説明

有機性廃液の生物処理装置

【課題】有機性廃液の消化汚泥を濃縮し、濃縮汚泥を生物処理槽に返送することにより、効率的な消化を行って、汚泥減量率を高める。
【解決手段】有機性廃液は生物処理槽1に導入され生物処理処理される。この生物処理槽1の消化汚泥の一部を配管2、ポンプ3及び配管4を介して引き抜き、遠心分離機5で濃縮する。遠心分離機5で濃縮された濃縮汚泥は混合槽6に送給され、分離液は配管7を介して装置外に取り出される。汚泥(未分画汚泥)の一部は、遠心分離機13に導入され、有機性浮遊物質濃度の高い高有機画分と有機性浮遊物質濃度の低い低有機画分とに遠心分離される。低有機画分は、配管15を介して生物処理装置外に排出される。高有機画分は、配管14を介して混合槽6に送給可能とされている。配管10内の未分画汚泥は、配管10から分岐した配管16、弁17及び配管18を介して混合槽6へ送給可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃液の生物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機性汚泥、し尿、食品工場廃水等のスラリー状の高濃度有機性汚泥を嫌気性又は好気性微生物の存在下に消化処理して減量化する方法は、古くから行われている。しかし、従来の消化処理法は、2日間以上という長時間の滞留時間を必要とするにもかかわらず、汚泥の減量率が低いという問題点がある。
【0003】
こうした問題点を解消するために、特開平8−281297号公報には、有機性汚泥を消化処理した後の消化汚泥を遠心濃縮し、濃縮汚泥を生物処理槽に返送する消化処理方法が記載されている。この方法では、生物処理槽の負荷量を減少させることなく、汚泥の生物処理槽内での滞留時間を増加させることによって、有機物分解率を向上させ、汚泥の減量率を高めることができる。即ち、濃縮汚泥を生物処理槽に返送することにより、HRT(水理学的滞留時間)はそのままで、SRT(固形物滞留時間)を長く設定することができ、有機性汚泥中の分解速度が遅い固形分をも分解することが可能となり、高い減量率を得ることができる。
【0004】
この方法で濃縮を効率的に行うためには、消化汚泥の濃縮倍率を高く、例えば2倍以上として運転することが好ましい。即ち、濃縮倍率が低いと、ある量の分離液を得るのに必要な遠心濃縮機の処理量が著しく増加するため、より大型の濃縮機が必要となったり、濃縮機の運転時間を長くする必要があったり、凝集剤がより多く必要になったりする。また、濃縮機による濃縮を所望の濃縮倍率に調整するには、高度の運転技術を要し、また条件変動があると安定して所望の濃度に濃縮することができないという問題もあり、この点からも、濃縮機による濃縮は、濃縮機の性能に見合った高濃度倍率で行うことが好ましい。
【0005】
ところが、濃縮倍率を高くして濃縮汚泥の濃度を高めると、汚泥の粘性は汚泥濃度に対して指数関数的に増加するため、濃縮汚泥の粘性が著しく増加してしまう。その結果、濃縮汚泥を生物処理槽に返送することが困難になったり、返送した濃縮汚泥を生物処理槽内で十分に分散させることができなくなり、消化処理の効率が低下したりする問題があった。
【0006】
かかる問題点を解決する有機性廃液の生物処理装置として、特開2004−290729号には、有機性廃液を消化する生物処理槽と、該生物処理槽から排出される消化汚泥を濃縮する固液分離手段と、該固液分離手段からの濃縮汚泥を前記生物処理槽へ返送する移送ポンプを有する配管と、該移送ポンプよりも上流側において、濃縮汚泥に消化汚泥を添加するように構成した生物処理装置が記載されている。
【0007】
このように、移送ポンプの上流側で濃縮汚泥に消化汚泥を添加して濃縮汚泥を希釈することにより、該移送ポンプによる濃縮汚泥の移送が円滑に行われるようになる。また、返送された濃縮汚泥が消化槽内で十分に分散し、効率よく消化されるようになる。
【特許文献1】特開平8−281297号公報
【特許文献2】特開2004−290729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記特開2004−290729号と同様に、濃縮汚泥の返送を円滑に行い、かつ、返送した濃縮汚泥を生物処理槽内で十分に分散させて効率的な消化を行うと共に、生物処理の効率をさらに高めることが可能な有機性廃液の生物処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)の有機性廃液の生物処理装置は、有機性廃液を生物処理する生物処理槽と、該生物処理槽からの汚泥を濃縮する固液分離手段と、該固液分離手段からの濃縮汚泥を前記生物処理槽へ返送する移送ポンプを有する配管と、該移送ポンプ又はそれよりも上流側において、該濃縮汚泥に液体を添加する液添加手段とを有する有機性廃液の生物処理装置において、前記生物処理槽からの汚泥(以下、未分画汚泥という。)を有機性浮遊物質の割合の高い高有機画分と、該割合の低い低有機画分とに分画し、低有機画分を該生物処理装置外に取り出す汚泥分画手段が設けられており、前記液添加手段は、前記未分画汚泥と高有機画分とを切り替えて添加するための添加切替手段を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の有機性廃液の生物処理装置では、請求項2の通り、前記添加切替手段は、前記汚泥分画手段の動作中には前記高有機画分を添加し、前記汚泥分画手段の停止中には前記未分画汚泥を添加するように動作するよう構成されてもよい。
【0011】
本発明の有機性廃液の生物処理装置では、請求項3の通り、前記液添加手段は、前記生物処理槽からの未分画汚泥を送液する未分画汚泥用ポンプと、該未分画汚泥用ポンプからの未分画汚泥を前記汚泥分画手段に導入するための第1流路と、該未分画汚泥用ポンプからの未分画汚泥を前記移送ポンプよりも上流側に導入する第2流路と、を備えており、前記添加切替手段は、該未分画汚泥用ポンプからの未分画汚泥の流れを該第1流路と第2流路とに択一的に切り替える弁を備えてもよい。
【0012】
本発明の有機性廃液の生物処理装置は、請求項4の通り、前記生物処理槽からの汚泥の一部を改質して該生物処理槽に返送する改質手段を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、生物処理汚泥を濃縮し、濃縮汚泥を生物処理槽に返送することにより、生物処理槽のSRTを長く確保して高い消化効率及び減量率を得ることができる。
【0014】
この濃縮汚泥は、ペースト状ないし粘性の高い液状であるが、移送ポンプよりも上流側において希釈されることにより、円滑に移送されると共に、生物処理槽で十分に分散して効率よく生物処理される。
【0015】
本発明では、生物処理槽からの未分画汚泥を分画して有機性浮遊物質の割合を高めた高有機画分を濃縮汚泥に添加すると共に、有機性浮遊物質の割合の低い低有機画分を生物処理装置外に排出する。このように低有機画分を生物処理装置外に排出するところから、生物処理槽内の有機性浮遊物質濃度を高くし、該生物処理槽内の処理効率を高くすることができる。
【0016】
なお、請求項2の通り、汚泥分画手段が停止しているときには、未分画汚泥を濃縮汚泥に添加し、濃縮汚泥が生物処理槽に円滑に移送されるようにするのが好ましい。
【0017】
請求項3のように、未分画汚泥をそのまま濃縮汚泥に添加するためのポンプと、未分画汚泥を汚泥分画に供給するためのポンプとを共用することにより、装置構成コストが低減される。
【0018】
請求項4のように改質手段を設けると、生物処理されにくい難分解性の有機物も効率よく生物処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を参照して本発明の有機性廃液の生物処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の有機性廃液の生物処理装置の実施の形態を示す系統図である。
【0021】
[装置の構成]
図1において、有機性廃液は生物処理槽1に導入され生物処理される。この生物処理槽1の消化汚泥の一部を配管2、ポンプ3及び配管4を介して引き抜き、遠心分離機5で濃縮する。遠心分離機5で濃縮された濃縮汚泥は混合槽6に送給され、分離液は配管7を介して装置外に取り出される。6aは撹拌機を示す。
【0022】
生物処理槽1から配管2に取り出された汚泥(未分画汚泥)の一部は、配管2から分岐した配管8、ポンプ9、配管10、弁11及び配管12を介して汚泥分画手段としての遠心分離機13に導入され、有機性浮遊物質の割合の高い高有機画分と有機性浮遊物質の割合の低い低有機画分とに遠心分離される。低有機画分は、配管15を介して生物処理装置外に排出される。高有機画分は、配管14を介して混合槽6に送給可能とされている。
【0023】
配管10内の未分画汚泥は、配管10から分岐した配管16、弁17及び配管18を介して混合槽6へ送給可能とされている。
【0024】
なお、配管12が第1流路に相当し、配管16、18が第2流路に相当し、弁11、17が切替手段を構成している。
【0025】
この混合槽6内の汚泥は、ポンプ19、配管20を介して生物処理槽1に返送される。生物処理槽1には、槽内の液が配管30を介して導入され、汚泥改質処理する改質装置31が設けられている。改質された汚泥は、配管32を介して生物処理槽1に戻される。
【0026】
図示はしないが、ポンプ3,9,19、弁11,17及び遠心分離機5,13を制御するための制御器が設けられている。この制御器からの制御信号により、各ポンプ3,9,19及び遠心分離機5,13の回転、停止が行われると共に、弁11,17の開閉が行われる。
【0027】
[高有機画分の添加運転]
通常の場合は、弁17を閉、弁11を開とし、ポンプ3,9,19及び遠心分離機5,13を回転させる。
【0028】
これにより、生物処理槽1内の汚泥の一部が配管2、ポンプ3、配管4、遠心分離機5の順に流れ、濃縮汚泥が混合槽6に導入され、分離液が装置外に排出される。
【0029】
また、配管2内の未分画汚泥の一部が配管8、ポンプ9、配管10、弁11、配管12の順に流れ、遠心分離機13で高有機画分と低有機画分とに分画され、高有機画分が配管14から混合槽6へ送られる。低有機画分は、配管15を介して装置外へ取り出される。なお、未分画汚泥に含有されることがある砂などの固形異物も、この遠心分離機13で分離され、低有機画分と共に装置外へ排出される。
【0030】
混合槽6で遠心分離機5からの濃縮汚泥と高有機画分とが混合され、濃縮汚泥粘度がポンプ移送に適した粘度まで低下する。この混合汚泥は、移送ポンプ19から配管20を介して円滑に生物処理槽1へ返送される。また、返送された汚泥は、粘度が低いため、生物処理槽1内で容易に分散し、処理効率が向上する。
【0031】
この実施の形態では、生物処理槽1から取り出される未分画汚泥の一部を遠心分離機13で遠心分離し、低有機画分を装置外へ排出しているので、同じ汚泥(固形物)濃度であったとしても、未分画汚泥を系外へ排出するよりも生物処理槽1内の有機性浮遊物質濃度が高くなり、滞留時間も長くなる。これにより、生物処理槽1内の生物処理効率が高くなる。
【0032】
なお、この実施の形態では、改質装置31を設けているので、生物難分解性の有機物も効率よく処理されるようになる。この改質装置としては、後述の通り、オゾン処理、熱処理、ミルによる破砕、酸/アルカリ処理などによるものが例示されるが、これに限定されない。
【0033】
[未分画汚泥の添加運転]
生物処理槽1から遠心分離機5に導入される汚泥が脱水性の良いものであり、混合槽6に取り出される濃縮汚泥濃度が極めて高い場合や、遠心分離機13から低有機画分を装置外へ排出する必要がない場合などには、弁11を閉、弁17を開とし、未分画汚泥を配管10から配管16、弁17、配管18を介して直接に混合槽6へ導入し、濃縮汚泥を移送に適した粘度となるように希釈する。
【0034】
この実施の形態では、未分画汚泥を遠心分離機13を経由して高有機画分として混合槽6に導く場合と、配管16,18を介して未分画汚泥のまま直接に混合槽6に導く場合のいずれにあってもポンプ9のみによって未分画汚泥の送給を行うので、ポンプ設置台数が少なくて済み、コストダウンとなる。
【0035】
[処理対象液、処理条件]
本発明において処理の対象となる有機性廃液は、消化処理によって減量化される有機物を含有する廃液であり、固形物を含むスラリー状のものでも、固形物を含まない液状のものでも良い。また、難生物分解性の有機物、無機物、セルロース、紙、綿、ウール、布、し尿中の固形物などが含有されていても良い。このような有機性廃液としては下水、下水初沈汚泥、し尿、浄化槽汚泥、食品工場の排水や残渣、ビール廃酵母、その他の産業廃液、これらの廃液を処理した際に生じる余剰汚泥等の有機性汚泥が挙げられる。
【0036】
生物処理槽1では嫌気性又は好気性微生物を含む汚泥の存在下に、このような有機性汚泥の消化処理を行う。生物処理槽1の有機物負荷は0.2〜20kg−CODCr/m・日、生物処理槽1内のMLSS濃度は1〜10%、好ましくは3〜6%、温度は30〜38℃又は45〜60℃の条件を採用することができる。
【0037】
この生物処理槽1内の消化汚泥の一部を引き抜いて遠心分離機5で濃縮し、濃縮汚泥を濃度調整して生物処理槽1に返送することにより、HRTを変えることなくSRTを長くすることができ、これにより汚泥減量率を低減することができる。
【0038】
生物処理槽1内の保有汚泥の1/30〜1/10程度を引き抜いて、濃縮、濃度調整した後循環させることにより、SRTを、このような汚泥循環を行わない場合の少なくとも3倍程度以上に延長することができ、難生物分解性の有機性廃液であっても、汚泥の減量化を促進させることができる。
【0039】
なお、生物処理槽1において、嫌気性消化を行う場合、遠心分離機5,13や混合槽6を大気と遮断した状態で運転するのが好ましい。遠心分離機5,13を密閉状態にして濃縮することにより、汚泥と酸素との接触を制限すると、嫌気性菌を生かしたまま生物処理槽に返送でき、生物処理槽の生菌数保持、増加が容易となり、消化効率を向上させることができる。
【0040】
遠心分離機5に導入される消化汚泥に凝集剤、好ましくは高分子凝集剤を添加して消化汚泥中のSS分を凝集させることにより、濃縮倍率を高め、清澄な分離液を得るようにしてもよい。凝集剤としては消化汚泥の濃縮、脱水に一般的に用いられる公知のものが適用できるが、添加量が少なくて済むことからカチオン系の高分子凝集剤が良い。高分子凝集剤の添加率は消化汚泥のSS当たり0.05〜1.5重量%とすることが好ましい。消化汚泥に凝集剤を添加する場合、凝集剤は消化汚泥の移送ラインに注入しても良く、濃縮機に添加しても良く、また、別途凝集槽を設けて凝集処理しても良い。
【0041】
上記遠心分離機5は、生物処理した汚泥を脱水して処理液と濃縮汚泥とに分離するためのものであるので、加速度Gの大きいものが好ましい。一方、遠心分離機13は、未分画汚泥を有機性浮遊物質濃度の高い画分と低い画分とに分画するためのものであり、遠心分離機5よりも加速度Gの小さいものでもよい。通常の場合、遠心分離機13の加速度Gは遠心分離機5の加速度Gの30〜100%程度で十分である。
【0042】
遠心分離機5における消化汚泥の濃縮の程度は、用いる濃縮機の性能にもよるが、通常SS(固形物)濃度3〜6%程度の消化汚泥を、8〜20%程度のペースト状ないし高粘性の液状に濃縮するのが好ましい。
【0043】
遠心分離機5からの濃縮汚泥は、必要に応じてその一部を余剰汚泥として系外に排出し、脱水、焼却、埋め立て等の処分を行っても良い。
【0044】
遠心分離機5の分離液は処理水としてそのまま下水道等へ放流することができるが、好気性生物処理、その他の後処理を行った後放流しても良い。
【0045】
濃縮汚泥の濃度調整には、必ずしも混合槽6を設ける必要はなく、濃縮汚泥の移送配管において、移送ポンプのサクション或いは移送ポンプに希釈用液体を注入するのみでも良い。しかし、濃縮汚泥の粘性が高い場合には、図1に示す如く、混合槽6を設け、機械的に混合することが好ましい。この混合手段としては、撹拌機6aのほか、ガスの吹き込み、スタティックミキサー等を用いることができる。
【0046】
濃縮汚泥の濃度調整のための混合槽6の滞留時間は1分〜6時間程度で良いため、混合槽6の容積は小さくて足りる。また、濃縮汚泥を直接生物処理槽に投入して消化汚泥や原汚泥と混合する場合に比べ、この混合槽6における混合のために必要な動力は著しく小さくて済む。
【0047】
濃縮汚泥の濃度調整の程度は、例えば一段のモノポンプで円滑に移送が行える程度で良く、一般的には移送ポンプ19の吐出圧が0.6MPa以下となるように、SS濃度で6〜12%、例えば8%程度に濃縮することが好ましい。
【0048】
濃度調整後の汚泥の移送のための移送ポンプ19としては特に制限はないが、モノポンプ、ホースポンプ等を用いることができる。
【0049】
改質装置31では、汚泥をオゾン処理、熱処理、ミルによる破砕、酸/アルカリ処理などによって改質する。このような改質処理を行うことにより、嫌気性消化汚泥中の菌体は死滅し、その他の難分解性有機成分とともに易生物分解性に改質される。これら易生物分解性成分が嫌気性消化槽で消化されることで、処理系からより多くの有機成分が減量され、メタンガスが回収されるようになる。
【0050】
改質装置としてオゾン処理装置を採用した場合、オゾン処理のpHは4〜10、オゾンの使用量は通常オゾン処理される汚泥のVSSあたり0.01〜0.08g−O/g−VSS、好ましくは0.02〜0.05g−O/g−VSSとするのが好ましい。
【0051】
[別の態様]
弁11,19は単なる開閉弁であってもよく、流量調節機能を有した開閉弁であってもよい。また、ポンプ3,9は流量調節機能を備えていてもよい。
【0052】
なお、混合槽6からの混合汚泥の粘度制御のために、例えば撹拌機6aの回転トルクや通電電流値が所定範囲となるように、未分画汚泥又は高濃度汚泥の導入量を弁11,17の開度制御によって調節してもよい。
【0053】
上記実施の形態では、2個の弁11,17を用いているが、三方弁を配管10,16の接続箇所に設置してもよい。
【0054】
消化汚泥を濃縮するための遠心分離機5の代わりに、浮上濃縮機、スクリュープレス濃縮機、濾布型濃縮機などを用いることができる。また、沈殿槽、膜分離装置などの固液分離装置を用いることもできる。
【0055】
また、遠心分離機13の代わりに液体サイクロンなどを用いてもよい。
【0056】
上記実施の形態では、生物処理槽1を1槽だけ用いているが、2槽以上設けてもよい。例えば、生物処理槽1を嫌気性消化槽とし、この嫌気性消化槽を、処理温度45〜95℃の高温消化槽と、高温消化槽の流出液が導入される処理温度25〜40℃の中温消化槽の少なくとも2槽で構成してもよい。この場合、廃液中の有機成分は、高温消化槽及び中温消化槽のそれぞれにおいて、55℃付近に最適温度がある高温嫌気性微生物、35℃付近に最適温度がある中温嫌気性微生物により液化→低分子化→有機酸生成→メタン生成のステップによりメタンガスに転換される。
【0057】
高温消化槽では、中温消化よりも速やかに固形有機成分の分解が進むものの、コロイド状の溶解性有機成分として多くが残留する。これらコロイド状の有機成分は、中温微生物によって分解可能であるため、高温消化槽の流出液を中温消化槽に導入することにより、残留した溶解性有機成分もメタンガスに転換される。従って、中温消化のみの場合に比べ、高速で固形有機成分の分解やメタンガスへの転換を進めることができる。
この中温消化槽からの汚泥を配管2,8へ送り出す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の有機性廃液の生物処理装置の実施の形態を示す系統図である。
【符号の説明】
【0059】
1 生物処理槽
5,13 遠心分離機
6 混合槽
19 移送ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃液を生物処理する生物処理槽と、
該生物処理槽からの汚泥を濃縮する固液分離手段と、
該固液分離手段からの濃縮汚泥を前記生物処理槽へ返送する移送ポンプを有する配管と、
該移送ポンプ又はそれよりも上流側において、該濃縮汚泥に液体を添加する液添加手段と
を有する有機性廃液の生物処理装置において、
前記生物処理槽からの汚泥(以下、未分画汚泥という。)を有機性浮遊物質の割合の高い高有機画分と、該割合の低い低有機画分とに分画し、低有機画分を該生物処理装置外に取り出す汚泥分画手段が設けられており、
前記液添加手段は、前記未分画汚泥と高有機画分とを切り替えて添加するための添加切替手段を備えていることを特徴とする有機性廃液の生物処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記添加切替手段は、前記汚泥分画手段の動作中には前記高有機画分を添加し、前記汚泥分画手段の停止中には前記未分画汚泥を添加するように動作することを特徴とする有機性廃液の生物処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記液添加手段は、
前記生物処理槽からの未分画汚泥を送液する未分画汚泥用ポンプと、
該未分画汚泥用ポンプからの未分画汚泥を前記汚泥分画手段に導入するための第1流路と、
該未分画汚泥用ポンプからの未分画汚泥を前記移送ポンプよりも上流側に導入する第2流路と、
を備えており、
前記添加切替手段は、該未分画汚泥用ポンプからの未分画汚泥の流れを該第1流路と第2流路とに択一的に切り替える弁を備えていることを特徴とする有機性廃液の生物処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記生物処理槽からの汚泥の一部を改質して該生物処理槽に返送する改質手段を有することを特徴とする有機性廃液の生物処理装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−73613(P2008−73613A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255493(P2006−255493)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】