説明

有機シラン第四級アンモニウム化合物と尿素のクラスレート及び使用方法

【課題】有機シラン第四級化合物の性質及び利点を犠牲にすることなく、また製造業者及び消費者による最終的使用のための危険な溶媒を用いることなく、出荷、貯蔵、及び製造を可能にする、貯蔵安定性を有する多機能性クレンジング及びコーティング組成物を与える。
【解決手段】有機シラン第四級化合物を、尿素との付加物(クラスレート)の形態で与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、有機シラン第四級アンモニウム化合物〔有機シランクオト(organosilane quat)〕と尿素とのクラスレートに関する。クラスレートは、結晶化、成分の乾式混合、又は濃縮を含めた多くの異なった方法により作られている。クラスレートは貯蔵安定性を持ち、抗菌性を有するクレンジング(cleansing)及び多機能性コーティング(coating)組成物を含めた、種々の最終的用途のための固体状成分を、出荷、取扱い、及び濃縮するのに有用な形態の有機シラン第四級化合物と尿素を与える。クレンジング及びマルチコーティング(multicoating)組成物は、水、汚れ、着色物質を防ぐ珪酸質、プラスチック、金属、織物、及び皮膚の表面に適用すると、目に見えないが、耐久性のある水、汚染物質(soil)、着色物質(stain)反撥性障壁被覆を生ずる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
有機シラン第四級窒素化合物は、種々の表面に適用すると、水、汚染物質、及び着色物質に対する反撥性を付与し、細菌汚染を減少するか且つ/又は無くすのに効果的に用いられてきた。例えば、そのような有機シラン第四級化合物を表面に適用すると、バクテリア、ウイルス、及び真菌汚染が減少するか、又は無くなる。この目的に用いられてきた市販の第四級アンモニウム有機シランには、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、及び塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウムが含まれる。次の特許及び特許出願には、物質のクリーニング及び/又は撥水性処理のためのシリコーン化(siliconized)及び/又は非シリコーン化第四級物、溶媒、及び表面活性剤/洗浄剤の使用が記載されている:米国特許第4,005,028号、米国特許第4,005,030号、米国特許第6,559,111号、米国特許第6,897,191号、米国特許第6,809,072号、米国特許出願第2005/0089695号公報、米国特許出願第2005/0020474号公報、米国特許出願第2003/0109395号公報、米国特許第6,881,247号、米国特許出願第2003/0091641号公報、米国特許第5,426,204号。
【0003】
多くの異なった種類の硬質及び軟質表面も、可溶性汚染物質をきれいに落とし、水及び汚染物質反撥性仕上げを与え、種々の薬剤を被覆することにより抗菌性にされてきた。例えば、2006年2月7日に公告された米国特許第6,994,890号明細書〔オールハウゼン(Ohlhausen)及びルドウィッヒ(Ludwig)〕には、過酸化水素を含む水性系から、「有機シラン第四級化合物を含むクリーニング及び多機能性コーティング組成物及びその使用方法」が記載されている。そのような組成物は、表面から水及び油溶性汚染物質を除去すると同時に、水及び汚染物質反撥性障壁被覆を与えてクリーニングを一層容易にし、細菌汚染を減少するのに並外れて効果的である。
【0004】
表面活性剤を含まず、貯蔵安定性を持つ、不溶性蓄積物を充分又は完全に除去するための液体クレンジング及び多機能性コーティング組成物の更なる改良が行われてきた。2005年7月6日に出願された、「非反応性固体研磨材粒子及び有機シラン第四級化合物を含み、表面活性剤を含まないクレンジング及び多機能性コーティング液体組成物及びその使用方法」と題する米国特許出願Serial No.11/175,583号明細書(オールハウゼン及びルドウッヒ)参照。有機シランクオトの反応性のために、それは、不溶性表面汚染物質をクレンジングし、同時に水、汚染物質、及び着色物質反撥性障壁被覆を付与するため非反応性固体研磨材粒子と共に用いられている。
【0005】
このように、有機シランクオトは、世界中で最も適応性のある薄膜表面変性用化合物の中に入る。それらは実質的に硬質物質と軟質物質に似ている。それらは、珪酸質、プラスチック、金属、皮膚、及び織物表面に適用すると、水系組成物から、目には見えないが、耐久性のある水、汚染物質、及び着色物質反撥性障壁被覆を生ずる。
【0006】
しかし、クオトの化学的性質及び構造は、それらが高度に反応性であるが、貯蔵安定性をもたないようなものである。それらは、本来、高度に希釈され且つ/又は相容性添加剤と配合されるまで縮合及び架橋にかけられている。また、有機シランクオトは、引火性で、毒性をもち、有害であるメタノール及び他の溶媒中、40〜72%の濃度で製造業者により提供されているのが典型的である。更に、そのように濃厚なクオトが老化すると、それらの粘度、外観、色及び配合能力が著しく変化する。
【0007】
有機シランクオトの広範囲の性能利点の全てについて、それらを経済的に実施可能にするためには甚だしく希釈されない限り、貯蔵安定性の相対的欠如、取扱い及び出荷障害が、それらの配合及び販売見込みを抑制してきた。従って、有機シランクオトの貯蔵に安定な不燃性の形態のものが明らかに要求されている。製造業者及び最終ユーザーにより同様に種々の表面ケアー生成品に容易に配合することができる濃厚物としてそれらが特に要求されており、この場合、有機シランクオトの残留水、汚染物質、及び着色物質反撥特性が、望ましい性質及び利点を与える。そのような生成品の例は、風防ガラス洗浄用流体及びガラスクリーナーから、多機能性クリーナー及び抗菌障壁被覆までの範囲に亙る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、尿素と有機シラン第四級アンモニウム化合物との新規なクラスレート(一種又は多種)に関する。
【0009】
クラスレートは、製造業者及び最終ユーザーにより「そのまま」用いるか、又は種々の生成品に容易に広く配合することができる貯蔵安定性の固体である。尿素が有機シランクオトと相互作用して固体クラスレートを形成し、新規な貯蔵安定性の不燃性無毒形態の有機シランクオトを与えることが、思いがけなく見出された。
【0010】
従って、尿素・有機シランクオトクラスレートは、さもなければ高度に反応性のクオトの利用性に現在直面している多くの問題を解決する。クラスレート形態の尿素・有機シランクオトは、現存するクオトに伴われる貯蔵安定性の欠如、取扱い及び出荷障害の問題を解決する。更に、不燃性形態のクラスレート有機シランクオトは、引火性で毒性をもち危険な溶媒であるメタノールに入れた40%〜72%の濃度で存在する製造された生成品に伴われる現在の問題を解決する。クラスレート形態の尿素・有機シランクオトは、製造業者及び最終ユーザーにより容易に配合されて種々の表面ケアー、スキンケアー、及び織物ケアー生成品にすることができ、この場合、クオトの残留水、汚染物質、及び着色物質反撥特性が、希望の性質及び利点を与える。種々の有機シランクオトを25%までの種々の濃度で尿素と混合し、密封又は非密封ガラスジャー、プラスチックボトル又は容器及び紙包装体中に、色、組織、又は凝集についての明らかな変化又は欠損を起こすことなく、数カ月から数年までの期間保存することができるクラスレートを形成することができることが判明している。これらの生成品は、指示した表面に粉末として適用し、湿潤させると、それらは表面を奇麗にし、水、汚染物質、及び着色物質反撥性障壁被覆を与えた。これらの生成品は脱イオン水の容器中に入れて撹拌した場合、得られる混合物は透明で水の白さをもち、架橋又は反応したクオトに通常伴われるような粒子を含まない。比較のため、匹敵する商品について同様なやり方で保存した種々の量の通常非尿素系有機シランクオトは、固化し凝結した。通常の有機シランクオトを脱イオン水中に入れて撹拌すると、それらはゆっくり溶解し、混合物を生じ、それは通常曇るようになり、浮遊するクオト誘導粒子を含んでいた。
【0011】
本発明の貯蔵安定性クラスレートは、種々の希釈剤で希釈しても、依然としてそれらの貯蔵安定性を維持することができることも見出されている。この発見は、商業的観点から重要である。なぜなら、有機シランクオトは比較的高価であり、クラスレートの希釈された濃度のもの及び他の貯蔵安定性形態のもので、次に製造業者及び最終ユーザーにより用いることができるものを与えることが望ましいであろう。本発明の一つの好ましい形態として、クラスレートを尿素で希釈し、貯蔵安定性固体を与える。別の形態として、クラスレートは、就中、表面活性剤、濃化剤、ゲル化剤、研摩材、潤滑剤、過酸化尿素、及び/又はポリビニルピロリドン過酸化物で希釈することができる。クラスレートは、特に活性有機シランクオトがクラスレートから遊離してその有用な機能を果たす最終用途生成品として、水、アルコール、及びそれらの混合物で希釈することもできる。クラスレートの好ましい形態として、尿素は容易に完全に水に溶解する。そのように可溶化した場合、尿素は水の表面張力を低下し、水・尿素組成物を、尿素を含まない水と比較して、表面上の広範な有機及び無機汚染物質に一層良く浸透させることができる。クラスレート型の尿素・有機シランクオトでは、尿素を水、又は水とアルコールに可溶化した場合、得られる組成物は同様に一層表面活性になり、尿素を含まない水に同じ量の有機シランクオトを入れた場合よりも、表面に対し、有機シランクオトの改良されたクリーニング及び結合を与える。
【0012】
クラスレートのための希釈剤として付加的尿素を含む尿素・有機シランクラスレート組成物は、種々の型の有機及び無機汚染物質を除去するのに、そのように処理される表面に擦り傷を付けることなく非常に役に立つことも見出されている。本発明のこの形態では、クラスレート組成物は、尿素の種々の固体形態の研磨性を用いている。驚いたことに、尿素・有機シランクオトの粉末状クラスレートは穏やかな研磨材として表面を奇麗にするのみならず、同時に水、汚染物質、及び着色物質反撥性障壁被覆を、改良された結合性を持って与えるが、それは、混合物の表面張力の減少と研磨特性との相乗的併合によるものと考えられる。従って、尿素で希釈されたクラスレートの研磨性は、組成物中の研磨性尿素の量に依存して変更することができる。これに関し、本発明の更に別の利点は、クレンザー中に典型的に用いられている広い範囲の鉱物研磨材の水不溶性とは異なって、尿素型研磨材は、100%水溶性であり、従って、砂状残留物を残すことなく、廃水系に水不溶性粒子を加えることなく、奇麗な表面から簡単に迅速に濯ぎ落とされると言う発見である。
【0013】
本発明の組成物及び方法のこれら及び他の利点は、次の詳細な記述を参考にして更に理解されるであろう。
【0014】
(詳細な記述)
本発明は、有機シランクオトの尿素クラスレート又は付加物に関する。これらのクオトは、シリコーン化第四級化合物としても今後言及する。尿素は、多数の線状有機化合物とクラスレート又は付加物(包接錯体)を形成することがよく知られているが、クラスレートの形成は予測することができない。尿素は、長鎖有機分子の存在で種々の結晶格子を形成することができ、それは、直径が約5〜6Åの螺旋状に巻いた尿素分子(パイプ状)により形成された六角形中空路(channel)を含む。長鎖ゲスト分子は、付加物結晶のコイル状尿素分子内部に位置している。8〜9個の炭素を有する炭素鎖長は、一般に、ゲスト分子が安定な尿素付加物を形成するための最小限の長さと見做されている。付加物結晶は、パイプの内部にゲスト分子を有するパイプの積層体(パイプはコイル状尿素分子である)として考えることができる。
【0015】
本発明の場合には、後で一層詳細に示す理由から、本発明の尿素・有機シランクオトの構造は、当業者には明白なものとはなっていなかったであろう。10〜22個の炭素を有する直鎖炭化水素の鎖長を有するメトキシル化有機シラン第四級化合物は、尿素付加物又はクラスレートを形成するのに充分であることが見出されている。この形態では有機シラン第四級化合物は、包まれた尿素パイプ構造内で化学的に安定化されており、従って、互いに劣化又は重合が起きないように妨げられている。従って、有機シラン第四級化合物の保存寿命又は貯蔵安定性が、漠然とではあるが、実質的に改良されている。
【0016】
本発明の有機シラン第四級化合物
本発明の有機シラン第四級化合物は、次の式によって定義される:
【0017】
【化1】

【0018】
式中、R=水素及び/又はC〜Cアルキル;R=C〜C個の炭素原子を有する二価炭化水素ラジカル;R=水素、又はC〜Cアルキル;R=水素、又はC〜C10アルキル;R=C10〜C22飽和又は不飽和炭化水素ラジカル;及びX=ハロゲン基、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸化物基、硫酸基、又は燐酸基;である。
【0019】
典型的な有機シラン第四級化合物は、次の群から選択される:
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソイヤアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、及び
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルドコサンアンモニウム。
【0020】
上記種類の有機シランクオトのクラスレートの発見により、当技術分野ではクラスレートの形成は一般に予測することができないにも拘わらず、他の同様な有機シランクオトも尿素とクラスレートを形成するであろうと認められるであろう。
【0021】
上記クオトのむしろ複雑な構造にも拘わらず、有機シランクオトが少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも一つの直鎖を有する場合、尿素とのクラスレート付加物が形成されることが、驚いたことに見出された。直鎖炭化水素の鎖長は、好ましくは10〜22個の炭素を有し、炭化水素基は、C10〜C22飽和又は不飽和炭化水素基である。本発明の組成物のクラスレートの形態では、有機シラン第四級化合物は、クラスレートの約25重量%までの量で存在する。有機シランクオトは、クラスレートの約1重量%から約25重量%の量で変動させることができる。水又はアルコール、及びそれらの混合物で粉末又は固体クラスレートが希釈されている場合、尿素及び有機シランクオトがクラスレートから放出され、種々の表面ケアー生成品を与え、この場合、有機シランクオトの残留水、汚染物質、及び着色物質反撥特性が望ましい性質及び利点を与える。そのような生成品の例は、風防ガラスウオッシャー流体及びガラスクリーナーから、多機能性クリーナー、クレンザー、及び抗菌障壁被覆組成物までの範囲に亙る。
【0022】
水で希釈されている場合、クラスレートは一般にクラスレートと希釈剤との合計重量に基づき、約5重量%までの有機シランクオトを生ずるのが典型的である。水中、約0.01重量%〜約1重量%のクオトの濃度で有用な生成品を生ずる。本発明のクラスレート組成物は、それらの固体状態でも用いることができる。なぜなら、そのような固体は湿分を存在させて表面に擦り込むと、水、汚染物質、及び着色物質反撥性障壁被覆を生ずることが、驚いたことに見出されているからである。放出されたクオトは、障壁被覆を与え、尿素はクリーニング中研磨材として働き、それを次に可溶化して表面から除去することができる。本発明の固体クラスレートにより与えられる主な利点は、尿素・有機シランクオトを貯蔵安定性を持てるようにすることができることである。一層好ましくは、約3重量%〜約6重量%の量で過酸化水素又はその錯体を含み、約0.01〜約1重量%の量の第四級化合物を含む最終用途液体組成物が用いられる。
【0023】
それ故、本発明は、表面を処理して、それによりその表面を水及び汚染物質反撥性にするための貯蔵安定性クレンジング及び多機能性コーティング組成物を製造することを可能にする。最終用途組成物は研磨材粒子を含んでいてもよく、スラリー、クリーム、ゲル、又は粉末として配合することができる。更に、クラスレートは、尿素、表面活性剤、濃化剤、ゲル化剤、研磨材、潤滑剤、過酸化水素、及び溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択された添加剤と一緒にしてもよい。クラスレートを含む粉末状組成物を配合する場合、過酸化水素が約35重量%までになる量の過酸化尿素、又は過酸化水素が約18重量%までになる過酸化ポリビニルピロリドン、有機シラン第四級化合物及び研磨材粒子を、そのクラスレートと共に含有させることができる。研磨材粒子を用いた場合、それらの混合物又は混和物は、約5〜約90重量%の量で存在する。研磨材粒子は、尿素、シリカ、珪酸塩、金属酸化物、金属カーボネート、粘土、炭化物、及びプラスチックからなる群から選択することができる。更に、研磨材粒子に関し、本出願人による以前の、「非反応性研磨材固体粒子及び有機シラン第四級化合物を含み、表面活性剤を含まないクレンジング及び多機能性コーティング液体組成物及びその使用方法」(Surfactant−free Cleansing and Multifunctional Liquid Coating Composition Containing Nonreactive Abrasive Solid Particles and An Organosilane Quaternary Compound and Methods of Using)と題する米国特許出願Serial No.11/175,583〔オールハウゼン(Ohlhausen)及びルドウィッヒ(Ludwig)〕が、非反応性研磨材粒子に関連していた。しかし、本発明の場合、有機シランクオトのクラスレート形態が、他の固体粒子と反応しないようにそれを保護する傾向をもっている。非反応性研磨材粒子又は被覆非反応性粒子が好ましく、それらが用いられた場合、約5μ〜約6,000μの程度の平均粒径を有する。
【0024】
組成物がスラリー、クリーム、ゲル、又は粉末の形態になっている場合、有機シランクオトの濃度は、約1重量%〜約5重量%の範囲にある。本発明の組成物を液体濃厚物として用いる場合、過酸化水素は約35重量%までの量であり、第四級化合物は約12.5重量%までの量であり、尿素は約38重量%までの量である。一層好ましくは、本発明の組成物が液体最終用途生成品として用いられる場合、過酸化水素又はその錯体は、過酸化水素が約3重量%までになる量であり、第四級化合物は約0.33重量%までの量であり、尿素は約1重量%までの量である。研磨材粒子が存在する場合のそのような最終用途生成品では、それらの混合物又は混和物は、約35重量%までの量になっている。
【0025】
尿素・第四級クラスレートの特別な利点は、それらが、SiOのように、さもなければシリコーン化クオトと反応し、組成物を障壁被覆を生ずるのに不適切にするか、又は経済的に不適切にするグリットと反応しないことである。
【0026】
一般に、最終用途生成品では、クラスレート及び他の成分は、表面をクレンジングし、表面に多機能性被覆を結合し、それによりその表面を(a)水及び汚染物質反撥性、及び(b)抗菌性にするのに有効な量で配合する。障壁の抗菌性利点は、表面に結合したシリコーン化クオト被覆の炭化水素特性により与えられ、本出願人による米国特許第6,432,181号、第6,676,733号、及び第6,994,890号明細書を参照されたい。本発明のクラスレートで処理するのに、極めて多種類の硬質、軟質、又は多孔質表面が適している。
【0027】
表面をクオトで被覆するか又はそれへの結合は、二つの機構により行うことができる。第一は、シリコーンに結合したメトキシ基が水中又は表面の水と接触して加水分解し、SiOHを生ずるであろう。それらは珪酸質表面と反応し(ガラス、タイル、等の表面の−SiOH結合)、表面とクオトとの間に−Si−O−Si−O−結合を形成することができる。第二に、もし表面が珪酸質ではなく、或は−OH結合可能な部位を持たないならば、他のクオト分子からの加水分解された−SiOH基が反応重合し、耐久性のある「ペイント状」架橋−O−Si−O−Si−O−Si−O−等の被覆を表面に形成することができる。木綿、酢酸セルロース、ポリエステル、ナイロン、ウール、レーヨン、アクリロン、等のような織物繊維;ペイントフイルム、ポリスチレン、シリコーン重合体、木材、ゴム、等のような有機表面;及びシリカ、砂、ガラス、コンクリート、及び石材の表面、等のような無機表面;のような表面を被覆することができ、抗菌活性を実証することができる。クオトの長鎖は表面に対して垂直に配向しており、複数の分子が、一つの分子から適当な構造を有する他の分子まで一緒に詰め込まれている場合、クオトは表面を生物学的に活性、撥水性、及び/又は円滑性(潤滑性)の状態にすることができる。
【0028】
有機シランクオトのクラスレートを製造する方法
本発明のクラスレートは、尿素付加物を形成するための幾つかの方法により製造することができる。例えば、それらは、1部のクオト分子を、3部の尿素と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びベンゼンのような溶媒又は溶媒の組合せを存在させて混合し、次に混合物が均質になるまで加熱し、次にクラスレート化合物を冷却結晶化する結晶化法により製造することができる。クラスレート化合物は、次に濾過、又は他の適当な手段により残留溶液から分離し、乾燥する。乾燥後、クラスレート化合物は自由流動性で非固化性粒状固体である。
【0029】
クラスレートを製造する別の方法は、乾式混合方法である。この方法は、結晶化溶媒を除外でき、結晶化法では再循環させる未錯化クオト、溶媒、又は尿素の損失がない利点を有する。この乾式混合方法では、尿素固体は室温又は上昇させた温度で溶媒を全く存在させずにクオトと直接よく混合する。混合物はペースト状になるか、又は錯体形成が進行するに従って固体になる。次に、固体クラスレートを希望の粒径に粉砕することができる。少量の溶媒で混合物を湿潤させると、付加物の形成を加速し、増加することができる。この場合も、重量比は尿素3部対クオト1部である。
【0030】
別の製造方法は、濃化法として知られており、結晶化法で用いられているように、錯体形成中の蒸発又は蒸留により、単に溶媒の除去を含んでいる。例えば、1部のクオトと3部の尿素とをメタノールに溶解し還流させる。メタノールは蒸発又は真空蒸留により完全に除去され、残留物としてクラスレートが残る。
【0031】
尿素付加物の形成は、生成物の赤外線分析及び窒素分析により証明することができる。赤外線分析は、「幾つかの尿素含有化合物の赤外吸収スペクトル」(Infrared Absorption Spectra of Some Urea Inclusion Compounds)、J. Chem. Soc., 2340 (1962)に記載された方法に従って行われる。
【0032】
次の実施例の有機シランクオトは次の式により定義することができる:
【0033】
【化2】

【0034】
例1〜7
【0035】
【表1】

【0036】
上記式及び表は、上に記載した濃縮、乾式混合、又は結晶化法により製造された本発明の多くのクラスレート組成物を表している。
【0037】
使用方法
本発明のクラスレート組成物は、クオトを活性化するのに充分な湿分と共に乾燥形態で用いた場合、表面から不溶性汚染物質、即ち、塩、汚染物、鉱物、石鹸スカム、硬水膜、食物、錆、かび、うどん粉病、ウイルス、及びバクテリアをクレンジングし、表面に多機能性障壁被覆を結合し、そのような汚染物質及び微生物の付着及び蓄積を減少し、クリーニングをし易くした表面を与える。
【0038】
クラスレート形態のものから単量体状有機シラン第四級アンモニウム化合物を放出すると、それは、表面のクリーニングを促進すると同時に、有機シランクオトを結合し、水及び汚染物質反撥性被覆を与える。
【0039】
遊離した尿素は容易に完全な水溶性になる。そのように可溶化されると、尿素は水の表面張力を低下し、水・尿素組成物を、尿素を含まない水よりも一層よく表面上の広範囲に亙る有機及び無機汚染物質に浸透させることができる。有機シランクオトのクラスレート型のものでは、水、又は水とアルコール中に溶解した場合、得られる組成物も同様に一層表面を活性化し、尿素を含まない水中に同じレベルの有機シランクオトを入れた場合よりも、表面に対する有機シランクオトの改良された結合及びクリーニングを与える。
【0040】
粉末、粒子、ペレット、結晶、フレーク、又はプリル(prill)のような固体状態の尿素は研磨材である。この研磨材の性質は、驚いたことに、特に尿素を湿潤させると、ほんの僅かに湿潤させた場合でも、表面に擦り傷を付けることなく種々の型の有機及び無機汚染物質の除去に著しく役に立つ。更に一層驚いたことには、尿素・有機シラン第四級物の粉末状クラスレートは、穏やかな研磨材として表面を奇麗にするのみならず、同時に改良された結合性を持つ水、汚染物質、及び着色物質反撥性障壁被覆を与えるが、それは、混合物の表面張力の減少と研磨特性との相乗的併合によるものと考えられる。上で述べたように、本発明の更に別の利点は、クレンザー中に典型的に用いられている広い範囲の鉱物研磨材の水不溶性とは異なって、尿素型研磨材は100%水溶性であり、従って、砂状残留物を残すことなく、廃水系に水不溶性粒子を加えることなく、奇麗にされた表面から簡単に迅速に濯ぎ落とされることが発見されたことである。
【0041】
水又は溶媒と、液体として配合した場合、活性有機シランクオトが放出される。得られる組成物は、表面への障壁被覆の結合を改良するために過酸化水素を含んいてもよく、チキソトロピー性を与えるために濃化剤を含んでいてもよく、汚染物質を崩し除去し易くし、それがもはや表面に結合しなくなるようにするために保存安定性クリーム及びゲル及び潤滑剤を含んでいてもよい。それらの成分は、表面をクレンジングし、その表面に多機能性障壁被覆を結合するためにスラリー、クリーム、又はゲルのような水性媒体中に有効な量で用いられ、それにより表面を水、汚染物質、及び着色物質に対し反撥性にし、(a)硬水ミネラル、石鹸スカム、食物、等の付着及び蓄積、及び(b)バクテリア、ウイルス、及び真菌の付着及び増殖を減少する。
【0042】
このように、貯蔵安定性クラスレートは、表面から不溶性汚染物質をクリーニング又はクレンジングし、同時に水、汚染物質、及び病原菌反撥性にすることができる独特の性質を有する、クリーニング、クレンジング、及びコーティング組成物としての機能を果たす。これらの性質は、雨、湖又は海のしぶき、地面散水機による飛沫及び/又は塵による汚染により汚された外側窓をクレンジング及びコーティングすることができる。また、料理、食事、洗浄、等から生ずる家庭での日常の汚染物質のこぼし及びはねかけで汚された広い範囲の内面を清浄にすると同時に、水及び将来の汚染を反撥する耐久性のある結合被覆を、抗菌性を持たせながら与えることができる。
【0043】
上で述べたように、貯蔵安定性を達成できるように、クオトの構造特性を考慮に入れ、尿素と有機シランクオトとのクラスレートを形成できることは驚異的なことである。更に、本出願人の以前の組成物の発見の利点は、本出願人の米国特許第6,432,181号、第6,676,733号、及び第6,994,890号;米国特許出願No.2006/0110348公報;及び米国特許出願Serial No.11/175,583(2005年7月6日出願)明細書を参照して、クラスレートと他の添加剤とを混合することにより依然として達成することができる。例えば、研磨材固体粒子とクラスレート尿素・クオトを、不溶性汚染物質を除去するため湿分を存在させて研磨作用を与えながら表面上を横切って拭き、マッサージする間に、その場で障壁被覆を形成して、表面に結合することができるであろう。本発明のクラスレート組成物は、種々の表面に与える障壁被覆の結合及び耐久性を改良するため、研磨材固体粒子と過酸化水素との組合せを含むこともできる。
【0044】
一般に、研磨材固体粒子は、過酸化水素による安定性と同様、有機シラン第四級化合物によるそれらの硬度、大きさ、構造、及び反応性に基づき選択される。本発明の組成物は、水性スラリー、クリーム、又はゲルとして配合することができる。クレンジング及びコーティング組成物は、更に濃化剤及び/又は潤滑剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル重合体、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、等を含んでいてもよい。更に、水性媒体は、約2〜約9の程度のpHを有するのが好ましい。水性組成物は、脱イオン水を用いて配合することも好ましい。
【0045】
使用方法に従い、家庭、ホテル、オフィス、ストアー、自動車、船、飛行機、等で日常見られるような表面を、クレンジングされた表面及び多機能性被覆を与える組成物で処理する。例えば、不溶性水斑点、雨、湖、海、及び散水機の飛沫から生ずる硬水膜及び鉱物、及び不溶性石鹸スカム、石灰湯あか、料理、食事、洗浄、等からのこぼれ及びはねかけにより起きる着色物質及び食物の蓄積により汚される日常の表面を、本発明の組成物の適用してクレンジングし、多機能性被覆を与えることができる。例えば、クラスレート組成物の好ましいスラリー、クリーム、又はゲルを、汚染物質を崩し、緩くするのに有効な量で汚染表面を拭い、マッサージすることにより適用することができ、その汚染物質は、その表面を濯ぎ、表面が乾燥するまで拭くことにより除去される。そのような適用により、表面はクレンジングされ、多機能性重合体被覆が形成され、表面に結合され、それにより目に見えない水、汚染物質、及び着色物質反撥性シリコーン化炭化水素障壁被覆を与え、その被覆にはバクテリア、ウイルス、かび、及びうどん粉病菌は、付着及び増殖しなくなり、硬水鉱物、石鹸スカム、食物及び着色物質の形成、付着、及び蓄積を抑え、水又は非研磨性水性クリーナーによる一層容易なクリーニングを与えるであろう。
【0046】
本発明は、本出願人の以前の米国特許第6,432,181号、第6,676,733号、及び第6,994,890号;米国特許出願No.2006/0110348公報;及び米国特許出願Serial No.11/175,583(2005年7月6日出願)明細書(これらは参考のため全体的にここに入れてある)に関連させて、本発明の実施例又は好ましい態様についての次の詳細な開示により一層容易に理解することができるであろう。ここで用いられる技術用語は、特定の態様を記述する目的のためであり、限定する意図はないことを理解すべきである。明瞭に理解できるようにする目的のため、ここで用いる次の用語を定義する:
【0047】
「耐摩耗性」とは、穏やかな研磨性物質による洗浄、擦り、又は磨きによる、或は表面に傷を付けたり、擦り傷を付けたりするような、表面又は仕上げに目に見える損傷を与えることのない方法による、損傷又は脱落に対する抵抗性を持つ表面、表面被覆、又は仕上げについて言及したものである。
【0048】
「研磨材」「研磨」とは、研磨又は磨きのために用いられるどのような材料又は物質でも意味し、研磨性「粒子(単数又は複数)」又は「グリット(単数又は複数)」を用いて研磨、擦り、撹拌、又はマッサージされることにより生ずる表面上のスポット又は領域を意味する。
【0049】
「抗菌」とは、微生物、特に病気を起こす微生物の付着及び増殖に対し抵抗性を持つ表面及びその被覆の能力を意味する。
【0050】
ここで用いる「適用」、「適用する」、又は「適用された」とは、粒状又は液体状で、通常液体、スラリー、クリーム、又はゲルの形態になっているクラスレート組成物で表面を処理することを意味する。
【0051】
「バクテリア」とは、個々に、又は連なって見え、発酵、腐敗、及び伝染病に含まれる種々の物体から構成された偏在する単細胞有機体を意味する。
【0052】
「結合」、「結合された」、又は「結合可能な」とは、水及び汚染物質反撥性仕上げ、被覆を結合する能力として、或は、さもなければ水及び汚染物質を受け付ける表面に特徴的な能力として、表面に組成物を強く付着させることができることを意味する。ここで用いられているように、濃硫酸及び50%の水酸化ナトリウム、又はどのような石鹸、溶媒、洗剤、未処理状態の同様な表面を着色、傷つけ、又は損傷することがないような研磨材型クレンザーにより除去しにくい場合に、その組成物は「結合された」又は「結合可能」であると見做される。
【0053】
ここで用いる「クラスレート(単数又は複数)」とは、包接錯体(単数又は複数)を意味する。錯体の一つの形態として、クオトの分子は、尿素内に完全に包まれているが、化学的相互作用はない。尿素クラスレートは、中空路又は溝型の包接錯体である。錯化する尿素固体は、有機シランクオトのむしろ直鎖の炭化水素基の回りを包んでいる。別の形態では、包接錯体は、尿素の結晶格子内に完全に又は部分的に固定された有機シランクオトの非結合会合体である。従って、ここで用いる「クラスレート(単数又は複数)」は、そのような型のどのような包接錯体でも含むことを意味し、この場合、尿素と有機シラン第四級アンモニウム化合物は、貯蔵安定性固体、取扱い及び出荷障害を持たないこと、及び不燃性を含めた本発明の利点を与えることができるような非結合状態で互いに会合している。
【0054】
「クリーン」、「クレンジングされた」、「クレンザー」、及び「クレンジング」とは、いずれも汚染物質が無く、着色が無く、汚染物質の蓄積が無い表面、又は本発明の液体クレンジング/コーティング組成物及びそれらを用いる方法に言及している。
【0055】
「殺菌剤(disinfectant)」又は「殺菌する(disinfecting)」とは、有害な有機体「病原菌」を破壊するか、その増殖を阻止するために、主に無生物の表面に用いられたどのような化学的薬剤でも意味する。
【0056】
「耐久性のある」又は「耐久性」とは、普通の(水道)水、石鹸溶液、洗剤溶液、家庭用溶媒、穏やかな研磨材(損傷を与えない)クレンザー、又は慣用的クリーナー/脱脂剤を用いて洗浄及び/又は拭うことにより簡単には除去されず、長持ちすることを意味する。
【0057】
「日常の家庭汚染物質」とは、料理、食事、飲酒、洗浄、入浴、及びシャワーを浴びる時に起きる、ミルク、コーヒー、お茶、ジュース、ソース、グレービー、食物吹きこぼれ、石鹸スカム、水斑点、鉱物付着物、等のような、表面上のこぼれ、はねかけ、及び傷つけを意味する。
【0058】
「日常的表面」とは、家庭、オフィス、工場、公共的建物、及び施設、乗り物、航空機及び船、等での広い範囲の表面を意味する。
【0059】
「日常的乗り物汚染物質」とは、雨、みぞれ、雪、昆虫、泥及び道路のほこりにより起きる乗り物表面の外側、及び指紋、食物のこぼれ、可塑剤浸出、喫煙、毛髪及び脱臭用スプレーの使用、及び空気循環により起きる乗り物表面の内側の汚染物質、はねかけ、及び傷つけを意味する。
【0060】
「病原菌(単数又は複数)」とは、病気を起こす微生物を意味する。
【0061】
「不溶性汚染物質」、「汚染物質」、及び「水及び油不溶性汚染物質」とは、水、石鹸、溶媒、及び洗剤で洗浄しても効果的に溶解除去することができず、本発明のクラスレートにより形成された固体粒状又は液体組成物を用いて表面を研磨又は磨くことにより除去することができる表面汚染物質及び着色物を意味する。
【0062】
本発明の組成物に適用される「液体(単数又は複数)」とは、それらが、それらの粘度に大きく依存した性質、流動能力を有することを意味する。
【0063】
「マッサージする」とは、粒状クラスレート又は液体クレンジング及びコーティング組成物を、汚染物質がもはや表面に付着しなくなるまで、拭い且つ/又は強く擦り、蓄積させることを指す。
【0064】
「微生物(単数又は複数)」とは、肉眼では小さ過ぎて見えない、バクテリア、原生動物、ウイスル、及び或る真菌及び藻類のような、どのような有機体でも意味する。
【0065】
「軽減する」とは、力又は強度を減少すること、苛酷さを少なくすること、和らげ、調節することを、特に微生物の付着及び増殖に関して意味する。
【0066】
「かび」及び「うどん粉病」とは、生物及び無生物の表面に形成され、一般に湿気及び/又は腐食に伴われる小さな真菌の増殖を意味する。
【0067】
「単量体」又は「単量体の」とは、同じ又は異なった分子と反応して化合物又は重合体を形成することができる分子を意味する。
【0068】
「多機能性」とは、同時に又は順次に表面をクリーニング及び被覆した場合のように、1回の適用で二つ以上の識別できる結果を達成し、それにより被覆が表面を撥水性、汚染物質反撥性及び/又は抗菌性にする機能(単数又は複数)も果たす作用を意味する。
【0069】
「非反応性」とは、有機シラン第四級物又は過酸化水素と反応せず、本発明によるそれらのクレンジング及びコーティング割合を減少するか、或は、もしそれらの通常の状態で反応性であるならば、それらを非反応性及び貯蔵安定性にする障壁を形成する種々の物質で被覆し、希望の表面クレンジング及び結合機能を与える研磨性固体粒子を指す。
【0070】
「粒子(単数又は複数)」及び「グリット(単数又は複数)」とは、不溶性汚染物質を除去するために用いられる種々の硬度、構造、組織、及び大きさを持つ固体の破片の小さな物体を意味する。
【0071】
「重合体」又は「重合体の」とは、通常多くの小さな分子の反応/縮合により誘導された高分子量の化合物を意味する。
【0072】
「反撥する」又は「反撥性」とは、水、汚染物質、及び病原菌の吸収、付着、又は通過に抵抗を及ぼし、それらと混合することができず、効果的に抵抗して寄せ付けないようにすることを意味する。
【0073】
「除去しにくい」とは、慣用的石鹸、溶媒、洗剤、穏やかな研磨材クレンザー又はクリーナー/脱脂剤を用いて洗浄又はクリーニングすることにより容易には除去されず、さもなければ同じ組成及び構造の未処理表面をエッチング又は損傷することは無いような被覆又は表面仕上げを意味する。
【0074】
「消毒剤(sanitizer)」又は「消毒剤する(sanitizing)」とは、表面をクリーニングして汚染物質、汚染物質、病原菌、等のない表面にする物質、調合剤、又は方法を意味する。
【0075】
「汚染物質反撥性」とは、水成分を蒸発させる前及び蒸発させた後の両方で、例えば、日常の家庭及び乗り物汚染物質の付着及び蓄積の減少を示す表面を意味する。
【0076】
「殺菌剤(sterilant)」又は「殺菌(sterilization)」とは、生きた微生物の99.9%の破壊を起こすどのような化学薬品、物質、又は方法でも意味する。
【0077】
「貯蔵安定性」とは、粒状又は固体クラスレート又はそれらの希釈液体組成物の形態のものを、貯蔵所、出荷容器、包装、等の中で見られるような120°Fまでの温度の周囲環境条件で数カ月、典型的には、6カ月より長く、或は少なくとも1年間の希望される間、貯蔵した時の有効保存寿命を指す。
【0078】
「表面(単数又は複数)」とは、本発明の組成物及び方法を例示する次の実施例で用いている表面のような、日常の表面により例示されるように、多孔質又は非多孔質、珪酸質、又は非珪酸質であっても、あらゆる範囲の硬質又は軟質表面を意味する。そのような表面の例には、金属、ガラス、プラスチック、ゴム、陶磁器、セラミック、大理石、花崗岩、セメント、タイル、漆喰、シリカ、エナメル被覆器具、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリル、メラミン/フェノール樹脂、ポリカーボネート、珪酸質表面、ペイント塗布表面、木材、等が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0079】
「表面活性剤」及び「表面活性剤を含まない」とは、イリノイ州ノースフィールドのステパン社(Stepan Company)、2004「グローバル製品カタログ」(Global Product Catalog)に列挙されているような二種類の液体又は液体と固体の間の界面張力又は表面張力を減少させる物質を指す。それらには、洗浄剤、湿潤剤、及び乳化剤が含まれる。これらの用語は、有機シラン第四級アンモニウム化合物及び本発明で用いられる種類の表面張力減少性を除外する意味を持つ。
【0080】
「ウイルス」とは、生物ホスト、主にバクテリア、植物及び動物の細胞内でのみ複製されるが、手及び体の接触により、手及び体の接触表面を通して直接又は間接に移される限外顕微鏡的代謝不活性感染因子を意味する。
【0081】
ここで用いられる「撥水性の」及び「撥水性」とは、表面の疎水性の特徴及び目で観察する測定により水を反撥する能力を記述している。それは、表面上の蒸留水の液滴又は小滴の接触角により測定することもできる。(雨水、都市で供給されている水道水、又は地下水を用いて測定した接触角は、蒸留水又は脱イオン水を用いて測定したものよりも変動し易く、再現性がないのが典型的であり、一般にそれより10°まで小さい測定値になる)。一般に、個々の表面の疎水性は、次のように水滴の接触角によって評価されている:
【0082】
秀 95°以上の測定値を持ち、明るく輝く良く丸まった小型の液滴。
優 85°〜95°の測定値を持ち、僅かな広がりを示す明るく輝くが、丸みの少ない液滴。
良 70°〜85°の測定値を持ち、目で見て平たくなった水滴。
可 50°〜70°の測定値を持ち、一層水の広がりを示す比較的平らな水滴。
【0083】
試験表面の調製
全ての試験表面を、「ミラクル・スクラブ(Miracle Scrub)」、アリゾナ州スコッツデールのウネルコ社(Unelko Corporation)から入手できる擦り傷を付けない研磨性硬質表面クレンザーを用い、湿らせたセルローススポンジを用いて表面を擦ることによりクリーニングした。クリーニング後、表面を熱水で濯ぎ、過剰のミラクル・スクラブを除去し、次に脱イオン水で濯ぎ(水が広がり、表面を湿潤させた場合、清浄な表面であると認めることができる)、次にペーパータオルで乾燥した。清浄にされた表面は、室温で少なくとも1時間空気乾燥し、然る後、クラスレートを適用した。
【0084】
試験表面上での不溶性固体の形成、付着、及び蓄積
硬水鉱物付着物:水平位置にした試験表面上に、アリゾナ州スコッツデール(硬水)水道水を噴霧し、その水を蒸発させて表面上に硬水斑点を残すことにより、硬水斑点を形成した。試験表面上に実質的な硬水斑点残留物が残るまでこの手順を繰り返した。
【0085】
石鹸スカム:アリゾナ州スコッツデールの硬水中に「アイボリー石鹸(Ivory Soap)」〔プロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)〕の水溶液を、水平位置にした硬水鉱物付着試験表面上に噴霧し、その水を蒸発させ、表面上に石鹸スカム汚染物質を残した。試験表面上に実質的な石鹸スカム汚染残留物が残るまで、この手順を繰り返した。汚染された試験表面(硬水斑点及び石鹸スカム)を、次に250°Fの炉中に1時間入れ、表面から残留水を全て除去した。
【0086】
グリース:「クリスコ(Crisco)」噴霧(キャノーラ油及び大豆油)を、水平の位置にした乾燥試験表面に、その試験表面上に実質的なグリース残留物層が残るまで適用した。次に汚染された試験表面を400°Fの炉中に1時間入れ、その時にグリースは少し焦げることにより褐色に変化し始めた。
【0087】
有機シラン第四級化合物の尿素クラスレートの試験
A.ガラス上で水及び着色物反撥性の障壁被覆を形成するための、本発明のクラスレート組成物の試験:
ガラスの鏡を、上に記載したミラクル・スクラブのような研磨性クリーナーで清浄にした。ペーパータオルを折って2in×5inのアプリケーターにした。そのアプリケーターの一方の端に水を噴霧してそのタオルを湿らせた。水で湿らせたタオルに少量の固体クラスレート組成物を散布し、次にその鏡の表面に円形に擦る重複運動で適用した。次に処理した表面を水で濯ぎ、ペーパータオルで乾燥した。処理表面を、次に疎水性障壁被覆が存在するか否かについて試験した。
【0088】
撥水性:処理表面に水を噴霧し、水滴の丸みを観察した。障壁被覆が存在すると、液滴は丸くなり、表面の未処理部分上のように広がらない。
【0089】
着色物反撥性:メキシコのアベリー(Avery)により製造された黄色ハイライター・マーカー(Hi−Liter Marker)は、障壁被覆により反撥されるであろう〔黄色マジック・マーカー反撥(Repells Yellow Magic Marker)、RYMM〕が、未処理表面では反撥されないであろう。
【0090】
B.本発明のクラスレートに基づくクレンザーのクリーニング及び遮蔽被覆試験及びそれらの保存安定性
ガラス鏡を、上述の手順に従って清浄にした。除去し易さ及び同時に障壁被覆が形成されることについてクレンザーを試験するため黒色永久マジック・マーカー〔即ち、アベリーによるマークス・A・ロット(Marks−A−Lot)〕を用いて鏡を被覆し黒色の着色物を付けた。
【0091】
鏡表面へのクレンザーの適用は、上述の手順によるなどして行なった。過剰のクレンザー(グリット)を、水による濯ぎ及びペーパータオルでかき回すことにより鏡表面から除去し、次にペーパータオルで乾燥した。処理した表面を、次に上記撥水性及び着色物反撥性についての場合のように、障壁被覆が存在するか否かについて試験した。
【0092】
着色物除去:試験表面を、全ての残留物を観察することにより黒色の汚染物質が除去されたか否かについて調べた。試験に合格するためには、その着色物の完全な除去が要求された。
【0093】
貯蔵安定性:有機シラン第四級化合物が珪酸質表面と反応するであろうことは知られている(本出願人による係属中の2005年7月6日出願の米国特許出願Serial No.11/175,583参照)。しかし、有機シラン第四級化合物のクラスレートは、その第四級化合物をクラスレートから、例えば、尿素の溶液により遊離するまで、珪酸質表面との反応には利用できなくする。本発明のクラスレートの安定性を実証するため、塩化オクタデシルアミノジメチルトリメトキシシリルプロピルアンモニウムのクラスレートを二酸化珪素と混合し、実験室の周囲条件で22カ月貯蔵し、水及び着色物反撥性クリーニング及び遮蔽組成物として着色物除去により評価した。
【0094】
例8〜12
例1〜7のクラスレートを、上記手順に従い水及び着色物反撥性について試験した。これらのクラスレート全てが試験に合格した。
【0095】
例13〜16
上の試験に従い、クラスレート貯蔵安定性及び性能を試験し、それらの結果を表2に報告する。
【0096】
【表2】

【0097】
C.有機シラン第四級化合物の尿素クラスレートからのクリーナーの調製及びそのスプレー及び拭き取り試験
表1の例4及び7の尿素クラスレートを夫々6.4g、800mlの脱イオン水(pH=3)中に溶解し、プラスチック瓶中で振盪することによりクリーニング及び遮蔽組成物を調製した。得られた溶液は0.2%の有機シラン第四級化合物及び0.6%の尿素を含んでいた。溶液は両方共透明で、振盪により発砲した。
【0098】
それらクリーニング組成物を清浄なガラス表面領域に夫々噴霧し、表面が乾燥して磨かれるまでペーパータオルで拭った。処理した両方の表面を、次に評価し、撥水性で着色物反撥性を持つことが判明した。
【0099】
しかし、シリコーン化第四級化合物(U.S.6,994,890参照)と組合せて表面クリーナー、殺菌剤、及び相乗的結合剤として過酸化水素を供給するため固体成分として過酸化尿素を含む同様な組成物では、その組成物の長期安定性は、19カ月後に低下した。過酸化尿素は吸湿性であり、吸収された湿分がクラスレートを分解してシリコーン化第四級化合物を放出し、それが二酸化珪素グリットと反応し、それが今度は、処理すべき表面にその老化した組成物が適用された時に、希望の障壁被覆が形成されるのを妨げたものと考えられる。しかし、もしクレンザー組成物中に高レベルのシリコーン化第四級化合物が存在すると、二酸化珪素グリットが存在しても、それは長期間に亙り安定で機能性を維持し、表2で実証したように過剰の第四級化合物を利用して障壁被覆を形成することを可能にする。
【0100】
シリコーン化第四級化合物及びそれから誘導されたクラスレートに対し、過酸化尿素の存在下で化学的に不活性であると考えられるグリットを含有するクリーナーの更に別の研究を、表3に報告する。撥水性、着色物反撥性、及び着色物除去試験で、全てのクレンザーが満足な性能を果たしている。
【0101】
同じグリット及びクラスレートを用いているが、過酸化水素源としてポリビニルピロリドン(PVP)−過酸化水素重合錯体(過酸化水素を約18.5%含有する固体)を用いた別の研究の準備を行い、表4に報告するような性能試験にかけた。全てのクレンザーが満足な性能を果たしたが、PVP重合体を含有するものは、それらの試験で限定された量の水と共に用いた場合、それらの濃化のため、少し広がりにくく、除去しにくかった。
【0102】
例17〜22
【0103】
【表3】

【0104】
例23〜28
【0105】
【表4】

【0106】
D.尿素クラスレート及び尿素グリットからのクレンザーの調節及び試験
ワーリング・ブレンダー(Waring Blender)で、尿素プリルを粉砕し、約6,000μまでの粒径の微細粉末にした。しかし、粒径は、尿素のようにクラスレート固体又は固体希釈剤の重要な特徴であるとは考えられていなかった。本発明により、尿素又は他の固体は、本発明の目的を達成するため、種々の粒径のプリル、粒子、粉末、フレーク、ペレット又は結晶の形態になっている。塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムの尿素クラスレート(例7、表1)をワーリング・ブレンダーで粉砕し、約1,000μより小さい粒径を有する粉末にした。尿素粉末及びクラスレート粉末の粉末混合物を、表5に示した量を秤量してガラスジャーに入れ、そのジャーを密封して激しく振盪することにより調製した。
【0107】
試験表面への粉末の適用は、混合物を試験表面上に散布し、次に試験表面上でそのクレンザーを湿潤ペーパータオルで円形重複運動させて擦ることにより行なった。次に処理した表面を水で濯ぎ、ペーパータオルで乾燥した。処理表面を、次に着色物質、石鹸スカム、水斑点、及びグリースの除去、及び障壁被覆の形成について評価した。
【0108】
例29〜31
【0109】
【表5】

【0110】
結論:表5に与えたように、グリットとしての尿素及び障壁被覆組成物としての有機シランクオトクラスレートを用いたクレンザー組成物は、全て満足すべきクレンザー性能を示し、水及び着色物反撥性障壁被覆を付着した。
【0111】
E.有機シラン第四級化合物の溶媒による分解に対する安定性の決定
次の実験は、本発明のクラスレート組成物がクロロホルム(強力な溶媒)により分解するか否かを決定するために行なった。
【0112】
クロロホルムに対する尿素の溶解度
7.51gの尿素を、75.4gのクロロホルムと共にビーカー中で磁気撹拌により10分間撹拌してスラリーにした。次にそのスラリーを濾紙を通して重力により濾過した。濾液を用いてビーカーを濯ぎ、全ての固体を除去して、その濯ぎ物を濾滓に加えた。次に濾液を秤量ビーカー中で蒸発させ、0.01gの残渣を得た(それは実験誤差以内であった)。この実験から尿素はクロロホルムに溶解しないことを結論することができる。
【0113】
有機シラン第四級クラスレートのクロロホルムに対する溶解度
例7、表1の有機シラン第四級クラスレート10.21gを、上に記載したように、75gのクロロホルム中に入れて10分間スラリーにし、そのスラリーを上述のように濾過し、濾液を蒸発乾固させた。ビーカー中に0.07gのワックス状残留物が残っていた。残留物はクロロプロピルトリメトキシシラン(有機シラン第四級物を製造するための出発材料)の匂いがし、ペーパータオルで清浄なガラス表面に適用すると、水及び汚染物質に対する反撥性を示したが、ミラクル・スクラブで容易に除去された。
【0114】
この残留物は有機シラン第四級物ではないことを結論することができる。濾過された固体を一定重量になるまで乾燥し、10.24gが回収された。10.21gのクラスレートを添加した。+0.03gの差は、実験誤差以内であった。クラスレートはクロロホルムに溶解せず、有機シラン第四級物はクロロホルムによってそのクラスレートからは抽出されなかったことを結論することができる。このことは、更に本発明のクラスレートの顕著な安定性を実証している。
【0115】
当業者は、上に与えた説明、手順、方法、及び組成物は、記載した態様の範囲から離れることなく変化及び修正することができ、それらは本発明の範囲から離れるものではないことが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素と有機シラン第四級アンモニウム化合物とのクラスレート。
【請求項2】
有機シラン第四級化合物が、少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも一つの直線状鎖長を有する、請求項1に記載のクラスレート。
【請求項3】
直線状炭化水素鎖長が10〜22個の炭素原子である、請求項2に記載のクラスレート。
【請求項4】
有機シラン第四級化合物が、C10〜C22飽和又は不飽和炭化水素基を有する、請求項1に記載のクラスレート。
【請求項5】
有機シラン第四級化合物が、次の式:
【化1】


(式中、R=水素及び/又はC〜Cアルキル;R=C〜C個の炭素原子を有する二価炭化水素ラジカル;R=水素、又はC〜Cアルキル;R=水素、又はC〜C10アルキル;R=C10〜C22飽和又は不飽和炭化水素ラジカル;及びX=ハロゲン基、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸化物基、硫酸基、又は燐酸基;である。)
により定義される、請求項1に記載のクラスレート。
【請求項6】
有機シラン第四級化合物が、次の群:
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソイヤアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、及び
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルドコサンアンモニウム;
からなる群から選択されている、請求項1に記載のクラスレート。
【請求項7】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートの約25重量%までの量で存在する、請求項1に記載のクラスレート。
【請求項8】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートと希釈剤との合計重量の約0.01重量%〜約25重量%の量で存在する、請求項7に記載のクラスレートと希釈剤。
【請求項9】
請求項1に記載のクラスレートと、水及びアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択された希釈剤。
【請求項10】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートと希釈剤との合計重量に基づき約0.01重量%〜約1重量%の濃度で存在する、液体最終用途生成品としての請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートと希釈剤との合計重量に基づき約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する、請求項1に記載のクラスレートと、スラリー、クリーム、ゲル、又は粉末を形成するための希釈剤。
【請求項12】
表面を処理し、それによりその表面を水及び汚染物質反撥性にするための、貯蔵安定クレンジング及び多機能性コーティング組成物としての、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
研磨材粒子を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
スラリー、クリーム、又はゲルの形態になっている、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
尿素、表面活性剤、濃化剤、ゲル化剤、研磨材、潤滑剤、過酸化尿素、過酸化ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、及び溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択された添加剤と、請求項1に記載のクラスレート。
【請求項16】
過酸化水素又はその錯体を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
過酸化水素が約30重量%までの量で存在し、第四級化合物が約12.5重量%までの量で存在し、尿素が約38重量%までの量で存在する、液体組成物としての、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
過酸化水素又はその錯体が、過酸化水素が約3重量%までになる量で存在し、第四級化合物が約0.33重量%までの量で存在し、尿素が約1重量%までの量で存在する、液体最終用途生成品としての、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
研磨材粒子、その混合物又は混和物が、約35重量%までの量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
研磨材粒子が、尿素、シリカ、珪酸塩、金属酸化物、金属カーボネート、粘土、炭化物、及びプラスチックからなる群から選択されている、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
粒子が、約5μ〜約6,000μの程度の平均粒径を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
成分が、表面をクレンジングし、多機能性被覆をその表面に結合し、それによりその表面を(a)水及び汚染物質反撥性、及び(b)抗菌性にするのに効果的な量になっている、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
表面が、珪酸質、プラスチック、金属、セメント質、木材、大理石、花崗岩、織物、又は皮膚である、請求項12に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1に記載のクラスレートと、そのクラスレートのための希釈剤としての尿素。
【請求項25】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートと尿素との合計重合に基づき、約0.01重量%〜約1重量%の濃度で存在する、最終用途生成品としての、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートと尿素との合計重量に基づき約1重量%〜約5重量%の濃度で存在する、スラリー、クリーム、ゲル、又は粉末としての、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
表面を処理し、それによりその表面を水及び汚染物質反撥性にするための、貯蔵安定クレンジング及び多機能性コーティング組成物としての、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
尿素希釈剤が研磨材粒子の形態をしている、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
スラリー、クリーム、ゲル、又は粉末の形態になっている、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
表面活性剤、濃化剤、ゲル化剤、研磨材、潤滑剤、過酸化尿素、過酸化ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、及び溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択された添加剤を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
過酸化水素又はその錯体を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
過酸化水素が約30重量%までの量で存在し、第四級化合物が約12.5重量%までの量で存在し、尿素が約38重量%までの量で存在する、液体濃厚物としての、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
過酸化水素又はその錯体が、過酸化水素が約3重量%までになる量で存在し、第四級化合物が約0.33重量%までの量で存在し、尿素が約1重量%までの量で存在する、液体最終用途生成品としての、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
研磨材粒子、その混合物又は混和物が、約35重量%までの量で存在する、請求項24に記載の組成物。
【請求項35】
研磨材粒子が、尿素、シリカ、珪酸塩、金属酸化物、金属カーボネート、粘土、炭化物、及びプラスチックからなる群から選択されている、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
粒子が、約5μ〜約6,000μの程度の平均粒径を有する、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
成分が、表面をクレンジングし、多機能性被覆をその表面に結合し、それによりその表面を(a)水及び汚染物質反撥性、及び(b)抗菌性にするのに効果的な量になっている、請求項24に記載の組成物。
【請求項38】
尿素が、プリル、粒子、粉末、フレーク、ペレット、又は結晶の形態をしており、クラスレートがその中に均一に分布している、請求項24に記載の組成物。
【請求項39】
有機シラン第四級アンモニウム化合物と尿素のクラスレートを表面に適用することを含む、表面処理方法。
【請求項40】
有機シラン第四級化合物が、少なくとも10個の炭素原子を有する少なくとも一つの直線状鎖長を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
直線状炭化水素鎖長が10〜22個の炭素原子である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
第四級化合物が、C10〜C22飽和又は不飽和炭化水素基を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
クラスレートを、希釈剤と一緒にし、表面を処理するための組成物を形成する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
希釈剤を、尿素、水、及びアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
表面を処理し、それによりその表面を水及び汚染物質反撥性にするための、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
有機シラン第四級化合物を:
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジデシルメチルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルテトラデシルジメチルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルソイヤアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオレイルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオクタデシルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルオレイルアンモニウム、
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウム、及び
塩化3−(トリメトキシシリル)プロピルドコサンアンモニウム;
からなる群から選択する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
有機シラン第四級化合物が、クラスレートと希釈剤との合計重量の約0.01重量%〜約25重量%の量で存在する、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
尿素、表面活性剤、濃化剤、ゲル化剤、研磨材、潤滑剤、過酸化尿素、過酸化ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、及び溶媒、及びそれらの混合物からなる群から選択された添加剤を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
組成物が、過酸化水素又はその錯体を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
組成物が、約8重量%までの量の過酸化水素、約5重量%までの量の第四級化合物、及び約35重量%までの量の研磨材粒子を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
過酸化水素又はその錯体が、過酸化水素が約3〜約6重量%になる量で存在し、第四級化合物が約1重量%までの量で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
成分が、表面をクレンジングし、多機能性被覆をその表面に結合し、それによりその表面を(a)水及び汚染物質反撥性、及び(b)抗菌性にするのに効果的な量になっている、請求項39に記載の方法。

【公開番号】特開2008−163012(P2008−163012A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312957(P2007−312957)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(502319372)リソース ディベラップメント エル.エル.シー. (5)
【Fターム(参考)】