説明

有機性廃棄物の高速処理装置

【課題】 掃除時の内部有機性廃棄物と長時間停止時の発生浸出水とを容易に排出し、二重ジャケット内への微生物調節剤と汚泥の流入を安全に遮断する、有機性廃棄物の高速処理装置を提供する。
【解決手段】 有機性廃棄物の処理装置は、上部に投入口を有するリアクター10と、攪拌翼21を有する攪拌回転軸20と、攪拌回転軸20を駆動させる第1駆動モータ30と、内部有機性廃棄物へエアを供給するエア供給器40と、内部有機性廃棄物から発生する多湿ガスを吸入して処理、排出する多湿ガス処理機と、を備える。リアクター10の下端には、その長手方向に底部より低いスクリューコンベヤーケーシング11が設けられ、スクリューコンベヤーケーシング11には、別途の駆動モータによって駆動されるスクリューコンベヤー60が設置され、スクリューコンベヤーケーシング11の両側には、上面に多数のエア供給孔13を有するエアジャケット12が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に生ゴミからなる有機性廃棄物内の有機物の95%以上を、短時間(24時間以内)に好気性消化することができるよう、微生物に最適の生長要件を設け、前記有機性廃棄物から発生する副産物を環境規制値以下にまで処理することが可能な、有機性廃棄物の高速処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
われわれの食生活から発生する有機性廃棄物は、飲食廃棄物と、屠蓄場、屠鶏場、食料品加工場、下水処理場などから発生するものとが主流をなしている。このような有機性廃棄物の中でも、飲食廃棄物は、例えば2002年の場合、その平均発生量が11,397トン/日であって、処理費用に換算すれば約14兆ウォン(約1.5兆円)に相当し、その他の屠蓄場や下水処理場などから発生する有機性廃棄物を合算すれば31,397トン/日になることが知られている。このような有機性廃棄物の生物学的分解が行われる間、多量のガス放出だけでなく浸出水も排出されるので、土壌および水系の激しい汚染が誘発される。よって現在のところ、低費用の埋め立てや海洋投棄に大部分を依存し、ごく微々たる一部分がリサイクルされているというのが実情である。
【0003】
特に、去る2005年1月から有機性廃棄物の単純埋立てが全面禁止されることになり、2000年以後、堆肥化や飼料化などのリサイクル比率が相当高くなって、状況はかなり改善されたかの如く見える。しかし、堆肥化の場合、1%以下という塩分濃度規制値をはるかに超過する2〜3%水準に蓄積された塩分が引き起こす副作用が原因で、堆肥の無償供給さえも難しい実情にある。既存飼料にこの堆肥を10%程度混合して給餌する場合でも、滅菌過程を経ると解消されるとはいわれているが、腐敗状態で発生する各種毒素、病原菌、塩分、香辛料などによって、動物の斃死や50%水準の成長低下など激しい副作用が発生する。よって、このような堆肥化は事実上実用不可能な技術として分類されている。
【0004】
嫌気性消化の場合、6ヶ月の消化期間がかかるため大規模な敷地と施設が必要であるだけでなく、われわれの食生活の特性上、飲食廃棄物から発生するガスはメタン含量の低い低純度メタンであるので、発電などのリサイクルに用いるには多くの困難を伴ない、装置および設備が大変高価となり不経済的である。
【0005】
その他、ミミズの飼育などの生物学的処理方法を挙げることができるが、これを大規模で行う場合、最適の生長条件になるよう土壌及び飲食廃棄物を積層すること、ミミズ狩りを一定周期で機械的に自動化することが難しい。特に、タバコ吸殻、塩分その他の毒素による集団斃死時の土壌復元問題、および飲食廃棄物の洗浄後に投入すべき工程上の問題のため、大型廃水処理設備を備えなければならないうえ、飲食廃棄物1kg/日を処理するためにミミズ2,000〜4,000匹を投入しなければならないので、このような処理方法は、新環境的に見えるが、事実上制約が多い技術である。
【0006】
最近普遍化されており、200kg以下の小規模処理に主に採用されている所謂「高速消滅化方式」は、高効率の好気性微生物と、微生物の生長に最適の環境を造成する機械技術とが組み合わせられたものであって、様々な形の攪拌、乾燥、温度調節、空気供給技術を適用されている。しかし、「高速消滅化方式」は効率的側面から見て限界があり、特に大規模化する場合、投入重量の40%に達する水分発生とガス処理のために冷凍システムを適用することによる熱損失が大きく、又、装置の製作コストも高く、電力消耗が大きい。
【0007】
また、前記空気供給は、有機性廃棄物の下部から空気を供給するものだが、間欠供給方式を採用するため、最適の酸素供給と熱効率保全の面で適切であると言える。しかし、停電や故障などにより送風機が停止すると、廃棄物内部に積み置かれた微生物調節剤、汚泥(微生物屍骸)、水分が下部に流れて穴を詰め易いため、専門運転要員が周期的に消滅器の内部に入って点検または整備をしなければならず、このような整備を行うためには有機性廃棄物の処理能力の4倍に達するように投入された微生物調節剤を全て取り出さなければならない煩わしさ、作業手続の複雑さ、衛生面に問題が発生し、特にガスによる人命安全が懸念されるという弊害があった。このような停電または故障以外にも、一定の時間運転した後、粘着性の高い汚泥がリアクターの内部に積もると、攪拌器の負荷が増加して電力消耗が大きくなるうえ、下部の側面から流入する空気の流動が円滑でなくなるから、好気性条件を形成するうえでの障害要因にもなるという問題点があった。
【0008】
既存の消滅化方式の装置は殆ど、その攪拌回転軸が一方向にのみ回転するから、リアクター内の内部有機性廃棄物(微生物調節剤+有機性廃棄物)は攪拌回転軸の回転方向の後方にさらに多く積もって30°程度偏るので、装置の静的非均衡が発生し、攪拌回転軸のシーリングも継続的な推力(thrust)のため隙間が出来易い。従って、リアクター内の多湿ガスが流出して強い悪臭を発生させるのは勿論のこと、微生物調節剤とグリースが混合されて排出されることによって、軸の気密作用が段々弱くなり運転不可状態に至るという問題点があった。
【0009】
また、既存の消滅化方式の装置は、有機性廃棄物の分解消滅時に発生する40℃以上の水分を含有する多湿ガスから気体と水分とに分離する際、冷凍機を用いた熱交換方式を適用するため、装置が複雑で、エネルギー費用が過多にかかって経済性が低下するという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、かかる従来の諸般問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、リアクターの下端に軸方向にスクリューコンベヤーを設けることにより、掃除時の内部有機性廃棄物や、長時間停止時の発生浸出水を容易に排出することができ、前記スクリューコンベヤーの両側に多数の孔が穿設されたエアジャケットを設けることにより、リアクター内の内部有機性廃棄物と20〜30°の角度を成して水分が流入することを回避でき、二重ジャケット内への微生物調節剤と汚泥の流入を安全に遮断する、有機性廃棄物の高速処理装置を提供することにある。
【0011】
また、前記リアクターの下端部分である二重ジャケットの外側にハンドホールカバーを設けると、必要の際に内部有機性廃棄物を除去することなく、リアクター内の孔まで外部から容易に洗浄することができ、随時検査や簡単な整備を行うことができる。
【0012】
本発明の他の目的は、両方向の攪拌に適した攪拌翼を攪拌器内に適用して10分ごとに2〜3分間程度回転させるが、正回転と逆回転を交互に行うことにより、内部有機性廃棄物(微生物調節剤+有機性廃棄物)の偏りを防止し、装置の静的非均衡を防止できるから、軸の両端部分のシーリングが確実で、攪拌器内の悪臭、微生物調節剤、グリースなどが漏れない、有機性廃棄物の高速処理装置を提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、攪拌回転軸の回転方向、すなわち正回転または逆回転に応じて、内部有機性廃棄物が少なく積もる側には空気流入量を30%程度減らして供給し、その反対側の内部有機性廃棄物が多く積もる側には空気流入量を30%程度増加させて供給することにより、供給空気が殆ど均一な速度で下部から上部に流動し、水分捕集の上昇作用と共に、微生物の生育に充分な酸素を供給することができるようにした、有機性廃棄物の高速処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、上部に投入口を有する円筒状のリアクターと、このリアクターの中央にその長手方向に設置され、攪拌翼を有する攪拌回転軸と、この攪拌回転軸を駆動させるために伝動部材を介して連結設置される第1駆動モータと、前記リアクターの下部に連結され、その内部有機性廃棄物へエアを供給するためのエア供給器と、前記リアクターの上部に連結され、その内部有機性廃棄物から発生する多湿ガスを吸入して処理、排出するための多湿ガス処理機と、を備える有機性廃棄物の処理装置において、前記リアクターの下端には、その長手方向に底部より低いスクリューコンベヤーケーシングが設けられ、このスクリューコンベヤーケーシングには、別途の第2駆動モータによって駆動されるスクリューコンベヤーが設置され、このスクリューコンベヤーケーシングの両側には、上面に多数のエア供給孔を有するエアジャケットが設けられていることを特徴とする有機性廃棄物の高速処理装置が提供される。
【0015】
本発明は、前記エアジャケットには、攪拌回転軸の回転方向に応じて、リアクター内の内部有機性廃棄物が少ない側にはエア供給量を30%程度低めて供給し、内部有機性廃棄物の多い側にはエア供給量を30%程度増加させて供給することができるよう、流量調節弁が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記攪拌回転軸の攪拌翼が、正/逆回転を問わずに強度を増加させ且つ攪拌領域を拡張させることができるよう、縦断面が四角楔状を有し、攪拌回転軸の方向からみて直線状(放射状)に設けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明は、前記リアクターの内部有機性廃棄物を除去することなく、外部からリアクターの底部であるエアジャケットのエア供給孔を容易に洗浄することができるよう、エアジャケットの外側に洗浄口が設けられ、この洗浄口に対して着脱可能なハンドホールカバーが設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明は、前記多湿ガス処理機が、リアクターから発生した含湿ガスを水分とガスに分離する気水分離タンクと、この気水分離タンクで分離されたガスを外気と混合する昇圧送風機と、この昇圧送風機によって外気と混合されたガスを生物学的に処理できるよう廃水処理微生物と匂い除去用微生物が植種される第1〜第3曝気槽と、を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る有機性廃棄物の高速処理装置は、リアクターの下端に軸方向にスクリューコンベヤーを設けることにより、掃除時の内部有機性廃棄物、長期間停止時の発生浸出水および不純物を容易に排出することができ、このような不純物の周期的排出を可能にして微生物の生長要件を最適化することができ、前記スクリューコンベヤーの両側に多数の孔を有する二重構造のエアジャケットを設けることにより、リアクター内の内部有機性廃棄物と20〜30°の角度を成して水分の流入を回避することができ、エアジャケット内への微生物調節剤と汚泥の流入を安全に遮断することができる有用な発明である。
【0020】
また、前記リアクターの下端部分である二重ジャケットの外側にハンドホールカバーを設けると、必要の際に、内部有機性廃棄物を除去することなく外部でリアクター内の孔まで容易に洗浄することができ、随時検査と簡単な整備を行うことができる。
【0021】
また、本発明は、攪拌器内に両方向の攪拌に適した四角楔状の攪拌翼を適用して10分ごとに約2〜3分間回転させるが、正回転と逆回転を交互に行わせることにより、内部有機性廃棄物(微生物調節剤+有機性廃棄物)の偏りを防止して、装置の静的非均衡を防止することにより、軸の両端部分のシーリングが確実であって攪拌器内の悪臭、微生物調節剤、グリースなどが漏れない有用な発明である。
【0022】
また、本発明は、攪拌回転軸の回転方向、すなわち正回転または逆回転方向に攪拌するのは勿論のこと、正/逆回転方向に応じて、内部有機性廃棄物が少なく積もる側には空気流入量を30%程度減らして供給し、その反対側の内部有機性廃棄物が多く積もる側には空気流入量を30%程度増加させて供給することにより、供給空気がほぼ均一な速度で下部から上部に流動し、水分捕集の上昇作用と共に、微生物の生育に充分な酸素を供給することができ、空気と含湿ガスの流体流動を円滑にして含湿ガスの排出を迅速にし、リアクター内の好気性条件を良好に保つ発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る有機性廃棄物の高速処理装置を詳細に説明する。
【0024】
図1〜図7は本発明に係る有機性廃棄物の高速処理装置を説明するために示す図である。図示したように、本発明に係る有機性廃棄物の高速処理装置は、密閉された円筒状のリアクター10と、このリアクター10の中央にその長手方向に設置され、多数の攪拌翼21を有する攪拌回転軸20と、伝動部材としてのチェーン31を介して連結設置され、攪拌回転軸20を駆動させるための第1駆動モータ30と、前記リアクター10の下部に連結され、その内部有機性廃棄物へエアを供給するためのエア供給器40と、前記リアクター10の上部に連結され、その内部有機性廃棄物から発生する多湿ガスを吸入して処理、排出するための多湿ガス処理機50と、を備えている。前記攪拌回転軸20は、リアクター10内の含湿ガス又は匂いが漏れないように、第1駆動モータ30によって正/逆回転が行われても気密が維持されなければならないので、リアクター10を貫通する両端にシーリング構造とベアリングによって回転可能に支持されている。
【0025】
前記リアクター10の上部には、その内部に有機性廃棄物などを投入するための投入口(図示せず)が設けられる。この投入口は、リアクター10の内部が完全密閉されるようにカバーが被せられるべきである。
【0026】
前記リアクター10の下端には、その長手方向に底部より低いスクリューコンベヤーケーシング11が設けられており、このスクリューコンベヤーケーシング11には、別途の第2駆動モータ61によって駆動されるスクリューコンベヤー60が設置されており、前記スクリューコンベヤーケーシング11の両側には、上面に多数のエア供給孔13を形成させたエアジャケット12が設けられている。
【0027】
前記エアジャケット12には、図1および図4aに示すように、エア供給器40である送風機が供給マニホールド41を介してそれぞれ連結されており、前記供給マニホールド41をから分岐された分岐ライン42には、攪拌回転軸20の回転方向に応じて、リアクター10内の有機性廃棄物が少ない側にはエア供給量を30%程度低めて供給し、有機性廃棄物が多い側にはエア供給量を30%程度増加させて供給することができるよう、流量調節弁43が設けられている。
【0028】
前記攪拌回転軸20の攪拌翼21は、正/逆回転を問わずに強度を増加させ且つ攪拌領域を拡張させることができるよう縦断面が四角楔状を有し、攪拌回転軸20の方向から見て直線状(放射状)に設けられる。前記攪拌翼21を四角楔状にする理由は、正/逆回転の際に攪拌翼が回転しながらリアクター10の内部有機性廃棄物を両側に押し出して攪拌領域を拡張させることができるためである。
【0029】
前記エアジャケット12の外側には、図4bに示すように、前記リアクター10の内部有機性廃棄物を除去することなく、外部でリアクター10の底部であるエアジャケット12のエア供給孔13を容易に洗浄することができるよう洗浄口14が設けられており、この洗浄口14には、着脱可能なハンドホールカバー15が設けられている。前記ハンドホールカバー15の着脱は、一例として洗浄口14の外側に多数の雌ねじが設けられているが、この雌ねじに、手工具なしで回転させることができるよう蝶型つまみ付きボルト16を締結することにより行われる。
【0030】
前記リアクター10の上部にその長手方向に沿って一定の間隔で複数の多湿ガス捕集管51が設けられている。吸入マニホールド52は、この多湿ガス捕集管51を一体に連結する。この吸入マニホールド52から延長され、多湿ガスを排出する誘導管53が設けられており、前記誘導管53には、リアクター10の内部圧力を減らし且つガス流れを円滑にするために排出量を調節することが可能な昇圧排出器が設置される。このようにリアクター10から排出される多湿ガスは、多湿ガス処理機50を介して排出することが好ましい。その理由は、有機性廃棄物が分解されながら発生する水分や悪臭などを除去するためである。
【0031】
前記多湿ガス処理機50は、図6に示すように、多湿ガスが誘導管53を介して気水分離タンク55に流入した後、昇圧送風機56によって第1〜第3曝気槽57a〜57cの下端に送られるように連結、構成されている。前記気水分離タンク55に供給される多湿ガスは約40℃程度、気水分離タンク55の冷却水温度は20℃程度であって、冷却水の比熱が含湿蒸気の比熱の約100倍程度だから、気水分離タンク55の下部から上部に到達する間、大部分の水分は分離され、残留ガスは気水分離タンク55の上部に集められる。前記第1〜第3曝気槽57a〜57cの内部では、できる限りの小粒を製造する空気微細分散器を用いて、ガスと凝縮水との充分な接触が行われるようにしなければならない。それぞれの曝気槽57a〜57cから零れた凝縮水は最終的に沈殿槽58から放流され、スラッジはスラッジ再循環ポンプ59によって第1〜第3曝気槽57a〜57cに再循環させ、剰余スラッジは固液分離させて脱水した後リアクター10内に投入して処理する。
【0032】
また、前記多湿ガス処理機50には、リアクター10の内部に供給される空気を予熱するための空気予熱器が設けられてもよいが、この空気予熱器は、多湿ガス処理機50を成す気水分離タンク55と第1〜第3曝気槽57a〜57cの外部に熱交換ピンを設け、リアクター10内へ供給するために吸入される空気が前記熱交換ピンを通過しながら予熱されるように空気吸入流路を設けたものである。
【0033】
図7は本発明に付設できる分離選別機を示す図である。ここでは、選別機ケーシング71の下部に振動モータ72が装着されるが、この振動モータ72の直立軸には第1〜第3振動篩73a〜73cが設置されており、前記第1〜第3振動篩73a〜73cの中でも、最上端の第1振動篩73aの上部にはリアクター10の下部のスクリューコンベヤー60の端部に連結できるワンタッチ連結具74a付き第1リボンスクリュー74が設置されており、第2振動篩73bには有機性廃棄物を分解する微生物と微生物調節剤、例えば米糠、鋸屑、粗糠、コーヒー粕などをリアクター10に還送させるための第2リボンスクリュー75が連結されており、前記第1および第3振動篩73a、73cの側面の選別機ケーシング71には第1および第3振動篩73a、73cによって濾された不純物または汚泥を排出するための排出ホース76が連結されている。
【0034】
次に、前記のように構成された本発明に係る有機性廃棄物の高速処理装置を用いた有機性廃棄物の消滅処理工程を説明する。
【0035】
まず、前処理工程の破砕機で選別分離され破砕された有機性廃棄物をリアクター10の上部の投入口(図示せず)を介してリアクター10内に適量供給することは勿論のこと、予め投入された微生物と微生物調節剤(使用期間2〜3ヶ月)、例えば米糠、鋸屑、粗糠、コーヒー粕などを投入し、前記投入口を閉じた後、第1駆動モータ30を駆動させると、伝動部材のチェーン31を介して攪拌回転軸20が回転することにより攪拌がなされる。
【0036】
前記第1駆動モータ30は、設定された運転周期ごとに正/逆回転駆動が行われるので、攪拌回転軸20も正/逆回転が行われる。これにより、攪拌回転軸20の攪拌翼21によって有機性廃棄物と微生物および微生物調節剤が均一に混ぜられる。前記第1駆動モータ30は10分ごとに2〜3分間の運転周期で駆動され、運転周期ごとに交互に攪拌回転軸20の回転方向が変わる。この際、攪拌翼21は、四角楔状に設けられており、正逆回転方向を問わずリアクター10の内部有機性廃棄物を両方に押し出して攪拌領域を拡張させるので、均一に攪拌することができる。
【0037】
これと同時に、エア供給器40から発生した0.2bar程度の圧縮空気が、供給マニホールド41と分岐ライン42を介してエアジャケット12に供給された後、直ちにその上面のエア供給孔13を通り抜け、リアクター10内で攪拌回転軸20の攪拌翼21によって攪拌されている内部有機性廃棄物をリアクター10の下部の左右面から通過してリアクター10の上部側へ流れる。この際、エア供給器40によって供給される空気は、供給空気予熱器(図示せず)を用いて好気性微生物の生長活動に適した所定の温度まで予熱してから供給すると良い。
【0038】
このような工程が行われる間、前記リアクター10内の有機性廃棄物は、好気性微生物による有機物分解され、これにより生じる発熱によって指定温度まで上昇すれば、供給空気の予熱は必要でなくなる。有機物の分解によって発生する水分、二酸化炭素、極小量のアンモニア、メルカプタンなどのガスは、含湿水蒸気の形でリアクター10の上部に集められる。
【0039】
このようにリアクター10の上部に集めた含湿水蒸気は、多湿ガス捕集管51、吸入マニホールド52および誘導管53を介して気水分離タンク55に流入した後、外部空気と共に昇圧送風機56によって第1〜第3曝気槽57a〜57cの下端に送られる。前記含湿ガスは約40℃程度、気水分離タンク55の冷却水温度は20℃程度であり、冷却水の比熱が含湿蒸気の比熱の約100倍程度だから、気水分離タンク55の下部から上部に到達する間、大部分の水分は分離され、残留ガスは気水分離タンク55の上部に集められる。
【0040】
前記第1〜第3曝気槽57a〜57cには廃水処理微生物と匂い除去用微生物が植種され、前記残留ガスを空気微細分散器によってなるべく小さい粒子に製造して、この残留ガスを最終処理する。それぞれの曝気槽57a〜57cから零れる凝縮水は最終的に沈殿槽58から放流される。この沈殿槽58の下部に沈んだスラッジはスラッジ再循環ポンプ59によって第1〜第3曝気槽57a〜57cに再循環させ、剰余スラッジは固液分離、脱水の後、リアクター10内に投入して処理する。
【0041】
前記の工程が行われる間、リアクター10内の内部充填物質である有機性廃棄物が充分に分解消滅されると、リアクター10の下部に長手方向に設置されたスクリューコンベヤー60を別途の第2駆動モータ61によって駆動させる。このように前記スクリューコンベヤー60が駆動されると、有機性廃棄物の分解による残存副産物と微生物調節剤、例えば米糠、鋸屑、粗糠、コーヒー粕などがスクリューコンベヤー60の端部に排出される。前記スクリューコンベヤー60の端部に分離選別機70が設けられてもよい。
【0042】
このようにスクリューコンベヤー60の端部に分離選別機70が設けられると、スクリューコンベヤー60によって排出される有機性廃棄物の副産物と微生物調節剤などは、第1リボンスクリュー74を介して分離選別機70の第1振動篩73aに供給される。このように分離選別機70の第1振動篩73aへ分解された有機性廃棄物と微生物調節剤が供給される状態で、分離選別機70の振動モータ72を駆動させると、第1振動篩73aによっては比較的大きい物質、すなわち10mm以上の金属、ガラス、木などの不純物が選別されて排出ホース76を介して排出され、第2振動篩73bによっては第1振動篩73aを通過した2〜10mm水準の微生物調節剤が選別される。このように選別された微生物調節剤は第2リボンスクリュー75を介してさらにリアクター10内に還送される。前記第2振動篩73bを通過した汚泥や死滅菌も排出ホース76を介して不純物と同様に排出されるが、別途に集めて処理する。
【0043】
前述したように、本発明の装置を長時間稼動し、リアクター10の底部であるエアジャケット12のエア供給孔13が有機性廃棄物の汚泥や死滅菌などによって詰まると、運転者が、リアクター10の下部に設けられているエアジャケット12の外側の洗浄口14に設置されたハンドホールカバー15を、別途の手工具なしで蝶型ボルト16を回転させて開放した後、ブラシなどを用いて、詰まったエア供給孔13を通すか、あるいは随時点検および簡単な整備を行うことができる。言い換えれば、リアクター10内の内部充填物質を除去することなく、エアジャケット12の外側のハンドホールカバー15を選択的に簡単に開放させて点検または整備を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る有機性廃棄物の高速処理装置を概略的に示す構成図である。
【図2】本発明の処理装置からリアクターを抜粋して示す斜視図である。
【図3】図2の横断面図である。
【図4a】図3からエアジャケット部分を抜粋して詳細に示す断面図である。
【図4b】図3からエアジャケット部分を抜粋して詳細に示す断面図である。
【図5a】攪拌回転軸の回転方向による、リアクター内の内部有機性廃棄物が分布している状態を示す断面図である。
【図5b】攪拌回転軸の回転方向による、リアクター内の内部有機性廃棄物が分布している状態を示す断面図である。
【図6】本発明の処理装置の多湿ガス処理機を示す構成図である。
【図7】本発明に係る分離選別機を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
10 リアクター
11 スクリューコンベヤーケーシング
12 エアジャケット
13 エア供給孔
20 攪拌回転軸
21 攪拌翼
30 第1駆動モータ
40 エア供給器
41 供給マニホールド
42 分岐ライン
43 流量調節弁
50 多湿ガス処理機
51 多湿ガス捕集管
52 吸入マニホールド
53 誘導管
55 気水分離タンク
56 昇圧送風機
57a〜57c 第1〜第3曝気槽
58 沈殿槽
59 スラッジ再循環ポンプ
60 スクリューコンベヤー
61 第2駆動モータ
70 分離選別機
71 選別機ケーシング
72 振動モータ
73a〜73c 第1〜第3振動篩
74 第1リボンスクリュー
74a ワンタッチ連結具
75 第2リボンスクリュー
76 排出ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に投入口を有する円筒状のリアクターと、
このリアクターの中央にその長手方向に設置され、攪拌翼を有する攪拌回転軸と、
この攪拌回転軸を駆動させるために伝動部材を介して連結設置される駆動モータと、
前記リアクターの下部に連結され、その内部有機性廃棄物へエアを供給するためのエア供給器と、
前記リアクターの上部に連結され、その内部有機性廃棄物から発生する多湿ガスを吸入して処理、排出するための多湿ガス処理機と、を備える有機性廃棄物の処理装置において、
前記リアクターの下端には、その長手方向に底部より低いスクリューコンベヤーケーシングが設けられ、このスクリューコンベヤーケーシングには、別途の駆動モータによって駆動されるスクリューコンベヤーが設置され、このスクリューコンベヤーケーシングの両側には、上面に多数のエア供給孔を有するエアジャケットが設けられていることを特徴とする有機性廃棄物の高速処理装置。
【請求項2】
前記エアジャケットには、攪拌回転軸の回転方向に応じて、リアクター内の内部有機性廃棄物の少ない側にはエア供給量を30%程度低めて供給し、内部有機性廃棄物の多い側にはエア供給量を30%程度増加させて供給することができるよう、流量調節弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の高速処理装置。
【請求項3】
前記リアクターの内部有機性廃棄物を除去することなく、外部からリアクターの底部であるエアジャケットのエア供給孔を容易に洗浄することができるよう、エアジャケットの外側に洗浄口が設けられ、
この洗浄口に対して着脱可能なハンドホールカバーが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機性廃棄物の高速処理装置。
【請求項4】
前記攪拌回転軸の攪拌翼は、正/逆回転を問わずに強度を増加させ且つ攪拌領域を拡張させることができるよう、縦断面が四角楔状を有し、
攪拌回転軸の方向からみて直線状(放射状)に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の高速処理装置。
【請求項5】
前記多湿ガス処理機は、リアクターから発生した含湿ガスを水分とガスに分離する気水分離タンクと、
この気水分離タンクで分離されたガスを外気と混合する昇圧送風機と、
この昇圧送風機によって外気と混合されたガスを生物学的に処理できるよう、廃水処理微生物と匂い除去用微生物が植種される第1〜第3曝気槽と、を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の高速処理装置。
【請求項6】
前記リアクターの下端のスクリューコンベヤーから排出される混合物の供給を受けて振動選別によって不純物を除去し、選別の際に自動的に内部有機性廃棄物を原状復帰させる分離選別機が付設されていることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物の高速処理装置。
【請求項7】
前記分離選別機は、振動モータの直立軸に第1〜第3振動篩が設置されるが、
前記振動篩の中でも、最上端の第1振動篩の上部には、リアクターの下部のスクリューコンベヤーの端部に連結されるワンタッチ連結具付き第2リボンスクリューが設置され、
第2振動篩には、有機性廃棄物を分解する微生物と微生物調節剤をリアクターに還送させるための第2リボンスクリューが連結され、
前記第1および第3振動篩の側面のケーシングには、第1および第3振動篩によって濾された不純物または汚泥を排出するための排出ホースが連結されていることを特徴とする請求項6に記載の有機性廃棄物の高速処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図6】
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【図7】
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【図5a】
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【図5b】
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【公開番号】特開2006−272312(P2006−272312A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215240(P2005−215240)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(505282019)
【Fターム(参考)】