説明

木炭燃焼装置

【課題】 木炭を燃料として、長時間の連続運転をさらに効率よくかつ確実に行うことができ、また、木炭製造時に発生する乾留ガスを効率よく燃焼させることができるようにした木炭燃焼装置の提供を目的とする。
【解決手段】 木炭燃焼装置1は、燃料容器2,燃料容器2に収められた木炭を、燃焼室4の底部42から燃焼室4内に供給する燃料供給手段3,空気供給口52を有し、木炭を燃焼させる燃焼室4,空気供給手段5及びサイクロン集塵手段7を備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木炭燃焼装置に関し、特に、木炭を燃料として、木炭製造時に発生する乾留ガスを加熱・燃焼させ、乾留ガスを無臭化・無煙化する木炭燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用廃棄物の中には、大量の木材が含まれており、これらの木材を有効利用する一つの方法として、木材を木炭として再生し、再生された木炭を種々分野で利用する方法が検討されてきた。
【0003】
本発明者は、廃木材からの木炭製造技術と、再生した木炭を有効利用するための木炭燃焼装置についての開発を行っている。
ところで、木炭は、木材を加熱して炭化させることにより製造される。この際、木材は、不完全燃焼され、酢酸等を含む煙(乾留ガス)を発生する。酢酸等を含む煙をそのまま大気に放出したのでは、大気を汚染する。
【0004】
本発明者は、環境保護を目的として、木炭製造時に発生する煙を燃焼させるバーナーを備えた木炭製造装置を発明し開示している(特許文献1参照)。
この木炭製造装置は、被炭化材を炭化させる複数の製炭炉と、各製炭炉に接続され、各炉内の煙を集合してその出口から排煙させるための集合排煙管と、集合排煙管内の煙を吸引する排煙ファンと、集合排煙管内の煙を燃焼するバーナーとを備えた構成としてある。
【特許文献1】特許第3218237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記木炭燃焼装置は、産業用廃木材や建築用廃木材及び間伐材などから製造される木炭を有効利用しており、環境に優しい燃料として注目されているものの、燃料となる木炭の供給や灰の処理をさらに効率よくかつ確実に行うことが可能な燃焼装置が要望されていた。
【0006】
上記木炭製造装置のバーナーは、乾留ガスに含まれる酢酸などの可燃物を加熱し完全燃焼させることにより、乾留ガスを無臭化・無煙化していたものの、バーナーの燃料として、通常、燃料として重油を使用していた。重油,灯油,石炭などの化石燃料は、燃焼させた際に排出される二酸化炭素に硫黄酸化物や窒素酸化物が含まれており、植物の成長を妨げるといった問題があった。特に、化石燃料を燃焼させた際に発生する二酸化炭素は、地球環境サミットにおける排出量削減の対象ガスであることから、重油を燃料とするバーナーの代わりに、環境に優しい燃焼装置が要望されていた。
【0007】
本発明は、木炭を燃料として、長時間の連続運転をさらに効率よくかつ確実に行うことができ、また、上記問題を解決するために提案されたものであり、木炭製造時に発生する乾留ガスを効率よく燃焼させることができるようにした木炭燃焼装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の木炭燃焼装置は、木炭が収められる燃料容器と、空気供給口および排気口を有し、前記木炭を燃焼させる燃焼室と、前記燃料容器に収められた木炭を、前記燃焼室の底部から前記燃焼室内に押し出しながら供給する燃料供給手段とを具備した構成としてある。
このようにすると、長時間の自動運転を行う場合などに、木炭を燃焼室に確実かつ安定した状態で供給することができ、信頼性を向上させることができる。また、木炭は、燃焼させても発生する二酸化炭素に硫黄酸化物や窒素酸化物が含まれておらず、純粋な二酸化炭素が、植物の成長を促進することから、排出量削減の対象ガスから除外されており、地球環境に優しい燃焼装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記燃料供給手段を、前記燃焼室の底部に開口した燃料供給口と、この燃料供給口と前記燃料容器の出口との間に設けられ、前記燃料容器からの木炭を、前記燃料供給口に搬送して押し出す燃料搬送部とで構成してある。
このようにすると、構造を単純化でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。
【0010】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記空気供給口から前記燃焼室に供給される空気量を調節する空気供給量調整手段と、前記燃焼室内の温度にもとづいて、前記空気供給量調整手段を制御する制御手段とを備えた構成としてある。
このようにすると、燃焼室内の温度を容易に制御することができ、木炭燃焼装置の付加価値を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記空気供給口を、前記燃焼室における前記燃料供給口の外周の複数箇所に設け、かつ、前記空気供給口を、前記燃焼室の半径方向に対して斜め同一方向に向けた構成としてある。
このようにすると、燃焼ガスの流れを竜巻状の上昇回転流とすることができ、燃焼ガスが、燃料供給手段側に逆流するのを防止することができる。
【0012】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記燃料供給手段に、逆流防止用空気供給口を設けた構成としてある。
このようにすると、燃焼ガスが燃料供給手段側に逆流するのを、より確実に防止することができる。
【0013】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記逆流防止用空気供給口へ、空気供給手段からの空気を供給する構成としてある。
このようにすると、空気を確実に供給することができ、かつ、構造を単純化することができる。
【0014】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記排気口から排出される燃焼ガスに、円筒内回転流によって遠心力を与え、前記燃焼ガスに含まれる灰その他の異物を分離捕集する円筒状のサイクロン集塵手段を備えた構成としてある。
このようにすると、燃焼によって発生する灰を確実に回収することができ、灰回収の作業性を改善できるとともに、大気に排出される燃焼ガス中に灰が含まれるといった不具合を回避することができる。
【0015】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記燃焼室に、乾留ガスを供給する乾留ガス供給手段を設けた構成としてある。
このようにすると、乾留ガスを無臭化および無煙化させることができる。また、加熱燃料として重油を使用した場合には、排気ガスとして、亜硫酸ガスや窒素酸化物も排出され、植物の成長を抑制するのに対し、燃料としての木炭の排気ガスは、全て二酸化炭素と水に変化するので、植物の成長を促進することができ、地球環境を保護する。
【0016】
また、本発明の木炭燃焼装置は、前記乾留ガスが木炭製造時に発生するガスであって、この乾留ガスに空気を混合して混合ガスを生成し、該混合ガスを燃焼中の前記木炭の上部に吹き付ける構成としてある。
このようにすると、木炭燃焼装置が、乾留ガスの二次燃焼用木炭熱源装置として機能し、乾留ガスに含まれる酢酸等の炭化水素化合物を完全燃焼させて、二酸化炭素と水を生成し、乾留ガスを無臭化および無煙化させることができる。また、乾留ガスをより確実に完全燃焼させることができ、脱臭の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、地球環境に優しい燃焼装置を提供することができる。また、本発明の木炭燃焼装置によれば、長時間の自動運転を行う場合などに、木炭を確実に供給することができ、信頼性を向上させることができる。さらに、乾留ガスに含まれる酢酸等の炭化水素化合物を完全燃焼させて、二酸化炭素と水を生成することができ、乾留ガスを無臭化および無煙化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係る木炭燃焼装置の概略図であり、(a)は断面図を、(b)はA−A断面図を示している。
同図において、木炭燃焼装置1は、燃料容器2,燃料供給手段3,燃焼室4,空気供給手段5及びサイクロン集塵手段7を備えた構成としてある。
【0019】
(燃料容器)
燃料容器2は、下部にホッパ21を有する円筒状の容器としてあり、燃料となる木炭が、円筒上部の開口部から供給され、重力の作用によりホッパ21の下端の出口部より落下する。また、図示してないが、ホッパ21の下端に水平方向にスライドする閉止板を設けてもよく、このようにすると、閉止板を閉めることにより、ホッパ21から燃料供給手段3への木炭の落下を停止する。
【0020】
ここで、好ましくは、円筒状の容器本体をホッパ21に対して着脱可能な構造とし、かつ、上記容器本体を木炭搬送用カセットとするとよい。このようにすると、効率よく木炭を搬送できるとともに、木炭搬送用カセットをホッパ21に取り付けるだけで、木炭粉を飛散させずに木炭を補充でき、作業環境を清潔に保持することができる。
なお、木炭は、燃料供給手段3によって搬送可能な大きさ及び形状のものが使用され、通常、粉状,粒状,ペレット状,チップ状のものが使用される。
【0021】
(燃料供給手段)
燃料供給手段3は、ほぼ水平方向に設けられたスクリューコンベア31と、スクリューコンベア31が収納される円筒状のケーシング32と、軸がスクリューコンベア31と連結され、スクリューコンベア31を回転させるモータ33とからなっている。
ケーシング32は、モータ33側の上部に、燃料容器2の出口から落下する木炭が供給される供給口(図示せず)が設けられ、モータ33と反対側の端部が、燃焼室4の底部42に成形された燃料供給口420と連通している。これにより、燃料供給手段3は、燃料容器2から落下した木炭を、スクリューコンベア31が回転することにより、燃焼室4の底部42まで搬送し、燃料供給口420から燃焼室4に木炭を押し出しながら供給する。
【0022】
本実施形態では、燃料供給手段3として、スクリューコンベア31を使用しているが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、往復動するシリンダを使用する構成としてもよい。
また、図示してないが、モータ33の回転数を制御する制御盤と、制御盤からの信号にもとづいてモータ33の回転数を制御するインバータを備えた構成としてもよい。このようにすると、燃焼室4内に供給する木炭の量を容易に調節することができる。なお、木炭の供給量を制御する場合、制御盤のダイヤルを操作してモータ33の回転数を手動制御する構成としてもよいが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、乾留ガスの発生量や製炭炉の温度,運転時間などを測定し、この測定データを制御盤に送ることによって、モータ330の回転数を制御して木炭の供給量を自動制御する構成としてもよい。
【0023】
(燃焼室)
燃焼室4は、円筒状の本体41と、本体41の下部に連結された逆円錐形状の底部42と、本体41の上部に連結された円錐形状の上部43とからなっている。また、本体41は、下部に開閉式の覗き窓(図示せず)が設けられており、この覗き窓を介して、木炭の燃焼状態を確認したり、木炭にプロパンバーナで着火したりする。
【0024】
底部42は、最下部に燃料供給口420が設けてあり、燃料供給口420を介してケーシング32のモータ33と反対側の端部と連通しており、燃料供給手段3によって搬送される木炭が、底部から燃焼室4内に押し出しながら供給される。この際、燃料供給手段3によって搬送された木炭は、底部42の下方から上方に押し上げられ、ほぼ半球状の供給領域10に供給される。これにより、木炭を確実に燃焼室4内に供給することができ、長時間の自動運転を行う場合などに、信頼性を向上させることができる。また、上部43は、本体41から排気管44に向けて上に行く程、燃焼ガスの通過断面積が徐々に減少しているので、燃焼ガスの流れ損失を低減し、効率よく排気が行なわれる。
【0025】
(空気供給手段)
空気供給手段5は、送風機51と、燃焼室4における燃料供給口420の外周に設けられ、送風機51から排出された空気が流れる円環状の空気室52と、空気室52の四箇所に等間隔で配設され、空気室52内の空気を排出するパイプ状の空気供給口53とからなっている。空気室52は、外径が本体41の内径とほぼ同じ大きさとしたドーナツ状の管であり、底部42の下方であって、底部42の上部と下部の間の高さ位置に設けてある。
【0026】
各空気供給口53は、供給口の方向が、上方から見ると、燃焼室4の半径方向に対して斜め(反時計回り方向に約45°)同一方向に向けた方向であって、かつ、空気室52を含む仮想平面から約50°斜め上方に向かって、底部42の曲面から燃焼室4内に突設してある。これにより、空気供給口53から吐き出される空気が、供給領域10に供給された木炭の上部を効率よく燃焼させるとともに、燃焼ガスを、上昇しながら反時計回り方向に回転する回転流とすることができ、木炭の灰を効果的に排気管44に排出する。
なお、上記約45°と約50°の角度は、これらの角度に限定されるものではなく、それぞれ30°〜60°及び0°〜65°とすることができる。この範囲であれば、燃焼ガスを、上昇しながら回転する回転流とすることができるからである。また、上記両角度を調節可能な構造としてもよく、このようにすると、燃焼状況に応じて、燃焼状態及び燃焼ガスの流れを制御することができる。
【0027】
ここで、好ましくは、図示してないが、燃焼室4内において必要とされる温度にもとづいて、送風機51の回転数を制御する制御盤と、燃焼室4内に供給する空気量を調節するための、送風機51の回転数を制御するインバータとを備えた構成とするとよい。このようにすると、送風機51の回転数を上げて多量の酸素を供給することにより、燃焼室4内の温度を高くすることができ、また、送風機51の回転数を下げて酸素の供給量を低減することにより、燃焼室4内の温度を下げることができ、燃焼室内の温度を容易に制御することが可能となり、木炭燃焼装置1の付加価値が向上する。なお、本構成においては、インバータが空気供給量調整手段であり、制御盤が制御手段として機能する。
【0028】
(サイクロン集塵手段)
サイクロン集塵手段7は、天板711が設けられた円筒状の外筒71と、外筒71の下端に連結された逆円錐部73と、逆円錐部73の下端に取り付けられた、木炭の灰などを回収するホッパ74と、天板711のほぼ中央部に設けられ、下端が外筒71の下端とほぼ同じ高さに設けられた、外筒71の直径の約1/3の直径を有する円筒状の内筒75とからなっている。このサイクロン集塵手段7は、外筒71に設けられ、排気管44の下流端部が連結された入口72が、外筒71の内周円と接する方向に設けられている。これにより、排気管44から排出される燃焼ガスに、円筒内回転流によって遠心力が与えられ、遠心力の与えられた灰が、逆円錐部73の内面に沿って落下し、ホッパ74に容易かつ確実に回収される。
【0029】
次に、上記構成の木炭燃焼装置1の動作について説明する。
木炭燃焼装置1は、まず、燃料容器2の木炭が、出口を介して燃料供給手段3のケーシング32内に落下する。次に、燃料供給手段3は、モータ33が回転し、ケーシング32に落下した木炭をスクリューコンベア31が燃料供給口420を介して底部42に搬送し、供給領域10内に木炭を下方から押し上げる。続いて、覗き窓から供給領域10内の木炭にプロパンバーナによって着火し、送風機51からの空気が空気供給口53から木炭に吹き付けられ、木炭を完全燃焼させる。この際、木炭の燃焼ガスは、燃焼室4内を竜巻のように回転しながら上昇し、排気管44を介してサイクロン集塵手段7に供給される。
【0030】
次に、サイクロン集塵手段7は、木炭の灰を含んだ燃焼ガスに、円筒内回転流により遠心力を与え、燃焼ガスに含まれた灰をホッパ74に回収するとともに、灰を含まない水蒸気及び二酸化炭素からなるガスを内筒75から排出する。すなわち、燃焼によって発生する灰を確実に回収することができ、灰回収の作業性を改善できるとともに、排出される燃焼ガス中に灰が含まれるといった不具合を回避することができる。
なお、灰などの異物が除去された燃焼ガスは、内筒75を通って、たとえば、温室など負荷側に供給される。また、木炭燃焼装置1が家屋や畜舎などの建築物の内部に設置され、ストーブなどの暖房手段と使用される場合、上記燃焼ガスは、内筒75を通って外部に排気される。
【0031】
このように、本実施形態の木炭燃焼装置1によれば、長時間の自動運転を行う場合などに、木炭を燃焼室に確実かつ安定した状態で供給することができ、信頼性を向上させることができる。
【0032】
[第二実施形態]
図2は、本発明の第二実施形態に係る木炭燃焼装置の概略図であり、(a)は断面図を、(b)はB−B断面図を示している。
同図において、木炭燃焼装置1aは、第一実施形態と比べて、スクリューコンベア31の途中に、空気を吹き付ける逆流防止孔(逆流防止用空気供給口)54を設けた点が相違する。その他の構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、図2において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0033】
(燃焼室)
燃焼室4aは、円筒状の本体41aと、本体41aの下部に連結された底部42aを有している。
本体41aは、下部外周に、円環状の空気室52aが設けられている。空気室52aは、円環と接するように送風管55が設けられており、送風機51から排出される空気が、送風管55を介して、空気室52aに供給される。また、空気室52aから本体41aの下部内面に向けて、等間隔で八箇所に、空気供給口53aが設けられている。これらの各空気供給口53aは、上方向から見ると、燃焼室4aの半径方向から斜め(反時計回り方向に約45°)同一方向に向かって、かつ、水平に設けられている。
【0034】
底部42aは、肉厚の円板状としてあり、本体41aと一体的に形成されている。この底部42aは、本体41aに対する円環状の底板421と、底板421の中央部に形成された、逆裁頭円錐型の凹部422を有している。また、スクリューコンベア31の先端側が収容され、木炭が搬送される搬送孔423が、燃料供給口420を介して、凹部422の下部と連通している。さらに、搬送孔423と空気室52aを連通する逆流防止孔54が設けられており、空気室52aに供給された空気を逆流防止孔54から搬送孔423に排出する。
【0035】
このように、本実施形態の木炭燃焼装置1aによれば、空気室52aに供給された空気が、逆流防止孔54を介して搬送孔423に供給され、搬送孔423内を加圧する。したがって、凹部422に搬送され、燃焼している木炭の炎が、搬送孔423内に逆流するのを効果的に防止することができる。
なお、本実施形態では、空気室52aを介して搬送孔423に空気を供給する構成としてあるが、この構成に限定されるものではない。たとえば、送風管55から分岐管(図示せず)を介して、搬送孔423に空気を供給したり、送風機51とは別に専用の送風機を設けて、この専用の送風機から空気を供給してもよい。
【0036】
[第三実施形態]
図3は、本発明の第三実施形態に係る二次燃焼用木炭熱源装置の概略図であり、(a)は断面図を、(b)はC−C断面図を示している。
同図において、二次燃焼用木炭熱源装置1bは、製炭炉(図示せず)から排出される乾留ガスを二次燃焼させるための熱源として機能し、第一実施形態と比べて、燃焼室4に乾留ガス供給手段6を設けた点が相違する。その他の構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、図3において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0037】
(乾留ガス供給手段)
乾留ガス供給手段6は、製炭炉から排出される乾留ガスが流れる、燃焼室4の外部に設けられた直管61と、排気口が直管61内の下流端部に下流側に向かって設けられ、酸素を含む空気を曲管62内に供給する送風機63と、直管61と連結され、乾留ガスと空気からなる混合ガスを、供給領域10内の木炭上に吹き付ける曲管62とからなっている。このようにすると、乾留ガスに含まれる酢酸等の炭化水素化合物を燃焼させて、二酸化炭素と水を生成することができ、乾留ガスを無臭化および無煙化させることができる。
【0038】
また、乾留ガス供給手段6は、送風機63を有することにより、燃焼室4内の木炭の燃焼ガスが、曲管62や直管61を介して、製炭炉に逆流するといった不具合を効果的に防止する。また、送風機63から下流側に空気か供給されることにより、製炭炉内の乾留ガスを積極的に排気する。さらに、乾留ガスと空気を混合した状態で、燃焼している木炭に吹き付けるので、酢酸等の可燃物が加熱され、空気に含まれる酸素と容易に反応して完全燃焼し、水及び二酸化炭素からなる無臭かつ無色の燃焼ガスが排気管44に排出される。
なお、本実施形態では、直管61と曲管62を用いて、乾留ガスを供給領域10内の木炭上に吹き付ける構成としてあるが、この構成に限定されるものではない。
【0039】
ここで、好ましくは、内筒75から排出されるガスは、木炭や乾留ガスが燃焼室4内で燃焼されたガスであり、十分な高熱を有していることから、この熱を回収し有効利用することにより、エネルギー効率が向上する。たとえば、内筒75から排出される高温ガスを製炭炉に供給し、木材を加熱し炭化させる熱源として利用してもよく、このようにすると、二次燃焼用木炭熱源装置1bと製炭炉を組み合わせたエネルギー効率をより向上させることができる。
【0040】
次に、上記構成の二次燃焼用木炭熱源装置1bの乾留ガスを燃焼させる動作について説明する。
なお、その他の動作は、第一実施形態とほぼ同様である。したがって、同様な動作については、その詳細な説明を省略する。
まず、二次燃焼用木炭熱源装置1bは、木炭燃焼装置1とほぼ同様の動作によって、燃焼室4に供給される木炭を燃焼させる。
【0041】
次に、製炭炉に着火し、炉内の木材を加熱し炭化させる。この際、乾留ガスが発生するタイミングで、送風機63を作動させ、製炭炉内の乾留ガスを送風機63からの空気と混合して混合ガスを生成し、曲管62から燃焼している木炭の上部に吹き付ける。これにより、乾留ガスに含まれる酢酸等の可燃物は、完全燃焼するので、乾留ガスが無臭化するとともに無色となる。また、木炭と乾留ガスの燃焼ガスは、燃焼室4内を竜巻のように回転しながら上昇し、排気管44を介してサイクロン集塵手段7に供給される。
また、二次燃焼用木炭熱源装置1bが大型化した場合、空気供給口53によって、燃焼ガスが竜巻状に回転しながら上昇することにより、曲管62内への燃焼ガスの逆流を、効果的に防ぐことができる。
【0042】
なお、製炭炉は、ほぼ二昼夜かけて木材を炭化させて木炭を製造する。また、製炭炉に火をいれた一日目は、乾留ガスが大量に発生し、二日目は乾留ガスの発生が減少するといった特徴がある。
このような特徴を有する製炭炉に対して、二次燃焼用木炭熱源装置1bは、燃料容器2に一回木炭を供給すると、ほぼ24時間の連続運転を行うことができ、作業性を大幅に向上させることができ、また、火力及び熱源としての温度を制御することができるので、木炭を効果的に節約し省エネ運転を行うことができる。
【0043】
このように、本実施形態の二次燃焼用木炭熱源装置1bによれば、乾留ガスに含まれる酢酸等の炭化水素化合物を確実に完全燃焼させて、二酸化炭素と水を生成することができ、乾留ガスを無臭化および無煙化させることができる。
また、二次燃焼用木炭熱源装置1bは、上記構成に限定されるものではなく、たとえば、第二実施形態の逆流防止孔54を設けた構成としてもよく、これにより、燃焼している木炭及び乾留ガスの炎が、搬送孔423内に逆流するのを効果的に防止することができる。
【0044】
以上、本発明の木炭燃焼装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る木炭燃焼装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、二次燃焼用木炭熱源装置1bは、乾留ガス供給手段6を備え、木炭製造に発生する乾留ガスを燃焼させる構成としてあるが、乾留ガスの代わりに、ごみなどの可燃物を燃焼させる木炭燃焼装置として使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明の木炭燃焼装置は、一般的な燃焼装置として、様々な用途に広く適用することができる。また、木炭を燃料としているが、燃焼させた際、硫黄酸化物などの有害物質を排出しない木材片などを燃料としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第一実施形態に係る木炭燃焼装置の概略図であり、(a)は断面図を、(b)はA−A断面図を示している。
【図2】本発明の第二実施形態に係る木炭燃焼装置の概略図であり、(a)は断面図を、(b)はB−B断面図を示している。
【図3】本発明の第三実施形態に係る二次燃焼用木炭熱源装置の概略図であり、(a)は断面図を、(b)はC−C断面図を示している。
【符号の説明】
【0047】
1,1a 木炭燃焼装置
1b 二次燃焼用木炭熱源装置
2 燃料容器
3 燃料供給手段
4,4a 燃焼室
5 空気供給手段
6 乾留ガス供給手段
7 サイクロン集塵手段
10 供給領域
21 ホッパ
31 スクリューコンベア
32 ケーシング
33 モータ
41,41a 本体
42,42a 底部
43 上部
44 排気管
51 送風機
52,52a 空気室
53,53a 空気供給口
54 逆流防止孔
55 送風管
61 直管
62 曲管
63 送風機
71 外筒
72 入口
73 逆円錐部
74 ホッパ
75 内筒
420 燃料供給口
421 底板
422 凹部
423 搬送孔
711 天板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木炭が収められる燃料容器と、
空気供給口および排気口を有し、前記木炭を燃焼させる燃焼室と、
前記燃料容器に収められた木炭を、前記燃焼室の底部から前記燃焼室内に押し出しながら供給する燃料供給手段と
を具備したことを特徴とする木炭燃焼装置。
【請求項2】
前記燃料供給手段を、
前記燃焼室の底部に開口した燃料供給口と、
この燃料供給口と前記燃料容器の出口との間に設けられ、前記燃料容器からの木炭を、前記燃料供給口に搬送して押し出す燃料搬送部とで構成したことを特徴とする請求項1記載の木炭燃焼装置。
【請求項3】
前記空気供給口から前記燃焼室に供給される空気量を調節する空気供給量調整手段と、前記燃焼室内の温度にもとづいて、前記空気供給量調整手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の木炭燃焼装置。
【請求項4】
前記空気供給口を、前記燃焼室における前記燃料供給口の外周の複数箇所に設け、かつ、前記空気供給口を、前記燃焼室の半径方向に対して斜め同一方向に向けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の木炭燃焼装置。
【請求項5】
前記燃料供給手段に、逆流防止用空気供給口を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の木炭燃焼装置。
【請求項6】
前記逆流防止用空気供給口へ、空気供給手段からの空気を供給することを特徴とする請求項5記載の木炭燃焼装置。
【請求項7】
前記排気口から排出される燃焼ガスに、円筒内回転流によって遠心力を与え、前記燃焼ガスに含まれる灰その他の異物を分離捕集する円筒状のサイクロン集塵手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の木炭燃焼装置。
【請求項8】
前記燃焼室に、乾留ガスを供給する乾留ガス供給手段を設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の木炭燃焼装置。
【請求項9】
前記乾留ガスが木炭製造時に発生するガスであって、この乾留ガスに空気を混合して混合ガスを生成し、該混合ガスを燃焼中の前記木炭の上部に吹き付けることを特徴とする請求項8記載の木炭燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−23074(P2006−23074A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171567(P2005−171567)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(599096396)
【Fターム(参考)】