説明

有毒なフュームの放出が少なく、均一に染色された(dyed)難燃性ポリアクリレート繊維の製造プロセス、及びそれによって得られるアクリル繊維

有毒なフュームの放出が少なく、均一に染色された難燃性ポリアクリレート繊維の製造方法であって、アクリルニトリルのコポリマーを、有機顔料を含んだ溶液に溶解することと、この溶液を処理して、着色されたアクリル繊維を製造することと、この着色された繊維を、架橋、加水分解、酸性化及び中和処理に供することとを含んだ方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、有毒なフュームの発生が少なく、均一に染色された難燃性ポリアクリレート繊維の製造プロセスに関する。
【0002】
より具体的に述べると、本発明は、有毒なフュームの発生が少なく、均一に染色された難燃性ポリアクリレート繊維の製造プロセスと、それによって得られる繊維とに関する。
【0003】
コポリマーからの市販のアクリル繊維は、衣料品、家具、床敷などの伝統的な繊維分野において又は屋外用のオーニングの分野において使用されている。ホモポリマーからのアクリル繊維は、あまり普及していないが、コンクリートの補強、フュームの濾過などのために使用されている。
【0004】
また、知られているように、アクリル繊維を完全に変性(modify)させ、それを出発繊維とは化学的に大きく異なり且つ新たな特性を有した製品に転化させるアクリル繊維の後処理には、様々な種類がある。
【0005】
最もよく知られているタイプの後処理は、アクリル繊維を、CN基の熱環化の後に難燃性の酸化繊維に転化させるものか、又は、酸化に続くより高い温度での熱処理によって、高い力学抵抗及び耐熱性などの点で高性能な複合材中で使用される炭素繊維に転化させるものである。
【0006】
耐火性又は相当な量の水の吸収性などの新しく且つ興味深い特性を繊維に与えるための他のタイプのアクリル繊維の後処理が、研究され且つ使用されてきた。
【0007】
これら後者のタイプの処理としては、極めて激しい化学反応により及び普通でない条件下で、CN基をアミド基及びカルボキシル基へと転化させることが挙げられる。これらの処理形態は、扱い難く且つ高価なポリマーの製造に頼ることなく、所望の特性を有した製品を作り出すことができる。
【0008】
アクリル繊維の処理の順序は、以前から知られており、例えば、最初にヒドラジンを用い、その後、CN基のアルカリ加水分解と、続いての強酸による中和と、最後に、亜鉛塩、カルシウム塩、銅塩などによる処理とが続く。これら変性処理後、最終生成物は、40%を上回るL.O.I.(限界酸素指数)値を有する繊維であり、これは、溶融せず、フュームを放出しない。
【0009】
この一連の処理のあとの繊維によって示される特性は、例えば、火に曝される極限条件下での防護衣にとって、又は耐火性と有毒なフュームがないこととが必要な環境(飛行機、列車、客船など)における繊維製の室内装備品(furnishings)にとって、確実に、商業的に興味深いものである。
【0010】
しかしながら、これら実用的な特性にも拘らず、この種類の繊維は、市場における普及が非常に限られており、多層材料において防火障壁として使用されるべき不織布の製造に限られている。この低い商業的普及率の理由は、ピンクであるか、又は、染色した場合に非常に不規則な色を示すこの繊維の乏しい美観に見出され得て、先の不規則な色は、例えば衣料産業(作業着)又は室内装備品(シートカバー)において製造される、目に触れられる最終製品でのその使用を思い止まらせる。
【0011】
この染色の不規則さの理由は、後処理を原因とした不規則な化学組成及び染色サイト(dyeing site)にある。
【0012】
通常はスルホンタイプである強酸性の基のプレッシングコンスタンシー(pressing constancy)は、縞模様(striping)なしに均一な染色が得られるべき場合にこの繊維において保証されねばならならないものであり、これは、例えば、伝統的なアクリル繊維の製造業者に知られている。
【0013】
アクリル繊維の製造業者が受けるに違いない苦情の多くは、先の染色均一性に関するものである。
【0014】
染色段階における挙動のこの均一性を保証するために、繊維は、染色サイトのばらつきが5%を超えないものでなければならず、この量は、過硫酸−重硫酸タイプのレドックス触媒が使用される場合は、ポリマーの分子量の定常性によって保証され、又はAIBNアゾビスイソブチロニトリル)タイプの触媒が採用される場合は、MASS(メタリルスルホン酸ナトリウム)タイプのスルホン酸コモノマーの正確な投与量によって保証される。
【0015】
市販のアクリル繊維から開始してポリアクリレート繊維をもたらす一連の化学反応において、全てのCN基は、まず、分子間又は分子内架橋のためのこれら基の20乃至60%の範囲内にある一部分(an aliquot)のヒドラジンとの反応によって、続いて、残りのCN基のアミド基及びカルボキシル基へのアルカリ加水分解によって変性される。
【0016】
強酸、例えば硫酸による続いての中和は、アジド基及びアミド基の双方の4級化(quaterinizing)をもたらし、先の繊維を、予備金属化染料1:1(pre-metallized dyes 1:1)による染色に適したものとする。
【0017】
実際には、先の化学処理は、伝統的な染色装置において、繊維を穴あきバスケット内に置くことと、ヒドラジンとの反応、アルカリ加水分解、強酸による中和、予備金属化染料1:1による染色、酢酸亜鉛による塩化(salification)という順序で、この繊維に複数種の試薬を循環させることとにより、バッチ式で行われる。
【0018】
この伝統的なプロセスの主な欠点は、この処理後、得られる繊維が、化学組成について許容できないほどのばらつきを有し得ることである。
【0019】
第1の変動要素(variable)は、バスケット内部での繊維の不規則な浸透性によってもたらされ、結果として、変性CN基の均一でない分布が生じる。
【0020】
均一性を妨げる他の要素は、アルカリ加水分解段階中に生じる。この段階では、カルボキシル基の形成が、超吸収性ポリマーで起こるものに類似した、ゼラチン状になる繊維の莫大な膨潤をもたらす。この段階において、繊維は膨張する傾向にあるが、それはバスケット内部で妨げられるという事実によって阻止される。
【0021】
ゼラチン質の塊は、反応液体の循環を困難にし、これは、繊維の不規則な化学組成を更に強める。この段階中、実際には、ヒドラジンと反応しなかったCN基は、アルカリ加水分解によって、まずアミドになり、続いてカルボキシルになる。
【0022】
続いての段階は、例えば硫酸によるカルボキシル基の酸性化反応からなる。この作業によって、繊維は、そのゼラチン質の外見を失い、水によって膨潤していない通常の繊維に戻る。
【0023】
酸の他の作用は、アミド基及びアジド基を四級化させることであり、これは繊維の染色特性に関与する。続けて、カルボキシル基の一部は、例えば亜鉛などの金属イオンによって、部分的に塩化される。
【0024】
上記から、ポリアクリレート繊維の染色均一性を保証するのは難しいことが理解され得る。
【0025】
伝統的な基本染料によって染色されたアクリル繊維を前駆体として使用することは、想定される一連の化学処理にこれらが耐えることができないために、明らかに可能でない。
【0026】
ここで、本出願人は、繊維の化学組成を架橋ポリアクリレートへと変性するのに想定される化学処理によって変化しないままでいることができる選択された有機顔料により全体として(in mass)予め染色されているアクリル繊維を使用することによって、公知技術の欠点の全てを克服できることを見出している。
【0027】
特定の顔料の使用により、ポリアクリレート繊維における染色可能なサイトの低い濃度のせいで今まで可能でなかった濃い色のポリアクリレート繊維を得ることもできる。
【0028】
染色の問題なしに、先の反応が、耐火特性に加えて、機械的特性、靭性及び極限伸びなどのポリアクリレート繊維の他の基本的性質を特権として与える(privilege)ように行われ得るので、顔料により染色されたアクリル繊維の使用は、他の機会を与える。
【0029】
ポリアクリレート繊維の前駆体としての着色された(pigmented)繊維の使用は、3時間を超えて処理時間を短縮し、このプロセスの生産性を高める。
【0030】
それゆえに、本発明の対象は、有毒なフュームの放出が少なく、均一に染色された難燃性ポリアクリレート繊維の製造方法であって、
a.アクリロニトリルコポリマー、例えば、重量比が90/10乃至99/1の範囲内、例えば93/7であり且つ数平均分子量Mnが35,000乃至65,000原子単位の範囲内、例えば約50,000原子単位であるアクリロニトリル−ビニルアセテートを、溶媒、例えばジメチルアセトアミドに溶解させることと、
b.得られたポリマー溶液中に、所望される最終的な色に応じて、Orange 43(ペリノン)、Blue 60(インダントロン)、Blue 15:1(銅フタロシアニン)、Yellow 24(フラバントロン)、Yellow 109(テトラクロロイソインドリノン)、Red 149(ペリレン)、Green 36(フタロシアニン)、Green 7(フタロシアニン)、ブラック 7(カーボンブラック)などの種類の有機顔料を、単独で又は組み合わせて、最終的な総顔料濃度が0.5乃至3.5重量%の範囲内になるように分散させることと、
c.アクリルコポリマー/顔料混合物を処理して、着色されたアクリル繊維をステープル又はトウとして製造することと、
d.先の着色されたアクリル繊維を、ヒドラジン水和物の水溶液による架橋工程に供することと、
e.架橋された繊維を、アルカリ加水分解工程に供することと、
f.架橋された/加水分解された繊維を、強酸による処理に供することと、
g.最終的な繊維を、有機金属塩を用いて塩化することと
を含んだ方法に関する。
【0031】
本発明の対象であるプロセスの終わりに、37%を超えるL.O.I.(限界酸素指数)を有し、均一に染色されたポリアクリレート繊維が得られる。
【0032】
本発明によると、着色されたアクリル繊維は、ステープルにおいて生じるであろう長さのばらつきと、この処理の終わりでのトウにおける繊度(titre)の合糸とに留意して、ステープル又はトウの形態で使用され得る。
【0033】
詳細に述べると、93/7の比のアクリロニトリル/ビニルアセテートコポリマーの固形分が23乃至28重量%の範囲内、例えば25.5%にあり、所望量の上述の顔料が分散している溶液が、ギヤポンプにより、23.5cm3/分の体積流量で、各ホールが52ミクロンの径を有する1,000個のホールを備えた型へと供給される。この型は、50℃の温度にある1:1の比の水/ジメチルアセトアミド溶液を入れている凝固浴中に浸漬される。
【0034】
凝固したトウの紐が、先の凝固浴から、一対のロールにより、6.15m/分の速度で引き出される。
【0035】
この繊維は、溶媒を除去するために脱塩水で洗浄されるのと同時に、沸騰水を入れたタンクに通され、周辺速度(peripheral rate)が40m/分である第2対のロールにより、6.5:1の比に引き伸ばされる。
【0036】
引き伸ばしの後、繊維は、潤滑及び帯電防止特性を有した表面処理(finishing)混合物が連続的に供給されるタブ中に浸漬される。表面処理タンクの出口において、繊維のロープが、周辺速度が40m/分である一対のロールに別々の輪として集められ、蒸気によって160℃の温度まで加熱される。かくして得られた繊維ロープは、各フィラメントの繊度が1.5dtexであり、ボビンに集められる。
【0037】
上記手順に従って得られたボビンから、径が数メートルである様々な輪として綛が作られ、これらは、オートクレーブ内において、1.7barの相対圧力にある飽和蒸気によって処理される。繊維は、最初の長さと比較して30%の収縮を受け、各フィラメントの繊度は、2.0dtexとなる。
【0038】
所望の色に均一に染色され、オートクレーブ内で処理された繊維は、以下の特徴を有している。
繊度 2.0dtex
靭性 32.5CN/Tex
極限伸び 35%
固体顔料で染色されたアクリル繊維のために使用され得る色については、製品の例として、MontefibreのLeacril ODのカラーチャートに記載されたものが挙げられ得る。その中には、
Black N034−N039
Blue B069−B109−B112−B115
Red R035−R042−R089
Green V005−V006−V034
Brown M113−M074−M560
Yellow G028−G043−G033
がある。
【0039】
着色されたアクリル繊維が得られたら、それを難燃性とするために、それが処理され得る。本発明の対象であるプロセスのこの工程は、工程(d)から始まり、それに従うと、着色された繊維が、5乃至25%の範囲内、好ましくは7乃至20%の範囲内にある濃度(水の体積に対するヒドラジン水和物の重量)のヒドラジン水和物の水溶液によって架橋される。架橋は、大気圧か、それよりも僅かに高い圧力と、70乃至150℃の範囲内、好ましくは80乃至120℃の範囲内にある温度とで行われる。
【0040】
ポリアクリロニトリルホモポリマーのポリマー鎖に含まれるCN基の総数の20%を上回る、例えば、その25乃至60%の分子間及び/又は分子内架橋が起こるのに十分長い時間が経ったあと、先の繊維は、工程(e)として、アルカリ性水溶液、例えば、濃度(重量/体積)が1乃至8%、好ましくは3乃至6%であるソーダ(NaOH)及び/又は水酸化カリウムの溶液によって処理される。アルカリ性溶液による処理は、大気圧又はそれよりも僅かに高い圧力と、70乃至120℃の範囲内、好ましくは80乃至110℃の範囲内にある温度とで行われる。アルカリ性溶液による処理は、90乃至150分の範囲内、好ましくは100乃至130分の範囲内にある時間に亘って行われる。
【0041】
第3の難燃性化処理である工程(f)は、先の繊維を、水で希釈された強無機酸、例えば、硫酸、硝酸、リン酸又は塩酸で濡らすことを含んでいる。好ましい濃度(重量/体積)は、2乃至10%の範囲内、例えば3乃至8%の範囲内にある。先の繊維は、40乃至90分の範囲内にある時間、好ましくは50乃至70分の時間に亘って、前記酸と接触し続ける。この工程も、大気圧又はそれよりも僅かに高い圧力で行われるが、40乃至80℃の範囲内、好ましくは50乃至70℃の範囲内にある温度で行われる。
【0042】
最終的に、最後の難燃性化処理工程である工程(g)は、金属塩、好ましくは有機金属塩による、先の繊維に存在する酸性基の塩化を含んでいる。この処理は、1乃至8%の有機塩、好ましくは金属有機塩を含んだ水溶液を用いて行われる。この処理は、1乃至8%、好ましくは2乃至5%(重量/体積)の有機塩を含んだ水溶液を用いて、80乃至120℃の範囲内、好ましくは90乃至110℃の範囲内にある温度と、30乃至90分の範囲内、好ましくは45乃至70分の範囲内にある接触時間とで行われる。
【0043】
前記有機塩の例は、蟻酸亜鉛及び/又は酢酸亜鉛である。
【0044】
難燃性化処理の終わりに、先の繊維は、熱水で十分に洗浄され、遠心分離に供され、場合によっては、静電荷を取り除き且つ柔らかな感触を与えるために、表面処理剤(finishing product)で処理される。
【0045】
本発明及びその態様についてのよりよい理解のために、例示的及び非制限的な例を以下に示す。
【0046】

裁断機でステープルへと変形させられ得る着色されたアクリル繊維のトウが、上述の手順に従う工業設備において、所望の色を再現するために上述の顔料を別個に又は混合物として予め分散させることによって製造される。
【0047】
例証の目的で、上述した顔料が、架橋−加水分解−塩化処理の結果としての新たな化学組成が原因で未処理の繊維にもたらされるであろうピンク/オレンジ色の地を覆う(cover)ような濃度で、25.5%にあるアクリロニトリル/ビニルアセテートコポリマーのジメチルアセトアミド溶液中に分散される。
【0048】
例えば、化学処理によって生じるピンク色の地を覆うための、殆どが濃いものである様々な色の繊維のロットが、主たる顔料を表Iに示した濃度で用いることによって製造された。
【表1】

【0049】
フィラメントの繊度が2.0dtexであり且つトウの繊度が100ktexである着色された繊維からなる300kgのトウを、1,000リットルの穴あきバスケットの中に入れ、0.30kg/lの繊維の充填密度を達成するように湿潤とプレスとを同時に行う。
【0050】
このバスケットは、流量及び機能頻度(functioning frequency)がプログラミングされ得る循環ポンプと、反応液体用の加熱/冷却コイルとを備えた2,000リットルの反応タンク内に置かれる。
【0051】
このタンクは、水と、液相の濃度(重量/体積)が15%となるような量のヒドラジン水和物とによって満たされる。
【0052】
この溶液は105℃にされ、循環ポンプは5時間に亘って運転状態に置かれる。
【0053】
この反応の終わりに、反応したヒドラジン水和物溶液(1kgの繊維当たり0.30kgのヒドラジン水和物に相当する9.7%という濃度)が、この溶液の温度を約50℃にするために冷却用熱交換器を通して排出される。
【0054】
次に、ソーダ溶液が、液相の濃度(重量/体積)が5%となるような量で添加される。この溶液は、100℃まで加熱され、循環ポンプは120分間に亘って運転される。
【0055】
この反応の終わりに、6%(重量/体積)の硫酸溶液が添加されて、混合物は、60℃まで加熱され、溶液の循環によって60分間に亘って反応する。
【0056】
最後に、硫酸溶液が排出され、生成した硫酸アンモニウム及びヒドラジン硫酸塩を洗い流すために、混合物が、50℃の温度にある脱イオン水で3回洗浄される。127kgの酢酸亜鉛二水和物が、16.8リットルの氷酢酸と共に添加され、この溶液全体が、100℃まで加熱され、60分間に亘って循環され続ける。
【0057】
この反応の終わりに、先の溶液は、排出され且つ50℃にある水の循環により洗浄される。
【0058】
先の洗浄水は排出され、バスケットが、反応タンクから取り出され、そして、それは、過剰な水を除去すべく遠心分離機に移される。
【0059】
過剰であった殆どの液体を切った後、カチオン性の表面処理剤を最終的な繊維におけるこの製品の濃度が0.5%(重量/重量)を上回るような量で含んだ表面処理溶液が供給される。
【0060】
遠心分離後、繊維が引き出され、これがホットエアオーブンにおいて乾燥される。
【0061】
最終的な繊維の特徴を、以下の表IIに示す。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有毒なフュームの放出が少なく、均一に染色された難燃性ポリアクリレート繊維の製造方法であって、
a.アクリロニトリルコポリマーを溶媒に溶解させることと、
b.得られたポリマー溶液中に、少なくとも1種の有機顔料を分散させることと、
c.アクリルコポリマー/顔料混合物を処理して、着色されたアクリル繊維をステープル又はトウとして製造することと、
d.前記着色されたアクリル繊維を、ヒドラジン水和物の水溶液による架橋工程に供することと、
e.架橋された繊維をアルカリ加水分解工程に供することと、
f.架橋された/加水分解された繊維を、強酸による処理に供することと、
g.最終的な繊維を、有機金属塩を用いて塩化することと
を含んだ方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、工程(a)の前記溶媒は、ジメチルアセトアミドである方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法であって、前記アクリロニトリルコポリマーは、モノマー間の重量比が90/10乃至99/1の範囲内にあり且つ数平均分子量Mnが35,000乃至65,000の範囲内にあるアクリロニトリル/ビニルアセテートコポリマーである方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の方法であって、前記溶液中の前記アクリロニトリルコポリマーの濃度は、23乃至28重量%の範囲内にある方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の方法であって、前記有機顔料は、ペリノン、インダントロン、Cuフタロシアニン、フラバントロン、テトラクロロイソインドリノン、ペリレン、フタロシアニン、カーボンブラックから選択される方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の方法であって、前記有機顔料の最終的な総濃度は、重量で、0.5乃至3.5の範囲内にある方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項記載の方法であって、前記架橋工程(d)は、5乃至25%の範囲内にある濃度のヒドラジン水和物の水溶液を用いて行われる方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項記載の方法であって、前記架橋工程(d)は、70乃至150℃の範囲内にある温度で行われる方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項記載の方法であって、前記アルカリ加水分解工程(e)は、1乃至8%の範囲内にある濃度のアルカリ性水溶液を用いて行われる方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項記載の方法であって、前記アルカリ加水分解工程は、70乃至120℃の範囲内にある温度で行われる方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項記載の方法であって、前記酸による中和工程(f)は、水で希釈された2乃至10%の範囲内にある濃度の無機酸を用いて行われる方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項記載の方法であって、前記酸による中和工程は、40乃至80℃の範囲内にある温度で行われる方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項記載の方法であって、前記塩化工程(g)は、濃度が1乃至8%の範囲内にある有機亜鉛塩の水溶液を用いて行われる方法。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項記載の方法であって、前記塩化工程は、80乃至120℃の範囲内にある温度で行われる方法。
【請求項15】
有毒なフュームの放出が少なく且つ均一に染色された難燃性ポリアクリレート繊維であって、請求項1乃至14の何れか1項記載の方法を用いて得られる繊維。
【請求項16】
少なくとも請求項15記載の繊維を用いて作られる織布及び不織布。

【公表番号】特表2010−525180(P2010−525180A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503387(P2010−503387)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002875
【国際公開番号】WO2008/128660
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509289032)
【氏名又は名称原語表記】MONTEFIBRE S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Marco d’Aviano, 2, I−20131 MILANO, Italy
【Fターム(参考)】