説明

有機性廃棄物の処理方法および処理装置

【課題】乾式メタン発酵の発酵速度を増加させてVS負荷を大きくして発酵槽を小型化するとともに、乾式メタン発酵の発酵槽内の固形物濃度の低下を防止して処理を安定化させること。
【解決手段】家畜糞尿や有機性汚泥や生ごみのような低C/N比有機性廃棄物に、剪定枝のような草木系有機性廃棄物を爆砕処理した爆砕処理物を混合した混合物を、TS濃度15〜40重量%で乾式メタン発酵させる。混合物がメタン発酵されて得られる発酵残渣は、メタン発酵工程に返送することが好ましい。低C/N比有機性廃棄物は、C/N比が4〜20、含水率80〜98重量%、爆砕処理物はC/N比が40〜250、含水率10〜80重量%程度で、これらを混合した混合物はC/N比が20〜60、含水率40〜70重量%とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物をメタン発酵させる有機性廃棄物の処理方法および処理装置に関し、特に、家畜糞尿等のようにC/N比が低い有機性廃棄物と、剪定枝や稲藁のようにC/N比が高い固形の有機性廃棄物とを混合してメタン発酵させる有機性廃棄物の処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家畜糞尿、剪定枝、稲藁、および籾殻のような農畜産廃棄物ならびに廃水処理により発生する有機性汚泥といった有機性廃棄物をエネルギー源として利用する方法として、メタン発酵が知られている。メタン発酵は、原料の有機性廃棄物の全固形物(TS)濃度により湿式メタン発酵と乾式メタン発酵とに分けられる。湿式メタン発酵では、スラリ状の有機性廃棄物を原料としてTS濃度4〜12重量%程度でメタン発酵させるのに対し、乾式メタン発酵では、固形の有機性廃棄物を原料としてTS濃度が30〜70重量%程度(メタン発酵汚泥のTS濃度は15〜40重量%程度)でメタン発酵を行なう。
【0003】
湿式メタン発酵では、原料の有機性廃棄物はTS濃度が低く、スラリ状で流動性が高いため、発酵槽内に保持されている汚泥と均一に混合されやすく、安定した処理ができる。しかし、湿式メタン発酵では、発酵槽に投入する有機性廃棄物のTS濃度を低くする必要があることから、固形の有機性廃棄物を処理することができない。
【0004】
そこで、固形の有機性廃棄物である廃材等を湿式メタン発酵処理するため、廃材等の草木系の有機性廃棄物を爆砕処理して有機性汚泥等と混合してメタン発酵させる方法が提案されている(特許文献1および特許文献2)。これらの特許文献に開示された方法では、爆砕処理により植物組織が微細化あるいはスラリ化されるため、元来は固形状であった草木系の有機性廃棄物をスラリ状の有機性汚泥と混合してメタン発酵することができる。
【0005】
しかし上記方法は、原料の有機性廃棄物をスラリ化してメタン発酵させる湿式メタン発酵に適用されるものであり、上記方法では含水率の高い発酵残渣が発生し、発酵残渣の脱水処理、および脱水処理により生じる脱離液の廃液処理が必要になる。また、湿式メタン発酵ではTS濃度を低くする必要があるため、特許文献2に記載されているようにチップに適宜加水した後に爆砕処理することでスラリ化することが求められ、有機性廃棄物の減量化が困難で、発酵槽が大型化する問題もある。
【0006】
一方で、固形状の有機性廃棄物をメタン発酵させる乾式メタン発酵は、湿式メタン発酵とは逆に、発酵槽内のTS濃度の低下を防止する必要がある。ところが、固形の有機性廃棄物をメタン発酵させる過程では、固形物が低分子化される過程で水が生成されるため、易分解性の物質を添加すると、TS濃度が低下するおそれがある。そこで、家畜糞尿や有機性汚泥のように含水率が高い有機性廃棄物を乾式メタン発酵させる場合に、紙等の含水率が低い有機性廃棄物を混合する方法が提案されている(特許文献3)。
【0007】
特許文献3に開示された方法では、分解速度が遅い紙等を混合するため、発酵槽内のTS濃度の低下を防止できるが、有機物負荷(VS負荷)を大きくできず、発酵槽容積が大きくなる。
【特許文献1】特開2004−33828号公報
【特許文献2】特開2003−94022号公報
【特許文献3】特開2001−347247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされ、乾式メタン発酵の発酵速度を増加させてVS負荷を大きくして発酵槽を小型化するとともに、乾式メタン発酵の発酵槽内の固形物濃度の低下を防止して処理を安定化させることができる有機性廃棄物の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、家畜糞尿等の低C/N比有機性廃棄物と、剪定枝等の草木系の有機性廃棄物の爆砕処理物とを混合し、TS濃度30〜70重量%の原料を乾式メタン発酵させる。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) 有機性廃棄物を乾式メタン発酵させる有機性廃棄物の処理方法であって、前記有機性廃棄物は、低C/N比有機性廃棄物と、草木系有機性廃棄物の爆砕処理物と、を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【0011】
ここで「低C/N比有機性廃棄物」とは、炭素(C)/窒素(N)の重量比が4〜20程度で窒素含有量が比較的多い有機性廃棄物である。低C/N比有機性廃棄物の具体例としては、畜産業、食品産業、製紙業、下水および屎尿処理等に伴って発生する家畜糞尿や有機性汚泥、および生ごみ等が挙げられる。低C/N比有機性廃棄物の含水率は一般に80〜98重量%程度と高く泥状を呈するものもあるが、本発明では、含水率が85重量%以下の固形の有機性廃棄物を用いることが好ましい。
【0012】
「草木系有機性廃棄物」とは植物由来の固形の廃棄物で、リグニンやセルロース等の分解速度が遅い物質(遅分解性物質)を多く含み、C/N比は40〜250程度と高く、含水率は一般に10〜50重量%程度と低い。草木系有機性廃棄物の具体例としては、農林業等に伴って発生する稲藁や籾殻等の作物の未利用部位、刈取草、剪定枝、間伐材、および木質廃材等が挙げられる。
【0013】
草木系有機性廃棄物は、爆砕処理した爆砕処理物として低C/N比有機性廃棄物と混合する。ここで、「爆砕処理」とは、被処理物を高温高圧条件下で加熱処理した後、急激に大気圧開放して微細化させる処理である。爆砕処理の条件としては、圧力が1.5〜5MPa、温度150〜300℃、好ましくは200〜270℃で処理時間(高温高圧での保持時間)を1〜30分とすることが好ましい。爆砕処理には、水分を含んだ被処理物を投入した耐圧容器を加熱して耐圧容器内部に水蒸気を発生させる内熱式と、耐圧容器に高温の水蒸気を供給する外熱式とがあり、どちらの方式も用いることができる。
【0014】
爆砕処理物は、低C/N比有機性廃棄物100重量部に対して10〜1000重量部の割合で混合することが好ましい。爆砕処理物と低C/N比有機性廃棄物との混合物は、含水率40〜70重量%、C/N比20〜60、温度50〜70℃とすることが好ましい。
【0015】
爆砕処理物はリグニンとセルロースが分離した、易分解性のセルロースを含みC/N比が高いため、爆砕処理物と低C/N比有機性廃棄物とを混合することで、メタン発酵させる原料である混合物のC/N比を容易に調整できる。また、低C/N比有機性廃棄物を脱水することや、草木系有機性廃棄物の爆砕処理条件等を調整することで、混合物の含水率も容易に調整できる。このため本発明によれば、メタン発酵速度を向上させ、VS負荷を大きくして発酵槽容積を小型化できるとともに発酵槽の固形物濃度の低下を防止して、処理を安定化できる。
【0016】
(2) 前記有機性廃棄物は、前記処理により得られる発酵残渣をさらに含む(1)に記載の有機性廃棄物の処理方法
【0017】
本発明では、メタン発酵により発生する発酵残渣の少なくとも一部をメタン発酵工程が実施される発酵槽に返送し、有機性廃棄物に発酵残渣を含ませて発酵させるため、発酵槽内のTS濃度を高めてメタン発酵速度の向上と安定化を図る。返送される発酵残渣は、発酵槽に直接投入してもよいが、低C/N比有機性廃棄物と爆砕処理物との混合物に予め混合させて発酵槽に投入することが好ましい。
【0018】
(3) 前記爆砕処理物は、直径が0.5〜5mmの固形物である(1)または(2)に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【0019】
本発明では、爆砕処理物は手で掴むことができるような固形物であることが好ましい。具体的には、固形物の直径は0.5〜5mm、特に1〜3mmで、含水率は10〜80重量%、特に20〜50重量%であることが好ましい。爆砕処理物の直径を調整する方法としては、爆砕処理に供する草木系有機性廃棄物の大きさを調整する方法や、爆砕処理の加熱加圧条件を変える方法等が挙げられる。爆砕処理物の含水率を調整する方法としては、爆砕処理に供する草木系有機性廃棄物の含水率を調整する方法や、爆砕処理に用いる水蒸気の供給量や湿度を調整する方法などが挙げられる。爆砕処理物は、温度が60〜150℃となった状態で低C/N比有機性廃棄物と混合すると、爆砕処理に伴い発生する廃熱を混合物の昇温に用いることになり、エネルギー利用効率が向上するため好ましい。
【0020】
(4) 前記処理により得られる発酵残渣を堆肥化、炭化、または焼却する(1)から(3)のいずれかに記載の有機性廃棄物の処理方法。
【0021】
本発明により有機性廃棄物がメタン発酵されて得られる発酵残渣は、含水率が60〜70重量%程度で、窒素やリン等を含む。このため、発酵残渣を好気的条件下で堆肥化、炭化または焼却することにより、分解速度の遅い繊維質や窒素やリンの化合物を低分子化して、窒素やリンを含む堆肥を得ることができる。なお、発酵残渣は一部を堆肥化し、残部を炭化または/および焼却するようにしてもよい。
【0022】
(5) 草木系有機性廃棄物を爆砕処理して爆砕処理物を得る爆砕処理手段と、
低C/N比有機性廃棄物と、前記爆砕処理物と、を混合して混合物を得る混合手段と、
前記混合物を乾式メタン発酵させる発酵処理手段と、を有する有機性廃棄物の処理装置。
【0023】
本発明では、爆砕処理物と低C/N比有機性廃棄物とを混合して、発酵槽に投入できる。このため、メタン発酵が行なわれる発酵槽内に攪拌装置を設けることなく、発酵原料を均質化し、かつ、発酵槽内の嫌気的条件を維持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、固形の有機性廃棄物を高いVS負荷で安定的にメタン発酵させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る有機性廃棄物の処理装置1の模式図である。処理装置1は、爆砕装置11と、混合手段としての混合装置12と、発酵処理手段としての発酵槽13と、を備える。爆砕装置11と混合装置12とは移送路21で接続され、混合装置12とメタン発酵槽13とは、投入路22で接続されている。発酵槽13には、メタン発酵により発生するメタンガスを取り出すガス路31と、発酵残渣を取り出す分岐した残渣路32と、がさらに接続されている。
【0026】
また、爆砕装置11は、耐圧容器112を備え、この耐圧容器112に接続された配管121を介して被処理物を投入するための供給口111が設けられている。さらに、耐圧容器112には水蒸気を供給する気体導入管122と、移送路21とが接続され、耐圧容器112を密閉するため、配管121、気体導入管122、および移送路21の途中にはそれぞれ開閉可能な弁131〜133が設けられている。
【0027】
剪定枝や稲藁等の草木系有機性廃棄物は、必要に応じて直径10〜100mm程度に破砕され、爆砕装置11の供給口111から耐圧容器112内へ供給される。耐圧容器112は、弁131および133を閉じ、気体導入管122から高温の水蒸気を供給して、草木系有機性廃棄物を加圧した状態で加熱処理する。耐圧容器112に供給する水蒸気は、温度200〜270℃、さらに215℃〜250℃とすることが好ましい。水蒸気を供給したゲージ内圧力が1.5〜5Mpa、好ましくは2〜3.5Mpaの高温高圧条件を1〜30分、好ましくは2〜15分保持する。加熱処理後は、弁133を開いて耐圧容器112内を急激に大気圧開放して爆砕処理工程を実施する。
【0028】
前記爆砕処理により得られた草木系有機性廃棄物の爆砕処理物は、移送路21から混合装置12に移送する。混合装置12では、爆砕処理物を低C/N比有機性廃棄物と混合して混合工程を実施する。低C/N比有機性廃棄物と爆砕処理物とは、低C/N比有機性廃棄物100重量部に対し、爆砕処理物を10〜1000重量部混合し、得られた混合物のC/N比が20〜60で含水率が40〜70重量%となるように調整することが好ましい。
【0029】
混合装置12には残渣路32から後述する発酵残渣を供給し、低C/N比有機性廃棄物と爆砕処理物との混合物に発酵残渣をさらに混合してもよい。発酵残渣は、発酵槽13内に保持されている汚泥の含水率にほぼ等しい含水率であるため、混合物の含水率が発酵槽13内の汚泥とほぼ同じ含水率に調整されていれば、混合物に発酵残渣を加えて得られる投入物の含水率の水分調整は必要ない。
【0030】
混合装置12で混合された混合物(または投入物)は、投入路22から発酵槽13に投入する。なお、低C/N比有機性廃棄物と爆砕処理物とは、混合装置12を介さずに直接、発酵槽13に投入してもよい。しかし、発酵槽13外で予め両者を混合するようにすれば、発酵槽13内に攪拌装置を設ける必要がなく、発酵槽13内の嫌気条件を維持し、混合物を均質化できるため好ましい。
【0031】
本実施形態の発酵槽13には、TS濃度が15〜40重量%程度の腐葉土様の固形汚泥が保持されており、5〜20kg−VS/m/日の高負荷で混合物を乾式メタン発酵させるメタン発酵工程を実施する。具体的には、2種類の有機性廃棄物の混合物に必要に応じて発酵残渣をさらに加えて発酵槽13に投入し、嫌気条件下で発酵槽13内に保持された固形汚泥と接触させることにより、有機性廃棄物を乾式メタン発酵させる。メタン発酵工程は、温度45〜60℃、TS濃度15〜45重量%であることが好ましく、発酵槽13内が前記条件となるよう、混合物(または投入物)の投入量や発酵残渣の返送量等を調整するとよい。
【0032】
メタン発酵工程では、有機性廃棄物が微生物分解されることにより、メタンガスが発生する。メタンガスは、ガス路31から発酵槽13外へ取り出し、発電機16等のエネルギー源として利用できる。ガス路31の途中には硫化水素等の不純物を除去する精製装置(図示せず)を設けてもよい。また、発電機16から排出される廃熱は、爆砕装置11に供給する水蒸気を発生させる熱交換器(図示せず)や後述する堆肥化装置14の熱源等として利用することができる。
【0033】
発酵槽13内に投入された混合物は、発酵槽13内で分解されて含水率が徐々に増加し、新たな混合物が発酵槽13に投入されるに従って発酵槽13下部に移動し、発酵残渣として残渣路32から取り出される。残渣路32は2箇所で分岐し、発酵残渣の一部が残渣路32から分岐した返送路33を介して混合装置12に返送される。
【0034】
発酵槽13からの発酵残渣の一日あたりの引き抜き量は、槽内に保持される汚泥の1/4〜1倍として、引き抜いた汚泥の一部を1〜7回/週の頻度で返送路33を介して発酵槽13へ循環させることが好ましい。なお、発酵残渣は、低C/N比有機性廃棄物と爆砕処理物との混合物に予め混合することなく、直接、発酵槽13に投入してもよい。しかし、発酵残渣を混合物と予め混合することにより、混合物の均質化を図るとともに、発酵槽13内の温度等のメタン発酵条件の撹乱が防止できるため、発酵残渣は本実施形態のように予め混合物と混合しておくことが好ましい。
【0035】
また、発酵残渣の残部は、残渣路32から分岐した余剰汚泥路34から堆肥化装置14または炭化装置15に供給される。発酵残渣は、発酵槽13に投入された有機性廃棄物の30〜80重量%が分解されることにより、含水率が60〜80重量%程度に増加した状態となっているが、脱水処理を行なうことなく、堆肥化または炭化できる。なお、炭化装置15は堆肥化装置14と接続することにより、炭化装置15から排出される発酵残渣の炭化物を堆肥に混合してもよい。なお、堆肥化装置14としては、通気手段および/または攪拌手段を備えた好気性発酵装置を用いることができる。
【0036】
爆砕処理物には、草木組織に由来する繊維片等の分解されにくい遅分解性物質が含まれる。これらの遅分解性物質は微生物分解を受けにくく、爆砕処理およびメタン発酵過程で略粒状かつ多孔質状に変性して発酵残渣中に残留し、微生物保持担体として機能して、発酵槽13内の汚泥の全固形物濃度を維持する。このため、本発明によれば発酵槽13内の汚泥濃度の低下を防止し、微生物を発酵槽13内に高濃度で保持できるため、高負荷で安定した乾式メタン発酵が可能となる。
【実施例】
【0037】
[実施例]
以下、実施例について説明する。実施例として、図1に示す処理装置1を用い、低C/N比有機性廃棄物としての生ごみ(含水率80重量%、C/N比12.2)10t/日に木質廃材のチップを爆砕処理した爆砕処理物10t/日(含水率30重量%、C/N比205)を混合した混合物(含水率55重量%、C/N比43、温度70℃)を処理した。爆砕処理物は、直径が3〜30mmの廃材のチップを耐圧容器112に入れ、温度226℃の水蒸気を供給してゲージ内圧2.5Mpa、温度226℃で、2分加熱処理したのち、急激に大気圧開放して得た。爆砕処理物は、温度120〜150℃に降温した状態で常温の生ごみと混合して混合物として発酵槽13に投入した。発酵槽13での処理条件は以下の通りである。
[処理条件]
発酵槽内の固形汚泥量;610t
VS負荷 ;13〜20kg−VS/m・日
引き抜き発酵残渣量 ;16t/日
返送発酵残渣量 ;20〜600t/日
【0038】
残渣路32から引き抜かれた発酵残渣は、含水率が約75重量%で、返送路33を介して一部を発酵槽13に返送し、残部を脱水処理せず堆肥化装置14において20L/m・日で通気し堆肥化した。得られた堆肥は、含水率が45重量%であった。堆肥は、一日当たり7.5t得られ、脱離液の発生はなかった。処理は60日間、継続して行い試験期間内の発酵槽13のTS濃度は20〜40重量%で、メタンガスとして回収されたエネルギー量は18,000〜22,000kW/日で安定していた。なお、堆肥化装置14および爆砕装置12を含めた処理装置1を稼動させるために要したエネルギー量は3,000kW/日であり、処理装置1はエネルギー的に自立できた。
【0039】
[比較例]
比較例として、爆砕処理物に代えて幅0.1〜2cmに裁断した古紙を生ごみと混合した混合物を被処理物としたほかは実施例と同様にして乾式メタン発酵を行なった。実施例と比較例について、VS負荷、混合物の分解速度、発酵槽容積、および混合物のガス化量を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
表1に示すとおり、本発明によればメタン発酵速度を高め、VS負荷を高くすることにより発酵槽を小型化して安定した処理を行なうことができた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、有機性廃棄物をバイオマス資源として利用するために用いることができる
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機性廃棄物の処理装置の模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 処理装置
11 爆砕装置
12 混合装置(混合手段)
13 発酵槽(発酵処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を乾式メタン発酵させる有機性廃棄物の処理方法であって、
前記有機性廃棄物は、低C/N比有機性廃棄物と、草木系有機性廃棄物の爆砕処理物と、を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記有機性廃棄物は、前記処理により得られる発酵残渣をさらに含む請求項1に記載の有機性廃棄物の処理方法
【請求項3】
前記爆砕処理物は、直径が0.5〜5mmの固形物である請求項1または2に記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記処理により得られる発酵残渣を堆肥化、炭化、または焼却する請求項1から3のいずれかに記載の有機性廃棄物の処理方法。
【請求項5】
草木系有機性廃棄物を爆砕処理して爆砕処理物を得る爆砕処理手段と、
低C/N比有機性廃棄物と、前記爆砕処理物と、を混合して混合物を得る混合手段と、
前記混合物を乾式メタン発酵させる発酵処理手段と、を有する有機性廃棄物の処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−87992(P2006−87992A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274419(P2004−274419)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】