説明

有機無機ハイブリッド材料、並びにそれを含有する組成物および添加剤

【課題】 各種用途に好適に使用できる有機無機ハイブリッド材料、当該有機無機ハイブリッド材料を含有する組成物および添加剤を提供すること。
【解決手段】
下記一般式(1)で表される片末端シリル化ポリオレフィン[A]と、無機材料とから形成される有機無機ハイブリッド材料。



(式中Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、またはケイ素含有基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また炭化水素基、酸素含有基、ケイ素含有基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。式中Rは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖または炭素数2〜50のオレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖であって、数平均分子量が100〜500,000である基を表す。式中Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、炭化水素基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するポリオレフィンと、無機材料とから形成される有機無機ハイブリッド材料、並びにそれを含有するオイル組成物および添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂やオイル中にタルクやシリカ等の無機微粒子を分散させて、樹脂やオイルの物性改善や性能向上を図ることは良く知られている。しかしながら、一般に、樹脂やオイル中に無機化合物を均一に分散することは困難とされる。これを解決する方法としては、例えば分子中に極性基、配位性官能基を有するポリマー鎖とこれと異なるポリマー鎖よりなるブロックコポリマーをつくり、この中に無機微粒子を位置制御しながら分散させる方法が特許文献1に報告されている。しかし、この場合、ブロックコポリマーの構造によって、無機微粒子を分散させる樹脂として特定の物しか選択できない欠点がある。
【0003】
また、ポリマーを無機化合物であるシリカに反応させる方法およびその方法で得られた材料としては、N−イソプロピルアクリルアミドポリマーをシリカに結合させるものが非特許文献1に報告されている。しかしこの場合、シリカは粒径4μm以上のものを使用しており、その用途として樹脂中に分散させるという概念は記載されていない。
【0004】
一方、無機基板上に有機単分子膜を集積化し、無機基板表面の性質を改変する技術が知られている。例えば無機基板表面にフッ素系分子を集積すると撥水性が得られ、逆に親水性分子を集積すると親水膜となる。単分子膜をラジカル反応により、Si表面に形成することもできる(特許文献2)。しかしながら、これらの技術は何れも炭素数18程度の小さな分子を利用しており、例えば電気絶縁性等における効果は小さい。
【特許文献1】特開2007−314667号公報
【特許文献2】特開2004−237159号公報
【非特許文献1】J.Appl.Poly.Sci,77(12),2678(2000).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、各種用途に好適に使用できる有機無機ハイブリッド材料を提供することであり、当該有機無機ハイブリッド材料を含有する組成物および添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は鋭意検討の結果、片末端シリル化ポリオレフィンを作製し、無機材料、例えば微粒子シリカと反応させることにより、樹脂やオイル中に均一に分散できる新規な有機無機ハイブリッド材料が形成できることを見出し、また、シリコン基板表面と反応させることによりポリオレフィンの単分子膜を、シリコン基板に形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される片末端シリル化ポリオレフィン[A]と、無機材料とから形成される有機無機ハイブリッド材料である。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、またはケイ素含有基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また炭化水素基、酸素含有基、ケイ素含有基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、式中Rは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖または炭素数2〜50のオレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖であって、数平均分子量が100〜500,000である基を表す。また、式中Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、炭化水素基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)
【0010】
前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]は、下記の[工程1]および[工程2]を順次実施することにより得られたものであることが好ましい。
[工程1]下記一般式(2)で表されるヒドロシランとハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る工程、
[工程2]前記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)の存在下、下記一般式(3)で表される末端二重結合含有ポリオレフィンと一般式(2)で表されるヒドロシランとを反応させる工程。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、またはケイ素含有基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また炭化水素基、酸素含有基、ケイ素含有基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)
【0013】
【化3】

【0014】
(式中Rは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖または炭素数2〜50のオレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖であって、数平均分子量が100〜500,000である基を表す。また、式中Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、炭化水素基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)
【0015】
また、前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]のRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の原子または基であって、かつRのうち少なくとも1つが炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であることが好ましく、Rが、全て同一の炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であることが更に好ましい。
【0016】
また、前記無機材料は、粒状シリカ、フュームドシリカ、クレイ、タルク、フェライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、水酸化マグネシウムおよびヒドロキシアパタイトからなる群から選ばれる粒状もしくは粉状の無機酸化物もしくは無機水酸化物; 板状ガラス、グラスファイバー、酸化インジウムスズ基板、および膜状酸化チタンからなる群から選ばれる板状もしくは繊維状の無機酸化物; 窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素からなる群から選ばれる粒状もしくは粉状の金属窒化物; または、シリコン基板であることが好ましく、平均一次粒子径1〜20nmのフュームドシリカまたは末端シリル基と反応する水酸基を表面に形成したシリコン基板であることが更に好ましい。また、粒状または粉状の無機材料を使用した場合には、本発明の有機無機ハイブリッド材料は、平均一次粒子径が5〜100nmであることが好ましい。
【0017】
また本発明の有機無機ハイブリッド材料は、有機溶媒中、溶解状態の片末端シリル化ポリオレフィン[A]と無機材料とを反応して得ることが好ましい。
【0018】
更に本発明の別の態様としては、前記の有機無機ハイブリッド材料が、分散媒中に0.1〜20重量%分散してなる有機無機ハイブリッド材料組成物である。前記分散媒は、ジメチコン、ポリシロキサンなどのシリコンオイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミドなどの樹脂、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタンなどの非水溶性溶媒、流動パラフィン、植物性油脂、動物性油脂、エラストマーなどのオイルからなる群から選択される1種以上の分散媒であることが好ましい。
【0019】
また更に本発明は、前記の有機無機ハイブリッド材料を含有する樹脂添加剤、および前記の有機無機ハイブリッド材料を含有するオイル添加剤をも包含するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、重合体の片末端に反応性シリル基を有する新規なシリル化ポリオレフィンと無機材料とを反応させて得られる新規な有機無機ハイブリッド材料を提供することができる。
【0021】
得られた有機無機ハイブリッド材料、例えば微粒子シリカと反応させることにより得られた材料は、樹脂やオイル中に均一に分散できるため、オイル組成物、オイル添加剤や樹脂添加剤として好適に使用でき、オイルや樹脂の粘度や弾性などのレオロジー特性やオイル組成物の感触改善、樹脂組成物の機械物性調整といった物性を改善する効果が得られる。
【0022】
また、別の効果としては無機基板上にポリオレフィンの単分子膜を形成し、疎水性や絶縁性といった機能を無機基板に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、片末端シリル化ポリオレフィン[A]と、無機材料とから形成される有機無機ハイブリッド材料である。以下、本発明の有機無機ハイブリッド材料およびその製造法、並びに該有機無機ハイブリッド材料を含有する組成物、添加剤について、順番に説明する。
【0024】
<有機無機ハイブリッド材料>
本発明の有機無機ハイブリッド材料は、片末端シリル化ポリオレフィン[A]と、無機材料とから形成されるものである。
【0025】
片末端シリル化ポリオレフィン[A]
本発明に使用する片末端シリル化ポリオレフィン[A]は、下記一般式(1)の構造を有するものである。
【0026】
【化4】

【0027】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基またはケイ素含有基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。
【0028】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等の直鎖状または分岐状アルキル基; シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基; ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0029】
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
酸素含有基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられる。
【0030】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基等が挙げられる。
【0031】
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリルオキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0032】
ケイ素含有基としては、アルキルシリル基、アルケニルシリル基、アリールシリル基、アルキルシロキシ基、アルケニルシロキシ基、アリールシロキシ基、アルコキシシリル基、アリールオキシシリル基、アルコキシシロキシ基、アリールオキシシロキシ基等が挙げられる。
【0033】
また上記の炭化水素基、酸素含有基、およびケイ素含有基は、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。具体的には、これらの基の少なくとも一つの水素が、ハロゲン原子、酸素、窒素、ケイ素、リン、イオウを含む基で置換された基が含まれる。
【0034】
一般式(1)のRとしては、上記に挙げた原子または基のうち、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の原子または基であって、かつRのうち少なくとも1つが炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、なかでもRが全て同一の炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であることが更に好ましい。Rが炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であると、無機材料表面との反応性に富み、有機無機ハイブリッド材料を温和な条件で効率よく製造することができ、またRが複数の炭素数1〜4のアルコキシ基を有すると、無機材料表面とより強固な結合を形成することができる。
【0035】
上記一般式(1)中、Rは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖、または炭素数2〜50のオレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖である。
【0036】
炭素数2〜50のオレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘプテン、3,4−ジメチル−1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサンなどのα−オレフィン; シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、などの内部二重結合を含むオレフィン; イソブテン、2−メチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ヘキセン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−オクテン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,3,3−トリメチル−1−ペンテン、2,3,3−トリメチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−オクテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ヘキセン、2,3,4−トリメチル−1−オクテン、2,4,4−トリメチル−1−ヘキセン、2,4,4−トリメチル−1−オクテン、2−メチル−3−シクロヘキシル−1−プロピレン、ビニリデンシクロペンタン、ビニリデンシクロヘキサン、ビニリデンシクロオクタン、2−メチルビニリデンシクロペンタン、3−メチルビニリデンシクロペンタン、4−メチルビニリデンシクロペンタンなどのビニリデン化合物; スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのアリールビニル化合物; α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、2−メチル−3−フェニルプロピレンなどのアリールビニリデン化合物; メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、2−シアノプロピレン、2−アミノプロピレン、2−ヒドロキシメチルプロピレン、2−フルオロプロピレン、2−クロロプロピレンなどの官能基置換ビニリデン化合物; シクロブテン、シクロペンテン、1−メチル−1−シクロペンテン、3−メチル−1−シクロペンテン、2−メチル−1−シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、3−メチル−1−シクロヘキセン、2−メチル−1−シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン、3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1Hインデン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどの内部二重結合を含む脂肪族環状オレフィン; シクロペンタ−2−エニルベンゼン、シクロペンタ−3−エニルベンゼン、シクロヘキサ−2−エニルベンゼン、シクロヘキサ−3−エニルベンゼン、インデン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,4−ジヒドロナフタレン、1,4−メチノ1,4,4a,9aテトラヒドロフルオレンなどの芳香環を含有する環状オレフィン; ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,4−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエンなどの、二個以上の二重結合を有する環状ポリエンおよび二個以上の二重結合を有する鎖状ポリエンなどが挙げられる。
【0037】
また、オレフィンは、酸素、窒素、硫黄等の原子を含んだ官能基を有していてもよい。例えばアクリル酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの不飽和カルボン酸金属塩; 無水マレイン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物; アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、などの不飽和カルボン酸エステル; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類; アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジルエステル; 塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化アリルなどのハロゲン化オレフィン; アクリロニトリル、2−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エンなどの不飽和シアノ化合物; メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの不飽和エーテル化合物; アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和アミド; メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導体; N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。 上記のうち、Rとしては、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖、またはエチレン、プロピレン、ブテン、ビニルノルボルネン、二個以上の二重結合を有する環状ポリエンおよび二個以上の二重結合を有する鎖状ポリエンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖であることが好ましく、特にエチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖、またはエチレンとプロピレンとの共重合鎖が好ましい。
【0038】
上記一般式(1)中、Rの数平均分子量は、100〜500,000であることが好ましく、100〜100,000であることがより好ましい。これより基が短くなると、得られた有機無機ハイブリッド材料の樹脂中やオイル中における分散性、基板上の単分子膜の機能性が悪くなるし、長くなると添加剤としての性能が出難くなったり、基板上に膜が形成し難くなるので好ましくない。
【0039】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、またはヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。ハロゲン原子としては、前記Rと同様のものが挙げられ、炭化水素基としては、前記Rで例示したものと同様のアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。これらのうち、Rは、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることが更に好ましい。Rは典型的には、前記Rで示される重合鎖を構成するオレフィン単量体の残基である。
【0040】
また、シリル化ポリオレフィンを効率よく無機材料表面に結合させ、有機無機ハイブリッド材料を得るには、シリル化ポリオレフィンがポリマー鎖の片方の末端にのみシリル化官能基を有する片末端シリル化ポリオレフィンであることが好ましい。シリル化官能基が両末端に位置していたり、ポリマー鎖内部にシリル化官能基がある場合は、それらが反応して架橋構造を形成し、有機無機ハイブリッド材料の分散性を阻害したり、基板上の製膜性を阻害することがあるため好ましくない。
【0041】
片末端シリル化ポリオレフィン[A]の製造
本発明に用いる片末端シリル化ポリオレフィン[A]は、どのような方法によって製造されたものでも使用できるが、好ましくは下記の[工程1]および[工程2]を順次実施することにより得られたものである。
【0042】
[工程1]: 遷移金属触媒組成物(C)を得る工程
[工程1]では、下記一般式(2)で表されるヒドロシランとハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る。
【0043】
【化5】

【0044】
上記一般式(2)中、Rは前記一般式(1)で示したものと同様の原子または基を表す。
【0045】
ハロゲン化遷移金属としては、元素周期表第3族〜第12族の遷移金属のハロゲン化物であり、入手の容易さや経済性の点から好ましくは元素周期表第8族〜第10族の遷移金属のハロゲン化物であり、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、パラジウムのハロゲン化物である。さらに好ましくは白金のハロゲン化物である。また、二種以上のハロゲン化遷移金属の混合物であっても構わない。
【0046】
ハロゲン化遷移金属のハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、これらのうちでは取扱いの容易さの点で塩素が好ましい。
【0047】
[工程1]に使用するハロゲン化遷移金属の具体例としては、二塩化白金、四塩化白金、二臭化白金、二ヨウ化白金、三塩化ロジウム、三臭化ロジウム、三ヨウ化ロジウム、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、三臭化イリジウム、三ヨウ化イリジウム、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、三ヨウ化ルテニウム、三塩化オスミウム、三臭化オスミウム、三ヨウ化オスミウム、二塩化ニッケル、二フッ化ニッケル、二臭化ニッケル、二ヨウ化ニッケル、二塩化パラジウム、二臭化パラジウム、二ヨウ化パラジウムが挙げられ、これらのうちでは二塩化白金、二塩化パラジウム、三塩化ルテニウム、三塩化ロジウム、三塩化イリジウムが好ましく、二塩化白金が最も好ましい。
【0048】
[工程1]で用いるハロゲン化遷移金属は、通常、粉末状の固体であり、粒径は1000μm以下が好ましく、更には500μm以下が好ましい。粒径が大きくなると、遷移金属触媒組成物(C)の調製時間が長くなる。
【0049】
[工程1]におけるヒドロシランとハロゲン化遷移金属の使用量は、ヒドロシラン量がハロゲン化遷移金属に対し1当量以上であれば特に制限されないが、好ましくは2倍当量以上である。ヒドロシランの量が少ないと、触媒調製上必要な攪拌が困難になる。
【0050】
[工程1]におけるヒドロシランとハロゲン化遷移金属との混合攪拌は、これが可能であれば手段は問わないが、窒素気流下、攪拌機を備えた反応容器中にハロゲン化遷移金属を適当量仕込み、これにヒドロシランを添加して攪拌を行う。少量の場合はサンプル管にスターラーチップを入れ、同様に仕込んで攪拌しても良い。
【0051】
ヒドロシランとハロゲン化遷移金属との混合攪拌時間は、通常10時間以上であり、好ましくは20時間以上であり、より好ましくは60時間以上であり、更に好ましくは80時間以上である。反応時間が短いと、次の[工程2]で得られるシリル化ポリオレフィン[A]中の不純物である異性体のビニレン誘導体の生成割合が増大するため好ましくない。混合攪拌時間の上限は特に無いが、経済的な観点から概ね1ヶ月以内である。
【0052】
ヒドロシランとハロゲン化遷移金属との混合攪拌の温度は、ヒドロシランの沸点以下であれば特に制限は無いが、通常0〜50℃の範囲、好ましくは10〜30℃の範囲である。また圧力は、通常は常圧で行うことができるが、必要に応じて加圧下または減圧下で行うこともできる。
【0053】
[工程1]においては、必要に応じて溶媒を使用することもできる。使用する溶媒は、原料のヒドロシランおよびハロゲン化遷移金属に対して不活性なものが使用できる。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
【0054】
溶媒を使用する場合は溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料に対し100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20質量倍以下である。本発明では、無溶媒で実施することが最も好ましい。
【0055】
次に、反応で得られた懸濁溶液を濾過して固形分を除去し、濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る。濾過の方法としては特に制限はなく、自然濾過、加圧濾過、減圧濾過などの一般的な方法を用いることができる。濾過で使用するフィルターとしては特に制限はなく、セルロース製ろ紙、ガラス繊維フィルター、フッ素樹脂製やセルロースアセテート製のメンブランフィルターなどを適宜使用できるが、孔径の均一性、低吸湿性、化学的安定性などの点から、フッ素樹脂製メンブランフィルターを用いることが好ましい。また、濾過で使用するフィルターは10μmより小さな目のフィルターを使用することが好ましく、1μm以下の目のフィルターを使用することが更に好ましい。これより大きな目のフィルターを使用すると、未反応のハロゲン化遷移金属の固形分が触媒中に混入し、触媒が不均一化するため、合成目的物の不純物であるビニレン誘導体の生成量が増大する原因となる。また濾過の際、上記の溶媒を使用して固形分を洗浄することもできる。
【0056】
濾過で除去される固形分、すなわち未反応のハロゲン化遷移金属の量は、使用したハロゲン化遷移金属の量に対して通常50質量%以下、好ましくは10質量%以下である。ハロゲン化遷移金属の反応率は、主に調製時間によって調節することができる。
【0057】
このようにして調製した遷移金属触媒組成物(C)には、ナノコロイド状になった遷移金属化合物、ヒドロシラン、および必要に応じて使用した溶媒が含まれる。この遷移金属触媒組成物(C)は、そのままで次の[工程2]に用いることができるが、必要に応じて、溶媒の除去や、濃縮、希釈を行ってから、[工程2]に用いることもできる。また、前記一般式(2)のヒドロシランを添加して希釈し、触媒濃度を調整することもできる。
【0058】
[工程2]: 末端二重結合含有ポリオレフィンとヒドロシランとを反応させる工程
[工程2]では、前記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)の存在下、下記一般式(3)で表される末端二重結合含有ポリオレフィンと前記一般式(2)で表されるヒドロシランとを反応させ、前記一般式(1)の片末端シリル化ポリオレフィン[A]を得る。
【0059】
【化6】

【0060】
上記一般式(3)中、RおよびRは前記一般式(1)で示したものと同様のものを表す。
【0061】
また、[工程2]で用いる前記一般式(2)で表されるヒドロシランは、前記[工程1]で用いたヒドロシランと異なるものを用いることもできるが、好ましくは[工程1]で用いたものと同一のものを用いる。
【0062】
一般式(3)で表される末端二重結合含有ポリオレフィンと一般式(2)で表されるヒドロシランとを反応させる際の量比は、目的によって異なるが、末端二重結合含有ポリオレフィン中の末端二重結合とヒドロシラン中のSi−H結合との当量比として0.01〜10当量倍の範囲であり、好ましくは0.1〜2当量倍の範囲である。ここでヒドロシランの量は、前記[工程1]で用い、遷移金属触媒組成物(C)中に含まれる部分と、[工程2]で新たに追加する部分との合算量である。前記[工程1]において必要なヒドロシラン量の全量を用いた場合には、[工程2]ではヒドロシランを追加することなく実施することもできる。
【0063】
上記末端二重結合含有ポリオレフィンとヒドロシランとの反応は、前記[工程1]で調製した遷移金属触媒組成物(C)の存在下で行う。遷移金属触媒組成物(C)と末端二重結合含有ポリオレフィンとの量比は、末端二重結合含有ポリオレフィン中の末端二重結合と遷移金属触媒組成物(C)中の遷移金属分との当量比として、10−10〜10−1当量倍の範囲であり、好ましくは10−7〜10−3当量倍の範囲である。
【0064】
上記末端二重結合含有ポリオレフィンとヒドロシランとの反応における反応方法としては、最終的に反応すればよく、その方法は限定されるものではないが、例えば以下のように行う。反応容器中に上記末端二重結合含有ポリオレフィンを装入し、窒素雰囲気下、ヒドロシランと遷移金属触媒組成物(C)を装入し、これらの混合物を一定条件下で加熱攪拌して反応させる。反応終了後、反応混合物を後処理して片末端シリル化ポリオレフィンを取り出す。
【0065】
[工程2]における末端二重結合含有ポリオレフィンとヒドロシランとの反応は、反応温度を100〜200℃の範囲とすることが好ましく、反応させる末端二重結合含有ポリオレフィンの融点より高い温度で行うことがより好ましい。反応温度が100℃より低いと、反応効率が低下することがあるので好ましくない。反応時間は、反応条件にもよるが、通常1分〜100時間、好ましくは5分から50時間の範囲である。また圧力は、通常は常圧で行うことができるが、必要に応じて加圧下または減圧下で行うこともできる。
【0066】
[工程2]においては、必要に応じて溶媒を使用することもできる。使用する溶媒は、原料のヒドロシランおよび末端二重結合含有ポリオレフィンに対して不活性なものが使用できる。常圧下で反応させる場合、反応させる末端二重結合含有ポリオレフィンの融点以上の沸点を有するものを使用するのが好ましい。使用できる溶媒の具体例は、例えばn −ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらのうち、特にトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。
【0067】
溶媒を使用する場合は溶媒の使用量は原料の溶解性に作用するが、原料に対し100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20質量倍以下である。本発明では、無溶媒で実施することが最も好ましい。
【0068】
以上のように、遷移金属触媒組成物(C)の存在下、末端二重結合含有ポリオレフィンとヒドロシランとを反応させることにより、前記一般式(1)で表される片末端シリル化ポリオレフィン[A]を含む反応混合物が得られる。
【0069】
上記反応後の片末端シリル化ポリオレフィン[A]を含む反応混合物には、片末端シリル化ポリオレフィン[A]の他に、未反応の末端二重結合含有ポリオレフィン、副生物であるビニレン誘導体が含まれている。また場合によって、未反応のヒドロシランが含まれていることもある。
【0070】
上記の方法においては、[工程1]で得られた非常に高活性で高選択性の遷移金属触媒組成物(C)を用いるため、[工程2]の末端二重結合含有ポリオレフィンとヒドロシランとの反応が効率よく進行する。このため、末端二重結合含有ポリオレフィンの二重結合の反応率は、通常90%以上、好ましくは95%以上であり、副生物であるビニレン誘導体の生成量は、片末端シリル化ポリオレフィン[A]に対して、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0071】
片末端シリル化ポリオレフィン[A]は、上記反応混合物から、貧溶媒への再沈殿、またはスラッジングにより取り出すことができる。貧溶媒は片末端シリル化ポリオレフィン[A]の溶解度が小さいものであればよく適宜選択することができ、好ましくは上記不純物が除けるものが良い。貧溶媒として具体的には、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、酢酸エチル、n−ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられ、これらのうちではアセトン、メタノールが好ましい。
【0072】
上記一般式(1)で表される片末端シリル化ポリオレフィン[A]の具体例としては、以下の一般式(4)〜(6)で表される構造のものが好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0073】
【化7】

【0074】
【化8】

【0075】
【化9】

【0076】
(上記一般式中のm,n,o,pは4以上の整数を表し、XはOCH, OCHCH, Clの何れかを表す。)
【0077】
無機材料
本発明において、片末端シリル化ポリオレフィンと反応させる無機材料としては、粒状シリカ、フュームドシリカ、クレイ、タルク、フェライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、水酸化マグネシウムおよびヒドロキシアパタイト等の粒状もしくは粉状の無機酸化物や無機水酸化物; 板状ガラス、グラスファイバー、酸化インジウムスズ基板、および膜状酸化チタン等の板状もしくは繊維状の無機酸化物; 窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素等の粒状もしくは粉状の金属窒化物; または、シリコン基板が用いられる。
【0078】
これらの無機材料として具体的には、例えば、フュームドシリカ(シグマ社製)、シリカゲル(アルドリッチ社製)、酸化チタン(IV)ナノパウダー(アルドリッチ社製)、クレイ(コープケミカル社製)、タルク(浅田製粉社製)、シリコン基板(フェローテックシリコン社製)などの市販品を制限無く用いることができる。
【0079】
本発明の有機無機ハイブリッド材料を分散剤として使用する場合には、粒状または粉状の無機材料を用いることが好ましく、当該無機材料の平均一次粒子径が1〜100nmの範囲であることが好ましく、これらの無機材料のうち、無機酸化物を用いることが好ましく、粒状シリカまたはフュームドシリカを用いることがより好ましく、平均一次粒子径1〜20nmのフュームドシリカを用いることが最も好ましい。
【0080】
また、本発明の有機無機ハイブリッド材料を板状または繊維状の無機材料の表面改質剤として使用する場合には、無機材料としてグラスファイバー、板状ガラス、シリコン基板または酸化インジウムスズ基板が好ましく用いられ、特に鏡面状平滑な表面を有するシリコン基板が好ましく用いられる。
【0081】
有機無機ハイブリッド材料の製造
本発明の有機無機ハイブリッド材料は、前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]と前記無機材料とを、有機溶媒中で加熱反応させて得ることができる。加熱反応の際、必要に応じて各種触媒を適宜使用しても良い。
【0082】
以下、本発明の有機無機ハイブリッド材料を分散剤として使用する場合と、表面改質剤として使用する場合に分けて、それぞれに適した有機無機ハイブリッド材料の製造方法を説明する。
【0083】
・分散剤として使用する場合
本発明の有機無機ハイブリッド材料を分散剤として使用する場合、無機材料としては粒状または粉状のものを用いることが好ましい。使用する片末端シリル化ポリオレフィン[A]と粒状または粉状の無機材料との量比は、重量比で5:1〜1:5の範囲であり、好ましくは3:1〜1:3の範囲である。無機材料の量比が大きくなると樹脂やオイルに対する分散性が悪くなる場合があり、量比が小さくなると種々の機能効果が得られなくなる場合がある。上記の機能効果としては、樹脂の強度への影響、難燃性、ガス透過性等があり、オイルの感触改善、粘度への影響がある。
【0084】
有機無機ハイブリッド材料を製造する際の有機溶媒としては、反応させる前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]が溶解するものを使用するのが好ましい。使用できる溶媒の具体例は、例えばn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらのうち、片末端シリル化ポリオレフィン[A]の溶解性や無機材料との反応性の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が特に好ましい。また、有機溶媒の使用量は、原料の溶解性に作用するが、前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]の量に対して、100質量倍以下が好ましく、より好ましくは20質量倍以下の範囲である。
【0085】
有機無機ハイブリッド材料を製造する際に使用する触媒は、前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]と前記無機材料とが反応すればよく、使用、不使用、種類などに特に制限はないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のプロトン酸; アンモニア、有機アミン等の塩基; および、チタンアルコキシド等のルイス酸全般が挙げられる。材料への残留などの観点から、有機無機ハイブリッド材料の製造は無触媒で行うことが好ましいが、必要により触媒を使用する場合は、無機酸または有機酸を使用することが好ましい。
【0086】
触媒を使用する場合の使用量は、片末端シリル化ポリオレフィン[A]に対して、0.001〜2重量倍、好ましくは0.01〜0.5重量倍の範囲である。
【0087】
有機無機ハイブリッド材料を製造する際の反応温度は、前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]と前記無機材料とが反応すればよく特に制限はないが、反応時間や反応成績の観点から100〜200℃であることが好ましい。また、選択した片末端シリル化ポリオレフィン[A]の融点以上乃至溶媒の沸点以下の温度であることがより好ましい。また反応時間は、反応温度や溶媒量などの条件にもよるが、通常1分〜100時間、好ましくは5分から50時間の範囲である。
【0088】
反応終了後、貧溶媒に排出して粉体を沈殿させ、分散剤として使用できる本発明の有機無機ハイブリッド材料を取り出すことができる。この場合に使用する貧溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の中から、1種以上を適宜選択して用いることができる。
【0089】
また必要に応じて、得られた有機無機ハイブリッド材料を適当な溶媒によって洗浄する等の方法により更に精製することもできる。
【0090】
以上述べた方法により、粒状または粉状の無機材料から製造された有機無機ハイブリッド材料には、片末端シリル化ポリオレフィン[A]と無機材料とから形成された有機無機ハイブリッドポリマーが含まれている。具体的には、末端シリル基と無機材料の表面の反応性基とが反応し、共有結合で結合された有機無機ハイブリッドポリマーが含まれている。
【0091】
上記の有機無機ハイブリッドポリマーにおいて、片末端シリル化ポリオレフィン[A]に由来するポリマー鎖と無機材料とが直接結合していることは、片末端シリル化ポリオレフィン[A]の溶解温度における前記溶媒で洗浄を行い、無機材料の表面に残留していることで確認できる。無機材料の表面におけるポリマー鎖は原子間力顕微鏡(AFM)等を使用しても観察できる。
【0092】
本発明の粒状または粉状の無機材料から製造された有機無機ハイブリッド材料中の、片末端シリル化ポリオレフィン[A]と無機材料とから形成された有機無機ハイブリッドポリマーの含有量は、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上である。本発明の有機無機ハイブリッド材料中には、前記有機無機ハイブリッドポリマーの他に、未反応の原料である片末端シリル化ポリオレフィン[A]および/または無機材料、使用した溶媒の残留分や副生成物が含まれていても良い。
【0093】
本発明の有機無機ハイブリッド材料は、分散剤用途の場合、平均一次粒子径が5〜100nm、好ましくは5〜50nmの範囲にある。この範囲にあると、分散媒に対する分散性の点で好ましい。
【0094】
・表面改質剤として使用する場合
本発明の有機無機ハイブリッド材料を表面改質剤として使用する場合、無機材料としては板状または繊維状のものを用いることが好ましい。使用する片末端シリル化ポリオレフィン[A]と板状または繊維状の無機材料との量比は、無機材料の表面積が片末端シリル化ポリオレフィン[A]で覆われればよく、無機材料の表面積の1cmに対して1×10−10mol〜1×10−5molの範囲であり、好ましくは無機材料の表面積の1cmに対して7×10−10mol〜1×10−7molの範囲である。無機材料の量比が大きくなると表面に充分なポリマー鎖の被覆ができなくなり、量比が小さくなると単層分子の表面被覆が困難になり、目的の機能効果が得られない場合がある。上記の機能効果としては、無機材料表面における撥水性、絶縁性等への影響がある。
【0095】
また、片末端シリル化ポリオレフィン[A]をシリコン基板の表面と反応させて被覆する場合には、表面の有機物汚染を除去し末端シリル基と反応する水酸基を表面に形成させるため、シリコン基板表面を前処理する必要がある。前処理の方法としては、例えば硝酸と過酸化水素水との混合溶液などの酸による洗浄のほか、真空紫外光(172nm)照射とオゾンを用いる洗浄方法など、公知の方法を適宜用いることができる。
【0096】
表面改質剤として使用する有機無機ハイブリッド材料を製造する際の有機溶媒の種類および量、反応温度並びに反応時間は、上記の分散剤として使用する場合の製造法と同様である。
【0097】
反応終了後、必要に応じて、加熱下に有機無機ハイブリッド材料の表面を溶媒で洗浄する等の方法により精製することもできる。この場合に使用する溶媒は、上記の製造時の有機溶媒と同様のものを用いることができる。
【0098】
なお、本発明の板状または繊維状の無機材料から製造された有機無機ハイブリッド材料中には、未反応の原料である片末端シリル化ポリオレフィン[A]および/または無機材料、反応に使用した溶媒の残留分や副生成物が含まれていても良い。
【0099】
以上述べた方法により、板状または繊維状の無機材料から製造された有機無機ハイブリッド材料は、板状または繊維状の無機材料の表面上に片末端シリル化ポリオレフィン[A]が反応して積層し、一種の分子膜を形成している。このため、当該無機材料の表面に、絶縁性、撥水性等の機能を付与することができる。
【0100】
無機材料表面上の片末端シリル化ポリオレフィン[A]の積層量は、無機材料表面が覆われていれば良く特に制限は無いが、通常1平方センチメートル当たり0.1μg以上、好ましくは1μg以上である。また、分子膜の膜厚としてみれば、通常膜厚が2nm以上、好ましくは2.5nm以上である。この条件では種々の機能、例えば絶縁性や撥水性の点で好ましい。
【0101】
<有機無機ハイブリッド材料組成物>
本発明の有機無機ハイブリッド材料組成物は、前記有機無機ハイブリッド材料が分散媒中に分散してなる組成物である。
【0102】
有機無機ハイブリッド材料を分散させる分散媒としては、ジメチコン、ポリシロキサンなどのシリコンオイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミドなどの樹脂、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタンなどの非水溶性溶媒、流動パラフィン、植物性油脂、動物性油脂、エラストマーなどのオイルが挙げられる。これらのうち、特にジメチコンなどのシリコンオイルに分散させたものは例えば化粧品などの感触改善剤として有用であり、ポリエチレンやポリプロピレンなどの樹脂類に分散させたものは例えばその材料の改質剤として有用である。また、特にポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂に分散させたものは、例えばフィルムなどに成型することができ、例えば引張物性に対し降伏点を無くし、エラストマー様の物性を付与することができる。また、無機材料を均一に分散させることで、難燃性や撥水性を付与するすることができる。
【0103】
本発明の有機無機ハイブリッド材料組成物中、前記有機無機ハイブリッド材料は、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の量で分散させることが好ましい。これより含量が小さければ効果が得られない場合があり、大きければ有機無機ハイブリッド材料組成物の性質を阻害する場合がある。有機無機ハイブリッド材料の分散量は、得られる組成物の用途等によっても適宜設計することができ、例えば、化粧品用途の場合はジメチコンに有機無機ハイブリッド材料を1〜10重量%分散させたものが有用である。
【0104】
<有機無機ハイブリッド材料を含有する樹脂添加剤およびオイル添加剤>
本発明の有機無機ハイブリッド材料は、樹脂添加剤またはオイル添加剤としても好適に使用できる。具体的には樹脂の表面改質剤、疎水化剤、撥水化剤、親水化剤、離型剤、剥離剤、強化剤、硬質化剤、軟質化剤、難燃剤、相溶化剤、滑剤などや、オイルのゲル化剤、固化剤、増粘剤、改質剤、乳化剤、感触改善剤、保水剤、撥水剤などとして使用することができる。添加剤の対象とできる樹脂は例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミドなどの樹脂が挙げられる。対象とできるオイルは例えばジメチコン、ポリシロキサンなどのシリコンオイル、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタンなどの非水溶性溶媒、流動パラフィン、植物性油脂、動物性油脂、エラストマーなどが挙げられる。
【0105】
具体的な用途としては、高屈折率材料、高誘電率材料、難燃性材料、ガスバリア性材料、電波吸収材料などが挙げられる。
【0106】
本発明の有機無機ハイブリッド材料を樹脂添加剤またはオイル添加剤として使用する場合の配合量は、0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。配合の方法には特に制限は無く、通常用いられる一般的な方法を行うことができる。
【実施例】
【0107】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0108】
〔測定および計算方法〕
分子量、融点(Tm)、粒子径、収率、転化率および異性化率、膜の厚み、水接触角、結晶性、表面形状と粗さ等は以下に記載の方法で測定・計算した。
【0109】
[m1]分子量の測定方法
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150を用い以下のようにして測定した。すなわち、分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径7.5mm、長さ300mmのものを使用した。カラム温度は140℃とし、移動相にはオルトジクロロベンゼン(和光純薬)及び酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025質量%を用い、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は0.1質量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとした。検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは東ソー社製を用いた。
【0110】
[m2]融点の測定方法
融点(Tm)はDSCを用い測定して得られたピークトップ温度を採用した。装置は島津製作所製DSC−60Aを使用した。対照セルはアルミナを使用し、窒素流量は50ml/分の設定で行った。また10℃/分で300℃までの昇温条件で測定した。
【0111】
[m3]NMR解析による収率、転化率、異性化率、末端不飽和率、炭素千個あたりの二重結合数の測定・計算方法
片末端シリル化ポリオレフィン[A]の収率、転化率、異性化率、末端不飽和率、炭素千個あたりの二重結合数はH−NMRによって決定される。収率は原料の末端二重結合含有重合体のモル数に対して得られた片末端シリル化ポリオレフィン[A]のモル数の割合、転化率は原料の末端二重結合含有重合体のモル数に対する同消費モル数の割合、異性化率は原料の末端二重結合含有重合体のモル数に対して生成したビニレン体のモル数の割合、末端不飽和率は末端二重結合と末端メチルの合計に対する末端二重結合の割合、炭素千個あたりの二重結合数はプロトン数から導き出される炭素数に対する二重結合数の割合を炭素千個あたりの二重結合数に補正したものと定義される。
【0112】
例えば、エチレンのみからなる末端二重結合含有重合体をトリエトキシシランでヒドロシリル化して得られた片末端シリル化ポリオレフィン[A]のエトキシ基メチレンの6プロトン分のピーク(C)が3.8ppm、異性化したビニレン基の2プロトン分のピーク(D)が5.4ppmに観測される。ヒドロシリル化が十分でない場合は、未反応ビニル基の2プロトン分のピーク(E)が4.8〜5.1ppmに、1プロトン分のピーク(F)が5.6〜5.8ppmに観測される。原料の二重結合含有重合体については、2プロトン分の主鎖メチレン(G)が1.0〜1.5ppmに観測され、末端に二重結合を持たないものは3プロトン分の末端メチル(H)が0.8ppmに観測される。さらに二重結合に隣接した炭素上の2プロトン分のピーク(I)が1.9ppmに観測される。
【0113】
各ピーク(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)および(I)のピーク面積を各々SC、SD、SE、SF、SG、SHおよびSIとすれば、収率(YLD(%))、転化率(CVS(%))、異性化率(ISO(%))、末端不飽和率(VE(%))、炭素千個あたりの二重結合数(VN(個/1000C))は下記式にて算出される。
YLD(%)=(SC/3)/(SC/3+SD+SE)×100
CVS(%)={1−SE/(SC/3+SD+SE)}×100
ISO(%)=SD/(SC/3+SD+SE)×100
VE(%)=(SE/2)/(SE/2+SH/3)×100
VN(個/1000C)=(SE+SF)/3×1000/{(SD+SE+SF+SG+SH+SI)/2}
【0114】
[m4]粒子径の測定方法
粒状または粉状無機材料の粒子径は日本電子社製透過型電子顕微鏡(JEM−2200FS)を使用し、15万倍と50万倍の倍率で画像を得た。倍率に応じた装置のスケール機能によって直接粒子の画像にスケールをあて、粒子計を測定した。
【0115】
[m5]膜の厚みの測定方法
基板上に形成された膜の厚みはX線反射率測定により求めた。測定にはリガク製R−AXIS IIを使用し、Cu−Kα線を用い、計測ステップは0.05°で2θ範囲が0.2°〜10°のθ・2θ走査をおこなった。1ステップ(0.05°)ごとには100秒間の積算をおこなった。測定には試料サイズは縦40mm×横40mm×厚み0.5mmのシリコンウェハー上に形成した膜を用いた。
【0116】
[m6]水接触角の測定方法
基板上に形成された膜表面の水接触角の測定には協和界面科学製Model CA−Xを使用した。測定では試料表面に0.5μlの蒸留水を滴下し、その水滴の接触角度を5点測定し、最大値と最小値を除く3点の平均値より求めた。測定には、縦10mm×横30mm×厚み0.5mmのシリコンウェハー上に形成した膜を用いた。なお、親水性の良い表面では水は表面に濡れ広がってしまうためその接触角を正確に計測することが難しく、ここでは測定値として2°以下と表記する。
【0117】
[m7]結晶性の測定方法
基板上に形成された膜の結晶性は全反射赤外吸収分光測定により評価した。測定にはPerkinElmer製Spectrum Oneを使用し、ブリュースター角を73〜74°に設定し、2800cm−1〜3000cm−1の範囲を分解能が0.5cm−1で積算回数が1024回にて測定をおこなった。測定データはCH2伸縮振動による吸収ピーク位置の位置から結晶性の評価をおこなった。メチレン鎖の伸縮振動による吸収ピークの位置が結晶とアモルファスで異なり、結晶性の場合は2848cm−1と2916cm−1、アモルファスの場合は2857cm−1と2927cm−1に吸収ピークが見られることから、この吸収ピークの位置から結晶性かアモルファスかを評価した。測定には縦15mm×横40mm×厚み2mmのシリコンウェハー上に形成した膜を用いた。
【0118】
[m8]表面形状と粗さの観察方法
基板上に形成された膜の表面形状と粗さは原子間力顕微鏡観察により評価した。原子間力顕微鏡はVeeco社製NanoScopeIIIaを用い、探針にはVeeco社のシリコン製カンチレバーNCHV(バネ定数42N/m、共振周波数320KHz)を用いた。タッピングモードにて表面形状の観察をおこない、その観察像から表面粗さを評価した。測定には縦10mm×横10mm×厚み0.5mmのシリコンウェハー上に形成した膜を用いた。
【0119】
[m9]引張強度の試験方法
引張強度は引張試験機により評価した。引張試験機は、島津製作所社製;EZ−S 100N型を用いた。試験対象のフィルムを、全体長さ50mm、つかみ部分巾10mm、試験片部分巾5mm、試験片部分長さ30mmのダンベル型に打抜いた。この試験フィルムを引張試験のチャックにはさみ、30mm/分の速度で試験を行った。
【0120】
〔使用原料〕
実施例、比較例に使用した原料については、以下のものを使用した。
(1)塩化白金(試薬): アルドリッチ社製
(2)トリエトキシシラン(試薬): 関東化学社製
(3)片末端ビニルを有するポリエチレン(P−1): 三井化学社製(Mw:1445、Mn:730、Mw/Mn:1.98、密度:961kg/m、融点:116℃、末端不飽和率:96.3%のポリエチレン)
(4)複数の官能末端を有する二重結合含有重合体(P−2): 三井化学社製(Mw:7760、Mn:3320、Mw/Mn:2.34.密度:900kg/m、融点:136℃、不飽和結合数:5.5個/千炭素数のエチレン−プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンモル比:3/97))
【0121】
[合成例1] 白金触媒組成物(C−1)の調製
塩化白金(II)0.50gをトリエトキシシラン(10ml)中に懸濁し、室温下で攪拌した。160時間攪拌した後、シリンジにて反応液を約0.4ml採取し、0.45μmPTFEフィルターを用いて固形分を濾過した。得られた濾液をピペッターにて10μm秤取った後、トリエトキシシラン1.99mlを加えて200倍に希釈し、白金触媒組成物(C−1)を得た。
【0122】
[実施例1] ポリエチレン−シリカの有機無機ハイブリッドポリマー、およびその分散液
50mlの2ツ口フラスコに片末端ビニルを有するポリエチレン(P−1) 20gを装入し、窒素雰囲気下、トリエトキシシラン 5.08mlと合成例1で調製した白金触媒組成物(C−1) 300μlを装入した。予め内温130℃に昇温しておいたオイルバス中に、上記反応器をセットし攪拌した。約3分後、ポリマーは融解した。オイルバス温度130℃でそのまま6時間攪拌した後、冷却し、メタノール約1Lを挿入し、2Lビーカーに内容物を取り出し2時間攪拌した。その後、固体をろ取し、更にメタノールで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)の白色固体21.9gを得た。NMR解析の結果、得られた片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)は収率91%、オレフィン転化率100%、異性化率9%だった。
【0123】
得られた片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)20g、フュームドシリカ(SIGMA製;平均粒子径7nm)8.4gおよびキシレン400mlをフラスコ中に入れて分散させ、更に酢酸4mlを添加した。次いで、予め内温160℃に昇温しておいたオイルバス中に上記フラスコをセットして昇温した。キシレンの還流下に2時間攪拌した後、冷却し、アセトン3L中に排出して再沈殿させた。濾過後、固形分をアセトン1Lで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、白色固体状の有機無機ハイブリッドポリマー26.3gを得た。NMR解析の結果、得られた有機無機ハイブリッドポリマーは収率93%、転化率92%だった。粒子のTEM観察により、粒径約20nmの一次粒子が観察された(図1)。
【0124】
また、得られた有機無機ハイブリッドポリマーを用いて、濃度1、2、5重量%のキシレン溶液を調製し、サンプル管中に挿入し、120℃のオイルバス中に浸けた。有機無機ハイブリッドポリマーは一旦溶解し、室温で放冷すると有機無機ハイブリッドポリマー粒子の分散液が得られた。分散液は沈殿も凝集もすることなく分散状態を保った(図2)。
【0125】
[実施例2]
キシレンに替えてシリコンオイル(エドワーズ社製;ウルトラグレード19)を用いた以外は実施例1と同様に操作して有機無機ハイブリッドポリマー粒子の分散液を得た。分散液は沈殿も凝集もすることなく分散状態を保った。
【0126】
[実施例3]
キシレンに替えて流動パラフィン(和光純薬製)を用いた以外は実施例1と同様に操作して有機無機ハイブリッドポリマー粒子の分散液を得た。分散液は沈殿も凝集もすることなく分散状態を保った。
【0127】
[比較例1] フュームドシリカの分散液
実施例1で使用したフュームドシリカを用いて、濃度1、2、5重量%のキシレン溶液を調製し、サンプル管中に挿入し、実施例1と同様に操作してシリカ粒子の分散液を得た。分散液は経時的に分離し沈殿した(図3)。
【0128】
実施例1〜3および比較例1から明らかなように、キシレン中で分離沈殿してしまうフュームドシリカを片末端シリル化ポリオレフィンと反応させて本発明の有機無機ハイブリッド材料とすることにより、安定的な分散状態を保つ分散液が得られる。
【0129】
[比較例2] 複数のシリル末端を有する重合体のハイブリッドポリマー、およびその分散液
200mLフラスコに、複数の官能末端を有する二重結合含有重合体(P−2)(ポリプロピレンの分解オリゴマー)40g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 22.3mL、トルエン 100mLを仕込み、100℃で撹拌しながら重合体を完全に溶解させた。ついで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 550mgを添加して、100℃で7時間撹拌した。その後アセトン水溶液を加え、反応生成物を晶析させ、固体をろ取した。得られた固体をメタノール水溶液、メタノール、アセトンで各1回撹拌洗浄した後、固体をろ取した。その後、60℃にて減圧下で乾燥させることにより、反応生成物の固体39.4gを得た。原料のオレフィンの転化率は100%だった。
【0130】
上記で得られた反応生成物の固体20g、フュームドシリカ(SIGMA製;平均粒子計7nm)8.4gおよびキシレン400mlをフラスコ中に入れて分散させ、更に酢酸4mlを添加した。次いで、予め内温160℃に昇温しておいたオイルバス中に上記フラスコをセットして昇温した。キシレンの還流下に2時間攪拌した後、冷却し、アセトン3L中に排出して再沈殿させた。濾過後、固形分をアセトン1Lで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、白色固体状のポリマー26.3gを得た。
【0131】
また、得られたポリマーを用いて、濃度1、2、5重量%のキシレン溶液を調製し、サンプル管中に挿入し、120℃のオイルバス中に浸けた。ポリマーは一旦溶解し、室温で放冷するとポリマーはゲル状になって不均一になった(図4)。
【0132】
比較例2から明らかなように、片末端ではない、複数の官能性末端を有するシリル化ポリオレフィンを用いて有機無機ハイブリッド材料を形成すると、架橋構造によって安定な分散系を形成することが困難となる。
【0133】
[実施例4] ポリエチレン−シリカの有機無機ハイブリッドポリマー含有ポリプロピレン(1)
200mlの2ツ口フラスコ中に、実施例1で作製した有機無機ハイブリッドポリマー1.0g、ポリプロピレン(プライムポリマー社製;J715M)9.0gおよびキシレン100mlを入れて分散させ、130℃のオイルバス中に浸けた。混合物は一旦溶解した。オイルバス温度130℃でそのまま1時間攪拌した後、冷却し、アセトン1.5L中に排出してポリマーを再沈殿させた。濾過後、固形分をアセトン0.3Lで洗浄し、60℃、2hPa以下の減圧下で乾燥させることにより、白色固体状のポリマー混合物9.9gを得た。
【0134】
マイクロコンパウンダー(DSM社製)を使用し、上記で得られたポリマー混合物からフィルムを作製した。この結果、厚さ100μm、巾3cmのフィルムが得られた。得られたフィルムの水接触角を自動接触角計(FACE社製;CA−V型)にて測定したところ、103°であった。また、フィルムの機械物性を測定したところ、降伏点が見られず、弾性率0.39GPa、破断点歪み277%、破断点応力12.0MPaだった。
【0135】
[実施例5] ポリエチレン−シリカの有機無機ハイブリッドポリマー含有ポリプロピレン(2)
有機無機ハイブリッドポリマーを0.5g、ポリプロピレンを9.5gに変えたほかは実施例4と同様に操作した。この結果、白色固体状のポリマー混合物は9.9g得られた。
【0136】
得られたポリマー混合物からフィルムを作製し、厚さ120μm、巾3cmのフィルムが得られた。得られたフィルムの水接触角を測定したところ、103°であった。また、フィルムの機械物性を測定したところ、降伏点応力11.0MPa、弾性率0.48GPa、破断点歪み408%、破断点応力10.2MPaだった。
【0137】
[比較例3]
有機無機ハイブリッドポリマーを混合せず、ポリプロピレンのみを実施例4と同様に操作した。得られたポリプロピレンからフィルムを作製し、厚さ60μm、巾3cmのフィルムが得られた。得られたフィルムの水接触角を測定したところ、89°であった。また、フィルムの機械物性を測定したところ、降伏点応力12.7MPa、弾性率0.53GPa、破断点歪み460%、破断点応力17.9MPaだった。
【0138】
実施例4,5と比較例3から明らかなように、ポリマー中に有機無機ハイブリッドポリマーを混合すると、表面の水接触角向上に効果があり、表面剥離剤の効果が期待できる。また、機械物性に降伏点が見られなくなるなどエラストマー様の効果が発現し、材質の改質に効果がある。
【0139】
[実施例6] 無機基板上への薄膜の形成
片末端シリル化ポリオレフィン[A]の薄膜を製膜する基板としてシリコンウェハー(フェローテックシリコン、(100)−Bドープ)を用い、それぞれX線反射率測定用には縦40mm×横40mm×厚み0.5mm、全反射赤外吸収分光測定用には縦20mm×横40mm×厚み2mm、原子間力顕微鏡測定用には縦10mm×横10mm×厚み0.5mmのサイズのものを用いた。
【0140】
上記の各測定に供する各シリコンウェハーは、製膜処理前に表面洗浄装置(ウシオ電機、フォトクリエーター PC−10)を用い、真空紫外光(172nm)照射とオゾンによる洗浄処理を行った。洗浄処理後のシリコンウェハーの水の接触角は2°以下であり、X線光電子分光(アルバック・ファイ、APEX)による組成分析においても表面の汚染がないことを確認した。
【0141】
脱水トルエン(和光)に、実施例1で調製した片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)を1g/Lの濃度になる量で混合し、100℃で30分間加熱し片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)の希釈溶液(以下、希釈溶液)を調製した。
【0142】
この1g/L濃度の希釈溶液中に、表面洗浄装置で洗浄した上記のシリコンウェハーを浸漬して、100℃で120分間加熱し、シリコンウェハー表面と片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)のアルコキシル基を反応させた。
【0143】
反応処理後に希釈溶液から取り出したシリコンウェハーは、減圧下(0.005MPa)において130℃で60分間乾燥処理をおこなった後、さらに脱水トルエン中に浸漬して100℃で60分間加熱し、シリコンウェハー表面と結合していない片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)を除去した。除去処理後の片末端シリル化ポリオレフィン(A−1)の薄膜が形成されたシリコンウェハーは、減圧下(0.005MPa)において130℃で60分間乾燥処理をおこなった。
【0144】
得られた薄膜は、膜厚が2.6〜3.0nm、表面粗さが0.7〜1.0nm、水接触角が98.1°であった。また、全反射赤外吸収分光スペクトルにおいては、2857cm−1と2927cm−1に吸収ピークが見られたことからアモルファス構造であることがわかった。
【0145】
また、基板として用いたシリコンウェハーの表面粗さは0.15〜0.2nm、水接触角は2°以下であった。
【0146】
[比較例4]
オクタデシルトリクロロシラン(OTS): CH(CH17SiCl(GELEST)のLangmuir−Blodgett膜(OTS−LB膜)をシリコンウェハー上に作製した。OTS−LB膜を製膜するシリコンウェハーは、実施例6と同様にそれぞれX線反射率測定用には縦40mm×横40mm×厚み0.5mm、全反射赤外吸収分光測定用には縦20mm×横40mm×厚み2 mm、原子間力顕微鏡測定用には縦10mm×横10mm×厚み0.5mmのサイズのものを用いた。
【0147】
脱水トルエンにOTSを溶解して 5mmol/Lの希釈溶液を作製し、LB装置(KSV、Minitrough 2)を用いてOTS−LB膜を作製した。LB膜は、表面圧が35mN/mに達したところでシリコンウェハーを垂直に引き上げ作製した。
【0148】
作製したOTS−LB膜は、膜厚が1.8〜2.3nm、表面粗さが0.2〜0.4nm、水接触角が108.6°であった。また、全反射赤外吸収分光測定では2848cm−1と2916cm−1に吸収ピークが見られ、結晶性の構造であることがわかった。
【0149】
[比較例5]
オクタデシルトリメトキシシラン(OTMS):CH(CH17Si(OCH(GELEST)の薄膜(OTMS−CVA膜)を化学気相吸着法(Chemical vapor deposition:CVA)によりシリコンウェハー上に作製した。OTMS−CVA膜を製膜するシリコンウェハーは、実施例6と同様にそれぞれX線反射率測定用には縦40mm×横40mm×厚み0.5mm、全反射赤外吸収分光測定用には縦20mm×横40mm×厚み2mm、原子間力顕微鏡測定用には縦10mm×横10mm×厚み0.5mmのサイズのものを用いた。
【0150】
OTMS 1mlとシリコンウェハーをテフロン(登録商標)製容器に入れ、150℃で2時間反応させることでOTMS−CVA薄膜を作製した。
【0151】
作製したOTMS−CVA膜は、膜厚が1.4〜1.6nm、表面粗さが0.15〜0.2nm、水接触角が102.6°であった。また、全反射赤外吸収分光測定においては、2857cm−1と2927cm−1に吸収ピークが見られたことからアモルファス構造であることがわかった。
【0152】
実施例6と比較例4、5から明らかなように、シリコン基板に片末端シリル化ポリオレフィンの単分子膜を形成した場合は、膜厚が大きくなる。これにより、表面の絶縁性向上等の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の有機無機ハイブリッド材料は、樹脂添加剤やオイル添加剤として、また無機基板の表面改質に好適に使用できるため、工業的に極めて価値がある。
【0154】
例えば本発明の有機無機ハイブリッド材料として、ポリエチレン−フュームドシリカハイブリッド材料をシリコンオイルに使用した場合、シリコンオイルの増粘、ゲル化に優れる効果が得られ、感触改善剤またはゲル化剤などの用途に用いることができ、また、同材料をポリエチレンに使用した場合、樹脂物性に影響を与えることができ、樹脂改質剤などの用途に広く用いることができる。更には、ポリエチレン−シリコン基板材料の場合は表面の絶縁性や撥水性に効果が得られ、表面改質に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】実施例1で調製した有機無機ハイブリッド材料粒子のTEM画像である。
【図2】実施例1で調製した有機無機ハイブリッド材料を所定濃度でキシレンに分散させたものの写真である。
【図3】比較例1で調製したフュームドシリカのキシレン分散液の写真である。
【図4】比較例2で調製したポリマーを所定濃度でキシレンに分散させたものの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される片末端シリル化ポリオレフィン[A]と、無機材料とから形成される有機無機ハイブリッド材料。
【化1】

(式中Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、またはケイ素含有基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また炭化水素基、酸素含有基、ケイ素含有基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。また、式中Rは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖または炭素数2〜50のオレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖であって、数平均分子量が100〜500,000である基を表す。また、式中Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、炭化水素基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)
【請求項2】
前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]が、下記の[工程1]および[工程2]を順次実施することにより得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の有機無機ハイブリッド材料。
[工程1]下記一般式(2)で表されるヒドロシランとハロゲン化遷移金属とを混合攪拌し、得られた懸濁溶液を濾過して濾液として遷移金属触媒組成物(C)を得る工程、
[工程2]前記[工程1]で得られた遷移金属触媒組成物(C)の存在下、下記一般式(3)で表される末端二重結合含有ポリオレフィンと一般式(2)で表されるヒドロシランとを反応させる工程。
【化2】

(式中Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、またはケイ素含有基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、また炭化水素基、酸素含有基、ケイ素含有基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)
【化3】

(式中Rは、エチレン単独重合鎖、プロピレン単独重合鎖または炭素数2〜50のオレフィンからなる群から選択される2種以上のオレフィンの共重合鎖であって、数平均分子量が100〜500,000である基を表す。また、式中Rは、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、炭化水素基は1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。)
【請求項3】
前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]のRが、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルコキシ基およびフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の原子または基であって、かつRのうち少なくとも1つが炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項4】
前記片末端シリル化ポリオレフィン[A]のRが、全て同一の炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子であることを特徴とする請求項3に記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項5】
前記無機材料が、粒状シリカ、フュームドシリカ、クレイ、タルク、フェライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、水酸化マグネシウムおよびヒドロキシアパタイトからなる群から選ばれる粒状もしくは粉状の無機酸化物もしくは無機水酸化物; 板状ガラス、グラスファイバー、酸化インジウムスズ基板、および膜状酸化チタンからなる群から選ばれる板状もしくは繊維状の無機酸化物; 窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素からなる群から選ばれる粒状もしくは粉状の金属窒化物; または、シリコン基板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項6】
前記無機材料が、平均一次粒子径1〜20nmのフュームドシリカであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項7】
前記無機材料が、末端シリル基と反応する水酸基を表面に形成したシリコン基板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項8】
有機溶媒中、溶解状態の片末端シリル化ポリオレフィン[A]と無機材料とを反応して得られることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項9】
前記有機無機ハイブリッド材料が、平均一次粒子径5〜100nmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料が、分散媒中に0.1〜20重量%分散してなることを特徴とする有機無機ハイブリッド材料組成物。
【請求項11】
前記分散媒が、ジメチコン、ポリシロキサンなどのシリコンオイル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミドなどの樹脂、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタンなどの非水溶性溶媒、流動パラフィン、植物性油脂、動物性油脂、エラストマーなどのオイルからなる群から選択される1種以上の分散媒であることを特徴とする請求項10に記載の有機無機ハイブリッド材料組成物。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料を含有することを特徴とする樹脂添加剤。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド材料を含有することを特徴とするオイル添加剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−70673(P2010−70673A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240667(P2008−240667)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】