説明

有機発光素子およびその製造方法

本発明は、基板;透明負極;正極;および前記透明負極と前記正極との間に位置する有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層は発光層およびn−型ドーピングされた電子輸送層を含み、前記n−型ドーピングされた電子輸送層は電子輸送材料およびn−型ドーパントを含み、前記負極と発光層との間に位置することを特徴とする有機発光素子およびその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子およびその製造方法に関し、より具体的には、透明金属酸化物のような高仕事関数材料からなる透明電極を負極として用いることができる有機発光素子およびその製造方法に関する。
【0002】
本出願は2008年10月1日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2008−0096732号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
有機発光素子(OLED)は、通常、2つの電極(正極および負極)およびこれらの電極の間に位置する1層以上の有機物層からなる。このような構造の有機発光素子において、2つの電極の間に電圧を印加すれば、正極からは正孔が、負極からは電子が各々有機物層に流入し、これらが再結合して励起子を形成し、この励起子が再び基底状態に落ちて、エネルギ差に該当する光子を放出するようになる。このような原理によって有機発光素子は可視光線を発生し、これを利用して情報表示素子または照明素子を製造することができる。
【0004】
有機発光素子において、有機物層から生成された光が基板方向に出るようにしたものをボトムエミッション(bottom emission)方式といい、これとは逆に光が基板の反対方向に出るようにしたものをトップエミッション(top emission)方式という。基板方向と基板の反対方向の全てから光が出るようにしたものをボースサイドエミッション(both−side emission)方式という。
【0005】
トップエミッションまたはボースサイドエミッション有機発光素子においては、基板と接しないで基板の反対側に位置する電極が可視光線領域において透明でなければならない。有機発光素子においては、透明電極としてIZO(indium zinc−oxide)またはITO(indium tin−oxide)のような導電性酸化膜が用いられる。しかし、前記のような導電性酸化膜は仕事関数が非常に高いため、これを用いて負極を形成する場合、負極から有機物層への電子注入が難しくなって有機発光素子の作動電圧が大きく増加し、発光効率などの重要な素子特性が低下する。したがって、トップエミッションまたはボースサイドエミッション有機発光素子を基板、負極、有機物層および透明正極が順次積層された構造、いわゆる逆構造(inverted)で製造する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願第10−2008−0096732号明細書
【特許文献2】韓国特許公開第2003−0067773号明細書
【特許文献3】米国特許第5,645,948号明細書
【特許文献4】国際公開第05/097756号
【特許文献5】特願2007−39405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ボースサイドエミッション型有機発光素子を製作する場合には、有機発光素子を逆構造で製造しても、基板に接する負極の材料として透明材料である仕事関数の高い導電性酸化膜を用い難いという問題がある。そこで、逆構造の有機発光素子において、上部電極である正極だけでなく、基板に接する負極を導電性酸化膜(Conducting Oxide)のような透明材料で形成する方法が求められる。
【0008】
したがって、本発明は、逆構造の有機発光素子において、正極だけでなく、負極として、透明金属酸化物のような高仕事関数材料からなる透明電極を用いることができる有機発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板;前記基板上に位置した透明負極;正極;および前記透明負極と前記正極との間に位置する有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層は発光層およびn−型ドーピングされた電子輸送層を含み、前記n−型ドーピングされた電子輸送層は電子輸送材料およびn−型ドーパントを含み、前記透明負極と発光層との間に位置することを特徴とする有機発光素子を提供する。
【0010】
本発明は、基板上に透明負極を形成するステップ;前記透明負極上に有機物層を形成するステップ;および前記有機物層上に正極を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法であって、前記有機物層を形成するステップは、前記透明負極上に電子輸送材料およびn−型ドーパントを含むn−型ドーピングされた電子輸送層を形成するステップおよび発光層を形成するステップを含むことを特徴とする有機発光素子の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記有機発光素子を含む照明機器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、逆構造の有機発光素子の負極を透明金属酸化物のような高仕事関数材料からなる透明電極で形成することができる。したがって、本発明においては、両面に発光できる有機発光素子を提供することができる。ボースサイドエミッション有機発光素子は照明用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る有機発光素子の積層構造を示す図である。
【図2】本発明に係る有機発光素子の積層構造を示す図である。
【図3】実施例1〜3の有機発光素子のDCバイアス電圧に応じた電流密度を示すものである。
【図4】実施例1〜3の有機発光素子の電流密度に応じた電流効率を示すものである。
【図5】実施例1〜3の有機発光素子のバイアス電圧に応じた電流密度を示すものである。
【図6】実施例3および比較例1による有機発光素子の各々に対するバイアス電圧に応じた電流密度を示すものである。
【図7】正構造と逆構造における電子注入効率の差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る有機発光素子は、基板;前記基板上に位置した透明負極;正極;および前記透明負極と前記正極との間に位置する有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層は発光層およびn−型ドーピングされた電子輸送層を含み、前記n−型ドーピングされた電子輸送層は電子輸送材料およびn−型ドーパントを含み、前記負極と発光層との間に位置することを特徴とする。
【0015】
本発明は、基板上に負極が備えられる逆構造の有機発光素子において、前記負極が透明であることを特徴とする。
【0016】
正構造の有機発光素子において、負極を透明電極で形成する場合には一般的にスパッタリング法を利用し、この場合、スパッタリングダメージを電子輸送層が耐えることができないため、有機物層の損傷による素子不良が発生する。しかし、本発明においては、負極を透明電極で形成するが、負極を下部電極として含む逆構造で形成することによって前記のような問題を解決することができる。
【0017】
また、本発明者らは、負極を透明材料で形成する場合、透明負極の仕事関数が非常に高いため、電子輸送材料とのエネルギ差によって素子駆動が不可能であるという事実を明らかにした。したがって、本発明においては、有機物層と透明負極との間の仕事関数の差を克服できるようにn−型ドーピングされた電子輸送層を備えることを特徴とする。これにより、本発明においては、仕事関数が非常に高い金属酸化物のような透明材料で基板上に透明負極を形成する場合にも素子が駆動でき、これにより、基板上に透明負極が備えられる逆構造の有機発光素子を提供することができる。
【0018】
負極を不透明材料で形成する場合、電子輸送層がn−型ドーピングされた場合だけでなく、n−型ドーピングされていない場合にも素子の駆動は可能である。しかし、負極を透明材料で形成する場合には、電子輸送材料だけで電子輸送層を形成すれば、前述したようにエネルギ差によって素子駆動が不可能であり、電子輸送層をn−型ドーピングされた電子輸送層で形成してこそ素子駆動が可能である。したがって、負極が透明材料で形成された場合と不透明材料で形成された場合において、電子輸送層のn−型ドーピング有無はその技術的意義が全く異なる。具体的には、負極を不透明材料で形成する場合には、電子輸送層をn−型ドーピングする技術の適用有無が単にキャリアの濃度を上げる程度の意義を持つ。しかし、負極を透明材料で形成する場合には、電子輸送層をn−型ドーピングする技術の適用有無は素子駆動が可能であるか否かを決定する絶対的な技術的意味がある。すなわち、本発明により、電子輸送層がn−型ドーピングされた場合に限り、逆構造の有機発光素子の負極を透明に形成することができる。
【0019】
また、本発明者らは、正構造よりは逆構造において、表面双極子(surface dipole)によるバンド配列(band alignment)変化により、電子輸送量が2〜3倍程度増加するという事実を明らかにした。図7に正構造と逆構造における電子注入特性を比較したグラフが示されている。
【0020】
本発明に係る有機発光素子においては正極も透明であることが好ましい。
【0021】
本発明において、電極が透明であるということは、前記有機発光素子の発光層から発生した光の透過度が50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0022】
前記透明負極および前記正極は、各々、仕事関数が2.7eV以上である電極材料からなることができる。電極材料の仕事関数が2.7eV以上であることが工程上で有利である。前記仕事関数は4.5eV以上であることが透明性の面でより好ましい。
【0023】
前記透明負極および前記正極は、各々、インジウム亜鉛酸化物(IZO:Indium Zinc Oxide)および亜鉛酸化物(ZnO)のうちから選択された1種以上の透明金属酸化物からなることができる。本発明に係る有機発光素子は、負極が透明であるのでボトムエミッション型であってもよく、負極だけでなく正極が透明である場合にはボースサイドエミッション型であってもよい。
【0024】
ここで、前記n−型ドーピングされた電子輸送層は、電子輸送材料;およびn−型ドーパントを含む。前記n−型ドーパントは、金属ハロゲン化物、金属酸化物、有機金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物のうちから選択された1種以上を含むことができる。
【0025】
前記n−型ドーパントとしては、例えば、NaF、CSF、MgF、CaF、MgO、CaO、BaO、SrO、LiO、NaO、KO、CsO、CsCo、Mg、Ca、Li、Na、K、Csが挙げられる。また、LiF、KFをn−型ドーパントとして用いることもできる。
【0026】
本発明においては、有機物層のうちの電子輸送の役割をする層を形成する時、前述した電子輸送材料にn−型ドーパントをドーピングすることにより、電子注入および輸送特性に影響を与えることなく、負極を仕事関数の高い透明材料で形成しつつも有機発光素子特性を大きく向上させることができる。これにより、従来に有機発光素子の効率的な作動のために必ず必要なものとして考えられてきた電子注入層を別途に形成しなくても有機発光素子が効率的に作動することができる。また、前述した電子輸送材料に前記のようなn−型ドーパントをドーピングする場合に素子の寿命にも効果的である。
【0027】
本発明において、前記電子輸送材料は負極から注入された電子を発光層に移せる物質であって、電子に対する移動性が大きい物質である。
【0028】
前記電子輸送材料は、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、キノリンおよびフェナントロリン基のうちから選択された1種以上の官能基を含む化合物であってもよい。
【0029】
前記イミダゾール基、オキサゾール基およびチアゾール基から選択された官能基を有する化合物の具体的な例としては、下記化学式1または2の化合物がある:
【0030】
【化1】

【0031】
前記化学式1において、R〜Rは互いに同じであるか異なってもよく、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C〜C30のアルキル基、C〜C30のアルケニル基、C〜C30のアルコキシ基、C〜C30のシクロアルキル基、C〜C30のヘテロシクロアルキル基、C〜C30のアリール基およびC〜C30のヘテロアリール基からなる群から選択された1つ以上の基で置換もしくは非置換されたC〜C30のアルキル基;ハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C〜C30のアルキル基、C〜C30のアルケニル基、C〜C30のアルコキシ基、C〜C30のシクロアルキル基、C〜C30のヘテロシクロアルキル基、C〜C30のアリール基およびC〜C30のヘテロアリール基からなる群から選択された1つ以上の基で置換もしくは非置換されたC〜C30のシクロアルキル基;ハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C〜C30のアルキル基、C〜C30のアルケニル基、C〜C30のアルコキシ基、C〜C30のシクロアルキル基、C〜C30のヘテロシクロアルキル基、C〜C30のアリール基およびC〜C30のヘテロアリール基からなる群から選択された1つ以上の基で置換もしくは非置換されたC〜C30のアリール基;またはハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、C〜C30のアルキル基、C〜C30のアルケニル基、C〜C30のアルコキシ基、C〜C30のシクロアルキル基、C〜C30のヘテロシクロアルキル基、C〜C30のアリール基およびC〜C30のヘテロアリール基からなる群から選択された1つ以上の基で置換もしくは非置換されたC〜C30のヘテロアリール基であり、互いに隣接する基と脂肪族、芳香族、脂肪族ヘテロまたは芳香族ヘテロの縮合環を形成するかスピロ結合をなしてもよく;Arは水素原子、置換もしくは非置換の芳香族環または置換もしくは非置換の芳香族複素環であり;XはO、SまたはNRであり;Rは水素、C〜Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族複素環であり、
【0032】
【化2】

【0033】
前記化学式2において、XはO、S、NRまたはC〜Cの2価炭化水素基であり;A、DおよびRは、各々、水素原子、ニトリル基(−CN)、ニトロ基(−NO)、C〜C24のアルキル、C〜C20の芳香族環またはヘテロ原子を含む置換された芳香族環、ハロゲン、または隣接する環と縮合環を形成することができるアルキレンまたはヘテロ原子を含むアルキレンであり;AとDは連結されて芳香族またはヘテロ芳香族環を形成することができ;Bは、nが2以上である場合には、連結ユニットとして複数の複素環を共役または非共役になるように連結する置換もしくは非置換のアルキレンまたはアリーレンであり、nが1である場合には、置換もしくは非置換のアルキルまたはアリールであり;nは1〜8の整数である。
【0034】
前記有機物層として用いられる化合物として、前記化学式1の化合物の例としては韓国特許公開第2003−0067773号に公知されている化合物を含み、前記化学式2の化合物の例としては米国特許第5,645,948号に記載された化合物と国際公開第05/097756号に記載された化合物とを含む。前記文献はその内容の全てが本明細書に含まれる。
【0035】
具体的には、前記化学式1の化合物には下記化学式3の化合物も含まれる:
【0036】
【化3】

【0037】
前記化学式3において、R〜Rは互いに同じであるか異なり、各々独立に、水素原子、C〜C20の脂肪族炭化水素、芳香族環、芳香族複素環または脂肪族または芳香族縮合環であり;Arは直接結合、芳香族環または芳香族複素環であり;XはO、SまたはNRであり;Rは水素原子、C〜Cの脂肪族炭化水素、芳香族環または芳香族複素環であり;但し、RおよびRが同時に水素である場合は除外される。
【0038】
また、前記化学式2の化合物には下記化学式4の化合物も含まれる:
【0039】
【化4】

【0040】
前記化学式4において、ZはO、SまたはNRであり;RおよびRは水素原子、C〜C24のアルキル、C〜C20の芳香族環またはヘテロ原子を含む置換された芳香族環、ハロゲン、またはベンザゾール環と縮合環を形成することができるアルキレンまたはヘテロ原子を含むアルキレンであり;Bは、nが2以上である場合には、連結ユニットとして複数のベンザゾールを共役または非共役になるように連結するアルキレン、アリーレン、置換されたアルキレン、または置換されたアリーレンであり、nが1である場合には、置換もしくは非置換のアルキルまたはアリールであり;nは1〜8の整数である。
【0041】
好ましい化合物として、イミダゾール基を有する化合物としては下記構造の化合物がある:
【0042】
【化5】

【0043】
本発明において、前記キノリン基を有する化合物の例としては下記化学式5〜11の化合物がある。
【0044】
【化6】

【0045】
【化7】

【0046】
【化8】

【0047】
【化9】

【0048】
【化10】

【0049】
【化11】

【0050】
【化12】

【0051】
前記化学式5〜11において、
nは0〜9の整数であり、mは2以上の整数であり、
は水素、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル、ノルボルニルなどのシクロアルキル基、ベンジル基などのアラルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基、メトキシ基などのアルコキシ基、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置換されたアルキルチオ基、フェノキシ基などのアリールエーテル基、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置換されたアリールチオエーテル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などのアリール基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基などの複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基などのシリル基、エーテル結合によって珪素を有する基であるシロキサニル基、隣接置換基との間の環構造から選択され;前記置換基は非置換もしくは置換されてもよく、nが2以上である場合、置換基は互いに同じであるか異なってもよく、
Yは前記Rの基の2価以上の基である。
【0052】
前記化学式5〜11の化合物は韓国公開特許2007−0118711に記載されており、この文献の全ては本明細書に参考として含まれる。
【0053】
本発明において、前記フェナントロリン基を有する化合物の例としては下記化学式12〜22の化合物が挙げられるが、これらの例だけに限定されるものではない。
【0054】
【化13】

【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
前記化学式12〜15において、
mは1以上の整数であり、nおよびpは整数であり、n+pは8以下であり、
mが1である場合、R10およびR11は水素、メチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル、ノルボルニルなどのシクロアルキル基、ベンジル基などのアラルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基、メトキシ基などのアルコキシ基、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置換されたアルキルチオ基、フェノキシ基などのアリールエーテル基、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置換されたアリールチオエーテル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などのアリール基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリル基、カルバゾリル基などの複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、トリメチルシリル基などのシリル基、エーテル結合によって珪素を有する基であるシロキサニル基、隣接置換基との間の環構造から選択され;
mが2以上である場合、R10は直接結合または前述した基の2価以上の基であり、R11はmが1である場合と同様であり、
前記置換基は非置換もしくは置換されてもよく、nまたはpが2以上である場合、置換基は互いに同じであるか異なってもよい。
【0059】
前記化学式12〜15の化合物は韓国公開特許2007−0052764および2007−0118711に記載されており、この文献の全ては本明細書に参考として含まれる。
【0060】
【化17】

【0061】
【化18】

【0062】
【化19】

【0063】
【化20】

【0064】
前記化学式16〜19において、R1a〜R8aおよびR1b〜R10bは、各々、水素原子、置換もしくは非置換の核原子数5−60のアリール基、置換もしくは非置換のピリジル基、置換もしくは非置換のキノリル基、置換もしくは非置換の炭素数1−50のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3−50のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の核原子数6−50のアラルキル基、置換もしくは非置換の炭素数1−50のアルコキシ基、置換もしくは非置換の核原子数5−50のアリールオキシ基、置換もしくは非置換の核原子数5−50のアリールチオ基、置換もしくは非置換の炭素数1−50のアルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換の核原子数5−50のアリール基で置換されたアミノ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基であり、これらは互いに結合されて芳香族環を形成することができ、Lは置換もしくは非置換の炭素数6−60のアリーレン基、置換もしくは非置換のピリジニレン基、置換もしくは非置換のキノリニレン基または置換もしくは非置換のフルオレニレン基である。前記化学式16〜19の化合物は特願2007−39405号公報に記載されており、この文献の全ては本明細書に参考として含まれる。
【0065】
【化21】

【0066】
【化22】

【0067】
前記化学式20および21において、d、d〜d10およびgは、各々、水素または芳香族または脂肪族炭化水素基であり、mおよびnは0〜2の整数であり、pは0〜3の整数である。前記化学式20および21の化合物は米国特許公開2007/0122656に記載されており、この文献の全ては本明細書に参考として含まれる。
【0068】
【化23】

【0069】
前記化学式22において、R1c〜R6cは、各々、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の複素環基またはハロゲン原子であり、Ar1cおよびAr2cは各々下記構造式Jから選択される。
【0070】
【化24】

【0071】
前記構造式において、R17〜R23は、各々、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアラルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換の複素環基またはハロゲン原子である。前記化学式22の化合物は日本特許公開2004−107263に記載されており、この文献の全ては本明細書に参考として含まれる。
【0072】
本発明において、前述した電子輸送材料を用いた電子輸送層の形成時、前述したn−型ドーパントをドーピングすることを特徴とする。
【0073】
前記n−型ドーパントは、n−型ドーピングされた電子輸送層材料の総重量を基準に0.5〜50重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、3〜15重量%であることがさらに好ましく、5〜12重量%であることが最も好ましい。前記n−型ドーパントの含量は50重量%以下であることが透明性の面で有利である。0.5重量%未満である場合には、n−型ドーピングによる技術的効果を期待し難い。
【0074】
ここで、前記n−型ドーパントは、前記n−型ドーピングされた電子輸送層の厚さ方向に濃度勾配を有してもよい。この場合、前記透明負極側の前記n−型ドーピングされた電子輸送層の厚さ50%以内において、前記n−型ドーパントが1〜50重量%で存在することが好ましい。
【0075】
前記電子輸送材料と前記n−型ドーパントを含む電子輸送層は、当技術分野で知られている方法によって形成することができる。例えば、蒸着法や、溶媒処理(solvent process)、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、インクジェット印刷または熱転写法などを利用することができる。
【0076】
本発明に係る有機発光素子は、前述した電子輸送材料およびn−型ドーパントを用いて透明負極側に電子輸送層を形成することを除いては、通常の製造方法および材料によって製造することができ、当技術分野で知られている構造を有することができる。
【0077】
例えば、本発明に係る有機発光素子は、スパッタリング(sputtering)や電子ビーム蒸発(e−beam evaporation)のようなPVD(physical vapor deposition)方法を利用し、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着して負極を形成し、その上に有機物層を形成した後、その上に正極を形成して製造することができる。
【0078】
前記有機物層は前記発光層および前記n−型ドーピングされた電子輸送層だけを含むこともできるが、必要により、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電荷阻止層などのような有機物層をさらに1層以上含むこともできる。
【0079】
しかし、これに限定されず、一部の層を省略したり加えたりすることができる。但し、本発明においては、従来技術とは異なって電子注入層を別途に形成しないことにより、有機発光素子の製作工程を単純にすると同時に性能に優れた有機発光素子を製造することができる。したがって、本発明に係る有機発光素子は電子注入層を含まなくてもよい。すなわち、前記電子輸送物質とn−型ドーパントを含む電子輸送層と負極電極が接してもよい。しかし、電子注入層を含む場合を本発明の範囲から除外するのではない。したがって、前記電子輸送物質とn−型ドーパントを含む電子輸送層と透明負極との間に電子注入層が備えられてもよい。
【0080】
前記有機物層は、前記n−型ドーピングされた電子輸送層と前記発光層との間に位置するまた他の電子輸送層をさらに含むことができる。
【0081】
ここで、前記n−型ドーピングされた電子輸送層と発光層との間にさらに備えられる電子輸送層は、n−ドーピングされた電子輸送層の電子輸送材料と相異なる物質からなってもよいが、n−ドーピングされた電子輸送層の電子輸送材料と同一の物質からなってもよい。
【0082】
本発明において、前記有機物層のうちの上部電極である正極と最も隣接した最上側の有機物層は下記化学式23で示される化合物を含むことが好ましい。
【0083】
【化25】

【0084】
前記化学式23において、R1d〜R6dは、各々、水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホネート(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換もしくは非置換された直鎖もしくは分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換もしくは非置換された直鎖もしくは分枝鎖のC−C12のアルキル、置換もしくは非置換された芳香族もしくは非芳香族の複素環、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のモノ−またはジ−アリールアミン、および置換もしくは非置換のアラルキルアミンからなる群から選択され、前記RおよびR’は、各々、置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル、置換もしくは非置換のアリールおよび置換もしくは非置換の5−7員複素環からなる群から選択される。
【0085】
前記化学式23の化合物は下記化学式23−1〜23−6の化合物から選択されることを特徴とする電子素子。
【0086】
【化26】

【0087】
【化27】

【0088】
【化28】

【0089】
【化29】

【0090】
【化30】

【0091】
【化31】

【0092】
特に、上部電極である正極と最も隣接する有機物層として前記化学式23の物質を含む正孔注入層を形成することにより、上部電極が正極である逆構造の有機発光素子を容易に提供することができる。
【0093】
前記有機物層は、蒸着法だけでなく、様々な高分子素材を用いて、溶媒処理(solvent process)、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、スクリーン印刷、インクジェット印刷または熱転写法などの方法により、より少ない数の層に製造することができる。
【0094】
前記発光層を形成するための発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送を各々受けて結合させることによって可視光線領域の光を出せる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体的な例としては8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾールおよびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン、ルブレンなどが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0095】
前記正孔輸送層を形成するための正孔輸送物質としては、正極や正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移せる物質であって、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体的な例としてはアリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共に存在するブロック共重合体などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0096】
前記正孔注入層を形成するための前記正孔注入物質としては、低い電圧において、正極から正孔の注入を円滑に受けられる物質であって、正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が正極物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては金属ポルフィリン(porphyrine)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0097】
一方、本発明に係る有機発光素子の製造方法は、基板上に透明負極を形成するステップ;前記透明負極上に有機物層を形成するステップ;および前記有機物層上に正極を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法であって、前記有機物層を形成するステップは、前記透明負極上に電子輸送材料およびn−型ドーパントを含むn−型ドーピングされた電子輸送層を形成するステップおよび発光層を形成するステップを含むことを特徴とする。本発明に係る有機発光素子の製造方法において、各層の材料と形成方法は前述した通りであるので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0098】
また、本発明は、前記有機発光素子を含む照明機器を提供する。本発明に係る有機発光素子は、容易にボースサイドエミッション構造に形成されるだけでなく、素子効率にも優れるため、照明機器として有用である。
【0099】
以下、図1および図2を参照し、本発明に係る逆構造の有機発光素子について具体的に説明する。
【0100】
図1は、本発明の第1実施状態による逆構造の有機発光素子を示す図である。
【0101】
図1に示すように、第1実施状態による逆構造の有機発光素子は、基板上に、ITOまたはIZOからなる透明負極(Cathode)、第1電子輸送層としてn−型ドーピングされた電子輸送層(n−doped ETL)、第2電子輸送層(ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)およびITOまたはIZOからなる透明正極(Anode)が順次積層された構造を有する。
【0102】
図2は、本発明の第2実施状態による有機発光素子を示す図である。
【0103】
図2に示すように、第2実施状態による逆構造の有機発光素子は、基板上に、ITOまたはIZOからなる透明負極(Cathode)、n−型ドーピングされた電子輸送層(n−doped ETL)、発光層(EML)、正孔輸送層(HTL)、正孔注入層(HIL)およびITOまたはIZOからなる透明正極(Anode)が順次積層された構造を有する。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。但し、以下の実施例は本発明の内容を理解するためのものであって、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0105】
実施例1
基板上に、スパッタリング方法により、1000Å厚さの透明IZO負極を形成し、その上に第1電子輸送層として下記化学式Aの電子輸送材料にCaを10%でドーピングしてn−型ドーピングされた電子輸送層を50Å厚さで形成した。次に、前記第1電子輸送層上に150Å厚さで下記化学式Aの電子輸送材料を用いて第2電子輸送層を形成した。
【0106】
また、下記化学式のAlq(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン))を真空蒸着して300Å厚さの発光層を形成し、その上に下記化学式のNPBを真空蒸着して400Å厚さの正孔輸送層を形成した。次に、その上に下記HAT物質を熱真空蒸着して500Å厚さの正孔注入層を形成した。その上にIZO層を1750Å厚さで形成した。そして前記正孔注入層上にスパッタリング方法により1750Å厚さの透明IZO正極を形成した。
【0107】
【化32】

【0108】
【化33】

【0109】
【化34】

【0110】
【化35】

【0111】
前記過程において、有機物の蒸着速度は0.4〜1.0Å/secを維持し、蒸着時における真空度は2x10−7〜2x10−8torrを維持した。
【0112】
実施例1で製造された有機発光素子に電流密度0.2mA/cm間隔で順次電圧を印加して各電圧と輝度、漏れ電流を測定し、その結果を各々図3、図4および図5に示す。図3、図4および図5は、有機発光素子の電流−電圧特性および発光特性を示す結果グラフである。このようなグラフにおいて、電子輸送材料にCa10%をドーピングした時、電子注入と移動がなさらないと、正常な整流特性および発光特性を示さなかったり、高い電圧および発光特性の低下といった結果が現れる。しかし、実施例1で製造された有機発光素子においては、図3および図4から分かるように、電流密度5mA/cmにおいて、駆動電圧が3.7Vであり、輝度は14.7cd/Aを示し、図5に示す漏れ電流特性も安定的であるため、有機発光素子固有の素子特性を示す。
【0113】
実施例2
基板上に、スパッタリング方法により、1000Å厚さの透明IZO負極を形成し、その上に化学式Aの電子輸送材料にCaを10%でドーピングして電子輸送層としてn−型ドーピングされた電子輸送層を200Å厚さで形成した。そして、実施例1の化学式のAlq(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン))を真空蒸着して300Å厚さの発光層を形成し、その上に実施例1の化学式のNPBを真空蒸着して400Å厚さの正孔輸送層を形成した。次に、その上に実施例1のHAT物質を熱真空蒸着して500Å厚さの正孔注入層を形成した。その上にIZO層を1750Å厚さで形成した。そして正孔注入層上にスパッタリング方法により1750Å厚さの透明IZO正極を形成した。
【0114】
前記過程において、有機物の蒸着速度は0.4〜1.0Å/secを維持し、蒸着時における真空度は2x10−7〜2x10−8torrを維持した。
【0115】
実施例2で製造された有機発光素子に電流密度0.2mA/cm間隔で順次電圧を印加して各電圧と輝度、漏れ電流を測定し、その結果を各々図3、図4および図5に示す。図3、図4および図5は、有機発光素子の電流−電圧特性および発光特性を示す結果グラフである。このようなグラフにおいて、電子輸送材料にCa10%をドーピングした時、電子注入と移動がなされないと、正常な整流特性および発光特性を示さなかったり、高い電圧および発光特性の低下といった結果が現れる。しかし、実施例2で製造された有機発光素子においては、図3および図4から分かるように、電流密度5mA/cmにおいて、駆動電圧が3.6Vであり、輝度は10.8cd/Aを示し、図5に示す漏れ電流特性も安定的であるため、有機発光素子固有の素子特性を示す。
【0116】
実施例3
基板上に、スパッタリング方法により、1000Å厚さの透明IZO負極を形成し、その上に化学式Aの電子輸送材料にMgを10%ドーピングしてn−型電子輸送層200Å層を形成した。その他には実施例2と同一にした。
【0117】
実施例3で製造された有機発光素子に電流密度0.2mA/cm間隔で順次電圧を印加して各電圧と輝度、漏れ電流を測定し、その結果を各々図3、図4および図5に示す。
【0118】
比較例1
基板上に、スパッタリング方法により、1000Å厚さの透明IZO負極を形成し、その上に化学式Aの電子輸送材料にCaをドーピングせずに200Å厚さの電子輸送層を形成したことを除いては、実施例2と同一にした。
【0119】
図6から分かるように、実施例3はバイアス電圧に応じた電流密度と発光特性を示す。しかし、比較例の場合は、n型ドーピングされていない電子輸送層は高仕事関数であるIZOから電子注入がほぼ不可能であるため、発光特性が現れなかった。図6は、IZO電極上に電子輸送材料のn−型ドーピング有無に応じた電流−電圧特性である。図6に示すように、電子輸送層にn−型ドーピングされていない場合、電子注入能力が非常に低下することが分かる。
【0120】
比較例2
有機発光素子を正構造で形成したことを除いては、実施例1と同じ方法により実施して素子を製作した。しかし、この素子は、上部電極の形成時、スパッタリングダメージによって動作しなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;前記基板上に位置した透明負極;正極;および前記透明負極と前記正極との間に位置する有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層は発光層およびn−型ドーピングされた電子輸送層を含み、前記n−型ドーピングされた電子輸送層は電子輸送材料およびn−型ドーパントを含み、前記透明負極と発光層との間に位置することを特徴とする有機発光素子。
【請求項2】
前記透明負極または前記正極は、仕事関数が2.7eV以上である電極材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記透明負極は、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物(IZO:Indium Zinc Oxide)および亜鉛酸化物(ZnO)のうちから選択された1種以上の透明金属酸化物からなることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記正極は透明であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記正極は、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、インジウム亜鉛酸化物(IZO:Indium Zinc Oxide)および亜鉛酸化物(ZnO)のうちから選択された1種以上の透明金属酸化物からなる透明正極であることを特徴とする、請求項4に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記n−型ドーピングされた電子輸送層の電子輸送材料は、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、キノリンおよびフェナントロリン基のうちから選択された1種以上の官能基を含む化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記n−型ドーピングされた電子輸送層のn−型ドーパントは、金属ハロゲン化物、金属酸化物、有機金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物のうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記n−型ドーパントは、NaF、CSF、MgF、CaF、MgO、CaO、BaO、SrO、LiO、NaO、KO、CsO、CsCo、Mg、Ca、Li、Na、K、Cs、LiFおよびKFのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記n−型ドーパントの含量は、前記n−型ドーピングされた電子輸送層材料の総重量を基準に0.5重量%〜50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記n−型ドーパント(dopant)が前記n−型ドーピングされた電子輸送層の厚さに応じて濃度勾配を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機物層は、前記n−型ドーピングされた電子輸送層と前記発光層との間に位置するまた1つの電子輸送層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記n−型ドーピングされた電子輸送層と前記発光層との間に位置する前記また1つの電子輸送層は、前記n−型ドーピングされた電子輸送層の電子輸送材料と同一の材料からなることを特徴とする、請求項11に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記n−型ドーピングされた電子輸送層は前記透明負極と接する、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記有機物層は、正孔輸送層および正孔注入層のうちの少なくとも1層以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記有機物層は、有機物層のうちの前記正極と最も隣接した最上側に位置し、下記化学式23の化合物を含む有機物層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【化1】

前記化学式23において、R1d〜R6dは、各々、水素、ハロゲン原子、ニトリル(−CN)、ニトロ(−NO)、スルホニル(−SOR)、スルホキシド(−SOR)、スルホンアミド(−SONR)、スルホネート(−SOR)、トリフルオロメチル(−CF)、エステル(−COOR)、アミド(−CONHRまたは−CONRR’)、置換もしくは非置換された直鎖もしくは分枝鎖のC−C12アルコキシ、置換もしくは非置換された直鎖もしくは分枝鎖のC−C12のアルキル、置換もしくは非置換された芳香族もしくは非芳香族の複素環、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のモノ−またはジ−アリールアミン、および置換もしくは非置換のアラルキルアミンからなる群から選択され、前記RおよびR’は、各々、置換もしくは非置換のC〜C60のアルキル、置換もしくは非置換のアリールおよび置換もしくは非置換の5−7員複素環からなる群から選択される。
【請求項16】
基板上に透明負極を形成するステップ;前記透明負極上に有機物層を形成するステップ;および前記有機物層上に正極を形成するステップを含む有機発光素子の製造方法であって、前記有機物層を形成するステップは、前記透明負極上に電子輸送材料およびn−型ドーパントを含むn−型ドーピングされた電子輸送層を形成するステップ;および発光層を形成するステップを含むことを特徴とする有機発光素子の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜15のうちのいずれか一項による有機発光素子を含む照明機器。

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2012−504847(P2012−504847A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530005(P2011−530005)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005660
【国際公開番号】WO2010/039009
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】