説明

有機EL駆動回路、有機EL表示器およびその駆動方法

【課題】有機EL素子のリセット駆動を行う場合に、サージ電流を抑制することで高周波ノイズの発生を防止する。
【解決手段】各走査電極Row1〜Row4とGNDの間に電流制限抵抗4を備える。これにより、サージ電流が電流制限抵抗4によって抑制され、サージ電流のピーク値が抑えられる。具体的には、リセット開始状態となるときにすべての走査電極Row1〜Row4を通じて流れるサージ電流を制限できると共に、リセット解除状態のときに走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうちオフのままとされるものの走査電極Row1〜Row4を通じて流れるサージ電流を制限できる。よって、サージ電流に起因して高周波ノイズが発生することを防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子を発光させるための駆動回路、有機EL表示器およびその駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示器では、発光画素(発光対象となる有機EL素子)を所定期間毎に切替えて駆動することで、所望の表示を行う。このように有機EL素子の駆動を行うに際し、走査期間中に各有機EL素子の寄生容量に電荷が蓄えられるため、例えば特許文献1に示されるように、発光させる有機EL素子を切替えのタイミングで、その電荷を放電させるリセット駆動を行っている。
【0003】
リセット駆動を用いた場合、ある走査が次の走査線へ移る際に、すべての走査線(陰極線)とすべてのデータ線(陽極線)を一度アース電位(0V)に落としてリセットする。これにより、前の走査期間に有機EL素子の寄生容量に充電された電荷を放電し、次の走査の発光画素の寄生容量に対しての充電期間を短くする。すなわち、寄生容量に充電された電荷の正負が次の走査期間に印加される電圧の正負と逆のままだと充電期間が長くなるため、寄生容量に充電された電荷を放電しておくことで、次の走査期間における寄生容量の充電期間を短くできる。これにより、発光画素の波形の立ち上がりが高速になるようにしている。
【0004】
この従来の有機EL素子の駆動方法について、図16〜図20を用いて説明する。図16〜図19は、いわゆる単純マトリクス方式の有機EL素子を駆動するための有機EL駆動回路の作動説明図である。実際には、画素数分の有機EL素子がマトリクス状に並べられるのであるが、ここで簡便化して4×4のマトリクスを示してある。
【0005】
図16〜図19は、まず走査電極Row1を走査して、有機EL素子E1,1とE1,2を光らせたのち、リセット期間をおいて、次の走査に移り、走査電極Row2を走査して、有機EL素子E2,3とE2,4を光らせるという発光動作を行う場合の作動を示している。図20は、この場合の走査電極Row1、Row2、データ電極Col1、Col2およびデータ電極Col3、Col4の電圧波形を示したタイミングチャートであり、図16〜図19は、図20中のタイミング(1)〜(4)における有機EL駆動回路中の各部の様子を示したものに相当する。
【0006】
〔タイミング(1):リセット前状態(発光画素選択期間)〕
図16に示されるリセット前状態においては、走査選択スイッチRS1はオン(選択)し、アース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS2〜RS4はオフ(非選択)し、逆バイアス電圧Vrowを印加している。
【0007】
また、データ選択スイッチCS1、CS2はオン(発光)し、定電流制御回路CC1、CC2から順バイアスを印加する。他のデータ選択スイッチCS3、CS4はオフ(非発光)し、アース電位(0V)に固定となる。
【0008】
この際、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS1)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C1,1、C1,2、に対しては電位差Vcol’(=Vcolから定電流源CC1〜CC4での電圧ドロップ、及び、データ側、走査側のそれぞれの配線抵抗による電圧ドロップを差し引いたもの)で充電されている。
【0009】
また、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS2〜RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C2,3、C2,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に対しては電位差Vrowで充電されている。
【0010】
そして、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS2〜RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に対しては電位差(Vrow−Vcol’)で充電され、Vrowに対して負の電荷となる場合もある。
【0011】
このとき、(Vrow−Vcol’)はたかだか数V程度であるため、寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2の画素の電荷は、寄生容量C2,3をはじめとする電位差Vcol’や電位差rowで充電されている画素の電荷に比べると非常に小さいものとなる。
【0012】
なお、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS1)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C1,3、C1,4に対しては電位差がほぼ0Vであるため、電荷は充電されない。
【0013】
〔タイミング(2):リセット開始〕
図17に示されるリセット開始状態においては、走査選択スイッチRS1はオンのままアース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS2〜RS4はオフがすべてオンに切替わり、アース電位(0V)に固定となる。データ選択スイッチはCS1、CS2がオフ(非発光)し、アース電位(0V)に固定となる。他のデータ選択スイッチはオフ(非発光)のままアース電位(0V)に固定となる。
【0014】
この際、寄生容量C1,1、C1,2に蓄積していた順バイアスの電荷は、走査電極Row1からデータ電極Col1、Col2を通じる経路で、走査電極駆動回路2側からデータ電極駆動回路1側へ抜けていく(破線参照)。寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に蓄積していた逆バイアスの電荷は、データ電極Col1、Col2から走査電極Row2〜Row4を通じる経路で、データ電極駆動回路1側から走査電極駆動回路2側から抜けていく(一点鎖線参照)。また、寄生容量C2,3、C2,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に蓄積していた逆バイアスの電荷は、データ電極Col3、Col4から走査電極Row2〜Row4を通じる経路で、データ電極駆動回路1側から走査電極駆動回路2側から抜けていく(ニ点鎖線参照)。
【0015】
〔タイミング(3):リセット期間〕
図18に示されるリセット期間中には、すべての走査電極Row1〜Row4およびデータ電極Col1〜Col4がアース電位(0V)に固定されるため、どこにも電荷の移動は発生しない。
【0016】
〔タイミング(4):リセット解除〕
図19に示されるリセット解除状態においては、走査選択スイッチRS2はオンのままアース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS1、RS3、RS4はオンがすべてオフに切替わり、逆バイアス電圧Vrowが印加開始される。データ選択スイッチCS1、CS2はオフ(非発光)のまま、アース電位(0V)に固定となる。発光に切り替わるデータ選択スイッチCS3、CS4はオフ(非発光)からオンに切替わり、定電流制御回路CC3、CC4から順バイアスが印加開始される。
【0017】
この際、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS2)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C2,3、C2,4に対しては、データ電極Col3、Col4から走査電極Row2を通じる経路により、電位差Vcol’で順バイアスの電荷を充電しに行く(破線参照)。
【0018】
走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS1、RS3、RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C1,3、C1,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に対しては、走査電極Row1、Row3、Row4からデータ電極Col3、Col4を通じる経路により、逆バイアスの電荷を充電しに行く(一点鎖線参照)。このため、最終的に寄生容量C1,3、C1,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4は電位差(Vrow−Vcol’)で充電される。
【0019】
また、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS1、RS3、RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C1,1、C1,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に対しては、それぞれの走査電極Row1、Row3、Row4からデータ電極Col1、Col2を通じる経路にて、電位差Vrowで逆バイアスの電荷を充電しに行く(二点鎖線参照)。
【0020】
なお、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS2)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C2,1、C2,2に対しては電位差がほぼ0Vであるため、電荷は充電されない。
【0021】
以上のようにして、有機EL素子の駆動が行われる。図21は、これら一連のタイミングにおける走査電極Row1〜Row4およびデータ電極Col1〜Col4の電位と走査電極Row1〜Row4に流れる電流の関係を示したタイミングチャートである。
【特許文献1】特許第3314046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、上述したリセット駆動を用いた場合、毎走査ごとに有機EL素子の寄生容量に充電された電荷を放電するために図21に示したようなサージ状の電流が流れることになる。また、リセットが解除された瞬間に、発光に移行する画素に対して順バイアスの電荷を充電に行くためにサージ電流が流れる。例えば図21に示すタイミングで駆動させた場合、5μS程度のリセット期間が設定されていたとすると、上記サージ電流に起因した200kHzの高周波ノイズが発生する。そのため、車載用表示器として有機ELを用いた場合、カーラジオ等への輻射ノイズが問題となる。
【0023】
本発明は上記点に鑑みて、有機EL素子のリセット駆動を行う場合に、サージ電流を抑制することで高周波ノイズの発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するため、本発明では、リセット期間中に、複数の走査電極(Row1〜Row4)を通じて、寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電する電流が流れる経路中に電流制限手段(4、4a〜4d、5)が備えられていることを特徴としている。
【0025】
このように、放電電流が流れる経路中に電流制限手段(4、4a〜4d、5)を備えることで、リセット期間に移行するときに発生するサージ電流のピーク値を抑えることが可能となる。これにより、サージ電流に起因して高周波ノイズが発生することを防止することが可能となる。
【0026】
また、複数の走査電極(Row1〜Row4)に対して所定の電圧(Vrow)を印加する経路中に、電流制限手段(4、4a〜4d、5)を備えることもできる。このようにした場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
これらの場合において、駆動部(1〜3)として、複数の走査電極(Row1〜Row4)に対して印加する電圧の切替を行う走査電極選択スイッチ(RS1〜RS4)を備えた走査電極駆動回路(2)を有し、該走査電極駆動回路(2)中に電流制限手段(4、4a〜4d、5)が備えられた構成を採用することができる。
【0028】
この場合、走査電極駆動回路(2)における走査電極選択スイッチ(RS1〜RS4)はICに形成されてるのであれば、IC内部において電流制限手段(4、4a〜4d、5)が複数の走査電極(Row1〜Row4)それぞれに対して形成された構成とすることができる。
【0029】
なお、電流制限手段としては、例えば電流制限抵抗(4、4a〜4d)やインダクタ(5)を適用することができる。
【0030】
また、本発明を複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)により構成される有機ELパネルにて表示を行う有機EL表示器に適用することもできる。この場合、有機ELパネルを構成する1つ1つの画素(10)を複数のサブピクセル(10a〜10c)で構成すると共に、複数のサブピクセル(10a〜10c)のそれぞれが複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の1つ1つによって構成されるようにする。このような構成とし、有機ELパネルの周辺の明るさが明るいほどサブピクセル(10a〜10c)の総面積が大きくなるように、複数のサブピクセル(10a〜10c)が選択的に発光させるようにすれば、階調や調光を適切に行うことが可能となる。
【0031】
この場合、複数のサブピクセル(10a〜10c)をすべて異なる面積で構成すれば、サブピクセル(10a〜10c)のどれを発光させるかを変えるだけで、発光させるサブピクセル(10a〜10c)の総面積を変えることができる。
【0032】
このような有機EL表示器は、特に、車両に搭載されるような周辺の明るさが大きく変化するものに適用されると好ましい。
【0033】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態が適用された有機EL駆動回路の概略構成を示した回路図である。以下、この図を参照して、本実施形態の有機EL駆動回路について説明する。
【0036】
図1に示されるように、有機EL駆動回路には、駆動部に相当するデータ電極駆動回路1、走査電極駆動回路2および制御回路3と、これらから引き出された複数の走査線および複数のデータ線の交点それぞれに配置されたマトリクス状の複数の有機EL素子E1,1〜E4,4が備えられている。複数の有機EL素子E1,1〜E4,4は、実際には、画素数分マトリクス状に並べられるのであるが、ここでは簡便化して4×4のマトリクスとして示してある。
【0037】
データ電極駆動回路1は、データ電極Col1〜Col4に対して印加する電位を制御するためのものである。データ電極駆動回路1には、データ電極Col1〜Col4それぞれに対して備えられた定電流源CC1〜CC4と、データ電極選択スイッチCS1〜CS4が備えられている。
【0038】
定電流源CC1〜CC4は、所定電源1aから印加される電圧に基づいて定電流を形成する。データ電極選択スイッチCS1〜CS4は、各データ電極Col1〜Col4側が可動接点とされ、GND(0V)に接続される固定接点と定電流源CC1〜CC4に接続される固定接点のいずれか一方に可動接点を接触させられるものとなっている。
【0039】
走査電極駆動回路2は、走査電極Row1〜Row4に対して印加する電位を制御するためのものである。走査電極駆動回路2には、データ電極選択スイッチCS1〜CS4に加えて電流制限手段に相当する電流制限抵抗4が備えられている。
【0040】
走査電極選択スイッチRS1〜RS4は、各走査電極Row1〜Row4側が可動接点とされ、電流制限抵抗4を介してGND(0V)に接続される固定接点と所定の電圧Vrowを印加する所定電源2aに接続される固定接点のいずれか一方に可動接点を接触させられるものとなっている。
【0041】
制御回路3は、データ電極駆動回路1におけるデータ電極選択スイッチCS1〜CS4および走査電極駆動回路2における走査電極選択スイッチRS1〜RS4のオンオフを駆動するものである。具体的には、発光画素として選択された画素を発光させ、その他の画素を非発光とするべく、データ電極選択スイッチCS1〜CS4および走査電極選択スイッチRS1〜RS4のオンオフを制御する。
【0042】
続いて、図2〜図6を参照して、本実施形態の有機EL駆動回路による有機EL素子E1,1〜E4,4の駆動方法について説明する。
【0043】
図2〜図5は、まず走査電極Row1を走査して、有機EL素子E1,1とE1,2を光らせたのち、リセット期間をおいて、次の走査に移り、走査電極Row2を走査して、有機EL素子E2,3とE2,4を光らせるという発光動作を行う場合の作動を示している。図6は、この場合の走査電極Row1、Row2、データ電極Col1、Col2およびデータ電極Col3、Col4の電圧波形を示したタイミングチャートであり、図2〜図5は、図6中のタイミング(1)〜(4)における有機EL駆動回路中の各部の様子を示したものに相当する。
【0044】
〔タイミング(1):リセット前状態(発光画素選択期間)〕
図2に示されるリセット前状態においては、走査選択スイッチRS1はオン(選択)し、アース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS2〜RS4はオフ(非選択)し、逆バイアス電圧Vrowを印加している。
【0045】
また、データ選択スイッチCS1、CS2はオン(発光)し、定電流制御回路CC1、CC2から順バイアスを印加する。他のデータ選択スイッチCS3、CS4はオフ(非発光)し、アース電位(0V)に固定となる。
【0046】
これにより、発光画素として選択された有機EL素子E1,1、E1,2に電流i1,1、i1,2が流れ、これらが発光する。
【0047】
この際、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS1)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C1,1、C1,2、に対しては電位差Vcol’(=Vcolから定電流源CC1〜CC4での電圧ドロップ、及び、データ側、走査側のそれぞれの配線抵抗による電圧ドロップを差し引いたもの)で充電されている。
【0048】
また、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS2〜RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C2,3、C2,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に対しては電位差Vrowで充電されている。
【0049】
そして、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS2〜RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に対しては電位差(Vrow−Vcol’)で充電されている。
【0050】
このとき、(Vrow−Vcol’)はたかだか数V程度であるため、寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2の画素の電荷は、寄生容量C2,3をはじめとする電位差Vcol’や電位差rowで充電されている画素の電荷に比べると非常に小さいものとなる。
【0051】
なお、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS1)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C1,3、C1,4に対しては電位差がほぼ0Vであるため、電荷は充電されない。
【0052】
〔タイミング(2):リセット開始〕
図3に示されるリセット開始状態においては、走査選択スイッチRS1はオンのままアース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS2〜RS4はオフがすべてオンに切替わり、アース電位(0V)に固定となる。データ選択スイッチはCS1、CS2がオフ(非発光)し、アース電位(0V)に固定となる。他のデータ選択スイッチはオフ(非発光)のままアース電位(0V)に固定となる。
【0053】
この際、寄生容量C1,1、C1,2に蓄積していた順バイアスの電荷は、電流制限抵抗4を介して走査電極Row1からデータ電極Col1、Col2を通じる経路で、走査電極駆動回路2側からデータ電極駆動回路1側へ抜けていく(破線参照)。寄生容量C2,1、C2,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に蓄積していた逆バイアスの電荷は、データ電極Col1、Col2から走査電極Row2〜Row4および電流制限抵抗4を通じる経路で、データ電極駆動回路1側から走査電極駆動回路2側から抜けていく(一点鎖線参照)。また、寄生容量C2,3、C2,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に蓄積していた逆バイアスの電荷は、データ電極Col3、Col4から走査電極Row2〜Row4および電流制限抵抗4を通じる経路で、データ電極駆動回路1側から走査電極駆動回路2側から抜けていく(ニ点鎖線参照)。
【0054】
このように、各走査電極Row1〜Row4を通じて流れる電流は、すべて電流制限抵抗4を介して流れることになる。このため、各寄生容量C1,1〜C4,4から急激に大きな充電電流が流されることを防止することが可能となる。
【0055】
〔タイミング(3):リセット期間〕
図4に示されるリセット期間中には、すべての走査電極Row1〜Row4およびデータ電極Col1〜Col4がアース電位(0V)に固定されるため、どこにも電荷の移動は発生しない。
【0056】
〔タイミング(4):リセット解除〕
図5に示されるリセット解除状態においては、走査選択スイッチRS2はオンのままアース電位(0V)に固定となる。他の走査電極選択スイッチRS1、RS3、RS4はオンがすべてオフに切替わり、逆バイアス電圧Vrowが印加開始される。データ選択スイッチCS1、CS2はオフ(非発光)のまま、アース電位(0V)に固定となる。発光に切り替わるデータ選択スイッチCS3、CS4はオフ(非発光)からオンに切替わり、定電流制御回路CC3、CC4から順バイアスが印加開始される。
【0057】
これにより、発光画素として選択された有機EL素子E2,3、E2,4に電流i2,3、i2,4が流れ、これらが発光する。
【0058】
この際、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS2)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C2,3、C2,4に対しては、データ電極Col3、Col4から走査電極Row2および電流制限抵抗4を通じる経路により、電位差Vcol’で順バイアスの電荷を充電しに行く(破線参照)。
【0059】
走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS1、RS3、RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち発光となっているもの(CS3、CS4)の交点に存在する画素の寄生容量C1,3、C1,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4に対しては、走査電極Row1、Row3、Row4からデータ電極Col3、Col4を通じる経路により、逆バイアスの電荷を充電しに行く(一点鎖線参照)。このため、最終的に寄生容量C1,3、C1,4、C3,3、C3,4、C4,3、C4,4は電位差(Vrow−Vcol’)で充電される。
【0060】
また、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち非選択となっているもの(RS1、RS3、RS4)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C1,1、C1,2、C3,1、C3,2、C4,1、C4,2に対しては、それぞれの走査電極Row1、Row3、Row4からデータ電極Col1、Col2を通じる経路にて、電位差Vrowで逆バイアスの電荷を充電しに行く(二点鎖線参照)。
【0061】
なお、走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうち選択となっているもの(RS2)とデータ選択スイッチCS1〜CS4のうち非発光となっているもの(CS1、CS2)の交点に存在する画素の寄生容量C2,1、C2,2に対しては電位差がほぼ0Vであるため、電荷は充電されない。
【0062】
以上のようにして、有機EL素子の駆動が行われる。図7は、これら一連のタイミングにおける走査電極Row1〜Row4およびデータ電極Col1〜Col4の電位と走査電極Row1〜Row4に流れる電流の関係を示したタイミングチャートである。
【0063】
この図に示されるように、リセット開始状態(図6のタイミング(2))とリセット解除状態(図6のタイミング(4))のときに、各走査電極Row1〜Row4を通じる経路にサージ電流が流れることになる。
【0064】
しかしながら、上述したように、各走査電極Row1〜Row4とGNDの間に電流制限抵抗4を備えるようにしているため、サージ電流が電流制限抵抗4によって抑制され、サージ電流のピーク値が抑えられる。具体的には、本実施形態の場合には、リセット開始状態となるときにすべての走査電極Row1〜Row4を通じて流れるサージ電流を制限できると共に、リセット解除状態のときに走査電極選択スイッチRS1〜RS4のうちオフのままとされるものの走査電極Row1〜Row4を通じて流れるサージ電流を制限できる。
【0065】
これにより、サージ電流に起因して高周波ノイズが発生することを防止することが可能となる。そして、車載用表示器として有機EL素子を用いた場合に、カーラジオ等への輻射ノイズが問題となることを防止できる。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本実施形態の有機EL駆動回路における走査電極駆動回路2のみを示した図である。本実施形態は、上記第1実施形態における電流制限抵抗4の形態を変更したものである。その他の構成に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
図8に示すように、本実施形態では走査電極Row1〜Row4が接続される各ラインごとに電流制限抵抗4a〜4dを設けている。すなわち、走査電極駆動回路2のうち走査電極選択スイッチRS1〜RS4等に関してはICによって構成されるが、このICの内部に電流制限抵抗4a〜4dを備えたものとしている。
【0068】
このように、走査電極Row1〜Row4が接続される各ラインごとに電流制限抵抗4a〜4dを備えることも可能である。
【0069】
(第3実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図9は、本実施形態の有機EL駆動回路における走査電極駆動回路2のみを示した図である。本実施形態は、上記第1実施形態における電流制限抵抗4を備える場所を変更したものである。その他の構成に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
図9に示すように、本実施形態では走査電極駆動回路2のうちの所定電源2aから各走査電極選択スイッチRS1〜RS4に至るまでの経路中、すなわち電圧Vrowが供給される電圧給ラインに電流制限抵抗4を備えた構成としている。
【0071】
このように、所定電源2aから各走査電極選択スイッチRS1〜RS4に至るまでの経路中に電流制限抵抗4を備えた場合、各走査電極選択スイッチRS1〜RS4がオン(選択)からオフ(非選択)に切替えられた瞬間、および、オフのままの状態とされているときに発生するサージ電流のピーク値を抑えることが可能となる。
【0072】
したがって、本実施形態のように、所定電源2aから各走査電極選択スイッチRS1〜RS4に至るまでの経路中に電流制限抵抗4を備えた構成としても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図10は、本実施形態の有機EL駆動回路における走査電極駆動回路2のみを示した図である。本実施形態は、上記第3実施形態における電流制限抵抗4の形態を変更したものである。その他の構成に関しては第3実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0074】
図10に示すように、本実施形態では走査電極Row1〜Row4が接続される各電源供給ラインごとに電流制限抵抗4a〜4dを設けている。すなわち、走査電極駆動回路2のうち走査電極選択スイッチRS1〜RS4等に関してはICによって構成されるが、このICの内部に電流制限抵抗4a〜4dを備えたものとしている。
【0075】
このように、走査電極Row1〜Row4が接続される各電源供給ラインごとに電流制限抵抗4a〜4dを備えることも可能である。
【0076】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1〜第4実施形態で示した有機EL駆動回路が適用される有機EL表示器として好ましい形態を示したものである。
【0077】
単純マトリクス方式の有機EL表示器において、走査線もしくはデータ線に印加するパルス印加期間(パルス幅)の増減や、さらに電流駆動素子(例えば、有機ELや発光ダイオードのようなもの)を駆動する場合は、発光素子に流れる電流の増減により、一般的に階調や調光を成立させている。
【0078】
さらに一般的な単純マトリクス表示器の階調や調光方法として、パルス幅制御(PWM制御)や電流制御を行うものもある。
【0079】
しかしながら、これらの方式では、走査1ラインあたりに光っている発光画素数や面積、画面のサイズによりドライバICに対する負荷が変わったり、発光素子のバラツキや、ドライバIC内部のドライブ用トランジスタのバラツキによって階調や調光には限界が生じてしまう。特に、上記各実施形態のように、電流制限抵抗4、4a〜4dを備えるような場合、パルスの立上りや立下りに時間が掛かり、例えばパルス幅制御においてパルス幅を狭めようとしてもパルスの立上りや立下りの時間を見込まなければならず、階調や調光を適切に行うことができなくなる。
【0080】
また、車両に搭載される場合のように、昼間は周囲の外光にさらされ、また夜間やトンネル内のように周囲が真っ暗になるという特殊環境で使用する表示器において、運転者からの視認性を最適な状態にするために、昼夜の輝度を大きく変える必要があり、その場合、パルス幅制御や電流制御を行うだけでは、階調や調光性能にリニアリティがなくなる等の表示品位を悪化させる。
【0081】
そこで、本実施形態では、上記第1〜第4実施形態で示した有機EL駆動回路に適した有機EL表示器について説明する。
【0082】
図11は、車両に搭載される単色の有機EL表示器における有機ELパネルの数画素分(ここでは4画素分)を図示したものであり、図11(a)は昼間の表示形態、図11(b)は夜間の表示形態を示し、図中ハッチングを示した部分が発光することを表している。
【0083】
図11に示すように、1つ1つの画素10は、2つの異なる面積を有するサブピクセル10a、10bの集合体で構成されている。このサブピクセル10a、10bの1つ1つが上記第1〜第4実施形態に示した有機EL素子E1,1〜E4,4の1つ1つに相当するもので、サブピクセル10a、10bの1つ1つが独立して発光可能な構成とされている。
【0084】
このような有機EL表示器を用いれば、各画素は、サブピクセル10a、10bのうちの1つのみを発光させる場合と双方を発光させる場合とで異なる輝度を得ることができるため、サブピクセル10a、10bのうちのどれを発光させるかにより、階調や調光を行うことが可能となる。
【0085】
特に、有機EL表示器が車両に搭載されるようなものであれば、昼夜で周辺の明るさが大きく変化することになるが、本実施形態のようにサブピクセル10a、10bの発光させ方を変えるだけで、容易に階調や調光を行える。
【0086】
したがって、本実施形態の有機EL表示器により、階調や調光を適切に行うことができ、表示品質の悪化を防止することが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態のような有機EL表示器を駆動するに当たり、有機EL表示器の周辺の明るさに関する情報を制御回路3に入力することで、制御回路3による発光画素選択を有機EL表示器の周辺の明るさに応じて行うことが可能となる。例えば、有機EL表示器の周辺の明るさに関する情報として、車両ヘッドランプスイッチのオンオフ信号を制御回路3に入力すれば、有機EL表示器により昼夜に応じた表示を行うことが可能となる。
【0088】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。図12は、本実施形態の単色の有機EL表示器における有機ELパネルの数画素分(ここでは4画素分)を図示したものであり、図12(a)は昼間の表示形態、図12(b)は夜間の表示形態を示し、図中ハッチングを示した部分が発光することを表している。
【0089】
本実施形態は、上記第5実施形態に対して、サブピクセルの数を変更したものである。その他の構成に関しては第5実施形態と同様であるため、第5実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
図12に示されるように、1つ1つの画素は、大中小3つの面積を有するサブピクセル10a、10b、10cの集合体で構成されている。このサブピクセル10a、10b、10cの1つ1つが上記第1〜第4実施形態に示した有機EL素子E1,1〜E4,4の1つ1つに相当するもので、サブピクセル10a、10b、10cの1つ1つが独立して発光可能な構成とされている。
【0091】
このような有機EL表示器を用いれば、各画素は、サブピクセル10a、10b、10cのうちの1つのみを発光させる場合とすべてを発光させる場合とで異なる輝度を得ることができるため、サブピクセル10a、10b、10cのうちのどれを発光させるかにより、階調や調光を行うことが可能となる。このように、サブピクセル10a、10b、10cの数を増やしても、上記第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。図13は、本実施形態の有機EL駆動回路の概略構成を示した図である。本実施形態は、上記第1実施形態に対して、電流制限抵抗4を介してGNDに接続されるラインに加えて、もう一つ、電流制限抵抗4を介さずにGNDに接続されるラインを追加したものである。その他の構成に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
図13に示すように、本実施形態では各走査電極選択スイッチRS1〜RS4が三点接触スイッチとされており、そのうちの1つの固定接点が電流制限抵抗4を介さずにGNDに接続されるラインに繋がっている。
【0094】
上述したように、電流制限抵抗4を備えることでサージ電流のピーク値を抑制することが可能になるが、電流制限抵抗4を備えたことにより、パルスの立上りや立下りに時間が掛かることになる。このため、パルスの立上りや立下りの時間を短時間にしたい場合には、走査電極選択スイッチRS1〜RS4にて走査電極Row1〜Row4が直接GNDに接続されるようにすれば良い。
【0095】
(他の実施形態)
上記第1〜第4実施形態では、電流制限手段として電流制限抵抗4、4a〜4dを例に挙げて説明したが、電流制限手段として他のものを適用しても良い。例えば、上記第1〜第4実施形態で示した電流制限抵抗4、4a〜4dを図14(a)、(b)に示すようなインダクタ5に置換しても構わない。
【0096】
また、上記第5、第6実施形態で、有機EL表示器における有機ELパネルでの表示例を示したが、これらに限るものではない。具体的には、昼間と夜間とで発光させるサブピクセル10a、10b、10cの総面積を変え、昼間の方が夜間よりも総面積が多くなるようにすれば良い。
【0097】
例えば、第5実施形態に示した有機ELパネルの場合における昼間の表示形態と夜間の表示形態をそれぞれ図15(a)、(b)に示す。この図に示されるように、昼間は面積の大きなサブピクセル10aのみを発光させ、夜間は面積が小さなサブピクセル10bのみを発光させる形態とすることができる。
【0098】
勿論、これらの実施形態で示したサブピクセルの数は単なる一例であり、1つ1つの画素を3個以上のサブピクセルで構成することも可能である。また、上記実施形態では単色の有機EL表示器を例に挙げたが、カラーの有機EL表示器に対しても本発明を適用することができる。ただし、カラーの有機EL表示器の場合、サブピクセルの数が非常に多くなるため、有機EL駆動回路の回路構成が複雑なものとなる。このため、単色とするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態における有機EL駆動回路の概略構成を示した回路図である。
【図2】図1に示した有機EL駆動回路のリセット前状態の作動を示した図である。
【図3】図1に示した有機EL駆動回路のリセット開始状態の作動を示した図である。
【図4】図1に示した有機EL駆動回路のリセット期間中の作動状態を示した図である。
【図5】図1に示した有機EL駆動回路のリセット解除状態の作動状態を示した図である。
【図6】図2〜図5の作動を行う場合における走査電極Row1、Row2、データ電極Col1、Col2およびデータ電極Col3、Col4の電圧波形を示したタイミングチャートである。
【図7】リセット前状態からリセット解除状態に至る一連のタイミングにおける走査電極Row1〜Row4およびデータ電極Col1〜Col4の電位と走査電極Row1〜Row4に流れる電流の関係を示したタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態の有機EL駆動回路における走査電極駆動回路2のみを示した図である。
【図9】本発明の第3実施形態の有機EL駆動回路における走査電極駆動回路2のみを示した図である。
【図10】本発明の第4実施形態の有機EL駆動回路における走査電極駆動回路2のみを示した図である。
【図11】本発明の第5実施形態に示す単色の有機EL表示器における有機ELパネルの数画素分の拡大図である。
【図12】本発明の第6実施形態に示す単色の有機EL表示器における有機ELパネルの数画素分の拡大図である。
【図13】本発明の第7実施形態の有機EL駆動回路の概略構成を示した図である。
【図14】他の実施形態で示す有機EL駆動回路の概略構成を示した図である。
【図15】本発明の第5実施形態に示す単色の有機EL表示器における有機ELパネルの数画素分の拡大図である。
【図16】従来の有機EL駆動回路のリセット前状態の作動を示した図である。
【図17】従来の有機EL駆動回路のリセット開始状態の作動を示した図である。
【図18】従来の有機EL駆動回路のリセット期間中の作動状態を示した図である。
【図19】従来の有機EL駆動回路のリセット解除状態の作動状態を示した図である。
【図20】図16〜図19の作動を行う場合における走査電極Row1、Row2、データ電極Col1、Col2およびデータ電極Col3、Col4の電圧波形を示したタイミングチャートである。
【図21】リセット前状態からリセット解除状態に至る一連のタイミングにおける走査電極Row1〜Row4およびデータ電極Col1〜Col4の電位と走査電極Row1〜Row4に流れる電流の関係を示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1…データ電極駆動回路、1a…電源、2…走査電極駆動回路、2a…電源、
3…制御回路、4、4a〜4d…電流制限抵抗、5…インダクタ、
1,1〜E4,4…有機EL素子、C1,1〜C4,4…寄生容量、CC1〜CC4…定電流源、
CS1〜CS4…データ電極選択スイッチ、Col1〜Col4…データ電極、
RS1〜RS4…走査電極選択スイッチ、Row1〜Row4…走査電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査電極(Row1〜Row4)それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極(Col1〜Col4)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)と、
前記複数の走査電極(Row1〜Row4)および前記複数のデータ電極(Col1〜Col4)への印加電圧を制御することで、前記複数本の走査線及び前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、該駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1、E4,4)を発光させる駆動部(1〜3)を備え、
前記駆動部(1〜3)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、前記走査期間中に前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に形成される寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機ELの駆動回路であって、
前記リセット期間中に、前記複数の走査電極(Row1〜Row4)を通じて、寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電する電流が流れる経路中に電流制限手段(4、4a〜4d、5)が備えられていることを特徴とする有機EL駆動回路。
【請求項2】
複数の走査電極(Row1〜Row4)それぞれに接続される複数の走査線と複数のデータ電極(Col1〜Col4)それぞれに接続される複数本のデータ線との各交点に、マトリクス状に配置された複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)と、
前記複数の走査電極(Row1〜Row4)および前記複数のデータ電極(Col1〜Col4)への印加電圧を制御することで、前記複数本の走査線及び前記複数本のデータ線を介して、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうちの選択されたものに対して駆動電圧を印加し、該駆動電圧が印加された有機EL素子(E1,1、E4,4)を発光させる駆動部(1〜3)を備え、
前記駆動部(1〜3)は、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)のうち選択されたものを発光させる走査期間とその次の走査期間との間に、前記走査期間中に前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)に形成される寄生容量(C1,1〜C4,4)に充電された電荷を放電するリセット期間を有する単純マトリクス方式の有機ELの駆動回路であって、
前記複数の走査電極(Row1〜Row4)から、寄生容量(C1,1〜C4,4)に所定の電圧(Vrow)を印加する充電電流の経路中に、電流制限手段(4、4a〜4d、5)が備えられていることを特徴とする有機EL駆動回路。
【請求項3】
前記駆動部(1〜3)は、前記複数の走査電極(Row1〜Row4)に対して印加する電圧の切替を行う走査電極選択スイッチ(RS1〜RS4)を備えた走査電極駆動回路(2)を有し、該走査電極駆動回路(2)中に前記電流制限手段(4、4a〜4d、5)が備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL駆動回路。
【請求項4】
前記走査電極駆動回路(2)における前記走査電極選択スイッチ(RS1〜RS4)はICに形成されており、該IC内部において前記電流制限手段(4、4a〜4d、5)が前記複数の走査電極(Row1〜Row4)それぞれに対して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の有機EL駆動回路。
【請求項5】
前記電流制限手段は、電流制限抵抗(4、4a〜4d)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の有機EL駆動回路。
【請求項6】
前記電流制限手段は、インダクタ(5)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の有機EL駆動回路。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の有機EL駆動回路が備えられ、前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)により構成される有機ELパネルにて表示を行う有機EL表示器であって、
前記有機ELパネルを構成する1つ1つの画素(10)は、複数のサブピクセル(10a〜10c)で構成されていると共に、該複数のサブピクセル(10a〜10c)のそれぞれが前記複数の有機EL素子(E1,1〜E4,4)の1つ1つによって構成されており、
前記有機ELパネルの周辺の明るさが明るいほど前記サブピクセル(10a〜10c)の総面積が大きくなるように、前記複数のサブピクセル(10a〜10c)が選択的に発光させられるように構成されていることを特徴とする有機EL表示器。
【請求項8】
前記複数のサブピクセル(10a〜10c)は、すべて異なる面積で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の有機EL表示器。
【請求項9】
請求項7または8に記載の有機EL表示器は、車両に搭載されるものであることを特徴とする車両用有機EL表示器。
【請求項10】
複数の画素(10)を有する有機ELパネルが備えられ、
該有機ELパネルを構成する1つ1つの画素(10)が複数のサブピクセル(10a〜10c)で構成されていると共に、該複数のサブピクセル(10a〜10c)のそれぞれが有機EL素子(E1,1〜E4,4)によって構成された有機EL表示器の駆動方法において、
前記有機ELパネルの周辺の明るさが明るいほど前記サブピクセル(10a〜10c)の総面積が大きくなるように、前記複数のサブピクセル(10a〜10c)を選択的に発光させることを特徴とする有機EL表示器の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−93729(P2007−93729A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279857(P2005−279857)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】