極を囲むものとすることも可能である。かかる実施形態においては、有機EL材料を画素電極の上に連続的に塗布する場合、有機EL材料が塗布される壁の高さを、有機EL材料を塗布する方向と平行方向に存在する壁の高さよりも、低くする。
【0068】
上述の実施形態では、バンク120の横壁120bは三角柱の形状とすることも可能であるとした。もっともこれに限定されず、その他の多角柱であってもよく、円柱を縦に割った形状で割れた部分を底面に配置してもよく、球を2つに割った形状で割れた部分を底面に配置してもよく、また断面が台形となるようなテーパー状の横壁120bであってもよい。
【0069】
上述の実施形態では、正孔輸送層を形成する材料としてPEDOT及びPPSの混合物を用いた。もっとも、これに限定されず、ポリアニリンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPANI等の導電性ポリマーを用いることもできる。また、界面活性剤などの第三成分を含む導電性ポリマーを用いることも可能である。そして、界面活性剤としては、例えばアルキル基、アルキルアリール基、フルオロアルキル基、アルキルシロキサン基、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボキシレート、アミド、ベタイン構造、及び第4級化アンモニウム基からなる群から選択される1種の基を含む界面活性剤を用いることが可能である。
【0070】
上述の実施形態では、正孔輸送層を構成する材料として、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを用いた。もっともこれに限定されない。例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、銅フタロシアニン等の芳香族アミン系の低分子化合物を用いることができる。また、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の高分子材料を用いることもできる。
【0071】
上述の実施形態では、本実施形態に係る有機EL表示装置として、基板110の下側から発光を取り出すボトムエミッション型の表示装置を説明した。もっともこれに限定されない。封止基板113の側から発光を取り出すトップエミッション型の表示装置とすることも可能である。トップエミッション型の表示装置とする場合は、基板110の上の画素電極を光反射性電極とし、この光反射性電極上に有機EL層160を形成し、さらに最上層に透明電極を形成する。そして、封止基板113の材質として、例えばガラス等を用いる。さらに封止基板113の材質としては、光を透過させる性質を有するもので、かつ、硬質の基材であるならばガラス以外のポリスチレン、ポリプロピレン等の高分子化合物を材質とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施形態に係る有機EL表示装置の全体図である。
【図2】本実施形態に係る有機EL表示装置の図1のX−Xにおける矢視断面図である。
【図3】本実施形態に係る有機EL表示装置を部分的に説明するものであり、そのうち、(a)は画素電極を囲むバンクの拡大図、(b)は図3(a)のB−Bにおける矢視断面図、(c)は図3(a)のC−Cにおける矢視断面図、(d)は図3(a)のD−Dにおける矢視断面図である。
【図4】ポジ型の感光性樹脂を用いる場合において、フォトマスクの具体例を説明するものであり、そのうち(a)はハーフ開口部がチェッカー形状の模式図であり、(b)はハーフ開口部がストライプ形状の模式図であり、(c)はこれらのフォトマスクを用いて作成されたバンクを図示する模式図である。
【図5】本実施形態に係る有機EL表示装置を製造する工程を説明する模式図である。
【図6】(a)は、横壁の高さが縦壁の高さよりも低い場合で、有機EL材料を溶解させた溶液が縦壁に流れ出さないようすを説明する斜視図であり、(b)は、横壁の高さと縦壁の高さとが同一の場合で、有機EL材料を溶解させた溶液が縦壁に流れ出すようすを説明する斜視図である。
【図7】ネガ型の感光性樹脂を用いる場合において、フォトマスクの具体例を説明するものであり、そのうち(a)はハーフ開口部がチェッカー形状の模式図であり、(b)はハーフ開口部がストライプ形状の模式図であり、(c)はこれらのフォトマスクを用いて作成されたバンクを図示する模式図である。
【図8】フォトマスクの具体例を説明するものであり、そのうち(a)はハーフ開口部の中央が開口してようすを図示する模式図であり、(b)はハーフ開口部の中央が遮光しているようすを図示する模式図であり、(c)はこれらのフォトマスクを用いて作成されたバンクを上方から図示する模式図であり、(d)はこれらのフォトマスクを用いて作成されたバンクの断面図である。
【図9】縦壁の高さが横壁の高さよりも低い場合で、有機EL材料を溶解させた溶液が縦壁に流れ出さないようすを説明する斜眼図である。
【図10】ポジ型の感光性樹脂を用いる場合において、フォトマスクの具体例を説明するものであり、そのうち(a)はハーフ開口部が横方向のストライプ形状であり、(b)及び(c)はハーフ開口部が斜線形状であり、(d)はハーフ開口部がチェック模様であり、(e)はハーフ開口部が渦巻き模様である。
【符号の説明】
【0073】
110 基板
113 封止基板
120 バンク
120a 縦壁
120b 横壁
130 下地絶縁膜
140 画素電極
150 対向電極
160 有機EL層
170 有機EL材料含有液
180 吐出口
190 塗布装置
220 保護膜
230 接着層
310 開口部
320 遮光部
330 ハーフ開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された複数の第1電極と、
前記第1電極を囲む第1の部位及び第2の部位を有し、前記第2の部位の高さが前記第1の部位の高さよりも低いバンクと、
前記複数の第1電極のそれぞれの上に形成された有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極と、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
前記複数の第1電極は、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿ってマトリクス状に配置され、
前記第1方向に沿って配列された複数の第1電極上には、同一の発光色の前記有機エレクトロルミネッセンス層が形成され、前記第2方向に沿って前記バンクを介して互いに隣接して配置される複数の第1電極上には、互いに異なる発光色の前記有機エレクトロルミネッセンス層が形成され、
前記バンクは、前記第1の部位が前記第1の方向に沿って設けられ、前記第2の部位が前記第2の方向に沿って設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
前記バンクは、前記第1の部位が互いに対向して設けられ、前記第2の部位が互いに対向して設けられた矩形の開口部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項4】
前記第2の部位は、頭頂部から下に傾斜している傾斜部分を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項5】
前記バンクの前記第2の部位の高さは、前記バンクの前記第1の部位の高さの0.6倍から0.8倍である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に配置された複数の第1電極と、
前記第1電極を囲む第1の部位及び第2の部位を有し、前記第2の部位の高さが前記第1の部位の高さよりも低いバンクと、
前記複数の第1電極のうち前記第1の部位に沿って配置された第1電極上に同一の材料が堆積され、前記第2の部位に沿って前記バンクを介して互いに隣接して配置される第1電極上に互いに異なる材料が堆積されることによってなる複数の有機エレクトロルミネッセンス層と、
前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極と、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項7】
基板上に設けられた複数の第1電極を囲む第1の部位と前記第1の部位の高さよりも低い第2の部位とを有するバンクを形成するバンク形成工程と、
前記第2の部位をまたいで前記複数の第1電極上に連続して有機エレクトロルミネッセンス材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液を塗布する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液塗布工程と、
を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記複数の第1電極は、第1方向及び前記第1方向に直交する第2方向に沿ってマトリクス状に配置され、
有機エレクトロルミネッセンス材料含有液塗布工程は、前記第1方向に沿って配列された複数の第1電極上には、同一の発光色の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液を塗布するとともに、前記第2方向に沿って前記バンクを介して互いに隣接して配置される複数の第1電極上には、互いに異なる発光色の有機エレクトロルミネッセンス材料を含有する有機エレクトロルミネッセンス材料含有液を塗布する、
ことを特徴とする請求項7記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記バンク形成工程は、
前記基板上に感光性樹脂を配置する工程と、
前記感光性樹脂の第1の部位形成予定領域と第2の部位形成予定領域とを異なった光量で露光する露光工程と、
前記感光性樹脂を感光度に応じて現像することにより、前記第1の部位及び前記第2の部位を形成する工程と、を有する、
ことを特徴とする請求項7又は8記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記露光工程は、前記第2の部位形成予定領域の露光度が前記第1の部位の延在方向に沿って変化するように、前記感光性樹脂を露光する、
ことを特徴とする請求項8記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記露光工程は、光を遮光する遮光部と、光を透過させる開口部と、単位面積あたりの光透過量が前記遮光部の透過量より少なく、前記開口部の透過量より多いハーフ開口部と、を有するフォトマスクを用いて露光する、
ことを特徴とする請求項8又は9記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−70859(P2009−70859A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234761(P2007−234761)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】