説明

有機EL素子

【課題】 ダークスポット、ダークエリアおよびシュリンク(画像縮小)の無い信頼性の高い高品質な有機EL素子を提供する。
【解決手段】 透明基板11上に、順次少なくとも、カラーフィルター層13、透明保護層15、第1電極層17、有機発光層18および第2電極層19を設けた有機EL素子10において、前記第1電極層17の電極パターン間に無機バリア層16が設けられ、前記第1電極層17の一部と前記無機バリア層16の一部が重なり合っていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶ディスプレイと異なり全固体ディスプレイであること、温度変化の影響をあまり受けないこと、視野角が大きいこと等の利点をもっており、近年、画像表示装置の画素等としての実用化が進んでいる。
【0003】
有機EL素子を用いた画像表示装置としては、(1)三原色の有機発光層を各発光色毎に所定のパターンで形成したもの、(2)白色発光の有機発光層を使用し、三原色のカラーフィルターを介して表示するもの、(3)青色発光の有機発光層を使用し、蛍光色素を利用した色変換蛍光体層を設置して、青色光を緑色蛍光や赤色蛍光に変換して三原色表示をするもの等が提案されている。
しかし、上記の(1)の有機EL表示装置では、異なる色の光を発光させて多色化させるには、各色の発光材料を開発する必要があり、材料自体が有機化合物であるため、フォトリソグラフィー法による多色化パターニングにおける耐性が乏しいという問題がある。また、フォトリソグラフィー法以外のドライプロセスでの多色化パターニングは、工程が複雑であり、量産化の点で問題がある。
【0004】
そこで、上記(1)以外の(2)及び(3)の有機EL表示装置として、透明基板上に順次少なくとも、カラーフィルター層、透明保護層、透明バリア層および第1電極層(透明電極層とも称する)を設けた有機EL用カラー化基板並びに該有機EL用カラー化基板の第1電極層側に、さらに有機発光層および第2電極層(背面電極層とも称する)を設けた有機EL素子を用いた有機EL表示装置の活用が考えられる。
【0005】
近年、有機EL素子が盛んに研究されている。これは、ホール注入電極上にTPD(N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン)等のホール注入材料を薄膜状に蒸着し、さらにMg等の仕事関数の小さい金属電極(電子注入電極)を形成した基本構成を有する素子で、10V前後の電圧で数百から数万cd/m2 と極めて高い輝度が得られることで注目されている。
【0006】
ところで、有機EL素子のカラー化方式であるカラーフィルター方式や色変換方式による有機EL表示装置において、使用される材料系から脱離するガス成分により有機EL素子が劣化する問題があり、このガス成分を防止するために透明バリア層を設けることが行われている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【特許文献1】特開2002−100469号公報
【特許文献2】特開2002−117976号公報
【特許文献3】特開2002−134268号公報
【特許文献4】特開2002−175880号公報
【特許文献5】特開2002−184578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、透明バリア層としてパーティクル等の異物やピンホールの無い透明無機膜を得ることは技術的に困難であるところ、透明バリア層にパーティクル及びピンホールがあると、そこに脱離ガス成分が集中し、その部分に該当する有機EL素子が劣化し、発光しなくなる。
そこで、低透湿性、低吸湿性、耐熱性の透明な樹脂をスピンコート等の方法により塗布形成することで、透明有機物層を透明バリア層として利用することが知られているが、透明有機物層のみであると有機EL素子用バリア層に求められるバリア性に不十分であること、塗布形成後の脱気処理が不十分であると透明有機物層から脱離ガスが発生し、結果としてシュリンクと呼ばれる画素縮小が生じてしまうという問題があった。
透明有機物層と透明無機膜との積層構造にすることで、求められるバリア性を付与することは可能であるが、透明電極層側の最上層が透明無機膜である場合には、透明無機膜のピンホールによるダークスポットを生じてしまい、一方、透明電極層側の最上層が透明有機物層の場合には、透明電極のウェットエッチングによるパターニング工程や有機EL素子作製前の洗浄工程における透明有機物層への水分吸収および空気中からの湿分吸着が生じるため、十分に乾燥を行わないと残留水分の脱離により画素縮小が生じてしまうという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、ダークスポット、ダークエリアおよびシュリンク(画像縮小)の無い信頼性の高い高品質な有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る有機EL素子は、透明基板上に、順次少なくとも、カラーフィルター層、透明保護層、第1電極層、有機発光層および第2電極層を設けた有機EL素子において、前記第1電極層の電極パターン間に無機バリア層が設けられ、前記第1電極層の一部と前記無機バリア層の一部が重なり合っていることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る有機EL素子は、前記無機バリア層は、前記第1電極層との重なり幅が片側で0.5μm超10μm未満の範囲であることを特徴とするものである。 本発明の請求項3に係る有機EL素子は、前記無機バリア層は、絶縁性を有する無機化合物より形成された膜であることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る有機EL素子は、前記無機バリア層は、窒化酸化シリコンからなる膜であることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る有機EL素子は、前記窒化酸化シリコン膜の膜組成は、Si/O/Nの原子数比が100/X/Y(80≦X+Y≦160,10≦X≦80,10≦Y≦120)であることを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係る有機EL素子は、前記無機バリア層は、厚みが10nm超300nm未満の範囲であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1電極層(透明電極層)の電極パターン間に無機バリア層を設けることで、下層にあるカラーフィルター基板側から放出されるガスによる画素縮小を抑制することが可能である。また、本発明によれば、第1電極層(透明電極層)の電極間にあたる位置に無機バリア層を形成することで、素子駆動時に発生する熱等により透明保護層より下層にあるカラーフィルター基板側から放出されるガスによる画素縮小を抑制することが可能である。さらに、本発明によれば、第1電極層(透明電極層)の電極間にあたる位置に無機バリア層を形成することで、第1電極層(透明電極層)以降有機EL素子作製まで、透明有機層への水分の吸収、吸湿を抑制することが可能である。
すなわち、本発明により、ダークスポット、ダークエリア、画素縮小(シュリンク)等の有機EL素子劣化を防止した信頼性の高い高品質の有機EL素子、および高品質の画像表示が可能な有機EL表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について図面を用いて説明する。図1は本発明の有機EL素子1の実施形態の一例を示す断面模式図である。
【0012】
図1において、有機EL素子10は、順じ、透明基板11、ブラックマトリックス層12を具えたカラーフィルター層13、色変換層14、透明保護層15、さらに無機バリア層16、第1電極層(透明電極層)17、有機発光層18、第2電極層(背面電極層)19を有するものである。以下、本発明の有機EL素子10を構成する各層について説明する。
【0013】
(透明基板)
本発明における有機EL素子10の透明基板11の材質は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の透明基板として用いられている材質を用いることができる。具体的には、ガラス基板(無アルカリガラス、ソーダライムガラスの他、ポリイミド系やメタクリル酸系樹脂等の透明なプラスティック基材を含む。)等を用いることができる。また、透明基板11の厚さも特に限定されるものではないが、通常0.5〜1.2mm、好ましくは0.7mm程度である。
【0014】
(カラーフィルター層)
また、本発明の有機EL素子10を適用して有機EL表示装置とするときに、色変換フィルターを組み込む場合には、図1に示すように、透明基板11上に、ブラックマトリックス層12と色素として赤色R、緑色G、青色Bとからなるカラーフィルター層13を形成し、この色素R、G、Bにあわせた色変換層14(R、G、B)を形成することができる。これらのカラーフィルター層13、色変換層14は、従来公知のものを適用することができる。
具体的には、ブラックマトリックス層12の材質としては、酸化窒化複合クロム薄膜等を用いることができる。ブラックマトリックス層12は、スパッタリング法等によりベタに形成し、その上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、酸化窒化複合クロム薄膜のエッチングを行うことにより形成することができる。ブラックマトリックス層12のパターン形状は、例えば、80μm×280μm程度の長方形状の開口部を、80μm開口辺方向に100μmピッチ、280μm開口辺方向に300μmピッチでマトリックス状に形成したり、その他の形状にすることができる。ブラックマトリックス層12の膜厚は0.2μm程度にすることができる。
【0015】
色素G(緑色素)の材質としては、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等の単品、あるいは2種以上の混合物からなる着色材を用いることができる。G色素用塗工液は、上記の着色材をバインダー樹脂に分散させて作製する。バインダー樹脂としては、透明(可視光透過率50%以上)な樹脂が用いられ、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂が挙げられる。
【0016】
カラーフィルター層13をパターン形成するために、フォトリソグラフィ法が適用できる感光性樹脂も選ばれる。たとえば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料が挙げられる。また、印刷法を用いる場合には、透明な樹脂を用いた印刷インキが選ばれる。たとえば、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂のモノマー、オリゴマー、ポリマー、また、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂を用いることができる。
【0017】
カラーフィルターが主に色素からなる場合は、所望のカラーフィルータパターンのマスクを介して真空蒸着法等で真空成膜され、一方、色素とバインダー樹脂からなる場合は、色素と上記樹脂およびレジストを混合、分散または可溶化させ、スピンコート、ロールコート、キャスト法等の方法で塗布膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望のカラーフィルターパターンでパターニングしたり、あるいは印刷法等の方法で所望のカラーフィルターをパターン形成するのが一般的である。
【0018】
例えば、感光性樹脂を用いる場合には、上記着色材は、形成された色素G中に5〜50質量%程度含有されるようにする。色素Gの形成方法としては、G色素用塗工液を、ブラックマトリックスが形成された基材の全面に、スピンコート法により塗布し、プリベークを行い、次いで、各々の感光性樹脂に所定の現像液にて現像を行い、ポストベークを行うことにより、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置に帯状(例えば幅85μm)に形成することができる。なお、膜厚は1.5μm程度である。
【0019】
色素R(赤色素)の材質としては、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等の単品、あるいは2種以上の混合物からなる着色材を用いることができる。この着色材をバインダー樹脂に分散させたR色素用塗工液を用い、G色素用塗工液の場合と同様の方法により、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置にR色素を形成することができる。
【0020】
色素B(青色素)の材質としては、銅フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品、あるいは2種以上の混合物からなる着色材を用いることができる。この着色材をバインダー樹脂に分散させたB色素用塗工液を用い、同様の方法により、ブラックマトリックスパターンに対して所定の位置にR色素を形成することができる。
【0021】
(色変換層)
本発明において、カラーフイルター層13とともに色変換層14を用いる場合には、色変換層14としては、蛍光色素を透明樹脂中に分散したものが用いられる。例えば、青色発光の有機発光層を用いる場合には、色変換層は、青色の入射光を赤色または緑色に変える機能をもつものを意味する。
このような青色の発光部材の発光を、橙色から赤色発光にまたは緑色に変換する蛍光色素については、例えば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリン)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ピリジウム−パーコラレイト(以下ピリジン1)等のピリジン系色素、ローダミンB,ローダミン6G等のローダミン系色素、他にオキサジン系を挙げることができる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等)も蛍光性があれば可能である。また、前記蛍光色素を樹脂中にあらかじめ練りこんで顔料化したものでもよい。
これらの蛍光色素は、必要に応じて、単独または混合して用いてもよい。特に赤色への蛍光変換効率が低いので、上記色素を混合して用いて、発光から蛍光への変換効率を高めることもできる。
【0022】
一方、透明樹脂としては、可視光透過率50%以上の材料が好ましい。例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂を挙げることができる。なお、色変換層のパターン形成をフォトリソグラフィー法により行なう場合には、透明な感光性樹脂も選ぶことができる。たとえば、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料が挙げられる。また、印刷法を用いる場合には、透明な樹脂を用いた印刷インキを選ぶことができる。たとえば、メラミン樹脂,フェノール樹脂,アルキド樹脂,エポキシ樹脂,ポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂,マレイン酸樹脂,ポリアミド樹脂のモノマー、オリゴマー、ポリマー、またポリメチルメタクリレート,ポリアクリレート,ポリカーボネート,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ヒドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等の透明樹脂を用いることができる。
【0023】
色変換層14が主に蛍光色素からなる場合は、所望の色変換層パターンのマスクを介して真空蒸着またはスパッタリング法で成膜され、一方、蛍光色素と樹脂からなる場合は、蛍光色素と上記樹脂およびレジストを混合、分離または可溶化させ、スピンコート、ロールコート法等の方法で塗布し、フォトリソグラフィー法で所望の色変換部材パターンでパターニングしたり、スクリーン印刷等の方法で所望の色変換層パターンでパターニングすることができる。
【0024】
(透明保護層)
本発明において、カラーフィルター層13もしくは色変換層14の上に透明保護層15を設ける場合には、透明保護層15は、例えば、色変換層14より下層の構成により段差(表面凹凸)が存在する場合に、この段差を解消して平坦化を図り、有機発光層19形成における厚みムラ発生を防止する平坦化作用をなすものである。
本発明において、透明保護層15は、透明(可視光透過率50%以上)樹脂により形成することができる。具体的には、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。また、透明樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
【0025】
上記の透明保護層15の形成は、上記の樹脂材料が液体の場合、スピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、光硬化型樹脂は紫外線照射後に必要に応じて熱硬化させ、熱硬化型樹脂は成膜後そのまま硬化させる。また、使用材料がフィルム状に成形されている場合、直接、あるいは、粘着剤を介して貼着することができる。このような透明保護層5の厚みは、例えば、2〜7μm程度とすることができる。
【0026】
(無機バリア層)
本発明において、無機バリア層16は第1電極層17の電極パターン間に設けるものであり、図1に示されるように、無機バリア層16は非画素表示部であるブラックマトリックス層12の上方に形成されるため、絶縁性を有する材料であれば、必ずしも透明性の高い材料である必要は無い。ただし、無機バリア層16は第1電極層17と重なり幅があり、例えば有機EL発光層が形成される位置に、該無機バリア層16が存在する場合は、ある程度の透過率は必要となる。絶縁性を有する材料として、例えば、SiO2 、Al2 3 、GeO2 、TiO2 、Cr2 3 、ZrO3 、Ta2 5 、Nb2 3 等の無機酸化物及びSi3 4 、AlN等の無機窒化物、SiC等の無機炭化物またはDLC(ダイアモンドライクカーボン)等を用いることができる。また、絶縁性の透明無機膜であるSiの窒化物または酸化窒化物、もしくはAlの窒化物または酸化窒化物、Al−Siの複合酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられる。このうち、SiまたはAlの酸化物、窒化物または酸化窒化物としては、具体的には、SiOxNy 、SiOx 、AlN、Al2 3 等が挙げられる。このうち、透明無機膜の構成材料としてSiOxNy を用いることが好ましい。この材料を用いることにより、バリア性が高く、膜応力が小さい透明無機膜を形成することができる。
【0027】
無機バリア層16を形成する無機膜は、真空状態で形成できる膜の形成方法であれば特に限定されないが、例えばスパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法等の真空蒸着法、EB蒸着法、抵抗加熱法、レーザーアブレーション法等が挙げられる。このうち、有機EL素子の生産を考慮すると、スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、高生産性で、品質安定性に優れた有機EL素子を提供することができる。無機膜を形成する際の温度は特に限定されず、真空条件で無機膜の形成が行える範囲の温度であればよい。従って、基板を加熱してもよいし、無機膜の形成に伴って温度が上昇する以外には加熱せずに行ってもよい。
【0028】
無機バリア層16の構成材料として、窒化酸化シリコンを用いる場合には、不活性ガス/N2 を、流量比で400sccm/5sccm〜400sccm/10sccm程度とすることで、可視光領域における透過率は70〜80%程度であるが、緻密でバリア性の高い茶色い窒化酸化シリコンを得ることができる。得られた窒化酸化シリコン膜は、固体成分であるSiと、ガス成分であるO及びNとの比は、原子量比で1:1.2〜1:1.3、N成分とO成分とが、原子量比で1:1〜1.2:1程度である。
第1電極層17の電極パターン間に設ける無機バリア層16の膜厚は、10nm超300nm未満であることが望ましく、さらにより好ましくは、50nm〜250nm程度である。無機バリア層16の膜厚が10nm以下だと、所望のガスバリア性及び耐水性、耐湿性が得られず、また300nm以上だと反応性エッチングによるパターニング制御が困難である。第1電極層(透明電極層)17はガスバリア性が高いことが知られているが、無機バリア層16のガスバリア性が第1電極層17よりも極端に高くなると、第1電極層17の微細欠陥へとガスが集中し、結果としてダークスポットが生じてしまう。上述の理由により無機バリア層16の膜厚は50nm〜250nmであることが望ましい。
【0029】
上記の窒化酸化シリコン上に5分間のHMDS処理後、フォトレジスト(クラリアントジャパン(株)製AZ−5206E)を塗布し、無機バリア層用のパターンを設けたフォトマスクで露光し、現像して、レジストパターンを形成した。エッチング条件は窒化酸化シリコンの組成と膜厚に依存するが、例えば膜厚が150nmの場合、25℃に調節された過酸化水素溶液(濃度6%)と一水素ニ弗化アンモニウム溶液(濃度2〜3%)の混合液中に10分間程度浸漬することで、該レジスト形成されていない部分の窒化酸化シリコン膜をエッチングし形成される。またCF4 ガスあるいはSF6 ガス及び酸素の混合ガスによる反応性ドライエッチングにより形成することも可能である。
【0030】
本発明において、無機バリア層16は第1電極層17の電極パターン間に設けるものであり、その周辺部において、第1電極層17に覆われて重なっている構造とするものである。
図2は、透明保護層15の上に無機バリア層16をパターン状に形成し、さらに無機バリア層16の周辺部に重なるようにして、第1電極層17をパターン状に形成した状態を示す部分断面図である。
図3は、無機バリア層16の周辺部に第1電極層17が重なった状態を示す上面模式図である。図3に示すように、無機バリア層16は第1電極層17と片側の幅wで重なり、片側0.5μm超10μm未満の幅で重なるようにするのが好ましく、片側0.5μm超10μm未満の余裕をもたせることで、ウェットエッチング時のサイドエッチングの問題を解消することができる。重なり幅wが0.5μm以下だと、サイドエッチングの問題を生じ易く、また、画素縮小率が大きくなるからである。重なり幅が10μm以上だと、画像表示部を狭くし、ダークスポット数が増え画質に影響するからである。本発明においては、図3に示す紙面上面から見て左右それぞれの片側の重なり幅wが上記の範囲内にあれば、左右のそれぞれの重なり幅wは必ずしも同じ値でなくてもよいものである。
ウェットエッチング後に該レジストパターンを除去することで、無機バリア層16が形成される。本発明では、ウェットプロセスにより該無機バリア層のパターニングを行ったが、反応性ガスを用いたドライエッチング法により行ってもよく、エッチング方法に限定されるものではない。
【0031】
(第1電極層)
本発明の有機EL素子の第1電極層(透明電極層)17は陽極として作用する。第1電極層17の材質は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の陽極として用いられている公知の材質を用いることができる。具体的には、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムに酸化錫を数十%ドープしたもの)と金属(例えば、Cr、Ni、Mo、Al、Ti)からなる電極である、画素電極、取り出し電極、バス電極、補助電極等を用いることができる。第1電極層17の形成方法は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の第1電極層を形成する公知の方法を採用することができる。具体的には、スパッタリング法、イオンプレーティング法により薄膜を形成した後にフォトリソグラフィー法を用いること等により、第1電極層17をパターン状に形成することができる。また、第1電極層17の膜厚も特に限定されるものではないが、通常0.1〜0.5μm、好ましくは0.15〜0.3μm程度である。
【0032】
(有機発光層)
本発明における有機EL素子の有機発光層18の材質は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の有機発光層として用いられている公知の材質を用いることができる。具体的には、Alq3(Tris−(8−hydroxyquinoline)aluminium)等を用いることができる。有機発光層18の形成方法は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の有機発光層18を形成する公知の方法を採用することができる。具体的には、抵抗加熱による真空蒸着法等の方法により有機発光層18を形成することができる。また、有機発光層18の膜厚も特に限定されるものではないが、通常100〜200nm程度である。なお、有機発光層18は、必要に応じて複数の層から構成することができる。
【0033】
(第2電極層)
本発明の有機EL素子の第2電極層(背面電極層)19は陰極として作用する。本発明における有機EL素子の第2電極層19の材質は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の陰極として用いられている公知の材質を用いることができる。具体的にはAl、Ag、Ca、Li、CaF等を用いることができる。第2電極層19は、Ca/Agを合わせて電極とし、有機発光層/(Ca/Ag)の順で形成することができる。第2電極層19の形成方法は、特に限定されるものではなく、通常有機EL素子の第2電極層19を形成する公知の方法を採用することができる。具体的には、抵抗加熱による真空蒸着法等の方法により第2電極層19を形成することができる。また、第2電極層19の膜厚も特に限定されるものではないが、通常、100〜200nm、好ましくは150nm程度である。なお、この膜厚の値は、上記したCa/Ag電極等のように複数の材質からなる電極を用いた場合には、それらを合わせた値である。
【0034】
上記のように、本発明の有機EL素子について、色変換層を用いた有機EL素子の実施形態について説明したが、本発明は、色変換層を用いず、白色発光の有機発光層を使用し、三原色のカラーフィルターを介して表示する有機EL素子にも適用できるものである。
【実施例】
【0035】
(ブラックマトリクスの形成)
透明基板として、370mm×470mm、厚み0.7mmのソーダガラス(セントラル硝子社製Sn面研磨品)を準備した。この透明基板を定法に従って洗浄した後、透明基板の片側全面にスパッタリング法により酸化窒化複合クロムの薄膜(厚み0.2μm)を形成し、この複合クロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、複合クロム薄膜のエッチングを行って、84μm×284μmの長方形状の開口部を100μmピッチでマトリクス状に備えたブラックマトリクスを形成した。
【0036】
(カラーフィルター層の形成)
赤色、緑色、青色の3種の着色層用感光性塗料を調製した。すなわち、赤色着色層用感光性塗料は、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、透明(可視光透過率50%以上)な樹脂が好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの透明樹脂が挙げられる。また、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
緑色着色層用感光性塗料は、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等の単品、あるいは、2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、上記の透明樹脂が挙げられ、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
青色着色層用感光性塗料は、銅フタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品、あるいは2種以上の混合物からなる着色材をバインダー樹脂に分散させたものとした。バインダー樹脂としては、上記の透明樹脂が挙げられ、着色材の含有量は、形成された着色層中に5〜50重量%含有されるように設定した。
【0037】
次ぎに上記の3種の着色層用感光性塗料を用いて各色の着色層を形成した。すなわち、ブラックマトリクスが形成された上記の透明基材全面に、緑色着色層用の感光性塗料をスピンコート法により塗布し、プリベーク(80℃、30分)を行った。その後、所定の着色層用フォトマスクを用いて露光した。次いで、現像液(0.05%KOH水溶液)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分)を行って、ブラックマトリクスパターンに対して所定の位置に帯状(幅90μm)の緑色着色層(厚み1.5μm)を形成した。同様に、赤色着色層の感光性塗料を用いて、ブラックマトリクスパターンに対して所定の位置に帯状(幅90μm)の赤色着色層(厚み1.5μm)を形成した。さらに、青色着色層の感光性塗料を用いて、ブラックマトリクスパターンに対して所定の位置に帯状(幅90μm)の青色着色層(厚み1.5μm)を形成した。
【0038】
(色変換層の形成)
次に、青色変換層(ダミー層)用塗布液(富士ハントエレクトロニクステクノロジー(株)製カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法により着色層上に塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、青色着色層上に帯状(幅90μm)の青色変換層(ダミー層、厚み10μm)を形成した。
【0039】
次いで、緑色変換蛍光体(アルドリッチ(株)製クマリン6)を分散させたアルカリ可溶性ネガ型レジストを緑色変換層用塗布液とし、これをスピンコート法により着色層上に塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、緑色着色層上に帯状(幅90μm)の緑色変換層(厚み10μm)を形成した。
更に、赤色変換蛍光体(アルドリッチ(株)製ローダミン6G)を分散させたアルカリ可溶性ネガ型レジストを赤色変換層用塗布液とし、これをスピンコート法により着色層上に塗布し、プリベーク(80℃、30分間)を行った。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、赤色着色層上に帯状(幅90μm)の赤色変換層(厚み10μm)を形成した。
【0040】
(透明保護層の形成)
次いで、平均分子量が約100000であるノルボルネン系樹脂(JSR社製ARTON)をトルエンで希釈した透明保護層用塗布液を使用し、スピンコート法により透明基材上に塗布した後、ベーク(100℃、30分)を行った。これにより、上記の色変換層を覆うように透明保護層(厚み7μm)を形成した。形成した透明保護層は、透明かつ均一な膜であった。
【0041】
(透明保護層の表面平坦化処理)
上述のように形成した透明保護層に対し、♯800程度の研磨テープを用いて純水を噴霧しながらラッピング研磨を行った。次いで、透明保護層に対し、回転研磨機(Speed Fam社製)を使用してアルミナの微粒子研磨材を噴霧しながら鏡面研磨(ポリッシング)を行った。
【0042】
(無機バリア層)
次に、無機バリア層の構成材料として、窒化酸化シリコンを用い、下記条件にてスパッタリング法により表1に示すように、無機バリア層を各種膜厚で形成した。
【0043】
(酸化窒化シリコン膜の成膜条件)
Si3 4 ターゲット:3N(密度1.8g/cm3
不活性ガス/N2 =400sccm:10sccm
RFパワー:430kW
基板温度:100℃
【0044】
次に、上記の窒化酸化シリコン上に5分間のHMDS処理後、フォトレジスト(クラリアントジャパン(株)製AZ−5206E)を塗布し、無機バリア層用のパターンを設けたフォトマスクで露光し、現像して、レジストパターンを形成した。続いて25℃に調節された過酸化水素溶液(濃度6%)と一水素ニ弗化アンモニウム水溶液(濃度2〜3%)の混合液中に所定時間(数分〜10分間)浸漬することで、該レジスト形成されていない部分の窒化酸化シリコン膜をエッチングした。
【0045】
(第1電極層の形成)
次いで、上記の基板上にイオンプレーティング法により膜厚150nmの酸化インジウムスズ(ITO)電極膜を形成し、このITO電極膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO電極膜のエッチングを行って、第1電極層(透明電極層)をパターン状(幅100μm)に形成した。また、表2に示すように、電極幅100μm、無機バリア層厚100nmにおいて、無機バリア層と電極層の各種重なり幅の試料を作成した。
【0046】
(補助電極の形成)
次に、上記の第1電極層を覆うように透明バリア層上の全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み0.2μm)を形成し、このクロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム薄膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。この補助電極は、透明基板上から色変換蛍光体層上に乗り上げるように第1電極層上に形成されたストライプ上のパターンであった。
【0047】
(絶縁層と隔壁部の形成)
平均分子量が約100000であるノルボルネン系樹脂(JSR社製ARTON)をトルエンで希釈した透明保護層用塗布液を使用し、スピンコート法により第1電極層を覆うように透明バリア層上に塗布した後、ベーク(100℃、30分)を行って絶縁膜(厚み1μm)を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、絶縁膜のエッチングを行って絶縁層を形成した。この絶縁層は、第1電極層と直角に交差するストライプ状(幅20μm)のパターンであり、ブラックマトリクスの遮光部上に位置するものとした。
次に、隔壁部用塗料(日本ゼオン社製フォトレジスト ZPN1100)をスピンコート法により絶縁層を覆うように全面に塗布し、プリベーク(70℃、30分間)を行った。その後、所定の隔壁部用フォトマスクを用いて露光し、現像液(日本ゼオン社製ZTMA−100)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に隔壁部を形成した。この隔壁部は、高さ10μm、下部(絶縁層側)の幅15μm、上部の幅26μmである形状を有するものであった。
【0048】
(青色有機発光層の形成)
次いで、上記の隔壁部をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、発光層、電子注入層からなる青色有機発光層を形成した。
すなわち、まず4,4’,4”―トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを、画像表示領域に相当する開口部を備えたフォトマスクを介して200nmまで蒸着して成膜し、その後4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁部がマスクパターンとなり、各隔壁部間のみを正孔注入層材料が通過して第1電極層上に正孔注入層が形成された。同様にして、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを50nmまで蒸着して成膜することにより発光層とした。その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層とした。このようにして形成された青色有機発光層は、幅280μmの帯状パターンとして各隔壁部間に存在するものであり、隔壁部の上部表面にも同様の層構成でダミーの青色有機発光層が形成された。
【0049】
(第2電極層の形成)
次に、画像表示領域よりも広い所定の開口部を備えたフォトマスクを介して、上記の隔壁部が形成されている領域に、真空蒸着法によりマグネシウムと銀を同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。これにより、隔壁部がマスクとなって、マグネシウム/銀化合物からなる第2電極層(背面電極層、厚み200nm)が青色有機EL素子層上に形成された。この第2電極層は、幅280μmの帯状パターンとして青色有機発光層上に存在するものであり、隔壁部の上部表面にもダミーの第2電極層が形成された。以上の方法により、有機EL素子を得た。
【0050】
上記の有機EL素子を封止し、有機EL表示装置を得た。この有機EL表示装置の第1電極層と第2電極層に直流8.5Vの電圧を10mA/cm2 の一定電流密度で印加して連続駆動させることにより、第1電極層と第2電極層とが交差する所望の部位の青色有機発光層を発光させた。該有機EL表示装置の発光領域は6mm□であり、該表示装置を温度85℃、相対湿度60%で保存試験を行い、500時間経過後における有機EL素子欠陥を、光学顕微鏡(倍率50倍)観察を行うことで評価した。その結果を表1および表2に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
表1より、本発明における無機バリア層を用いる場合、膜厚は10nmを超えれば画素縮小を低減することができるが、膜厚が300nm以上になるとダークスポット数が増加することが分かる。これはバリア性が高すぎるために透明電極の微小欠陥から集中的にガスが放出されるためである。表1より、無機バリア層の最適な膜厚は10nm超300nm未満であるといえる。また表2より、重なり幅が0.5μmを超えれば画素縮小がほとんど無い表示装置が得られ、逆に重なり幅が10μm以上になると重複部にダークスポットが発生していることが分かる。表2より、重なり幅は0.5μm超10μm未満が適しており、さらに好ましくは1μm以上5μm以下であるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の有機EL素子の実施形態の一例を示す断面模式図である。
【図2】無機バリア層の周辺部に重なるようにして、第1電極層を形成した状態を示す部分断面図である。
【図3】無機バリア層の周辺部に第1電極層が重なった状態を示す上面模式図である。
【符号の説明】
【0055】
10 有機EL素子
11 透明基板
12 ブラックマトリクス
13 カラーフィルター層
14 色変換層
15 透明保護層
16 無機バリア層
17 第1電極層(透明電極層)
18 有機発光層
19 第2電極層(背面電極層)






【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、順次少なくとも、カラーフィルター層、透明保護層、第1電極層、有機発光層および第2電極層を設けた有機EL素子において、前記第1電極層の電極パターン間に無機バリア層が設けられ、前記第1電極層の一部と前記無機バリア層の一部が重なり合っていることを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記無機バリア層は、前記第1電極層との重なり幅が片側で0.5μm超10μm未満の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記無機バリア層は、絶縁性を有する無機化合物より形成された膜であることを特徴とする請求項1もしくは2のいずれか1項に記載の有機EL素子。
【請求項4】
前記無機バリア層は、窒化酸化シリコンからなる膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子。
【請求項5】
前記窒化酸化シリコン膜の膜組成は、Si/O/Nの原子数比が100/X/Y(80≦X+Y≦160,10≦X≦80,10≦Y≦120)であることを特徴とする請求項4に記載の有機EL素子。
【請求項6】
前記無機バリア層は、厚みが10nm超300nm未満の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子。

































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−19179(P2006−19179A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196956(P2004−196956)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】