説明

木材へのネジ形成方法と、ネジ付き木材と、木材の接合構造

【課題】 金属製の接合治具を使用せずに木材同士を直接接合できるようにすること。
【解決手段】 木材の軸の外周面又は木材の穴の内周面にNC加工機に設定された加工条件で動作するネジ加工刃物の刃を当て、軸の外周面又は穴の内周面にネジを形成するようにした。ネジ加工刃物には軸の外周面へのネジ加工と穴の内周面へのネジ加工に同じネジ加工刃物を使用することができる。軸の外周面又は穴の内周面にネジを形成し、軸の外周面根元部分にはネジ無しの嵌入部を、穴の入口側にはネジ無しの嵌合凹部を設けることができる。木材の雄ネジ軸を木材の雌ネジ穴にネジ込んで接合し、軸の外周面根元部分のネジ無しの嵌入部を穴の入口側のネジ無しの嵌合凹部まで嵌合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は木材の軸や臍(以下まとめて「軸」という。)の外周面、又は木材の穴の内周面へのネジ形成方法と、木材の軸外周面に雄ネジが又は穴内周面に雌ネジが形成されたネジ付き木材と、雄ネジ軸を供えた木材と雌ネジ穴を備えた木材の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二つの木材同士を接合するには、金属製のネジ治具やダボ(木材の穴に差し込んで接着材で固定する軸)を用いて行うのが一般的であった。この種のネジ治具の一例として特許文献1の発明がある。
【0003】
特許文献1のネジ治具は、接合する一方の木材に金属製の雌ネジ穴治具を埋め込み、他方の木材に金属製の雄ネジ軸を差込み、その雌ネジ穴治具に雄ネジ軸をねじ込んで両木材を接合するものである(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−71339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術には以下のような課題があった。
(1)前記特許文献1では一方の木材に金属製の雌ネジ穴治具を埋め込み、他方の木材に金属製の雄ネジ軸を差込む必要があるため、その作業が面倒であり、コスト高になっていた。
(2)木材とそれに埋め込んだ金属製の雌ネジ穴治具との間、木材とそれに埋め込んだ金属製の雄ネジ軸との間に経年変化により隙間でできてがたつきが発生し易かった。
(3)ダボを使用する場合は接着剤が必要であるため接合が面倒であり、ネジ込み式の接合に比して接合強度も弱かった。
【0006】
本願発明の課題は前記のような金属製のネジ治具を使用せずに木材同士を直接接合できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の木材へのネジ形成方法は、請求項1記載のように、木材の軸の外周面又は木材の穴の内周面に、NC加工機に設定された加工条件で動作(回転、公転、昇降、横移動等)するネジ加工刃物の刃を当てて、前記軸の外周面に雄ネジを、穴の内周面に雌ネジを形成する方法である。請求項2記載のようにネジ加工刃物には軸外周面へのネジ加工と穴内周面へのネジ加工に同じネジ加工刃物を使用することができる。前記木材の軸や穴はネジ形成前の工程で形成したものでもよく、予め形成しておいたものでもよい。
【0008】
本願発明のネジ付き木材は、請求項3記載のように木材の軸の外周面又は木材の穴の内周面に、前記ネジ形成方法によりネジが形成されたネジ軸又はネジ穴を備えたものである。この場合、請求項4記載のようにネジ軸の根元側にネジの形成されていない嵌入部を備えたものとすることができ、請求項5記載のようにネジ穴の入口側にネジ形成されておらず、前記ネジ軸の嵌入部が嵌入可能な嵌合凹部を備えたものとすることもできる。
【0009】
本願発明の木材の接合構造は請求項6記載のように、前記木材の雄ネジ軸を前記木材の雌ネジ穴にねじ込んで、両木材を接合したものである。この場合、請求項7記載のように前記雄ネジ軸の嵌入部を雌ネジ穴の嵌合凹部に嵌入させて両木材を接合することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の木材へのネジ形成方法には次のような効果がある。
(1)ネジ加工刃物をNC加工機に設定された加工条件で動作させてネジ形成するので、木材の軸、穴を所定位置にセットすれば、それら軸の外周面、穴の内周面にネジが自動的に形成される。
(2)ネジ加工刃物がNC加工機に設定された加工条件どおりに稼動するので、寸法精度の高いネジを形成することができる。
(3)雄ネジと雌ネジを同じネジ加工刃物で形成することができるため、雄ネジ形成用と雌ネジ形成用のネジ加工刃物を別々に用意する必要がなくコストを抑えることができる。また、ネジ穴へのネジ軸のネジ込みが密になり、がたつきが発生しにくい。
(4)NC加工機に設定するNCプログラムの加工条件、或いはNC加工機に入力する加工条件(数値)を変えることにより、所望とするネジ山の高さ、ネジ溝の深さ、ネジ数、ネジピッチのネジを自在に形成することができる。
(5)本願発明ではネジ加工刃物をNC加工機により回転させるので、ネジ加工刃物として先端側から根元側までの刃溝の深さが均一であるものを使用することができ、穴底の直近まで均一深さのネジを形成することができる。仮に手作業でネジ加工刃物を回転させてネジを形成するとすれば、回転力に限度があるため、ネジ加工刃物としては先端側の刃溝が浅く根元側に向けて徐々に刃溝が深くなるタイプのネジ加工刃物を使用してネジ山を深くしなければならず、穴底の直近まで均一深さのネジを形成することは困難である。
【0011】
本願発明のネジ付き木材には次のような効果がある。
(1)木材の軸、穴自体がネジを備えているので、従来のように木材に金属製のネジ軸や金属製のネジ穴パイプを差し込んで固定する面倒がない。また、金属製のネジ軸や金属製のネジ穴パイプがないためコストも削減される。
(2)木材に金属製の雌ネジ穴パイプを埋め込んだり、金属製の雄ネジ軸を差込んだりする場合のように、木材とそれら雌ネジ穴パイプ、雄ネジ軸の間にがたつきが発生しない。
(3)木材の軸の外周面根元部分にネジの形成されていない嵌入部が形成され、ネジ穴の入口側に嵌合凹部が形成されているので、前記嵌入部と嵌合凹部が嵌合することにより木材同士の接合が安定する。
(4)ネジ軸の根元側にネジの無い嵌入部が有り、ネジ穴の入口側にネジの無い嵌合凹部が有るため、ネジ穴にネジ軸の根元側までねじ込めば、両木材の嵌合が確実になり、安定する。
【0012】
本願発明のネジ付き木材の接合構造には次のような効果がある。
(1)木製ネジを備えた木材同士の接合であるため、ネジ同士がなじみ易く、接合が安定する。
(2)木材に金属材が埋め込まれていないので、経年変化により錆びや腐食が発生せず、それらが原因で木材が腐食することがない。
(3)ネジ軸の根元側のネジの無い嵌入部がネジ穴の入口側のネジの無い嵌合凹部までねじ込まれているので、両木材の嵌合が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(ネジ形成方法の実施形態1)
本願発明のネジ形成方法の実施形態の一例を図1〜図5に基づいて説明する。この実施形態は角棒状の木材1の一端側に軸加工刃物2により丸棒状の軸3を前加工し(図1(b)、(c))、その軸3に図4又は図5に示すようなビット(ネジ加工刃物)4を用いて雄ネジ5(図2)を形成する場合の例である。
【0014】
本願発明では、前記NC加工機に、汎用のもの或いは新規なものを使用することができる。いずれのNC加工機であっても、トリマーやルータービット等(これらをまとめて「加工刃物」という)を装着可能であり、加工用途に応じて加工刃物を自動的に交換することが可能である。また、入力されたNCプログラムや入力(設定)された数値に基づいて加工刃物が回転(自転)し、X軸(横方向)、Y軸(前後方向)、Z軸(縦方向)、斜め方向といったあらゆる方向への移動し、ネジを形成する軸の外周面やネジを形成する穴の内周面に沿って公転したりすることができる。また、加工刃物の回転速度の増減調節、刃物の位置確認、送り量、送り速度といった各種動作の数値制御が可能なものである。
【0015】
本願発明では用途に応じて各種形状、構造の加工刃物を使用することができる。角型の木材1の先端部14に丸棒状の軸3(図1(c))を形成するには図1(a)に示すような軸加工刃物2を使用し、形成された軸3の外周面に雄ネジ5(図2(b)(c))を形成するには図4(a)(b)に示すような一段のネジ加工刃物6とか、図5(a)(b)に示すような多段のネジ加工刃物7を使用することができる。図1(a)の軸加工刃物2は刃物軸20の先の刃台座21の外周面に縦長の刃22が形成されたストレートタイプのものである。図4(a)(b)の一段のネジ加工刃物6は刃物軸24の先の刃台座25の外周に刃26が2枚形成されたものであり、図5(a)(b)の多段のネジ加工刃物7は刃物軸27の先の刃台座28の外周に刃29が多段に形成されたものである。多段のネジ加工刃物7はその刃間ピッチP(図5(a))を用途に合せて設定することができる。いずれの場合も図5(a)のように刃先の断面形状が略台形のものを使用するのが望ましい。台形にすることにより、それにより形成される角棒状の木材1に形成されるネジ溝の底(谷)が台形になって強度が向上し、ネジの欠損・破損等を防止することができる。
【0016】
(軸外周面へのネジ形成方法1)
NC加工機を使用して図1(a)(b)に示す角棒状の木材1に丸棒状の軸3(図1(c))を形成し、その外周に雄ネジ5(図2(b)(c))を形成するには次のようにする。
1.図1(a)のように角棒状の木材1をテーブル(台座)10に固定する。固定はNC加工機の汎用クランプで行なうことができる。木材1の先端部14は台座10の上面より上方に突出させる。
2.図1(a)に示すストレートタイプの軸加工刃物2をNC加工機に装備し、その軸加工刃物2を図1(b)の矢印X方向(時計回り方向)に回転(自転)させながら木材1の先端部14の外周面に接触させると共に先端部14の外周面に沿って図1(b)の矢印Yの方向に回転(公転)させることにより先端部14を切削して丸棒状の軸3(図1(c))を形成する。軸加工刃物2の自転及び公転はNCプログラムで設定された加工条件で回転する。軸3の形状、直径は用途に合せてその太さ、長さ等を選定することができる。
3.前記軸3の形成が終了するとNC加工機に装着されている軸加工刃物2が図4(a)(b)に示す一段のネジ加工刃物6に自動的に交換される。
4.前記一段のネジ加工刃物6はNC加工機に設定された加工条件で、図2(a)の矢印Xの方向に回転(自転)しながらその刃先が軸3の外周面に接触しながら外周面に沿って図2(a)の矢印Yの方向に1回転(公転)し、1公転中に1ピッチずつ軸3の根元(角棒状の木材1と丸棒状の軸3の連結部分)側に降下して軸3の外周面に右ネジの雄ネジ5(図2(b))が形成される。この場合、図2(c)のように軸3の根元直近部分にはネジを形成せずにネジ無しの嵌入部11を残すことができる。
5.雄ネジ5の形成が終了したら一段のネジ加工刃物6が横移動して軸3の外周面から離れ、その後に引き上げられて加工開始前の元の位置に戻る。
【0017】
(軸外周面へのネジ形成方法2)
本願発明では軸3の外周面への雄ネジ5の形成に、図5(a)(b)に示す多段のネジ加工刃物7を使用することもできる。この場合は多段のネジ加工刃物7をNC加工機に設定された加工条件で図2(a)の矢印Xの方向に回転(自転)し、図1(c)の軸3の外周面に接触しながら外周面に沿って図2(a)の矢印Yの方向に1回転(公転)して軸3の外周面に一度に多段(刃数)の右ネジを形成する。この場合、多段のネジ加工刃物7が1公転する間に1ピッチ分だけ降下して右雄ネジ5が形成される。この場合も、軸3の根元直近部分にはネジを形成せずにネジ無しの嵌入部11(図2(b)(c))を残すことができる。右雄ネジ5の形成が終了したら多段のネジ加工刃物7が横移動して軸3の外周面から離れ、その後に引き上げられて加工開始前の元の位置に戻る。
【0018】
(軸外周面へのネジ形成方法3)
前記軸外周面へのネジ形成方法1及び2は軸3に右ネジを形成する場合であるが、本願発明ではネジ加工刃物4を軸3の外周面に沿って右方向に回転(右公転:図2(a)の矢印Yの方向に回転。この段落において同じ。)させながら軸3の根元側から先端側に上昇させることにより左ネジを形成することもできる。一段のネジ加工刃物6を使用する場合それを軸3の外周面に沿って右公転させながら軸3の根本側から先端側に上昇させる。この場合、1回右公転する間にネジ形成刃物6を1ピッチずつ上昇させることにより左ネジを形成することができる。多段のネジ加工刃物7を使用する場合はそれを軸3の外周面に沿って右公転させながら軸3の根本側から先端側に1ピッチ分だけ上昇させることにより、左ネジを形成することができる。
【0019】
前記いずれのネジ形成方法でも、雄ネジ5のネジ山のピッチ間隔、ネジ山の角度、ネジ山の高さ、溝の深さ等はNCプログラムの設計値やNC加工機へ入力された設定数値により決定される。前記木材1の軸3はネジ形成とは別に予め前工程で成形しておくこともできる。
【0020】
(ネジ形成方法の実施形態2)
本願発明のネジ形成方法の実施形態の一例を図3〜図5に基づいて説明する。この実施形態は平板状の木材1に穴加工刃物12により略円柱状の穴8を形成し、その穴8の内周面にネジ加工刃物4(図4又は図5)を用いて雌ネジ9を形成する場合の例である。本実施形態では実施形態1と同様のNC加工機及びネジ加工刃物4(図4又は図5)を使用することができる。この場合も刃先の断面形状が図5(a)のように略台形のものを使用すれば、穴8の内周面に形成される雌ネジ9のネジ溝の底(谷)の強度が確保され、ネジの欠損・破損等が防止される。
【0021】
(穴内周面へのネジ形成方法1)
図3(a)に示す平板状の木材1に丸穴(穴8)を形成し、その内周面に雌ネジ9を形成するには次のようにする。
1.図3(a)に示すように加工する木材1を台座10に固定する。
2.前記木材1にNC加工機に設定された加工条件で回転する穴加工刃物12を降下させて図3(b)のように、入口側にはネジ無しの嵌合凹部13を形成し、その後でその嵌合凹部13の内側に嵌合凹部13より径の小さな穴8をあける。ネジ無しの嵌合凹部13は穴8をあけたあとに形成することもできる。穴加工刃物12としては図1の軸加工刃物2と同じもの或いは異なるものを使用することができる。穴8の径、深さ等は用途に合せて選定する。嵌合凹部13は前記軸3の外周面に形成された嵌入部11が嵌合可能な内径にする。
3.前記穴加工が終了したら、NC加工機に装着されている穴加工刃物12がネジ加工刃物4に自動的に交換される。ネジ加工刃物4としては例えば図4(a)(b)に示す一段のネジ加工刃物6や、図5(a)(b)に示す多段のネジ加工刃物7を使用することができる。一段のネジ加工刃物6を使用する場合はそれをNC加工機に設定された条件で図3(c)の矢印Xの方向(時計回り)に回転(自転)させながら穴8の内周面に当て、内周面に沿って図3(c)の矢印Yの方向に回転(右公転)させながら1公転中に1ピッチ分ずつ穴8の底側に降下させて穴8の内周面に図3(d)のように雌ネジ(右ネジ)9を形成する。
4.雌ネジ9を形成し終えたらネジ加工刃物6が穴8の中心側に横移動して穴8の内周面から中心部に離れ、その後に引き上げられてネジ加工開始前の元の位置に戻る。
【0022】
(穴内周面へのネジ形成方法2)
本願発明では図5(a)(b)に示す多段のネジ加工刃物7を使用することもできる。この場合は次のようにする。
1.穴内周面へのネジ形成方法1と同じ要領で、ネジ無しの嵌合凹部13と穴8とを形成する。
2.多段のネジ加工刃物7をNC加工機に設定された加工条件で図3(c)の矢印Xの方向(時計回り)に回転(自転)させ、図1の穴8の内周面に当てながら内周面に沿って図3(c)の矢印Yの方向に1回転(右公転)させて内周面に6段の右ネジを形成する。この場合も1回右公転する間に多段のネジ加工刃物7を1ピッチ分だけ降下させる。
3.雌ネジ9を形成し終えたら多段のネジ加工刃物7が横移動して穴8の中心部に移動して穴8の内周面から離れ、その後に引き上げられて加工開始前の元の位置に戻る。雌ネジ9のピッチ間隔、ネジ角度、ネジ溝の深さ等はねじ込む雄ネジ軸15のネジに合せて形成する。これらもNCプログラムの加工条件やNC加工機への入力数値により決定される。
【0023】
(穴内周面へのネジ形成方法3)
前記内周面へのネジ形成方法1及び2は穴8に右ネジを形成する場合であるが、本願発明ではネジ加工刃物6を穴8の内周面に沿って右方向に1回転(右公転:図3(c)の矢印Y方向への回転。この段落において同じ。)させながら穴8の底側から入口側に上昇させて左ネジを形成することもできる。一段のネジ加工刃物6を使用する場合はそれを穴8の内周面に沿って右公転させながら穴8の底側から入口側に上昇させる。この場合も1回右公転する間に一段のネジ加工刃物6を1ピッチ分ずつ上昇させる。図5の多段のネジ加工刃物7を使用する場合はそれを穴8の内周面に沿って右公転させながら穴8の底側から入口側に1ピッチ分だけ上昇させる。
【0024】
前記いずれのネジ形成方法でも、雄ネジ5のネジ山のピッチ間隔、ネジ角度、ネジ溝の深さ等は前記NCプログラムやNC加工機への入力数値と刃物ピッチ(多段のネジ加工刃物を使用した場合)により決定される。前記ネジ形成方法は穴8を形成した後にネジを形成する場合であるが、本願発明では穴8が予め形成されている木材1を多数用意し、それらの穴8の内周面に雌ネジ9を切ることもできる。
【0025】
(ネジ付き木材の実施形態1)
本願発明のネジ付き木材の実施形態を図6(a)(b)に基づいて説明する。図6(a)に示す雄ネジ付き木材16は雄ネジ軸15を備えており、その雄ネジ軸15の根元部分にネジ無しの嵌入部11が形成されている。図6(a)に示す雌ネジ付き木材18は雌ネジ穴19を備えたものであり、雌ネジ穴19の入口側には図6(a)に示すようにネジ無しの嵌合凹部13が形成されている。木材の形状、長さ、厚さ、寸法、雄ネジ軸15の外径、長さ、雌ネジ穴19の内径、深さ等は任意に選択することができる。
【0026】
(その他のネジ付き木材の実施形態)
雄ネジ軸15は木材1の一端のみならず他端にも形成することも、木材1の全長外周面に形成することもできる。木材1の全長外周面に雄ネジ5を設けた場合はダボの代わりに使用することもできる。
【0027】
(雄ネジ付き木材と雌ネジ付き木材の接合構造の実施形態)
図2(c)に示す前記雄ネジ軸15が形成された木材(雄ネジ付き木材)16と、図3(d)に示す雌ネジ穴19が形成された木材(雌ネジ付き木材)18は、図7に示すように、雄ネジ軸15を雌ネジ穴19にねじ込むことにより接合することができる。この場合、嵌合凹部13内に嵌合部11が嵌合するまでねじ込むことにより、雄ネジ付き木材16の雄ネジ軸15の根元側の表面30が雌ネジ付き木材18の表面31に密接して、両木材1が確実にネジ接合される。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本願発明は、テーブル、箪笥、椅子等の家具や建具類の接合用、木造家屋の柱と梁等の接合用、柱と土台といった建築物等の接合用といった各種分野での接合に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本願発明のネジ形成方法の一例を示すもので、(a)は角棒状の木材を台座にセットした状態の側面図、(b)は角棒状の木材の平面図、(c)は角棒状の木材の一端に丸棒状の軸を形成した状態の平面図。
【図2】本願発明の雄ネジ形成方法の一例を示すもので、(a)は丸棒状の軸の外周面への雄ネジ形成開始時の側面図、(b)は雄ネジ形成後の側面図、(c)は雄ネジ形成後の斜視図。
【図3】本願発明の雌ネジ形成方法の一例を示すもので、(a)は平板状の木材を台座にセットした状態の縦断面図、(b)は木材に丸穴を形成した状態の縦断面図、(c)は丸穴内周面への雌ネジ形成開始時の縦断面図、(d)は雌ネジ穴形成後の木材の縦断面図。
【図4】本願発明のネジ形成に使用される一段のネジ加工刃物の一例を示すもので、(a)は側面図、(b)は底面図。
【図5】本願発明のネジ形成に使用される多段のネジ加工刃物の一例を示すもので、(a)は側面図、(b)は底面図。
【図6】(a)は本願発明の雄ネジ付き木材を雌ネジ付き木材にねじ込む前の斜視図、(b)は雌ネジ付き木材の縦断面図。
【図7】本願発明の雄ネジ付き木材と雌ネジ付き木材の接合構造を示すもので(a)は、雄ネジ付き木材を途中までねじ込んだ状態の縦断面図、(b)は両木材を接合した状態の縦断面図。
【符号の説明】
【0030】
1 木材
2 軸加工刃物
3 軸
4 ネジ加工刃物
5 雄ネジ
6 一段のネジ加工刃物
7 多段のネジ加工刃物
8 穴
9 雌ネジ
10 台座
11 嵌入部
12 穴加工刃物
13 嵌合凹部
14 木材の先端部
15 雄ネジ軸
16 雄ネジ付き木材
18 雌ネジ付き木材
19 雌ネジ穴
20 軸加工刃物の刃物軸
21 軸加工刃物の刃台座
22 軸加工刃物の刃
24 一段のネジ加工刃物の刃物軸
25 一段のネジ加工刃物の刃台座
26 一段のネジ加工刃物の刃
27 多段のネジ加工刃物の刃物軸
28 多段のネジ加工刃物の刃台座
29 多段のネジ加工刃物の刃
30 (雄ネジ軸の)根元側の面
31 (雌ネジ付き木材の)表面
P 刃間ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材へのネジ形成方法において、木材の軸の外周面又は木材の穴の内周面に、NC加工機に設定された加工条件で動作するネジ加工刃物の刃を当てて、前記軸の外周面又は穴の内周面にネジを形成することを特徴とする木材へのネジ形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の木材へのネジ形成方法において、軸の外周面へのネジ加工と、穴の内周面へのネジ加工に、同じネジ加工刃物を使用することを特徴とする木材へのネジ形成方法。
【請求項3】
木材の軸の外周面又は木材の穴の内周面に、請求項1又は請求項2記載の木材へのネジ形成方法によりネジが形成されたネジ軸又はネジ穴を備えたことを特徴とするネジ付き木材。
【請求項4】
請求項3記載のネジ付き木材において、ネジ軸の根元側にネジの形成されていない嵌入部を備えたことを特徴とするネジ付き木材。
【請求項5】
請求項3記載のネジ付き木材において、ネジ穴の入口側にネジ形成されておらず、請求項4におけるネジ軸の嵌入部が嵌入可能な嵌合凹部を備えたことを特徴とするネジ付き木材。
【請求項6】
木材同士の接合構造において、請求項3記載の木材の雄ネジ軸を、請求項3記載の木材の雌ネジ穴にねじ込んで、両木材を接合したことを特徴とする木材の接合構造。
【請求項7】
木材同士の接合構造において、請求項4記載の木材の雄ネジ軸を、請求項5記載の木材の雌ネジ穴にねじ込み、雄ネジ軸の嵌入部を雌ネジ穴の嵌合凹部に嵌入させて両木材を接合したことを特徴とする木材の接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−36277(P2010−36277A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199751(P2008−199751)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(308021590)有限会社中山木工所 (1)
【Fターム(参考)】