説明

木材の材内水分測定方法

【課題】、非破壊的でしかも簡単、確実に、住宅用の梁や桁、柱材のような比較的断面の大きい木材の水分状態を内部水分と外部水分の傾斜まで感知し、密度を把握することが可能な方法を提供する。
【解決手段】材木に瞬間的な回転力を与え、そのときの加速度または角加速度を測定し、材ごとの測定値の相対的な差により材内水分布を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木材の材内水分の非破壊式測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木材は、一般に、原木(丸太)を角断面に製材し、それを乾燥し、モルダー、プレカットなどの仕上げ加工を行って製品とされる。木材は水分の含有度合いによって密度が異なり、したがって強度も異なってくるので、含水率がどの程度であるかは非常に重要なファクターである。
製材工程においては、含水率に応じて、柱や梁材に用いるか、板材に用いるかを選定し、乾燥工程後、再び含水率で仕分けし、仕上げ加工か再乾燥を行うか決められる。また、前記乾燥工程後に養生を行った後、含水率に応じて最終加工に移され、あるいは不合格品として再乾燥されることになる。
【0003】
木材の含水率は質量百分率で、一般に乾量基準で表わされる。
【0004】
【数1】

【0005】
ここで、U:含水率、M:水分を含んでいる木材の質量、Mo:水分を含まない木材の質量
この含水率を求める方法は、通常「全乾法」によるもので、「全乾法」は乾燥によって、式(数1)のMoを求める。JISz2101では、対象木材を100〜105℃の換気良好な炉(オ-ブン)中で恒量に達した状態をもってMoの値とすると規定しており、JASの木材含水率基準15%、20%等はこの値をもって定められている。
【0006】
また、含水率を求める化学測定法として化学的分析法がある。この方法は、溶剤とともに木材を熱し、抽出された水を定量するもので、一般的には下記の反応を利用した「K.Fischer法」が用いられる。SO2+I2+2H2O → 2HI+H2SO4
しかし、全乾法も化学的分析法も、サンプルを採取し、測定分析する必要があるので手間と時間がかかりすぎ、実際の木材工業の工場ライン現場では即効性とコストの面から採用が困難である。

【0007】
従来、木材の水分量を測定する間接的な方法(非破壊法)として、木材中の水分量に対する電気の変化を利用した次のような水分計が実用化されている。
1)直流および交流抵抗
原理は、直流や低周波電流に対する木材の比抵抗の対数が、内部水分と線形の関係になることを応用したもので、センサ−部分は針状やスタンプ状等である。
2)誘電率、マイクロ波
原理は、高周波やマイクロ波域における木材の誘電率あるいは誘電損失が、内部水分と線形の関係になることを応用したもので、センサ−部分は、携帯型では電極を押し付ける方法、インライン型の大きなものでは、誘電率型では電極で挟み込む方式、マイクロ波では比接触でマイクロ波を透過させる方式がある。
【0008】
しかし、直流および交流抵抗方式は、比抵抗が材温に影響される点、電流が電極センサ−間(木材部分)に流れるときの抵抗値が水分量に置換されるため、測定深度がせいぜい15mm程度と浅く、局地的になる点、30%以上の含水率は測定誤差が大きい点などの問題点がある。
誘電率は温度の影響は少ないが、木材実質の密度の影響を受けること、携帯型では測定可能深度が20mm程度であること、インライン上の挟み込み方式や透過型方式では、比較的内部水分も検知できるが、断面の平均値で現されてしまう問題がある。
【0009】
以上のように、水分計の欠点は、現在建築用木材の品質管理で要求されている測定深度に対して非常に不十分であることであり、また、誘電率等を応用したインライン型は内部水分も感知するが、平均的な水分量を表すにとどまることが問題である。
たとえば、人工乾燥の方法によっては、柱材断面内部の水分が極端に高く、表面部分は低い含水率の乾燥材が生産される。これは、確かにJAS基準の平均20%や15%以下をクリヤするのであるが、住宅として組み立てた後に、内部水分は生材状態であるため、重大な瑕疵が生じる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、非破壊的でしかも簡単、確実に、住宅用の梁や桁、柱材のような比較的断面の大きい木材の水分状態を内部水分と外部水分の傾斜まで感知し、密度を把握することが可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明は、材木に瞬間的な回転トルクを与え、そのときの加速度を測定し、加速度測定値の相対的な差により材内水分布を判定することを特徴としている。
また、材木に瞬間的な回転力を与え、そのときの加速度を測定し、加速度測定値から慣性モーメントを求め、試験体が均質である場合の慣性モーメントとの比により材内水分布を判定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、木材の転がりの加速度を測定するので、住宅用の梁や桁、柱材として用いられるような断面の大きい木材の材内水分分布を、比較的簡単にしかも確実に把握することができる。
木材の水分分布は、木材の種類が同じでも一様ではなく固体差が大きいが、加速度測定値の相対的な値の差、あるいは慣性モーメントと試験体が均質である場合の慣性モーメントとの比により内部水分と外部水分の傾斜まで容易に感知することが可能であり、製材ライン上で製材品の含水率チェックによる乾燥合否の判定を的確に行え、また、丸太の仕分けに適用することにより板用と柱用の選別を的確に行なえ、乾燥工程の効率を上げることができ、乾燥度合いのチェックによる乾燥材の仕分けも的確に行なえるなどのすぐれた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
加速度の測定手段が、加速度センサまたは角加速度センサである。
【実施例1】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明すると、 図1と図2は本発明による木材の材内水分測定方法の概要を示しており、1は斜面100を有する測定用台であり、斜面100と対峙する関係位置に支持体2が配されており、斜面100と支持体2の間に通路が形成されている。
3は材内水分測定対象の試験体であり、通常の場合「丸太」である。試験体3は測定用台1の最上部に位置され、図示しないストッパで留められ、ストッパを外すことによって前記通路間を転動される。
4は前記支持体2と斜面100に配置され、試験体の瞬間的な移動速度を測ることにより材内水分を測定するための加速度センサである。
【0015】
前記加速度センサ4は、試験体3を上下から挟んで一組(光発信側と受信側)をなし、それぞれ対となる4組41‐41´,42‐42´,43‐43´,44‐44´が用いられており、また、左右方向において、センサ41と42,センサ43と44は短い距離をもって隣接している。
物体を転がすと、センサ41−41´と42−42´は距離が決まっているので、通過する時間で速度が算出され、さらに転がりセンサ43−43´と44−44´の区間でも速度が算出される。
【0016】
すなわち、センサからは光が発せられていて,試験体3がセンサ間を通過すると光が遮られ,センサが反応し、一組の速度センサとそれに隣接する一組の速度センサを用いて試験体が2点間を通過するための時間を測定し,予め設定してある隣接センサ間距離から通過速度を計算する。
このようにして2箇所の試験体速度を得るが、センサ41−41´,42−42´から得られる速度をv0,センサ43−43´,44−44´から得られる速度をvとし,センサ41−41´と43−43´の距離(またはセンサ42−42´と44−44´の距離)をsとすると,加速度は次式(数2) より得られる。
【0017】
【数2】

【0018】
こうして得られた加速度データは、前記加速度センサと電気的に接続されたコンピュータPCの処理プロセスにより処理される。
すなわち、式 (数2)による加速度を次式(数3)
【0019】
【数3】

【0020】
に代入することによって慣性モーメントIを計算するのである。
ここで,Mは試験体質量,gは重力加速度、αは斜面の傾斜角度,Rは試験体の直径である。
また,試験体が均質であるとした場合の慣性モーメントI´ を次式(数4)より計算する。
【0021】
【数4】

【0022】
そして,慣性モーメントIとI´の比を求めるのであり、I/I´が1より大きい場合は、当該試験体3の断面における内側よりも外側が重いことを示し,I/I´が1より小さい場合は、試験体3の断面における外側よりも内側が重いことを示し,比がちょうど1になるときは均質を示すことになる。
【0023】
上記の点を確認すべく、本発明者らは試験体として樹脂試験体を用いて予備実験を行なった。樹脂試験体の内部構成は、内側が重いものは、 中心から2r/3(r: 半径)までが比重1.8で,2r/3からrまでが比重0.9であり、比重(密度)1.3の均質試験体と比較した。
樹脂試験体の内部構成で外側が重いものは、中心から2r/3までが比重0.9で,2r/3からrまでが比重1.8であり、これは比重(密度)1.4の均質試験体と比較した。
【0024】
樹脂試験体の外側が重いもの、均質なもの、内側が重いものの試験結果は計算値と3〜5%の誤差であった。図3は試験結果を示しており、縦軸の値が1のところは、計算上の直径や長さが同一で、同密度(均質)の場合の慣性モーメント比である。したがって、理論的には、比重(密度)1.3と1.4の均質試験体の値は1になるはずであるが、手作業による転がし方による誤差が生じている。
しかし、比重(密度)1.3で内側の比重(密度)が重い場合、すなわち回転しにくい場合は、図の青丸のように1よりも小さい値になり。比重(密度)1.4で外側の比重(密度)が重い場合、すなわち回転しやすい場合は、図の緑丸のように1よりも大きい値になっている。
これらの結果から、加速度やそれに伴う慣性モ−メントを測定することによって、ある材料の外側が重いのか、内側が重いのかを推定できることがわかった。
【0025】
以上の結果に基づき、実際の長さ20cm、直径20cmに加工したスギ小丸太を用いて測定した。実際の丸太は内部比重(密度)が均質ではないため、円を6等分したそれぞれの位置からそれぞれ5回測定して平均値を求めた。その結果を示すと図4のとおりであり、生材状態において、通常は赤心材では外側がより重く、一方、黒心材では内側がより重くなる。初期状態において、慣性モーメントの比は、赤心材では1より大きくなり、黒心材の場合は1より小さくなった。これは、樹脂で試験した結果から仮定したことが成り立ったことを示している。
【0026】
その後、試験体を20℃恒温室内に放置して乾燥させていった。初期状態で慣性モ−メント比が1よりも大きい値の試験体(赤丸、赤白抜き丸)の場合、木材は外側から水分が抜けていくので、内側が相対的に重くなる結果、比の値は次第に減少して1に近づいた。途中、慣性モーメント比の値が1を下回ることがあったが、これは中心部の残留水分の影響で内部が相対的に重くなり、その程度が大きかったためであると考えられる。最終的には、水分が抜けて、木材実質の比重(密度)の影響が出て、再び慣性モ−メント比は1を超えた。
一方、当初から内側が重い試験体(黒丸)は、内部水分が高含水率のため、含水率の低下が鈍く、終始、慣性モ−メント比が1以下の値で推移した。
乾燥するに従って密度分布が均質になると仮定すれば、慣性モ−メントの比の値は1に近付き,かつばらつきは小さくなると考えられ、「赤心(軽)赤白抜き丸」はこれによくあてはまった。
【0027】
以上のことから、丸太や製材品に加速度センサまたは角加速度センサ−を取り付けて一瞬の一定回転力を与えたときの 加速度、角加速度値から、材内水分を含んだ比重(密度)を推定することが可能である。また、木材の回転に伴う加速度やそれに伴う慣性モ−メントを測定することで、丸太や角材の内部の重量分布の推定が可能であることがわかる。そして、質量を同時に測定することで、丸太の場合であったら、たとえば、丸太の重量に左右されずに内外の比重(密度)差が推定でき、水分の状態も推定可能である。
また、柱材や梁材のような四角い製材品でも物体の回転体としてとらえ、特に乾燥後の内部残留水分を検知することが可能である。
【0028】
本発明の応用について説明すると、対象の木材に瞬間的なトルクを与え、当該木材の回転に伴う加速度やそれに伴う慣性モ−メントを測定する操作を、所定の時間ごとに実施することにより、当該木材における乾燥に伴う断面含水率分布(内部水分と外部水分の傾斜)の時間的変化を知ることができる。
また、各別の木材にそれぞれ瞬間的なトルクを与え、木材の回転に伴う加速度やそれに伴う慣性モ−メントを測定する操作を行なうことにより、それぞれの木材の断面含水率分布(内部水分と外部水分の傾斜)を把握することができる。
【0029】
たとえば、スギ材は材内水分が多いものと少ないものがあり、いま、スギ丸太の水分分布を場合分けすると、図5(a)〜(d)のようになる。パターンをA〜Dとすると、Aは、外部水分:少、内部水分:少、Bは外部水分:多、内部水分:少、Cは外部水分:少、内部水分:多、Dは外部水分:多、内部水分:多であり、こうした4種類は全体の重さを測定しただけでは、判別不可能であり、このような断面の大きなものに対する電気的原理の水分計も存在しない。
本発明は、A〜Dの差を加速度センサで感知するものであり、製材工程前に断面含水率分布を選別し、上記例でいえばAとBを主に柱や梁材に、CとDを主に板材とすれば、次の乾燥工程の効率を上げることができる。
【0030】
詳しく述べると、前記A〜Dの断面の密度(高、低)を調整して転がそうとすると、図6(a)〜(d)のようになる。すなわち、Aは比較的小さな力で回り始めるが、回転加速度は一番小さい。BはAよりも大きな力で回り始め、回転加速度は比較的付きやすい。CはAよりも大きな力で回る。ただし、回転の加速度は内部の重みがカウンターになりつきにくい。Dは一番大きな力で回り始め、回転加速度は一番大きい。
【0031】
そこで、図7のように同じ位置から転がせば、D>B>C>Aの順で早く転がる。すなわち、一定の回転力を与えたときに加速度が異なるのである。本発明はかかる知見から、含水率分布による加速度の違いをセンサで読み取ることにしたものであり、図8のように加速度計4を配し、丸太3に一定の回転力(N/m)を与えれば、内部の重量分布(水分分布)によって加速度の値が変わり、この例では加速度D>加速度Aとなる。このことから、加速度計の数値で丸太内の密度(水分)分布が推定可能となるのである。
【0032】
本発明の材木の回転加速度を測定する手段としては、加速度センサ4と角加速度センサ4´を用いることができる。
図10は加速度センサ4を用いた例を示している。加速度センサは、直線上の2点を移動するときの加速度を測定するもので、加速度センサが検出する物理量は材木の進行方向に対する接線の瞬間的な加速度値であり、このとき、進行方向と左右の直角方向の加速度はほぼゼロ、同じく、進行方向と垂直の直角方向も、ほぼゼロになる。一定の回転力を与えたときに、丸太の重量や水分分布の状態に関係して丸太が回りやすかったり、あるいは回りにくかったりする現象から、すなわち、一定の回転力を与えたときの接線の瞬間的な加速度の変化を検出するのである。
【0033】
加速度センサ4は接線の加速度を測定するので、図10(c)のように、材木3の長手方向両端をチャック8,8で掴み、材木3の表面に加速度センサ4を機械的に取り付け、一定のチャック8,8にも設けたアクチュエータで材木3に一定の回転を与え、加速度値を読み込むのである。
図11は加速度センサ4の取り付け方法を示しており、(a)は正角材の場合、(b)は梁や桁など角材の場合であり、いずれの場合においても、加速度センサ4は材断面を中心とした円上の接線に取り付けることが肝要である。
前記加速度センサ4の取り付ける数は、図12(a)(b)のように、少なくとも材の中央に1箇所、好適には材の長さに応じて50cmごとに1箇所配設する。そして、測定値が基準値よりも大きくずれたら不合格と判定するようにする。
【0034】
図13と図14は角加速度センサ4´を用いた例を示している。角加速度センサ4´は、物体の回転運動に対する物理量を測定するもので、一定の回転力を与えたとき、毎秒あたりどれだけ回り方が早くなるか、あるいは遅くなるかという量を検出する。
本発明においては、角加速度センサ4´によって単位時間当たりの角速度の変化、すなわち、転がした場合の、瞬間的な材木の回転速度の変化を測定し、材木の重量や水分分布の状態に関係してこの角加速度が小さいほど慣性モ−メント(回転物体の回転のしにくさをあらわす量)が大きくなることを応用して、水分分布の状態を把握するのである。
【0035】
角加速度センサ−4´を取り付ける場合は、丸太の軸の中心に取り付けるものであり、吊り上げチャック8,8にセンサを組み込み、一定の回転を与えて角加速度値を読み込むものである。
図14は角加速度センサ4´の取り付け方法を示しており、(a)は正角材の場合、(b)は梁や桁など角材の場合であり、いずれの場合においても、加速度センサ4´は材断面の回転時の中心に取り付けることが肝要である。
【0036】
本発明において、加速度センサによる材木の回転加速度を測定は、所定長さの試験体を採取して行ってもよいが、丸太製材ラインでも行える。図9はこの状態を示しており、通常の場合、皮を剥かれた丸太3は、製材ラインに達するまでにコンベア6等で登はんしていき、製材直前において丸太はアーム等の手段7により吊り上げられて最適製材木取りのために映像でスキャンされる。
この製材デッキに吊り上げるときに、加速度センサまたは角加速度センサ4を取り付け、丸太3に一定の力回転力を与え、丸太の重さや材外内部の水分状態によって加速度の値が異なることを測定するのである。測定所要時間は数秒であり、それにより前記図5(a)〜(d)のようなパターンのいずれかであるかあるいはさらに断面中の水分の傾斜度が検出されるので、板用、柱用の適切な分別を行なえ、乾燥効率を向上することができる。
【0037】
なお、本発明は、丸太の状態での含水分布の測定に好適であるが、梁や桁、柱材のような比較的断面の大きい製材品の水分状態の測定に用いることもできる。
すなわち、柱材として日本農林規格の最高品質表示D15ならびにSD15は、断面の平均値が15%以下であることを表示しているが、内部分布は無視されている。これは重量では内部水分の分布はわからないし、水分計では表面から20mm程度しか感知しないからであるが、実際上は、同じ平均含水率でも、際内の水分分布は異なっている。
【0038】
本発明を適用し、製材品に一定のトルクを与えれば、内部の水分分布によって加速度の値が変わるので、加速度センサによる測定で内部水分と外部水分の傾斜を感知することが可能である。
かかる加速度測定による含水率チェックを乾燥工程後の養生段階で行なうならば、含水率傾斜の少ないもの、内部含水率が高いものを瞬時に判定できるので、前者を合格品として選別して最終加工に移し、後者を不合格品として、再乾燥あるいは養生に移行することができ、品質の優れた信頼性の高い製材品を市場に供給することができる。
【0039】
また,本発明は、乾燥製材品の内部残留水分検知に適用すると好都合である。現状では、乾燥製材品の最終寸法決め工程の前に、ライン上で、乾燥製材品の測定は水分計による水分測定と、加圧による強度測定が行なわれていたが、本発明は、水分測定の次に、加速度測定による内部残留水分検知を行い、設定した一定基準に入らない場合は不合格品とし、再乾燥工程を行ない、設定した一定基準に入ったものは、強度の測定後、合格品として製品化するのである。これにより、品質の優良な製材品となし得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による木材の材内水分測定方法の概要を示す斜視図である。
【図2】本発明方法の側面図である。
【図3】樹脂を用いて実験したときの試料の比重と慣性モーメント比の関係を示す線図である。
【図4】本発明を適用して測定したスギ丸太の乾燥時間と慣性モーメント比の関係を示す線図である。
【図5】(a)〜(d)はスギ丸太の水分分布パターンを示す断面図である。
【図6】(a)〜(d)は図5の各パターンの断面密度を示す説明図である。
【図7】図5の各パターンの加速度を模式的に示す説明図である。
【図8】(a)(b)は図5におけるパターンAとDの加速度の関係を示す説明図である。
【図9】本発明を製材ラインに適用した例を示す説明図である。
【図10】(a)は加速度センサの取り付け状態の斜視図、(b)は加速度発生状態の斜視図、(c)は実際の測定装置の側面図である。
【図11】(a)は正角材へのセンサの取り付け位置を示す断面図、(b)は同じく梁や桁などの角材へのセンサの取り付け位置を示す断面図である。
【図12】(a)(b)は加速度センサの好適配置例を示す側面図である。
【図13】(a)は角加速度センサの取り付け状態の斜視図、(b)は角加速度発生状態の斜視図、(c)は実際の測定装置の側面図である。
【図14】(a)は正角材への角加速度センサの取り付け位置を示す断面図、(b)は同じく梁や桁などの角材への角加速度センサの取り付け位置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
3 木材(丸太)
4 加速度センサ
4´ 角加速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材木に瞬間的な回転力を与え、そのときの加速度を測定し、加速度測定値の相対的な差により材内水分布を判定することを特徴とする木材の材内水分測定方法。
【請求項2】
材木に瞬間的な回転力を与え、そのときの加速度を測定し、この加速度測定値から慣性モーメントを求め、試験体が均質である場合の慣性モーメントとの比により材内水分布を判定することを特徴とする木材の材内水分測定方法。
【請求項3】
加速度の測定手段が加速度センサまたは角加速度センサのいずれかである請求項1または2に記載の木材の材内水分測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−270874(P2009−270874A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120192(P2008−120192)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(501186173)独立行政法人森林総合研究所 (91)
【出願人】(592015754)株式会社ヒロタ (2)
【Fターム(参考)】