説明

有機EL素子及びその製造方法

【課題】従来の蒸着法やスパッタ法等の高真空薄膜形成技術では、成膜レートが低く生産コストが高くなると言う課題を有していた。そこで、蒸着法やスパッタ法等の高真空薄膜形成技術によらず、簡略化された有機EL素子の電極の製造方法を提供し、簡略化された有機EL素子の製造方法及び有機EL素子を光源に用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】2つ以上の電極の間に少なくとも一層以上の有機物からなる有機デバイスであって、少なくとも電極の1つを固体平板状態で有機物層上に接触配置し、電極を軟化し接合により作成することで、有機デバイスを安価で容易に製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機エレクトロルミネッセンス(以下ELと記述)素子及びその製造方法に係り、特に電極の製造方法と有機EL素子を光源に用いた表示装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EL素子は固体蛍光性物質の電界発光を利用した発光デバイスで、無機系材料を発光体として用いた無機EL素子が実用化され、現在では液晶ディスプレイのバックライトやフラットディスプレイ(FPD)等への応用展開がなされている。
【0003】
しかし、無機EL素子は発光に必要な電圧が100V以上と高い、或いは青色発光が困難なため、RGBの三原色によるフルカラー化が困難である等多くの課題を有している。
【0004】
一方、有機材料を用いたEL素子に関する研究も古くから注目され、様々な検討が行われてきたが、発光効率が非常に悪いことから本格的な実用化研究は進展しなかった。
【0005】
しかし、1987年にコダック社のC.W.Tang氏らにより、発光層を構成する有機材料を正孔輸送層と発光層の2層に分けた機能分離型の積層構造を有する有機EL素子が提案され、10V以下の低電圧にもかかわらず1000cd/m2以上の高い発光輝度が得られることが明らかとなった(非特許文献1参照)。
【0006】
これ以降、有機EL素子については現在も同様な機能分離型の積層構造を有する有機EL素子についての研究が盛んに行われており、特に有機EL素子実用化のためには不可欠である高効率化・長寿命化についても十分成果がでており、近年有機EL素子を用いたディスプレイ等が実現されるようになった。
【0007】
図4は従来の有機EL素子の構造を示す断面図である。以降、従来の一般的な有機EL素子の構造について図4を用いて説明する。
【0008】
図4に示すように、有機EL素子11は、例えば基板12は機械的、熱的強度を有し、有機EL素子11を保持できる強度と、光を透過する機能が必要である。基板12上に、透明な陽極13としてインジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物等を用いる。陽極13上には正孔輸送層14と、正孔輸送層14上に抵抗加熱蒸着法等により形成された8−Hydroxyquinoline Aluminum(以下Alq3と略称する)等からなる有機材料層15と、有機材料層15上に抵抗加熱蒸着法等により形成された100〜300ナノメートル程度の厚みの金属膜からなる陰極17とを備えている。
【0009】
尚、正孔輸送層14と有機材料層15は便宜上一括して単に発光層16と呼称される。有機EL素子11は水分等の影響に因る劣化を防止するため、18は例えばバスタブ形状を有するガラスによって構成される封止部であり、有機EL素子11の全面を覆うように設けられ、その外周部は基板12等に接着剤を用いて接着されている。以下の説明についてもこの例に倣う。
【0010】
しかしながら、有機EL素子11に代表される有機デバイスは、多くは蒸着法やスパッタ法等の高真空薄膜形成技術が用いられてきたが、近年はプロセスの簡素化を実現するべく、スピンコート法やインクジェット法、更にスクリーン印刷やフレキソ印刷等印刷法による正孔注入層や有機材料層の塗布プロセスが開発され実現している。
【0011】
しかし、製造プロセスにおいて、電極形成は依然として高真空の蒸着やスパッタ法に替わる工法が無く、生産性向上を妨げている。
【0012】
一方、(特許文献1)には、有機ELデバイス及び有機デバイスにおいて、融点が100〜250℃の電極材料を溶融させ、溶融した電極材料を有機層に接触させ溶融接着することで生産性、コストを改善することが提案されている。
【0013】
しかし、この方法では予め陰極金属を溶融状態で有機層に直接接触させて成膜する必要から、溶融状態を保つために電極材料や有機層の温度を制御すること自体が難しかった。更に、電気抵抗値を十分に小さくし、電流密度を均一にするため、形成した電極の厚みを大きくすると、電極は溶融状態では液体の分子間に作用する分子間力等により、凝集が発生して厚みの不均一化が発生する恐れがあった。
【非特許文献1】タン(C.W.Tang)、ヴァンスリク(S.A.Vanslyke),「アプライドフィジックスレター(Appl.Phys.Lett.)」(米国),第51巻,1987年,p.913
【特許文献1】特開2005−277340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、蒸着法やスパッタ法等の高真空薄膜形成技術によらず、簡略化された有機デバイスの電極の製造方法を提供することである。また、簡略化された有機デバイスの製造方法及び有機EL素子を光源に用いた表示装置及び電子機器を提供することである。
【0015】
特に、有機EL素子は、面発光を実現するための構造や製造工程がシンプルなため、有機EL素子を搭載した発光装置、主に自発光型ディスプレイや液晶ディスプレイ用のバックライトや面発光型の照明や、更には有機EL素子を光源として応用した露光装置等のアプリケーションは低コスト化に有利だと言われている。
【0016】
しかし、大きな光量を得るためには大きな電荷の注入が必要であることから、電荷の移動に伴う発熱が有機材料の劣化を加速し寿命を低減させることも課題であった。
【0017】
このため、電極を厚くすることは極めて有用な手段であるが、従来の蒸着法やスパッタ法等の高真空薄膜形成技術では、成膜レートが低く生産コストが高くなると言う課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、2つ以上の電極の間に少なくとも一層以上の有機物からなる有機デバイスであって、少なくとも電極の1つを固体平板状態で有機物層上に接触配置し、電極を軟化し接合することにより作成することで、有機デバイスを安価で容易に製造するものである。
【0019】
この時、必要に応じて固体平板電極材料を保持する保持板を用いることにより、電極配置の位置合わせ精度を容易に上げることが出来る。
【0020】
また、保持板に剛性の高い材料を用いて加圧することで、有機層側に複雑な形状の段差を含む形状であっても、接合不良を発生させることが無い製造方法を提供することを見出し、本発明を完成させた。
【0021】
また、本発明は前記記載の透明電極に対向する電極の金属材料の熱変形温度が250℃以下であることを含む。前記材料を用いることにより、有機層が受ける熱による劣化のダメージを低減することが出来る。
【0022】
また、本発明は前記記載の透明電極に対向する電極の厚みが5μm以上であることを含む。電極の厚みを5μm以上にすることにより、電極材料の軟化による変形を大きくすることで、有機層側に対する追従性を確保できるばかりでなく、電極としての抵抗値を小さくできるので、電荷移動に伴う発熱を大幅に低下させ、発熱による有機層へのダメージを大幅に低減できる。
【0023】
更に、ガスのバリア性能が飛躍的に向上することから、有機デバイスの保護特性も大幅に向上する。
【0024】
また、本発明は前記記載の透明電極に対向する電極の粗さの最大高さ:Rmaxが50nm以下であることを含む。この構成により、固体平板電極材料を有機層に接触させた際のダメージを抑え、電極間の短絡を発生させることなく電極が形成される。また、有機層の膜厚の均一性を低下させない。
【0025】
また、本発明は固体電極と有機物層の接触時の雰囲気から酸素及び水分を低減させたことを含む。酸素及び水分を作成工程から低下させる手段の例として、露点温度の低い不活性ガスを用い、水素を用いて還元雰囲気にする。本発明の手段により、有機層が受ける外部劣化要素からのダメージを大幅に低下させる。
【0026】
また、本発明は固体電極と有機物層の接触時、及び軟化時に、雰囲気の気体分圧を低減させることを含む。本発明の手段により、電極形成時に有機層と電極界面に雰囲気ガスを残留させること無く形成でき、大面積の電極形成が容易になる。
【0027】
また、本発明は透明電極と対向する対向電極に錫が50%以上含まれることを含む。
【0028】
本発明の構成により、固体電極の硬度を大幅に低下させるので、電極の成型が容易で取扱いが容易となるほか、有機層への傷の発生も低減させる。
【0029】
また、本発明は電極に銀或いはインジウム、ビスマス、亜鉛、銅、アルミニウムの何れか一種類以上が含まれることを含む。本発明の構成によれば、電極の軟化温度を低減させ、合金の硬度を低減させる。更に、インジウム、亜鉛は有機層への電荷注入特性が高く注入効率を高める。
【0030】
また、本発明は固体電極に銀とマグネシウムが含まれることを含む。本発明の構成によれば、マグネシウムを銀との合金であることからマグネシウムを比較的安定に取扱うことができ、有機層への電荷注入特性を高める。
【0031】
また、本発明は固体電極が透明電極に対向する側の電極材料の熱変形温度が250℃以下である層と、裏面の電気抵抗値がより小さい層により構成された2層であることを含む。本発明の構成によれば、錫を多く含む低温熱変形金属材料の電気抵抗値が、1×10-7Ω/m程度であることに比べ、電気抵抗値が小さい銀や銅、金、アルミニウム等を用いることにより電極としての電気抵抗値を小さくすることが出来るので、大きな面積に熱変形温度が250℃以下の材料のみを用いた場合に比べ、均一に電荷を供給することが出来る。
【0032】
また、本発明は固体電極が透明電極に対向する側の電極材料が有機層への電荷注入特性の高い層と電荷の移動抵抗の低い層の異なる2層以上で構成されていることを含む。本発明の構成によれば、電荷の移動抵抗の低い層と有機層への電荷注入特性の高い層を任意の厚みで作成することができ、有機デバイスとして必要な電気特性を設計することができる。
【0033】
また、本発明は前記記載の電極の一層が粒子状の材料により形成されていることを含む。本発明の構成によれば、電極と有機物層との接触面積を増大させることで、電極より有機物層への電荷の移動を効率よくすることができるので、有機デバイスの効率を向上させることができる。
【0034】
また、本発明は前記記載の電極表面に粒子状或いは針状の材料が非被覆状態、或いは離散的に形成されていることを含む。本発明の構成によれば、電気抵抗値が極めて高くても有機層への電荷注入が可能な材料を用いた電極を実現することができる。また、形状が平坦で無いことから電荷の集中や局在が発生し、これは電荷の注入を行いやすくする等の有用な効果をもたらす。
【0035】
また、本発明は前記記載の固体電極内部に粒子状の材料が分散していることを含む。本発明の構成によれば、固体電極材料に均一分散することにより、分散された材料と有機層との接触面積を均一にすることができるばかりでなく、有機層の膜厚を超える粒子サイズの材料であっても電極内部に埋め込まれることで、表面粗さを大幅に低減することができるので、微粒子か困難な材料であっても用いることができる。
【0036】
また、本発明は前記に記載する電極のうち一層の仕事関数が3.5eV以下であることを含む。また、前記に記載の電極のうち一層がカルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、リチウムで構成されていることを含む。本発明の構成によれば、電極より有機層への電荷注入を効率的に行なうことが出来るので、高い効率の有機デバイスを実現することが出来る。また、電荷の移動抵抗の低い層と有機層への電荷注入特性の高い層を任意の厚みで作成することができ、有機デバイスとして必要な電気特性を設計することができる。
【0037】
また、本発明は前記に記載する電極のうち一層がカルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、リチウムの酸化物、または、フッ化物で構成されていることを含む。本発明の構成によれば、有機層への電荷注入特性が高く、仕事関数の小さい安定な酸化物、またはフッ化物であるので、電極形成時の取扱いが容易で、優れた特性の有機デバイスとなる。
【0038】
また、本発明は記載のデバイスが、光電変換素子、発光素子である有機デバイスの電極の製造方法を含む。本発明によれば、簡易化され、生産性の高い有機デバイス電極及び有機デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0039】
電極を固定平板状態で有機物層上に接触配置することにより、電極部が固体で形状が固定されているので、取扱いが容易であるばかりでなく、必要な部分のみに成型することも可能となり、任意の複雑な形状を作成することが容易となる。また、加温軟化させることにより、電極や絶縁層等凹凸を有する対向電極上に形成された有機層との接合にも優れ、適度の加重を加えることにより接合精度を向上させることが可能である。
【0040】
また、本発明によれば電極材料が固体であるので、予め電極の膜厚を制御することが可能で、電流密度を均一にするため、必要に応じて不均一な、膜厚の部分的に異なる電極を作成することも出来、バックライトや光源等大面積でも高い輝度で均一な発光を実現することが出来る。
【0041】
また、本発明によれば電極を溶融状態にしないので、流動性が高い場合に発生する分子間力による凝集の発生が無く、極めて厚い電極を容易に、短時間で作成することが出来る。更に、電極の膜厚を厚くすると有機層に対する被覆効果が高まり、有機層等の外部からの水分や酸素等ダメージを受ける材料に対するバリア性が発現し、被覆形状を工夫することにより、封止層としての効果を付与することも可能である。
【0042】
また、電極が固体であることにより、電極材料の組成を部分的に変化させ、有機層との電荷移動度が大きく接合性が高い部分と、電荷の導通性が高い部分を設けることにより、有機デバイスとしての効率を飛躍的に向上させることが可能となる。この時、電界密度のバラつきを発生させない範囲で、電極の表面積を増加させることにより電荷注入の効率を高めることも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0044】
(実施の形態)
図1に本発明の実施の形態における有機EL素子の構成図を示す。
【0045】
本実施の形態では、透光性のガラス材料からなる基板2と、この基板2上に形成された陽極3としてのITO(インジウム錫酸化物)、更にこの上層に形成された正孔輸送層4としてポリエチレンジオキシチオフェン (polyethylenedioxythiophene)層と、高分子材料からなる有機材料層5、そして正孔輸送層4及び有機材料層5からなる発光層6と、金属材料で形成された陰極7とで構成される。
【0046】
有機EL素子1の陽極3をプラス極として、また陰極7をマイナス極として直流電圧または直流電流を印加すると、発光層6には陽極3から正孔輸送層4を介してホールが注入されるとともに陰極7から電子が注入される。発光層6ではこのようにして注入されたホールと電子とが再結合し、これに伴って生成される励起子が励起状態から基底状態へ移行する際に発光現象が起るというわけである。
【0047】
本実施の形態の有機EL素子1によれば、高分子材料の特徴として大面積化、微細化を図る場合にも、印刷法やスリットコート法等により高精度で大面積の発光層を形成することができ、均一な発光特性を得ることができ、更に通常は蒸着法で行われる陰極の形成を、高真空プロイセスを用いず形成できるので、プロセスを簡素化することができる。この時、市販されている透明電極を用いると高真空プロセスを必要とせず製造プロセスの構成が可能である。
【0048】
次に本発明の有機EL素子1の製造工程について説明する。
【0049】
まず基板2上にスパッタリング法により陽極3としてITO薄膜、続いてスピンコート法により、正孔輸送層4を形成し、不要部分をふき取りパターニングする、或いは基板2上にスパッタリング法により陽極3のITO薄膜、これをフォトリソグラフィによりパターニングし、続いてスピンコート法により、正孔注入層4を形成し、不要部分をふき取りパターニングすることにより、陽極3及び正孔注入層4を形成する。そして、スピンコート法により、この正孔注入層4上に有機材料層5を形成し、発光層6を作成する。そして最後に固体平板上の材料を用い、有機材料層5上に前記材料を配置後に軟化させ陰極7を形成する。
【0050】
この時、陰極材料を配置する際に、本図面には記載されていない補助基板を用い、前記補助基板上に陰極材料をパターニングして配置しておくことにより、接触時の傷を発生させること無く、陽極3と高い位置精度で配置することが可能となる。また、陰極材料を加熱軟化させる際に、前記補助基板に加重を加えることにより、発光層6と凹凸に係わらず良好な接合を得ることができる。前記補助基板は陰極7の形成後に除去しても良いが、配置したままであっても良い。
【0051】
更に、封止部8を形成することにより、有機EL素子の信頼性を高めることができる。封止部8は前記補助基板を接着材等により、周辺部を基板2に張り付けても良いが、バスタブ状に削りだしたケースを接着剤で接着し、前記接着剤やケース内の空間に、乾燥剤を配置することにより更に信頼性を高めることができる。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
次に、有機EL素子の構成の実施例を図1を用いて説明する。
【0053】
図1において1は有機EL素子である。
【0054】
i)基板
2は第一の基板として無色透明な基板である。基板2としては、例えば透明または半透明のソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の、無機酸化物ガラス、無機フッ化物ガラス等の無機ガラスを用いることができる。
【0055】
その他の材料を基板2として採用することも可能であり、例えば透明または半透明のポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、非晶質ポリオレフィン、フッ素系樹脂ポリシロキサン、ポリシラン等のポリマー材料を用いた高分子フィルム等、或いは透明または半透明のAs23、As4010、S40Ge10等のカルコゲノイドガラス、ZnO、Nb2O、Ta25、SiO、Si34、HfO2、TiO2等の金属酸化物及び窒化物等の材料、或いは発光領域から出射される光を、基板2を介さずに取り出す場合には、不透明のシリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体材料、或いは顔料等を含んだ前述の透明基板材料、表面に絶縁処理を施した金属材料等から適宜選択して用いることができ、複数の基板材料を積層した積層基板を用いることもできる。
【0056】
ii)陽極
上記材料の中より選択した基板2上に、透明な陽極3としてインジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、或いは、SnO:Sb(アンチモン)、ZnO:Al(アルミニウム)、IZO(In23:ZnO)といった混合物からなる透明導電膜や、或いは透明度を損なわない程度の厚さのAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Ag(銀)といった金属薄膜や、これらの金属の混合薄膜、積層薄膜といった金属薄膜や、或いはポリピロール等の導電性高分子等を用いることができる。
【0057】
また、比較的高抵抗のインジウム化合物を主成分とする、塗膜を塗布形成した後、焼成する塗布型ITO、更にはポリチオフェン(poly(ethylenedioxy)tiophene、以下、PEDOTと略する)、ポリフェニレンビニレン(以下、PPVと略する)、ポリフルオレン等の導電性高分子化合物等を用いることもできる。十分な透明性を持たせるために500nm以下の厚さにすることが望ましい。一般的には抵抗値が小さいことが望ましいことから、スパッタ法や抵抗加熱蒸着法や等により形成されたITO等の透明な導電性膜からなる陽極3が用いられる。
【0058】
iii)発光層
6は発光層である。実施例1では発光層6として後述の高分子有機EL材料を用い、工程がシンプルで低コスト化が可能な湿式プロセスの1つであるスピンコート法を採用して発光層6を塗布によって形成している。
【0059】
一般に、高分子有機EL材料とはスピンコート法等の湿式プロセスにて製膜される有機EL材料を指し、低分子有機EL材料とは真空蒸着法等の乾式プロセスにて製膜される有機EL材料を指すものとされるが、厳密には真空蒸着法等の乾式プロセスを適用できないものを高分子有機EL材料という。
【0060】
尚、高分子有機EL材料に真空蒸着法が適用できないのは、高分子有機EL材料は気化する前に自己分子運動が生じ主鎖が切断されてしまうからである。即ち、これによって低分子化が起こり、材料本来の能力が低下するのである。
【0061】
スピンコート法により高分子材料からなる発光層6を塗布形成するにあたり、実施例1では高分子有機EL材料としてトルエンに溶解したMEH−PPVを用い、膜厚は120ナノメートルとしている。MEH−PPVは高分子有機EL材料として一般的であり、例えば日本シーベルヘグナー社にて購入可能である。高分子有機EL材料としてはこの他にスチレン系共役デンドリマー等を用いることが可能である。
【0062】
発光層6を上述のスピンコート法によって塗布した場合、高分子有機EL材料は発光層6を形成する以前に基板2に形成された全ての構造物の上に塗布されることとなる。高分子有機EL材料は水分等の透過性が大きく、不要な部分に存在すると水分等の浸入経路となり、有機EL素子1の大きな劣化原因となることから、このような場合は後述する陰極7を形成する前に、例えばトルエンやキシレンといった溶剤を再塗布し、溶融した高分子有機EL材料とともに回収する製造設備によって所定の領域のみ拭き取ることが望ましい。
【0063】
この拭き取り工程は例えばレーザアブレーション法によって行なうことも可能である。またインクジェット技術を用いたフラッドプリント法のごとき所定の領域にのみ高分子有機EL材料を塗布した場合は、上述の拭き取り工程は不要となる。この拭き取り工程の後に、発光素子基板を約130℃の環境下に約1時間おき、高分子有機EL材料を溶解した溶媒であるトルエンやキシレンといった有機溶媒を十分に揮発除去する(ベイク工程)。以降、ベイク工程における温度をベイク温度と呼称する。
【0064】
次に、高分子有機EL材料の特性について、従来の低分子有機EL材料との比較を通じ詳細に説明する。
【0065】
有機EL素子を構成する発光材料のうち、従来多用されてきた低分子有機EL材料は一般にその有機化合物群が真空蒸着によって製膜され、アモルファス薄膜になっているために高温環境に弱いことが知られ、その耐熱温度は高々百数十℃とされている。これは高温環境に晒されたときに低分子有機化合物の結晶化が進行してしまい、発光材料としての特性が劣化するからである。これに対し、高分子有機EL材料は長い分子鎖を複雑に絡み合わせることで薄膜を構成しており、明確な結晶化温度は存在せず、ガラス転移点という軟化開始温度とも言うべき指標が存在するのみである。
【0066】
更に、多くの高分子有機EL材料では明確なガラス転移点すら観察されないことがある。つまり高分子有機EL材料は分子が絡み合った構成上、自由に動いて結晶化することができないのである。
【0067】
このような高分子有機EL材料の特徴は、高分子有機EL材料が有機EL素子に応用されるときに、高耐熱性という大きな優位性となって現れる。この耐熱温度は既に説明したHEM−PPVも含め200℃を十分超えるものである。この高い耐熱性という大きな特徴を有する高分子有機EL材料によって構成された発光層6は、製造工程で加えられる熱ストレスによっても発光特性が劣化することがなく、製造プロセス設計を容易なものにする。
【0068】
但し、真空蒸着法等の乾式プロセスを用いて製膜される低分子有機EL材料であっても、分子量が大きくガラス点移転が比較的高いオリゴマー、より具体的にはPPVオリゴマー等は、例外的に高い耐熱性を有するとともに湿式プロセスを容易に適用でき、これらを高分子有機EL材料の代替として本発明の発光材料に用いることが可能である。
【0069】
本発明の実施例では、発光層6をMEH−PPVからなる単層膜としたが、これはいくつかの材料からなる積層膜であってもよい。例えば、MEH−PPV層内に注入された電荷を閉じ込め、再結合効率を向上させるために電子ブロック機能やホールブロック機能をもった材料からなる層を追加するのは、素子の特性向上につながり望ましい。
【0070】
具体的には、発光層6を陽極3の側から順に正孔輸送層/電子ブロック層/上述した有機発光材料(ともに図示せず)の3層構造としてもよいし、発光層6を陰極7の側から順に電子輸送層/有機発光材料(ともに図示せず)の2層構造、或いは陽極3の側から順に正孔輸送層/有機発光材料の2層構造(ともに図示せず)、或いは陽極3の側から順に正孔注入層/正孔輸送層/電子ブロック層/有機発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/電子注入層のごとく7層構造(ともに図示せず)としてもよい。このように実施例1において発光層6と呼称する場合は、発光層6が正孔輸送層、電子ブロック層、電子輸送層等の機能層を有する多層構造である場合も含んでいる。
【0071】
また、発光層6に含まれる正孔輸送層としては、正孔移動度が高く透明で製膜性の良いものが好ましく、背景技術において説明したTPDの他に、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物や、1,1−ビス{4−(ジ−P−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサン、4,4´,4´´−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(P−トリル)−P−フェニレンジアミン、1−(N,N−ジ−P−トリルアミノ)ナフタレン、4,4´−ビス(ジメチルアミノ)−2−2´−ジメチルトリフェニルメタン、N,N,N´,N´−テトラフェニル−4,4´−ジアミノビフェニル、N、N´−ジフェニル−N、N´−ジ−m−トリル−4、4´−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾ−ル等の芳香族第三級アミンや、4−ジ−P−トリルアミノスチルベン、4−(ジ−P−トリルアミノ)−4´−〔4−(ジ−P−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン等のスチルベン化合物や、トリアゾール誘導体や、オキサジザゾール誘導体や、イミダゾール誘導体や、ポリアリールアルカン誘導体や、ピラゾリン誘導体や、ピラゾロン誘導体や、フェニレンジアミン誘導体や、アニールアミン誘導体や、アミノ置換カルコン誘導体や、オキサゾール誘導体や、スチリルアントラセン誘導体や、フルオレノン誘導体や、ヒドラゾン誘導体や、シラザン誘導体や、ポリシラン系アニリン系共重合体や、高分子オリゴマーや、スチリルアミン化合物や、芳香族ジメチリディン系化合物や、ポリ−3,4エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、テトラジヘクシルフルオレニルビフェニル(TFB)或いはポリ3−メチルチオフェン(PMeT)といったポリチオフェン誘導体等の有機材料が用いられる。
【0072】
また、ポリカーボネート等の高分子中に低分子の正孔輸送層用の有機材料を分散させた、高分子分散系の正孔輸送層も用いられる。また、MoO3、V25、WO3、TiO2、SiO、MgO等の無機酸化物を用いることもある。また、これらの正孔輸送材料は電子ブロック材料として用いることもできる。更に、上述した発光層6における電子輸送層としては、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、シロール誘導体からなるポリマー材料等、或いは、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−(パラ−フェニルフェノレート)Al(BAlq)、バソフプロイン(BCP)等が用いられる。また、これらの電子輸送層を構成可能な材料は正孔ブロック材料として用いることもできる。
【0073】
以上、実施例における発光層6について詳細に説明したが、発光層6を構成する高分子有機EL材料としては上述したMEH−PPVに限定されるものではなく、可視領域で蛍光または燐光特性を有しかつ製膜性の良いものが選択可能であり、例えば、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフルオレン等のポリマー発光材料等を用いることができる。更に、現在様々な特性と発光色を持った高分子系有機EL材料が提案されており、これらの中から適宜選択して発光層6を構成することができる。
【0074】
iv)陰極
7は陰極で、本発明では有機材料層5上に前記材料を配置後に軟化させて陰極7を形成する。陰極7の材料には低い温度で軟化させることが可能な電気抵抗率が小さい金属材料が適しており、本発明の実施例では、例えば千住金属工業株式会社製のエコソルダーM716を用いた。本発明の実施例に記載の電極材料として上述のエコソルダーM716に限定されるものではない。発光層6上に陰極7を形成するにあたり、陰極7に必要な形状にしておくが、本実施例では0.05mmの平板材を用い、本図面には記載されていない補助基板を用い、基板2上に陰極材料をパターニングして配置しておく。補助基板に陰極7の材料が固定されているので、基板2と、補助基板に位置合わせマーカーを両方に基板2に設け、目視またはCCDカメラ等を用い、高精度に調整することにより、接触時の傷を発生させること無く、陽極3と高い位置精度で配置すること可能となる。配置後はズレが発生しないように、固定用治具への挿入やクランプ等により固定する。
【0075】
次に、固体電極材料を、加熱して軟化させ、発光層6と陰極7の接合を行なう。この時、固体の電極材料を完全に溶解状態にすると、凝集の発生による電極形状の変形や、補助基板等を介し加重を加えた場合は流出が発し、陰極7の形成ができないので、溶解温度以下で接合を行なう。
【0076】
本実施例では、エコソルダーの液相温度214℃より低いピーク温度206℃で接合を行った。加熱接合の際の設定温度は、接合状態を良くするためには、固体電極の軟化温度以上である事が望ましいが、併せてこの時、加熱による接合を行なう際の加熱時間は、溶解状態による電極材料の流出を発生させないために加える熱容量を、固体電極が溶解する熱容量より小さくするように設定することが必要であり、本実施例では20分とした。
【0077】
また、陰極7の材料を加熱軟化させる際に、前記記載の補助基板に加重を加えることにより、発光層6の凹凸に係わらず良好な接合を得ることができる。この補助基板は陰極7の形成後に除去しても良いが、配置したままであっても良い。
【0078】
本実施例では、基板2と同じ基板を用いたが、補助基板は透明である必要は無く、耐熱性樹脂や金属や金属酸化物や焼結体等加熱時に変形しにくいものであれば材質は問わない。また、陰極7には仕事関数の低い金属若しくは合金、例えばAl、In、Mg、Ti、Ag等の金属や、Mg−Ag合金、Mg−In合金等のMg合金や、Al−Li合金、Al−Sr合金、Al−Ba合金等のAl合金や、Ba、Ca、Mg、Li、Cs、St、K等の金属、或いはLiF、CaO、BaOといったこれら金属のフッ化物や酸化物を有機物層に接触する電子注入電極層として、電極材料の発光層6との接合側に、陰極材料の軟化変形を阻害しない程度の膜厚で被覆、或いは離散的に固体平板上の金属材料の表面に作成しておき、陰極7として用いることも有効である。
【0079】
また、陰極7は発光層6に電荷を供給する必要性から、少なくとも発光層6の発光領域の全面を覆っている必要があるが、発光層6の全面を金属から構成される陰極7で被覆することで、外部からの水分の浸入を防ぐ封止の機能も併せ持たせることができる。
【0080】
v)封止部
封止部8を形成することにより、有機EL素子の信頼性を高めることができる。封止部8は前記の補助基板を接着材等により、周辺部を基板2に張り付けても良いが、バスタブ状に削り出したケースを接着剤で接着し、前記接着剤やケース内の空間に、乾燥剤を配置することにより更に信頼性を高めることができる。また、絶縁性の樹脂を直接電極上に塗布・硬化させて封止することもできる。
【0081】
(実施例2)
図3は有機光電変換素子の一例を示す断面概略拡大図である。図2は本発明の実施例における有機光電変換素子の構成図であり、本発明の実施例2における有機光電変換素子の一例を示す平面外略図、及び断面外略図である。以下、本発明の実施例2について図3及び図2を用いて説明する。
【0082】
有機光電変換素子の構造を、図3を用いて説明する。この有機光電変換素子は、光が有機半導体材料に入射することにより当該光電現象により電極間に起電力を発生するようにしたもので、概略構成は、支持基板23、陽極層24、電荷移動層29、光電変換領域21、陰極層25を順次積層して形成されている。
【0083】
また、光電変換領域21は電子供与性有機材料と、電子受容性材料とを具備している。このような構成の有機光電変換素子に入射光22が入射すると、光電変換領域21で光吸収が生じ、電子−正孔対の励起子が形成され、この後キャリアが分離されて電子は電子受容性材料を通して陰極層25に、正孔は電子供与性有機材料を通して陽極層24にそれぞれ移動する。これにより両電極層間に起電力が発生し、これらの電極層と外部回路とを接続することにより、電力を取り出すことが可能となる。
【0084】
以下、本発明の実施例における各構成について図2を用い、材料を含め詳しく説明する。
【0085】
光電変換領域21とは外部からの光信号或いは光エネルギーを電気信号或いは電気エネルギーに変換する機能を有する領域を示している。入射光22に含まれるものとしては可視領域の波長を含む380nm程度から780nm程度、紫外領域の波長である200nm程度から380nm程度、赤外領域の波長である780nm程度から2500nm程度を含む。
【0086】
i)基板
支持基板23としては、機械的、熱的強度を有し、光電変換デバイスを保持できる強度があればよい。支持基板23を入射面として用いる場合は光を有効に透過する機能を有する透明または半透明等の材料を用いる場合もある。また、支持基板23は絶縁性であることが好ましいが、特に限定されるものではなく、光電変換の動作を妨げない範囲、或いは用途によって導電性を有していても良い。
【0087】
支持基板23の材料としては、光を透過する機能が必要な場合は透明または半透明のソーダ石英ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の、無機酸化ガラス、無機フッ化物ガラス等の無機ガラス、或いは透明または半透明のポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、非晶質ポリオレフィン、フッ素系樹脂等の高分子材料等、或いは透明または半透明のAs23、As4010、S40Ge10等のカルコゲノイドガラス、ZnO、Nb25、Ta25、SiO、Si34、HfO2、TiO2等の金属酸化物及び窒化物等の材料、或いは顔料等を含んだ材料、表面に絶縁処理を施した金属材料から適宜選択して用いることができ、複数の基板材料を積層した積層基板を用いることもできる。
【0088】
更に、用途によっては特定波長のみを透過する材料、光−光変換機能をもった特定の波長の光へ変換する材料等であってもよい。光を透過する機能が不要な場合は特に材料を指定しない。
【0089】
ii)陽極
陽極層24は、光を透過する機能が必要な場合は発生した電荷を外部に効率良く取り出すものであればよく、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、或いは、SnO:Sb(アンチモン)、ZnO:Al(アルミニウム)、IZO(In23:ZnO)といった混合物からなる透明導電膜や、或いは透明度を損なわない程度の厚さのAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Ag(銀)といった金属薄膜や、これらの金属の混合薄膜、積層薄膜といった金属薄膜や、或いはポリピロール等の導電性高分子等を用いることができる。
【0090】
また、比較的高抵抗の塗布型ITO、更にはポリチオフェン(poly(ethylenedioxy)tiophene、以下、PEDOTと略する)、ポリフェニレンビニレン(以下、PPVと略する)、ポリフルオレン等の導電性高分子化合物等を用いることもできる。十分な透明性を持たせるために500nm以下の厚さにすることが望ましい。また、複数の前述電極材料を積層することで電極とすることもできる。例えば発生した電荷を外部に効率良く取り出すもので、Al(アルミニウム)、In(インジウム)、Mg(マグネシウム)、Ti(チタン)、Ag(銀)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)等の金属、或いはこれらの金属の酸化物やフッ化物及びその合金、積層体等が一般に用いられる。
【0091】
iii)電荷移動層
図3の電荷移動層29としては、正孔或いは電子移動度が高く製膜性の良いものが好ましい。正孔移動度の高いものとして、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(3−メチルフェニル)−1、1´−ジフェニル−4,4´−ジアミン、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物や、1,1−ビス{4−(ジ−P−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサン、4,4´,4´´−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N´,N´−テトラキス(P−トリル)−P−フェニレンジアミン、1−(N,N−ジ−P−トリルアミノ)ナフタレン、4,4´−ビス(ジメチルアミノ)−2−2´−ジメチルトリフェニルメタン、N,N,N´,N´−テトラフェニル−4,4´−ジアミノビフェニル、N、N´−ジフェニル−N、N´−ジ−m−トリル−4、4´−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾ−ル等の芳香族第三級アミンや、4−ジ−P−トリルアミノスチルベン、4−(ジ−P−トリルアミノ)−4´−〔4−(ジ−P−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン等のスチルベン化合物や、トリアゾール誘導体や、オキサジザゾール誘導体や、イミダゾール誘導体や、ポリアリールアルカン誘導体や、ピラゾリン誘導体や、ピラゾロン誘導体や、フェニレンジアミン誘導体や、アニールアミン誘導体や、アミノ置換カルコン誘導体や、オキサゾール誘導体や、スチリルアントラセン誘導体や、フルオレノン誘導体や、ヒドラゾン誘導体や、シラザン誘導体や、ポリシラン系アニリン系共重合体や、高分子オリゴマーや、スチリルアミン化合物や、芳香族ジメチリディン系化合物や、ポリ−3,4エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、テトラジヘクシルフルオレニルビフェニル(TFB)或いはポリ3−メチルチオフェン(PMeT)といったポリチオフェン誘導体等の有機材料が用いられる。また、ポリカーボネート等の高分子中に低分子の正孔輸送層用の有機材料を分散させた、高分子分散系の正孔輸送層も用いられる。またMoO3、V25、WO3、TiO2、SiO、MgO等の無機酸化物を用いることもある。
【0092】
電子移動度の高いものとして、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、シロール誘導体からなるポリマー材料等、或いは、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−(パラ−フェニルフェノレート)Al(BAlq)、バソクプロイン(BCP)等が用いられる。
【0093】
iv)光電変換層
有機光電変換材料を含む光電変換層26で光電変換作用により発生した正孔或いは電子が陽極層24、陰極層25にできるだけ短い距離で移動させることができ、より高感度及び高変換効率の光電変換デバイスを得ることがわかっている。有機光電変換材料を含む光電変換層26は、電子供与性有機材料及び電子受容性有機材料を含むものが代表的なものである。
【0094】
ここで、構成材料である電子供与性有機材料の例としては、フェニレンビニレン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、特に骨格にキノリン基またはピリジン基を有するフルオレン系コポリマー(P0F66、P1F66、PFPV)、フルオレン含有アリールアミンポリマーカルバゾール及びその誘導体、インドール及びその誘導体、ピレン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、ピコリン及びその誘導体、チオフェン及びその誘導体、アセチレン及びその誘導体、ジアセチレン及びその誘導体等の重合体や、その誘導体が用いられる。
【0095】
また、デンドリマーとして総称される一群の高分子材料が用いられる。また、高分子に限定されるものではなく、例えば、ポルフィン、テトラフェニルポルフィン銅、フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニウムフタロシアニンオキサイド等のポリフィリン化合物や、1,1−ビス{4−(ジ−P−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサン、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(P−トリル)−P−フェニレンジアミン、1−(N,N−ジ−P−トリルアミノ)ナフタレン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−2−2’−ジメチルトリフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N、N’−ジフェニル−N、N’−ジ−m−トリル−4、4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾ−ル等の芳香族第三級アミンや、4−ジ−P−トリルアミノスチルベン、4−(ジ−P−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−P−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン等のスチルベン化合物や、トリアゾール及びその誘導体、オキサジザゾール及びその誘導体、イミダゾール及びその誘導体、ポリアリールアルカン及びその誘導体、ピラゾリン及びその誘導体、ピラゾロン及びその誘導体、フェニレンジアミン及びその誘導体、アニールアミン及びその誘導体、アミノ置換カルコン及びその誘導体、オキサゾール及びその誘導体、スチリルアントラセン及びその誘導体、フルオレノン及びその誘導体、ヒドラゾン及びその誘導体体、シラザン及びその誘導体、ポリシラン系アニリン系共重合体、高分子オリゴマー、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポリ3−メチルチオフェン等も用いることができる。尚、有機材料であれば、化学的に修飾して有機材料への光の吸収波長特性を調整することも可能である。
【0096】
また、電子受容性有機材料の例としては、前述した電子供与性有機材料と同様の低分子及び高分子材料の他、1,3−ビス(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)フェニレン(OXD−7)等のオキサジアゾール及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ジフェニルキノン及びその誘導体、フラーレン及びその誘導体、特にPCBM([6,6]−phenyl C61 butyric acid methyl ester)、カーボンナノチューブ及びその誘導体、等を繰り返し単位として有する重合体及び他のモノマーとの共重合体、またデンドリマーとして総称される一群の高分子材料が用いられる。尚、有機材料であれば、化学的に修飾して有機材料への光の吸収波長特性を調整することも可能である。
【0097】
有機光電変換材料を含む光電変換層26を作製するときの作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等の各種真空プロセスや、スピンコート法、ウェットプロセス等、どのようなものであってもよく、使用する材料、構成等に合ったものを任意に選択することが可能である。また、インクジェット法等の方法も好適に用いられる。また、外部からの水分や酸素等による劣化が懸念される材料を用いる場合はガラスカバーやフィルムカバー、樹脂カバー等の封止手段を用いてデバイス全体或いは一部を外部と遮断する構成が好適に用いられる。
【0098】
v)陰極
25は陰極層で、従来は低抵抗の材料であれば特に規定されるものではないが、好適に光を透過する機能が必要な場合はインジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、或いは、SnO:Sb(アンチモン)、ZnO:Al(アルミニウム)、IZO(In23:ZnO)といった混合物からなる透明導電膜や、或いは透明度を損なわない程度の厚さのAl(アルミニウム)、Cu(銅)、Ti(チタン)、Ag(銀)、Au(金)、といった金属薄膜や、これらの金属の混合薄膜、積層薄膜といった金属薄膜が用いられている。
【0099】
また、光を透過する機能が不要な場合は上記の材料をより厚く製膜することでも対応可能で、陰極層25の作製方法としては真空蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法等により形成される。
【0100】
陰極層25のパターニング方法としてはマスクを用いた真空蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタ法やフォトリソグラフィ等の方法が用いられてきたが、本発明では有機層上に前記材料を配置後に軟化させ陰極層25を形成する。陰極材料には低い温度で軟化させることが可能な電気抵抗率が小さい金属材料が適しており、本発明の実施例では、千住金属工業株式会社製のエコソルダーM716を用いた。本発明の実施例に記載の電極材料として上述のエコソルダーM716に限定されるものではない。
【0101】
光電変換層26上に陰極層25を形成するにあたり、陰極に必要な形状にしておくが、本実施例では0.05mmの平板材を用い、本図面には記載されていない補助基板を用い、前記基板上に陰極材料をパターニングして配置しておく。補助基板に陰極材料が固定されているので、支持基板23と、補助基板に位置合わせマーカーを両方の支持基板23に設け、目視、またはCCDカメラ等を用い、高精度に調整することにより、接触時の傷を発生させること無く、陽極層24と高い位置精度で配置すること可能となる。配置後はズレが発生しないように、固定用治具への挿入やクランプ等により固定する。
【0102】
次に、固体電極材料を、加熱して軟化させ光電変換層26と陰極層25の接合を行なう。この時、固体の電極材料を完全に溶解状態にすると、凝集の発生による電極形状の変形や、補助基板等を介し加重を加えた場合は、流出が発し陰極の形成ができないので、溶解温度以下で接合を行なう。
【0103】
本実施例では、エコソルダーの液相温度214℃より低いピーク温度206℃で接合を行った。加熱接合の際の設定温度は、接合状態を良くするためには、固体電極の軟化温度以上である事が望ましいが、併せてこの時、加熱による接合を行なう際の加熱時間は、溶解状態による電極材料の流出を発生させないために加える熱容量を、固体電極が溶解する熱容量より小さくするように設定することが必要であり、本実施例では20分とした。
【0104】
また、陰極材料を加熱軟化させる際に、前記記載の補助基板に加重を加えることにより、光電変換層26の凹凸に係わらず良好な接合を得ることができる。この補助基板は陰極層25の形成後に除去しても良いが、配置したままであっても良い。本実施例では、基板2と同じ基板を用いたが、補助基板は透明である必要は無く、耐熱性樹脂や金属や金属酸化物や焼結体等加熱時に変形しにくいものであれば材質は問わない。
【0105】
また、陰極層25は光電変換層26で発生した電子を受け取る必要性から、少なくとも光電変換領域21の全面を覆っている必要があるが、発光層の全面を金属から構成される陰極層25で被覆することで、外部からの水分の浸入を防ぐ封止の機能も併せ持たせることができる。
【0106】
vi)封止部
封止部30を形成することにより、有機光電変換素子の信頼性を高めることができる。封止部30は前記の補助基板を接着材等により、周辺部を支持基板23に張り付けても良いが、バスタブ状に削りだしたケースを接着剤で接着し、前記接着剤やケース内の空間に、乾燥剤を配置することにより更に信頼性を高めることができる。また、絶縁性の樹脂を直接電極上に塗布・硬化させて封止することもできる。
【0107】
次に本発明の有機光電変換素子の製造工程について説明する。
【0108】
支持基板23として用いる無アルカリガラス基板上に、スパッタリング法により、膜厚160nmのITO膜を形成した後、ITO膜上にレジスト材をスピンコート法により塗布して厚さ10μmのレジスト膜を形成し、マスク露光、現像してレジスト膜を所定の形状にパターン形成した。
【0109】
次に、この支持基板23を60℃で50%の塩酸中に浸漬して、レジスト膜が形成されていない部分のITO膜をエッチングした後、レジスト膜も除去し、陽極層24を形成する。(図2参照)。
【0110】
次に続いて、電荷移動層29を形成する。基板面にPEDOTを0.45μmのフィルターを通して滴下し、スピンコート法によって均一に塗布した。これを200℃のクリーンオーブン中で30分間加熱することで電荷移動層29を形成する。
【0111】
次に、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)と[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([5,6]−PCBM)との重量比1:4のクロロベンゼン溶液をスピンコート法によって塗布し、100℃のクリーンオーブン中で30分間加熱処理し、約100nmの有機光電変換材料を含む光電変換層26を形成した。
【0112】
続いて本発明では、有機層上に前記材料を配置後に軟化させ電極を形成する。電極材料には低い温度で軟化させることが可能な電気抵抗率が小さい金属材料が適しており、本発明の実施例では、千住金属工業株式会社製のエコソルダーM716の0.05mmの平板材を用い、本図面には記載されていない補助基板を用い、前記補助基板上に電極材料をパターニングして配置しておく。配置後はズレが発生しないように、固定用治具へ挿入し、クランプにより固定行った。
【0113】
続いて、固体電極材料を加熱して軟化させ、光電変換層26と陰極層25の接合を行なう。この時、エコソルダーの液相温度214℃より低い206℃で接合を行った。また、電極材料を加熱軟化させる際に、前記記載の補助基板に加重を加えているので、光電変換層26の凹凸や形状に係わらず良好な接合を得ることができる。
【0114】
次に、光電変換する領域21に含まれる有機光電変換材料を含む光電変換層26の外部酸素や水分による劣化を防止するための封止手段としてデバイス上にカバーガラス板を光硬化性エポキシ樹脂で接着することで封止部を形成した。また、バスタブ状に削りだしたケースを接着剤で接着し、前記接着剤やケース内の空間に、乾燥剤を配置することにより有機光電変換デバイスの信頼性を更に高めることができる。
【0115】
以上のように本実施例2によれば、通常は蒸着法で行われる陰極層25の形成を、高真空プロイセスを用いず形成できるので、プロセスを簡素化することができる。この時、市販されている透明電極を用い、有機光電変換材料を含む光電変換層26を作製するときの作製方法としては、スピンコート法やスリットコート法、インクジュット法等のウェットプロセス等を用いると高真空プロセスを必要としない製造プロセスの構成が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタ、ダイオード素子、容量素子、圧電素子、焦電素子、電歪素子、液晶電気光学素子、ホール素子等の有機デバイスの製造や、2つ以上の電極と有機層を有する構成で作成される有機デバイスの電極の製造方法、及び、有機EL光源を用いた表示装置に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施の形態における有機EL素子の構成図
【図2】本発明の実施例における有機光電変換素子の構成図
【図3】有機光電変換素子の一例を示す断面概略拡大図
【図4】従来の有機EL素子の構造を示す断面図
【符号の説明】
【0118】
1 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 正孔輸送層
5 有機材料層
6 発光層
7 陰極
8 封止部
21 光電変換領域
22 入射光
23 支持基板
24 陽極層
25 陰極層
26 有機光電変換材料を含む光電変換層
27 プラス電荷
28 マイナス電荷
29 電荷移動層
30 封止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極と対向する電極の間に少なくとも一層以上の有機物からなる発光層を有する有機EL素子であって、対向電極が固体平板状態で有機物からなる発光層上に接触配置し電極を作成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項2】
透明電極と対向する電極の間に少なくとも一層以上の有機物からなる発光層を有する有機EL素子であって、有機物からなる発光層上に接触配置した対向電極を熱変形温度で軟化させて電極を作成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項3】
透明電極と対向する電極の間に少なくとも一層以上の有機物からなる発光層を有する有機EL素子であって、有機物からなる発光層上に接触配置した対向電極を軟化させて電極を作成時に加圧することを特徴とする前記請求項1及び2に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項4】
前記記載の対向電極の熱変形温度が250℃以下であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項5】
前記請求項1から4に記載する対向電極を溶融温度以下かつ吸熱開始以上の温度で、溶融熱容量以下になるように加熱することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項6】
前記請求項1から5に記載する電極の厚みが5μm以上であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項7】
前記請求項1から5に記載する電極の粗さがRmaxで50nm以下であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項8】
前記請求項1から7に記載する電極と有機物層の接触時の雰囲気から酸素及び水分を低減させたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項9】
前記請求項1から7に記載する電極と有機物層の接触時に雰囲気の気体分圧を低減させたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項10】
透明電極と対向する電極の間に少なくとも一層以上の有機物からなる発光層を有する有機EL素子であって、前記請求項1から9に記載の対向電極に錫が50%以上含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項11】
前記請求項10に記載の対向電極に銀が含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項12】
前記請求項10に記載の対向電極にインジュウムが含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項13】
前記請求項10に記載の対向電極にビスマスが含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項14】
前記請求項10に記載の対向電極に亜鉛が含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項15】
前記請求項10に記載の対向電極に銅が含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項16】
前記請求項10に記載の対向電極にアルミニウムが含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項17】
前記請求項1から9に記載の対向電極に銀とマグネシウムが含まれることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項18】
前記請求項1から9及び17に記載する電極が異なる2層以上で構成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項19】
前記請求項18に記載する電極の有機層裏面側が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどの電気抵抗が10-7Ωよりも小さい材料の層で構成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項20】
前記請求項18に記載する電極の一層が粒子状の材料により形成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項21】
前記請求項1から8及び18に記載する電極の表面に粒子状の材料が非被覆状態あるいは離散的に形成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項22】
前記請求項1から9及び18に記載する電極の表面に針状の材料が非被覆状態あるいは離散的に形成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項23】
前記請求項18に記載する電極を構成する一層、及び前記請求項20及び21の材料の仕事関数が3.5eV以下であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項24】
前記請求項18に記載する電極を構成する一層、及び前記請求項20及び21の材料がカルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、リチウムで構成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項25】
前記請求項18に記載する電極を構成する一層、及び前記請求項20及び21の材料がカルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、リチウムの酸化物で構成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項26】
前記請求項18に記載する電極を構成する一層、及び前記請求項20及び21の材料がカルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、リチウムのフッ化物で構成されていることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項27】
前記請求項1から25に記載の製造方法で作成されたことを特徴とする有機EL素子。
【請求項28】
前記請求項1から9に記載の有機EL素子の製造方法により作成されたことを特徴とする、2つ以上の電極と有機層を有する構成で作成されることを特徴とする有機EL素子の電極。
【請求項29】
前記請求項27に記載の有機EL素子の電極であることを特徴とする光電変換素子。
【請求項30】
前記請求項1から26に記載の透明電極が基板上に形成され、発光部を駆動するTFTで構成された駆動回路に接続されて、発光を制御されることを特徴とする表示装置。
【請求項31】
前記請求項1から26に記載の透明電極及び対向電極に、電流及び電圧を外部の制御回路に接続された導電体を通じ供給されることにより発光の制御を行なうことを特徴とする表示装置。
【請求項32】
前記請求項1から26に記載の透明電極及び対向電極に、電流及び電圧を外部の制御回路に接続された導電体を通じ供給されることにより発光の制御を行なうことを特徴とする発光デバイス。
【請求項33】
前記請求項29から31に記載の発光デバイス及び表示装置を光源とし、バックライトとして用いたことを特徴とする表示装置。
【請求項34】
前記請求項29から32に記載の発光デバイス及び表示装置を光源して用いた表示部を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−80421(P2010−80421A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30785(P2009−30785)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】