説明

有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能なコンパウンドの連続的製造方法

【課題】湿分を排除した場合に貯蔵可能で、室温で湿分が侵入することで架橋する有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能なコンパウンドを、未硬化状態で使用する場合に歪みに対する高い抵抗性で、硬化状態における引張荷重に対する低い抵抗性であるように連続的に製造する。
【解決手段】有機ケイ素化合物(A)及び固形物質(B)と、場合により他の成分を含有する混合物を、少なくとも1つの回転する混合軸を有する混合装置中で連続的に製造するための方法において、少なくとも1つの混合軸が、10度より大きい水平に対する傾斜角を有し、かつ固形物質(B)用の取入開口が、排出開口より高くに配置されていることにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物と固形物質、特に補強性充填剤との混合に際しての被混合物の低い機械的負荷を特徴とする、有機ケイ素化合物を基礎とする混合物、特に架橋可能なコンパウンドの連続的製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湿分を排除した場合に貯蔵可能で、室温で湿分が侵入することで架橋する有機ケイ素化合物を基礎とする架橋可能なコンパウンド、いわゆるRTV1−シールコンパウンドは、既に長い間にわたり知られている。前記コンパウンドは、主に、加水分解可能な基を有する有機ケイ素化合物と補強性充填剤、例えば高分散性シリカとを含有する。前記製品は、建築産業において目地仕上げ材料及び封止材料として多量に使用され、係る産業では、それらは種々の下地への良好な付着の他に、とりわけ2つの特性を有さねばならない。その特性は、一方で、未硬化状態で使用する場合に歪みに対する高い抵抗性であり、他方で、硬化状態における引張荷重に対する低い抵抗性である。使用時の歪みに対する抵抗性、従って特に、目地仕上げの平滑過程での抵抗性は、ユーザーにより"ボディ(body)"とも呼ばれている。この"ボディ"は、目地仕上げを行う者の要求に応じて、できる限り大きくなければならない。RTV1−シールコンパウンドが良好な安定性の点で優れているにもかかわらず、従って未硬化状態において既に歪みに対して所定の抵抗性を有するにもかかわらず、ユーザーによって、一般に、歪みに対する実質的により大きな抵抗性が望まれる。引張荷重があった場合の目地中で硬化したRTV1−シールコンパウンドの抵抗性は大抵は小さいことが望ましい。それというのも、それによって、下地に対するシールコンパウンドの付着面への応力作用ができる限り低いことが保証されるからである。引張荷重時の抵抗性が大きければ、例えば建物の目地が部材の冷却によって拡大した場合に、RTV1−シールコンパウンドの付着面に対して大きな応力がかかる。シールコンパウンドの下地からの引裂は、その際、非常に迅速に起こることがあり、封止された目地はその機能をもはや果たさなくなることとなる。
【0003】
確かに、前記の2つの特性は、RTV1−シールコンパウンド中の補強性充填剤の含有率を介して、それぞれ非常に良好に調節することができる。しかしながら、未硬化状態での歪みに対する抵抗性は、RTV1−シールコンパウンド中に高い含有率の補強性充填剤を必要とする一方で、硬化されたRTV1−シールコンパウンドの低い引張応力値を達成するためには、補強性充填剤は少量であることが必要となる。引張応力値についての上限は、例えば規格ISO11600クラス25LMからもたらされる。これは、いわゆるH型試験片の100%伸び時の引張応力値(モジュール)が最大で0.4MPaであることを要求する。前記の規格は、RTV1−シールコンパウンド中の補強性充填剤の含有率をできる限り低く保つ場合にのみ遵守される。補強性充填剤のより高い含有率は、上述の限界値を超えてモジュールの劇的な上昇を直ちにもたらす。しかしながら、目地仕上げに際しての歪みに対する最大抵抗を保証するための類似の規格は、今までに存在しない。従って、公知の連続的に製造されるRTV1−シールコンパウンドは、比較的低い含有率の補強性充填剤を含有している。それというのも、この低い含有率は、前記の例示した低いモジュールについての規格の遵守を確かなものにするからである。使用時の歪みに対する低い抵抗性といったユーザーに望まれない欠点は、一般に受け入れざるをえなかった。
【0004】
目地仕上げに際しての歪みに対する抵抗性を高める試みは既に数多く存在していたが、その場合に最大限可能な引張応力値についての限界は越えられてない。しかも、前記の解決策は、非常に高い確率で、RTV1−シールコンパウンドの別の特性に悪影響を及ぼす。ここで、基本的に、高いポリマー粘度の使用において可能性がある。このことは、目地仕上げに際しての歪みに対する抵抗性も、引張荷重に際しての低い引張応力値をも可能にすると思われる。しかしながら、それによって、係る極めて高いポリマー粘度は技術的にもはや取り扱えないことが想定される。更に、RTV1−シールコンパウンドは、その際、使用時に不所望に高い糸引きを示すと思われる。
【0005】
EP−A1−857750号では、ポリアルキレンオキシドをレオロジー添加剤として一緒に混加することを提案している。しかしながら、前記の添加剤は、非常に不利に、種々の下地に対するRTV1−シールコンパウンドの必要となる付着性を悪化させる。従って、架橋可能なコンパウンドの使用分野は、非常に制限される。更なる問題は、RTV1−シールコンパウンドの今まで記載されてきた連続的な製造方法である。有機ケイ素化合物中に混加せねばならない補強性充填剤が比較的少量であるにもかかわらず、連続的な製造は困難である。それというのも、係るコンパウンドは、互いに混和することが非常に困難な粉末形の固形物質と高粘性ポリマーだからである。
【0006】
RTV−コンパウンドの製造は、従って、非常に高速に回転する混合機構を有する混合装置中で行われる。高い回転数によって、短時間で、非常に多くの補強性充填剤を有機ケイ素化合物中に混加することが望ましい。引き続き、その高い回転数は、補強性充填剤のできる限り強力な分散を達成するために役立つ。EP−A−1008613号では、例えば混合タービンを記載している。ローターの高い回転数及びローターと内壁との間の小さい剪断ギャップによって、被混合物は機械的負荷を受けて、混合物の温度は100℃より高まる。EP−B−0512730号は、二軸スクリュー混練機によってオルガノポリシロキサン中に高分散性シリカを導入することを教示している。ここでもまた、混合過程での強い機械的負荷に基づいて、被混合物の激しい加熱がもたらされる。機械的負荷とは無関係に、温度負荷も、RTV−コンパウンドの障害をもたらすことがある。ここで例えば、貯蔵安定性が低下することがある。
【0007】
RTV−コンパウンドの全ての記載される方法は、一般に、更に、バレル、カートリッジもしくはチューブラーバッグ等の気密容器に詰め替えるために、極めて高粘性の被混合物を混合後に技術的に非常に労力をかけて再冷却させねばならないという大きな欠点を有する。被混合物が温かすぎる場合に、その容器は、体積収縮のため、RTV1−シールコンパウンドの冷却後に変形すると思われる。
【特許文献1】EP−A1−857750号
【特許文献2】EP−A−1008613号
【特許文献3】EP−B−0512730号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、前記の従来技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、有機ケイ素化合物(A)及び固形物質(B)と、場合により他の成分を含有する混合物を、少なくとも1つの回転する混合軸を有する混合装置中で連続的に製造するための方法において、少なくとも1つの混合軸が、10度より大きい水平に対する傾斜角を有し、かつ固形物質(B)用の取入開口が、排出開口より高くに配置されていることを特徴とする製造方法である。
【0010】
本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、今までにも、例えば縮合反応により架橋可能なコンパウンドに関して固形物質との混合物が共に製造されていた任意の有機ケイ素化合物であってよい。
【0011】
成分(A)は、純粋なシロキサン、従って≡Si−O−Si≡構造であっても、シルカルバン、従って≡Si−R′′−Si≡構造であってもよく、その式中、R′′は、二価の置換もしくは非置換のもしくはヘテロ原子で中断されていてよい炭化水素基又は任意の有機ケイ素基を有するコポリマーであってよい。
【0012】
好ましくは、本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、式
abSiX(4-a-b)/2 (I)
[式中、
Rは、同一もしくは異なってよく、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
Yは、同一もしくは異なってよく、ヒドロキシル基もしくは加水分解可能な基を意味し、
Xは、同一もしくは異なってよく、酸素原子もしくは二価の有機基を意味し、
aは、0、1、2もしくは3、有利には1もしくは2であり、かつ
bは、0、1、2もしくは3、有利には0、1もしくは2、特に好ましくは0であるが、但し、
a+bからなる合計は、3以下である]で示される少なくとも1つの単位を有する化合物である。
【0013】
好ましくは、基Rは、1〜18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、前記基は、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)−グリコール基により置換されていてよく、その際、この最後の基は、オキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位から構成されており、特に好ましくは、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、特に、メチル基である。しかしながら、基Rは、例えば2つのシリル基に互いに結合している二価の基であってもよい。
【0014】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基;例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基及び2−プロペニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0015】
置換された基Rのための例は、置換されたメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基及びエトキシエトキシエチル基又はクロロプロピル基及びトリフルオロプロピル基である。
【0016】
二価の基Rのための例は、エチレン基、ポリイソブチレンジイル基及びプロパンジイル末端のポリプロピレングリコール基である。
【0017】
基Yは、ヒドロキシル基及び、酸素原子もしくは窒素原子を介してケイ素原子に結合された、置換もしくは非置換の任意の炭化水素基であってよい。
【0018】
好ましくは、基Yは、ヒドロキシル基、R1が置換もしくは非置換の炭化水素を意味する基−OR1、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基及び2−メトキシエトキシ基、アシルオキシ基、例えばアセトキシ基、アミノ基、例えばメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びシクロヘキシルアミノ基、アミド基、例えばN−メチルアセトアミド基及びベンザミド基、アミノオキシ基、例えばジエチルアミノオキシ基、オキシモ基、例えばメチルエチルケトキシモ基及びメチルイソブチルケトキシモ基及びエノキシ基、例えば2−プロペンオキシ基である。
【0019】
基R1の例は、Rについて示される一価の基である。
【0020】
好ましくは、基R1は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル基もしくはエチル基である。
【0021】
特に好ましくは、基Yは、ヒドロキシル基、R1が上述の意味を有する基−OR1及びアシルオキシ基、特にアセトキシ基、メトキシ基及びエトキシ基である。
【0022】
好ましくは、基Xは、酸素原子又はSiC結合された置換もしくは非置換の、酸素原子で中断されていてよい、二価の炭化水素基、特に酸素原子である。
【0023】
基Xのための例は、−O−、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びα,ω−ビス(プロピレン)ポリプロピレンオキシド基である。
【0024】
特に好ましくは、本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、式
3-ffSi−O−(SiR2−O)c(SiRY−O)d−SiRf3-f (II)
で示される化合物及び式
3-ffSi(CH21-3[NHCO]e−O(CH2CHR2−O−)g[CONH]e(CH21-3SifRY3-f (III)
[式中、
R及びYは、それぞれ同一もしくは異なってよく、上述の意味を有し、
2は、同一もしくは異なってよく、水素原子もしくはメチル基であり、
cは、0もしくは30〜3000の整数であり、好ましくは30〜3000の整数であり、
dは、0もしくは1〜20の整数であり、好ましくは0もしくは1であり、
eは、同一もしくは異なってよく、0もしくは1であり、
gは、30〜3000の整数であり、かつ
fは、それぞれ同一もしくは異なってよく、0、1もしくは2である]で示される化合物からなる群から選択される化合物である。
【0025】
好ましくは、fは、Yが−OHである場合に2であり、かつfは、Yが−OHとは異なる場合に1もしくは0である。
【0026】
特に、成分(A)は、式(I)の単位からなり、殊に好ましくは1分子当たりに少なくとも2つの基Yを有するオルガノポリシロキサンである。
【0027】
本発明による方法で使用される成分(A)は、方法条件下で液状である。
【0028】
本発明により使用される有機ケイ素化合物(A)は、好ましくは、それぞれ25℃で測定されて、好ましくは30〜10000000mPas、特に好ましくは1000〜5000000mPas、殊に好ましくは10000mPas〜1000000mPasの粘度を有する化合物である。
【0029】
有機ケイ素化合物(A)のための例は、
(MeO)2MeSiO[SiMe2O]30-2000SiMe(OMe)2
(AcO)2MeSiO[SiMe2O]30-2000SiMe(OAc)2
(OH)Me2SiO[SiMe2O]30-2000SiMe2(OH)、
(EtO)2MeSiO[SiMe2O]30-2000SiMe(OEt)2
(EtO)2モルホリノメチルSiO[SiMe2O]30-2000Siモルホリノメチル(OEt)2
(EtO)3SiO[SiMe2O]30-2000Siモルホリノメチル(OEt)2
(EtO)2シクロヘキシルアミノメチルSiO[SiMe2O]30-2000Siシクロヘキシルアミノメチル(OEt)2
(MeO)2ViSiO[SiMe2O]30-2000SiVi(OMe)2
(MeO)2MeSiO[SiMe2O]30-2000SiVi(OMe)2
(AcO)2ViSiO[SiMe2O]30-2000SiVi(OAc)2
(AcO)2EtSiO[SiMe2O]30-2000SiEt(OAc)2
(Ox)2MeSiO[SiMe2O]30-2000SiMe(Ox)2
(Ox)2ViSiO[SiMe2O]30-2000SiVi(Ox)2
(Ox)2MeSiO[SiMe2O]30-2000SiVi(Ox)2
(Ox)3SiO[SiMe2O]30-2000Si(Ox)3、及び
(EtO)2ViSiO[SiMe2O]30-2000SiVi(OEt)2であり、それらの式中、
Meは、メチル基、Etは、エチル基、Viは、ビニル基、Acは、アセトキシ基、かつOxは、エチルメチルケトキシモ基を意味する。
【0030】
ポリマーの有機ケイ素化合物(A)のための他の例は、少なくとも1つの式(I)の基を有する有機ポリマー、例えばポリイソブチレン及びポリイソブチレンとイソプレンとのコポリマー;ポリクロロプレン;ポリイソプレン;ポリウレタン;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタクリレート;ビニルポリマー及びポリカーボネートである。
【0031】
本発明により使用されるポリマーの有機ケイ素化合物(A)は、ホモポリマーでも、コポリマーでもよく、それぞれ直鎖状もしくは分枝鎖状であってよい。
【0032】
有機ケイ素化合物(A)は、市販の製品であるか又は、ケイ素化学において慣用の方法により製造することができる。
【0033】
本発明による方法で使用される固形物質(B)は、好ましくは、粉末形の固形物質であり、それらは表面処理されていても、物理的に及び/又は化学的に結合した水を含んでいてもよい。特に好ましくは、前記固形物質は、流動化可能な固形物質、すなわち流体のそれに匹敵する流動挙動を示す固形物質である。
【0034】
本発明により使用される固形物質(B)は、好ましくは1m2/gより高い、特に好ましくは1〜400m2/g、特に50〜250m2/gのBET表面積を有する。
【0035】
本発明により使用される固形物質(B)のための例は、非補強性充填剤、従って50m2/gまでのBET表面積を有する充填剤、例えば石英、珪藻土、磨砕石灰岩、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄もしくは酸化亜鉛あるいはこれらの混合酸化物、硫酸バリウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末及びプラスチック粉末、例えばポリアクリロニトリル粉末;PTFE粉末、脂肪酸アミド、例えばエチレンビスステアラミド及び微分散疎水性ポリウレタン;補強性充填剤、従って50m2/gを上回るBET表面積を有する充填剤、例えば熱分解により製造されたシリカ、沈降シリカ、カーボンブラック、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、並びにより大きいBET表面積のケイ素−アルミニウム混合酸化物;繊維状充填剤、例えばプラスチック繊維である。上述の充填剤は、例えばオルガノシランあるいはオルガノシロキサンでの又はステアリン酸での処理によって又はヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化によって疎水化されていてよい。
【0036】
特に好ましくは、固形物質(B)は、親水性もしくは疎水性の、熱分解もしくは沈降シリカ及び沈降もしくは磨砕炭酸カルシウム、特に炭酸カルシウム及び熱分解により製造されたシリカである。
【0037】
固形物質(B)が高分散性シリカである場合に、これらは、好ましくは1000g/l未満の嵩密度(25℃及び周囲雰囲気の圧力で)、特に好ましくは200g/l未満の、特に10〜120g/lの嵩密度を有する。
【0038】
好ましくは、本発明による方法において、それぞれ100質量部の成分(A)に対して、3〜300質量部の、特に好ましくは5〜200質量部の、特に10〜100質量部の固形物質(B)が使用される。
【0039】
本発明による方法で場合により使用される他の成分は、今までにも有機ケイ素化合物と固形物質を含有する混合物において使用されていた任意の物質であってよい。その際、種類と量は、その都度の使用分野に応じ、それは当業者には公知である。
【0040】
例えば、本発明による方法に従って架橋可能なコンパウンドを製造すべきであれば、それは好ましいが、他の成分として、それに慣用の成分、例えば架橋剤(C)、触媒(D)、可塑剤(E)、定着剤(F)及び添加剤(G)を使用することができる。本発明による方法に従って製造できる架橋可能なコンパウンドは、好ましくは、縮合反応によって架橋可能なコンパウンド、付加反応によって架橋可能なコンパウンド、ペルオキシドにより架橋可能なコンパウンド並びに放射線架橋が可能なコンパウンド、特に縮合反応によって架橋可能なコンパウンドである。
【0041】
本発明による方法において、成分(C)として、所望であれば、架橋剤を使用することができる。その際、係る架橋剤は、少なくとも3つの架橋可能な基を有する任意の従来公知の架橋剤、例えば有利には少なくとも3つの縮合可能な基を有するシランもしくはシロキサンであってよい。
【0042】
特に好ましくは、本発明による方法で場合により使用される架橋剤(C)は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−(グリシドキシ)プロピルトリエトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルビニルジアセトキシシラン並びに前記の有機ケイ素化合物の部分加水分解物、例えばヘキサエトキシジシロキサンであり、それらは場合により同時加水分解によって、例えばメチルトリメトキシシランとジメチルジメトキシシランの同時加水分解によって製造することができる。
【0043】
特に、本発明により場合により使用される架橋剤(C)は、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン並びにそれらの部分加水分解物、特にメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン並びにそれらの部分加水分解物である。
【0044】
本発明による方法で場合により使用される架橋剤(C)がシランの部分加水分解物である場合に、10個までのケイ素原子を有するものが好ましい。
【0045】
特に挙げられてはいないが、場合により使用される架橋剤(C)は、製造に応じて、好ましくは全てのSi結合された基の最大で5%までの低い割合のヒドロキシル基を有することもある。
【0046】
本発明による方法で場合により使用される架橋剤(C)は、市販の製品であるか、又は、ケイ素化学において公知の方法により製造されてよい。
【0047】
本発明による方法で架橋剤(C)を使用する場合には、その量は、それぞれ100質量部の成分(A)に対して、好ましくは、0.01〜20質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部、特に3〜8質量部である。架橋剤(C)を使用することが好ましい。
【0048】
場合により使用される触媒(D)のための例は、スズ、亜鉛、ジルコニウム、チタン及びアルミニウムの有機化合物である。前記の縮合触媒のうち好ましいのは、ブチルチタネート及び有機スズ化合物、例えばジ−n−ブチルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズジラウレート及び1分子当たりに少なくとも2つの、酸素を介して珪素に結合された、アルコキシ基によって置換されていてよい一価の炭化水素基を加水分解可能な基として有するシランもしくはそれらのオリゴマーとジオルガノスズジアシレートとの反応生成物であり、その際、前記の反応生成物において、全てのスズ原子の原子価は、基≡SiOSn≡の酸素原子によって、あるいはSnC結合された一価の有機基によって飽和されている。
【0049】
本発明により触媒(D)が使用される場合には、その量は、それぞれ100質量部の架橋可能なコンパウンドに対して、好ましくは0.0001〜5質量部、特に好ましくは0.001〜2質量部である。
【0050】
場合により使用される可塑剤(E)のための例は、室温で液状で、トリメチルシロキシ基で末端封鎖されたジメチルポリシロキサンであって、特に25℃での粘度が10〜1000mPasであるもの、並びに高沸点の炭化水素、例えばジアルキルベンゼン、ジアルキルナフタレン又はナフテン系とパラフィン系の単位からなる鉱油、ポリグリコール、特にポリプロピレングリコールであって、場合により置換されていてよいもの、ジカルボン酸の高沸点のエステル、例えばフタレート、クエン酸エステルもしくはジエステル、液状のポリエステル又はメタクリレート並びにアルキルスルホン酸エステルである。
【0051】
本発明による方法で可塑剤(E)が使用される場合には、その量は、それぞれ100質量部の架橋可能なコンパウンドに対して、好ましくは1〜50質量部、特に好ましくは5〜35質量部、特に5〜25質量部である。可塑剤(E)を使用することが好ましい。
【0052】
本発明による方法で場合により使用される定着剤(F)のための例は、官能基を有するシラン及びオルガノポリシロキサン、例えばグリシドキシプロピル基、アミノ基もしくはメタクリルオキシプロピル基を有するシラン並びにテトラアルコキシシラン及び場合によりアルコキシ基を有してよいT単位又はQ単位を含有するシロキサンである。しかしながら、既に他の成分、例えば成分(A)もしくは(C)が、前述の官能基を有する場合には、定着剤の添加を省くことができる。
【0053】
本発明による方法で定着剤(F)が使用される場合には、その量は、それぞれ100質量部の架橋可能なコンパウンドに対して、好ましくは0.001〜10質量部、特に好ましくは0.01〜5質量部、特に0.1〜5質量部である。
【0054】
場合により使用される添加剤(H)のための例は、顔料、着色剤、香料、酸化防止剤、電気的特性に影響を及ぼす剤、例えば導電性カーボンブラック、難燃化剤、光保護剤及び皮膜形成時間の延長のための剤、例えばSiC結合されたメルカプトアルキル基を有するシラン、気泡形成剤、例えばアゾジカルボンアミド、熱安定剤及びチキソトロピー剤、例えばポリエーテル及び硬化ひまし油並びに有機溶剤、例えばアルキル芳香族化合物、安定化剤、例えばリン酸エステル、ホスホン酸、殺生剤、例えば殺真菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、分散助剤及びモジュール調節剤、例えばOH末端基を有するポリジメチルシロキサンである。
【0055】
本発明による方法で使用されるべき成分(H)の量は、添加剤の種類に応じ、それは当業者に公知である。
【0056】
本発明による方法に使用される成分は、それぞれ、前記成分の1種類でも、それぞれの成分の少なくとも2種の種類の混合物であってもよい。
【0057】
液状の有機ケイ素化合物(A)と少なくとも1つの固形物質(B)とを混合するための本発明による連続的な方法に特徴的なことは、まず、前記固形物質の液体での湿潤が、非常に迅速にも、被混合物の小さい機械的応力でも行われるということである。引き続き、被混合物に、混合作業の要求に応じて、狙い通りに種々の強さの機械的応力をかけることができる。その際、湿潤後の機械的応力の程度は、狙い通りに、混合軸の回転数と、混合装置中の被混合物の滞留時間の適合によって制御され、その際、高い回転数と高い充填状態は、所定の混合装置と配合において、より強い機械的応力をもたらす。従って、混合作業全体を、非常に迅速に、かつ狙い通りに調整可能な機械的負荷で、唯一の方法工程で実施できる可能性がある。
【0058】
好ましくは、固形物質と液体とは、混合装置において、混合品質の視覚的評価で目立って湿潤されていない充填剤分が存在しないほど十分に混合される。
【0059】
本発明による方法で使用される混合装置は、好ましくは、内壁が混合室を取り囲むケーシングと、その中に配置された少なくとも1つの回転する混合機構を有する。回転する混合機構とは、混合機構自体が回転するか、又はそれに対してケーシングもしくは混合機構とケーシングの両方が回転することを表し、その際、混合機構が回転してケーシングが固定されていることが好ましい。
【0060】
複数の混合機構を有する混合装置、特に2つの混合機構を有する混合装置が好ましい。
【0061】
該混合機構は、好ましくは、1つの回転する混合軸と、その軸上に配置された複数の混合エレメントから少なくとも成っている。その際、混合室中の混合軸の長さと全混合機構の最大回転横断面の直径との商は、好ましくは1より大きく、特に好ましくは1.5〜30であり、特に2〜10である。更に、該混合軸は、好ましくは混合室と少なくとも同じ長さである。混合エレメントが配置されている混合軸に沿った領域は、混合区間である。混合区間は混合室と同じ長さであることが好ましい。
【0062】
本発明による方法では、混合区間の長さと混合機構の最大回転横断面の直径との比率は、2:1より大きく、特に好ましくは3:1〜30:1である。
【0063】
混合領域は、回転する混合機構から張り出した空間であり、その際、被混合物が回転機構の回転運動と剪断力とによって引き起こされる層流と乱流を受ける領域も含まれる。
【0064】
混合室は、出発成分用の少なくとも1つの取入開口と、被混合物用の少なくとも1つの排出開口を備えている。取入開口は、好ましくは、固形物質(B)の湿潤を特徴付ける混合区間の始端に存在する。混合区間の始端から終端までの被混合物の搬送方向に対して、被混合物用の排出開口は、好ましくは混合区間の終端に配置されている。
【0065】
混合区間に沿った被混合物の搬送は、2つの異なる様式で行うことができ、それらは相互に補うことができる。
【0066】
被混合物は、例えば混合室を通じて排出開口よりも取入開口の圧力をより高くすることによって押圧することができる。しかしながら、その際に、完全に湿潤していない被混合物の破損の危険性があるので、それは好ましくない。
【0067】
好ましくは、被混合物は、常に一定の搬送作用を有する混合エレメント又は付加的な搬送エレメントによって搬送される。
【0068】
被混合物は、混合エレメントの作用に加えて、重力の影響によって、取入開口から排出開口の方向に向かって、混合軸の傾斜によって制限されて搬送される。
【0069】
しかしながら、本発明による方法では、被混合物の搬送過程は、実質的に本発明による混合軸の傾斜によって強化される。それにより、回転機構の回転で上方に連行される有機ケイ素化合物(A)は、下方に少しずつ排出開口に向かって降りるとともに、好ましくは使用される粉末形の、特に流動化可能な固形物質(B)及び場合により他の成分へと到達する。更に、被混合物は、例えば混合エレメントが毎回重なり合ったときに、取入開口方向よりも排出開口方向に強く押し進められる。それというのも、取入開口方向への被混合物の搬送は、重力に逆らわねばならないからである。
【0070】
本発明による方法では、混合軸の少なくとも1つは、水平と90度の直角との間の四分円の区分に当てはめて、水平に対して10〜90度、好ましくは20〜70度、特に30〜60度の角度を有し、その際、全ての混合軸が前記の水平に対する角度を有することが好ましい。
【0071】
前記の本発明による装置は、湿潤していない、好ましくは粉末形の、特に流動化可能な固体を、混合軸に沿って排出開口方向に搬送を高めることによって、RTV1−シールコンパウンドの製造に際して従来公知の混合軸の水平方向の位置設定よりも実質的に効果的な出発成分の混合を保証する。
【0072】
本発明による方法では、混合機構の周囲速度は、特に被混合物の機械的負荷の制限のために、好ましくは0.1〜10m/s、特に好ましくは0.1〜5m/s、特に0.2〜2.0m/sである。本発明の範囲における周囲速度とは、混合機構の外周の速度を表すべきである。この場所において、通常は、被混合物の最強の機械的負荷が起こり、その際、被混合物の機械的負荷は、主に圧縮と剪断とによって引き起こされる。
【0073】
被混合物の機械的負荷の強度のための他の基準は、混合過程を通じた被混合物の加熱である。本発明による方法では、機械的負荷による被混合物の加熱は、好ましくは最大で30K、特に好ましくは0〜20Kである。特定の混合目的を満たすために、本発明による方法では、冷却されたもしくは加熱された混合装置を使用することが好ましいことがある。本発明により使用される混合装置が冷却される場合には、例えば二重ジャケット型装置を使用する場合には、好ましい温度上昇は、−10K〜20K、特に好ましくは0〜15K、特に0〜10Kである。ここで、本発明による方法では、例えば分散助剤の液化もしくは気化などの装置状態の変更を利用もしくは防止する条件を狙い通りに作り出すことができるが、それは好ましくはない。
【0074】
所望であれば、混合室は、周囲雰囲気の圧力と比較して、減圧もしくは過圧を有してよく、その際、減圧下での、例えば50〜200hPaの圧力での混合が好ましい。
【0075】
好ましくは、本発明による方法は、−10〜250℃の温度で、特に好ましくは10〜60℃で、特に室温で、又は成分の混合時に生ずる条件で行われる。
【0076】
加熱する場合(これは好ましくない)と冷却する場合(これは好ましい)には、例えば混合装置のケーシングは、被混合物の温度調節のために、例えば冷却される中空の混合軸などの混合機構の一部としても、又は例えば冷却コイルなどの付加的な内部構造物としても利用される。
【0077】
所望であれば、本発明による方法では、混合室の異なる領域を、それぞれ異なるプロセス技術的パラメータで運転させることができる。
【0078】
本発明による方法では、混合室と混合領域の容量差、従っていわゆる空所は可能な限り小さく、その際、混合室は任意の横断面を有してよい。その際、理想的には、ケーシング内壁の形状は、混合領域の形状に適合されている。
【0079】
1つだけの混合軸しか存在しない場合には、混合室は、好ましくは回転対称に構成されている。それというのも、それによって軽微な望ましくない生成物の付着と混合室内の空所を回避できるからである。特に、混合室は、円筒形もしくは円錐形、特に円筒形であることが好ましい。
【0080】
複数の混合軸が存在する場合に、混合室は、複数の回転対称の混合室からなり、それらは部分的に重なり合っていてよく、それが特に好ましい。
【0081】
好ましくは、混合室は、0.001〜20m3、特に0.01〜2m3の容量を有する。
【0082】
本発明による方法では、回転する混合軸上に混合エレメントが配置されており、その混合エレメントが、特に固形物質と液体との混合をもたらす。複数の混合軸が配置されている場合には、それが好ましいが、その際、2つの混合軸が殊に好ましく、その場合には、複数の混合領域が生ずる。これらの混合領域は、接しているか又は重なり合っていることが好ましく、その際、重なり合っていることが特に好ましい。
【0083】
混合軸は、自体直線でかつ軸平行に互いに配置されているが、それらの混合軸は、60度までの角度において互いに配置されていてもよい。
【0084】
複数の混合機構が存在する場合に、長さと直径からの好ましい商は、最長の混合機構の長さと、それぞれの混合機構の最大回転横断面の直径に関連すべきである。
【0085】
本発明により使用される混合装置では、回転する混合エレメントとケーシング内壁との間の間隔はできる限り小さく、それによって内壁への被混合物の沈着の可能性が低下する。ここで、混合エレメントと内壁との間の最大間隔は10cmであることが好ましく、特に最大5cmの間隔が好ましく、その際、その間隔は、特に0.1〜2.0cmである。
【0086】
好ましくは、混合軸は、0.5〜20mの長さを有し、その際、1〜10mの長さが特に好ましい。
【0087】
好ましくは、混合軸は、コンパクトに構成されている。すなわち、混合軸は、固定されており、混合の条件下で変形せず、又は少しだけ変形するにすぎない。しかしながら、例えば回転方向を変更した場合に混合機構もしくは内壁の清浄化をもたらす狙い通りに可動な部材が配置されていてよい。
【0088】
また、複数の混合軸は、それらが固定した芯部周りに環状に配置されるように直列もしくは並列に取り付けられていてもよい。その際、混合軸は、それぞれ互いに無関係に、任意の回転速度と回転方向を有してよい。ここで、例えば2つの混合軸は、互いに逆方向もしくは同方向に運動しうる。
【0089】
本発明による方法で複数の混合軸を有する混合装置を使用する場合に、これらの混合装置は、好ましくは同方向の運動を有する。
【0090】
記載された混合エレメントが混合軸上に配置されていてよいことと同様に、混合装置の内壁への混合エレメントの配置も可能であるが、それは好ましくはない。1つだけの混合機構しか存在しない場合には、内壁への付加的な混合エレメントの配置が好ましい。
【0091】
混合軸の回転数は、任意に選択でき、好ましくは、1分間当たり10〜200回転の回転数であり、特に好ましくは1分間当たり10〜150回転の回転数であり、特に1分間当たり30〜120回転の回転数である。
【0092】
所望であれば、混合軸は、例えば生成物の付着を取り払うために、又は特定の混合作用をもたらすために、任意の頻度において、その長軸方向への追加の短い運動を行ってよいが、それは好ましくはない。
【0093】
更に、本発明による方法では、混合軸は、内壁と接触しておらず、かつ軸受けなくして混合室に突き出しており、又は混合装置の任意の場所で、例えば混合室の上部領域で、混合室の下部領域で又は中央で支持されていてよい。
【0094】
本発明による方法では、混合エレメントとして、任意のかつ全ての従来公知の混合エレメントを使用することができる。混合エレメントは、それが混合軸の回転運動を妨げない限りは、それぞれ任意の形状及び寸法を有してよい。ここで、混合機構内部の混合エレメントは、種々の形状及び寸法を有してもよい。
【0095】
混合エレメントは、それが回転運動を妨げない限りは、任意に混合軸上とケーシングの内壁に配置された上位構造(Aufbauten)を有してよい。混合エレメントは、混合軸上にもしくは内壁に、混合機構の回転運動によって行き交う混合エレメントで20cmを越えない最小間隔が与えられるように配置され、あるいは運転されており、その際、10cmを越えない間隔が好ましく、0.1〜5cmの間隔が殊に好ましい。
【0096】
本発明による方法では、混合エレメントの形状と軸及び/又は内壁上へのその配置は、好ましくは、混合エレメントが被混合物を混合軸に沿って狙い通りに搬送するように選択される。搬送作用は、例えば混合エレメントが1つもしくは複数のスクリューコンベヤの一部として配置されていることによって達成できる。ここで、例えば回転方向に関しての前縁は、取入開口に向かって配置されており、かつ後縁は、排出開口に向かって配置されており、その際、平面形の混合エレメントは、平坦であっても湾曲していてもよい。好ましい例は、平板状もしくは螺旋状の実施形態であり、それらは面内で中断されていてよい。
【0097】
更に、複数のT型の混合エレメントが混合軸上に配置されていることが好ましく、相互に撫で合うT型の実施形態が殊に好ましく、それはDE−C−2349106号に記載されており、その内容は、本願に開示されたものとする。特に好ましくは、1つの軸上の複数のT型の混合エレメントは同じ寸法を有し、それによって混合機構は、全体として円柱形に構成されている。前記のT型の混合エレメントは、好ましくは螺旋状に混合軸上に配置されている。
【0098】
被混合物の搬送をもたらす混合エレメントに加えて、本発明によれば、例えば特定の混合作用を達成するために、被混合物の運動を任意に変更するエレメントが配置されていてもよい。ここで、例えば被混合物の部分量を、短い区間、一般的な搬送方向と逆方向に狙い通りに移送することができる。
【0099】
また、可能であり、かつ好ましいのは、ストリップ状に構成されており、内壁に対して僅かな間隔で移動する特定のスクレーパが取り付けられていることであり、それによって被混合物は内壁から集中的に取り除かれる。好ましくは、前記スクレーパは、混合軸上に固定配置されている。
【0100】
本発明による方法で使用される混合機構は、好ましくは0.1〜5m、特に好ましくは0.2〜2m、特に0.5〜1mの最大回転横断面の直径を有する。
【0101】
本発明による方法では、混合すべき成分のための混合室への取入開口を任意に構成することができる。ここで、全ての成分は、1つの取入開口を通じて添加することが可能であるが、それは好ましくはない。好ましくは、少なくとも2つの取入開口が存在する。2つの取入開口が存在している場合に、特に好ましくは、固形物質(B)用の取入開口は、有機ケイ素化合物(A)用の開口の手前に配置されている。他の成分(C)ないし(H)を添加すべきであれば、これらの成分は、既に記載した2つの取入開口の一方を通じて、もしくは別個の開口を通じて配量することができ、その際、好ましくは、前記開口は、有機ケイ素化合物(A)及び固形物質(B)のための取入開口の後に存在する。同様に、成分(C)ないし(H)の幾つかもしくは全てを有機ケイ素化合物(A)と一緒に予備混和して配量することが可能であり、これが好ましい。
【0102】
好ましくは、固形物質(B)用の取入開口と、特に有機ケイ素化合物(A)用の取入開口は、1つの混合軸の直上に(それは特に好ましい)、又は2つの混合領域の重複領域の直上に存在する。
【0103】
しかしながら、有機ケイ素化合物(A)用の取入開口は、内壁周囲の範囲内にも配置されていてよいが、それは好ましくはない。
【0104】
液状の成分は、本発明による方法では、好ましくはポンプを用いて混合室中に搬送される一方で、固形物質は、好ましくは自由落下によって混合室中に達する。
【0105】
特に好ましくは、固形物質用の取入開口は、例えば大気圧下で作業する場合には、固体と一緒に持ち込まれる空気もしくは不活性ガスをその取入開口自体を通じてもしくは他の開口を通じて容易に抜き出すことができるように配置及び構成されている。その際に、空気もしくは不活性ガスを抜き出すための開口は、通洞の形状において好ましくははるか上方に導かれているので、連行された固形物質粒子は再び降下することができる。付加的に、前記の開口は、フィルタ装置で閉ざされていてよく、それにより固形物質粒子は、環境へと放出されない。
【0106】
本発明による方法を真空中で実施すべき場合には、出発成分と一緒に持ち込まれる空気もしくは不活性ガスは、追加の真空開口を通じて取り除くことができ、前記開口は、好ましくは自体公知のドーム形状に構成されている。前記の真空開口は、任意の場所に配置されていてよい。好ましくは、混合区間の始端で混合室の上部領域に配置されている。
【0107】
混合過程を低い圧力で実施する好ましい方策は、固形物質(B)を混合室への配量前に既に減圧にすることであり、その際、前記の場合には、好ましくは当業者に公知のガス往復導管(Gaspendelleitung)が固形物質受容器と混合装置の間に取り付けられている。
【0108】
更に、混合装置の任意のそれぞれの場所に、固形物質、液体の部分量のための又は任意の他の混合成分のための配量開口が配置されていてよい。
【0109】
本発明による方法で使用される混合装置では、排出開口は、任意の形状及び寸法で、混合室の任意の場所に混合区間の終端に配置されていてよい。
【0110】
排出開口は、例えば混合区間の後方終端で混合室の正面に取り付けられていてよく、それが好ましい。しかしながら、前記開口は、ケーシングの周囲に混合区間の後方終端部において接線上で配置されていてもよい。
【0111】
排出開口の範囲内に、好ましくは吐出装置、例えば吐出用二重スクリュー又は歯車ポンプが存在し、前記装置が被混合物を更なる処理へと搬送する。前記の更なる処理は、例えば脱ガス工程、触媒、顔料もしくは定着剤などの他の混合成分の混加、被混合物の冷却又は任意の容器への詰め替えを含んでよい。
【0112】
好ましくは、縮合反応によって架橋可能なコンパウンドの本発明による製造にあたって、該コンパウンドは、混合装置からの吐出直後に、気密容器に貯蔵されるか又は気密容器に詰め替えられる。中間貯蔵をしないで直接的に詰め替えることは、架橋可能なコンパウンドが全ての所望の混合成分を既に含有し、かつ被混合物温度が例えば45℃未満であるため被混合物の冷却が必要ないことを前提としている。全ての方法工程では、空気湿分の排除下で作業することができる。
【0113】
本発明による方法で得られた架橋可能なコンパウンド中に、なおも他の成分、例えば着色ペーストもしくは殺真菌剤が混加されるべきであれば、そのためには好ましくは、回転する混合機構、特に高速回転する混合機構は利用されず、例えばスタティックミキサーが利用される。
【0114】
本発明による方法は、容易に連続的に均質な混合物を製造できるという利点を有している。
【0115】
本発明による方法は、液状の有機ケイ素化合物と粉末形の固形物質との混合を、傷めずにかつ非常に低い被混合物の機械的負荷において実施できるという利点を有する。
【0116】
更に、本発明による方法は、低い嵩密度を有する粉末形の固形物質が非常に迅速に湿潤されるという利点を有する。
【0117】
本発明による方法は、低モジュールのシールコンパウンドを非常に良好な"ボディ"で製造できるという利点を有する。
【0118】
更に、本発明による方法は、RTV1の製造全体を、付加的な方法工程なくして1つの装置中で可能にするという利点を有する。
【0119】
本発明による方法は、気体状成分の容易な除去を可能にするという利点を有する。
【0120】
本発明による方法は、混合装置の最小限のメンテナンスと清浄化しか必要とされないという利点を有する。
【0121】
本発明による方法は、低い生成物の加熱に基づき、生成物を傷めずかつ経済的に実施でき、その際、被混合物の局所的な過熱が事実上起こらないという利点を有する。
【0122】
以下の実施例においては、特に記載がない限り、全ての粘度の表示は、25℃の温度に対するものである。特に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気での圧力で、すなわち約1000hPaで、かつ室温で、即ち約23℃で、若しくはこの反応物を室温で付加的な加熱又は冷却を行わずに合する場合に生ずる温度で実施する。更に、部および%の全ての記載は、特に記載がない限り、質量に対するものである。
【0123】
ショアA硬度はDIN(ドイツ工業規格)53505−87に従って測定する。
【0124】
引裂強度は、DIN53504−85S2に従って測定する。
【0125】
破断点伸びは、DIN53504−85S2に従って測定する。
【0126】
モジュールは、100%伸び時の応力値である。
【0127】
シールコンパウンドの"ボディ"の定量的な把握のために、種々の製造されたコンパウンドと種々の配合との間の相対的な差異を測定可能にする測定方法を開発した。そのために、サンプルを測定前に23℃で2時間温度調節する。直径50mmを有する50mlのPE製ビーカを、気泡を含ませずに試験すべきコンパウンドで満たす。平坦な表面を得るために、シールコンパウンドの縁のある表面を同一平面状に掻き取る。こうして準備された前記サンプル中に、直ちに、25mmの直径を有する半球であって5mmの円柱形延長部分を有する形態を有する試験体を、ZWICK社製の引張試験機1425型(200Nの測定量(Messdose))を用いて60mm/分の速度でサンプル中20mmの深さで押し込む。測定される最大応力が圧入力(Eindringkraft)である。圧入力が大きいほど、"ボディ"はより良好である。
【0128】
実施例1
中性架橋型のRTV1−シールコンパウンドの製造
約30lの混合室を有する混合装置に2つの混合軸を取り付けた。それらの軸上には、同じ寸法の相互に撫で合うT型の混合エレメントが存在する。混合機構の長さと直径からの商は、約3であった。個々の混合エレメントは、混合軸上に、4%のポジティブピッチを有する螺条形状を有する列で配置されている。一方の軸上に、5つの係る列が配置されており、かつもう一方の軸上には、4つの係る列が配置されている。その結果、両方の軸の回転数は、4:5の比率で稼働させねばならなかった。以下には、それぞれより高い回転数のみを述べる。混合室は、横たわった数字の8の形で重なった2つの円筒の形状を有する。各円筒は、約200mmの直径を有する。この種類の混合装置は、例えばスイス・アリスドルフにあるLIST社で購入することができる。この装置は、冷却もしくは加熱用の二重ジャケットを備えているが、用いなかった。混合室の終端の正面に、約100×20mmのスリットが存在する。それに引き続き、気密PEカートリッジに詰め替えるために混合された生成物を更に搬送するための二重スクリューが存在する。
【0129】
前記装置は、水平に対して30度の角度で編成されており、その際、重力によって強められた被混合物の搬送方向は混合軸の終端を目指して下方に向かう。
【0130】
混合軸の上端部には、混合領域の重複領域上に約150mmの直径の開口が存在し、その開口を通じて固形物質(B)は自由落下で配量計から可撓性の配管を介して添加された。前記の第一の取入開口の混合区間に沿って約30mm下方に離れて、同様に混合領域の重複領域の上方に、約10mmの直径の更なる開口が配置されており、その開口を通じて全ての更なる液状成分の予備混和物が添加された。
【0131】
固形物質(B)用の取入開口では、1000hPaの周囲大気の圧力(P1)が保たれている。出発物質は、室温で数日間貯蔵した。
【0132】
まず、シロキサンがジメトキシメチルシリル基及び/又はジメトキシビニルシリル基を末端とし、かつジメトキシメチルシリル末端基とジメトキシビニルシリル末端基との比率が約1:1である、粘度80000mPa・sを有するポリジメチルシロキサン混合物307kgと、粘度1000mPasを有するα,ω−ビス−トリメチルシロキシポリジメチルシロキサン138kgと、メチルトリメトキシシラン14kgと、ビニルトリメトキシシラン2kgと、1部のアミノプロピルトリエトキシシランとエトキシ含量37%を有する1部のメチルトリエトキシシラン加水分解物との反応によって製造した定着剤9kgと、アミノプロピルトリメトキシシラン3.5kgと、ジブチルスズジアセテートとテトラエトキシシランとをモル比1:2で反応させ、生じた酢酸エチルエステルを留去して得られた反応生成物1.8gと、オクチルホスホン酸をメチルトリメトキシシラン中に溶かした50質量%溶液1.1kgとの混合物を製造した。
【0133】
前記混合物を50kg/hで上記の装置中に配量した。同時に、150m2/gのBET表面積を有する高分散性シリカ(ドイツ・ミュンヘンにあるWacker Chemie AGで商品名HDK(登録商標)V15として市販されている)4.8kg/hを、固形物質(B)用の上記の開口を通じて配量した。それらの成分を、40分-1の回転数で混合した。
【0134】
該装置を、まず吐出せずに16.5分にわたり稼働させ、その際、約15kgの内容物(Instand)が生ずる。次いで、吐出スクリューの操業開始によって、54.8kg/hの混合された生成物の排出が開始した。
【0135】
試験1時間後に、サンプルを商慣習のポリエチレンカートリッジ中に充填した。前記の時点で、混合区間終端の温度は26℃であった。
【0136】
該生成物から、評価の前に、真空の印加によって閉じ込められた気泡を除去した。300mlのPEカートリッジ中で数ヶ月間貯蔵した場合にも均質を保つ均質な混合物が得られた。混合物の局所的架橋による不均一性は形成されない。
【0137】
外観の評価のために、該コンパウンドを、ガラス板上に約0.1mm厚の層で塗布した。該コンパウンドは、均質で滑らかに見える。
【0138】
圧入力 4.41N
100%伸び時の応力 0.29MPa
引裂強度 1.1MPa
破断点伸び 560%
硬度 16ShA
実施例2
実施例1の試験を繰り返したが、成分の配量の間に、混合室と高分散性シリカ用の添加装置を、約200hPaの真空下にしたことが異なる。
【0139】
実施例1との相違点において、吐出の時に気泡を含まない生成物が得られたので、更なる方法工程なく使用できた。
【0140】
こうして得られた生成物の特性は以下のとおりである:
外観: 滑らかで均質
圧入力 4.2N
100%伸び時の応力 0.29MPa
引裂強度 1.1MPa
破断点伸び 500%
硬度 16ShA
比較例3
実施例1の試験を繰り返した。その試験との相違点において、混合装置の混合軸が水平に対して0゜の傾斜を有していた。
【0141】
まず、実施例1の混合条件で、混合された生成物の吐出量を、配量された出発物質量の合計よりも明らかに少なくしたことを確認した。それにより、混合装置の恒常的な充填がもたらされた。それを避けるために、回転数を60分-1に高めた。それにより、配量された量と当量の混合された生成物を吐出できた。約1時間後に、サンプルを採って評価した。その際、該混合物がもはや非常に不均質であることが確認された。明らかな不均質性が見て取れた。混合区間の終端の温度は、35℃であった。
【0142】
外観: 不均質で粗い
圧入力 3.39N
100%伸び時の応力 0.29MPa
引裂強度 0.7MPa
破断点伸び 400%
硬度 14ShA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ケイ素化合物(A)及び固形物質(B)と、場合により他の成分を含有する混合物を、少なくとも1つの回転する混合軸を有する1つの混合装置中で連続的に製造するための方法において、少なくとも1つの混合軸が、10度より大きい水平に対する傾斜角を有し、かつ固形物質(B)用の取入開口が、排出開口より高くに配置されていることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、使用される有機ケイ素化合物(A)が、式
abSiX(4-a-b)/2 (I)
[式中、
Rは、同一もしくは異なってよく、置換もしくは非置換の炭化水素基を意味し、
Yは、同一もしくは異なってよく、ヒドロキシル基もしくは加水分解可能な基を意味し、
Xは、同一もしくは異なってよく、酸素原子もしくは二価の有機基を意味し、
aは、0、1、2もしくは3であり、かつ
bは、0、1、2もしくは3であるが、但し、
a+bからなる合計は、3以下である]で示される少なくとも1つの単位を有する化合物であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、成分(B)が粉末形の固形物質であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、混合物が架橋可能なコンパウンドであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法において、混合装置が複数の混合機構を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、混合軸の少なくとも1つが、水平に対して10〜90度の角度を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、機械的負荷による被混合物の加熱が、最大で30Kであることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法において、混合室が円筒形もしくは円錐形であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、混合エレメントがT型の混合エレメントであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法において、混合エレメントと内壁との最大間隔が10cmであることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2009−56803(P2009−56803A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224662(P2008−224662)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】