説明

有機発光装置

本発明はアノード、カソードおよび前記アノードとカソードの間の有機半導体材料から構成される有機発光層を含む有機発光装置であって、前記有機半導体材料は1〜7モル%のアミンを含有し、前記カソードは金属酸化物から構成される電子注入層を含む有機発光装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置、フルカラーディスプレイおよびこれに使用するカソードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光装置(OLEDs)は、カソード、アノードおよびカソードとアノードの間の有機発光領域から構成される。発光有機材料は、US4539507に記載される低分子材料またはPCT/WO90/13148に記載されるポリマー材料から構成される。カソードは電子を発光領域に注入し、アノードは正孔を注入する。電子と正孔は結合して光子を生成する。
【0003】
図1は通常のOLEDの断面構造を示す。OLEDは、通常ガラスまたはプラスチック基板1に形成され、インジウム錫酸化物(ITO)層のような透明アノード2で覆われる。ITOで覆われた基板は、電子発光有機材料3およびカソード材料4の少なくとも1つの薄膜で覆われる。他の層、例えば、電極と電子発光材料の間の電荷輸送を改良するための層が装置に追加され得る。
【0004】
OLEDは従来の装置に比較して潜在的な利点を有するためその使用について大きな関心が寄せられてきている。OLEDは、相対的に低い稼動電圧および消費電力を有し、大面積のディスプレイを製造するのに容易なプロセス性を有する。実用的なレベルにおいては、明るく効率よく作動するOLEDを製造する必要性が存在する。
【0005】
OLED中のカソードの構造は、この技術分野において考慮すべき1つの側面である。モノクロOLEDの場合、カソードは単一の電子発光材料の最大の特性のために選択される。しかしながら、フルカラーOLEDの場合、赤、緑および青色有機発光材料から構成される。このような装置では、電子を全ての3つの発光材料に注入することのできるカソード、すなわち、「共通電極」が要求される。
【0006】
カソード4は、電子を電子発光層に注入することを可能にする仕事関数を有する材料から選択される。他の要因、例えば、カソードと電子発光材料の間の有害な相互作用の可能性もカソードの選択に影響する。カソードは、アルミニウム層のような単一層から構成することができる。あるいは、複数の金属、例えば、WO98/10621に開示されるようなカルシウムとアルミニウムの2層、WO98/57381、Appl.Phys.Lett.2002,81(4),634およびWO02/84759に開示されるバリウム元素、または、例えば、WO00/48258に開示されるフッ化リチウムまたはAppl.Phys.Lett.2001,79(5),2001に開示されるフッ化バリウムのような電子の注入を促進する誘電材料層から構成される。装置への電子の効率的な注入を提供するために、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。
【0007】
有機発光層(または、もし存在するならば、有機電子輸送層)と金属カソードの間に位置するフッ化金属層は装置の効率を改良することができる。例えば、Appl.Phys.Lett.70,152,1997参照。この改良は、有機層への改良された電子の注入を可能にするポリマー/カソードの境界における障壁の高さの減少からきていると信じられている。LiF/Alカソードを使用する装置の劣化のメカニズムはAppl.Phys.Lett.79(5)、2001において提案されており、LiFとAlは反応して、電子発光層に混入し、電子発光材料をドープするLi原子を開放する。しかしながら、本発明の発明者らはLiF/Alカソードは相対的に安定であり、その主要な欠点は相対的に低い効率(特に、共通カソードとして使用される場合)にあることを発見した。より効率的な配列は、Synth.Metals 2000,111−112,p.125〜128において共通カソードとして記載されるLiF/Ca/Alの3層を利用する。しかしながら、WO03/019696には、このカソードおよびチオフェン−ベンゾチアジアゾール−チオフェン繰返し単位から構成される赤色発光ポリマーのような硫黄含有蛍光電子発光材料を有する装置において劣化が特に注目されることが報告されている。WO03/019696は、LiFではなくバリウム系材料を使用することを提案しており、硫黄を含有する蛍光電子発光材料のためのBaF/Ca/Alの3層構造を開示する。ハロゲン化バリウムおよび酸化バリウムを含む他の化合物の使用の可能性がWO03/019696において述べられている。WO03/019696はWO00/55927に開示されるようなアミン含有発光材料を有するこれらカソードの使用について開示している。
【0008】
US6,563,262は、蛍光ポリ(p−フェニレンビニレン)発光材料(PPVs)のためのアルミニウムを有する酸化金属(例えば、BaO)の2層を使用することを提案している。
【0009】
WO04/083277において、本発明の出願人はアミン含有発光ポリマーを使用して装置特性が改良されることを見出したことを報告している。これらのポリマーはバリウム元素を含むカソードと共に使用することが開示されている。
【特許文献1】国際公開03/019696号パンフレット
【特許文献2】米国特許6,563,262号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的の一つは、改良された特性を有する、カソードおよび燐光有機電子発光材料から構成される有機発光装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的の一つは、フルカラーディスプレイの赤、緑および青色サブ画素からの発光が単一カソードの使用により改良されるように、少なくともその1つが有機燐光材料から構成される異なるタイプの種々の有機発光材料のための光−電気効率を高めることができるカソード、すなわち共通電極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面によれば、アノード、カソードおよび前記アノードと有機半導体材料を含むカソードの間の有機発光層を含む有機発光装置であって、前記有機半導体材料は1ないし7モル%のアミンを含み、前記カソードは金属の酸化物から構成される電子注入層を含む装置が提供される。
【0013】
1ないし7モル%のアミンを有する有機半導体材料と共に金属の酸化物から構成される電子注入層の使用は、WO04/083277に開示されるバリウムのような低仕事関数の金属並びにLiFおよびBaFのような他の化合物に比較して優良な装置特性を発揮することが驚くべきことに見出された。さらに、上述の組み合わせは、US6,563,262に開示されるPPVsまたはWO03/019696およびWO00/55927に開示されるポリマーのような他の有機半導体材料と共に金属酸化物電子注入層を使用する配列に比較して良好な装置特性が得られる。
【0014】
本発明の発明者は金属酸化物電子注入層とアミン含有半導体材料の組合せは良好な装置特性を導く有機発光層中の優れた電荷バランスを与えることを発見した。
【0015】
好ましくは、前記金属はリチウムのようなアルカリ金属またはカルシウムまたはバリウム、最も好ましくはバリウムのようなアルカリ土類金族である。バリウム酸化物は低アミン含有有機半導体材料と共に使用されるとき最良の装置特性を提供する。
【0016】
好ましくは、最良の電荷バランスを得るために、有機半導体材料は2〜6モル%のアミン、より好ましくは2〜5モル%のアミンを含む。アミンは有利にはトリアリールアミンである。このアミンは、正孔輸送及び発光の2重機能を提供するために発光単位であり得る。
【0017】
特に好ましい配列において、有機半導体材料は共役ポリマーから構成される。本発明の金属酸化物電子注入層は悪影響を及ぼすことなく、このようなポリマーへの良好な電荷注入を提供することが発見された。共役ポリマーは繰返し単位としてアミンを含み、好ましくは共役ポリマーはアミン繰返し単位と電子輸送繰返し単位、好ましくはフルオレン型繰返し単位のような他の機能の単位を含むコポリマーである。
【0018】
好ましい実施態様において、電子注入層は、3nm〜20nmの範囲の厚さを有する。有利には、電子注入層は透明であり、好ましくは少なくとも装置の95%において透明性を有する。
【0019】
電子を装置に注入するためのオーム接触を提供するために、カソードは好ましくはアルカリ土類金属酸化物層上に積層される導電性構造を有する。この導電性構造は1または2以上の導電性材料層を含む。
【0020】
1つの配列において、カソードは、有機半導体材料の反対側のアルカリ土類金属酸化物層上に積層される導電性金属層、透明なアルカリ土類金属酸化物層、および高い反射性の導電性金属層から構成される。導電性金属層は、50nmより大きな厚さを有することができる。導電性金属層は少なくとも70%の装置の反射率(リフレクトメーターにより測定されるとき)を有する。導電性金属層はAlおよびAgの少なくとも1つを有することができる。
【0021】
上述の配列は、従来の装置に比較して高い効率の装置特性をもたらすことが見出された。この1つの理由は前述した電子注入の改良にある。しかしながら、他の主要な原因はアルカリ土類金属酸化物とその上の反射層から構成される2層配列の反射率の大きな改良にある。理論的には、例えば、バリウムとアルミニウムの2層は、例えば、バリウムとバリウム酸化物の非常に薄い層について、バリウム酸化物とアルミニウムの2層と同じ反射率を有するはずである。これは、バリウムとバリウム酸化物の非常に薄い層からの吸収および/または反射は無視できるものであり、アルミニウムの反射率が支配的になるためである。しかしながら、実際は、バリウム酸化物/アルミニウムの2層はバリウム/アルミニウムの2層より反射率が高いことがわかった(約20%の反射率の増加が測定された)。反射率の増加は高い効率の底面発光装置をもたらす。
【0022】
他の配列において、電子注入層の高い透明性は透明なカソードにおける使用を適切にする。この場合、透明な導電性構造は電子注入層の上に形成され得る。透明な導電性構造は、例えば、透明になるほど十分に薄い金属層またはインジウム錫酸化物のような透明な導電性酸化物から構成される。
【0023】
さらに他の配列において、導電性の構造は3.5eV以下の仕事関数を有する第1導電層(例えば、BaまたはCa層)および約3.5eVの仕事関数を有する第2導電層(例えば、Al層)から構成されることができる。
【0024】
好ましくは、低アミン含有有機半導体材料は青色発光することができる。このように、低アミン含有有機半導体材料は装置中の青色発光材料として利用されることができ、金属酸化物層はこれら青色発光材料に対して優れた注入材料であり、バリウムのような低仕事関数金属またはLiFのような化合物よりはるかに適していることが分かった。
【0025】
本発明の低アミン含有有機半導体材料は燐光発光体のホスト材料として有益である。このような材料は電荷を燐光発光体に効率よく移転することができる。このように、金属酸化物層はこのようなホスト材料に対して優れた電子注入材料であり、金属酸化物層はこのようなホスト材料に対して優れた注入材料であり、バリウムのような低仕事関数金属またはLiFのような化合物よりはるかに適していることが分かった。
【0026】
本発明は、電荷を燐光発光体の範囲に効率よく移転できる非常に浅いLUMOを有するホスト材料に電子が効率よく注入される配列を提供するので、燐光材料は、青、緑または赤色発光体であり得る。燐光材料は、通常は金属錯体、特に、遷移金属、例えば、イリジウム錯体である。
【0027】
本発明の実施態様の有機発光装置は、有機発光層が赤、緑および青色電子発光材料のサブ画素から構成され、カソードが電子をそれぞれのサブ画素に注入するフルカラーディスプレイとして利用され得る。本発明の実施態様のカソードは、電子発光材料と有害な反応をせずに効率的な電子の注入を提供する赤、緑および青色電子発光材料の共通電極として有用である。
【0028】
「赤色電子発光材料」は、600〜750nmの波長範囲、好ましくは600〜700nmの波長範囲、より好ましくは610〜650nmの波長範囲、最も好ましくはピークが約650〜660nm有する放射線を発光する有機材料を意味する。
【0029】
「緑色電子発光材料」は、510〜580nmの波長範囲、好ましくは510〜570nmの波長範囲を有する放射線を発光する有機材料を意味する。
【0030】
「青色電子発光材料」は、400〜500nmの波長範囲、好ましくは430〜500nmの波長範囲を有する放射線を発光する有機材料を意味する。
【0031】
1つの好ましい配列において、同じ有機半導体材料が、蛍光青色発光材料として青色サブ画素中に供給され、燐光赤色および/または緑色有機材料のホスト材料として赤色および緑色サブ画素の少なくともどちらか1つに供給される。最も好ましくは、同じ材料が青色サブ画素中の青色発光材料として、また、赤色発光サブ画素中に燐光赤色発光体のホスト材料として使用される。このような配列は異なる種類のサブ画素中への優良な注入を保証し、青色燐光材料の相対的に見時間発光半減期の問題を解決する。さらに、材料およびプロセスのコストが装置内の異なる機能のための共通の材料を使用することによって減らされる。
【0032】
有機半導体ホスト材料は好ましくは共役ポリマーである。有利には、このポリマーはアミン繰返し単位、好ましくは、トリアリーアミン繰返し単位から構成されるコポリマーである。好ましくは、このコポリマーは最大50%までのアミン繰返し単位、好ましくは1〜15%のアミン繰返し単位、より好ましくは1〜10%のアミン繰返し単位から構成される。このアミンは装置のアノードから良好な正孔輸送を提供し、本発明の実施態様のカソードからの電子注入の増加に均衡する十分な正電荷を提供する。
【0033】
有機発光層における正電荷をさらに増加させるために、例えば、導電性有機材料から構成される正孔注入材料は、アノードと有機発光層の間に供給される。有機正孔注入材料の例としては、EP0901176およびEP0947123に開示されるPEDT/PSSおよびUS5723873およびUS5798170に開示されるポリアニリンがある。PEDT/PSSは、ポリスチレンスルフォン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンである。
【0034】
より好ましくは、本発明の実施態様のカソードからの電子の注入の増加に均衡する十分な正電荷を供給するために、正孔輸送材料層が正孔注入材料と有機発光層の間に供給される。正孔輸送材料は共役ポリマーのような半導体有機材料から構成される。優良な装置特性は、共役ポリマー正孔輸送材料を含むトリアリールアミンを利用することによって達成される。低仕事関数金属酸化物またはバリウム化合物電子注入層および燐光有機材料と結合されて使用されるこれらの材料は、装置特性の改良をもたらす優良な電荷注入と電荷の均衡を提供する。
【0035】
特に好ましいトリアリールアミン繰返し単位は、式1−6の選択的に置換される繰返し単位から選択される。
【化1】

上記式において、X,Y,A,B,CおよびDは、Hまたは置換基から独立して選択される。より好ましくは、X,Y,A,B,CおよびDの1または2以上は、選択的に置換される、分岐状または直鎖アルキル、アリール、ペルフルオロアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリールおよびアリールアルキル基からなる群より独立して選択される。最も好ましくは、X、Y、AおよびBはC1−10アルキルである。ポリマーの主鎖中の芳香環は、直鎖または架橋基または架橋原子、特に酸素のような架橋へテロ原子によって結合される。
【0036】
また、トリアリールアミン繰返し単位として特に好ましいものは、式6aの選択的に置換される繰返し単位である。
【化2】

上記式において、Hetはヘテロアリール基を表す。
【0037】
他の好ましい正孔輸送材料は一般式(6aa)の繰返し単位から構成される。
【化3】

上記式において、Ar、Ar、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立して、アリールまたはヘテロアリール環またはこれらの縮合誘導体を表し、Xは選択的なスペーサー基を表す。
【0038】
1または2以上のアミン繰返し単位1−6,6aおよび6aaから構成されるコポリマーは、好ましくは、アリーレン繰返し単位、特に、J.Appl.Phys.1996,79,934に開示される1,4フェニレン繰返し単位、EP0842208に開示されるフルオレン繰返し単位、例えば、Macromolecules 2000,33(6),2016−2020に開示されるインデノフルオレン繰返し単位、例えば、EP0707020に開示されるスピロビフルオレン繰返し単位から選択される。これらの繰返し単位はそれぞれ選択的に置換される。置換基の例としては、C1−20アルキルまたはアルコキシのような可溶性基、ポリマーのガラス転移温度(Tg)を高める置換基がある。
【0039】
特に好ましいコポリマーは式6bの第1繰返し単位から構成される。
【化4】

上記式において、RおよびRは、水素または選択的に置換されるアルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから独立して選択される。より好ましくは、RおよびRの少なくとも1つは選択的に置換されるC−C20アルキルまたはアリール基から構成される。
【0040】
上記に規定されるように、第1の繰返し単位およびアミン繰返し単位から構成されるコポリマーは、正孔輸送層のための正孔輸送材料、燐光ドープ材のためのホスト材料、および/または蛍光材料、特に緑または青色蛍光材料に対して異なる色の燐光材料と組み合わせて使用される蛍光材料として使用される。
【0041】
本発明の第2の側面によれば、アノード、カソードおよび前記アノードとカソードの間の有機半導体材料から構成される有機発光層を含む有機発光装置であって、前記有機発光層は青、緑および赤色発光材料から構成され、前記カソードは電子を各画素に注入し、前記カソードは金属酸化物を含む電子注入層から構成されるフルカラーディスプレイ装置が提供される。
【0042】
本発明の第2の側面のフルカラーディスプレイは本発明の第1の側面に関連して検討した特徴それ自体またはその組合せを含むものである。特に、本発明の第2の側面の実施においては、有機半導体材料が低アミン含有量を有することは必須ではない。
【0043】
前述したように、本発明の実施態様のカソードは、発光材料に悪影響を及ぼすことがない、効率の増加を提供する、赤、緑および青色発光材料のための共通のカソードとして有用である。反射性導電層を有する金属酸化物から構成される電子注入層は公知のカソード構造に比較して共通のカソードとして良好に機能する。この結果は予想外のものであり、改良された電荷バランス、改良された安定性および改良された反射性を含む要因の組合せによるものである。フルカラーディスプレイ装置についての特に好ましい配列は、発光層の1つの面上に共通の酸化バリウムまたは他の低仕事関数金属酸化物の電子注入層を、発光層の他の面に共通のトリアリールアミンの正孔輸送材料を利用する。このような配列は、赤、緑および青色発光材料に対して良好な電荷注入および電荷バランスを提供し、これによって良好な寿命を有し、異なる色のサブ画素に対して共通の材料が利用されるので製造が簡単な高い効率のフルカラーディスプレイを提供する。フルカラーディスプレイは、前述したように、青色発光体、並びに赤および/緑発光体のホスト材料として共通の材料を使用しることによってさらに改良され、簡素化される。
【0044】
本発明のディスプレイは公知の標準の技術を使用して製造することができる。特に、有機材料は、スピンコートおよびインクジェット印刷のような溶液プロセスを使用して積層することが有利である。特に好ましい技術は、サブ画素の発光材料をインクジェット印刷することを含む。
【0045】
本発明のカソードはパルス駆動ディスプレイに有益である。
【0046】
本発明は添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【0047】
図2は、本発明の実施態様のOLEDの断面構造を示す。OLEDは、インジウム錫酸化物(ITO)層から構成される透明なアノード12でコーティングされたガラス基板上に製造される。ITOがコーティングされた基板はPEDOT−PSSの正孔注入層14で覆われている。フルオレン繰返し単位とトリアリールアミン繰返し単位の1:1の規則交代コポリマーから構成される正孔輸送層16はその上に積層され、その上には、ホスト材料と燐光有機材料から構成される電子有機材料18の薄膜が積層される。アルカリ土類金属の酸化物の電子注入層20とアルミニウムまたは銀のような反射層から構成される2層カソードが電子発光有機材料18の上に積層される。
【0048】
この装置は、湿気と酸素の浸入を防止するためにカプセル材(図示しない)でカプセル化される。適切なカプセル材としては、ガラスシート、例えば、WO01/81649に開示されるポリマーと誘電体の交互堆積のような適切な障壁特性を有する薄膜、または例えば、WO01/19142に開示される密封容器がある。基板またはカプセル材を貫通する大気中の湿気および/または酸素の吸収のためのゲッター材料は基板とカプセル材の間に配置される。
【0049】
第1の繰返し単位(6b)から構成されるポリマーは、装置のどの層に使用されるかおよび共繰返し単位の性質に応じて、正孔輸送、電子輸送および発光の1または2以上の機能を提供することができる。
【0050】
特に、
9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジイルのホモポリマーのような第1の繰返し単位のホモポリマーが電子輸送を提供するために利用される。
【0051】
第1の繰返し単位およびトリアリールアミン繰返し単位、特に、式1−6aaから選択される繰返し単位から構成されるコポリマーが正孔輸送および/発光を提供するために利用される。
【0052】
第1の繰返し単位およびヘテロアリーレン繰返し単位から構成されるコポリマーが電荷輸送または発光のために利用される。好ましいヘテロアリーレン繰返し単位は式7〜21から選択される。
【化5】

上記式において、RおよびRは同じか異なり、それぞれ独立して水素または置換基、好ましくは、アルキル、アリール、ペルフルオロアルキル、チオアルキル、シアノ、アルコキシ、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキルから選択される。製造の容易化のため、RおよびRは好ましくは同じである。より好ましくは、これらは同じであり、それぞれフェニル基である。
【0053】
【化6】

【化7】

【化8】

【0054】
電子発光コポリマーは、例えば、WO00/55927およびUS/6353083に開示されるように、電子発光領域、並びに正孔輸送領域および電子輸送領域の少なくとも1つから構成される。正孔輸送領域および電子輸送領域の1つだけが供給される場合は、電子発光領域が正孔輸送および電子輸送の他の機能も供給する。
【0055】
このようなポリマー内の異なる領域はUS6353083に示されるようにポリマー主鎖に沿って、またはWO01/62869に示されるようにポリマー主鎖からの分岐基として供給される。
【0056】
これらのポリマーの好ましい製造方法は、例えば、WO00/536536に開示されるようなスズキ重合、および例えば、T.Yamamoto,“Electrically Conducting And Thermally Stable π−Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Process”,Progress in Polymer Science 1993,17,1153−1205に記載されるヤマモト重合である。これらの重合技術は、共に、金属錯体触媒の金属原子がモノマーのアリール基と離脱基の間に挿入される「金属挿入」によって作動する。ヤマモト重合の場合、ニッケル錯体触媒が使用される。スズキ重合の場合、パラジウム錯体触媒が使用される。
【0057】
例えば、ヤマモト重合による直鎖ポリマーの合成において、2つの反応性ハロゲン基を有するモノマーが使用される。同様に、スズキ重合の方法によれば、少なくとも1つの反応基はボロン酸またはボロンエステルのようなボロン誘導基であり、他の反応基はハロゲンである。好ましいハロゲンは塩素、臭素およびヨウ素、最も好ましくは臭素である。
【0058】
本明細書を通じて例示されるアリール基から構成される繰返し単位および末端基は適切な離脱基を有するモノマーから導かれる。
【0059】
スズキ重合は、部分規則、ブロックおよびランダムコポリマーを製造するのに使用される。特に、ホモポリマーまたはランダムコポリマーは、1つの反応基がハロゲンで他の反応基がボロン酸基またはこれの誘導体、例えばボロンエステルの場合に製造される。あるいは、ブロックまたは部分規則、特にABコポリマーは、第1モノマーの反応基が共にボロン酸基またはこの誘導体であり、第2モノマーの反応基が共にハロゲンのときに製造される。
【0060】
ハロゲン化合物の替わりとして、金属挿入に参加することができる他の離脱基はトシレート、メシレートおよびトリフレートを含む基がある。
【0061】
単一ポリマーまたは複数のポリマーは層を形成する溶液から積層される。ポリアリーレン、特にポリフルオレンのための適切な溶媒としては、トルエンおよびキシレンのようなモノまたはポリ−アルキルベンゼンがある。特に好ましい溶液積層技術は、スピンコートとインクジェット印刷である。
【0062】
スピンコートは、電子発光材料のパターニングが不必要な場合、例えば、照明の用途または単一モノクロ区域ディスプレイに特に適している。
【0063】
インクジェット印刷は、高度情報コンテンツディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに適している。OLEDのインクジェット印刷については、例えば、EP0880303に記載される。
【0064】
装置の多層が溶液プロセスにより形成される場合、当業者は隣接する層の相互の混合を防止する技術、例えば、次の層の積層前に前の層を架橋すること、または第1層が形成される材料が第2層の積層のために使用される溶媒に不溶性であるように隣接する層の材料を選択することについて認識するだろう。
【0065】
上記に一定の好ましいポリマーホスト材料について記載したが、Ikai et al.(Appl.Phys.Lett.,no.2,2001,156)に開示される、CBPとして知られる4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)およびTCTAとして知られる(4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン)のような「低分子」ホスト材料、並びにMTDATAとして知られるトリス−4−(N−3−メチルフェニル−N−フェニル)フェニルアミンのようなトリアリールアミンを含む他の適切なホスト材料が公知文献に記載されている。他のポリマーホスト材料としては、例えば、Appl.Phys.Lett.2000,77(15),2280に開示されるポリ(ビニルカルバゾール)、Synth.Met.2001,116,379,Phys.Rev.B2001,63,235206およびAppl.Phys.Lett.2003,82(7),1006に開示されるポリフルオレン、Adv.Mater.1999,11(4),285に開示されるポリ[4−(N−4−ビニルベンシルオキシエチル,N−メチルアミノ)−N−(2,5−ジ−タート−ブチルフェニルナフタルイミド)およびJ.Mater.Chem.2003,13,50−55に開示されるポリ(パラ−フェニレン)がある。
【0066】
有機燐光材料は完全に金属錯体である。この金属錯体は式(22)の選択的に置換された錯体から構成される。
ML (22)
上記式において、Mは金属であり、L、LおよびLは配位基であり、qは整数であり、rおよびsはそれぞれ独立して0または整数である。(a.q)+(b.r)+(c.s)はM上で有効な配位位置の数であり、aは、L上の配位位置の数、bはL上の配位位置の数、およびcはL上の配位位置の数である。
【0067】
重金属元素Mは、急速な相互系交差および3重項からの発光(燐光)を可能にする強力なスピン軌道分離をもたらす。適切な重金属Mとしては次のものがある。
セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロジウム、ツリウム、エルビウムおよびネオジウム、および
d−ブロック金属、特に、2列および3列、すなわち、元素39〜48および72〜80、特に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナおよび金。
【0068】
f−ブロック金属のための適切な配位基としては、カルボン酸、1,3−ジケトネート、水酸化カルボン酸、アシルフェノールを含むシッフ塩基およびイミノアシル基のような酸素または窒素寄与系がある。公知のように、発光ランタニド金属錯体は、金属イオンの1重項の励起状態より高い3重項エネルギーレベルを有する感応基を必要とする。発光は金属のf−f転移からのものであり、したがって発光色は金属の選択によって決められる。鋭い発光は、通常、狭く、ディスプレイ用途に有益な純粋な色の発光をもたらす。
【0069】
d−ブロック金属は、ポルフィリンまたは一般式(VI)の2座リガンドのような炭素または窒素ドナーを有する有機金属錯体を形成する。
【化9】

ArおよびArは同じか異なり、選択的に置換されるアリールまたはヘテロアリールから独立して選択され、XおよびYは同じか異なり、炭素または窒素から独立して選択され、ArおよびArは互いに縮合され得る。Xが炭素でありYが窒素であるリガンドは特に好ましい。
【0070】
2座リガンドの例は下記に示される。
【化10】

ArおよびArはそれぞれ1または2以上の置換基を有することができる。特に好ましい置換基としては、WO02/45466、WO02/44189、US2002−117662およびUS2002−182441に開示されるような錯体の発光を青色シフトするために使用されるフッ素またはトリフルオロメチル、WO02/81448に開示されるような発光材料として使用されるとき錯体の正孔輸送を促進するために使用されえるカルバゾール、WO02/68435およびEP1245659に開示されるような他の基の付着のためのリガンドを機能化する働きをする臭素、塩素またはヨウ素、およびWO02/66552に開示されるような金属錯体の溶液プロセス性を得るためまたは高めるために使用されるデンドロンがある。
【0071】
d−ブロック元素と共に使用するに適した他のリガンドとしては、ジケトネート、特に、それぞれ置換されえるアセチルアセトネート(acac)、トリアリールホスフィンおよびピリジンがある。
【0072】
主族金属錯体はリガンド系または電荷転移発光を示す。これらの錯体について、発光色は金属だけでなくリガンドの選択によっても決められる。
【0073】
1つの好ましい実施態様において、金属錯体は式(A)または(B)を有する。
【化11】

【化12】

上記式において、RはHまたは置換基、例えば、表面基を含む伝ドロンを表す。好ましい表面基は、可溶性基、特に、アルキルまたはアルコキシ基である。リガンドは同じか異なることができる。同様に、Rは同じか異なることができる。
【0074】
燐光材料は、式(C)および(D)で示されるようなデンドリマーから構成され得る。
【化13】

【化14】

上記式において、RはHまたは置換基(他の2つのリガンドに付着するデンドロンとは異なるデンドロンであり得る)を表し、R’はHまたは表面基であり得る。好ましい表面基は可溶性基、特に、アルキルまたはアルコキシ基である。リガンドは同じか異なることができる。同様に、Rは同じか異なることができる。
【0075】
ホスト材料および錯体は物理的混合の形で結合され得る。あるいは、金属錯体はホスト材料に化学的に結合され得る。ポリマーホスト材料の場合、例えば、EP1245659、WO02/31896、WO03/18653およびWO03/22908に開示されるように、金属錯体はポリマー主鎖に付着する置換基として、ポリマー主鎖中の繰返し単位として、またはポリマーの末端基として化学的に結合され得る。
【0076】
広い範囲の蛍光性低分子量金属錯体が公知であり、特に、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムは勇気発光装置において試作されてきた(例えば、Macromol.Sym.125(1997)1−48,US−A 5,150,006,US−A 6,083,634およびUS−A 5,423,014参照)。2価または3価の金属のための適切なリガンドとしては、次のものがある。オキシノイド、例えば、酸素−窒素または酸素−酸素寄与原子を有するもの、8−ヒドロキシキノレートおよびヒドロキシキノクサリノール−10−ヒドロキシベンゾ(h)キノリナート(II)、ゾーベンザゾール(III)、シッフ塩基、アゾインドール、クロモン誘導体、3−ヒドロキシフラボン、およびサリチレートアミノカルボキシレートおよびエステルカルボキシレートのようなカルボン酸のような置換酸素原子を有する環状窒素原子、または置換酸素原子を有する置換窒素または酸素原子がある。選択的な置換基としては、発光色を調整することができる(ヘテロ)芳香環上の、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、シアノ、アミド、スルホニル、カルボニル、アリールまたはヘテロアリールがある。
【0077】
一般的な手続き
一般的な手続きは下記の工程に従う。
1)Baytron p(商標登録)としてBayer(商標)から市販されているPEDT/PSSをガラス基板上に支持されたインジウム錫酸化物上にスピンコートにより積層する。
2)濃度2%w/vを有するキシレン溶液からスピンコートによって、正孔輸送ポリマーを蒸着する。
3)不活性(窒素)雰囲気中で正孔輸送材料層を加熱する。
4)残留する可溶性正孔輸送材料を除去するためにキシレン中で基板を選択的にスピン洗浄する。
5)ホスト材料および有機燐光材料から構成される有機発光材料をキシレン溶液からスピンコートによって積層する。
6)有機発光材料上にBaO/Alカソードを積層し、Saes Getters SpAから市販されている気密性包装材を使用してこの装置をカプセル化する。
【0078】
フルカラーディスプレイ
標準のリソグラフィー技術、すなわち、各サブ画素ウェル中にPEDT/PSSをインクジェット印刷する、正孔輸送材料をインクジェット印刷する、および赤、緑および青色サブ画素のウェルにそれぞれ赤、緑および青色電子発光材料をインクジェット印刷する工程を使用して、赤、緑および青色サブ画素を形成することによって、EP0880303に記載されるプロセスに従ってフルカラーディスプレイが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】典型的なOLEDの断面構造を示す。
【図2】本発明の実施態様のOLEDの断面構造を示す。
【符号の説明】
【0080】
1 基板
2 透明アノード
3 電子発光有機材料
4 カソード金属
10 ガラス基板
12 アノード
14 正孔注入層
16 正孔輸送層
18 電子発光有機材料
20 電子注入層
22 反射層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、カソードおよび前記アノードとカソードの間の有機半導体材料から構成される有機発光層を含む有機発光装置であって、前記有機半導体材料は1〜7モル%のアミンを含有し、前記カソードは金属酸化物から構成される電子注入層を含む有機発光装置。
【請求項2】
前記金属はアルカリ金属またはアルカリ土類金属である請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記金属はアルカリ土類金属である請求項2に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記金属はバリウムである請求項3に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記有機半導体材料は2〜6モル%のアミンを含有する請求項1ないし4のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記有機半導体材料は2〜5モル%のアミンを含有する請求項1ないし5のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項7】
前記アミンはトリアリールアミンから構成される請求項1ないし6のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項8】
前記アミンは発光単位である請求項1ないし7のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項9】
前記有機半導体材料は共役ポリマーから構成される請求項1ないし8のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項10】
前記共役ポリマーは繰り返し単位としてアミンから構成される請求項9に記載の有機発光装置。
【請求項11】
前記共役ポリマーはコポリマーである請求項10に記載の有機発光装置。
【請求項12】
前記コポリマーは電子輸送繰返し単位から構成される請求項11に記載の有機発光装置。
【請求項13】
前記電子輸送繰返し単位はフルオレン繰返し単位から構成される請求項12に記載の有機発光装置。
【請求項14】
前記電子注入層は3nm〜20nmの厚さを有する請求項1ないし13のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項15】
前記電子注入層は少なくとも95%の装置における透明性を有する請求項1ないし14のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項16】
前記カソードは前記有機発光層の反対側上の電子注入層上に積層される導電性構造をさらに含む請求項1ないし15のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項17】
前記導電性構造は1または2以上の導電性材料層から構成される請求項16に記載の有機発光装置。
【請求項18】
前記導電性構造は反射性である請求項16または17に記載の有機発光装置。
【請求項19】
前記導電性構造は少なくとも70%の反射性を有する請求項18に記載の有機発光装置。
【請求項20】
前記導電性構造は金属層から構成される請求項18または19に記載の有機発光装置。
【請求項21】
前記金属層は少なくとも50nmの厚さを有する請求項20に記載の有機発光装置。
【請求項22】
前記金属層はAlおよびAgの少なくとも1つから構成される請求項20または21に記載の有機発光装置。
【請求項23】
前記金属層はAlから構成される請求項22に記載の有機発光装置。
【請求項24】
前記導電性構造は透明である請求項16または17に記載の有機発光装置。
【請求項25】
前記導電性構造は少なくとも95%の透明性を有する請求項24に記載の有機発光装置。
【請求項26】
前記導電性構造は薄い透明性金属層または透明導電性酸化物層から構成される請求項24または25に記載の有機発光装置。
【請求項27】
前記導電性構造は、前記電子注入層上に積層され、3.5eV以下の仕事関数を有する第1の導電層と、前記第1の導電層上に積層され、3.5eV以上の仕事関数を有する第2の導電層から構成される請求項16に記載の有機発光装置。
【請求項28】
前記第1の導電層はBaまたはCaの層である請求項27に記載の有機発光装置。
【請求項29】
前記第2の導電層はAlの層である請求項27または28に記載の有機発光装置。
【請求項30】
前記有機発光層は前記電子注入層に直接接触している請求項1ないし29のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項31】
前記有機半導体材料は青色発光することができる請求項1ないし29のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項32】
前記有機半導体材料は前記装置中の青色発光材料である請求項31に記載の有機発光装置。
【請求項33】
前記有機半導体材料は、その中に燐光材料が配合されるホスト材料である請求項1ないし31のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項34】
前記燐光材料は赤色発光材料である請求項33に記載の有機発光装置。
【請求項35】
前記燐光材料は金属錯体である請求項33または34に記載の有機発光装置。
【請求項36】
前記金属錯体はイリジウムから構成される請求項35に記載の有機発光装置。
【請求項37】
前記金属錯体は一般式(A)または(B)を有する請求項35または36に記載の有機発光装置であって、
【化1】

【化2】

上記式において、Mは金属を表し、Rは、H、置換基、または表面基を含むデンドロンを表す有機発光装置。
【請求項38】
前記燐光材料はデンドリマーから構成される請求項33ないし37のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項39】
前記デンドリマーは一般式(C)または(D)を有する請求項38に記載の有機発光装置であって、
【化3】

【化4】

上記式において、Mは金属を表し、Rは、H、置換基、または表面基を含むデンドロンを表し、R’は、Hまたは表面基を表す有機発光装置。
【請求項40】
前記装置は前記アノードが積層される基板をさらに含み、前記基板はアクティブマトリックスから構成される請求項1ないし39のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項41】
前記有機発光層は、赤、緑および青色発光材料のサブ画素から構成され、前記カソードは各サブ画素に電子を注入する請求項1ないし40のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項42】
前記材料は青色発光材料として青色サブ画素中に供給され、ホスト材料として前記赤および緑色サブ画素の少なくとも1つに供給される請求項41に記載の有機発光装置。
【請求項43】
正孔注入層が前記アノードと前記有機発光層の間に供給される請求項1ないし42のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項44】
前記正孔注入材料が導電性有機材料から構成される請求項43に記載の有機発光装置。
【請求項45】
前記導電性有機材料は導電性ポリマーから構成される請求項44に記載の有機発光装置。
【請求項46】
正孔輸送材料が前記正孔注入材料層と前記有機発光層の間に供給される請求項43ないし45のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項47】
前記正孔輸送材料は半導体有機材料から構成される請求項46に記載の有機発光装置。
【請求項48】
前記半導体有機材料は共役ポリマーから構成される請求項47に記載の有機発光装置。
【請求項49】
前記電子注入層は3.5eV以下の仕事関数を有する金属元素を含まない請求項1ないし48のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項50】
前記電子注入層は本質的に金属酸化物からなる請求項1ないし49のいずれかに記載の有機発光装置。
【請求項51】
アノード、カソードおよび前記アノードとカソードの間の有機半導体層材料から構成される有機発光層を含むフルカラーディスプレイ装置であって、前記有機発光層は赤、緑および青色有機発光材料のサブ画素を含み、前記カソードは電子を各サブ画素に注入し、前記カソードは金属酸化物から構成される電子注入層から構成されるフルカラーディスプレイ装置。
【請求項52】
請求項1ないし50のいずれかに特定される有機発光装置に基づいて配列される請求項51に記載のフルカラーディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−525606(P2009−525606A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552888(P2008−552888)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000371
【国際公開番号】WO2007/088383
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(503419985)シーディーティー オックスフォード リミテッド (21)
【Fターム(参考)】