説明

有機ELディスプレイパネルおよびその製造方法

【課題】面内の有機層の形状ムラの改善により、輝度ムラを低減すること。
【解決手段】 素子配列領域2Aの周囲に第1のダミーバンク領域2Bと、第2のダミーバンク領域2Cとを備え、1走査により素子配列領域2Aにインク、第1のダミーバンク領域2Bにインクあるいは溶媒、第2のダミーバンク領域2Cに溶媒を塗布することにより、面内の溶媒蒸気濃度ムラが改善されるため、有機層の形状ムラを改善し、輝度ムラを低減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELディスプレイパネルおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイパネルは、陽極および陰極、ならびに両電極の間に配置された電界発光する有機発光層を含む有機EL素子を有する。電界発光する有機発光層の材料は、低分子有機化合物の組み合わせ(ホスト材料とドーパント材料)と、高分子有機化合物とに大別されうる。電界発光する高分子有機化合物の例には、PPVと称されるポリフェニレンビニレンやその誘導体などが含まれる。
【0003】
高分子有機化合物を材料とした有機発光層は、比較的低電圧で駆動でき、消費電力が少なく、ディスプレイパネルの大画面化に対応しやすいことから、現在積極的に研究がなされている。また、高分子有機化合物を材料とした有機発光層は、塗布法による作製が可能である。したがって、真空プロセスを使用する低分子有機ELディスプレイよりも、高分子有機ELディスプレイの生産性は顕著に高い。
【0004】
有機発光層を塗布法で形成する場合、パネル上の障壁(バンク)によって規定された領域内に有機発光層の材料を含むインクを塗布し、乾燥させる。有機ELディスプレイパネルにおける混色を防ぐため、発光層の材料であるインクは、パネル上のバンクによって規定された領域内に正確に塗布されなければならない。このような塗布法の例には、インクを吐出することで塗布するインクジェット法が含まれる。
【0005】
インクジェット法では、溶質を溶媒に溶解させた有機インクをインクジェットヘッドに設けられたノズルから吐出後、乾燥させる。乾燥時に基板面内の溶媒蒸気濃度にばらつきが発生しやすく、基板外周の画素の有機発光層に膜厚の偏りが発生しやすい。
【0006】
従来のインクジェット法による有機発光層形成方法としては、インク塗布前に溶媒を予め塗布するものがある(例えば、特許文献1参照。)。図9は、特許文献1に記載された従来のインクジェット法による有機発光層形成方法を示す図である。
【0007】
図9において、XYステージ101上に支持固定される基板102には、X方向とY方向に所定のピッチで複数の画素Sが並べられる。ヘッド機構部103を構成する4組のインクジェット機構104には、溶剤用とインク用のインクジェットヘッド105、106が備えられる。インクジェットヘッド105は溶剤用であり、残りの3組のインクジェットヘッド106はインク用で、1組目がR(赤)用、2組目がG(緑)用、3組目がB(青)用で、たとえば5個のノズル107を備える。
【0008】
図10(A)は正方配列方式における画素S 内のレイアウトを示し、画素Sは実線矩形状のR、G、B3色に対応する3つのドット108を正方配列して構成される。この画素Sにおける上記ドット108以外の領域に、破線円形で示す1つの溶剤付与エリア109が形成される。図10(B)は溶剤用としてダミーバンク110を、図10(C)は縦ストライプ配列方式の画素Sにおいて、溶剤用としてダミーバンク111を設置したものである。
【0009】
これらの構成を用いて、はじめに上記溶剤用インクジェットヘッド105から溶剤付与エリア109、或いは、110、111に対して溶剤を付与する溶剤付与工程をなし、そのあと上記インク用インクジェットヘッド106 からR、G、B3色に対応するドット108にインクを塗布するインク塗布工程をなすことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−031070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の構成では、基板全面へのインクの塗布を複数走査で完了させる際の、走査間の接続部におけるスジ状の輝度ムラへの改善効果は若干みられるが、塗布領域の中央部と端部における乾燥速度の差に起因した発光層の膜形状の差異が発生し、面内における輝度の差、輝度ムラが発生するという課題を有している。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、発光領域における輝度ムラを低減した不良の少ない有機ELディスプレイパネルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の有機ELディスプレイパネルおよびその製造方法は、基板と、前記基板表面を、第1のダミーバンク領域と第2のダミーバンク領域と有機EL素子がマトリクス状に配列された素子配列領域とに区切るバンクを有する有機ELディスプレイパネルであって、前記第1のダミーバンク領域と前記第2のダミーバンク領域が、前記素子配列領域と異なる配列を有し、前記第1のダミーバンク領域が前記素子配列領域の外周に、前記第2のダミーバンク領域が前記第1のダミーバンク領域の外周に配置される。
【0014】
このとき、前記素子配列領域内に2以上の互いに平行なライン状領域を規定するライン状バンクと、を有する有機ELディスプレイパネルであることを特徴とする。
【0015】
また、前記第1のダミーバンク領域がバンクにより前記素子配列領域における画素と同等あるいは画素より小さいセル状に規定されていることを特徴とする。
【0016】
更に、前記第2のダミーバンク領域がバンクにより1つの凹部として規定されていることを特徴とする。
【0017】
基板と、前記基板表面を、陽極が配置された素子配列領域と、前記素子配列領域の周囲に前記第1のダミーバンク領域、前記第1のダミーバンク領域の周囲に前記第2のダミーバンク領域に区切るバンクを有するベースパネルを準備するステップと、溶媒用インクジェットヘッドを、第2のダミーバンク領域に配置するステップと、第2のダミーバンク領域内にノズルから溶媒を一定インターバルごとに吐出するステップと、第2のダミーバンク領域に溶媒用インクジェットヘッドを用いて溶媒を塗布しながら、インク用インクジェットヘッドを用いて第1のダミーバンク領域にインクを塗布するステップと、第2のダミーバンク領域に溶媒、第1のダミーバンク領域にインクを塗布しながら、素子配列領域にインク用インクジェットヘッドを用いてインクを塗布するステップと、素子配列領域へのインク塗布を完了した後は、第1のダミーバンク領域および第2のダミーバンク領域の残りの部分に溶媒、あるいはインクを塗布するステップと、を有することを特徴とする有機ELディスプレイパネルの製造方法。
【0018】
このとき、前記第1のダミーバンク領域に溶媒用インクジェットヘッドを用いて溶媒を塗布することを特徴とする。
【0019】
また、前記素子配列領域、前記第1のダミーバンク領域、および前記第2のダミーバンク領域にインクジェットヘッドを用いて塗布する際に、インクおよび溶媒を1走査で塗布することを特徴とする。
【0020】
更に、前記第2のダミーバンク領域に溶媒を塗布する際にダイコートあるいはディスペンサーを用いて塗布することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の有機ELディスプレイパネルおよびその製造方法によれば、発光層形成段階における乾燥速度ムラを低減することにより、発光層の形状ムラを改善し、発光領域における輝度ムラを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの平面図
【図2】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの平面図
【図3】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの平面図
【図4】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図
【図6】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図
【図8】本発明の実施の形態2における有機ELディスプレイパネルの平面図
【図9】従来の有機ELディスプレイパネルの有機発光層形成方法を示す図
【図10】従来の有機ELディスプレイパネルの画素内配列を示す図
【図11】従来の有機ELディスプレイパネルの乾燥状態を示す図
【図12】従来の有機ELディスプレイパネルの乾燥状態を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
1.本発明の有機ELディスプレイパネルについて:
本発明の有機ELディスプレイパネルは、有機EL素子がマトリクス状に配置された基板と、基板上に配置されたバンクと、を有する。本発明の有機ELディスプレイパネルは、後述するダミーバンク領域と素子配列領域とを区切るバンクの配列に特徴を有するが、他の構成は、本発明の効果を損なわない限り公知の有機ELディスプレイパネルと同じであってよい。例えば、本発明の有機ELディスプレイパネルは、パッシブマトリックス型であっても、アクティブマトリックス型であってもよい。さらに本発明の有機ELディスプレイパネルは、ボトムエミッション型(光を陽極および基板を通して取り出すタイプ)であっても、トップエミッション型(光を陰極および封止膜を通して取り出すタイプ)であってもよい。
【0024】
1−1 基板について:
基板は、素子配列領域およびダミーバンク領域を有する。素子配列領域とは、有機EL素子がマトリクス状に配置される領域である。ダミーバンク領域とは後述するダミー用の溶媒あるいはインク吐出のための領域であり、非発光領域である。また素子配列領域では、基板は有機EL素子を駆動するための駆動TFTを内蔵していてもよい。
【0025】
このように基板上にダミー用の塗布領域を設けることで、有機層を形成するインクを塗布する際の素子配列領域の外周部と中央部の乾燥速度の差を縮めることができる。
【0026】
基板の材料は、本発明の有機ELディスプレイパネルが、ボトムエミッション型か、トップエミッション型かによって異なる。有機ELディスプレイパネルがボトムエミッション型の場合、基板が透明であることが求められるので、基板の材料の例には、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)などの透明樹脂やガラスなどが含まれる。一方、有機ELディスプレイパネルがトップエミッション型の場合、基板が透明である必要はないので、基板の材料は絶縁性を有するものであれば任意である。
【0027】
1−2 バンクについて:
バンクは、基板上に配置され、塗布形成される層を規定する障壁である。バンクの高さ(基板面からバンクの頂点までの距離)は0.5μm〜2μmであることが好ましい。
【0028】
本発明の有機ELディスプレイパネルは、基板表面を素子配列領域と第1のダミーバンク領域と第2のダミーバンク領域に区切るバンクを有する。素子配列領域内には、2以上のライン状領域に規定するライン状バンクを有し、ライン状領域には複数の副画素が含まれる。第1のダミーバンク領域は素子配列領域外周に配置され、素子配列領域内とは異なり、副画素形状のバンク、言い換えればライン状領域を副画素毎に区切った領域を有する。第2のダミーバンク領域は第1のダミーバンク領域外周に配置され、素子配列領域内および第1のダミーバンク領域とは異なり、内周を規定するバンクと外周を規定するバンクにより構成される。これらバンクの幅は、10μm〜300μmであることが好ましく、インクの溢れによる混色防止、および画素レイアウト上の観点より20μm〜50μmであることがさらに好ましい。ここで「バンクの幅」とはバンクの底面の短手方向の長さを意味する。バンクの形状は、順テーパ状であることが好ましい。バンクのテーパ角は20〜50°であることが好ましい。このように本発明では、素子配列領域の周囲に第1のダミーバンク領域と第2のダミーバンク領域と、形状の異なる少なくとも2つのダミーバンク領域を有することを特徴とする。
【0029】
また、境界バンクの頂面におけるインクの接触角は30〜60°であることが好ましく、40〜50°であることがより好ましい。インクが塗布される領域を規定することから撥液性が高いことが好ましい。バンクの撥液性を高くするには、バンクをフッ素ガスでプラズマ処理してもよいし、バンクの材料をフッ素含有樹脂としてもよい。フッ素含有樹脂は、その高分子繰り返し単位のうち、少なくとも一部の繰り返し単位にフッ素原子を有するものであればよい。
【0030】
バンクをフッ素ガスでプラズマ処理する場合、バンクの材料は、ポリイミドまたはアクリル樹脂であることが好ましい。また、フッ素含有樹脂の例には、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリメタアクリル樹脂、含フッ素フェノール・ノボラック系樹脂などが含まれる。
【0031】
また、バンクの代わりに、撥液性の自己組織化単分子膜(Self Assemble Monolayer:SAM)を用いてもよい。このように、バンクの代わりに撥液性の自己組織化単分子膜を用いる場合、自己組織化単分子膜は、ガラスやシリコン酸化物(SiO2)の膜、金属膜、金属酸化物膜などの上に配置されることが好ましい。自己組織化単分子膜の材料としては、有機材料の末端にシランカップリング構造を有する材料が好ましい。シランカップリング結合は、紫外線等の光照射によって、切断できることから、自己組織化単分子膜は、フォトマスクを用いた光照射によって、パターニングされうる。
【0032】
1−3 素子配列領域について:
素子配列領域は、有機EL素子がマトリクス状に配列された領域である。素子配列領域は、ライン状バンクによって規定された2以上の互いに平行なライン状領域を有する。ライン状領域は、有機層の材料を含むインクが塗布される領域でもあることから塗布領域とも称する。ライン状領域には、それぞれ複数の有機EL素子が一列に配列される。
【0033】
1−4 ダミーバンク領域について:
一方、ダミーバンク領域は、素子配列領域と異なり、有機EL素子を有さない。ダミーバンク領域は、素子配列領域の外周に第1のダミーバンク領域が、第1のダミーバンク領域の外周に配置され、素子配列領域同様のインク、あるいはインクに使用される溶媒が塗布される。第2のダミーバンク領域は第1のダミーバンク領域の外周に配置され、インクに使用される溶媒が塗布される。ダミーバンク領域の幅は、例えば、第1のダミーバンク領域は少なくとも1画素以上の幅であることが好ましく、第2のダミーバンク領域は、ベースパネルの素子配列領域および第1のダミーバンク領域を除いた領域であることが好ましい。
【0034】
このように本発明の有機ELディスプレイパネルでは、第1および第2のダミーバンク領域は、素子配列領域の外周に配置される。
【0035】
1−5 有機EL素子について:
上述のように有機EL素子は、素子配列領域のそれぞれのライン状領域に1列に配列される。それぞれ有機EL素子は、副画素として機能する。有機EL素子は、基板上に配置された陽極、陽極上に配置された有機層、および有機層上に配置された陰極を有する。
【0036】
陽極は、基板上に配置される導電性の部材である。有機ELディスプレイパネルがボトムエミッション型の場合、陽極が透明であることが求められるので、陽極の材料の例には、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化スズなどが含まれる。一方、有機ELディスプレイパネルがトップエミッション型の場合、陽極に光反射性が求められるので、陽極の材料の例には、APC合金(銀、パラジウム、銅の合金)やARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが含まれる。陽極の厚さは、通常、100nm〜500nmであり、約150nmでありうる。
【0037】
また、本発明の有機ELディスプレイパネルが、パッシブマトリクス型である場合、複数の有機EL素子が1のライン状の陽極を共有する。陽極がライン状である場合、ライン状バンクのラインの方向と、陽極のラインの方向とは直交することが好ましい。一方、本発明の有機ELディスプレイパネルがアクティブマトリクス型である場合、陽極は有機EL素子ごとに独立して配置され、駆動TFTのドレイン電極と接続される。
【0038】
有機層は、陽極上にインクジェット法によって塗布形成される層である。このように本発明では、有機層はインクジェット法によって形成されることを特徴とする。有機層は、有機発光層を含む。有機発光層は、有機発光材料を含む層である。有機発光層は、バンクによって規定された領域内に配置される。すなわち、有機発光層は、ライン状領域内にライン状に形成される。したがって、ライン状領域内の有機EL素子の有機発光層は連結している。有機発光層の厚さは、約50nm〜100nm(例えば70nm)であることが好ましい。
【0039】
有機発光層に含まれる有機発光材料は低分子有機発光材料であっても、高分子有機発光材料であってもよいが、高分子有機発光材料であることが好ましい。高分子有機発光材料を含む有機発光層は、塗布形成しやすいからである。高分子有機発光材料の例には、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリアセチレン(Polyacetylene)およびその誘導体、ポリフェニレン(Polyphenylene)およびその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Polyparaphenylene ethylene)およびその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly−3−hexylthiophene(P3HT))およびその誘導体、ポリフルオレン(Polyfluorene(PF))およびその誘導体などが含まれる。
【0040】
有機発光材料は各副画素(有機EL素子)から所望の発色(レッド、グリーンまたはブルー)が生じるように、適宜選択される。例えば、レッド副画素の隣にグリーン副画素を配置し、グリーン副画素の隣にブルー副画素を配置し、ブルー副画素の隣にレッド副画素を配置する。有機発光材料と溶媒を含むインクを、インクジェット法によって塗布領域に塗布することによって、容易かつ他の材料に損傷を与えることなく有機発光層を形成することができる。
【0041】
有機層は、さらに正孔注入層、中間層、電子輸送層などを含んでいてもよい。
【0042】
陰極は有機層上に配置される。陰極の材料は、本発明の有機ELディスプレイパネルがトップエミッション型の場合、陰極の材料の例には、ITOやIZO、Ba、Al、WOxなどが光透過性の材料が含まれる。一方、本発明の有機ELディスプレイパネルがボトムエミッション型の場合、陰極の材料は特に限定されないが、例えば、BaやBaO、Alなどである。
【0043】
また、有機ELディスプレイパネルがアクティブマトリクス型の場合、全ての有機EL素子が1つの陰極を共有していてもよい。アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイパネルでは、各副画素は独立したTFTによって駆動されるからである。一方、有機ELディスプレイパネルがパッシブマトリクス型の場合、複数のライン状の陰極がパネル上に配置される。この場合、バンクがカソードセパレータとして機能する。またライン状の陰極のライン方向は、ライン状の陽極のライン方向と直交することが好ましい。
【0044】
2.有機ELディスプレイパネルの製造方法:
上述した上記構成を有する有機ELディスプレイパネルは、本発明の有機ELディスプレイパネルの製造方法によって製造される。
【0045】
本発明の有機ELディスプレイパネルの製造方法は、1)有機層が形成される前のベースパネルを準備する第1ステップ、2)2以上のノズルを有し、インクの調合に用いられる溶媒が供給される溶媒用インクジェットヘッドを、第2のダミーバンク領域に配置する第2ステップ、3)第2のダミーバンク領域内にノズルから溶媒を一定インターバルごとに吐出する第3ステップ、4)第2のダミーバンク領域に溶媒を塗布しながら、2以上のノズルを有し、有機層の材料液を含有するインクが供給されるインク用インクジェットヘッドあるいは溶媒用インクジェットヘッドを第1のダミーバンク領域へ移動し、第1のダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を塗布する第4ステップ、5)第2のダミーバンク領域に溶媒、第1のダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を塗布しながら、素子配列領域へ移動し、インク用インクジェットヘッドを素子配列領域のライン状領域のライン方向あるいはライン方向に直交する方向に沿って移動させ、素子配列領域にインクを塗布する第5ステップ、6)素子配列領域へのインク塗布を完了した後は、第1のダミーバンク領域および第2のダミーバンク領域の残りの部分に溶媒、あるいはインクを塗布する第6のステップを有する。
【0046】
第1ステップでは、有機層が形成される前のベースパネルを準備する。ベースパネルは、基板、基板表面を素子配列領域と第1のダミーバンク領域および第2のダミーバンク領域とに区切るバンク、および素子配列領域に配置された陽極を有する。陽極は、例えばスパッタリングによって形成される。バンクは、例えば、フォトリソグラフィ技術または印刷技術を用いて形成されうる。第1ステップによって、「1.有機ELディスプレイパネル」で説明したような、素子配列領域、予備領域およびバンクを有するベースパネルが準備される。
【0047】
第2ステップでは、インクジェットヘッドを第2のダミーバンク領域上に配置する。インクジェットヘッドは、少なくとも溶媒用インクジェットヘッドおよびインク用インクジェットヘッドの2種を有し、各々ベースパネル全域を1走査で塗布するために十分な数のノズルを有する。
【0048】
またインク用インクジェットヘッドには、有機層の材料を含むインクが供給され、溶媒用インクジェットヘッドには、インクに用いられる溶媒が供給される。インクは、高分子有機EL材料を含むことが好ましい。高分子有機EL材料は、所望の発色(R,G,B)が生じるように、適宜選択される。
【0049】
第3ステップでは、第2のダミーバンク領域内で溶媒用インクジェットヘッドを第1のダミーバンク領域、素子配列領域方向に移動しながら、溶媒用インクジェットヘッドのノズルから溶媒を一定インターバルごとに吐出する。吐出のインターバル(ある吐出から次の吐出までの時間)は、駆動周波数によって異なるが、通常は(駆動周波数1kHz〜20kHzの範囲)0.05ms〜1.0msである。インクジェットヘッドを移動するには、インクジェットヘッド自体を移動させてもよいし、ベースパネルを搬送してもよいし、両方を移動させてもよい。また、1のノズルが1度に吐出するインクの量(ノズルが吐出するインク一滴の量)は、通常3pl〜20plである。インクジェットヘッドのベースパネルに対する移動速度は、1mm/s〜100mm/sであることが好ましい。
【0050】
第4ステップでは、一定のインターバルごとの吐出を維持したままで、インクジェットヘッドを、第2のダミーバンク領域から、第1のダミーバンク領域に移動させ、第2のダミーバンク領域に溶媒を、第1のダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を同時に塗布する。インクジェットヘッドを移動するには、インクジェットヘッド自体を移動させてもよいし、ベースパネルを搬送してもよいし、両方を移動させてもよい。
【0051】
第5ステップでは、第1のダミーバンク領域から、素子配列領域に移動し、第2のダミーバンク領域に溶媒を、第1のダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を、素子配列領域にインクを同時に塗布する。
【0052】
第6ステップでは、素子配列領域へインク塗布完了後に第2のダミーバンク領域に溶媒を、第1のダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を塗布し、ベースパネル全面への溶媒およびインクの塗布を完了させる。
【0053】
このように、本発明では、ベースパネル全面を1走査で塗布できる溶媒用ヘッドおよびインク用ヘッドを有し、これら複数のヘッドを同時に制御し、溶媒とインクを塗りわけることができることを特徴とする。
【0054】
塗布されたインクを乾燥させることで、有機層が形成され、さらに、形成された有機層上に、例えばスパッタリング法で陰極を形成することで、有機ELディスプレイパネルが製造される。溶媒が塗布された領域は溶媒が乾燥により除去されるため、何も残らず、ベースパネルに電気配線等が配置されている場合には、乾燥後に電気配線を利用することが可能となる。
【0055】
従来のインクジェット法(図9)では、複数走査間のスジムラを低減させる効果はあるが、ディスプレイの外周部と中央部における膜形状の違いから面内輝度ムラが発生し、ディスプレイパネルの不良の原因となる恐れがあった。しかし本発明では、第1および第2のダミーバンク領域を設け、第1のダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を、第2のダミーバンク領域に溶媒を塗布することで、ディスプレイパネルの面内ムラを低減させることを特徴とする。以下図を参照して、面内ムラが低減される理由について説明する。
【0056】
図11にインクがバンクで規定された領域内に塗布され、乾燥する際の膜形状の偏りが発生するメカニズムを示す。図11(a)はインク塗布終了直後の状態である。インクは塗布された直後から、端部の乾燥速度E1が中央部の乾燥速度E0に比べて大きい。端部においては一方にはインクが存在するが、他方はバンクでインクが存在せず、中央部においては両側にもインクが存在する。このため、飽和蒸気圧に到達するまでに必要なインク量が同等とすれば、中央部の方が単位面積あたりに蒸発する溶媒量が少なく、乾燥しにくいためである。図11(b)は乾燥が進行中の状態である。E1>E0であることから、端部のインク濃度が上昇しやすく、乾燥速度も早いため、端部の溶媒を補充する方向Fにインクが対流する。このため、乾燥後の状態を示す図11(c)のようにコーヒーステイン現象と呼ばれる、端部に溶質が偏った形状となる。図11(c)に示すような現象を防止するためには、E0=E1となるような状況において乾燥させることが必要である。
【0057】
図12に複数画素が配置された場合の状態を示す。基板102上にバンク103により複数の画素を規定している。複数画素にインクが塗布された場合、インクが塗布された領域全体を巨視的に見た場合、図11と同様に、端部における乾燥速度G1は、中央部における乾燥速度G0に比べ大きくなる。端部においては一方にはインクが塗布された画素が存在するが、他方は素子配列の端部のためインクが塗布された画素が存在しない。中央部においては両側にインクが塗布された画素が存在するため、飽和蒸気圧に到達するまでに必要なインク量が同等とすれば、中央部の方が単位面積あたりに蒸発する溶媒量が少なく、乾燥しにくい。
【0058】
このため、端部においては図12(a)に示すように溶質が画素内で偏りを示し、中央部においては図12(b)に示すように、画素内の溶質の偏りはない。素子配列領域外周の画素内での溶質の偏りを低減するためには、インクが乾燥する際の素子配列領域の外縁部と中央部の乾燥速度を同等にする必要がある。そこで、素子配列領域の周囲に第1および第2のダミーバンク領域を設けることで、飽和蒸気雰囲気を設け、素子配列領域内の乾燥速度差を小さくすることにより、画素内における溶質の偏りを低減させ、膜形状の均一化を実現することで有機ELディスプレイパネルの面内輝度ムラを低減させることができる。
【0059】
このように本発明によれば、素子配列領域外周に第1のダミーバンク領域と第2のダミーバンク領域を設けることにより、素子配列領域における乾燥速度ムラが少ないため、有機層の形成時の膜形状の偏りに起因する輝度ムラがなく、不良の少ない有機ELディスプレイパネルを得ることができる。また、本発明では、第2のダミーバンク領域に電気配線等を予め設置することができるため、レイアウト上の制限も少なく低コストの有機ELディスプレイパネルを提供することができる。
【0060】
以下図面を参照して本発明の有機ELディスプレイパネルの実施の形態について説明する。
【0061】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの平面図を示す。有機ELディスプレイパネルは、基板1、素子配列領域2A、第1のダミーバンク領域2B、第2のダミーバンク領域2C、および各領域を規定し、各領域を区切るバンク3、および素子配列領域2A全面を覆う陰極(図示しない)を有する。陰極および有機層を省略した有機ELディスプレイパネルを「ベースパネル」と称する。
【0062】
図2に素子配列領域2Aの平面図を示す。素子配列領域2Aは、2以上の互いに平行なライン状バンク4を有する。ライン状バンク4はライン状塗布領域5を規定する。したがって素子配列領域は複数のライン状領域5を有する。ライン状バンクの幅4wは20μm〜50μmであることが好ましい。ライン状領域5は1列に配列された複数の陽極6を有する。
【0063】
図3に図1に示したダミーバンク領域1の平面図を示す。ダミーバンク領域1は画素単位のセル状バンク7はセル状塗布領域8を有する。セル状バンク7の幅はライン状バンクの幅4wと同様20μm〜50μmであることが好ましい。セル状塗布領域8の幅はライン状塗布領域5の幅と同等であることが好ましい。セル状塗布領域8はダミー塗布領域のため、陽極を設置せず有機EL素子の機能を持たせない。
【0064】
ダミーバンク領域2はダミーバンク領域1の外周部のバンクとベースパネルの外周に設けられたバンク3により規定される。各領域を区切るバンク3の幅は10μm〜300μmであることが好ましく、20μm〜50μmでライン状バンクの幅4Wと同等であることがさらに好ましい。
【0065】
バンク3およびライン状バンク4、セル状バンク7の頂面におけるインクの接触角は30〜70°であることが好ましく、40〜60°であることがより好ましい。また、バンク3およびライン状バンク4、セル状バンク7の基板面からのテーパ角は20〜50°であることが好ましい。
【0066】
以下、実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法について説明する。
【0067】
図4は有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す模式図である。8はインク用インクジェットヘッドであり、Y方向にベースパネル全面を覆う大きさを有し、インクを吐出するためのノズル8Nがベースパネル全面に塗布可能な数量設けられており、1画素に対し少なくとも1つのノズルからインクが塗布できるものである。9は溶媒用インクジェットヘッドであり、インク用インクジェットヘッド8同様、Y方向にベースパネル全面を覆う大きさを有し、インクを吐出するためのノズル8Nがベースパネル全面に塗布可能な数量設けられており、1画素に対し少なくとも1つのノズルから溶媒が塗布できるものである。
【0068】
これらインクジェットヘッド8、9はベースパネルが載置されたステージ(図示しない)に対して相対的にX方向に動くことが可能である。インクジェットヘッド8、9は隣接して設置されていることが好ましい。
【0069】
有機ELディスプレイパネルの製造方法は、1)有機層が形成される前のベースパネルを準備する第1ステップ、2)溶媒用インクジェットヘッド9を、第2のダミーバンク領域2Cに配置する第2ステップ、3)第2のダミーバンク領域内2Cにノズルから溶媒を一定インターバルごとに吐出する第3ステップ(図4(a))、4)第2のダミーバンク領域2Cにインクジェットヘッド9を用いて溶媒を塗布しながら、インク用インクジェットヘッド8あるいは溶媒用インクジェットヘッド9を用いて第1のダミーバンク領域2Bにインクあるいは溶媒を塗布する第4ステップ(図4(b))、5)第2のダミーバンク領域2Cに溶媒、第1のダミーバンク領域2Bにインクあるいは溶媒を塗布しながら、素子配列領域2Aにインク用インクジェットヘッド8を用いてインクを塗布する第5ステップ(図4(c))、6)素子配列領域へのインク塗布を完了した後は、第1のダミーバンク領域および第2のダミーバンク領域の残りの部分に溶媒、あるいはインクを塗布する第6のステップ(図4(d))を有する。
【0070】
第1ステップでは、図1に示されたようなベースパネルを準備する。
【0071】
図7にダミーバンク領域1、2を設置した場合の乾燥状態を模式的に示した図1のY1断面図を示す。形状の異なるダミーバンク領域を2つ設定すること、および第1のダミーバンク領域がセル状であることの効果を説明するため、ダミーバンク領域が1つで、ダミーバンク領域内でバンクにより規定された塗布領域形状が素子配列領域と同じライン状バンクの場合の平面図を図5に示す。図6はその時の乾燥状態を模式的に示したY2断面図とその時の溶媒蒸気濃度のグラフである。
【0072】
図5、図6、図7において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。2Dはライン状ダミーバンク領域であり、図1における第1、第2のダミーバンク領域同様、陽極は設置されてない。
【0073】
図6を用いて、乾燥状態を説明する。素子配列領域2Aにインク、ダミーバンク領域2Dに溶媒を塗布した直後から素子配列領域2A外周に配置されたダミーバンク領域2Dが乾燥し始める(図6(a))。この時、インクおよび溶媒塗布領域外周近傍の乾燥速度H0はH1より大幅に大きい(H0>>H1)。乾燥の進行にともない、バンクにより規定された凹部内で表面張力、対流により溶媒が高さを均等化する(図6(b))。ダミーバンク領域2Dの表面積が大きく乾燥速度が大きいため、凹部内の溶媒の乾燥は早く、ダミーバンク領域2Dと接する素子配列領域2A端部の乾燥速度の上昇が早く(図6(c))、素子配列領域2Aの溶媒蒸気濃度分布に及ぼす影響大きく、膜厚の基板面内均一性が悪化する(図6(d))。
【0074】
次に図7を用いて、形状の異なるダミーバンク領域を2つ設定すること、および第1のダミーバンク領域がセル状であることの効果を説明する。素子配列領域2Aにインク、第1のダミーバンク領域2Bにインクあるいは溶媒、第2のダミーバンク領域2Cに溶媒を塗布した直後より、第2のダミーバンク領域2Cが乾燥し始める(図7(a))。この時、インクおよび溶媒塗布領域外周近傍の乾燥速度J0はJ1より大幅に大きく(J0>>J1)、インクおよび溶媒塗布領域内の乾燥速度J1はJ2より若干大きい程度か、あるいは同等である。第2のダミーバンク領域2Cはベースパネル全面に設けているため溶媒を塗布することより、第1のダミーバンク領域2Bの乾燥を抑制する効果を持つ。第2のダミーバンク領域2Cが乾燥した後、第1のダミーバンク領域2Bが乾燥し始める(図7(b))。
【0075】
この時、外周側のセルから順に乾燥するが、第1のダミーバンク領域2Bはバンクによりセル状に規定されているため、インク、溶媒の対流がセル内に限定され、ライン状セルに比べ乾燥に寄与する表面積を小さくすることができる。このため、セル毎に乾燥が進み、素子配列領域2Aに近い位置での溶媒蒸気濃度の低下(乾燥速度の上昇)を抑制することができる(図7(c))。第2のダミーバンク領域2Cを設けたことによる溶媒蒸気の増加、および第1のダミーバンク領域2Bをセル状に規定したことによる素子配列領域2Aと接する第1のダミーバンク領域2Bの溶媒蒸気濃度均一化により、素子配列領域2Aにおける乾燥ムラを抑制し、溶質の偏りを低減することが可能となる(図7(d))。
【0076】
また、第2のダミーバンク領域2Cはセル状あるいはライン状バンクにせず、1つの凹部として溶媒を塗布することで、乾燥後は下地面が露出するため、電気配線等が可能であり、レイアウトの制限を最小限に留めることが可能となる。
【0077】
ダミーバンク領域を2つ設定すること、および第1のダミーバンク領域がセル状であることの効果は、長軸(Y1軸)方向だけでなく、Y1と垂直な方向に関しても、同様に言える。
【0078】
このように本実施の形態の有機ELディスプレイパネルでは、このように形状の異なるダミーバンク領域を2つ設け、第1のダミーバンク領域をセル状に設定し、素子配列領域の周囲に配置したダミーバンク領域にインクあるいは溶媒を塗布することによって、溶質の偏りの無く、面内輝度ムラのない有機層を形成することが可能となる。
【0079】
また、本実施の形態では、第2のダミーバンク領域をセル状あるいはライン状バンクにせず、1つの大きな凹部として、溶媒を塗布することにより、有機ELディスプレイパネルにおける電気配線等に使用不可のダミーの割合を小さくし、素子配列領域の割合を大きくすることができる。
【0080】
なお、本実施の形態では、第2のダミーバンク領域を塗布する際にインクジェットヘッドを用いたが、セル状に決められた位置に塗布する場合と異なり、塗布位置精度は要求されないため、ダイコートやディスペンサーを用いても良い。
【0081】
[実施の形態2]
図8は、実施の形態2の有機ELディスプレイパネルの平面図を示す。図8において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0082】
10はバンク3と同様インクに対して30〜70°の接触角を有する自己組織化単分子膜(Self Assemble Monolayer:SAM)であり、バンク3の代わりに、このような撥液性の自己組織化単分子膜を用いる場合、自己組織化単分子膜は、ガラスやシリコン酸化物(SiO2)の膜、金属膜、金属酸化物膜などの上に配置されることが好ましい。
【0083】
自己組織化単分子膜の材料としては、有機材料の末端にシランカップリング構造を有する材料が好ましい。シランカップリング結合は、紫外線等の光照射によって、切断できることから、自己組織化単分子膜は、フォトマスクを用いた光照射によって、パターニングされうる。ライン状バンク4、セル状バンク7もバンク3と同様SAM膜によって形成されうる。
【0084】
バンク3、ライン状バンク4、セル状バンク7がSAM膜10によって形成されること以外は実施の形態1と同様の特徴を持ち、同様の効果を示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の有機ELディスプレイパネルは、例えば、有機ELディスプレイ(大画面テレビ、携帯電話などの情報機器端末のモニタなど)に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 基板
2A 素子配列領域
2B 第1のダミーバンク領域
2C 第2のダミーバンク領域
3 バンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板表面を、第1のダミーバンク領域と第2のダミーバンク領域と有機EL素子がマトリクス状に配列された素子配列領域とに区切るバンクを有する有機ELディスプレイパネルであって、
前記第1のダミーバンク領域と前記第2のダミーバンク領域が、前記素子配列領域と異なる配列を有し、前記第1のダミーバンク領域が前記素子配列領域の外周に、前記第2のダミーバンク領域が前記第1のダミーバンク領域の外周に配置されること
を特徴とする有機ELディスプレイパネル。
【請求項2】
前記素子配列領域内に2以上の互いに平行なライン状領域を規定するライン状バンクと、を有する有機ELディスプレイパネルである、請求項1記載の有機ELディスプレイパネル。
【請求項3】
前記第1のダミーバンク領域がバンクにより前記素子配列領域における画素と同等あるいは画素より小さいセル状に規定されている、請求項1記載の有機ELディスプレイパネル。
【請求項4】
前記第2のダミーバンク領域がバンクにより1つの凹部として規定されている、請求項1記載の有機ELディスプレイパネル。
【請求項5】
基板と、前記基板表面を、陽極が配置された素子配列領域と、前記素子配列領域の周囲に前記第1のダミーバンク領域、前記第1のダミーバンク領域の周囲に前記第2のダミーバンク領域に区切るバンクを有するベースパネルを準備するステップと、
溶媒用インクジェットヘッドを、第2のダミーバンク領域に配置するステップと、
第2のダミーバンク領域内にノズルから溶媒を一定インターバルごとに吐出するステップと、
第2のダミーバンク領域に溶媒用インクジェットヘッドを用いて溶媒を塗布しながら、インク用インクジェットヘッドを用いて第1のダミーバンク領域にインクを塗布するステップと、
第2のダミーバンク領域に溶媒、第1のダミーバンク領域にインクを塗布しながら、素子配列領域にインク用インクジェットヘッドを用いてインクを塗布するステップと、
素子配列領域へのインク塗布を完了した後は、第1のダミーバンク領域および第2のダミーバンク領域の残りの部分に溶媒、あるいはインクを塗布するステップと、
を有することを特徴とする有機ELディスプレイパネルの製造方法。
【請求項6】
前記第1のダミーバンク領域に溶媒用インクジェットヘッドを用いて溶媒を塗布する、請求項5記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
【請求項7】
前記素子配列領域、前記第1のダミーバンク領域、および前記第2のダミーバンク領域にインクジェットヘッドを用いて塗布する際に、インクおよび溶媒を1走査で塗布する、請求項5または6に記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
【請求項8】
前記第2のダミーバンク領域に溶媒を塗布する際にダイコートあるいはディスペンサーを用いて塗布する、請求項5または6に記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−277944(P2010−277944A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131732(P2009−131732)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】