説明

有機電子デバイス

本発明は、式(I)の電子輸送材料を用いる有機電子デバイス、とりわけ、蛍光エレクトロルミネセンスデバイスの改善に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、有機電子デバイスにおけるある種の化合物の使用を記載する。
【0002】
有機半導体の使用は、最も広い意味において電子産業とみなされ得る多くの様々なアプリケーションにおいてかねてから実現されており、あるいは、近い将来に期待される。可視スペクトル領域において光を放射することができる半導体有機化合物の使用は、例えば、有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいて、市場への導入が始まったところである。OLEDを含む簡単なデバイスについては、「有機ディスプレイ」を有する、パイオニア社製のカーラジオ、パイオニア社およびSNMD社製の携帯電話、およびコダック社製のデジタルカメラにより確認されるように、市場への導入が既に行われている。このタイプの他の製品は、導入されているところである。有機太陽電池(O−SC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機集積回路(O−IC)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(O−laser)は、研究段階において非常に進歩しており、将来重要なものとなるはずである。
【0003】
有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)の一般構造は、例えば、US 4,539,507、US 5,151,629、EP 0676461、WO 98/27136 および WO 04/058911 に記載されており、ここで、これらのデバイスは、一般に、複数の層から成る。有機太陽電池(例えば、WO 98/48433、WO 94/05045)、有機電界効果トランジスタ(例えば、US 5705826、US 5596208、WO 00/42668)、有機薄膜トランジスタ、有機集積回路(例えば、WO 95/31833、WO 99/10939)、有機光増幅器、または有機レーザーダイオード(例えば、WO 98/03566)は、同様の一般構造を有する。
【0004】
しかしながら、早急の改善を要するかなりの問題がなお存在する:
1.効率は近年改善されているが、特に蛍光OLEDにおいて未だに低く、改善される必要がある。
【0005】
2.特に蛍光OLEDにおいて、駆動電圧および駆動電流はかなり高く、従って、パワー効率を改善するためにさらに低減させる必要がある。このことは、とりわけ携帯アプリケーションにおいて非常に重要である。
【0006】
3.電子デバイスの駆動寿命は未だに短く、これは、今日までは、簡単なアプリケーションを商業的に得ることができるのみであることを意味する。
【0007】
4.以下に記載するが、多くのアプリケーションについて、今日用いられている材料を用いて得ることができるものよりも、より厚い電子輸送層が必要とされる。これらの材料の電荷担体移動度が不十分であるためである。
【0008】
5.最もよく使われる電子伝導体AIQは、以下に詳細に記載する種々の不利点を有する。
【0009】
多くのアプリケーションについて、電子輸送材料の比較的厚い層を使用できることが所望されることだろう。これによって、短絡の発生が低減され得る、または完全に防止され得るという利点を有し得る。さらに、このことは、蛍光青色OLEDおよびリン光赤色と緑色OLEDの組み合わせが、ディスプレイにおいて用いられる場合に特に当てはまる。リン光OLEDは、一般的に、より厚い層構造を有するために、各種のOLEDが同一の総合した厚さを有するという目的で、蛍光青色OLEDは、より厚い電子輸送層を含む必要がある。しかしながら、従来技術に従う電子輸送化合物の電子移動度は、この目的に不十分であるため、実際のところは未だに可能ではない。
【0010】
電子伝導体としてAIQを用いるエレクトロルミネセンスデバイスは、US 4,539,507 において1983年に既に記載されている。これ以来、AIQは、殆どのOLEDにおいて電子輸送材料として用いられている。上記した明細書において、これは、発光層における電子輸送材料として用いられる。しかしながら、AIQは、多くの不利点を有する。すなわち、これは、昇華温度において部分的に分解するために、残渣を残すことなく蒸着することができず、このことは、特に製造プラントにおける主要な問題である。このことは、蒸着源を絶えず浄化するか、交換する必要があるという結果を有する。さらに、AIQの分解生成物はOLEDに入り込み、ここで、これらは、寿命の短縮および量子効率とパワー効率の低下の一因となる。重大な実用上の不利点は、AIQの高い吸湿性である。通常条件下で合成し、貯蔵すると、ヒドロキシキノリン配位子に加えて、AIQは、さらに、錯体分子につき1モルの水を含み(H.シュミットバウアー(Schmidbaur)等、Z. Naturforsch. 1991, 46b, 901−911)、これは、除去することが極めて困難である。従って、OLEDにおける使用のために、AIQは、複雑な、多工程の昇華プロセスにおいて、複雑な方法で精製する必要があり、続いて、水を排除しながら保護ガス雰囲気下で貯蔵し、取り扱う必要がある。さらに、個々のAIQのバッチの質における大きなばらつきと、低い貯蔵安定性が観察されている(S.カルク(Karg)、 E-MRS Conference 30.5.00-2.6.00、シュトラスブルグ)。加えて、AIQは低い電子移動度を有し、これは、より高い電圧と、それ故のより低いパワー効率を結果として招く。ディスプレイにおける短絡を防止するために、上記したように、層の厚さを増すことが所望され得るが、AIQでは、低い電荷担体移動度とこれに伴う電圧の上昇のために、このことは不可能である。他の電子伝導体(US 4,539,507)の電荷担体移動度は、比較的厚い層を形成するためには同様に低く、OLEDの寿命は、AIQを用いるよりもさらに悪い。他の非常に好ましくない因子は、AIQの固有の色(固体状態において黄色)であることが判明し、これは、特に青色OLEDにおいて、再吸収および弱い再発光に起因するカラーシフトを招く。ここでは、効率におけるかなりの低下およびカラー位置におけるシフトを伴って、青色OLEDを製造することができるのみである。AIQの使用のさらなる不利点は、正孔に対する不安程な性質であり(Z.ポポビッチ(Popovic)等、Proceedings of SPIE 1999, 3797, 310−315)、これは、長時間の使用において、常に、部品における問題をもたらし得る。上記の不利点にも関わらず、AIQは、今日まで、OLEDにおける電子輸送材料の種々の要件についての最も優れた妥協を示す。満足のいく電子輸送材料は、上記した他のアプリケーションについても同様に、今日まで発見されていない。
【0011】
OLEDにおけるある種のケトンの使用が、文献(例えば、JP 6192654 または JP 406100857)中に詳細に既に記載されている。しかしながら、ここで用いられている化合物は、固有の色を有し、特に青色OLEDの場合において、カラーシフトを招く、または再吸収に起因する低下した効率を少なくとも招くという不利点を有する。従って、この既知化合物は、青色OLEDにおける使用について、AIQに勝る利点を示さない。OLEDの工業生産については、全ての色について同じ電子伝導体を用いることが好ましいため、これらの化合物は、他の発光色についても、使用に適したAIQの代替物ではない。
【0012】
従って、有機電子デバイスにおいて、良好な効率と同時に長い寿命をもたらす電子輸送材料についての要求が存在し続けている。驚くべきことに、電子輸送材料として、以下に記載する、ある種の化合物を含む有機電子デバイスは、従来技術に対するかなりの改善を有することがここに見出された。これらの材料は、高い効率と長い寿命を同時に得ることを可能にし、これは、従来技術に従う材料では不可能である。加えて、さらに駆動電圧も、AIQと比較して有意に低減することができることが見出され、これは、より高いパワー効率に相当し、また、より厚い電子輸送層を用いることができ、これは、短絡の頻度を低減するかまたはこれらを防止し、既に上記した他の利点をもたらす。
【0013】
本発明は、陰極、陽極、および少なくとも1つの有機層を含み、該有機層が、式(1)
【化3】

【0014】
(式中、以下が用いられる記号に適用される。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、Se、TeまたはNRであり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜22個の炭素原子を有する有機基(これは、OまたはN原子を介してXに結合されていてもよい)、またはOH、またはNHであり、
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜40個の芳香族C原子を有する芳香族環構造または複素環式芳香族環構造(これらは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、ここで、置換基RとRは、互いに、単環または多環の環構造を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、OH、N(R、CN、B(R、Si(R、1〜22個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接のC原子は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−により置き換えられてもよく、また、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、または1〜40のC原子を有するアリール、ヘテロアリール若しくはアリールオキシ基(これらは、1以上のR基により置換されていてもよい)、またはこれらの系の2つ、3つ、若しくは4つの組み合わせであり、2以上のR基は、互いに環構造を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、または1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、
nは、出現毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする有機電子デバイスであって、但し、式(1)の化合物は、≧150g/モル且つ≦10,000g/モルの分子量を有し、およびデバイスは、リン光エミッタを含まず、さらに、RおよびRのいずれも、置換または無置換のスピロビフルオレンを表さず、式(1)の化合物の吸収端が、<400nmであることを特徴とする有機電子デバイスに関する。
【0015】
本発明の目的のために、吸収端とは、以下のことを意味するものと解釈される。すなわち、屈曲の接線(inflexional tangent)が、100nmの層の厚さを有する当該化合物の層の一重項状態の吸収スペクトル(すなわち、S→S遷移)間での最も長い波長の吸収バンドのより長い波長のフランク(flank)に位置し、この屈曲の接線と横座標の交点を求め、得られた波長が、化合物の吸収端を与える。
【0016】
式(1)の化合物の吸収端は、好ましくは、<380nmである。
【0017】
本発明の目的のために、芳香族環構造または複素環式芳香族環構造とは、芳香族基または複素環式芳香族基のみを必ずしも含む系ではなく、2以上の芳香族基または複素環式芳香族基が、例えば、sp混成のC、N、またはO原子のような、短い非芳香族単位(H以外の好ましくは<10%の原子、H以外の特に好ましくは<5%の原子)により中断されていてもよい系も意味するものと解釈されたい。つまり、例えば、9,9−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン等のような系も、本明細書の目的上、芳香族系と解釈される。
【0018】
本発明の目的のために、C〜C22−アルキル基(ここで、個々のH原子またはCH基は、上記した基により置換されていてもよい)は、特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニル基を意味するものと解釈される。C〜C22−アルコキシ基は、特に好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、または2−メチルブトキシを意味するものと解釈される。C〜C40−芳香族環構造または複素環式芳香族環構造(これは、いずれの場合にも、上記したR基により置換されていてもよい)は、特に、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニレン、テルフェニレン、フルオレン、ジヒドロフェナントレン、テトラヒドロピレン、シス若しくはトランス−インデノフルオレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジイミダゾール(pyridimidazole)、ピラジンイミダゾール(pyrazinimidazole)、キノキサリンイミダゾール(quinoxalinimidazole)、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール(anthroxazole)、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール(azacarbazole)、ベンゾカルボリン(benzocarboline)、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾールから誘導される基を意味するものと解釈される。
【0019】
本発明の目的のために、電子デバイスは、好ましくは、有機エレクトロルミネセンスデバイス(有機発光ダイオード、OLED)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機太陽電池(O−SC)、有機光受容体、または有機レーザー(O−laser)であり、特に、有機エレクトロルミネセンスデバイスである。
【0020】
式(1)の化合物がアモルファスであり、且つ該化合物のガラス転移温度Tが、80℃を超える、特に好ましくは100℃を超える、特に130度を超えることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。
【0021】
Xが、OまたはNRを表し、特にOを表すことを特徴とする有機電子デバイスが特に好ましい。
【0022】
式(1)の化合物が、炭素、水素および酸素の元素のみから成ることを特徴とする有機電子デバイスが非常に特に好ましい。
【0023】
吸収端<400nmを達成するために、RおよびR基は、3つ以上の縮合ベンゼン単位を有する縮合芳香族環構造を含まないこと、すなわち、例えば、アントラセン、ピレン、フェナントレン、ペリレン等を含まないことが好ましい。従って、最大で2つの縮合ベンゼン単位が好ましい。しかしながら、このことは、基が、3つ以上の縮合環、例えば、フェナントロリン、アクリジン等を有する縮合複素環式芳香族環構造を含んでいてもよいということを除外するものではない。
【0024】
式(1)の化合物が、1を超えるカルボニル基を含有することも好ましい。この場合において、分子中のカルボニル基の配列は、直線状でも分岐していてもよく、あるいはこれらは、樹枝状に配列していてもよい。樹枝状の配列を有する化合物が好ましい。さらに、1,3,5−三置換ベンゼンが好ましい。この場合において、R基は、例えば、2以上のカルボニル基間の架橋基を表す。
【0025】
式(1)の好ましい化合物は、式(2)〜(4)の化合物である
【化4】

【0026】
(式中、RとRは、上記したものと同じ意味を有し、および以下が、用いられる他の記号および添え字に適用される。すなわち、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、3〜24個の芳香族C原子を有する、二価の(式(2))または三価の(式(3))芳香族環構造または複素環式芳香族環構造(これらは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、
mは、出現毎に同一であるか異なり、1、2または3である)。
【0027】
m=2またはm=3は、R基を介する2つまたは3つのカルボニル官能基の直線状の結合を表す。
【0028】
式(1)の好ましい化合物、または式(2)〜(4)の好ましい化合物の例は、以下の例1〜28である。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【0029】
電子輸送層または発光層における、電子輸送材料としての式(1)の化合物の使用が好ましい。式(1)の化合物を、特に好ましくは、電子輸送層における電子輸送材料として用いる。電子輸送材料は、電子デバイスにおいて、主に電子を伝導する材料である。
【0030】
さらに、式(1)の化合物を含む層が、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも80%の該化合物から成り、非常に特に好ましくは、純粋な層として、式(1)の化合物のみから成ることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。しかしながら、式(1)の化合物と他の化合物との混合物の使用もまた、好ましい。ここでの他の化合物は、例えば、例えばアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属のような非貴金属でドープされる、または例えばCo(Cp)若しくはNi(Cp)のような有機金属化合物でドープされる有機物か、無機物であり得る。
【0031】
しかしながら、とりわけ発光層における使用に際しては、より少ない割合の式(1)の化合物もまた、好ましいこともあり、既に十分な電子伝導性をもたらしている。
【0032】
式(1)の化合物を含む層に加えて、有機電子デバイスは、さらなる層を含んでいてもよい。これらは、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔障壁層、電子輸送層、および/または電子注入層であり得る。少なくとも1つの発光層が存在することが、有機エレクトロルミネセンスデバイスにおいては必須である。しかしながら、上記した層のそれぞれが、必ずしも存在する必要はないということを指摘しておく。
【0033】
本発明の好ましい側面は、蛍光発光層と陰極との間に少なくとも1つの電子輸送層を含み、電子輸送材料が、少なくとも1種の式(1)の化合物を含むことを特徴とする、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスである。
【0034】
電子輸送層の層の厚さは、好ましくは5〜500nmであり、特に好ましくは10〜100nm、非常に特に好ましくは20〜70nmである。
【0035】
さらに、発光層中のエミッタが、適切な励起時に、380〜750nmの間に1以上の最大値を伴って可視スペクトル領域において蛍光を発することを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスが好ましい。エミッタが、複数の異なる最大蛍光波長を有することも好ましく、従って、白色発光が全体として生じる。
【0036】
さらに、1以上の層が昇華プロセスによりコーティングされることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。ここでは材料を、真空昇華ユニットにおいて、10−5mbar以下、好ましくは10−6mbar以下、特に好ましくは10−7mbar以下の圧力で蒸着する。
【0037】
1以上の層がOVPD(有機気相成長)プロセスにより、またはキャリアガスの昇華によりコーティングされることを特徴とする有機電子デバイスも同様に好ましい。ここでは材料を、10−5mbar〜1mbarの圧力で適用する。
【0038】
さらに、1以上の層が溶液から、例えば、スピンコーティングにより、または例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷若しくはオフセット印刷、特に好ましくはLITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)若しくはインクジェット印刷のようないずれもの所望の印刷法により製造されることを特徴とする有機電子デバイスが好ましい。
【0039】
上記した発光デバイスは、従来技術に対して、以下の驚くべき利点を有する。
【0040】
1.対応するデバイスの効率は、従来技術による電子輸送材料としてAIQを含む系と比較して向上する。
2.対応するデバイスの安定性は、従来技術による電子輸送材料としてAIQを含む系と比較して向上する。
3.駆動電圧は、有意に低減される。従って、パワー効率が向上する。このことは、とりわけ、別個の電子輸送層を用いない場合にあてはまる。
4.特に、青色OLEDをより良い色純度で製造することができる。式(1)の化合物は無色であり、再吸収によってOLEDの効率と色を損なうことがない。
【0041】
5.式(1)の化合物は、一般的に吸湿性ではないために、これらは、AIQと比較して、より容易に且つより技術的な複雑さを伴わずに処理することができる。
【0042】
6.式(1)の化合物は、例えばAIQのような従来技術による電子輸送材料と比較して、より高い電荷担体移動度有しているため、より厚い電子輸送層を用いることが可能である。このことは、既に上記した通り、短絡を防止するために重要であり、およびとりわけ、ディスプレイにおける蛍光OLEDとリン光OLEDの組み合わせについて欠くことができない。リン光OLEDのより厚い層の厚さは、蛍光OLEDのより厚い電子輸送層により相殺される必要があるためである。
【0043】
本明細書およびさらなる以下の例は、特に、有機発光ダイオードと対応するディスプレイに関する。記載のこの制限に関わらず、当業者は、さらなる発明を必要とすることなく、式(1)の化合物を、他の関連デバイス、例えば、有機太陽電池、有機薄膜トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、または有機レーザーダイオードに用いることができる。
【0044】

以下の合成を、他に示さない限り、保護ガス雰囲気下で行った。出発材料(溶媒、亜鉛、シアン化亜鉛、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、フェニルマグネシウムブロミド溶液、EDTA、1−ブロモナフタレン、4−メチル−1−ナフタレンボロン酸、n−BuLi溶液(n−ヘキサン中2.5モル溶液)、N,N−ジメチルカルバモイルクロライド、2,7−ジブロモフルオレン)を、アルドリッチ社またはABCR社から購入した。1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼンを、M.プラター(Plater)等、Perkin 1 2000, 16, 2695 の方法により調製した。1,3,5−トリス[[3’−(フェニルメタノイル)フェニル]メタノイル]ベンゼンを、K.マツダ等、J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5550 の方法により調製した。(2−ブロモフェニルフェニル)メタンを、C.ブラッドシャー(Bradsher)等、J. Org. Chem. 1948, 13, 786 の方法により調製した。
【0045】
合成例1:1,3,5−トリス(1’−(4’−ベンゾイル)フェニル)ベンゼン(電子輸送材料E1)
【化9】

【0046】
第1工程
2.9g(2.5mmol)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を、2000mlのN,N−ジメチルアセトアミド中の135.8g(250mmol)の1,3,5−トリス(4’−ブロモフェニル)ベンゼン、93.9g(800mmol)のシアン化亜鉛(II)、および1.6gの亜鉛(25mmol)の懸濁液に激しく攪拌しながら加え、この混合物を100℃で6時間攪拌した。冷却後、2000mlの濃アンモニア水を、反応混合物に加えた。無色の沈殿を吸引しながらろ過し、500mlの濃アンモニア水をその都度用いて5回洗浄し、500mlの水をその都度用いて3回洗浄し、300mlのエタノールをその都度用いて3回洗浄した。続いてこれを、2000mlのエタノール中に懸濁させ、還流下で攪拌しながら洗浄した。懸濁液を冷却した後、沈殿を吸引しながらろ過し、減圧下で乾燥した。収量:84.3g(221mmol)、理論の88.4%に相当、純度98%(NMRによる)。
【0047】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=8.14(s,3H),7.84(d,6H),7.61(d,6H)。
【0048】
第2工程
330mlのフェニルマグネシウムブロミド溶液(THF中1モル)を、800mlのTHF中の38.1g(100mmol)の1,3,5−トリス(4’−シアノフェニル)ベンゼンの懸濁液に、室温で、15分に渡って加えた。続いて、この混合物を室温で、さらに30分間攪拌し、および還流下で5時間攪拌した。冷却後、100mlの5NのHClと100mlのエタノールを加えて、混合物を再び、還流下で16時間加熱した。冷却後、水相を分離し、有機層を蒸発乾固した。残渣を1000mlのジクロロメタン中に溶解し、500mlの水をその都度用いて5回洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥させた後に、有機層を蒸発乾固した。残渣をDMSOから(約3ml/g)7回再結晶した。昇華をT=235℃、p=5×10−5mbarで、静的真空中で行った。T=199℃、T=80℃。1,3,5−トリス(1’−(4’−ベンゾイル)フェニル)ベンゼンの収量は、32.4g(52mmol)であり、理論の52.3%に相当し、>99.9%の純度(HPLCによる)であった。
【0049】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=7.96(d,6H),7.94(s,3H),7.87(d,6H),7.83(d,6H),7.62(dd,3H),7.51(dd,6H)。
【0050】
E1の吸収端は、351nmである。吸収端の決定を図1に示す。
【0051】
合成例2:1,3,5−トリス[(3’−ベンゾイル)ベンゾイル]ベンゼン(電子輸送材料E2)
【化10】

【0052】
20.0gの1,3,5−トリス[(3’−ベンゾイル)ベンゾイル]ベンゼン(K.マツダ等(上記を参照のこと)の手法により得た。約95%の純度を有した)を、500mlのジクロロメタン中に溶解させ、トレース量のCr(III)を除去するために、500mlのEDTA四ナトリウム塩の0.5モル水溶液と共に24時間激しく攪拌した。有機層を分離し、300mlの蒸留水を用いて5回洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥した後、有機層を蒸発させ、続いて、シリカゲル上でクロマトグラフを行った(溶出液 ジクロロメタン:n−ヘキサン、3:1)。昇華を、T=330℃、p=5×10−5mbarにて、静的真空中で行った。TとTは、化合物がガラス様の形態で得られるために、測定できなかった。収量は14.3gであり、>99.9%の純度(HPLCによる)であった。
【0053】
E2の吸収端は、291nmである。
【0054】
合成例3:電子輸送材料E3
【化11】

【0055】
第1工程
200ml(500mmol)のn−BuLi(n−ヘキサン中2.5モル溶液)を、−78℃に冷却した、2000mlのTHF中の123.6g(500mmol)の(2−ブロモフェニルフェニル)メタンの混合物に激しく攪拌しながら滴下して加え、この混合物を、15分攪拌した。この溶液を、激しく攪拌されている、−10℃に冷却した169.0g(500mmol)の2,7−ジブロモフルオレンの懸濁液に15分間に渡って加えた。反応混合物を室温にまで昇温させた後、減圧下で蒸発乾固した。はちみつ状の残渣を、2000mlの氷酢酸中に懸濁し、10mlの濃塩酸を加え、混合物を還流下で5時間加熱した。沈殿した固体を、温かい反応混合物(80℃)からろ過し、200mlの氷酢酸を用いて洗浄した。固体を、1000mlの氷酢酸から再結晶させた。収量:198.7g(407mmol)、理論の81.4%に相当。97%の純度(NMRによる)。
【0056】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=7.63(d,2H),7.47(dd,2H),7.39(br.d,2H),7.21(dd,2H),7.11(d,2H),6.96(dd,2H),6.42(br.d,2H),4.48(s,2H)。
【0057】
第2工程
2000mlの氷酢酸中の195.3g(400mmol)の第1工程の生成物と238.4g(800mmol)の二クロム酸ナトリウム二水和物の懸濁液を、激しく攪拌しながらゆっくりと加熱して沸騰させ、還流下で6時間沸騰させた。冷却後、微晶質の沈殿を吸引しながらろ過し、200mlの氷酢酸をその都度用いて2回洗浄し、200mlの温水をその都度用いて10回洗浄した後、200mlのエタノールをその都度用いて3回洗浄して、減圧下で乾燥した。このようにして得られた粗生成物を、クロロベンゼンから(約4ml/g)2回再結晶した。収量:154.6g(308mmol)、理論の77.0%に相当。純度99.5%(NMRによる)。
【0058】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=8.45(d,2H),7.69(d,2H),7.52(d,2H),7.44(dd,2H),7.32(dd,2H),6.97(s,2H),6.53(d,2H)。
【0059】
第3工程
1.37g(4.5mmol)のトリ−o−トリルホスフィンと168mg(0.75mmol)の酢酸パラジウム(II)を、100mlのジオキサン、250mlのトルエンおよび300mlの水の混合物中の37.7g(75mmol)の第2工程からの生成物、55.8g(300mmol)の4−メチルナフタレン−1−ボロン酸、78.2g(315mmol)のリン酸カリウム一水和物の激しく攪拌される懸濁液に加え、この混合物を還流下で16時間加熱した。反応混合物を冷却した後、沈殿した固体を吸引しながらろ過し、100mlのそれぞれ水とエタノールを用いて洗浄し、乾燥した。固体をソックスレー抽出機中に入れ、ガラス繊維の円筒ろ紙(ポアサイズ 0.1μm)を通して、クロロホルムを用いて抽出した。クロロホルムを100mlの体積にまで濃縮し、500mlのエタノールを加えた。生じた沈殿を吸引しながらろ過し、エタノールで洗浄した。続いて、固体をDMFから(約6ml/g)4回再結晶した。昇華を、T=345℃、p=5×10−5mbarにおいて、静的真空中で行った。T=329℃、T=139℃。電子輸送材料E3の収量は、36.9g(59mmol)であり、理論の78.7%に相当し、>99.9%の純度(HPLCによる)であった。
【0060】
H−NMR(TCE−d2):δ[ppm]=8.34(m,2H),8.06(d,2H),8.00(d,2H),7.71(d,2H),7.61(d,2H),7.49(dd,2H),7.41(m,4H),7.32(d,2H),7.25(d,2H),7.23(d,2H),7.02(s,2H),6.87(m,2H),2.68(s,6H)。
【0061】
E3の吸収端は、383nmである。
【0062】
合成例4:ビス[4−(4’−メチルナフタ−1’−イル)ナフタ−1−イル]ケトン
【化12】

【0063】
第1工程
1.83g(6mmol)のo−トリルホスフィンと225mg(1mmol)の酢酸パラジウム(II)を、500mlのジオキサン、750mlのトルエンおよび1250mlの水の混合物中の93.0g(500mmol)の4−メチルナフタレン−1−ボロン酸、76.5ml(550mmol)の1−ブロモナフタレン、245.2g(1155mmol)のリン酸三カリウム一水和物の激しく攪拌される懸濁液に加えた。還流下で16時間沸騰させた後、続いて冷却し、有機層を分離し、シリカゲルを通してろ過し、蒸発乾固した。残渣を、500mlのエタノールで1回、攪拌しながら洗浄した。収量:126.0g(470mmol)、理論の93.9%に相当。純度97%(NMRによる)。
【0064】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=8.09(d,1H),7.93(d,2H),7.59−7.39(m,8H),7.30−7.25(m,2H),2.80(s,3H)。
【0065】
第2工程
26.5ml(517mmol)の臭素と500mlのクロロホルムの混合物を、1000mlのクロロホルム中の126.0g(470mmol)の1−(4’−メチルナフタ−1’−イル)ナフタレンの0℃に冷却した、光保護された溶液に滴下して加えた。滴下が完了した後、混合物を室温でさらに14時間攪拌した。有機層を1000mlの飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて、300mlの水をその都度用いて3回洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥し、蒸発させた後、ワックス状の固体を、500mlのエタノール中で2回、還流させながら攪拌することにより洗浄した。収量:123.3g(355mmol)、理論の75.5%に相当。純度98%(NMRによる)。
【0066】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=8.35(d,1H),8.10(d,1H),7.88(d,1H),7.58(dd,1H),7.51(dd,1H),7.44−7.28(m,7H),2.80(s,3H)。
【0067】
第3工程
80ml(200mmol)のn−BuLi(n−ヘキサン中2.5モル溶液)を、1000mlのTHF中の69.5g(200mmol)の4−ブロモ−1−(4−メチルナフタ−1−イル)ナフタレンの−78℃に冷却した、激しく攪拌される懸濁液に滴下して加え、この混合物を2時間攪拌した。9.2ml(100mmol)のN,N−ジメチルカルバモイルクロライドと100mlのTHFの混合物を、この懸濁液に滴下して加えた。続いて、混合物を−78℃にて1時間攪拌した。混合物を室温にまで昇温した後、10mlの酢酸と50mlの水を加え、この混合物を蒸発乾固した。油状の残渣を100mlの沸騰アセトン中に溶解させ、500mlの酢酸を、還流下でゆっくりと加えた。冷却し、吸引しながらろ過した後、粗生成物を、アセトン/酢酸から2回、DMSOから7回再結晶した(約3ml/g)。昇華を、T=340℃、p=5×10−5mbarで、静的真空中で行った。T=336℃、T=133℃。ビス[4−(4’−メチルナフタ−1’−イル)ナフタ−1−イル]ケトンの収量は、35.5g(63mmol)で、理論の63.1%に相当し、>99.9%の純度(HPLCによる)であった。
【0068】
H−NMR(CDCl):δ[ppm]=8.79(d,2H),8.14(d,2H),7.86(d,2H),7.64−7.34(m,18H),2.84(s,6H)。
【0069】
E4の吸収端は、396nmである。
【0070】
有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造
OLEDを、WO 04/058911 に記載される一般方法(これは、個々の場合において、詳細な状況に合わせて変更する必要がある(例えば、最適な効率または色を得るための層の厚さの変化))により製造した。
【0071】
種々のOLEDの結果を以下の例に示す。電子輸送層を除いて、用いた基本構造、材料および層の厚さは、より良い比較のために同一であった。以下の構造を有するOLEDを、上記の一般方法と同じように製造した。
【0072】
正孔注入層(HIL):60nmPEDOT(水からスピンコーティング、H.C.シュターク(Starck)社から購入;ポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)、
正孔輸送層(HTL):20nmNaphDATA(蒸着;SynTec社から購入;4,4’,4’’−トリス(N−1−ナフチル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン、
正孔輸送層(HTL):20nmS−TAD(蒸着;WO 99/12888 に従って調製;2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン)、
発光層(EML):スピロ−DPVBi(WO 02/10093 に従って調製;1%のS−TAD(2,2’,7,7’−テトラキス(ジフェニルアミノ)スピロ−9,9’−ビフルオレン)をドープした、2,2’,7,7’−テトラキス(2,2’−ジフェニルビニル)スピロ−9,9’−ビフルオレン)、
電子伝導体(ETL):10nm〜50nm(正確な構造は、表1を参照のこと)(蒸着;SynTec社から購入したAIQ;トリス(キノリナト)アルミニウム(III)、または輸送材料E1〜E4、
Ba/Al(陰極):3nmのBaの上の150nmのAl。
【0073】
これらの未だ最適化されていないOLEDを、標準的な方法により特性決定した。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、効率(cd/Aで測定)、電流−電圧−輝度特性線(IUL特性線)から計算される、輝度の関数としてのパワー効率(Im/Wで測定)、および寿命を測定した。寿命は、OLEDの初期輝度が、10mA/cmの一定の電流密度において半分にまで低下した後の時間として定義する。電子輸送層については、層の厚さを、各材料について別個に最適化した。しかしながら、より良い比較のために、より厚いAIQの層の厚さ(これは、E1およびE2の層の厚さと直接的に比較できる)も示す。
【0074】
表1は、いくつかの例の結果を示し、層の厚さを含むETLの組成を、その都度示す。電子輸送材料として、ETLは、例えば、化合物E1〜E4を含む。用いた比較例は、従来技術に従う電子伝導体としてAIQを含むOLEDである。
【0075】
より明瞭にするために、用いた物質の構造式を以下に示す。
【化13】

【表1】

【0076】
全てのOLEDは、蛍光エミッタS−DPVBiに由来する青色発光を示す。より高い測光的な効率が、電子伝導体AIQが、本発明による電子伝導体E1〜E4により置き換えられているデバイスにおいて得られる。一定の輝度を得るために必要とされる電圧も低いために、非常に優れたパワー効率が得られる。寿命は、約650時間〜1100時間を超えるまで延びる。とりわけ、効率、パワー効率、寿命、および色は、同一の層の厚さのETLについて、標準的な電子伝導体AIQと比較して、本発明による電子輸送材料
の場合により優れる。
【0077】
まとめると、新規設計原理に従って製造されるOLEDは、表1から明らかなように、より低い電圧におけるより高い効率、および長い寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】吸収端の決定。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極、陽極、および少なくとも1つの有機層を含む電子デバイスであって、前記有機層が、式(1)
【化1】

(式中、以下が、用いられる記号に適用される。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、O、S、Se、TeまたはNRであり、
Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜22個の炭素原子を有する有機基(これは、OまたはN原子を介してXに結合されていてもよい)、またはOH、またはNHであり、
、Rは、出現毎に同一であるか異なり、1〜40個の芳香族C原子を有する芳香族環構造または複素環式芳香族環構造(これらは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、ここで、置換基RとRは、互いに、単環または多環の環構造を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、OH、N(R、CN、B(R、Si(R、1〜22個のC原子を有する直鎖の、分岐の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接のC原子は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、または−O−CO−O−により置き換えられてもよく、また、1以上のH原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、または1〜40個のC原子を有するアリール、ヘテロアリール若しくはアリールオキシ基(これらは、1以上のR基により置換されていてもよい)、またはこれらの系の2つ、3つ、若しくは4つの組み合わせであり、2以上のR基は、互いに環構造を形成していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、または1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、
nは、出現毎に、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)の少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とし、但し、前記式(1)の化合物は、≧150g/モル且つ≦10,000g/モルの分子量を有し、および前記デバイスは、リン光エミッタを含まず、さらに、RおよびRのいずれも、置換または無置換のスピロビフルオレンを表さず、前記式(1)の化合物の吸収端が、<400nmであることを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記式(1)の化合物の吸収端が、<380nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機電子デバイス。
【請求項3】
有機エレクトロルミネセンスデバイス、有機薄膜トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池、有機光受容体、または有機レーザーであることを特徴とする請求項1および/または2に記載の有機電子デバイス。
【請求項4】
前記式(1)の化合物がアモルファスであり、該化合物のガラス転移温度Tが、80℃を超えることを特徴とする請求項1〜3の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項5】
XがOを表すことを特徴とする請求項1〜4の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項6】
前記式(1)の化合物が、1を超えるカルボニル基を含有することを特徴とする請求項1〜5の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項7】
カルボニル官能基が、直線の、分岐状の、または樹枝状の配列を有することを特徴とする請求項6に記載の有機電子デバイス。
【請求項8】
前記式(1)の化合物が、式(2)〜式(4)
【化2】

(式中、RとRは、請求項1に記載したものと同じ意味を有し、および以下が、用いられる他の記号および添え字に適用される。すなわち、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、3〜24個の芳香族C原子を有する、二価の(式(2))または三価の(式(3))芳香族環構造または複素環式芳香族環構造(これらは、1以上のR基により置換されていてもよい)であり、
mは、出現毎に同一であるか異なり、1、2または3である)
の化合物から選択されることを特徴とする請求項1〜7の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項9】
前記式(1)の化合物が、例示構造1〜28から選択されることを特徴とする請求項1〜8の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項10】
前記式(1)の化合物が、電子輸送層または発光層における電子輸送材料として用いられることを特徴とする請求項1〜9の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項11】
前記式(1)の化合物が、電子輸送層における電子輸送材料として用いられることを特徴とする請求項10に記載の有機電子デバイス。
【請求項12】
化合物Aを含む層が、少なくとも50%の該化合物から成ることを特徴とする請求項1〜11の一項以上に記載の有機電子デバイス。
【請求項13】
前記式(1)の化合物を含む層が、純粋な層として、該化合物のみから成ることを特徴とする請求項12に記載の有機電子デバイス。
【請求項16】
エミッタが、適切な励起時に、380〜750nmに1以上の最大値を伴って可視スペクトル領域において蛍光を発することを特徴とする請求項1〜15の一項以上に記載の有機電子デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2007−526634(P2007−526634A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553551(P2006−553551)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001709
【国際公開番号】WO2005/084081
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】