有機EL装置、有機EL装置の製造方法及びこれを用いた電子機器
【課題】 簡易な構成で、コントラストを向上させることができる有機EL装置、有機EL装置の製造方法及びこれを用いた電子機器を提供すること。
【解決手段】 基板2上に形成され画素領域のそれぞれを区画する隔壁部112と、画素領域内部の第1の電極111上に形成された導電性を有する光吸収層20と、隔壁部112の上面に形成された導電性を有する光吸収層20と、画素領域内部の光吸収層20上方に形成された発光層110bとを備え、第1の電極111上に形成された光吸収層20と、隔壁部112の上面に形成された光吸収層20とは同一構成を有し、第2の電極12と隔壁部112上面に形成された光吸収層20とは電気的に接続されていることを特徴とする。
【解決手段】 基板2上に形成され画素領域のそれぞれを区画する隔壁部112と、画素領域内部の第1の電極111上に形成された導電性を有する光吸収層20と、隔壁部112の上面に形成された導電性を有する光吸収層20と、画素領域内部の光吸収層20上方に形成された発光層110bとを備え、第1の電極111上に形成された光吸収層20と、隔壁部112の上面に形成された光吸収層20とは同一構成を有し、第2の電極12と隔壁部112上面に形成された光吸収層20とは電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置、有機EL装置の製造方法及びこれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やPDA等の携帯機器やパーソナルコンピュータ等の表示手段として、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す。)表示装置が開発されている。
有機EL表示装置は、EL層(発光層)を一対の電極間に挟持してなる発光素子を基板面内に複数備えて構成され、各発光素子を独立に駆動制御することで所望の表示を行っている。この有機EL表示装置は、発光層からの光の取り出し方向の違いにより、例えば素子基板側から光を取り出すボトムエミッション型と、封止部材側から光を取り出すトップエミッション型のものとに分類できるが、材料選択の自由度等の理由から、これまで主にボトムエミッション型の構造について研究されてきた。
【0003】
一方、表示装置の分野では、大型化,高精細化,高輝度化に対するニーズが高く、有機EL表示装置についても大型化を目指した研究開発が盛んに行なわれている。しかし、上述のボトムエミッション型の有機EL表示装置を大型化した場合、電極に信号を供給する配線を太くする必要があり、これにより画素の開口率が低下するという課題があった。また、このように開口率が低下した場合、画素の輝度を確保するために発光層に大きな電流を流す結果、製品寿命が短くなるという課題も生じる。このため、近年、画素の開口率が配線等の構造に影響されないトップエミッション型の構造が注目され、盛んに研究されている。
【0004】
ところで、有機EL装置をディスプレイ等に用いる場合、外光の入射によって、コントラストが低下してしまうという問題がある。この課題を解決するために、背面電極を吸収性電極層と導電補助電極層とから構成し、吸収性電極層(光吸収層)を有機発光層側に配する有機EL素子が提案されている(例えば、特許文献1。)。
また、発光素子の発光部間を分離するための絶縁膜上に光吸収層を設けた表示装置も提案されている(例えば、特許文献2。)。この表示装置は、発光部間から入射し、絶縁膜下の第1の電極やその他の配線材料部分において反射する外光を光吸収層により吸収させるものである。
【特許文献1】特開平8−8065号公報
【特許文献2】特開2003−17272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の有機EL素子では、吸収性電極層を発光層の一面に接触させるとともに、基板上に形成された陰極にも接触させるように形成しなくてはならない。また、上記特許文献2に記載の表示装置では、絶縁膜上に光吸収層を形成した後、光吸収層と絶縁膜とに開口部を形成し、この開口部に発光層を形成しなくてはならない。したがって、特許文献1及び特許文献2のいずれの場合においても、多くの工程を有するため、光吸収層の形成が困難であり、また、製造コストがかかってしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、簡易な構成で、コントラストを向上させることができる有機EL装置、有機EL装置の製造方法及びこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の有機EL装置は、基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、前記画素領域内部の前記第1の電極上に形成された導電性を有する光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、前記第1の電極上に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る有機EL装置では、画素領域内部及び隔壁部上面に光吸収層を備えることにより、発光層に入射される外光は、これらの光吸収層によって吸収されることになる。したがって、発光層で生じた光を取り出す際、発光層内部や画素領域間における外光の反射を抑えることができるため、コントラストを向上させることが可能となる。ここで、光吸収層が導電性を有しているため、第1の電極上に設けても発光層への電流注入に影響を及ぼすことはなく、また、隔壁部上面に形成された光吸収層が導電性を有することにより、第2の電極の導電性を高め、低抵抗化を図ることが可能となる。さらに、画素領域内部に形成された光吸収層と隔壁部上面に形成された光吸収層とが同一構成であるため、同時に形成が可能であり、製造プロセスが簡易な装置を提供することが可能となる。
【0009】
また、本発明の有機EL装置は、前記光吸収層が、前記基板側から前記第2の電極側に向かって、第1金属層,透明導電層,第2金属層の順で積層されて構成されていることが好ましい。
本発明に係る有機EL装置では、発光層に入射される外光は、第2金属層で一部は反射し、一部は透明導電層を透過し第1金属層において反射されることになる。そして、第1金属層において反射した光と第2金属層において反射した光とが干渉して吸収される。したがって、ある程度薄い膜厚による積層で光の吸収が可能となり、各層を精度良く形成できるので、発光層内部や画素領域間における外光反射を確実に抑えることができ、コントラストを向上させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の有機EL装置は、前記光吸収層が、光吸収性を有する1層の導電材料から形成されても良い。
本発明に係る有機EL装置では、光吸収層が光吸収性を有する1層の導電材料からなるため、簡易な構成により、発光層内部や画素領域間における外光反射を抑えることができるので、低コスト化を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置は、前記隔壁部は、前記基板に近い基端側よりも先端側に断面積が大きい部分を有することが好ましい。
本発明に係る有機EL装置では、隔壁部は、基板に近い基端側よりも先端側に断面積が大きい部分を有するため、例えば、蒸着法により、画素領域内部及び隔壁部上面に光吸収層を形成する際、影となる部分には光吸収層が形成されないことになる。そのため、画素領域内部と隔壁部上面との光吸収層は、隔壁部により正確に分離される。したがって、発光層内部や画素領域間における外光反射を確実に抑えることが可能となる。
【0012】
また、本発明の有機EL装置は、前記隔壁部にコンタクトホールが設けられ、前記隔壁部上面に形成された光吸収層と、前記隔壁部より下層に形成された前記第2の電極の取り出し配線とが、前記コンタクトホールを通じて電気的に接続されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る有機EL装置では、光吸収層が導電性を有しているため、隔壁部上面に形成された光吸収層が補助電極として機能することが可能となる。したがって、第2の電極の取り出し配線からコンタクトホールを通じて補助電極に充分な電流を供給することができるため、輝度ムラを低減させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の有機EL装置は、前記発光層の縁部の高さが、前記隔壁部の上面の高さと略一致していることが好ましい。
【0015】
本発明に係る有機EL装置では、発光層の縁部の高さが、隔壁部の上面の高さと略一致しているため、発光層と隔壁部との上方にわたって第2の電極を積層する際、隔壁部における第2の電極の断裂を防止し、画素欠陥を減らすことが可能となる。
【0016】
また、本発明の有機EL装置は、基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、導電性を有するとともに、前記画素領域内部に形成され前記第1の電極として機能する光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、前記画素電極内部に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る有機EL装置では、画素領域内部に形成された光吸収層が第1の電極として機能するため、発光層で生じた光を取り出す際、発光層内部や画素領域間における外光の反射を抑えることができるので、コントラストを向上させることが可能となる。また、外光の反射を抑えるとともに、第1の電極としての作用を有する層を一度に形成することができるので、製造プロセスが簡易な装置を提供することが可能となる。
【0018】
本発明の有機EL装置の製造方法は、前記基板上に、前記隔壁部を形成する工程と、蒸着法により、前記隔壁部が形成された基板に対して導電性光吸収材料を蒸着し、前記画素領域内部及び前記隔壁部上面に同時に前記導電性光吸収材料からなる光吸収層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、基板上に隔壁部を形成した後、蒸着法により、隔壁部が形成された基板に向かって導電性光吸収材料を蒸着する。この際、画素領域内部に形成された光吸収層と、隔壁部上面に形成された光吸収層とは、隔壁部により分離される。したがって、簡易な方法により、画素領域内部及び隔壁部上面に同一構造を有する光吸収層を同時に形成することができるとともに、画素領域内部及び隔壁部上面に均一性や緻密性の面で優れた光吸収層を形成することが可能となる。
【0020】
また、本発明の有機EL装置の製造方法は、前記画素領域内部に形成された光吸収層上に、前記電荷注入層及び前記発光層を液滴吐出法により形成することが好ましい。
【0021】
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、電荷注入層及び発光層を液滴吐出法により形成する。この液滴吐出法とは、いわゆるインクジェットプリンタでよく知られている印刷技術であり、各種材料を液状化させた材料インクの液滴を、インクジェットヘッドから基板上に吐出し、定着させるものである。液滴吐出法によれば、微細な領域に材料インクの液滴を正確に吐出できるので、フォトリソグラフィを行うことなく、所望の領域の際まで直接材料インクを定着させることができる。したがって、材料の無駄も発生しないため、製造コストの低減を図ることが可能であるとともに、均一かつ正確に電荷注入層及び発光層を形成することができる。
【0022】
本発明の電子機器は、上記の有機EL装置を表示部として用いたことを特徴とする。
本発明に係る電子機器では、上述したように、コントラストが向上した有機EL装置を表示部として用いているので、コントラストの良い表示を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。なお、図1から図8において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材の縮尺は実際のものと異なるように表わしている。
【0024】
図1は本実施形態の有機EL装置の一例である有機EL表示装置の配線構造を示す平面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL表示装置1には、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線されている。そして、走査線101と信号線102とにより区画された領域が画素領域として構成されている。
【0025】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
【0026】
各画素領域には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(第1の電極)111と、この画素電極111と陰極(第2の電極)12との間に挟み込まれる機能層110とが設けられている。画素電極111と対向電極12と機能層110により発光部Aが構成され、有機EL表示装置1は、この発光部Aをマトリクス状に複数備えて構成されている。
【0027】
有機EL表示装置1の構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、更に機能層110を介して陰極12に電流が流れる。機能層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0028】
図2は本表示装置の平面模式図であり、図3は図2をI−I′断面で切った断面模式図である。
図3に示すように、本実施形態の表示装置1は、基板2上に回路素子部14と表示素子部10が順に積層され、この積層体の形成された基板面が封止部3によって封止された構造を有する。表示素子部10は、発光層110bを含む発光素子部11と、発光素子部11上に形成された陰極12とからなる。この陰極12及び封止部3は透光性を有しており、本表示装置1は、発光層から発した表示光が封止部3側から出射される、所謂トップエミッション型の表示装置として構成されている。
【0029】
基板2には、透明基板(又は半透明基板)又は不透明基板のいずれを用いることもできる。透明又は半透明な基板としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特に、安価なソーダガラス基板が好適に用いられる。不透明な基板としては、例えばアルミナ等のセラミックやステンレススチール等の金属シートに表面酸化等の絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、基板2は、図2に示すように、中央に位置する表示領域2aと、基板2の周縁に位置して表示領域2aを囲む非表示領域2bとに区画されている。
表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光部Aによって形成される領域であり、表示領域の外側に非表示領域2bが形成されている。そして,非表示領域2bには、表示領域2aに隣接するダミー表示領域2dが形成されている。
【0030】
図3に示すように、回路素子部14には、前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ123等が備えられており、表示領域2aに配置された各発光部Aを駆動するようになっている。
陰極12は、その一端が発光素子部11上から基板2上に形成された陰極用配線120に接続しており、この配線の一端部がフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。また、配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている(図2参照)。
【0031】
また、回路素子部14の非表示領域2bには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。
また、表示領域2aの図2中両側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。この走査側駆動回路105、105はダミー領域2dの下側の回路素子部14内に設けられている。更に回路素子部14内には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。
更に表示領域2aの図2中上側には検査回路106が配置されている。この検査回路106により、製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができる。
【0032】
封止部3は、基板2と、封止樹脂603を介して、封止基板(封止部材)604とから構成されている。封止樹脂603のガス透過性はできるだけ小さいものが好ましい。
【0033】
図4に、本表示装置における表示領域2aの断面構造を拡大した図を示す。この表示装置1は、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14と、画素電極111と、発光層110bを含む機能層110が形成された発光素子部11と、陰極12とが順次積層されて構成されている。
【0034】
回路素子部14には、半導体膜141,ゲート絶縁膜142,ゲート電極143により薄膜トランジスタ123が構成されている。
尚、回路素子部14には、前述した保持容量cap及びスイッチング用の薄膜トランジスタ142も形成されているが、図4ではこれらの図示を省略している。
【0035】
発光素子部11は、画素領域内部に形成された光吸収層20上にそれぞれ形成された機能層110と、基板2上に形成され画素領域のそれぞれを区画するバンク層112とを主体として構成されている。機能層110上には陰極12が配置されており、これら画素電極111、機能層110及び陰極12によって発光部Aが構成されている。
【0036】
また、画素領域内部の画素電極111上及び後述するバンク層112(隔壁部)上面112aには、光吸収層20が形成されている。光吸収層20は、導電性を有するとともに、画素領域内部の画素電極111の画素電極面111a上及びバンク層112の上面112aにパターニングされて形成されている。また、画素領域内部の画素電極111上の光吸収層20とバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20とは同一構成となっている。ここで、同一構成とは、画素領域内部の画素電極111の画素電極面111a上の光吸収層20とバンク層112の上面112aの光吸収層20とが、それぞれ3層構造であり、各々の層の膜厚,材料がすべて等しいことを意味している。また、陰極12とバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20とは電気的に接続されている。
【0037】
具体的に、光吸収層20は、図5に示すように、基板2側から陰極12側に向かって、第1金属層21,透明導電層22,第2金属層23の順で積層されている。この第1,第2金属層21,23は、Tiからなっており、第1金属層21の厚みは約200nm、第2金属層23の厚みは約8nmとなっている。また、透明導電層22は、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いられており、厚みは約50nmとなっている。
【0038】
バンク層112は、基板2上に形成された無機バンク層113と、この無機バンク層113上に隣接して形成された有機バンク層114とを備えている。
無機バンク層113は、例えば、SiO2、TiO2等の無機絶縁材料からなり、図5に示すように、画素電極111に対応する開口部113aを有するようにパターニングされている。そして、この開口部113aの形状によって決定される領域を発光領域、すなわち、発光画素としている。また、有機バンク層114には、画素電極111に対応した開口部114aが形成されている。
【0039】
さらに、有機バンク層114に仕切られた各領域において、画素電極111の電極面111aは酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液処理されており、親液性を示す。一方、開口部114aの壁面及びバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20の上面20aは、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液処理)されており、撥液性を示す。
【0040】
バンク層112の有機バンク層114は、図5に示すように、基板2に近い基端114b側よりも先端114c側に断面積が大きい部分を有する形状となっている。すなわち、本実施形態では、画素領域が配列されている平面方向の有機バンク114幅が、基端114bから先端114cに向かって漸次大きくなる形状となっている。
また、無機バンク113の開口部113a内には、画素電極面111a上に有機バンク114の端部114dを含む平面まで光吸収層20が形成されている。すなわち、光吸収層20は、図2に示すように、有機EL表示装置1を平面視した状態において、有機バンク114により影となる無機バンク113の表面113bには形成されていない形状となっている。
【0041】
機能層110は、画素電極111の画素電極面111a上に形成された光吸収層20上に積層された正孔注入/輸送層(電荷注入層)110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bと、この発光層110b上に隣接して形成された電子注入層(電荷注入層)110cとから構成されている。
正孔注入/輸送層110aは、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。この正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。他に、フィジカルマスクを用いて、TPD、α―NPD、m−MTDATA,銅フタロシアニン等の低分子系正孔注入/輸送材料を蒸着法により画素領域にのみ形成できる。また、電子注入層110cは、電子を発光層110bに注入する機能を有するとともに、電子を電子注入層110c内部において輸送する機能を有する。この電子注入層110cとしては、例えばリチウムキノリノール(Liq)やフッ化リチウム(LiF)或いはバソフェンセシウム、Alq3等を好適に用いることができる。また、仕事関数が4eV以下の金属、例えばMg、Ca、Ba、Sr、Li、Na、Rb、Cs、Yb、Smなども用いることができる。
【0042】
このような正孔注入/輸送層110a,電子注入層110cを、それぞれ画素電極111と発光層110bの間、及び、陰極12と発光層110bとの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。なお、正孔注入/輸送材料は、各色の発光層110b毎に異ならせてもよく、又、特定の色の発光層110bに対して正孔注入/輸送層110aを設けない構成とすることも可能である。
なお、発光層110bの材料によっては、電子注入層110cを形成しなくても良い。
【0043】
発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色(B)に発光する青色発光層110b3、の3種類を有し、各発光層110b1〜110b3が規則的に配列されている。この配列としては、ストライプ配列、デルタ配列等を適用できる。この発光層110bの材料としては、例えば、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン係色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれらの高分子材料にルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン、ルブレン等をドープして用いることができる。また低分子系の材料として、Alq3、DPVBi等に、上記のような低分子系材料をドーピングしてマスク蒸着することで、所望の発光を所定の配列で得ることができる。
【0044】
陰極12には、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物からなる透光性の導電材料が用いられており、陰極12は発光素子部11の全面に形成されている。そして、画素電極111と対になって機能層110に電流を流す役割を果たす。
なお、陰極12上には必要に応じてSiO,SiO2,SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けても良い。
【0045】
次に、以上の構成からなる本実施形態の有機EL表示装置1の製造方法について説明する。
本実施形態の表示装置1の製造方法は、例えば、(1)バンク部形成工程、(2)光吸収層形成工程(3)プラズマ処理工程(4)正孔注入/輸送層形成工程(第1液滴吐出工程を含む)、(5)発光層形成工程(第2液滴吐出工程を含む)、(6)電子注入層形成工程、(7)陰極形成工程及び(8)封止工程とを具備して構成されている。なお、製造方法はこれに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0046】
(1)バンク層形成工程
バンク層形成工程は、基板2の所定の位置にバンク層112を形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図6に示すように、基板2上に走査線,信号線,薄膜トランジスタ123等の回路素子部14を有し、層間絶縁膜144a,144bの上に複数の画素電極111が形成された素子基板を準備する。
そして、この基板2上に、図7に示すように、酸化シリコン等からなる無機絶縁膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術により、現像、露光等の処理を施す。これにより、開口部113aを有する無機バンク層113が形成される。次に、無機バンク層113上に、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ技術により、画素電極111の配置された領域に開口部114aを有する有機バンク層114が形成される。なお、バンク層112の高さは、0.1〜0.2μm程度が好ましい。このような範囲とする理由は以下の通りである。
【0047】
すなわち、発光層110bの縁部の高さをバンク層112の高さと略一致させるためである。この構成により、電子注入層110cとバンク層112の上面にわたって陰極12を積層する際、バンク層112における陰極12の断裂を防止し、画素欠陥を減らすことが可能となる。
【0048】
(2)光吸収層形成工程
光吸収層形成工程は、画素領域内部及びバンク層112の上面112aに光吸収層20を形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図7に示すように、蒸着法により、バンク層112が形成された基板2に対して、導電性光吸収材料を蒸着する。この導電性光吸収材料112は、Tiからなる第1金属層21が、画素電極111の画素電極面111a上及びバンク層112の上面112aに200nm蒸着される。この第1金属層21上に、透明導電層22であるITOが50nm蒸着され、次いで、このITO上に、Tiからなる第2金属層23が8nm蒸着され、Ti,ITO,Tiの順で3層積層された構造となる。さらに、この上に形成される正孔注入層への正孔注入性を高めるために、仕事関数の大きな透明導電性材料、例えばITOを第2金属層の上に数nm〜10nm程度成膜すると良い。
このように、画素領域内部とバンク層112の上面112aには、同時に光吸収層20が形成される。そして、画素領域内部の光吸収層20は、有機バンク層114により影となる無機バンク層113の表面113bには形成されていない形状となる。
【0049】
(3)プラズマ処理工程
次いで、素子基板2の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。
本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成するものする。具体的には、該プラズマ処理は、予備加熱工程と、有機バンク層114の表面および開口部114aの壁面ならびに画素電極111の電極面111a、無機バンク層113の表面をそれぞれ親液性にする親液化工程と、バンク層112の上面112aに形成された光吸収層20の上面20a及び有機バンク層114の開口部114aの壁面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とで構成する。
【0050】
すなわち、基材(バンクなどを含む素子基板2)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親液化工程として大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。次いで、撥液化工程として大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性および撥液性が所定箇所に付与されることとなる。
【0051】
なお、このCF4プラズマ処理においては、画素電極111の電極面111a及び無機バンク層113についても多少の影響を受けるが、画素電極111の材料であるITOおよび無機バンク層113の構成材料であるSiO2、TiO2などはフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0052】
(4)正孔注入/輸送層形成工程
次いで、図8に示すように、正孔輸送層形成工程によって正孔注入/輸送層110aを形成する。この正孔輸送層形成工程では、高分子材料を用いる場合には、液滴吐出法として、特にインクジェット法が好適に採用される。すなわち、このインクジェット法により、正孔輸送層形成材料を電極面111a上に選択的に配し、これを塗布する。その後、乾燥処理および熱処理を行い、画素電極111上に正孔注入/輸送層110aを形成する。正孔注入/輸送層110aの形成材料としては、例えば前記のPEDOT:PSSをイソプロピルアルコールなどの極性溶媒に分散させたものが用いられる。
【0053】
ここで、このインクジェット法による正孔注入/輸送層110aの形成にあたっては、まず、インクジェットヘッド(図示略)に正孔輸送層形成材料を充填し、インクジェットヘッドの吐出ノズルを無機バンク層113に形成された開口部113a内に位置する電極面111aに対向させ、インクジェットヘッドと基材(素子基板2)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面111aに吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理し、正孔輸送層材料に含まれる分散媒や溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層110aを形成する。
【0054】
このとき、吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面111a上にて広がり、無機バンク層113の開口部113a内に満たされて該開口部113a内に臨むようになる。
その一方で、撥液処理されたバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20の上面20aでは、液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からずれて、液滴の一部がバンク層112の上面112aの光吸収層20の上面20a及び有機バンク層114の開口部114aの表面にかかったとしても、該表面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が有機バンク層114の開口部114a内に引き込まれる。
なお、この正孔輸送層形成工程以降では、各種の形成材料や形成した要素の酸化・吸湿を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
本実施例はインクジェット法を用いたが、低分子材料を用いて、フィジカルマスク越しに正孔注入輸送材料を蒸着成膜しても良い。この場合、前処理としては、酸素プラズマ処理またはオゾンUV処理だけでよく、CF4プラズマ処理は必ずしも必要無い。
【0055】
(5)発光層形成工程
次いで、図8に示すように、発光層形成工程による発光層110bの形成を行う。
発光層形成工程では、高分子材料を用いる場合には、上述した正孔注入/輸送層110aの形成と同様に、液滴吐出法であるインクジェット法が好適に採用される。すなわち、インクジェット法により、発光層形成材料を正孔注入/輸送層110a上に吐出し、その後、乾燥処理および熱処理を行うことにより、有機バンク層114に形成された開口部114a内、すなわち画素領域上に発光層110bを形成する。
以上の正孔注入/輸送層110aの形成工程と発光層110bの形成工程とにより、本発明における機能層110を形成することができる。本実施例はインクジェット法を用いたが、低分子材料を用いて、フィジカルマスク越しに発光材料を蒸着成膜しても良い。
【0056】
(6)電子注入層形成工程
電子注入層形成工程では、図4に示すように、発光層110b及びバンク層112の全面に、LiF等からなる電子注入層110cを形成する。
電子注入層110cは、蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱、プラズマ、紫外線などによる発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。
【0057】
(7)陰極形成工程
陰極形成工程では、イオンプレーティング法により、電子注入層110cの全面にITO等の金属酸化物からなる陰極12を形成する。
成膜原料には、例えばInとSnとの合金を用い、キャリアガスとして例えばネオン(Ne),アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr),キセノン(Xe)等の不活性ガスを用いることができる。
【0058】
(8)封止工程
封止工程は、図4に示すように、陰極12上に封止層25を形成した後、図3に示すように、発光素子が形成された基板2の前面に封止基板604を配置し、基板2と封止基板604を封止樹脂603により接着する工程である。この工程により基板2上に封止部3を形成する。
封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
【0059】
本実施形態に係る有機EL表示装置1では、内部に入射した外光のうち、光吸収層20のTiからなる第2金属層23において一部は反射し、一部は透過する。そして、第2金属層23を透過した光は、透明導電層22であるITOを透過し、Tiからなる第1金属層21において反射される。このとき、第1金属層21において反射した光と第2金属層23において反射した光とが干渉し吸収されるため、画素電極111における外光の反射をおさえることができる。したがって、発光層110bから発光し、封止部3側から出射される表示光は、外光を含んでいないため、コントラストを向上させることが可能となる。
【0060】
また、画素電極111の画素電極面111a上に形成された光吸収層20は陽極として作用し、発光層110bが発光しない場合の光吸収を行うことが可能である。さらに、陰極12とバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20とは電気的に接続されているため、この光吸収層20により、一般的に抵抗が高い陰極12を電気的に補助しつつ、有機EL表示装置1に入射される外光の吸収を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、インクジェット法により、正孔注入/輸送層110a、発光層110b、電子注入層110cを形成することにより、これらの層を画素領域の際まで充填できる。したがって、電子注入層110c上面に陰極12を積層する際、さらなる陰極12の断裂を防止することが可能となる。有機層の膜厚制御を行えば、蒸着法にも適用できる。
【0062】
(有機EL装置の第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について、図9を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態に係る有機EL表示装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る有機EL表示装置200において、第1実施形態と異なる点は、バンク層(隔壁部)201の構成である。
【0063】
バンク層201は、第1実施形態と同様に、無機バンク層202上に有機バンク層203が形成されている。また、無機バンク層202及び有機バンク層203には、コンタクトホール204が設けられている。
また、バンク層201の下方、すなわち、画素電極111間の無機バンク層202内には、陰極12の取り出し配線205が形成されている。この陰極取り出し配線205と、バンク層201上面に形成された光吸収層20とがコンタクトホール204内に充填された導体を通じて電気的に接続されている。
【0064】
本実施形態に係る有機EL表示装置200では、バンク層201上面に形成された光吸収層20が補助電極として機能し、陰極12の取り出し配線205からコンタクトホール204を通じて補助電極に充分な電流を画面全体にわたって均一に供給することができるため、よりコントラストを向上させることが可能となる。
【0065】
[電子機器]
以下、上述の有機EL装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記有機EL装置を用いた表示部を示している。このように電子機器の表示部に上記実施の形態の有機EL装置を用いることで、高性能な表示部を備えた電子機器を安価に提供することができる。
【0066】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、光吸収層20は、第1金属層21,透明導電層22,第2金属層23の3層構造としたが、光吸収性を有する1層のカーボンブラック等の導電材料からなっていても良い。また、画素領域内部の画素電極111の画素電極面111a上に形成された光吸収層20が、図11に示すように、導電性を有するとともに、画素領域内部に形成され画素電極111として機能する光吸収層250であっても良い。この構成により、外光の反射を抑えるとともに、陽極としての作用を有する層を一度に形成することができるので、製造プロセスが簡易な装置を提供することが可能となる。
また、発光層60を形成するための材料をRGBの3色に打ち分けたが、発光層60を白色発光層とし、三原色のカラーフィルタで分解する構成であっても良い。
【0067】
さらに、上記各実施形態において、導電性の光吸収層20の第1金属層を200nm以上積層することにより、光吸収層20の導電性を充分確保できるため、陰極12の補助電極として充分機能させることができる。なお、パネルサイズ,発光材料,画素開口率に応じてこの第1金属層21の厚みを最適化することが可能である。
また、光吸収層20の上面20a(第2金属層23の上面)、すなわち、正孔注入/輸送層110aに接する光吸収層20の面には、ITO等のように、仕事関数が4.6〜5.3eV程度の薄膜を成膜すると良い。具体的には、例えば、光吸収層(Ti/ITO/Ti)20の上にITOを10nm程度積層する。ITOを積層することにより、正孔注入/輸送層110aを形成し易くなるとともに、保護層として機能することが可能となる。なお、光吸収層20と正孔注入/輸送層110aとの界面に用いる材料としては、他の金属、例えば、金、銅、鉄、Ni、Cr、Co、Mo、Ta、W、Zn等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機EL装置の配線構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有機EL装置の平面図である。
【図3】図2のI−I′断面図である。
【図4】図1の有機EL装置の要部を示す断面図である。
【図5】図1の有機EL装置の要部を示す拡大断面図である。
【図6】図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
【図7】図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
【図8】図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の有機EL装置の配線構造を示す図である。
【図10】電子機器を示す概略構成図である。
【図11】本発明の各実施形態の有機EL装置の変形例の配線構造を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1,200…有機EL表示装置、2…基板、12…陰極(第2の電極)、110a…正孔注入/輸送層(電荷注入層)、110c…電子注入層(電荷注入層)、111…画素電極(第1の電極)、112…バンク層(隔壁部)、112a…バンク層の上面、114b…バンク層の基端、114c…バンク層の先端、201…バンク層(隔壁部)、204…コンタクトホール、205…陰極取り出し配線、1000…電子機器
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置、有機EL装置の製造方法及びこれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やPDA等の携帯機器やパーソナルコンピュータ等の表示手段として、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略す。)表示装置が開発されている。
有機EL表示装置は、EL層(発光層)を一対の電極間に挟持してなる発光素子を基板面内に複数備えて構成され、各発光素子を独立に駆動制御することで所望の表示を行っている。この有機EL表示装置は、発光層からの光の取り出し方向の違いにより、例えば素子基板側から光を取り出すボトムエミッション型と、封止部材側から光を取り出すトップエミッション型のものとに分類できるが、材料選択の自由度等の理由から、これまで主にボトムエミッション型の構造について研究されてきた。
【0003】
一方、表示装置の分野では、大型化,高精細化,高輝度化に対するニーズが高く、有機EL表示装置についても大型化を目指した研究開発が盛んに行なわれている。しかし、上述のボトムエミッション型の有機EL表示装置を大型化した場合、電極に信号を供給する配線を太くする必要があり、これにより画素の開口率が低下するという課題があった。また、このように開口率が低下した場合、画素の輝度を確保するために発光層に大きな電流を流す結果、製品寿命が短くなるという課題も生じる。このため、近年、画素の開口率が配線等の構造に影響されないトップエミッション型の構造が注目され、盛んに研究されている。
【0004】
ところで、有機EL装置をディスプレイ等に用いる場合、外光の入射によって、コントラストが低下してしまうという問題がある。この課題を解決するために、背面電極を吸収性電極層と導電補助電極層とから構成し、吸収性電極層(光吸収層)を有機発光層側に配する有機EL素子が提案されている(例えば、特許文献1。)。
また、発光素子の発光部間を分離するための絶縁膜上に光吸収層を設けた表示装置も提案されている(例えば、特許文献2。)。この表示装置は、発光部間から入射し、絶縁膜下の第1の電極やその他の配線材料部分において反射する外光を光吸収層により吸収させるものである。
【特許文献1】特開平8−8065号公報
【特許文献2】特開2003−17272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の有機EL素子では、吸収性電極層を発光層の一面に接触させるとともに、基板上に形成された陰極にも接触させるように形成しなくてはならない。また、上記特許文献2に記載の表示装置では、絶縁膜上に光吸収層を形成した後、光吸収層と絶縁膜とに開口部を形成し、この開口部に発光層を形成しなくてはならない。したがって、特許文献1及び特許文献2のいずれの場合においても、多くの工程を有するため、光吸収層の形成が困難であり、また、製造コストがかかってしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、簡易な構成で、コントラストを向上させることができる有機EL装置、有機EL装置の製造方法及びこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の有機EL装置は、基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、前記画素領域内部の前記第1の電極上に形成された導電性を有する光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、前記第1の電極上に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る有機EL装置では、画素領域内部及び隔壁部上面に光吸収層を備えることにより、発光層に入射される外光は、これらの光吸収層によって吸収されることになる。したがって、発光層で生じた光を取り出す際、発光層内部や画素領域間における外光の反射を抑えることができるため、コントラストを向上させることが可能となる。ここで、光吸収層が導電性を有しているため、第1の電極上に設けても発光層への電流注入に影響を及ぼすことはなく、また、隔壁部上面に形成された光吸収層が導電性を有することにより、第2の電極の導電性を高め、低抵抗化を図ることが可能となる。さらに、画素領域内部に形成された光吸収層と隔壁部上面に形成された光吸収層とが同一構成であるため、同時に形成が可能であり、製造プロセスが簡易な装置を提供することが可能となる。
【0009】
また、本発明の有機EL装置は、前記光吸収層が、前記基板側から前記第2の電極側に向かって、第1金属層,透明導電層,第2金属層の順で積層されて構成されていることが好ましい。
本発明に係る有機EL装置では、発光層に入射される外光は、第2金属層で一部は反射し、一部は透明導電層を透過し第1金属層において反射されることになる。そして、第1金属層において反射した光と第2金属層において反射した光とが干渉して吸収される。したがって、ある程度薄い膜厚による積層で光の吸収が可能となり、各層を精度良く形成できるので、発光層内部や画素領域間における外光反射を確実に抑えることができ、コントラストを向上させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の有機EL装置は、前記光吸収層が、光吸収性を有する1層の導電材料から形成されても良い。
本発明に係る有機EL装置では、光吸収層が光吸収性を有する1層の導電材料からなるため、簡易な構成により、発光層内部や画素領域間における外光反射を抑えることができるので、低コスト化を図ることが可能となる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置は、前記隔壁部は、前記基板に近い基端側よりも先端側に断面積が大きい部分を有することが好ましい。
本発明に係る有機EL装置では、隔壁部は、基板に近い基端側よりも先端側に断面積が大きい部分を有するため、例えば、蒸着法により、画素領域内部及び隔壁部上面に光吸収層を形成する際、影となる部分には光吸収層が形成されないことになる。そのため、画素領域内部と隔壁部上面との光吸収層は、隔壁部により正確に分離される。したがって、発光層内部や画素領域間における外光反射を確実に抑えることが可能となる。
【0012】
また、本発明の有機EL装置は、前記隔壁部にコンタクトホールが設けられ、前記隔壁部上面に形成された光吸収層と、前記隔壁部より下層に形成された前記第2の電極の取り出し配線とが、前記コンタクトホールを通じて電気的に接続されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る有機EL装置では、光吸収層が導電性を有しているため、隔壁部上面に形成された光吸収層が補助電極として機能することが可能となる。したがって、第2の電極の取り出し配線からコンタクトホールを通じて補助電極に充分な電流を供給することができるため、輝度ムラを低減させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の有機EL装置は、前記発光層の縁部の高さが、前記隔壁部の上面の高さと略一致していることが好ましい。
【0015】
本発明に係る有機EL装置では、発光層の縁部の高さが、隔壁部の上面の高さと略一致しているため、発光層と隔壁部との上方にわたって第2の電極を積層する際、隔壁部における第2の電極の断裂を防止し、画素欠陥を減らすことが可能となる。
【0016】
また、本発明の有機EL装置は、基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、導電性を有するとともに、前記画素領域内部に形成され前記第1の電極として機能する光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、前記画素電極内部に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る有機EL装置では、画素領域内部に形成された光吸収層が第1の電極として機能するため、発光層で生じた光を取り出す際、発光層内部や画素領域間における外光の反射を抑えることができるので、コントラストを向上させることが可能となる。また、外光の反射を抑えるとともに、第1の電極としての作用を有する層を一度に形成することができるので、製造プロセスが簡易な装置を提供することが可能となる。
【0018】
本発明の有機EL装置の製造方法は、前記基板上に、前記隔壁部を形成する工程と、蒸着法により、前記隔壁部が形成された基板に対して導電性光吸収材料を蒸着し、前記画素領域内部及び前記隔壁部上面に同時に前記導電性光吸収材料からなる光吸収層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、基板上に隔壁部を形成した後、蒸着法により、隔壁部が形成された基板に向かって導電性光吸収材料を蒸着する。この際、画素領域内部に形成された光吸収層と、隔壁部上面に形成された光吸収層とは、隔壁部により分離される。したがって、簡易な方法により、画素領域内部及び隔壁部上面に同一構造を有する光吸収層を同時に形成することができるとともに、画素領域内部及び隔壁部上面に均一性や緻密性の面で優れた光吸収層を形成することが可能となる。
【0020】
また、本発明の有機EL装置の製造方法は、前記画素領域内部に形成された光吸収層上に、前記電荷注入層及び前記発光層を液滴吐出法により形成することが好ましい。
【0021】
本発明に係る有機EL装置の製造方法では、電荷注入層及び発光層を液滴吐出法により形成する。この液滴吐出法とは、いわゆるインクジェットプリンタでよく知られている印刷技術であり、各種材料を液状化させた材料インクの液滴を、インクジェットヘッドから基板上に吐出し、定着させるものである。液滴吐出法によれば、微細な領域に材料インクの液滴を正確に吐出できるので、フォトリソグラフィを行うことなく、所望の領域の際まで直接材料インクを定着させることができる。したがって、材料の無駄も発生しないため、製造コストの低減を図ることが可能であるとともに、均一かつ正確に電荷注入層及び発光層を形成することができる。
【0022】
本発明の電子機器は、上記の有機EL装置を表示部として用いたことを特徴とする。
本発明に係る電子機器では、上述したように、コントラストが向上した有機EL装置を表示部として用いているので、コントラストの良い表示を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。なお、図1から図8において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材の縮尺は実際のものと異なるように表わしている。
【0024】
図1は本実施形態の有機EL装置の一例である有機EL表示装置の配線構造を示す平面模式図である。
図1に示すように、本実施形態の有機EL表示装置1には、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とがそれぞれ配線されている。そして、走査線101と信号線102とにより区画された領域が画素領域として構成されている。
【0025】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
【0026】
各画素領域には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用の薄膜トランジスタ112と、このスイッチング用の薄膜トランジスタ112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量capと、該保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用の薄膜トランジスタ123と、この駆動用薄膜トランジスタ123を介して電源線103に電気的に接続したときに当該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(第1の電極)111と、この画素電極111と陰極(第2の電極)12との間に挟み込まれる機能層110とが設けられている。画素電極111と対向電極12と機能層110により発光部Aが構成され、有機EL表示装置1は、この発光部Aをマトリクス状に複数備えて構成されている。
【0027】
有機EL表示装置1の構成によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用の薄膜トランジスタ112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、該保持容量capの状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、電源線103から画素電極111に電流が流れ、更に機能層110を介して陰極12に電流が流れる。機能層110は、これを流れる電流量に応じて発光する。
【0028】
図2は本表示装置の平面模式図であり、図3は図2をI−I′断面で切った断面模式図である。
図3に示すように、本実施形態の表示装置1は、基板2上に回路素子部14と表示素子部10が順に積層され、この積層体の形成された基板面が封止部3によって封止された構造を有する。表示素子部10は、発光層110bを含む発光素子部11と、発光素子部11上に形成された陰極12とからなる。この陰極12及び封止部3は透光性を有しており、本表示装置1は、発光層から発した表示光が封止部3側から出射される、所謂トップエミッション型の表示装置として構成されている。
【0029】
基板2には、透明基板(又は半透明基板)又は不透明基板のいずれを用いることもできる。透明又は半透明な基板としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特に、安価なソーダガラス基板が好適に用いられる。不透明な基板としては、例えばアルミナ等のセラミックやステンレススチール等の金属シートに表面酸化等の絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、基板2は、図2に示すように、中央に位置する表示領域2aと、基板2の周縁に位置して表示領域2aを囲む非表示領域2bとに区画されている。
表示領域2aは、マトリックス状に配置された発光部Aによって形成される領域であり、表示領域の外側に非表示領域2bが形成されている。そして,非表示領域2bには、表示領域2aに隣接するダミー表示領域2dが形成されている。
【0030】
図3に示すように、回路素子部14には、前述の走査線、信号線、保持容量、スイッチング用の薄膜トランジスタ、駆動用の薄膜トランジスタ123等が備えられており、表示領域2aに配置された各発光部Aを駆動するようになっている。
陰極12は、その一端が発光素子部11上から基板2上に形成された陰極用配線120に接続しており、この配線の一端部がフレキシブル基板5上の配線5aに接続されている。また、配線5aは、フレキシブル基板5上に備えられた駆動IC6(駆動回路)に接続されている(図2参照)。
【0031】
また、回路素子部14の非表示領域2bには、前述の電源線103(103R、103G、103B)が配線されている。
また、表示領域2aの図2中両側には、前述の走査側駆動回路105、105が配置されている。この走査側駆動回路105、105はダミー領域2dの下側の回路素子部14内に設けられている。更に回路素子部14内には、走査側駆動回路105、105に接続される駆動回路用制御信号配線105aと駆動回路用電源配線105bとが設けられている。
更に表示領域2aの図2中上側には検査回路106が配置されている。この検査回路106により、製造途中や出荷時の表示装置の品質、欠陥の検査を行うことができる。
【0032】
封止部3は、基板2と、封止樹脂603を介して、封止基板(封止部材)604とから構成されている。封止樹脂603のガス透過性はできるだけ小さいものが好ましい。
【0033】
図4に、本表示装置における表示領域2aの断面構造を拡大した図を示す。この表示装置1は、基板2上に、TFTなどの回路等が形成された回路素子部14と、画素電極111と、発光層110bを含む機能層110が形成された発光素子部11と、陰極12とが順次積層されて構成されている。
【0034】
回路素子部14には、半導体膜141,ゲート絶縁膜142,ゲート電極143により薄膜トランジスタ123が構成されている。
尚、回路素子部14には、前述した保持容量cap及びスイッチング用の薄膜トランジスタ142も形成されているが、図4ではこれらの図示を省略している。
【0035】
発光素子部11は、画素領域内部に形成された光吸収層20上にそれぞれ形成された機能層110と、基板2上に形成され画素領域のそれぞれを区画するバンク層112とを主体として構成されている。機能層110上には陰極12が配置されており、これら画素電極111、機能層110及び陰極12によって発光部Aが構成されている。
【0036】
また、画素領域内部の画素電極111上及び後述するバンク層112(隔壁部)上面112aには、光吸収層20が形成されている。光吸収層20は、導電性を有するとともに、画素領域内部の画素電極111の画素電極面111a上及びバンク層112の上面112aにパターニングされて形成されている。また、画素領域内部の画素電極111上の光吸収層20とバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20とは同一構成となっている。ここで、同一構成とは、画素領域内部の画素電極111の画素電極面111a上の光吸収層20とバンク層112の上面112aの光吸収層20とが、それぞれ3層構造であり、各々の層の膜厚,材料がすべて等しいことを意味している。また、陰極12とバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20とは電気的に接続されている。
【0037】
具体的に、光吸収層20は、図5に示すように、基板2側から陰極12側に向かって、第1金属層21,透明導電層22,第2金属層23の順で積層されている。この第1,第2金属層21,23は、Tiからなっており、第1金属層21の厚みは約200nm、第2金属層23の厚みは約8nmとなっている。また、透明導電層22は、透明導電材料によって形成され、具体的にはITOが好適に用いられており、厚みは約50nmとなっている。
【0038】
バンク層112は、基板2上に形成された無機バンク層113と、この無機バンク層113上に隣接して形成された有機バンク層114とを備えている。
無機バンク層113は、例えば、SiO2、TiO2等の無機絶縁材料からなり、図5に示すように、画素電極111に対応する開口部113aを有するようにパターニングされている。そして、この開口部113aの形状によって決定される領域を発光領域、すなわち、発光画素としている。また、有機バンク層114には、画素電極111に対応した開口部114aが形成されている。
【0039】
さらに、有機バンク層114に仕切られた各領域において、画素電極111の電極面111aは酸素を処理ガスとするプラズマ処理によって親液処理されており、親液性を示す。一方、開口部114aの壁面及びバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20の上面20aは、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理によって表面がフッ化処理(撥液処理)されており、撥液性を示す。
【0040】
バンク層112の有機バンク層114は、図5に示すように、基板2に近い基端114b側よりも先端114c側に断面積が大きい部分を有する形状となっている。すなわち、本実施形態では、画素領域が配列されている平面方向の有機バンク114幅が、基端114bから先端114cに向かって漸次大きくなる形状となっている。
また、無機バンク113の開口部113a内には、画素電極面111a上に有機バンク114の端部114dを含む平面まで光吸収層20が形成されている。すなわち、光吸収層20は、図2に示すように、有機EL表示装置1を平面視した状態において、有機バンク114により影となる無機バンク113の表面113bには形成されていない形状となっている。
【0041】
機能層110は、画素電極111の画素電極面111a上に形成された光吸収層20上に積層された正孔注入/輸送層(電荷注入層)110aと、正孔注入/輸送層110a上に隣接して形成された発光層110bと、この発光層110b上に隣接して形成された電子注入層(電荷注入層)110cとから構成されている。
正孔注入/輸送層110aは、正孔を発光層110bに注入する機能を有するとともに、正孔を正孔注入/輸送層110a内部において輸送する機能を有する。この正孔注入/輸送層形成材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。他に、フィジカルマスクを用いて、TPD、α―NPD、m−MTDATA,銅フタロシアニン等の低分子系正孔注入/輸送材料を蒸着法により画素領域にのみ形成できる。また、電子注入層110cは、電子を発光層110bに注入する機能を有するとともに、電子を電子注入層110c内部において輸送する機能を有する。この電子注入層110cとしては、例えばリチウムキノリノール(Liq)やフッ化リチウム(LiF)或いはバソフェンセシウム、Alq3等を好適に用いることができる。また、仕事関数が4eV以下の金属、例えばMg、Ca、Ba、Sr、Li、Na、Rb、Cs、Yb、Smなども用いることができる。
【0042】
このような正孔注入/輸送層110a,電子注入層110cを、それぞれ画素電極111と発光層110bの間、及び、陰極12と発光層110bとの間に設けることにより、発光層110bの発光効率、寿命等の素子特性が向上する。なお、正孔注入/輸送材料は、各色の発光層110b毎に異ならせてもよく、又、特定の色の発光層110bに対して正孔注入/輸送層110aを設けない構成とすることも可能である。
なお、発光層110bの材料によっては、電子注入層110cを形成しなくても良い。
【0043】
発光層110bは、赤色(R)に発光する赤色発光層110b1、緑色(G)に発光する緑色発光層110b2、及び青色(B)に発光する青色発光層110b3、の3種類を有し、各発光層110b1〜110b3が規則的に配列されている。この配列としては、ストライプ配列、デルタ配列等を適用できる。この発光層110bの材料としては、例えば、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン係色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、またはこれらの高分子材料にルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン、ルブレン等をドープして用いることができる。また低分子系の材料として、Alq3、DPVBi等に、上記のような低分子系材料をドーピングしてマスク蒸着することで、所望の発光を所定の配列で得ることができる。
【0044】
陰極12には、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物からなる透光性の導電材料が用いられており、陰極12は発光素子部11の全面に形成されている。そして、画素電極111と対になって機能層110に電流を流す役割を果たす。
なお、陰極12上には必要に応じてSiO,SiO2,SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けても良い。
【0045】
次に、以上の構成からなる本実施形態の有機EL表示装置1の製造方法について説明する。
本実施形態の表示装置1の製造方法は、例えば、(1)バンク部形成工程、(2)光吸収層形成工程(3)プラズマ処理工程(4)正孔注入/輸送層形成工程(第1液滴吐出工程を含む)、(5)発光層形成工程(第2液滴吐出工程を含む)、(6)電子注入層形成工程、(7)陰極形成工程及び(8)封止工程とを具備して構成されている。なお、製造方法はこれに限られるものではなく必要に応じてその他の工程が除かれる場合、また追加される場合もある。
【0046】
(1)バンク層形成工程
バンク層形成工程は、基板2の所定の位置にバンク層112を形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図6に示すように、基板2上に走査線,信号線,薄膜トランジスタ123等の回路素子部14を有し、層間絶縁膜144a,144bの上に複数の画素電極111が形成された素子基板を準備する。
そして、この基板2上に、図7に示すように、酸化シリコン等からなる無機絶縁膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術により、現像、露光等の処理を施す。これにより、開口部113aを有する無機バンク層113が形成される。次に、無機バンク層113上に、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性、耐溶剤性を有する感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ技術により、画素電極111の配置された領域に開口部114aを有する有機バンク層114が形成される。なお、バンク層112の高さは、0.1〜0.2μm程度が好ましい。このような範囲とする理由は以下の通りである。
【0047】
すなわち、発光層110bの縁部の高さをバンク層112の高さと略一致させるためである。この構成により、電子注入層110cとバンク層112の上面にわたって陰極12を積層する際、バンク層112における陰極12の断裂を防止し、画素欠陥を減らすことが可能となる。
【0048】
(2)光吸収層形成工程
光吸収層形成工程は、画素領域内部及びバンク層112の上面112aに光吸収層20を形成する工程である。以下に形成方法について説明する。
まず、図7に示すように、蒸着法により、バンク層112が形成された基板2に対して、導電性光吸収材料を蒸着する。この導電性光吸収材料112は、Tiからなる第1金属層21が、画素電極111の画素電極面111a上及びバンク層112の上面112aに200nm蒸着される。この第1金属層21上に、透明導電層22であるITOが50nm蒸着され、次いで、このITO上に、Tiからなる第2金属層23が8nm蒸着され、Ti,ITO,Tiの順で3層積層された構造となる。さらに、この上に形成される正孔注入層への正孔注入性を高めるために、仕事関数の大きな透明導電性材料、例えばITOを第2金属層の上に数nm〜10nm程度成膜すると良い。
このように、画素領域内部とバンク層112の上面112aには、同時に光吸収層20が形成される。そして、画素領域内部の光吸収層20は、有機バンク層114により影となる無機バンク層113の表面113bには形成されていない形状となる。
【0049】
(3)プラズマ処理工程
次いで、素子基板2の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。
本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成するものする。具体的には、該プラズマ処理は、予備加熱工程と、有機バンク層114の表面および開口部114aの壁面ならびに画素電極111の電極面111a、無機バンク層113の表面をそれぞれ親液性にする親液化工程と、バンク層112の上面112aに形成された光吸収層20の上面20a及び有機バンク層114の開口部114aの壁面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とで構成する。
【0050】
すなわち、基材(バンクなどを含む素子基板2)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親液化工程として大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。次いで、撥液化工程として大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性および撥液性が所定箇所に付与されることとなる。
【0051】
なお、このCF4プラズマ処理においては、画素電極111の電極面111a及び無機バンク層113についても多少の影響を受けるが、画素電極111の材料であるITOおよび無機バンク層113の構成材料であるSiO2、TiO2などはフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0052】
(4)正孔注入/輸送層形成工程
次いで、図8に示すように、正孔輸送層形成工程によって正孔注入/輸送層110aを形成する。この正孔輸送層形成工程では、高分子材料を用いる場合には、液滴吐出法として、特にインクジェット法が好適に採用される。すなわち、このインクジェット法により、正孔輸送層形成材料を電極面111a上に選択的に配し、これを塗布する。その後、乾燥処理および熱処理を行い、画素電極111上に正孔注入/輸送層110aを形成する。正孔注入/輸送層110aの形成材料としては、例えば前記のPEDOT:PSSをイソプロピルアルコールなどの極性溶媒に分散させたものが用いられる。
【0053】
ここで、このインクジェット法による正孔注入/輸送層110aの形成にあたっては、まず、インクジェットヘッド(図示略)に正孔輸送層形成材料を充填し、インクジェットヘッドの吐出ノズルを無機バンク層113に形成された開口部113a内に位置する電極面111aに対向させ、インクジェットヘッドと基材(素子基板2)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面111aに吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理し、正孔輸送層材料に含まれる分散媒や溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層110aを形成する。
【0054】
このとき、吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面111a上にて広がり、無機バンク層113の開口部113a内に満たされて該開口部113a内に臨むようになる。
その一方で、撥液処理されたバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20の上面20aでは、液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からずれて、液滴の一部がバンク層112の上面112aの光吸収層20の上面20a及び有機バンク層114の開口部114aの表面にかかったとしても、該表面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が有機バンク層114の開口部114a内に引き込まれる。
なお、この正孔輸送層形成工程以降では、各種の形成材料や形成した要素の酸化・吸湿を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
本実施例はインクジェット法を用いたが、低分子材料を用いて、フィジカルマスク越しに正孔注入輸送材料を蒸着成膜しても良い。この場合、前処理としては、酸素プラズマ処理またはオゾンUV処理だけでよく、CF4プラズマ処理は必ずしも必要無い。
【0055】
(5)発光層形成工程
次いで、図8に示すように、発光層形成工程による発光層110bの形成を行う。
発光層形成工程では、高分子材料を用いる場合には、上述した正孔注入/輸送層110aの形成と同様に、液滴吐出法であるインクジェット法が好適に採用される。すなわち、インクジェット法により、発光層形成材料を正孔注入/輸送層110a上に吐出し、その後、乾燥処理および熱処理を行うことにより、有機バンク層114に形成された開口部114a内、すなわち画素領域上に発光層110bを形成する。
以上の正孔注入/輸送層110aの形成工程と発光層110bの形成工程とにより、本発明における機能層110を形成することができる。本実施例はインクジェット法を用いたが、低分子材料を用いて、フィジカルマスク越しに発光材料を蒸着成膜しても良い。
【0056】
(6)電子注入層形成工程
電子注入層形成工程では、図4に示すように、発光層110b及びバンク層112の全面に、LiF等からなる電子注入層110cを形成する。
電子注入層110cは、蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、熱、プラズマ、紫外線などによる発光層110bの損傷を防止できる点で好ましい。
【0057】
(7)陰極形成工程
陰極形成工程では、イオンプレーティング法により、電子注入層110cの全面にITO等の金属酸化物からなる陰極12を形成する。
成膜原料には、例えばInとSnとの合金を用い、キャリアガスとして例えばネオン(Ne),アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr),キセノン(Xe)等の不活性ガスを用いることができる。
【0058】
(8)封止工程
封止工程は、図4に示すように、陰極12上に封止層25を形成した後、図3に示すように、発光素子が形成された基板2の前面に封止基板604を配置し、基板2と封止基板604を封止樹脂603により接着する工程である。この工程により基板2上に封止部3を形成する。
封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、陰極12にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極12に侵入して陰極12が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
【0059】
本実施形態に係る有機EL表示装置1では、内部に入射した外光のうち、光吸収層20のTiからなる第2金属層23において一部は反射し、一部は透過する。そして、第2金属層23を透過した光は、透明導電層22であるITOを透過し、Tiからなる第1金属層21において反射される。このとき、第1金属層21において反射した光と第2金属層23において反射した光とが干渉し吸収されるため、画素電極111における外光の反射をおさえることができる。したがって、発光層110bから発光し、封止部3側から出射される表示光は、外光を含んでいないため、コントラストを向上させることが可能となる。
【0060】
また、画素電極111の画素電極面111a上に形成された光吸収層20は陽極として作用し、発光層110bが発光しない場合の光吸収を行うことが可能である。さらに、陰極12とバンク層112の上面112aに形成された光吸収層20とは電気的に接続されているため、この光吸収層20により、一般的に抵抗が高い陰極12を電気的に補助しつつ、有機EL表示装置1に入射される外光の吸収を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、インクジェット法により、正孔注入/輸送層110a、発光層110b、電子注入層110cを形成することにより、これらの層を画素領域の際まで充填できる。したがって、電子注入層110c上面に陰極12を積層する際、さらなる陰極12の断裂を防止することが可能となる。有機層の膜厚制御を行えば、蒸着法にも適用できる。
【0062】
(有機EL装置の第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について、図9を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、上述した第1実施形態に係る有機EL表示装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る有機EL表示装置200において、第1実施形態と異なる点は、バンク層(隔壁部)201の構成である。
【0063】
バンク層201は、第1実施形態と同様に、無機バンク層202上に有機バンク層203が形成されている。また、無機バンク層202及び有機バンク層203には、コンタクトホール204が設けられている。
また、バンク層201の下方、すなわち、画素電極111間の無機バンク層202内には、陰極12の取り出し配線205が形成されている。この陰極取り出し配線205と、バンク層201上面に形成された光吸収層20とがコンタクトホール204内に充填された導体を通じて電気的に接続されている。
【0064】
本実施形態に係る有機EL表示装置200では、バンク層201上面に形成された光吸収層20が補助電極として機能し、陰極12の取り出し配線205からコンタクトホール204を通じて補助電極に充分な電流を画面全体にわたって均一に供給することができるため、よりコントラストを向上させることが可能となる。
【0065】
[電子機器]
以下、上述の有機EL装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図10は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記有機EL装置を用いた表示部を示している。このように電子機器の表示部に上記実施の形態の有機EL装置を用いることで、高性能な表示部を備えた電子機器を安価に提供することができる。
【0066】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、光吸収層20は、第1金属層21,透明導電層22,第2金属層23の3層構造としたが、光吸収性を有する1層のカーボンブラック等の導電材料からなっていても良い。また、画素領域内部の画素電極111の画素電極面111a上に形成された光吸収層20が、図11に示すように、導電性を有するとともに、画素領域内部に形成され画素電極111として機能する光吸収層250であっても良い。この構成により、外光の反射を抑えるとともに、陽極としての作用を有する層を一度に形成することができるので、製造プロセスが簡易な装置を提供することが可能となる。
また、発光層60を形成するための材料をRGBの3色に打ち分けたが、発光層60を白色発光層とし、三原色のカラーフィルタで分解する構成であっても良い。
【0067】
さらに、上記各実施形態において、導電性の光吸収層20の第1金属層を200nm以上積層することにより、光吸収層20の導電性を充分確保できるため、陰極12の補助電極として充分機能させることができる。なお、パネルサイズ,発光材料,画素開口率に応じてこの第1金属層21の厚みを最適化することが可能である。
また、光吸収層20の上面20a(第2金属層23の上面)、すなわち、正孔注入/輸送層110aに接する光吸収層20の面には、ITO等のように、仕事関数が4.6〜5.3eV程度の薄膜を成膜すると良い。具体的には、例えば、光吸収層(Ti/ITO/Ti)20の上にITOを10nm程度積層する。ITOを積層することにより、正孔注入/輸送層110aを形成し易くなるとともに、保護層として機能することが可能となる。なお、光吸収層20と正孔注入/輸送層110aとの界面に用いる材料としては、他の金属、例えば、金、銅、鉄、Ni、Cr、Co、Mo、Ta、W、Zn等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態の有機EL装置の配線構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の有機EL装置の平面図である。
【図3】図2のI−I′断面図である。
【図4】図1の有機EL装置の要部を示す断面図である。
【図5】図1の有機EL装置の要部を示す拡大断面図である。
【図6】図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
【図7】図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
【図8】図1の有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の有機EL装置の配線構造を示す図である。
【図10】電子機器を示す概略構成図である。
【図11】本発明の各実施形態の有機EL装置の変形例の配線構造を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1,200…有機EL表示装置、2…基板、12…陰極(第2の電極)、110a…正孔注入/輸送層(電荷注入層)、110c…電子注入層(電荷注入層)、111…画素電極(第1の電極)、112…バンク層(隔壁部)、112a…バンク層の上面、114b…バンク層の基端、114c…バンク層の先端、201…バンク層(隔壁部)、204…コンタクトホール、205…陰極取り出し配線、1000…電子機器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、
前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、
前記画素領域内部の前記第1の電極上に形成された導電性を有する光吸収層と、
前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、
前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、
前記第1の電極上に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記光吸収層が、前記基板側から前記第2の電極側に向かって、第1金属層,透明導電層,第2金属層の順で積層されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記光吸収層が、光吸収性を有する1層の導電材料からなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記隔壁部は、前記基板に近い基端側よりも先端側に断面積が大きい部分を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記隔壁部にコンタクトホールが設けられ、
前記隔壁部上面に形成された光吸収層と、前記隔壁部より下層に形成された前記第2の電極の取り出し配線とが、前記コンタクトホールを通じて電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記発光層の縁部の高さが、前記隔壁部の上面の高さと略一致していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、
前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、
導電性を有するとともに、前記画素領域内部に形成され前記第1の電極として機能する光吸収層と、
前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、
前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、
前記画素電極内部に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項8】
前記基板上に前記隔壁部を形成する工程と、
蒸着法により前記隔壁部が形成された基板に対して導電性光吸収材料を成膜し、前記画素領域内部及び前記隔壁部上面に同時に前記導電性光吸収材料からなる光吸収層を形成する工程とを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項9】
前記画素領域内部に形成された光吸収層上に、電荷注入層及び前記発光層を液滴吐出法により形成することを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機EL装置を表示部として用いたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、
前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、
前記画素領域内部の前記第1の電極上に形成された導電性を有する光吸収層と、
前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、
前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、
前記第1の電極上に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記光吸収層が、前記基板側から前記第2の電極側に向かって、第1金属層,透明導電層,第2金属層の順で積層されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記光吸収層が、光吸収性を有する1層の導電材料からなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記隔壁部は、前記基板に近い基端側よりも先端側に断面積が大きい部分を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記隔壁部にコンタクトホールが設けられ、
前記隔壁部上面に形成された光吸収層と、前記隔壁部より下層に形成された前記第2の電極の取り出し配線とが、前記コンタクトホールを通じて電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記発光層の縁部の高さが、前記隔壁部の上面の高さと略一致していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
基板上に配列形成された複数の画素領域と、該画素領域の内部に前記画素領域毎に設けられた第1の電極と、該第1の電極の上方に前記複数の画素領域にわたって共通に設けられた第2の電極とを備え、前記第1の電極上方に配された発光層からの光を前記基板とは反対側に射出させる有機EL装置であって、
前記基板上に形成され前記画素領域のそれぞれを区画する隔壁部と、
導電性を有するとともに、前記画素領域内部に形成され前記第1の電極として機能する光吸収層と、
前記隔壁部の上面に形成された導電性を有する光吸収層と、
前記画素領域内部の光吸収層上方に形成された発光層とを備え、
前記画素電極内部に形成された光吸収層と、前記隔壁部の上面に形成された光吸収層とは同一構成を有し、前記第2の電極と前記隔壁部上面に形成された光吸収層とは電気的に接続されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項8】
前記基板上に前記隔壁部を形成する工程と、
蒸着法により前記隔壁部が形成された基板に対して導電性光吸収材料を成膜し、前記画素領域内部及び前記隔壁部上面に同時に前記導電性光吸収材料からなる光吸収層を形成する工程とを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項9】
前記画素領域内部に形成された光吸収層上に、電荷注入層及び前記発光層を液滴吐出法により形成することを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機EL装置を表示部として用いたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−294395(P2006−294395A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113183(P2005−113183)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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