説明

有機ヒドロペルオキシドの調製方法、そのための工業的設備およびそのような有機ヒドロペルオキシドがアルキレンオキシドの調製において使用される方法

(a)有機化合物を酸化して有機ヒドロペルオキシドを含む有機反応生成物を得る工程、(b)工程(a)の前記有機反応生成物の少なくとも一部を塩基性水溶液と混合して、塩基性水溶液および前記有機反応生成物の混合物を得る工程、(c)工程(b)の前記混合物を分離して、有機ヒドロペルオキシドを含む分離した有機相、および分離した水性相を得る工程、(d)工程(c)の前記分離した有機相の少なくとも一部を水と混合して、水性相および前記有機相の混合物を得る工程、ならびに(e)工程(d)の前記混合物を分離して、有機ヒドロペルオキシドを含む分離した有機相、および分離した水性相を得る工程を含み、工程(e)における分離した有機相および分離した水性相への分離が、ガラス繊維を含むコアレッサーの助けで行われる、有機ヒドロペルオキシドの調製方法。上で調製された有機ヒドロペルオキシドが使用されるアルキレンオキシドの調製方法および上記方法を実施するための工業的設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ヒドロペルオキシドの調製方法、そのための工業的設備およびそのような有機ヒドロペルオキシドがアルキレンオキシドの調製において使用される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US−A−5883268は、エチルベンゼンの過酸化を含む、プロピレンオキシドの調製方法を記載している。過酸化反応混合物は、酸性成分を中和するために十分な量において水性塩基と接触し得る。その後、得られた混合物は分離水性相および有機(炭化水素質)相に相分離される。或る程度の塩基を含む有機相は、塩基性物質を分離するために水洗浄され得る。US−A−5883268の方法において、水は有機相からストリップされた。
【0003】
WO−A−03/066584は、アルキルアリールヒドロペルオキシド含有生成物の調製方法を記載している。この方法において、また、水性相は炭化水素質相から分離されねばならない。WO−A−03/066584における分離は、部分的に、コアレッサー(coalescer)の助けを借りて行うことができる。
【0004】
有機ヒドロペルオキシドを含む有機相における残留塩基性物質、例えば、ナトリウム塩等の存在は、有機ヒドロペルオキシドのその後の処理工程において問題を引き起し得る。
【0005】
そのような塩基性物質の除去の改善は、過酸化反応混合物における任意の酸性成分を中和するために使用される塩基の高い量をさらに可能とする。塩基性物質除去の効率の改善により、したがって酸性成分の除去もまた改善することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、塩基性物質除去が改善され得る、有機ヒドロペルオキシドの調製のための改善された方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
塩基性物質の除去は、ガラス繊維を含むコアレッサーの助けを借りて水性相および有機相を分離することにより改善できることが今回分かった。驚くべきことに、ガラス繊維は本発明による方法の不利な環境において良く機能することが分かり、腐食は殆ど観察されない。したがって、本発明は、
(a)有機化合物を酸化して有機ヒドロペルオキシドを含む有機反応生成物を得る工程、
(b)工程(a)の前記有機反応生成物の少なくとも一部を塩基性水溶液と混合して、塩基性水溶液および前記有機反応生成物の混合物を得る工程、
(c)工程(b)の前記混合物を分離して、有機ヒドロペルオキシドを含む分離した有機相、および分離した水性相を得る工程、
(d)工程(c)の前記分離した有機相の少なくとも一部を水と混合して、水性相および前記有機相の混合物を得る工程、ならびに
(e)工程(d)の前記混合物を分離して、有機ヒドロペルオキシドを含む分離した有機相、および分離した水性相を得る工程を含み、
工程(e)における分離した有機相および分離した水性相への分離が、ガラス繊維を含むコアレッサーの助けで行われる、有機ヒドロペルオキシドの調製方法を提供する。
【0008】
ガラス繊維は、これらが強塩基または酸性化合物と接触するような方法において、繊維の腐食が起り得ることから、通常は使用されない。これは、ガラス繊維が本方法において良く機能することを極めて驚くべきものとする。
【0009】
さらに、ガラス繊維の使用は、有機相および水性相を沈降させるために必要な時間および空間を制限する可能性がある。過去において、有機相および水性相のそのような分離は、分離沈降容器と、それに続く、可能な合体手段を含む分離容器を含む設備を必要とした。本発明は、合体手段および沈降帯域を含む分離容器だけを使用することを可能とし、分離容器に入る前に、分離に先立つ沈降容器を必要としない。
【0010】
本発明による方法で与えられる有機ヒドロペルオキシドは、上記方法による有機ヒドロペルオキシドを含む有機相を調製する工程および有機ヒドロペルオキシドを含む、得られた有機相の少なくとも一部を、アルケンと接触させてアルキレンオキシドおよび有機アルコールを得るためのさらなる工程を含む、アルキレンオキシドを調製するための方法において都合よく使用することができる。
【0011】
上記に加えて、本発明は、有機相と水とを混合するためのミキサー、および、前記得られた混合物を、有機ヒドロペルオキシドを含む精製有機相、および水性相へ分離するために前記ミキサーへ直接または間接に接続された分離容器を含み、前記ミキサーがスタティックミキサーであり、前記分離容器が、ガラス繊維を含む1つまたは複数のコアレッサーを含む、有機ヒドロペルオキシドを含む有機相から塩基性物質を除去するための工業的設備をさらに提供する。
【0012】
本発明は以下の図によって例示される。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の方法において使用される有機化合物は、基本的にいずれの化合物であってもよい。適当な有機化合物の例としては、アルキルアリール化合物および第三級アルキル化合物が挙げられる。最も頻繁に使用されるアルキルアリール化合物は、1から10個の炭素原子、好ましくは、2から8個の炭素原子を含む少なくとも1つのアルキル置換基を含むベンゼン化合物である。好ましくは、ベンゼン化合物は1から2の平均で構成要素を含む。さらに好ましいアルキルアリール化合物は、エチルベンゼン、クメンおよびジ(イソ−プロピル)ベンゼンである。使用することのできる第三級アルキル化合物としては、第三級ブタン(すなわち、2−メチルプロパン)が挙げられる。最も好ましい有機化合物はエチルベンゼンである。エチルベンゼンが有機化合物として使用される場合、本方法は、エチルベンゼンヒドロペルオキシドを調製するために使用することができる。
【0014】
本発明による方法の工程a)における有機化合物の酸化は、当技術分野において公知の適切な方法のいずれでも行うことができる。酸化は、好ましくは、有機化合物と酸素含有ガス、例えば空気等との接触により行われる。酸化は、液相において、希釈剤の存在下において行うことができる。この希釈剤は、好ましくは、反応条件下で液体であり、出発物質および得られる生成物と反応しない化合物である。しかしながら、希釈剤は、また、反応中に必ず存在する化合物であることもできる。例えば、アルキルアリールがエチルベンゼンである場合、希釈剤は同じくエチルベンゼンであることができる。好ましい実施形態において、本方法は、したがって、エチルベンゼンにおいてエチルベンゼンヒドロペルオキシドの溶液を調製するために使用することができる。さらに好ましい実施形態において、酸化生成物は、その後、例えば、フラッシングにより濃縮される。
【0015】
所望の有機ヒドロペルオキシドに加えて、広範囲の汚染物質が有機化合物の酸化中に作り出される。これらの殆どは少量において存在するが、有機酸の存在は、特に、有機ヒドロペルオキシドのさらなる使用において時々問題を引き起すことが分かった。US−A−5883268において記載されているように、汚染物質の量を減少させるための方法は、有機ヒドロペルオキシドを含む反応生成物と水性アルカリ金属溶液(すなわち、水性塩基)とを接触させることである。しかしながら、水性アルカリ金属溶液との接触は、アルカリ金属の或る量を有機ヒドロペルオキシド含有反応生成物中へ導入する。有機酸の量はアルカリ金属洗浄で減少させることができるが、アルカリ金属汚染物質の量は増加する。
【0016】
本発明の方法の工程(b)において、有機ヒドロペルオキシドを含む有機反応生成物の少なくとも一部は、混合物を得るために塩基性水溶液と混合される。結果として、有機酸副生成物の少なくとも一部は中和され得る。
【0017】
好ましくは、有機反応生成物の本質的に全てが塩基性水溶液と混合される。
【0018】
混合によって、有機反応生成物と塩基性水溶液とが、この2つの混合物が得られるような方法において互いに接触することが理解される。混合によって、大きな境界域が、有機反応生成物および水溶液との間に作り出されて物質移動を可能とする。工程(b)における混合は、例えば、スタティックミキサー、撹拌タンクによる、または繊維接触装置によることを含めて、そのような方法にとって適することが当業者に知られている任意の様式において行うことができる。
【0019】
好ましくは、1つまたは複数のアルカリ金属化合物を含む塩基性水溶液が使用される。水性アルカリ金属溶液における使用に適したアルカリ源としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭酸水素塩が挙げられる。これらの化合物の例は、NaOH、KOH、NaCO、KCO、NaHCOおよびKHCOである。これらの容易な利用性から見て、NaOHおよび/またはNaCOを使用することが好ましい。水性アルカリ金属溶液において存在するアルカリ金属の量は広く変動してもよい。好ましくは、全水溶液を基準として、アルカリ金属の0.01から25%w/wの濃度、さらに好ましくは、アルカリ金属の0.1から10%w/wの濃度が使用される。
【0020】
好ましい実施形態において、工程(b)は、得られる混合物が有機相における塩基性水溶液の小滴の分散体であるように、塩基性水溶液を有機反応生成物の少なくとも一部の中へ分散させる工程を含む。
【0021】
工程(c)において、工程b)において得られた混合物は、有機ヒドロペルオキシドを含む有機相、および水性相に分離される。分離は当業者に公知の任意の様式において行うことができる。好ましくは、分離は、相分離により、例えば、沈降容器を使用して行われる。
【0022】
工程(d)において、先の工程の分離された有機相の少なくとも一部は水で洗浄される。さらに好ましくは、先の工程において得られた有機相の本質的に全てが水で洗浄される。水は清浄な水であり得るが、好ましくは、少なくとも部分的に排水からなる。洗浄は、一般的に、新鮮な水、再循環水および場合により本発明のその他の工程において得られたさらなる排水の組合せの助けで行われる。
【0023】
この洗浄は、有機相の少なくとも一部と水とを混合して、工程(d)において水性相および有機相の混合物を得るために行われる。
【0024】
混合によって、工程(c)の有機相および水が、この2つの混合物が得られるように互いに接触することが理解される。
【0025】
好ましい実施形態において、工程(d)は、混合物が、有機相における水の小滴の分散体として得られるように、工程(c)において得られた有機相の少なくとも一部の中へ水を分散させる工程を含む。
【0026】
この後、工程(d)において得られた有機相および水性相の混合物は、工程(e)において再度分離される。
【0027】
有機過酸化物を含む有機相において存在する汚染物質の量によって、方法の工程(d)および(e)の組合せは、1回または多数回行うことができる。好ましい実施形態において、工程(d)および(e)の手順は1回以上繰り返される。繰り返される場合、工程(d)および(e)は、好ましくは、1回または2回繰り返され、2または3回の洗浄工程(d)および分離工程(e)の合計となる。
【0028】
本発明によれば、工程(e)の少なくとも1つは、ガラス繊維を含むコアレッサーの助けで行われる。好ましくは、本方法において存在する全ての工程(e)は、ガラス繊維を含むコアレッサーの助けで行われる。
【0029】
好ましくは、ガラス繊維を含むコアレッサーが使用される工程(e)に先立つ工程(d)は、特定の容量比で行われる。工程(e)がガラス繊維を含むコアレッサーの助けで行われる場合、工程(d)における水性相対有機相の容量比は、好ましくは、1:100から1:2の範囲にある。さらに好ましくは、そのような工程(d)における容量比は、1:10から1:3の範囲にあり、最も好ましくは、1:8から1:4の範囲にある。
【0030】
工程(d)における混合は、例えば、スタティックミキサー、撹拌タンクによる、または繊維接触装置によることを含めて、そのような方法にとって適することが当業者に知られている任意の様式において行うことができる。好ましい実施形態において、しかしながら、有機相および水性相は、十分な乱流を伴う制御された様式において混合される。好ましくは、したがって、有機相はスタティックミキサーにより工程(d)において水と接触する。
【0031】
スタティックミキサーの混合メカニズムは、例えば、撹拌タンク等のミキサーの別のタイプにおけるメカニズムとは異なる。スタティックミキサーは、高い乱流で2相間により長い接触時間を与え、結果として、より均一な小滴径分布が、例えば、撹拌タンクでよりもスタティックミキサーで得ることができる。すなわち、スタティックミキサーの使用は、混合物および小滴径の良好な制御性をもたらす。スタティックミキサーは、当業者に公知の任意のスタティックミキサーであってもよい。適当なスタティックミキサーの例は、例えば、N.Harnbyらによる“mixing in the process industries”において記載されている。好ましい実施形態において、スタティックミキサーは、0.05を超える、好ましくは、0.1バールを超える、スタティックミキサー全体の圧損が得られるように操作される。
【0032】
好ましくは、スタティックミキサーは、混合要素を1から30、さらに好ましくは、2から20の要素、最も好ましくは、3から12の要素の範囲において含む。N.Harnbyらにより例示される通り、混合要素は、一般的に、障害物、例えば、流動方向において非連続または連続変化を引き起す邪魔板を含む管である。障害物は強力な乱流を引き起す。実用目的のためには、要素は好ましくは、方向が要素から要素へ変化するような順序において配置される。
【0033】
スタティックミキサーの直径は広く変動することができる。実用目的のためには、スタティックミキサーの直径は2mmおよび2mの間で変動する。
【0034】
ガラス繊維を含むコアレッサーが使用される工程(e)に先立つ場合、工程(d)は、好ましくは、特定の小滴径が得られるような様式および範囲において有機相および水を混合する工程を含む。さらに好ましくは、分散体は、30から300マイクロメートルの範囲におけるザウター平均小滴径を有する小滴を含むそのような工程(d)において調製される。さらに好ましくは、小滴は50から250マイクロメートルの範囲におけるザウター平均小滴径を有する。ザウター平均小滴径は、Streiffら、“New Fundamentals for Liquid−Liquid Dispersion Using Static Mixers”、Mixing IX、1997年の論文において記載されている方法により決定することができる。混合物の性質、例えば、粘度、表面張力、密度および流速等が測定された後に、続いて、小滴径は、この論文において言及されている、例えば、式(9)で計算することができる。
【0035】
小滴は、好ましくは、有機相に分散した水滴である。
【0036】
上述の平均小滴径を有する小滴は、スタティックミキサーを使用して都合よく得ることができる。
【0037】
好ましい実施形態において、工程(e)は、有機相および水性相を、例えば、巨大小滴を形成することによりコアレッサーにおいて合体させ、その後、相を沈降帯域において分離することを可能とする工程を含む。コアレッサーを使用することにより、分離は加速される。そのような場合において、工程(e)は、好ましくは、
(1)ガラス繊維を含むコアレッサーにおいて工程d)において得られた混合物を処理して、増加した小滴径を有する小滴を含む混合物を得る工程、
(2)工程(1)において得られた増加した小滴径を有する小滴を含む混合物を沈降帯域において沈降させ、分離した有機相および分離した水性相を得る工程、
(3)沈降帯域から有機相および水性相を除去する工程、
を含む。
【0038】
合体により小滴径を増加することにより、最初の(部分的な)相分離が、工程(2)において改善された分離を可能とする工程(1)において達成できる。沈降帯域は、分離沈降容器またはコアレッサーと同じ容器において集積された沈降帯域であることができる。好ましくは、コアレッサーおよび沈降帯域の両方を含む1つの分離容器が使用される。
【0039】
大容量の場合において、コアレッサーは、追加の沈降帯域を都合よく前に置くことができる。そのような場合において、工程e)は、混合物が、沈降帯域において有機相および水性相に沈降するのを可能とし、その後2つの相が分離される、追加の沈降工程(0)を含む。好ましくは、分散した水滴をなお含む分離された有機相は、その後、工程(1)においてガラス繊維を含むコアレッサーの助けで処理される。
【0040】
そのような追加の沈降工程の使用は、水性相対有機相の高い容量比が使用される場合特に有利になる。工程(d)における水性相対有機相の容量比が1:8から1:4の範囲にある場合特に有利である。
【0041】
本発明において適用されるガラス繊維は任意のガラス繊維であることができる。好ましくは、しかしながら、ガラス繊維はリンおよび/または硫黄を含む添加物の無いものである。幾つかの場合において、これらの添加物は有機ヒドロペルオキシドの増加した分解をもたらし得ることが分かった。好ましいガラス繊維は、ガラスの全量を基準にして、元素硫黄の1000ppmw未満を含むガラスで作製された繊維である。元素リンの量は、ガラスの全量を基準にして、好ましくは、多くても1000ppmwである。最も好ましくは、元素硫黄の量は、多くても290ppmwであり、さらに、元素リンの量は、多くても250ppmwである。
【0042】
当業者に公知のガラス繊維の任意のタイプが使用できる。適当なガラスタイプの例としては、A−タイプガラス(すなわち、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス)、C−タイプガラス(すなわち、カルシウムホウケイ酸塩ガラス)、D−タイプガラス(すなわち、低誘電定数を持つホウケイ酸塩ガラス)、E−タイプガラス(すなわち、2%w/wの最大アルカリ含有量を持つアルミナ−カルシウム−ホウケイ酸塩ガラス)、ECRGLASS(登録商標)(すなわち、カルシウムアルミノシリケートガラス)、AR−タイプガラス(すなわち、アルカリジルコニウムシリケートを含むアルカリ耐性ガラス)、R−タイプガラス(すなわち、カルシウムアルミノシリケートガラス)およびS−2−タイプガラス(すなわち、マグネシウムアルミノシリケートガラス)が挙げられる。これらの中で、C−タイプガラス、ECRGLASS(登録商標)およびR−タイプガラスは、これらの酸腐食耐性の故に好ましく、ARガラスは、そのアルカリ耐性の故に特に好ましい。その他の有利な実施形態において、E−タイプガラスが使用された。E−タイプガラスが使用された場合、驚くべきことに、ガラスの腐食は殆ど起らなかったことが好都合に分かった。
【0043】
これは、実施例の図によって例示されている。
【0044】
ガラス繊維の厚さは広く変動することができる。好ましくは、しかしながら、ガラス繊維の直径は0.1から50マイクロメートルの範囲にある。さらに好ましくは、ガラス繊維の直径は、1から20マイクロメートルの範囲にあり、なおさらに好ましくは、5から15マイクロメートルの範囲にある。
【0045】
好ましい実施形態において、ガラス繊維は、その他の材料、例えば、ステンレススチールまたはTeflon繊維と同時編みすることができる。例えば、ステンレススチールまたはTeflon材料を伴うそのような同時編物の使用は、Teflonまたはステンレススチールがガラス繊維を支持し、流動の圧力下でガラス繊維の緻密化を防ぐので有利である。微細ガラス繊維、例えば、1から20ミクロンの範囲にある直径を有する微細ガラス繊維と、さらに粗いTeflon繊維、例えば、20から40ミクロンの範囲における直径を有するTeflon繊維、またはステンレススチール繊維、例えば、250から300ミクロンの範囲における直径を有するステンレススチール繊維との組合せにおける組合せが特に好ましい。
【0046】
必要に応じて、また、異なる材料の床の組合せが使用できる。例えば、ガラス繊維からなる1つまたは複数の床は、別の材料の1つまたは複数の床あるいは材料の同時編物と組み合わせることができる。
【0047】
コアレッサーとは、別の相へ混合される最初の相の合体における手助けの手段であることが理解される。さらに具体的に言えば、コアレッサーとは、微細に分散した小滴の合体および分離のために使用される合体媒体に通過させる手段であることが理解できる。合体媒体は、分散した小滴を十分長く保持し、分散した小滴が沈降するのに十分なサイズの小滴を形成することにより働くものと理解されてもよい。本発明による方法において、ガラス繊維はそのような合体媒体であると理解されてもよい。
【0048】
コアレッサーは、例えば、コアレッサーカートリッジ、すなわち、特定の配置において繊維を保持する容器の形態において存在することができる。その他の例において、コアレッサーは、コアレッサー床、すなわち、時にまたコアレッサーマットとも称される、分離容器中に固定される、繊維の編まれた、織られたまたはプレスされた「織物」の形態において存在することができる。
【0049】
本発明における使用のためのコアレッサーは、当業者にとって適当であることが知られている任意のコアレッサーであることができる。
【0050】
コアレッサーは、多くの場合、分離容器、すなわち、水性相および有機相の分離が行われ得る容器内に配置される。コアレッサーが使用できる分離容器としては、垂直または水平容器が挙げられる。好ましくは、水平分離容器が使用される。
【0051】
1つの分離容器は、1つまたは複数のコアレッサーを含むことができる。好ましくは、1つの分離容器は、1から10、さらに好ましくは、1から5のコアレッサーを含む。
【0052】
そのようなコアレッサーは、当業者に公知の任意の様式においてそのような分離容器において配置することができる。例えば、そのようなコアレッサーは、分離容器において水平に、対角線上に、または垂直に配置することができる。1つの好ましい実施形態において、コアレッサーは本質的に垂直に配置され、一方、有機および水性相の混合物は、本質的に水平の分離容器を通過する本質的に水平の方向においてコアレッサーを通って流動する。その他の好ましい実施形態において、コアレッサーは本質的に水平に配置され、一方、有機および水性相の混合物は、本質的に垂直の分離容器を通過する本質的に垂直の方向においてコアレッサーを通って流動する。
【0053】
コアレッサーは、分離容器内の任意の場所、例えば、水平分離容器の上半分;水平分離容器の全体の長さにわたって;または水平分離容器の下半分において配置することができる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのコアレッサーは、本質的に水平の分離容器の全長にわたって本質的に垂直に配置される。特に好ましい実施形態において、分離容器は、分離容器の上流半分において本質的に垂直に配置された、分離容器の全断面にわたる1つまたは2つのコアレッサーを含む;および分離容器の下流半分において本質的に垂直に配置された、分離容器の断面の一部にわたる1つまたは2つのコアレッサーをさらに含む、本質的に水平な分離容器である。分離容器の下流半分においては配置されるコアレッサーは、好ましくは、分離容器の底部に通過口を残して、分離容器の先端から分離容器の高さの9/10未満、好ましくは、4/5未満、さらに好ましくは、2/3未満まで伸びる。
【0054】
分離容器は、例えば、コアレッサーマットまたはコアレッサーカートリッジの形態においてコアレッサーを含むことができる。カートリッジの使用は、大きな接触面積が必要とされる場合に有利であることができる。より大きな接触面積はより低い空間速度を可能にする。
【0055】
適当なコアレッサーの例は、例えば、ACS Industries、LP、Houston、Texas、USAの“Liquid−Liquid coalescer Design Manual”において記載されている。
【0056】
1つまたは複数のコアレッサーマットまたはカートリッジは、分離容器において使用することができる。例えば、分離容器は、分離容器の前面において互いに連結した第1および第2コアレッサーマットの組合せ、および容器においてさらに下流の第2の場所で互いに連結した第3および第4のコアレッサーマットの組合せを含むことができる。
【0057】
上で示した通り、コアレッサーマットおよび/またはカートリッジは、水平または垂直に適用することができる。
【0058】
必要に応じて、有機および水性相の混合物は、ガラス繊維との接触前にフィルターを通して濾過することができる。そのようなフィルターは、多くても20マイクロメートル、好ましくは、多くても10マイクロメートルの開口を一般的に有する。
【0059】
本発明における使用のためのコアレッサーは、当業者に公知の従来の様式において使用することができる。操作中のコアレッサー全体の圧損をモニターすることが通例である。圧損が許容不可能になった場合は、コアレッサーは、例えば、逆洗浄により清浄にすることができる。
【0060】
工程(e)における有機相および水性相の分離は、好ましくは連続様式において行われる。好ましくは、工程(d)において得られる混合物は、0.01から10.0cm/秒の範囲における、さらに好ましくは、0.1から3.0cm/秒の範囲における速度で、工程(e)において分離容器へ供給される。
【0061】
分離中に使用される圧力は広く変動することができる。分離は、好ましくは、0.01から80バールの範囲における、さらに好ましくは、0.1から17バールの範囲における圧力で液相において好ましくは行われる。好ましくは、工程(e)における有機相および水性相の分離は、0℃および150℃の間の温度、さらに好ましくは、20℃から100℃の範囲における温度、なおさらに好ましくは、40℃から8℃の範囲における温度で行われる。有利な実施形態において、熱は、この方法の初期の工程から、例えば、工程a)またはb)からの熱回収により回収されてもよく、この熱は工程e)において適用されてもよい。
【0062】
特に好ましい実施形態において、工程e)との熱交換により、苛性洗浄工程b)において冷却が適用される。
【0063】
工程(e)において得られる、有機ヒドロペルオキシドを含む、分離された有機相は、本発明によるアルキレンオキシドの調製方法において都合よく使用することができる。
【0064】
そのような方法において使用されるアルケンは、好ましくは、2から10個の炭素原子を含むアルケン、さらに好ましくは、2から4個の炭素原子を含むアルケンである。相当する調製されるアルキレンオキシドは、好ましくは、また、2から10個の炭素原子、さらに好ましくは、2から4個の炭素原子をそれぞれに含む。使用することのできるアルケンの例としては、エテン、プロペン、1−ブテンおよび2−ブテンが挙げられ、これらを以って、相当するエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドが調製できる。
【0065】
本発明による方法は、プロピレンオキシドの調製にとって特に有利である。したがって、最も好ましいアルケンはプロペンであり、これを以って、相当するプロピレンオキシドが調製できる。
【0066】
追加のプロセス工程(f)において、本明細書において上で説明した方法から得られる、有機ヒドロペルオキシドを含む有機相の少なくとも一部は、アルケンと接触してアルキレンオキシドを得ることができる。有機ヒドロペルオキシドは、その相当するアルコールへ転換される。好ましくは、この反応は触媒の存在下において行われる。そのような方法にとって好ましい触媒は、シリカおよび/またはシリケート上のチタンを含む。さらに好ましい触媒は、EP−A−345856において記載されている。反応は、一般的に、適度の温度および圧力で、特に、25から200℃の範囲における、好ましくは、40から135℃の範囲における温度で進行する。液体として、または気体および液体の混合物として反応混合物を維持するのに十分であれば正確な圧力は重要ではない。一般的に、圧力は、1から100バールの範囲、好ましくは、20から80バールの範囲にあることができる。
【0067】
アルキレンオキシドは、当業者に適すると知られている任意の様式において反応生成物から分離することができる。例えば、液体反応生成物は、分別蒸留および/または選別抽出で処理されてもよい。溶剤、触媒および任意の未反応アルケンまたはヒドロペルオキシドはさらなる利用のために再循環されてもよい。
【0068】
好ましくは、本発明における使用のための有機化合物はエチルベンゼンであり、これは工程(f)において1−ペニル−エタノールへ転換される。有機化合物がエチルベンゼンである場合、そのような方法は、一般的に、(g)工程(f)において得られた反応混合物から1−フェニル−エタノールの少なくとも一部を分離する工程、および(h)工程(g)において得られた1−フェニルエタノールをスチレンへ転換する工程をさらに含む。
【0069】
この工程のために使用できる方法は、WO99/42425およびWO99/42426において記載されている。しかしながら、当業者に公知の任意の適当な方法が基本的には使用できる。
【0070】
本発明は、以下の実施例によりさらに例示される。
【実施例】
【0071】
実施例1−13
反応器において、空気を、エチルベンゼンを通して吹き込んだ。得られた生成物を、エチルベンゼンにおいて溶解したエチルベンゼンヒドロペルオキシド(EBHP)の約26重量%を含む混合物が得られるように濃縮した。さらに、ギ酸および酢酸の約66ppm(重量)、プロピオン酸の72ppm(重量)および安息香酸の2843ppm(重量)を含む有機酸副生成物がこの混合物において存在した。
【0072】
EBHPを含む混合物を、水酸化ナトリウムの約0.5重量%の水溶液で中和した。その後、有機相および水性相を分離した。
【0073】
得られた有機相を、図1において例示されるような設備において水性流と接触させた。有機相(エチルベンゼンに溶解したEBHPを含む)(101)を水性流(102)と接触させ、スタティックミキサー(103)において混合した。ミキサー(103)から得られた混合物を、分離容器において垂直に配置されたコアレッサー床(105)(それぞれのコアレッサー床は、10ミクロンの直径を有するE−タイプガラス繊維を含む。)を含む水平分離容器(104)へ供給した。分離容器において、混合物を、精製有機相流(106)と塩基性残渣を含む水性流(107)とに分離した。水性流の一部を再循環し(108)、一部を、水性ブリード(109)で設備から除去した。出来上がったものは、清浄な水性流(110)で与えられた。除去効率は、原子吸光分光法でそれぞれにライン(101)および(106)における混合物におけるナトリウムの量(全混合物を基準にしたppmw)を測定し(CNa)、以下の式I:
[CNa(101)−CNa(106)]/CNa(101)*100 (I)
により計算することにより決定される。
【0074】
それぞれの実施例に対して、Naの入口濃度(ppmw)およびライン(101)における混合物の速度が表1において与えられる。除去効率も表1において示された。
【0075】
さらに、各実施例において使用された有機相(OR)、水性相(AQ)および出来上がった清浄な水性流(CCC)の重量比;有機相(OR)対水性相(AQ)の質量比;およびコアレッサータイプが表1において示される。水性相を有機相に分散した。水性相の平均小滴径を、Streiffら、New Fundamentals for Liquid−Liquid Dispersion Using Static Mixers、MIXING IX、1997年において説明された方法により決定した。結果は表1において示される。
【0076】
実施例14−25
実施例1−13において特定されたものと同じ設備および方法条件を使用した。この場合において、しかしながら、コアレッサー材料の幾つかの異なるタイプを使用した。結果は表2において特定される。E−タイプガラス繊維は約10ミクロンの直径を有していたが、Teflon繊維は約21ミクロンの直径を有していた。
【0077】
実施例26
本発明による連続方法において、以下の工程を実施した:
最初の苛性処理工程において、0.02meq/gの酸を含むエチルベンゼン(EBHP溶液)において溶解した26%w/wエチルベンゼンヒドロペルオキシドの流れを、60−65℃の温度で、NaOHの約0.5%w/wの水溶液と接触させる。
【0078】
次いで、有機相および水性相を、空の水平容器において、沈降時間の14分間に沈降させる。EBHP溶液対水溶液の重量比は接触では0.22であった。空の水平容器を出て行く水性相のpHは約8であった。
【0079】
水性NaOH溶液を含む分離された水性相の80%w/wを、新しいEBHP溶液と再度接触させるために再循環した。残りの20%w/wを排水として放出し、以下の洗浄工程からの水および水に溶解した20%w/wNaOHを含む新しい苛性溶液で補給した。容器に出て行く、EBHP溶液を含む有機相は59ppmwのナトリウムを含んでいて、酸含有量は0.003meq/gまで減少する。
【0080】
第1洗浄工程である第2工程において、第1工程からの有機相を含む流れを、150μmの平均小滴径を有する、有機相における水の分散体を含む流れを作り出す第1スタティックミキサーにおいて洗浄水の流れと混合した。分散体を第1水平分離容器の上に通した。混合物を、一方がステンレススチールワイヤおよび繊維ガラスの同時編物であり、他方はステンレススチールワイヤおよびTeflonの同時編物である2つの層からなるコアレッサーマット全体に均一に分割した。各層は12インチ(30.5cm)の厚さを有し、一緒になって、2つの層は24インチ(61cm)厚のコアレッサーマットを形成した。
【0081】
次いで、有機相および水性相を相分離した。有機相を、一方がステンレススチールワイヤおよび繊維ガラスの同時編物であり、他方はステンレススチールワイヤおよびTeflonの同時編物である2つの層からなる第2コアレッサーマットに通した。各層は12インチ(30.5cm)の厚さを有し、一緒になって、2つの層は24インチ(61cm)厚のコアレッサーマットを形成した。
【0082】
分離された水性相の90%w/wを、第1スタティックミキサーにおいて新しい有機相と再度接触させるために循環流において再循環した。第1スタティックミキサーへの水の残りの10%w/wを、第2水平分離容器を出て行く洗浄水の流れで補給した。第1水平分離容器を出て行く有機相の流れは3.5ppmwのナトリウムを含んでいた。
【0083】
第2洗浄工程である第3工程において、先の洗浄工程からの有機相の流れを、150μmの平均小滴径を有する、有機相における水の分散体を含む流れを作り出す第2スタティックミキサーにおいて、洗浄水のさらなる流れと混合した。分散体を第2水平分離容器の上に通した。分散した流れを、ステンレススチールワイヤおよび繊維ガラスの同時編物の2つの層からなるコアレッサーマット全体に均一に分割した。各層は12インチ(30.5cm)の厚さを有し、一緒になって、2つの層は24インチ(61cm)厚のコアレッサーマットを形成した。
【0084】
有機相および水性相を相分離した。有機相を、ステンレススチールワイヤおよび繊維ガラスの同時編物の2つの層からなる第2コアレッサーマットに通した。各層は12インチ(30.5cm)の厚さを有し、一緒になって、2つの層は24インチ(61cm)厚のコアレッサーマットを形成した。
【0085】
分離された水性相の90%w/wを、第2スタティックミキサーにおいて新しい有機相と再度接触させるために循環流において再循環した。10%w/wの流れを第2工程の第1スタティックミキサーへ再循環した。第2スタティックミキサーへの水の残りの10%w/wを、新しい洗浄水の流れで補給した。有機相対新しい水の重量相比は25.3:1であった。
【0086】
第2水平分離容器を出て行く有機相の流れは0.02ppmwのナトリウムを含んでいた。
【0087】
これらの順次工程の合計有効酸除去は85%であり、組み合わされた水洗浄工程のナトリウム除去効率は99.97%であった。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
実施例27、ガラス繊維腐食
ガラス繊維の腐食の範囲を確認するために、E−タイプガラス繊維を、実施例26において例示された第1洗浄工程における第1水平分離容器において4カ月間使用した。
【0091】
図2Aは、使用前のガラス繊維(新しいガラス繊維)を示し、図2Bは使用後のガラス繊維(使用済みガラス繊維)を示す。
【0092】
見て分かる通り、本質的に、腐食は起らなかった。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による方法のための工業的設備を示す図である。
【図2A】本発明による使用前のガラス繊維(新しいガラス繊維)を示す図である。
【図2B】本発明による使用後のガラス繊維(使用済みガラス繊維)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有機化合物を酸化して有機ヒドロペルオキシドを含む有機反応生成物を得る工程、
(b)工程(a)の前記有機反応生成物の少なくとも一部を塩基性水溶液と混合して、塩基性水溶液および前記有機反応生成物の混合物を得る工程、
(c)工程(b)の前記混合物を分離して、分離した有機相(これは、有機ヒドロペルオキシドを含む。)および分離した水性相を得る工程、
(d)工程(c)の前記分離した有機相の少なくとも一部を水と混合して、水性相および前記有機相の混合物を得る工程、ならびに
(e)工程(d)の前記混合物を分離して、分離した有機相(これは、有機ヒドロペルオキシドを含む。)および分離した水性相を得る工程を含み、
工程(e)における分離した有機相および分離した水性相への分離が、ガラス繊維を含むコアレッサーの助けで行われる、有機ヒドロペルオキシドの調製方法。
【請求項2】
工程(d)および(e)の手順が1回以上繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(d)における水性相対有機相の容量比が、1:100から1:2の範囲にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程d)において得られる前記混合物が、30から300マイクロメートルの範囲におけるザウター平均小滴径を有する小滴を含む分散体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ガラス繊維が、1から20マイクロメートルの範囲における直径を有するガラス繊維である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(d)における前記混合がスタティックミキサーにより行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法による有機ヒドロペルオキシドを含む有機相を調製する工程、および有機ヒドロペルオキシドを含む前記得られた有機相の少なくとも一部をアルケンと接触させてアルキレンオキシドおよび有機アルコールを得るためのさらなる工程(f)を含む、アルキレンオキシドの調製方法。
【請求項8】
有機ヒドロペルオキシドを含む前記有機相が、シリカおよび/またはシリケート上のチタン触媒の存在下においてアルケンと接触させられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記有機化合物がアルキルアリール化合物であり、前記有機ヒドロペルオキシドがアルキルアリールヒドロペルオキシドである、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記アルキルアリール化合物がエチルベンゼンであり、前記有機ヒドロペルオキシドがエチルベンゼンヒドロペルオキシドであり、
(g)工程(f)において得られる前記反応混合物から1−フェニル−エタノールの少なくとも一部を分離する工程、および
(h)工程g)において得られる1−フェニルエタノールをスチレンへ転換する工程
をさらに含む、請求項9に記載のアルキレンオキシドの調製方法。
【請求項11】
有機相と水とを混合するためのミキサー、および前記得られた混合物を、有機ヒドロペルオキシドを含む精製有機相および水性相へ分離するために前記ミキサーへ直接または間接に接続された分離容器を含み、前記ミキサーがスタティックミキサーであり、前記分離容器がガラス繊維を含む1つまたは複数のコアレッサーを含む、有機ヒドロペルオキシドを含む有機相から塩基性物質を除去するための工業的設備。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2009−533383(P2009−533383A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504712(P2009−504712)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053443
【国際公開番号】WO2007/116046
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】