有機電界発光表示素子及びその製造方法
【課題】 アノード電極の導電性とコントラスト比を向上させる有機EL表示装置及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】カソード112と交差するように、複数のアノード電極104は、基板上に一定の間隔で分離するように形成される。アノード電極は、光透過率が良く、導電性が低いITO、IZO、ITZO等の透明導電性物質で形成される。アノード電極104と平行に、その両側を部分的に覆うように不透明導電パターン105が形成され、不透明導電パターン105は絶縁膜106によって覆われる。従って、アノード電極104の導電性と共に開口率及びコントラスト比が向上される。
【解決手段】カソード112と交差するように、複数のアノード電極104は、基板上に一定の間隔で分離するように形成される。アノード電極は、光透過率が良く、導電性が低いITO、IZO、ITZO等の透明導電性物質で形成される。アノード電極104と平行に、その両側を部分的に覆うように不透明導電パターン105が形成され、不透明導電パターン105は絶縁膜106によって覆われる。従って、アノード電極104の導電性と共に開口率及びコントラスト比が向上される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光表示素子に関し、特にアノード電極の導電性と共にコントラスト比を向上させることができる有機電界発光表示素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、陰極線管の問題点である重さと嵩を減らすことができる各種の平板表示装置が開発されている。このような平板表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)、電界型放出表示装置(Field Emission Display:FED)、プラズマディスプレィパネル(Plasma Display Panel:PDP)及び電界発光(Electro−Luminescnce:EL)表示装置等がある。
【0003】
PDPは、構造と製造工程が比較的に単純であるため、大画面化に一番有利ではあるが、発光効率と輝度が低くて消費電力が大きいという問題点がある。
【0004】
LCDは、ノートブック・コンピュータの表示装置として主に利用されるに連れて需要が伸びてはいるが、大画面化が難しく、また、バックライトユニットによって消費電力が大きいという問題点がある。また、LCDは、偏光フィルター、フリズムシート、拡散板などの光学表示装置によって光損失が大きく、視野角が狭いという問題点がある。これらに対して、EL表示装置は、無機ELと有機ELとに大別され、応答速度が速く、発光効率、輝度及び視野角が大きいという利点がある。また、有機EL表示装置は、約10〔V〕程の電圧で数万〔cd/m2〕の高い輝度で画像を表示することができる。
【0005】
図1は、従来の有機EL表示素子を示す斜視図であり、図2は、図1のA領域を具体的に示す平面図であり、図3は、図2のI−I’線及びII−II’線を切り取って示す断面図である。
【0006】
図1乃至図3に示した有機EL表示素子は、基板2上にアノード電極4とカソード電極12とが相互に交差する方向に形成される。
【0007】
アノード電極4は、基板2上に所定の間隔で複数個、形成される。
【0008】
アノード電極4の一側には、不透明導電パターン5が形成される。不透明導電パターン5は、高い抵抗を有するITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)等の透明導電性物質で形成されたアノード電極4の導電性を向上させる役割をする。このようなアノード電極4及び不透明導電パターン5が形成された基板2上には、ELセル(E)領域ごとに開口部を有する絶縁膜6が形成される。
【0009】
絶縁膜6上には、その上に形成される有機発光層10及びカソード電極12を分離するための隔壁8が位置する。隔壁8は、アノード電極4を横切る方向に形成され、上端部が下端部より広い幅を有する逆テーパ(taper)構造を有する。隔壁8が形成された絶縁膜6上には、有機発光層10が形成され、カソード電極12の物質が、全面に蒸着によって形成される。
【0010】
有機発光層10は図4に示したのように、正孔注入層10e、正孔輸送層10d、発光層10c、電子輸送層10b及び電子注入層10aが、蒸着で形成される。このような有機EL表示素子は、アノード電極4とカソード電極12に駆動信号が印加されると電子と正孔が放出され、アノード電極4及びカソード電極12から放出された電子と正孔は、発光層10c内で再結合することによって可視光を発生させる。この際、発生された可視光は、アノード電極4を通じて外部に出て、所定の画像または映像を表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、従来の有機EL表示素子は、アノード電極4の導電性を補償するための不透明導電パターン5が形成されるにも関わらず、アノード電極4はアルミニウム(Al)のような高導電度の金属で形成されたカソード電極12より、導電性が低いという問題が依然として存在し、また、不透明導電パターン5が発光領域P1の一部を占めることによって、それだけ、開口率が小さくなるという問題点がある。
【0012】
また、従来の有機EL表示素子は、外部から入射される光がアノード電極4と有機発光層10とをほぼ完全に透過する。その結果、有機発光層10から光が発光されない時、図5に示すように、基板2の表面から入射する外部光40は、透明導電性物質であるアノード電極4と有機発光層10とを透過すると共に、金属電極であるカソード電極12によって反射される。従って、コントラスト比が低下する問題点がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、アノード電極の導電性と共にコントラスト比を向上させることができる有機EL表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明による有機電界発光表示素子は、基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極と、前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターンと、前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンとを備えることを特徴とする。
【0015】
前記第1及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする。
【0016】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする。
【0017】
前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定する絶縁膜と、前記発光領域に形成される有機発光層と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するように形成されるカソード電極とを備え、前記絶縁膜は前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆うように形成されることを特徴とする。
【0018】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に、外部光を遮断することを特徴とする。
【0019】
本発明による有機電界発光表示素子の製造方法は、基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極を形成する段階と、前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターン及び前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンを形成する段階を含むことを特徴とする。
【0020】
上記製造方法において、前記第1及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする。
【0021】
上記製造方法において、前記第1及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする。
【0022】
上記製造方法は、前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定すると共に、前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆う絶縁膜を形成する段階と、前記発光領域に有機発光層を形成する段階と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するカソード電極を形成する段階とを含むことを特徴とする。
【0023】
上記製造方法において、前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に外部光を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明による有機EL表示素子及びその製造方法は、不透明導電パターンが、アノード電極に平行に、アノード電極の両側(左辺及び右辺)に覆うように形成されると共に、前記アノード電極間が絶縁されるように、相互に電気的に分離されるように形成される。従って、不透明導電パターンの形成領域が、従来より約2倍以上多くなることによって、アノード電極の導電性が向上する。また、不透明導電パターンが、発光領域上に位置しておらず、同時に非発光領域の相当部分に位置することによって、開口率と共にコントラスト比が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明による有機電界発光表示素子を詳しく説明する。
【0026】
図6乃至図10Eを参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0027】
図6は、本発明の実施形態の、有機EL表示素子の一部分を示す平面図であり、図7は図6に示した有機EL表示素子をIII−III’線に沿って切り取って示した断面図である。
【0028】
図6及び図7を参照すると、有機EL表示素子は、相互に交差するように形成されるアノード電極104とカソード電極112、アノード電極104とカソード電極112との各交差部に形成されるELセル(E)を備える。
【0029】
複数のアノード電極104は、基板102上に一定の間隔で分離するように形成され、アノード電極は、光透過率が良く、導電性が低いITO、IZO、ITZO等の透明導電性物質で形成される。
【0030】
アノード電極104が形成された基板102上には、アノード電極104と平行に、その両側を部分的に覆うように形成された不透明導電パターン105が形成され、前記不透明導電パターン105は絶縁膜106によって覆われて形成される。換言すると、アノード電極104の両側、即ち、左辺(または第1辺)及び右辺(または第2辺)に、各々不透明導電パターン105が覆うように形成される。従って、アノード電極104の導電性と共に開口率及びコントラスト比が向上される。
【0031】
これを図8を参照して詳しく説明する。
【0032】
本発明においては、不透明導電パターン105がアノード電極104の両側を覆うように形成され、従来とは異なって、広い線幅を有する。従って、従来と比較して、アノード電極104の導電性が向上する。ここで、各々の不透明導電パターン105は、アノード電極104が相互に、電気的に絶縁されるように独立したパターンで形成される。
【0033】
また、従来とは異なって、不透明導電パターン105の一部だけが、アノード電極104を覆うように形成され、残部はアノード電極104と重ならない非発光領域P2に伸張するように形成される。その結果、不透明導電パターン105が、非発光領域P2に形成される絶縁膜106によって覆われるように形成される。従って、不透明導電パターン105が発光領域P1上に位置しない(設けられない)ことによって、全体の開口率が向上され、そして、不透明導電パターン105が非発光領域P2にほとんど位置することによって、図9に示したような従来技術のものより、相当量の外部光140を遮断することが可能になることによって、コントラスト比が向上する。
【0034】
このように、不透明導電パターン105を覆うように形成される絶縁膜106は、ELセル(E)領域ごとに発光領域P1を画定する開口部を有するように形成される。絶縁膜106上には、その上に形成される有機発光層110及びカソード電極112を分離するための隔壁108が設けられる。隔壁108はアノード電極104が交差する方向に形成され、上端部が下端部より広い幅を有するようになる逆テーパ(taper)構造を有する。隔壁108が形成された絶縁膜106上には有機発光層110が形成され、カソード電極112は、電極物質を蒸着することによって全面に形成される。有機発光層110は、従来と同様に、正孔注入層10e、正孔輸送層10d、発光層10c、電子輸送層10b及び電子注入層10aが積層され、形成される。
【0035】
このように、本発明による有機電界発光表示素子は、不透明導電パターン105が、アノード電極104と平行に、また、その一部がアノード電極104の両側を覆うように形成されると共に、アノード電極104間が絶縁されるように、相互に電気的に分離されるように形成される。従って、不透明導電パターン105の形成領域が、従来より約2倍以上多くなることによって、アノード電極104の導電性が向上する。また、不透明導電パターン105が発光領域P1上に位置しなくなると同時に、非発光領域P2の相当部分に位置することによって、開口率と共にコントラスト比が向上される。
【0036】
図10A乃至図10Eは、図7に示した有機EL表示素子の製造方法を段階的に示した図面である。
【0037】
まず、基板102上に、スパッタリング等の蒸着方法を利用して、ITO、IZO、ITZO等の透明導電性物質が蒸着された後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によってパターニングされることによって、図10Aに示すようにアノード電極104が形成される。
【0038】
アノード電極104が形成された基板102上に、モリブデン(Mo)等の不透明導電物質が形成された後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によってパターニングされることによって、図10Bに示すように各々電気的に分離されると共に、アノード電極104の両側、即ち、左辺(または第1辺)及び右辺(または第2辺)を各々覆うように、不透明導電パターン105が形成される。
【0039】
不透明導電パターン105が形成された基板102上に、感光性絶縁物質がスピンコーティング(Spin-Coating)法によってコーティングされた後、フォトリソグラフィ工程等によってパターニングされることにより、図10Cに示すように発光領域P1を露出させると共に、不透明導電パターン105を覆うように絶縁膜106が形成される。
【0040】
絶縁膜106上に感光性有機物質が蒸着された後、フォトリソグラフィ工程等によってパターニングされることによって、隔壁が形成される。
【0041】
絶縁膜106及び隔壁108等が形成された基板102上に、図10Dに示すように有機発光層110が形成される。
【0042】
有機発光層110が形成された基板102上に、アルミニウム(Al)等の金属物質が蒸着されることによって、図10Eに示すようにカソード電極112が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来の有機電界発光表示素子を示す斜視図である。
【図2】図1のA領域を具体的に示す平面図である。
【図3】図2に示したI−I’、II−II’線に沿って切り取った断面図である。
【図4】従来の有機電界発光表示素子の発光原理を説明するためのダイヤグラムである。
【図5】入射された外部光が、有機電界発光表示素子のカソード電極から反射されるのを示す図面である。
【図6】本発明の実施形態の、有機電界発光表示素子の一領域を具体的に示す平面図である。
【図7】図6に示したIII−III’線に沿って切り取った断面図である。
【図8】図6及び図7に示した不透明導電パターンの形状を具体的に示す図面である。
【図9】不透明導電パターンの遮光する役割を示す図面である。
【図10A】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10B】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10C】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10D】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10E】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【符号の説明】
【0044】
4、104:アノード電極 12、112:カソード電極
5、105:不透明導電パターン 6、106:絶縁膜
8、108:隔壁
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光表示素子に関し、特にアノード電極の導電性と共にコントラスト比を向上させることができる有機電界発光表示素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、陰極線管の問題点である重さと嵩を減らすことができる各種の平板表示装置が開発されている。このような平板表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)、電界型放出表示装置(Field Emission Display:FED)、プラズマディスプレィパネル(Plasma Display Panel:PDP)及び電界発光(Electro−Luminescnce:EL)表示装置等がある。
【0003】
PDPは、構造と製造工程が比較的に単純であるため、大画面化に一番有利ではあるが、発光効率と輝度が低くて消費電力が大きいという問題点がある。
【0004】
LCDは、ノートブック・コンピュータの表示装置として主に利用されるに連れて需要が伸びてはいるが、大画面化が難しく、また、バックライトユニットによって消費電力が大きいという問題点がある。また、LCDは、偏光フィルター、フリズムシート、拡散板などの光学表示装置によって光損失が大きく、視野角が狭いという問題点がある。これらに対して、EL表示装置は、無機ELと有機ELとに大別され、応答速度が速く、発光効率、輝度及び視野角が大きいという利点がある。また、有機EL表示装置は、約10〔V〕程の電圧で数万〔cd/m2〕の高い輝度で画像を表示することができる。
【0005】
図1は、従来の有機EL表示素子を示す斜視図であり、図2は、図1のA領域を具体的に示す平面図であり、図3は、図2のI−I’線及びII−II’線を切り取って示す断面図である。
【0006】
図1乃至図3に示した有機EL表示素子は、基板2上にアノード電極4とカソード電極12とが相互に交差する方向に形成される。
【0007】
アノード電極4は、基板2上に所定の間隔で複数個、形成される。
【0008】
アノード電極4の一側には、不透明導電パターン5が形成される。不透明導電パターン5は、高い抵抗を有するITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)等の透明導電性物質で形成されたアノード電極4の導電性を向上させる役割をする。このようなアノード電極4及び不透明導電パターン5が形成された基板2上には、ELセル(E)領域ごとに開口部を有する絶縁膜6が形成される。
【0009】
絶縁膜6上には、その上に形成される有機発光層10及びカソード電極12を分離するための隔壁8が位置する。隔壁8は、アノード電極4を横切る方向に形成され、上端部が下端部より広い幅を有する逆テーパ(taper)構造を有する。隔壁8が形成された絶縁膜6上には、有機発光層10が形成され、カソード電極12の物質が、全面に蒸着によって形成される。
【0010】
有機発光層10は図4に示したのように、正孔注入層10e、正孔輸送層10d、発光層10c、電子輸送層10b及び電子注入層10aが、蒸着で形成される。このような有機EL表示素子は、アノード電極4とカソード電極12に駆動信号が印加されると電子と正孔が放出され、アノード電極4及びカソード電極12から放出された電子と正孔は、発光層10c内で再結合することによって可視光を発生させる。この際、発生された可視光は、アノード電極4を通じて外部に出て、所定の画像または映像を表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、従来の有機EL表示素子は、アノード電極4の導電性を補償するための不透明導電パターン5が形成されるにも関わらず、アノード電極4はアルミニウム(Al)のような高導電度の金属で形成されたカソード電極12より、導電性が低いという問題が依然として存在し、また、不透明導電パターン5が発光領域P1の一部を占めることによって、それだけ、開口率が小さくなるという問題点がある。
【0012】
また、従来の有機EL表示素子は、外部から入射される光がアノード電極4と有機発光層10とをほぼ完全に透過する。その結果、有機発光層10から光が発光されない時、図5に示すように、基板2の表面から入射する外部光40は、透明導電性物質であるアノード電極4と有機発光層10とを透過すると共に、金属電極であるカソード電極12によって反射される。従って、コントラスト比が低下する問題点がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、アノード電極の導電性と共にコントラスト比を向上させることができる有機EL表示装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明による有機電界発光表示素子は、基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極と、前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターンと、前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンとを備えることを特徴とする。
【0015】
前記第1及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする。
【0016】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする。
【0017】
前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定する絶縁膜と、前記発光領域に形成される有機発光層と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するように形成されるカソード電極とを備え、前記絶縁膜は前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆うように形成されることを特徴とする。
【0018】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に、外部光を遮断することを特徴とする。
【0019】
本発明による有機電界発光表示素子の製造方法は、基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極を形成する段階と、前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターン及び前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンを形成する段階を含むことを特徴とする。
【0020】
上記製造方法において、前記第1及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする。
【0021】
上記製造方法において、前記第1及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする。
【0022】
上記製造方法は、前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定すると共に、前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆う絶縁膜を形成する段階と、前記発光領域に有機発光層を形成する段階と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するカソード電極を形成する段階とを含むことを特徴とする。
【0023】
上記製造方法において、前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に外部光を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明による有機EL表示素子及びその製造方法は、不透明導電パターンが、アノード電極に平行に、アノード電極の両側(左辺及び右辺)に覆うように形成されると共に、前記アノード電極間が絶縁されるように、相互に電気的に分離されるように形成される。従って、不透明導電パターンの形成領域が、従来より約2倍以上多くなることによって、アノード電極の導電性が向上する。また、不透明導電パターンが、発光領域上に位置しておらず、同時に非発光領域の相当部分に位置することによって、開口率と共にコントラスト比が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して、本発明による有機電界発光表示素子を詳しく説明する。
【0026】
図6乃至図10Eを参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0027】
図6は、本発明の実施形態の、有機EL表示素子の一部分を示す平面図であり、図7は図6に示した有機EL表示素子をIII−III’線に沿って切り取って示した断面図である。
【0028】
図6及び図7を参照すると、有機EL表示素子は、相互に交差するように形成されるアノード電極104とカソード電極112、アノード電極104とカソード電極112との各交差部に形成されるELセル(E)を備える。
【0029】
複数のアノード電極104は、基板102上に一定の間隔で分離するように形成され、アノード電極は、光透過率が良く、導電性が低いITO、IZO、ITZO等の透明導電性物質で形成される。
【0030】
アノード電極104が形成された基板102上には、アノード電極104と平行に、その両側を部分的に覆うように形成された不透明導電パターン105が形成され、前記不透明導電パターン105は絶縁膜106によって覆われて形成される。換言すると、アノード電極104の両側、即ち、左辺(または第1辺)及び右辺(または第2辺)に、各々不透明導電パターン105が覆うように形成される。従って、アノード電極104の導電性と共に開口率及びコントラスト比が向上される。
【0031】
これを図8を参照して詳しく説明する。
【0032】
本発明においては、不透明導電パターン105がアノード電極104の両側を覆うように形成され、従来とは異なって、広い線幅を有する。従って、従来と比較して、アノード電極104の導電性が向上する。ここで、各々の不透明導電パターン105は、アノード電極104が相互に、電気的に絶縁されるように独立したパターンで形成される。
【0033】
また、従来とは異なって、不透明導電パターン105の一部だけが、アノード電極104を覆うように形成され、残部はアノード電極104と重ならない非発光領域P2に伸張するように形成される。その結果、不透明導電パターン105が、非発光領域P2に形成される絶縁膜106によって覆われるように形成される。従って、不透明導電パターン105が発光領域P1上に位置しない(設けられない)ことによって、全体の開口率が向上され、そして、不透明導電パターン105が非発光領域P2にほとんど位置することによって、図9に示したような従来技術のものより、相当量の外部光140を遮断することが可能になることによって、コントラスト比が向上する。
【0034】
このように、不透明導電パターン105を覆うように形成される絶縁膜106は、ELセル(E)領域ごとに発光領域P1を画定する開口部を有するように形成される。絶縁膜106上には、その上に形成される有機発光層110及びカソード電極112を分離するための隔壁108が設けられる。隔壁108はアノード電極104が交差する方向に形成され、上端部が下端部より広い幅を有するようになる逆テーパ(taper)構造を有する。隔壁108が形成された絶縁膜106上には有機発光層110が形成され、カソード電極112は、電極物質を蒸着することによって全面に形成される。有機発光層110は、従来と同様に、正孔注入層10e、正孔輸送層10d、発光層10c、電子輸送層10b及び電子注入層10aが積層され、形成される。
【0035】
このように、本発明による有機電界発光表示素子は、不透明導電パターン105が、アノード電極104と平行に、また、その一部がアノード電極104の両側を覆うように形成されると共に、アノード電極104間が絶縁されるように、相互に電気的に分離されるように形成される。従って、不透明導電パターン105の形成領域が、従来より約2倍以上多くなることによって、アノード電極104の導電性が向上する。また、不透明導電パターン105が発光領域P1上に位置しなくなると同時に、非発光領域P2の相当部分に位置することによって、開口率と共にコントラスト比が向上される。
【0036】
図10A乃至図10Eは、図7に示した有機EL表示素子の製造方法を段階的に示した図面である。
【0037】
まず、基板102上に、スパッタリング等の蒸着方法を利用して、ITO、IZO、ITZO等の透明導電性物質が蒸着された後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によってパターニングされることによって、図10Aに示すようにアノード電極104が形成される。
【0038】
アノード電極104が形成された基板102上に、モリブデン(Mo)等の不透明導電物質が形成された後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によってパターニングされることによって、図10Bに示すように各々電気的に分離されると共に、アノード電極104の両側、即ち、左辺(または第1辺)及び右辺(または第2辺)を各々覆うように、不透明導電パターン105が形成される。
【0039】
不透明導電パターン105が形成された基板102上に、感光性絶縁物質がスピンコーティング(Spin-Coating)法によってコーティングされた後、フォトリソグラフィ工程等によってパターニングされることにより、図10Cに示すように発光領域P1を露出させると共に、不透明導電パターン105を覆うように絶縁膜106が形成される。
【0040】
絶縁膜106上に感光性有機物質が蒸着された後、フォトリソグラフィ工程等によってパターニングされることによって、隔壁が形成される。
【0041】
絶縁膜106及び隔壁108等が形成された基板102上に、図10Dに示すように有機発光層110が形成される。
【0042】
有機発光層110が形成された基板102上に、アルミニウム(Al)等の金属物質が蒸着されることによって、図10Eに示すようにカソード電極112が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来の有機電界発光表示素子を示す斜視図である。
【図2】図1のA領域を具体的に示す平面図である。
【図3】図2に示したI−I’、II−II’線に沿って切り取った断面図である。
【図4】従来の有機電界発光表示素子の発光原理を説明するためのダイヤグラムである。
【図5】入射された外部光が、有機電界発光表示素子のカソード電極から反射されるのを示す図面である。
【図6】本発明の実施形態の、有機電界発光表示素子の一領域を具体的に示す平面図である。
【図7】図6に示したIII−III’線に沿って切り取った断面図である。
【図8】図6及び図7に示した不透明導電パターンの形状を具体的に示す図面である。
【図9】不透明導電パターンの遮光する役割を示す図面である。
【図10A】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10B】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10C】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10D】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【図10E】図7に示した有機電界発光表示素子の製造方法を示す図面である。
【符号の説明】
【0044】
4、104:アノード電極 12、112:カソード電極
5、105:不透明導電パターン 6、106:絶縁膜
8、108:隔壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極と、
前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターンと、
前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンとを備えることを特徴とする有機電界発光表示素子。
【請求項2】
前記第1辺及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項3】
前記第1辺及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項4】
前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定する絶縁膜と、前記発光領域に形成される有機発光層と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するように形成されるカソード電極とを備え、前記絶縁膜は前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆うように形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項5】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に、外部光を遮断することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項6】
基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極を形成する段階と、
前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターン及び前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンを形成する段階を含むことを特徴とする有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項9】
前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定すると共に、前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆う絶縁膜を形成する段階と、前記発光領域に有機発光層を形成する段階と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するカソード電極を形成する段階とを含むことを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に外部光を遮断することを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項1】
基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極と、
前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターンと、
前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンとを備えることを特徴とする有機電界発光表示素子。
【請求項2】
前記第1辺及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項3】
前記第1辺及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする請求項2に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項4】
前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定する絶縁膜と、前記発光領域に形成される有機発光層と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するように形成されるカソード電極とを備え、前記絶縁膜は前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆うように形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項5】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に、外部光を遮断することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示素子。
【請求項6】
基板上に平行に配置されると共に、透明導電性物質で形成され、相互に電気的に分離された複数のアノード電極を形成する段階と、
前記アノード電極各々の第1辺に沿って形成される第1導電性遮光パターン及び前記アノード電極各々の第2辺に沿って形成される第2導電性遮光パターンを形成する段階を含むことを特徴とする有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2辺は相互に平行であり、前記第1導電性遮光パターンは前記アノード電極の第1辺を覆うように形成され、前記第2導電性遮光パターンは前記アノード電極の第2辺を覆うように形成されることを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、前記アノード電極を覆う部分を除いた残部が前記基板と接触し、段差のある断面を有することを特徴とする請求項7に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項9】
前記アノード電極を部分的に露出させて発光領域を画定すると共に、前記第1及び第2導電性遮光パターンを覆う絶縁膜を形成する段階と、前記発光領域に有機発光層を形成する段階と、前記有機発光層を間において前記アノード電極と交差するカソード電極を形成する段階とを含むことを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2導電性遮光パターンは、不透明導電物質を含むと共に外部光を遮断することを特徴とする請求項6に記載の有機電界発光表示素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【公開番号】特開2006−128110(P2006−128110A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311709(P2005−311709)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】
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