説明

有機廃棄物から窒素肥料を製造する方法および装置

本発明は、鉱物または有機添加物を使用した熱処理により液相(懸濁液、エマルション、溶液)における有機廃棄物から窒素肥料を製造する、これらの廃棄物を衛生処理する、および気中排出物質を低減させる方法および装置に関する。本発明により、上記のことは、廃棄物を40℃と90℃の間の温度まで減圧において加熱して、二酸化炭素およびアンモニアを含有する放出されたガスを冷却し、水性吸収剤中に導入して、こうして生成する窒素肥料を取り出し、および二酸化炭素を含有する過剰の吸収されないガスを廃棄物室中にポンプ送りして戻し、これにより、真空ポンプによって工程の最初に発生した減圧を自己維持する方法によって達成される。この回路への過剰なガスの再循環は、処理用廃棄物の直上方を通るか、または処理用廃棄物の直上方のガス冷却系を経由するか、あるいは、一部の流れがこの廃棄物を通過しまた一部の流れがこの廃棄物の上方を通る分割した形をとるか、のいずれかにより有利に達成される。水性吸収剤として石膏スラリを使用するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱物または有機添加物を使用した熱処理により液相(懸濁液、エマルション、溶液)における有機廃棄物から窒素肥料を製造する、またこれらの廃棄物を衛生処理する(hygienizing)、または気中排出物質(emissions)を低減させる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新鮮なまたは発酵した糞尿(manure)、動物の糞、厩肥、糞便、または下水汚泥などの有機廃棄物から肥料を製造する数多い方法が当技術分野において知られており、これらの方法は肥料の製造を対象とし、加えて一次生成物の衛生化、ならびに悪臭物質および有害な温室効果ガス、特にアンモニアの低減を対象とする。
【0003】
例えば、DE19630387A1およびDE10120372A1は、腐植との糞尿の化学反応に基づき、かなり低減されたアンモニアの放出を伴う糞尿から肥料を製造する方法を記述している。
【0004】
DE4304342C1は、硫酸カルシウムと混合することにより下水汚泥に基づいて肥料を製造する方法を提案している。DE4119504A1では、糞尿および/または糞を石膏と混合することにより配合肥料を製造する方法を開示している。DE4444726C1によれば、糞尿を微粉砕した耐火粘土と混合することにより、また得られた生成物を凝固させることにより肥料が得られる。DE19644613C2では、排ガス浄化装置からのCaO含有残渣を使用した、糞尿からの粒剤型肥料を提案している。
【0005】
さらに、DE4033509A1におけるものなどの方法が当技術分野において知られており、これらの方法によれば液体有機肥料と凝縮器水とを、直ぐ散布できる肥料が得られるように藁などの生物源物質、および石膏などの鉱物質物質と混合し、次いで70〜80℃における熱的再処理に掛ける。
【0006】
DE19547320A1では、生物学的廃棄物からアンモニアの無い、無菌のオールインワン型肥料を製造する方法および装置を記述しており、この方法では発酵した物質を沸騰温度まで少なくとも1時間加熱し、放出されたアンモニアおよび他の揮発性物質を蒸気と一緒に除去する。DE4243918A1によれば、発酵した糞尿をカラム内で加熱し、流出するアンモニア含有蒸気を混合用凝縮器内で凝縮させ、アンモニア塩を生成させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
全てのこれらの方法は不経済であり、本発明による方法の目的を不完全な程度までしか充足しない。廃棄物を添加物と混合することにより肥料をもたらす方法では、高価なやり方でこの肥料を乾燥し、仕上げなければならない。沸騰する熱でアンモニアを駆出するこれらの方法では、凝縮、および水分除去という単純ではない目標を解決しなければならない。
【0008】
経済的な、また技術的に単純な方法によって、有機廃棄物、例えば糞尿、の気中排出物質を軽減し、それと共に高品質の窒素肥料を同時に製造し、これらの排泄物を、特にバイオガス系内において環境に優しい、衛生的に無害な汚泥液に変換することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、このことは、有機廃棄物を40と90℃の間の温度まで減圧において加熱して、二酸化炭素およびアンモニアを含有する流出ガスを冷却し、水性吸収剤中に導入しもしくは水性吸収剤と接触させて、これにより生成する窒素肥料を排出する、および吸収されずに二酸化炭素を含有する過剰ガスを排泄物容器中にポンプ送りして戻し、ここで、真空ポンプによって工程の最初に発生した減圧を、この工程の進行により内因的に維持する、鉱物または有機添加物を使用した熱処理により、液相(懸濁液、エマルション、溶液)における有機廃棄物を利用する方法によって達成される。
【0010】
吸収されずに二酸化炭素を含有する過剰ガスは、
処理すべき廃棄物に通過させてこのガスを導くこと、または
処理すべき廃棄物の直上方において導くこと、または
処理すべき廃棄物の上方のガス冷却系を通過させて導くこと、または
このガスを分割して、一方の部分流れは廃棄物を通過させて導き、別の部分流れは廃棄物の上方において導くこと
のいずれかによって、サイクル中にポンプ送りして戻すのが好ましい。
【0011】
適切には、ガス冷却系内において温度を調節しており、この温度は、ストリッピング容器内の温度よりも少なくとも3K、最大15K低く、後方部分では40℃までの別の冷却過程が行われる。
【0012】
この系に導いている過剰ガスに外部から、例えばバイオガス工場からの他のガスとの混合物として二酸化炭素をさらに添加するのが有利であろう。
【0013】
圧力10〜70kPaを選択するのが有利である。
【0014】
最初に10〜30kPaまで真空排気し、次いで40〜80kPaまで圧力を増加させるのが有利であることが判明している。
【0015】
さらに、この方法が、これらに限定されることなく、液相における糞尿および糞などの動物の排泄物の処理に好ましく適合していることが判明している。この効果は、液肥(liquid muck)および窒素含有液体廃棄物などのさらなる有機廃棄物に譲ることもできる。
【0016】
発酵した糞尿を使用する場合、減圧において70〜85℃まで加熱することが特に有利であると判明している。
【0017】
この場合、この熱的真空処理の前に、発酵した糞尿を濾過するのが有利であろう。熱処理後に残留している衛生処理した排出糞尿は、次いで、窒素化合物をストリッピングした事実上無臭の汚泥液として牧草地および耕地に噴霧することができる。濾過により分離した固体物質は、十分に堆肥とすることが可能である。
【0018】
特に適している水性吸収剤は、固形分含量10質量%〜50質量%を有する、水に溶かした石膏懸濁液である。この懸濁液を撹拌して、容器の貯溜部に堆積した石灰(lime)および硫酸アンモニウムを含有する窒素肥料生成物を定期的に取り出すのが有利である。この肥料は希釈泥としてか、または乾燥した後砕け易い塊としてもしくは粉末としてかのいずれかにより直ちに使用することができ、あるいは後で使用するため貯蔵することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明による方法は真空中における廃棄物の脱気を、微粉砕した鉱物塊の懸濁液中におけるこの流出ガスの化学反応と結びつけている。思いがけないことに、次の驚くべき効果が見出されている:同時に40〜90℃まで適度に加熱しながら、液肥である新鮮なまたは発酵した糞尿を満たした容器内の大気圧を低下させると、感知できる量の水を随伴することなく、この液から最初に二酸化炭素が、また幾分より高い温度でアンモニアが流出するであろう。これらのガスを、カルシウム化合物を含有する微粉砕した鉱物塊の懸濁液中に導くと、石灰およびアンモニウム塩の生成のもとに、しかし減圧が維持されている形でこれらのガスが反応するであろうし、この排泄物容器内の温度を所定のレベルに維持すると、この反応が内因的に継続される。
【0020】
こうして、例えば発酵した糞尿からアンモニウム窒素をほぼ完全に除去することができる。事実上無臭の汚泥液が残り、このものはもはやガスを出さないが、カリウムおよびリン酸塩などの糞尿の無機成分を、これらの化合物の形態で依然として含有する。この収集器内における撹拌した懸濁液から、アンモニウム塩のほかに石灰を含有する、直ぐ使用できる窒素肥料を濃縮した懸濁物として取り出すことができる。このものはさらなる再処理なしに使用することができる。
【0021】
収集容器内に供給したガスは、水性鉱物懸濁液に完全には吸収されないので、これらのガスをストリッピング容器中に戻す、すなわち循環過程(circulating course)内に導く。
【0022】
酸性溶液、特に硫酸塩溶液も、水性吸収品として適している。さらに、もちろん、水に溶かした石膏懸濁液との組合せは、適切な変形形態である。
【0023】
収集容器中に導いたガスをストリッピング容器に戻し、したがって循環過程内に導く場合、明らかにより良好な結果が得られる。過剰ガスのこの循環過程は、本発明の本質的な特徴である。
【0024】
この装置は、以下の必須部分
減圧において加熱するストリッピング容器(1)、
不均一相における反応のための収集容器(2)、
熱交換のための蓄熱部(熱サイホン)(3)、
真空ポンプ(4)、
加熱水ポンプ(5)、
循環ファン(6)、
撹拌機(7)、
およびそれ自体知られている管路、遮断装置、ならびに
測定装置および制御装置
から構成される。
【0025】
窒素肥料を製造する装置の好ましい実施形態は、循環ガスを
廃棄物の上方にあるストリッピング容器に全部もしくは部分的に供給することができるように、または
冷却系を通して収集容器中に供給することができるように、または
ストリッピング容器の廃棄物中に部分的に供給することができるように(循環ガスを分割する場合、残りの流れは、場合によって、2つの残っている指定された入口位置に供給する。)
するために、
この装置が、上方向を向いた分離カラムと下方向を向いた冷却器とを有する追加的なガス冷却系を備え、
追加的な管路、およびボール弁を備える
ことにある。
【0026】
この方法および装置は、低い投資および操業費用を特徴とし、人および環境についての危険を防止する。この方法では、真空ポンプにより系における減圧を一旦生じるとそれが維持されるので、最小限の電流消費を有している。上流に接続しているバイオガス系のブロック暖房および発電設備の廃熱によって、必要な工程熱を実質的に確保している。本発明の好ましい実施形態では、さらなる酸またはアルカリ液(lye)などの薬品を必要としない。この方法において必要とする系は取扱いが容易であり、またバッチ方法としてだけでなく、連続的にも操業することができる。
【0027】
下記の実施例によって本発明をより詳細に記述しており、また本発明のために必要とする装置を、これらに限定することなく3つの好ましい変形形態(実施例1において)、および2つの特別な事例(実施例2および3において)を参照することにより説明している。
【実施例1】
【0028】
実施例1中においてより詳細に記述するように、図1は窒素肥料を製造するこのような装置のスキームを例示的な形で示している。
【0029】
図1には、下記のものが存在する:
1 減圧において加熱するストリッピング容器、
2 不均一相における反応のための収集容器、
3 熱交換のための蓄熱部(熱サイホン)、
4 真空ポンプ、
5 加熱水ポンプ、
6 循環ファン、
7 撹拌機、
8 熱交換器、
9 排泄物の入口、
10 加熱水の出口、
11 加熱水用の戻りライン、
12 ストリッピングガス用のライン、
13 戻りガス用のライン、
14 ボール弁、
15 ボール弁、
16 残渣排出部、
17 窒素肥料排出部、
18 冷却系の上方向を向いた部分(分離カラム)、
19 冷却系の下方向を向いた部分(冷却器)、
20〜22 戻りガス用のボール弁、
23 遮断弁。
【0030】
実施例1として選択したこの系は、バッチ方法として操業する。層型貯蔵容器(熱サイホン)として例示的な形で配置している熱交換器(3)は、新たに注入した液体廃棄物(この実施例では発酵した糞尿(排泄物)250リットルを使用した。)を加熱するために、処理した排泄物の熱を中間貯蔵する役割を果す。この蓄熱部内の水は処理した排泄物により予熱し、熱交換器(8)にわたってブロック暖房および発電設備の廃熱により再加熱しており、したがって畜熱部上部では連続的に温度90℃である。
【0031】
バッチ方法の立上げ
新鮮な排泄物をストリッピング容器(1)の位置(9)から注入する。この容器を閉じた後、層型貯蔵容器の直上部にある位置(10)から汲み上げた加熱水によって温度約80℃までの加熱を行う。加熱水の戻り流は、加熱水ポンプ(5)によりライン(11)を通って熱交換器(3)に再供給し、こうしてそれぞれの温度域に再び導入する。
【0032】
操業温度に到達した後、制御された真空ポンプ(4)によって系全体を圧力400ミリバールに調節しており、またこの圧力低下はゆっくりとまた着実に行っている。この圧力が得られると、循環ファン(6)を作動させ、それによりストリッピング容器(1)から規定したガス流量でライン(12)を通ってストリッピングガスを吸い出し、収集容器(2)からの戻りガスを、ライン(13)を通ってストリッピング工程に供給する。ボール弁20〜22によって、本発明による循環ガス流の下記の3つの好ましい変形形態を選択することができる:
変形形態A:ボール弁21を開くが、20および21を閉じたままとする。すると、循環ガスは、ストリッピング容器(1)の廃棄物レベルの完全な上方に流入する、
変形形態B:ボール弁21を閉じたままとし、ボール弁20、および22を部分的に開く。それにより循環ガス流の一部が廃棄物を通って流れるが、残部はカラム(3)と冷却器(4)の間で工程中に戻る、
変形形態C:ボール弁20を開き、またボール弁21および22を閉じたままとする。すると、循環ガスは、示している冷却系の中心点で工程中に完全に流入して戻る。
【0033】
バッチ方法の操業シーケンス
バッチ方法の間、加熱水ポンプ(5)または真空ポンプ(4)のスイッチを入れたり、また切ったりして、ストリッピング容器(1)内の温度および圧力を約80℃、および400〜500ミリバールに保持する。
【0034】
このような条件下で約2時間経過すると、排泄物から最初にCOが、次いでアンモニアが駆出され、循環過程内で反応し、次に続く収集器において除去される。
【0035】
微粒鉱物塊、例えば石膏がここに存在すると、反応生成物は反応して石灰および硫酸アンモニウムを生成し、溶解しなかった鉱物塊および石灰粒子は、撹拌機(7)により懸濁液中に保持される。撹拌速度は、堆積した石灰による入口および出口の閉塞が起らないように、選択すべきである。
【0036】
駆出されるアンモニアの質量は1バッチ過程当り約850gである。この質量が、収集水10l中に既に懸濁している石膏約3.4kgと反応する。
【0037】
液相中に反応生成物として、石灰約2.5kgおよび硫酸アンモニウム3.3kgが生成する。両物質は、何らさらに再処理することなく肥料として使用することができる。
【0038】
バッチ方法の終了
排泄物からできる限りアンモニアを脱気させた後で、循環ファンにより駆動していたガス循環の作動を止める。この系は曝気される。
【0039】
加熱サイクルにおいてボール弁(14)を閉じ、またボール弁(15)を開くことにより、ストリッピング容器の熱交換器を通して、畜熱部の下部から取った冷たい畜熱水をここで導くことにより、処理した排泄物の冷却を行う。こうして、処理した排泄物の熱を、冷たい畜熱水に伝達する。次に、加熱した畜熱水は熱サイホンにより畜熱部に供給し、畜熱部のそれぞれの温度域に導入する。
【0040】
処理した排泄物が冷えた後、ストリッピング容器を位置(16)で空にしており、この容器は次の充填のため適用可能となる。各バッチ過程の後(次のバッチ過程向けの新たな真空発生の前)に、収集容器から弁(23)を通って位置(19)で貯溜物を排出し、新たな石膏懸濁液を導入する。
【実施例2】
【0041】
本発明は、この実施例2においてより詳細に記述している特別な事例によっても実施でき、この事例は実施が幾分より容易でありまた迅速である利点を有するが、最適な形で全ての用途に適しているわけではない。
【0042】
図2は、窒素肥料を製造するこのような特別な装置のスキームを例示的な形で示している。
【0043】
下記のものが存在する:
実線:ガス循環、
一点鎖線:加熱水循環、
鎖線:物質の流れ、
1 減圧において加熱するストリッピング容器、
2 不均一相における反応のための収集容器、
3 熱交換のための蓄熱部(熱サイホン)、
4 真空ポンプ、
5 加熱水ポンプ、
6 循環ファン、
7 撹拌機、
8 熱交換器、
9 排泄物の入口、
10 加熱水の出口、
11 加熱水用の戻りライン、
12 ストリッピングガス用のライン、
13 戻りガス用のライン、
14 ボール弁、
15 ボール弁、
16 残渣排出部、
17 窒素肥料排出部。
【0044】
特別な事例として示している実施例2の系は、やはりバッチ方法として操業する。層型貯蔵容器(熱サイホン)として例示的な形で配置している蓄熱部(3)は、新たに注入した液体廃棄物を加熱するために、処理した排泄物の熱を中間貯蔵する役割を果す。この実施例では発酵した糞尿(排泄物)250リットルを使用した。この蓄熱部内の水は処理した排泄物により予熱し、熱交換器(8)にわたってブロック暖房および発電設備の廃熱により再加熱しており、したがって畜熱部上部では連続的に温度90℃である。
【0045】
バッチ方法の立上げ、操業シーケンス、および終了は、実施例1と同様な形で行われる。
【実施例3】
【0046】
この方法は、実施例1に示すスキームにより、しかし下記において記述する修正を有して、やはりバッチ方法として実施する。
【0047】
新鮮な排泄物をストリッピング容器(1)の位置(9)に注入する。この容器を閉じた後、熱貯蔵容器(3)の直上部にある位置(10)から汲み上げた加熱水によって温度70〜75℃までの加熱を行う。加熱水の戻り流は、加熱水ポンプ(5)によりライン(11)を通って畜熱部(3)に再供給し、こうしてそれぞれの温度域に再導入する。
【0048】
操業温度に到達する前に、制御された真空ポンプ(4)によって系全体を圧力>400ミリバールに調節している。最終圧力に到達した後、循環ファン(6)を作動させ、これによりストリッピング容器(1)から規定したガス流量で冷却されたライン(12)を通ってストリッピングガスを吸い出し、収集容器(2)からの戻りガスを、ライン(13)を通ってストリッピング容器に供給している。
【0049】
バッチ過程の間、加熱水ポンプ(5)のスイッチを入れたり、また切ったりして、ストリッピング容器(1)内の温度を約75〜80℃の一定に保持し、一方圧力を400〜500ミリバールまでゆっくり上昇させる。
【0050】
このような条件下で約2時間経過すると、排泄物から最初にCOが、次いでアンモニアが駆出され、また次の収集器内において除去される。収集器内には、水8リットル中に溶解したFDG石膏2.75kgの懸濁液が存在し、この石膏は2リットルの20%硫酸と反応したものである。駆出されたアンモニアの質量は1バッチ過程当り約850gである。液相において、反応生成物として石灰約2kgおよび硫酸アンモニウム3.3kgが生成する。両物質は、何らさらに再処理することなく肥料として使用することができる。
【0051】
溶解しなかった鉱物塊および石灰粒子は、撹拌機(7)により懸濁液中に保持される。撹拌速度は、堆積した石灰による入口および出口の閉塞が起らないように、選択すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】窒素肥料を製造する例示の装置のスキームを示す。
【図2】窒素肥料を製造する例示の特別な装置のスキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を40℃と90℃の間の温度まで減圧において加熱すること、二酸化炭素およびアンモニアを含有する流出したガスを冷却し、このガスを水性吸収剤中に導入しまたは水性吸収剤と接触させてること、これにより生成した窒素肥料を排出すること、および吸収されずに二酸化炭素を含有する過剰ガスを工程中にポンプ送りして戻すこと、ここで、真空ポンプによって前記工程の最初に発生した減圧を、前記工程の進行により内因的に維持することを特徴とする、鉱物または有機添加物を使用する熱処理による、液相における有機廃棄物から窒素肥料を製造するための、および廃棄物を衛生処理して気中排出物質を低減させるための方法。
【請求項2】
前記吸収されずに二酸化炭素を含有する過剰ガスを、
処理すべき廃棄物を通過させて導くこと、または
前記処理すべき廃棄物の直上方において導くこと、または
前記処理すべき廃棄物の上方のガス冷却系を通過させて導くこと、または
分割して、一方の部分流れは前記廃棄物を通過させて導き、別の部分流れは前記廃棄物の上方において導くこと
のいずれかによって、サイクル中に導いて戻すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス冷却系の前方部分において温度を調節し、温度が、ストリッピング容器内の温度よりも少なくとも3K、最大15K低く、後方部分では40℃までの別の冷却過程が行われることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
サイクル内に導く前記過剰ガスに、外部から、他のガスとの混合物として二酸化炭素をさらに添加することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
30から70kPaの圧力を選択することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
最初に10から30kPaまで真空排気し、次いで40から80kPaまで圧力を増加させることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
廃棄物として発酵した糞尿を使用すること、およびこれを減圧において70から85℃まで加熱することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記発酵した糞尿を、この熱的真空処理の前にそれ自体知られている方法で濾過すること、および前記熱的処理の後に形成される衛生処理した排出糞尿を、窒素化合物をストリッピングさせた事実上無臭の汚泥液として牧草地および耕地に噴霧すること、ここで濾過の後分離される固体物質を堆肥とすることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記水性吸収剤として、固形分含量10質量%から50質量%を有する硫酸塩溶液および/または石膏懸濁液を使用すること、ここで、石膏懸濁液を収集容器内で撹拌し、堆積した石灰および硫酸アンモニウムを含有する生成物を前記容器から取り出すことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
以下の必須部分
減圧において加熱するストリッピング容器、
不均一相における反応のための収集容器、
熱交換のための蓄熱部、
真空ポンプ、
加熱水ポンプ、
循環ファン、
撹拌機、
(これにより循環運動を確実に行うためのもの)、
およびそれ自体知られている管路、遮断装置、ならびに
測定装置および制御装置
から構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の窒素肥料を製造する装置。
【請求項11】
循環ガスを
廃棄物の上方にある前記ストリッピング容器に全部もしくは部分的に供給することができるように、または
冷却系を通して前記収集容器中に供給することができるように、または
前記ストリッピング容器の前記廃棄物中に部分的に供給することができるように(循環ガスを分割する場合、残りの流れは、場合によって、2つの残っている指定された入口位置に供給する。)
するために、
前記装置が、上方向を向いた分離カラムと下方向を向いた冷却器とを有する追加的なガス冷却系を備え、
追加的な管路およびボール弁を備えることを特徴とする、請求項10に記載の窒素肥料を製造する装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511461(P2007−511461A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540304(P2006−540304)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013034
【国際公開番号】WO2005/049495
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506168738)フエニツクス・ベタイリグングス・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】