説明

有機発光表示装置

【課題】有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板の第1面上に形成された複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタを覆うパッシベーション膜と、パッシベーション膜上に各薄膜トランジスタと電気的に連結されるように形成され、各薄膜トランジスタを覆えるように各薄膜トランジスタと重畳されるように配され、光反射可能な導電性物質で備えられた反射膜を備える複数の第1画素電極と、パッシベーション膜上に透光可能な導電性物質で、第1画素電極と電気的に連結されるように形成された第2画素電極と、光の透過及び反射が可能に形成され、第1画素電極及び第2画素電極と対向する対向電極と、第1画素電極及び第2画素電極と対向電極との間に介在されて発光層を備える有機膜と、を備える有機発光表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に係り、さらに詳細には、透明な有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、視野角、コントラスト(contrast)、応答速度、消費電力の側面で特性が優秀であるため、MP3プレイヤや携帯電話のような個人用携帯機器からテレビ(TV)に至るまで応用範囲が拡大されている。
【0003】
このような有機発光表示装置は、自発光特性を有し、液晶表示装置とは異なり、別途の光源を必要としないので、厚さ及び重さを減らせる。
【0004】
また、有機発光表示装置は、装置内部の薄膜トランジスタや有機発光素子を透明な形態に作ることによって、透明表示装置に形成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような透明表示装置では、スイッチオフ状態である時、反対側に位置した事物またはイメージが、有機発光素子だけでなく、薄膜トランジスタ及び多様な配線のパターン及びこれらの間の空間を透過してユーザに伝えられるが、たとえ透明表示装置であっても、前述した有機発光素子、薄膜トランジスタ及び配線自体の透過率があまり高くなく、これらの間の空間も非常に小さいので、全体ディスプレイの透過率は、高くない。
【0006】
また、前述したパターン、すなわち、有機発光素子、薄膜トランジスタ及び配線のパターンによって、ユーザは、歪曲されたイメージを伝達されうる。これは、前記パターンの間の間隔が数百nmほどであるため、可視光波長と同じレベルとなって、透過された光の散乱をもたらすためである。
【0007】
一方、有機発光表示装置は、液晶表示装置と比較した時、両面発光素子を簡単に製作できるという点で大きい長所を有する。
【0008】
しかし、両面発光素子の場合、反射型アノードを使用できなくて光学的な共振効果を利用できず、これにより、高い光抽出効率(Outcoupling Efficiency)が得難いという限界がある。したがって、両面発光構造で効率を高めるために透明アノードを反透過アノードに変える場合、透明度が低下するので、透明な有機発光表示装置の製造に難点がある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、透過領域における透過率を向上させて透明にすると同時に、両面発光時にも光抽出効率を高める有機発光表示装置を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする他の課題は、透過する光の散乱を抑制して透過イメージの歪曲現象が防止された透明な有機発光表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するために、本発明は、基板と、前記基板の第1面上に形成された複数の薄膜トランジスタと、前記複数の薄膜トランジスタを覆うパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に前記各薄膜トランジスタと電気的に連結されるように形成され、前記各薄膜トランジスタを覆えるように前記各薄膜トランジスタと重畳されるように配され、光反射可能な導電性物質で備えられた反射膜を備える複数の第1画素電極と、前記パッシベーション膜上に光透過可能な導電性物質で、前記第1画素電極と電気的に連結されるように形成された第2画素電極と、光の透過及び反射が可能に形成され、前記第1画素電極及び第2画素電極と対向する対向電極と、前記第1画素電極及び第2画素電極と対向電極との間に介在されて発光層を備える有機膜と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記対向電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金で形成されたグループから選択された少なくとも一つの金属を含みうる。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2画素電極は、ITO、IZO、ZnO及びInからなるグループから選択された少なくとも一つの金属酸化物で形成されうる。
【0014】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1画素電極と第2画素電極とは、相互連結されたものでありうる。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記反射膜は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含みうる。
【0016】
また、本発明は、前記課題を達成するために、透過領域と前記透過領域を介して相互離隔された複数の第1画素領域とが区画された基板と、前記基板の第1面上に形成され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備え、前記各第1画素領域内に位置する複数の画素回路部と、前記複数の画素回路部を覆い、前記透過領域及び第1画素領域のいずれもに形成されたパッシベーション膜と、前記パッシベーション膜上に前記各画素回路部と電気的に連結されるように形成され、前記各第1画素領域内に位置し、前記各画素回路部を覆えるように前記各画素回路部と重畳されるように配され、光反射可能な導電性物質で備えられた反射膜を備える複数の第1画素電極と、前記パッシベーション膜上に透光可能な導電性物質で、前記第1画素電極と電気的に連結されるように形成され、前記各透過領域内に位置する第2画素電極と、光の透過及び反射が可能に形成され、前記第1画素電極及び第2画素電極と対向する対向電極と、前記第1画素電極及び第2画素電極と対向電極との間に介在されて発光層を備える有機膜と、を備える有機発光表示装置を提供する。
【0017】
本発明の他の特徴によれば、前記対向電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含みうる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第2画素電極は、ITO、IZO、ZnO及びInからなるグループから選択された少なくとも一つの金属酸化物で形成されうる。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記第1画素電極と第2画素電極とは、相互連結されたものでありうる。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記反射膜は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含みうる。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各画素回路部と電気的に連結された複数の導電ラインをさらに含み、前記導電ラインのうち少なくとも一つは、前記各第1画素電極と重畳されるように配列されうる。
【0022】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記パッシベーション膜は、透明な物質で備えられうる。
【0023】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記透過領域の少なくとも一部に前記第2画素電極に対応する位置に前記基板及び対向電極の方向に発光される第2発光領域が位置できる。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記透過領域に対応する位置に透明な複数の絶縁膜が備えられうる。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記絶縁膜のうち少なくとも一つは、前記第2画素領域のうち少なくとも一部に対応する位置に開口を備えうる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、外光に対する透過率を高めて透明な有機発光表示装置を提供すると同時に、両面発光時にも光抽出効率を高めうる。
【0026】
また、透過する光の散乱を抑制して透過イメージの歪曲現象が防止された透明な有機発光表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を示す断面図である。
【図2】図1の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。
【図3】図1の他の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。
【図4】図2または図3の有機発光部の一例を概略的に示す概略図である。
【図5】図4の画素回路部の一例を含む有機発光部を示す概略図である。
【図6】図5の有機発光部の一例をさらに具体的に示す平面図である。
【図7】図6のA−Aによる断面図である。
【図8】図7の第1画素領域PA1の一例を概略的に示す断面図である。
【図9】図7の第2画素領域PA2の一例を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の有機発光部の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を示した断面図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置は、基板1の第1面11にディスプレイ部2が備えられる。
【0031】
このような有機発光表示装置で、外光は、基板1及びディスプレイ部2を貫通する。ディスプレイ部2は、図1に示したように、上下部にいずれも画像を具現する両面発光型となる。
【0032】
前記ディスプレイ部2は、後述するように、外光が透過可能に備えられたものであって、図1に示したように、画像が形成される側に位置したユーザが基板1の下部外側のイメージを観察できるように備えられる。
【0033】
図2は、図1の有機発光表示装置をさらに具体的に示した一実施形態であって、前記ディスプレイ部2は、基板1の第1面11に形成された有機発光部21とこの有機発光部21を密封する密封基板23とを備える。
【0034】
前記密封基板23は、透明な部材で形成されて有機発光部21からの画像を具現可能にし、有機発光部21に外気及び水分が浸透することを遮断する。
【0035】
前記基板1と前記密封基板23とは、そのエッジが密封材24によって結合されて前記基板1と密封基板23との間の空間25が密封される。後述するように、前記空間25には、吸湿剤や充填材が位置できる。
【0036】
前記密封基板23の代りに、図3に示したように、薄膜の密封フィルム26を有機発光部21上に形成することによって、有機発光部21を外気から保護できる。前記密封フィルム26は、酸化シリコンまたは窒化シリコンのような無機物で形成された膜とエポキシ、ポリイミドのような有機物で形成された膜とが交互に成膜された構造を有しうるが、必ずしもこれに限定されず、透明な薄膜上の密封構造ならば、いずれのものでも適用可能である。
【0037】
図4は、図2または図3の有機発光部21の概略的な構成を示す概略図であり、図5は、図4の画素回路部PCのさらに具体的な一例を示した概略図である。図2ないし図5に示したように、本発明の望ましい一実施形態によれば、前記有機発光部21は、外光が透過されるように備えられた透過領域TAと、この透過領域TAを介して相互離隔された複数の第1画素領域PA1とに区画された基板1上に形成されたものである。前記透過領域TAの少なくとも一部には、前記各第1画素領域PA1とそれぞれ隣接した複数の第2画素領域PA2が位置する。すなわち、前記第2画素領域PA2は、外光の透過及び発光がいずれも可能な領域となる。
【0038】
図4に示したように、各第1画素領域PA1内には、画素回路部PCが備えられており、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVのような複数の導電ラインが、この画素回路部PCに電気的に連結される。図面に示していないが、前記画素回路部PCの構成によって、前記スキャンラインS、データラインD及び駆動電源のVddラインV以外にも、さらに多様な導電ラインが備えられている。
【0039】
図5に示したように、前記画素回路部PCは、スキャンラインS及びデータラインDに連結された第1薄膜トランジスタTR1と、第1薄膜トランジスタTR1及びVddラインVに連結された第2薄膜トランジスタTR2と、第1薄膜トランジスタTR1及び第2薄膜トランジスタTR2に連結されたキャパシタCstと、を備える。この時、第1薄膜トランジスタTR1は、スイッチングトランジスタとなり、第2薄膜トランジスタTR2は、駆動トランジスタとなる。前記第2薄膜トランジスタTR2は、第1画素電極221と電気的に連結されている。図5で、第1薄膜トランジスタTR1と第2薄膜トランジスタTR2とは、P型に示されているが、必ずしもこれに限定されず、少なくとも一つがN型に形成されることもある。前記のような薄膜トランジスタ及びキャパシタの数は、必ずしも図示された実施形態に限定されず、画素回路部PCによって、2以上の薄膜トランジスタ、1以上のキャパシタが組合わせられうる。
【0040】
図4及び図5によれば、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVは、第1画素電極221と重畳されるように配される。しかし、本発明は、必ずしもこれに限定されず、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む複数の導電ラインのうち少なくとも一つが前記第1画素電極221と重畳されるように配させることができ、場合によっては、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む複数の導電ラインをいずれも第1画素電極221の側に配させうる。
【0041】
前記各第1画素領域PA1は、後述するように、各サブピクセルから光抽出効率の良い前面発光がなされる領域となるが、このように、前面発光がなされる領域内に画素回路部PCが位置するため、ユーザは、第2画素領域PA2を備える透過領域TAを通じて外部が見られる。すなわち、この透過領域TAに透過率を阻害する最も大きい要素のうち一つである画素回路部PCの導電パターンが位置しないため、透過領域TAの透過率は、さらに高まる。
【0042】
このように、本発明は、画像が具現される有機発光部21を第1画素領域PA1と透過領域TAとに分け、ディスプレイ全体の透過率を落とす要素のうち一つである導電パターンのほとんどを第1画素領域PA1に配することによって、透過領域TAの透過率を高め、画像が具現される領域全体(図2または図3の有機発光部21)の透過率を、従来の透明表示装置に比べて向上させうる。
【0043】
本発明は、画素回路部PCが第1画素領域PA1に重畳されることによって、外光が画素回路部PC内の素子のパターンと関連して散乱することによって発生する外部イメージの歪曲現象を防止できる。
【0044】
たとえ第1画素領域PA1と隣接した他の第1画素領域PA1との間の透過領域TAにもスキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む導電ラインが横切るように配されうるとしても、この導電ラインは、非常に薄く形成されるため、これは、ユーザの精密な観察によってのみ発見され、有機発光部21の全体透過度には、影響を及ぼさず、特に、透明ディスプレイの作製には、全く問題がない。また、ユーザが前記第1画素領域PA1に覆われた領域だけ外部イメージが見られないとしても、ディスプレイ領域全体から見た時、前記第1画素領域PA1は、あたかも透明ガラスの表面に複数の点が規則的に配列されているようなものであるので、ユーザが外部イメージを観察するのには、あまり無理はない。
【0045】
前記第1画素領域PA1には、画素回路部PCと電気的に連結された第1画素電極221が備えられ、前記画素回路部PCは、前記第1画素電極221に覆われるように前記第1画素電極221と重畳される。そして、前述したスキャンラインS、データラインD及びVddラインVを含む導電ラインのうち少なくとも一つが、いずれもこの第1画素電極221を通過するように配されうる。もちろん、これらの導電ラインは、画素回路部PCに比べて、透過率を阻害する比率が低いため、設計条件によっては、いずれも第1画素電極221に隣接して配させうる。前記第1画素電極221は、後述するように、光反射の可能な導電性金属で形成された反射膜を備えるので、これと重畳された画素回路部PCを覆い、第1画素領域PA1における画素回路部PCによる外部イメージの歪曲を遮断する。
【0046】
一方、前記透過領域TAには、第2画素電極222をさらに配して第2画素領域PA2を形成する。この第2画素電極222は、後述するように、透光可能な金属酸化物で形成することによって、第2画素領域PA2における外光の透過を可能にする。
【0047】
図6は、前記有機発光部21をさらに詳細に説明するための一実施形態を示した平面図であって、図5に示した画素回路部PCを示したものである。そして、図7は、図6のA−Aによる一例の断面図である。
【0048】
図6及び図7による本発明の望ましい一実施形態によれば、前記基板1の第1面11上にバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に第1薄膜トランジスタTR1、キャパシタCst及び第2薄膜トランジスタTR2が形成される。
【0049】
まず、前記バッファ膜211上には、第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bが形成される。
【0050】
前記バッファ膜211は、不純元素の浸透を防止し、表面を平坦化する役割を行うものであって、このような役割を行える多様な物質で形成されうる。一例として、前記バッファ膜211は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタンまたは窒化チタンなどの無機物や、ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物またはこれらの積層体で形成されうる。前記バッファ膜211は、必須構成要素ではなく、必要に応じては、備われないこともある。
【0051】
前記第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bは、多結晶シリコンで形成されうるが、必ずしもこれに限定されず、酸化物半導体で形成されうる。例えば、G−I−Z−O層[(In)a(Ga)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満足させる実数)でありうる。
【0052】
前記第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bを覆うように、ゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上に第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bが形成される。
【0053】
第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bを覆うように、ゲート絶縁膜213上に層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上に第1ソース電極216aと第1ドレイン電極217a及び第2ソース電極216bと第2ドレイン電極217bが形成され、それぞれ第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bとコンタクトホールを通じてコンタクトされる。
【0054】
図7に示したように、前記スキャンラインSは、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bの形成と同時に形成されうる。そして、データラインDは、第1ソース電極216aと同時に第1ソース電極216aと連結されるように形成され、VddラインVは、第2ソース電極216bと同時に第2ソース電極216bと連結されるように形成されうる。
【0055】
キャパシタCstは、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bの形成と同時に下部電極220aが、第1ドレイン電極217aと同時に上部電極220bが形成される。
【0056】
前記のような第1薄膜トランジスタTR1、キャパシタCst及び第2薄膜トランジスタTR2の構造は、必ずしもこれに限定されず、多様な形態の薄膜トランジスタ及びキャパシタの構造が適用可能である。例えば、前記第1薄膜トランジスタTR1及び第2薄膜トランジスタTR2は、トップゲート構造で形成されたものであるが、第1ゲート電極214a及び第2ゲート電極214bが、それぞれ第1半導体活性層212a及び第2半導体活性層212bの下部に配されたボトムゲート構造で形成されることもある。もちろん、これ以外にも適用可能なすべての薄膜トランジスタの構造が適用されうる。
【0057】
このような第1薄膜トランジスタTR1、キャパシタCst及び第2薄膜トランジスタTR2を覆うように、パッシベーション膜218が形成される。前記パッシベーション膜218は、上面が平坦化された単一または複数層の絶縁膜となりうる。このパッシベーション膜218は、無機物及び/または有機物で形成されうる。
【0058】
前記パッシベーション膜218上には、図6及び図7に示したように、第1薄膜トランジスタTR1、キャパシタCst及び第2薄膜トランジスタTR2を覆うように第1画素電極221が形成され、この第1画素電極221は、パッシベーション膜218に形成されたビアホールによって第2薄膜トランジスタTR2の第2ドレイン電極217bに連結される。
【0059】
そして、前記パッシベーション膜218上には、前記第1画素電極221に隣接するように第2画素電極222が形成される。第1画素電極221と第2画素電極222とは、相互連結された構造を有することが望ましく、前記各第1画素電極221及び第2画素電極222の連結体は、図6に示したように、各画素ごとに相互独立したアイランド状に形成される。
【0060】
前記パッシベーション膜218上には、前記第1画素電極221及び第2画素電極222のエッジを覆うように画素定義膜219が形成され、第1画素電極221上には、有機膜223と対向電極224とが順次に積層される。前記対向電極224は、全体第1、2画素領域PA1,PA2と透過領域TAとにわたって形成されうる。
【0061】
前記有機膜223は、低分子または高分子有機膜が使われうる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)が単一あるいは複合の構造に積層されて形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを初めとして多様に適用可能である。これらの低分子有機膜は、真空蒸着法で形成されうる。この時、前記発光層は、赤、緑、青色の画素ごとに独立して形成され、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は、共通層であって、赤、緑、青色の画素に共通に適用されうる。したがって、図7に示したように、これらの共通層は、対向電極224のように、全体第1、2画素領域PA1,PA2と透過領域TAとを覆うように形成されうる。
【0062】
前記第1画素電極221及び第2画素電極222は、アノード電極の機能を行い、前記対向電極224は、カソード電極の機能を行えるが、もちろん、これらの第1画素電極221、第2画素電極222及び対向電極224の極性は、相互逆になってもよい。
【0063】
前記第1画素電極221は、各画素ごとに第1画素領域PA1に対応する大きさに形成される。そして、第2画素電極222は、各画素ごとに第2画素領域PA2に対応する大きさに形成される。
【0064】
前記対向電極224は、有機発光部全体のすべての画素を覆うように、共通電極として形成されうる。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、前記第1画素電極221は、反射膜を備える電極となってもよく、前記対向電極224は、半透過反射電極となってもよい。したがって、前記第1画素領域PA1は、対向電極224の方向に画像を具現する前面発光型となる。
【0066】
このために、前記第1画素電極221は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成された反射膜と、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO及びInで備えられうる。そして、前記対向電極224は、仕事関数の小さい金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、またはこれらの合金で形成されうる。前記対向電極224は、透過率が高いように、100ないし300Åの厚さの薄膜に形成することが望ましい。前記対向電極224上には、別途の透明保護膜がさらに備えられうる。
【0067】
このように、第1画素電極221が反射型電極で備えられる場合、その下部に配された画素回路部は、第1画素電極221によって覆われた状態となり、これにより、図7に示したように、対向電極224の上部外側で、ユーザは、第1画素電極221の下部の第1薄膜トランジスタTR1、キャパシタCst及び第2薄膜トランジスタTR2の各パターンを観察できなくなる。
【0068】
また、このように、第1画素電極221が反射電極で備えられることによって発光された光が観察者方向にのみ発散されるので、観察者の反対方向に消失される光量を減らせる。また、前述したように、第1画素電極221がその下部の画素回路の多様なパターンを覆う役割を行うので、観察者がさらに鮮明な透過イメージが見られる。
【0069】
一方、前記第2画素電極222は、透明電極で備えられる。この場合、前述した反射膜なしに、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO及びInで備えられれば十分である。このように、第2画素電極222が透明であることによって、ユーザが対向電極224の上部外側で第2画素領域PA2を通じて基板1の下部の透過イメージが観察できる。
【0070】
このような第2画素電極222は、第1画素電極221を形成する時に同時に形成されうるが、第1画素電極221で反射膜を除外した透明な金属酸化物層を第2画素電極222まで延びるようにパターニングすることによって可能である。
【0071】
前記パッシベーション膜218、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215及び画素定義膜219は、透明な絶縁膜で形成することが望ましい。この時、前記基板1は、前記絶縁膜の有する全体的な透過率より低いか、または同じ透過率を有する。
【0072】
図8は、前記のような第1画素領域PA1の一例をさらに具体的に示した概略断面図であり、図9は、第2画素領域PA2の一例をさらに具体的に示した概略断面図である。
【0073】
第1画素電極221は、第1透明導電膜221a、反射膜221b及び第2透明導電膜221cの積層体で形成されうる。第1透明導電膜221a及び第2透明導電膜221cは、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO及びInで備えられうる。反射膜221bは、前述したように、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成されうる。
【0074】
このような第1画素電極221上に第1機能層223a、発光層223b及び第2機能層223cが積層された有機膜223が形成され、この有機膜223上に対向電極224が形成される。
【0075】
前記第1機能層223aは、ホール注入層及びホール輸送層を備え、第2機能層223cは、電子注入層及び電子輸送層を備えうる。
【0076】
この時、前記反射膜221bの表面と対向電極224との距離tは、発光層223bから発光される光の波長と関連して、光学的に共振されるように調節される。したがって、この距離tは、赤色、緑色及び青色画素別に異ならせる。この光学的な共振を起こす距離tを合わせるために、前記第1機能層223a及び/または第2機能層223cには、画素の色相別に厚さを異ならせる補助層をさらに形成できる。
【0077】
このような構成の第1画素領域PA1は、対向電極224の方向に画像を具現する前面発光型となり、光学的な共振を起こす距離tを合わせることによって、光抽出効率を極大化できる。
【0078】
一方、第2画素電極222は、前述したように、反射膜のない透明導電物のみで形成される。したがって、第1画素電極221の第1透明導電膜221a及び第2透明導電膜221cのうち少なくとも一つが、そのまま延びるように形成されうる。
【0079】
このような第2画素電極222上に、前述した第1機能層223a、発光層223b及び第2機能層223cが積層された有機膜223が形成され、この有機膜223上に対向電極224が形成される。
【0080】
このような第2画素領域PA2では、第2画素電極222に反射膜がないため、前述した光学的な共振距離を合わせる必要がない。また、第2画素領域PA2は、対向電極224及び第2画素電極222の方向に画像を具現する両面発光型となる。したがって、前記第2画素領域PA2は、ディスプレイ部2が作動する時には、両面発光型となって画像を具現し、ディスプレイ部2が作動しない時には、外部イメージが透過される透過領域となる。また、前記第2画素領域PA2は、光学的な共振を利用しないため、光抽出効率が低下するが、この点を利用して、ディスプレイ部2が作動する時にも、前記第2画素領域PA2を通じて、ユーザが外部透過イメージをほのかに見ることができる効果も得られる。
したがって、もしユーザが対向電極224の上部に位置すれば、ディスプレイ部2が作動する間にも第1画素領域PA1を通じて光抽出効率の高い鮮明で明るい画像を見ることができ、同時に第2画素領域PA2を通じてほのかに外部透過イメージを見ることができる。
【0081】
一方、本発明において、透過領域TAの透光率をさらに高め、透過領域TAで多層の透明な絶縁膜による光干渉現象及びこれによる色純度の低下と色変化を防止するために、前記第2画素領域PA2に対応する少なくとも一部領域で、絶縁膜のうち少なくとも一部の絶縁膜に開口229を形成する。
【0082】
本発明において、透過領域TAの外光透過率を高めるためには、透過領域TAの面積を増やすか、または透過領域TAに形成される材料の透過率を高めねばならない。しかし、透過領域TAの面積を増やすのは、画素回路部PCの設計に対する制限によって限界があるので、結局、透過領域TAに形成される材料の透過率を高めねばならない。しかし、材料自体の透過率を高めるのは、材料開発の困難によって限界がある。また、本発明は、前述したように、透過領域TAのほとんどの面積に第2画素領域PA2が位置するため、透過領域TAの外光透過率を高めるところに限界がある。
【0083】
このため、本発明は、第2画素領域PA2に対応する少なくとも一部領域で、絶縁膜のうち少なくとも一部の絶縁膜に開口229を形成する。
【0084】
図10に示したように、前記開口229は、画素回路部PCを覆うパッシベーション膜218に形成される。図10で、開口229は、前記パッシベーション膜218に形成されたと構成されたが、本発明は、必ずしもこれに限定されず、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つに前記開口229と連結された開口をさらに形成して、開口229における透光率をさらに高めうる。前記開口229は、スキャンラインS、データラインD及びVddラインVに抵触しない範囲内で、可能な限り広く形成されることが望ましい。
【0085】
本発明は、図面に示された一実施形態を参照して説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、表示装置関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 基板
2 ディスプレイ部
11 第1面
21 有機発光部
23 密封基板
24 密封材
25 間の空間
26 密封フィルム




【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面上に形成された複数の薄膜トランジスタと、
前記複数の薄膜トランジスタを覆うパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に前記各薄膜トランジスタと電気的に連結されるように形成され、前記各薄膜トランジスタを覆えるように前記各薄膜トランジスタと重畳されるように配され、光反射可能な導電性物質で備えられた反射膜を備える複数の第1画素電極と、
前記パッシベーション膜上に透光可能な導電性物質で、前記第1画素電極と電気的に連結されるように形成された第2画素電極と、
光の透過及び反射が可能に形成され、前記第1画素電極及び第2画素電極と対向する対向電極と、
前記第1画素電極及び第2画素電極と対向電極との間に介在されて発光層を備える有機膜と、を備える有機発光表示装置。
【請求項2】
前記対向電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第2画素電極は、ITO、IZO、ZnO及びInからなるグループから選択された少なくとも一つの金属酸化物で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1画素電極と第2画素電極とは、相互連結されたことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記反射膜は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
透過領域と前記透過領域を介して相互離隔された複数の第1画素領域とが区画された基板と、
前記基板の第1面上に形成され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備え、前記各第1画素領域内に位置する複数の画素回路部と、
前記複数の画素回路部を覆い、前記透過領域及び第1画素領域のいずれもに形成されたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜上に前記各画素回路部と電気的に連結されるように形成され、前記各第1画素領域内に位置し、前記各画素回路部を覆えるように前記各画素回路部と重畳されるように配され、光反射可能な導電性物質で備えられた反射膜を備える複数の第1画素電極と、
前記パッシベーション膜上に透光可能な導電性物質で、前記第1画素電極と電気的に連結されるように形成され、前記各透過領域内に位置する第2画素電極と、
光の透過及び反射が可能に形成され、前記第1画素電極及び第2画素電極と対向する対向電極と、
前記第1画素電極及び第2画素電極と対向電極との間に介在されて発光層を備える有機膜と、を備える有機発光表示装置。
【請求項7】
前記対向電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第2画素電極は、ITO、IZO、ZnO及びInからなるグループから選択された少なくとも一つの金属酸化物で形成されたことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第1画素電極と第2画素電極とは、相互連結されたことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記反射膜は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、及びこれらの合金からなるグループから選択された少なくとも一つの金属を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記各画素回路部と電気的に連結された複数の導電ラインをさらに含み、前記導電ラインのうち少なくとも一つは、前記各第1画素電極と重畳されるように配列されたことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記パッシベーション膜は、透明な物質で備えられたことを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記透過領域の少なくとも一部に、前記第2画素電極に対応する位置に前記基板及び対向電極の方向に発光される第2発光領域が位置することを特徴とする請求項6に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記透過領域に対応する位置に、透明な複数の絶縁膜が備えられたことを特徴とする請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記絶縁膜のうち少なくとも一つは、前記第2画素領域のうち少なくとも一部に対応する位置に開口を備えたことを特徴とする請求項14に記載の有機発光表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−175962(P2011−175962A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234177(P2010−234177)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】