説明

木質系成形体の製造方法および木質系成形体

【課題】木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体を大量生産可能とすることを課題とする。
【解決手段】木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料に水を添加し、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、前記水を添加した爆砕材料と、を混合して成形することにより木質系成形体を製造する。少なくとも、溶融可能な樹脂と、粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合してペレット形状に成形した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形してもよい。木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく乾燥して、粉末状の爆砕材料を得てもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動状態の樹脂と粉末状の木質系材料とを少なくとも含む素材を混合して成形する木質系成形体の製造方法および木質系成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長辺1〜10mmの針状形の木質系材料と熱可塑性樹脂とを混合してペレット状混合物を成形し、このペレット状混合物を押出し成形して木質系複合樹脂成形体を製造することが行われている(特許文献1参照)。一旦ペレット状混合物を形成するのは、最終的な木質系成形体を成形する後成形時に原料の供給をスムーズにさせるためである。木質系材料と熱可塑性樹脂とを混練すると、混練時の熱によって木質系材料から水分が放出され、水分の存在によって疎水性の熱可塑性樹脂と木質系材料との密着性が阻害され、十分な強度が得られない(特許文献1の段落0005)。そこで、木質系材料を長辺1mm以上の針状形としている。
特許文献2記載の技術では、押出機構にて軟化した所定の素材を混合して不定形の状態で押し出し、押し出した素材を不定形のまま成形機用容器に導入し、導入した不定形の素材をペレット成形装置にてペレット形状に成形している。
ペレットを形成する際、例えば、混合撹拌翼を有するミキサーにて素材の粒子どうしを衝突させて発熱させることにより溶融混合させたり、押出機により素材を剪断混合させたりすることにより、良質のペレットを成形する。ここで、押出機には直径3〜5mm程度の押出口を多数有するダイを装着してあり、内部のスクリューを回転させながら軟化状態の素材をダイの押出口から略棒状に押し出し、カッターにより長さ3〜7mm程度に切断してペレット形状に成形している。
【0003】
また、破砕装置で廃木材を爆砕して小片材にチップ化し、当該小片材のみを混練装置でバインダと混合し、ベルト圧縮機で平板状に成形し連続的に所定時間加圧して板状の再生木材をほぼ連続的に製造することも行われている(特許文献3参照)。
さらに、リグノセルロース含有材料を水蒸気処理して乾燥し、得られるリグノセルロース系材料を含む組成物を加熱して可塑化し、可塑化した組成物を押出成形法あるいは射出成形法により成形することも行われている(特許文献4参照)。
特許文献5記載の技術では、熱可塑性樹脂と木粉材とからなる主原料に自己融着性加工を施した木粉材を加えて加熱下で混合して加圧成形することにより、木質系成形体を製造している。
【特許文献1】特開2003−291116号公報
【特許文献2】特開2004−17502号公報
【特許文献3】特開2000−141323号公報
【特許文献4】特開2003−165844号公報
【特許文献5】特開2003−291117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
木粉材の配合割合が多いと、温度変化による変形が少なく、木質感が向上し、製品の質が向上する。一方、樹脂が少ないために木粉材同士を強く固着させることができないので、機械的性能が大きくないし、良好な耐水性が得られない。機械的性能の向上と耐水性の向上のためには樹脂添加量を増やさざるを得ず、樹脂添加量と製品の質とは相反するものである。しかしながら、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させることが望まれていた。
また、木粉材と樹脂とを混練すると、混練時に木粉材から水分が放出され、水分の存在によって木粉材と樹脂とが十分になじまず、当該ペレットを原料とした後成形を行おうとしたときに混練段階で原料が均質に混練されないことがあった。
【0005】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体を大量生産可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の木質系成形体の製造方法は、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料に水を添加し、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、前記水を添加した爆砕材料と、を混合して成形することにより木質系成形体を製造することを特徴とする。
以上の構成により、木質系成形体の形状に成形する際の素材の成形圧力が低下し、木質系成形体の成形性をより良好にさせることが可能になる。また、従来では水分の存在によって樹脂と木質系材料との密着性が阻害されて十分な強度が得られないため添加するどころか除去するようにしていた水を素材に添加したにもかかわらず、木質系成形体の強度を上げ、耐水性をより良好にさせて、均質でより良質の木質系成形体を量産することが可能になる。このような効果が得られる理由は、以下のことが考えられる。
すなわち、木質系材料を爆砕すると、木質系材料中のヘミセルロースが水可溶性の樹脂のような物質に変性するとともに、木質系材料中のリグニンがリグニン分解物に変性する。このリグニン分解物が流動化剤として働き、素材の成形圧力が低下し、木質系成形体の成形性を向上させるためと推察される。また、ヘミセルロースが水可溶性樹脂のような物質に変性し、水添加により素材の結着力が向上して木質系成形体の強度を向上させ、耐水性を向上させるためと推察される。
【0007】
上記粉末状の爆砕材料は爆砕木粉等を用いることができ、当該爆砕木粉は、木粉を爆砕し乾燥したものでもよいし、木質系材料を爆砕し乾燥して粉砕したものでもよい。
混合する素材には、上述した各材料が少なくとも含まれればよく、第四の材料がさらに含まれる場合も請求項1記載の発明に含まれる。当該第四の材料には、マレイン酸等の所定の酸により変性された樹脂、各種機能性材料、等を用いることができる。
上記成形は、押出成形、射出成形、プレス成形、等を採用可能である。
上記流動状態の樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、等が考えられ、疎水性の樹脂でも、親水性の樹脂でもよい。溶融可能な樹脂を用いる場合、混合される素材を加熱すると、当該素材を軟化させることができる。
【0008】
前記樹脂が溶融可能な樹脂であり、少なくとも、前記溶融可能な樹脂と、前記粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形することにより木質系成形体を製造すると、溶融可能な樹脂と粉末状の木質系材料との混合時に粉末状の木質系材料と粉末状の爆砕材料とが反応しないようにさせ、後成形時にこれらを十分に反応させることができ、後成形時の素材の成形性をさらに良好にさせることが可能になる。また、爆砕していない粉末状の木質系材料を樹脂と混合する際には水分が少ないほどなじみが良くなるので、水を添加した爆砕材料を後添加することにより、木質系成形体の強度をさらに上げることが可能となる。さらに、樹脂を溶融させながら混合する際に機能の低下する機能性素材を爆砕材料の後添加時に添加しても、当該機能が低下しない。従って、このような機能性素材を添加して機能を発揮させることが可能となり、木質系成形体の品質を向上させることが可能となる。
【0009】
少なくとも、前記溶融可能な樹脂と、前記粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合してペレット形状に成形した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形すると、素材の一部をペレット化することにより後成形時に原料の供給をスムーズにさせることができる。
【0010】
少なくとも、前記溶融可能な樹脂と、前記粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合して不定形の状態で押し出し、押し出した不定形の素材を粉砕し、粉砕した素材をペレット形状に成形した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形すると、押し出された不定形の素材は、一旦粉砕されてペレット形状に成形されるので、より均質化された状態で素材をペレット化することができる。これにより、成形されるペレットをより均質にさせることができ、木質系成形体をより均質にさせることが可能になる。また、素材を粉砕することによりペレット形状に成形する際の加熱を少なくさせることができ、後成形時にペレットが崩れやすくなって分散性が向上し、より均質な木質系成形体を生産することが可能となる。さらに、不定形の素材を粉砕することによってペレットの成形が容易となり、単位時間当たりのペレット成形量を増やすことが可能となる。
【0011】
なお、軟化した素材を混合して押し出すことを行わずに粉砕してペレット形状に成形すると、素材全体がなじまずにペレット化されるため、ペレット自体が均質ではなくなり、結果としてそれを使用して成形した木質系成形体の均質化の点で問題が残ってしまう。本発明では、軟化した素材を混合して押し出した後に粉砕してペレット形状に成形しているので、素材全体が良くなじんだ後にペレット化され、均質なペレットを成形することができ、結果としてそれを使用して成形した木質系成形体を均質にすることが可能となる。
また、粉末状の木質系材料が溶融可能な樹脂の等重量以上である場合、当該素材を混合して押し出すことを行わずに粉砕してペレット形状に成形すると、高充填量の木質系材料に樹脂がなじまずにペレット化されるため、木質系材料と樹脂とがばらばらに崩れて粉体状になりやすい。溶融した樹脂と木質系材料とを軟化した素材として混合して押し出した後に粉砕してペレット形状に成形すると、木質系材料に樹脂が良くなじんだ後にペレット化される。従って、後成形時に原料段階ではペレットが粉体状に崩れることなく混練段階で崩れて分散し、混練段階で容易に原料を均質に混練することができる。
さらに、不定形の素材を一旦粉砕するので、粉砕された素材に対して粉状の機能性素材を容易に混合してペレット化することがすることができ、当該機能性素材による機能が付与されたペレットを容易に得ることが可能となる。
【0012】
前記粉末状の爆砕材料は、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく乾燥して得られる粉末状の材料とされていると、木質系材料中にあるヘミセルロースから変性した成分や、同じく木質系材料中にあるリグニン分解物が、十分に残存する。
【0013】
前記粉末状の爆砕材料は、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく含水率(全乾質量基準)5重量%以下に乾燥して得られる粉末状の材料とされ、当該粉末状の爆砕材料に水を1〜20重量%添加すると、木質系成形体の成形性、強度、耐水性がさらに良好になる。
木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく60〜105℃で乾燥して前記粉末状の爆砕材料を得ると、木質系成形体の成形性、強度、耐水性がさらに良好になる。
前記粉末状の爆砕材料に水を噴霧して添加すると、木質系成形体の成形性、強度、耐水性がさらに良好になる。
【0014】
また、本発明の木質系成形体の製造方法は、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料とに、水を添加し、混合して成形することにより木質系成形体を製造することを特徴とする。すなわち、上述した作用と同様の作用となる。
【0015】
さらに、本発明の木質系成形体は、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料に水を添加し、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、前記水を添加した爆砕材料と、を混合して成形することにより得られる。本木質系成形体によると、強度、耐水性がより良好になり、均質でより良質になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1、請求項9にかかる発明によれば、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体を大量生産することが可能になる。
請求項2にかかる発明では、後成形時の素材の成形性、強度をさらに向上させることが可能になる。
請求項3にかかる発明では、素材の一部をペレット化することにより後成形時に原料の供給を円滑にさせ、より良質の木質系成形体を製造することが可能となる。
【0017】
請求項4にかかる発明では、流動性の小さい素材を用いてペレット化する際に、単位時間当たりのペレット成形量を向上させることができるとともに、ペレットをより均質にさせ、木質系成形体をより均質にさせたり、後成形時にペレットをより崩れやすくさせたりして木質系成形体をより容易に成形することが可能となる。
請求項5にかかる発明では、ヘミセルロースから変性した成分やリグニン分解物を十分に残存させることができるので、木質系成形体の成形性、強度、耐水性をさらに向上させることが可能になる。
請求項6〜請求項8にかかる発明では、木質系成形体の成形性、強度、耐水性をさらに向上させることが可能になる。
【0018】
請求項8にかかる発明では、木質系成形体の成形性、強度、耐水性をさらに向上させることが可能になる。
請求項10にかかる発明によれば、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質にさせることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)木質系成形体の製造方法の概略:
(2)粉末状の乾燥爆砕材料の製造方法:
(3)水を添加した爆砕材料の調製方法:
(4)ペレットの形成方法:
(5)木質系成形体の製造方法:
(6)実施例:
(7)まとめ:
【0020】
(1)木質系成形体の製造方法の概略:
図1に示すように、本実施形態の木質系成形体の製造方法は、木質系材料A1を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料A2に水A3を添加し、少なくとも、流動状態の樹脂A6と、粉末状の木質系材料A5と、水を添加した爆砕材料A4と、を混合して成形することにより木質系成形体A10を製造する。より好ましくは、樹脂A6を溶融可能な樹脂とし、当該樹脂A6と粉末状の木質系材料A5とを樹脂A6を溶融させながら混合して木質系材料A5より大きいペレットA8を成形した後、水を添加した爆砕材料A4を添加し混合して後成形することによりペレットA8より大きい木質系成形体A10を製造する。
【0021】
(2)粉末状の乾燥爆砕材料の製造方法:
爆砕材料A2を形成するための木質系材料A1には、木粉,木毛,木片,木質繊維,木質パルプ,木質繊維束,等、さまざまなものを採用可能であるし、竹繊維,麻繊維,バカス,モミガラ,稲わら等セルロースを主成分とする材料を混合したものでもよい。木質系材料A1に木粉を用いると、乾燥した爆砕材料A2が確実に粉末状となる点で好適である。爆砕材料A2の粒径を1mm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下とすると、粉末状の木質系材料A5どうしの間や木質系材料A5と樹脂A6との間に入り込みやすくなり、木質系成形体A10を非常に均質にさせることができる点で、好適である。なお、粒子形状は、球状、不定形状、繊維状、薄片状、等とすることができる。爆砕することにより木質系材料A1が砕かれるので、粒径1mmより大きい木材チップを木質系材料A1として用いてそのまま粉末状の爆砕材料A2とすることができる。むろん、例えば粒径1mm以下の粉末状の木質系材料A1を爆砕し乾燥して粉末状の爆砕材料A2としてもよいし、粒径1mmより大きい木質系材料A1を爆砕し乾燥した後に粉砕して粉末状の爆砕材料A2としてもよい。
【0022】
木質系材料A1の爆砕は、木質系材料A1を圧力反応釜(圧力容器)の中に入れて水蒸気存在下で飽和水蒸気圧180〜260℃、より好ましくは200〜230℃まで加熱しながら加圧し、圧力反応釜のバルブを開いて急激に外気へ放出して減圧することにより行う。温度を前記下限以上にすると、木質系材料中のヘミセルロースを水可溶性の樹脂のような物質へ十分に変性させることができるとともに、木質系材料中のリグニンをリグニン分解物へ十分に変性させることができる点で好適である。一方、温度を前記上限以下にすると、分解縮合等の副反応を抑制することができる点で好適である。
加熱および加圧の処理時間は、1〜50分程度とすればよく、加熱温度が高いほど短く、加熱温度が低いほど長くすればよい。また、木質系材料が大きいほど長く、木質系材料が小さいほど短くすればよい。加熱温度が180〜230℃の場合、1〜5分程度とすればよい。処理時間を前記下限以上にすると、木質系材料中のヘミセルロースを水可溶性の樹脂のような物質へ十分に変性させることができるとともに、木質系材料中のリグニンをリグニン分解物へ十分に変性させることができる点で好適である。一方、処理時間を前記上限以下にすると、分解縮合等の副反応を抑制することができる点で好適である。
なお、木質系材料A1に対して爆砕前に水を添加しなくても木質系材料A1自体の水分によって爆砕処理を行うことが可能であるが、爆砕前に水を添加すると木質系材料A1の爆砕処理をより良好に行うことが可能となる。ここで、木質系材料A1に対して添加する水の好ましい量は、木質系材料A1の重量を基準とした相対量で10〜500重量%、より好ましくは100〜200重量%である。水の添加量を前記下限以上にすると木質系材料の空隙に水が十分に入り込んで木質系材料が十分に爆砕される点で好ましく、水の添加量を前記上限以下にすると乾燥処理を行う爆砕後の木質系材料が多くなりすぎず乾燥処理の時間が長くなりすぎない点で好ましいからである。
【0023】
上記爆砕には、以下の3つの物理的作用があるとされている。
1.水熱条件下に晒されることにより、細胞壁自体が軟化することである。
2.軟化した細胞壁は凝縮水の気化に伴う急激な体積膨張によって物理的に破壊される。
3.圧力反応釜のノズルからの高速噴射により機械的に破壊される。
【0024】
また、上記爆砕では、以下の化学的な変性も生じる。
すなわち、圧力反応釜の中では高温・高圧の水蒸気に木質系材料が晒され、このようないわゆる水熱条件下でヘミセルロース中のアセチル基が遊離し、pH3以下に低下する。その結果、ヘミセルロースは部分加水分解を受けて低分子化し、当該低分子化によって生成される疎水性のフルフラールおよびヒドロキシメチルフルフラールがフラン樹脂化し、接着剤の効果を発生する。これにより、木質系材料A1に自己融着性を持たせる加工を施したことになる。また、リグニンは、アリルエーテル結合の開裂によって低分子化する。このリグニンはフェノール性水酸基を有しているので、疎水性の接着剤と親水性の木粉との架橋剤になり、さらに低分子化することでより架橋効果を発生しやすくなる。そして、リグニンの変質によりセルロースが露出する。
【0025】
木質系材料を上記処理条件で加熱および加圧すると、加水分解や熱分解が進み、水素結合で架橋されたセルロースどうしの間に高圧によって水が入り、木質系材料中のヘミセルロースが例えばフルフラールを経てフラン樹脂に変性するといった水可溶性の樹脂のような物質に変性し、木質系材料中のリグニンが部分的に切断されて活性の高い重合前の樹脂のようなリグニン分解物に変性する。ここで、加圧された木質系材料が一挙に大気圧まで開放されると、木質系材料内の水分が急激に蒸気化する爆発が生じて木質系材料の組織が破壊され、木質系材料中のセルロースがフィブリル化し、木質系材料が細分化されて粉末状や繊維状等に砕かれる。そして、加水分解物や熱分解物が木質系材料の組織内のみならず、組織から材料表面にも浸出する。この時点では爆砕材料に多量の水分が存在するので、乾燥処理を行う。
【0026】
従来、爆砕木粉を乾燥する際には、素早く乾燥させるため、乾燥処理前に爆砕木粉を絞るといった脱水処理を行っていた。しかし、本願発明者は、加水分解物や熱分解物が水分に溶出していることに着目し、存在する水分を除去することなく乾燥することにより、水可溶性樹脂や流動化剤の機能を発揮する有用な爆砕木粉が得られることを見い出した。
【0027】
図2は、粉末状の乾燥爆砕材料A2の製造方法を吸水処理とともに示している。まず、木質系材料A1を圧力反応釜C1に投入し(投入工程S1)、上述した処理条件にて木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧する爆砕処理を行う(爆砕工程S2)。圧力反応釜C1のバルブC2から噴出される爆砕材料A11には固形分A12とともに多量の水分A13が存在し、爆砕材料A11の含水率(全乾質量基準)は50重量%以上となっている。ここで、存在する水分A13を除去することなく60〜105℃、より好ましくは80〜100℃で加熱しながら、含水率5重量%以下、より好ましくは含水率3重量%、さらに好ましくは含水率1重量%、特に好ましくは絶乾状態(含水率0重量%)になるまで乾燥処理を行う(乾燥工程S3)。加熱温度を前記下限以上にすると、迅速に爆砕材料を乾燥させることができる点で好適である。加熱温度を前記上限以下にすると、加水分解物や熱分解物の変性を抑制することができる点で好適である。含水率を前記上限以下にすると、乾燥爆砕材料に所定比率の水を添加したときに適度な水分量として爆砕材料に水可溶性樹脂や流動化剤の機能を十分に発揮させることができ、特に絶乾処理を行うと、より適度な水分量として爆砕材料に水可溶性樹脂や流動化剤の機能をさらに十分に発揮させることができる点で好適である。なお、含水率は、JIS Z2101−1994(木材の試験方法)3.2に従って測定することができる。すなわち、乾燥前の質量をm1(g)、全乾質量をm2(g)とすると、含水率は{(m1−m2)/m2}×100(重量%)となる。以下も、同様である。
乾燥処理の際、例えば送風乾燥機を用い、送風機C4にて爆砕材料に送風しながら乾燥処理を行うと、迅速に爆砕材料を乾燥させることができる点で好適である。ここで、爆砕材料を時々撹拌したり、平たく薄く乾燥台に載せたりすると、爆砕材料を偏り無く乾燥させることができる点で好適である。
【0028】
乾燥処理後、必要に応じて乾燥爆砕材料を所定の粉砕機構C5にて例えば1〜100μmに粉砕する(粉砕工程S4)。粉砕機構としては、後述する粉砕機を用いる等、公知の種々の粉砕機を使用可能である。なお、粒子形状は、球状、不定形状、繊維状、薄片状、等とすることができる。乾燥した爆砕材料は、組織が脆くなっているので容易に粉砕することができ、爆砕していない木質系材料を粉砕するのと比べて少ない動力、短い時間で粉末状にすることができる。
木質系材料A1の粒径が1mm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下であると、乾燥工程S3で乾燥爆砕木粉を得ることができ、粉砕工程S4を省略することができる点で好適である。
以上のようにして、粉末状の乾燥爆砕材料A2を製造することができる。爆砕材料A2には木質系材料中にあるヘミセルロースから変性した成分やリグニン分解物が十分に残存しているので、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を良好にさせることが可能になる。
【0029】
(3)水を添加した爆砕材料の調製方法:
粉末状の乾燥爆砕材料A2を形成すると、当該爆砕材料A2に水A3を1〜20重量%(爆砕材料A4が80〜99重量%)、より好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは5〜10重量%となるように添加する吸水処理を行い、水を添加した爆砕材料A4を調製する(吸水工程S5)。水の配合比を前記下限以上にすると、後成形時の素材の成形圧力が低下し、木質系成形体の成形性をより良好にさせるとともに、木質系成形体の強度を上げ、耐水性をより良好にさせる点で好適である。これは、ヘミセルロースに由来する水可溶性の樹脂のような物質を水可溶性樹脂として十分に機能させることにより、後成形時の素材の結着力が向上して木質系成形体の強度を向上させ、耐水性を向上させるためと推察される。一方、水の配合比を前記上限以下にすると、後成形時に水の存在による素材の不均質が生じず、木質系成形体の強度、耐水性を向上させ、均質で良質の木質系成形体が得られる点で好適である。
【0030】
水を添加する際には、例えば、所定の噴霧機C6から乾燥爆砕材料A2に水を均一に噴霧する。すると、水を添加した爆砕材料を混合しなくても後成形に用いることができるので、好適である。むろん、所定の容器から水を乾燥爆砕材料A2中に入れ、水を添加した爆砕材料を混合してもよい。吸水処理を行う温度は、室温レベルでよく、0〜40℃、より好ましくは2〜30℃、さらに好ましくは4〜20℃とすればよい。温度を前記下限以上にすると、水が凍らない点で好適である。温度を前記上限以下にすると、添加した水の蒸発を抑制することができる点で好適である。吸水処理を行う湿度は、外気レベルでよいが、水分の蒸発や吸湿を防ぐ観点から、30〜70v/v%、より好ましくは35〜65v/v%、さらに好ましくは40〜60v/v%とすることができる。また、吸水処理を行う際には、無風状態としても送風状態としてもよいが、添加した水の蒸発や吸湿を防ぐ観点からは無風状態とすることが好ましい。
水分を添加した爆砕材料A4は、温度50℃以下、湿度15〜60v/v%、無風状態で4時間保管して使用してもよいが、添加した水の蒸発や吸湿を防ぐ観点からはなるべく速やかに(例えば1時間以内に)使用するのが好ましい。
【0031】
(4)ペレットの形成方法:
ペレットA8を成形するための木質系材料A5は、爆砕材料A2を形成するための木質系材料A1と同じ材料を用いることができる。また、種々の工場等で発生する廃材を粉砕して木質系材料A5を得てもよい。木質系材料A5の粒径は種々の径が採用可能であるが、後述するように不定形の素材を粒径1mm以下に粉砕するため、木質系材料A5の粒径も1mm以下とすると好適である。
【0032】
流動状態の樹脂A6は、溶融状態の熱可塑性樹脂といった溶融状態の樹脂、流動状態の熱硬化性樹脂、等が考えられ、疎水性の樹脂でも、親水性の樹脂でもよい。ペレット製造装置B1に原料を供給する際には、流動状態とされた樹脂A6を流入させてもよいし、固形状の樹脂A6を流動状態にさせて流入させてもよいし、固形状の樹脂A6をペレット製造装置B1に投入してもよい。
樹脂A6に用いる熱可塑性樹脂としては、種々の樹脂を採用可能であり、例えば、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン,ポリメチルメタアクリレート,塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート等を使用可能である。むろん、これらの樹脂を複数組み合わせて使用してもよい。また、ペレット製造装置B1に投入する際には、固形の原反として投入してもよいし、溶融された状態にして投入してもよい。
樹脂A6に用いる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等を使用可能である。
【0033】
上述したいずれかの樹脂のみを上記樹脂A6とすることができるが、上記熱可塑性樹脂のいずれかを選択して樹脂A6の主成分とするとともに、熱可塑性樹脂に親水基を付与するマレイン酸(所定の酸)を用いて選択された樹脂を変性したものを樹脂A6の副成分としてもよい。むろん、熱可塑性樹脂を変性させる酸はフマル酸等でもよく、主成分とは異なる樹脂を変性したものを樹脂A6の副成分としてもよい。さらに、熱可塑性樹脂を酸により変性した樹脂も通常熱可塑性樹脂であるため、変性した樹脂のみを上記樹脂A6として使用してもよい。
変性した樹脂を製造するには、例えば付加重合前の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には、親水基の一つであるカルボキシル基が付加される。従って、熱可塑性樹脂に含まれる変性した樹脂は、木質系材料A5とのなじみが良くなっている。
【0034】
木質系材料A5と樹脂A6との配合割合については、一般に、木質系材料が多いと温度変化による変形は少なく、木質感が向上する。木質系材料がリッチな素材である場合、加熱により軟化されても素材は流動性が小さいが、後述する作用によりペレットを大量生産することが可能である。一方、熱可塑性樹脂が多いと、加熱軟化した素材の流動性は大きく、製造されたペレットは強度を意味する機械的性能が大きくなり、耐水性が向上する。本実施形態では、木質系材料A5と、同材料A5と等重量以下の樹脂A6とを、同樹脂A6を溶融させながら所定の押出機構にて混合して成形することなく不定形の状態で押し出した後、押し出した不定形の素材を所定の粉砕機構にて粉砕し、粉砕した素材を所定の成形機構にてペレット形状に成形する。ペレット用素材の好ましい配合割合は、木質系材料A5が70〜99.9重量%、樹脂A6(例えば付加重合前のPP用原料にマレイン酸を添加して付加重合させて変性させたPPを添加したPP)が0.1〜30重量%である。木質系材料を70重量%以上にするのは好適な靱性を得るためであり、熱可塑性樹脂を0.1質量%以上にするのは木質系材料同士を結合させて固まらせるためである。
【0035】
上述した流動状態の樹脂A6と粉末状の木質系材料A5のみをペレット製造装置に供給してもペレットA8を成形することができるが、さらに異なる第四の素材A7もペレット製造装置に供給してペレットを成形してもよい。第四の素材としては、木質系材料以外の充てん材、相溶化剤(例えば親水基を有する相溶化剤)、ステアリン酸アミド等の樹脂成形用の滑剤、合成樹脂の繊維や鉱物繊維等の繊維状素材、これらの組み合わせ等を用いることができる。ペレット用の素材中における第四の素材の配合比は、木質系材料A5や樹脂A6の物理的性質、化学的性質を十分に残す観点からは、木質系材料A5と等重量以下かつ樹脂A6と等重量以下とすればよい。例えば、樹脂A6としてPEを用い、合成樹脂の繊維として径0.1μm〜1mmでアスペクト比(径に対する長さの比)が10のPP繊維を用いる場合、ペレット用素材の好ましい配合割合は、PEが0.1〜30重量%、木質系材料A5とPP繊維の合計が70〜99.9重量%であって、木質系材料A5が69.9〜99.8重量%の範囲内、PP繊維が0.1〜30重量%の範囲内である。
【0036】
樹脂A3に溶融可能な樹脂を用いる場合、ペレット製造装置B1に原料A5,A6(,A7)が投入されると、同装置B1にて、原料A5,A6(,A7)からなる素材を加熱して軟化させ、軟化した素材を混合しながら不定形の状態で押し出し、その後不定形の素材を粉砕機に導入して粉砕し、粉砕した素材を成形機に導入してペレット形状に成形して固化させ、ペレットA8を成形する。
【0037】
ペレット製造装置は、例えば、図3〜図7に示す各部11〜15,20,40を備える装置10とすることができる。
材料供給装置11は、中空の略円筒形状に形成され、原料を開口部11a1から投入してホッパ装置11aに収容する。ホッパ装置11a内では、撹拌翼駆動モータ11a5の駆動がベルト11a4を介して撹拌翼接続円板11a3に伝達され、当該円板11a3と撹拌翼11a2が回転駆動する。これにより、ホッパ装置11a内の素材は撹拌されつつ混合され、混合材料供給口11a6から素材搬送装置12に供給される。
素材搬送装置12は、各部12a〜fを備え、混合材料供給口12aにて混合材料供給口11a6より素材の供給を受ける。略円筒形状の中空管12b内には、一部(図2、図3の右側)がペレット成形装置20内に挿入されたスクリュー軸12cが配設されている。このスクリュー軸12cは、軸方向に沿って複数フライトの螺旋状ネジ山が形成され、スクリューとされている。素材は、中空管12bとスクリュー軸12cとスクリューのネジ山にて形成される空間に収容される。当該空間に収容された素材は、スクリュー軸駆動モータ12eの駆動によりギヤ部12dを介して回転動作するスクリュー軸12cによって形成される所定の押出速度に基づいて、混合されながら混合材料流入口12aから流動体流出口12fに向かって押し出される。
【0038】
素材搬送装置12に併設されている素材加熱装置13は、各部13a,bを備え、混合材料流入口12aから供給された素材を加熱し、樹脂を溶融させて素材を軟化させる。従って、スクリューの回転動作によって押し出される素材は、軟化状態で流動体流出口12fに押し出される。ヒータ部13aに設けられた発熱体により高温とされた空気をブロア部13bにて中空管12bに吹き付けることにより、中空管12b内の素材が加熱される。ここで、素材の温度が樹脂の融点よりも高く、木質系材料が炭化しないようにヒータ部の加熱を設定すると、木質系材料を炭化させずに両者を溶融混合することができる。なお、素材搬送装置12が素材を搬送する能力は、軟化された素材の粘度等の性質に応じて決定すればよい。
軟化状態の素材は、流動体流出口12fからペレット成形装置20に押し込まれ、不定形の状態で押し出され、不定形のまま導入部に導入され、ペレット形状に成形されて、冷却槽40にて冷却される。
【0039】
選別搬送装置14は、径1〜4mm、より好ましくは径2〜3mmの略円形状の小穴が多数形成された選別搬送網、搬送網振動モータ、ペレット収容部を有している。冷却されて固化されたペレットは、順次選別搬送網に投入され、搬送網振動モータによって選別搬送網が振動することにより同選別搬送網の小穴にて大きさが選別される。そして、選別搬送網上に残存するペレットは、同選別搬送網上をペレット回収部に向かって移動していき、図示しないサイクロンによってペレット収容部に収容されることになる。また、選別搬送網から落下したペレットは、回収されて再利用される。
制御盤15は、複数の操作ボタンと、本装置10の運転条件の設定や運転状態をモニタリングする操作ディスプレイとが前面に配置されている。本装置10の操作者は、この制御盤15を使用して各種操作を行う。
【0040】
図5はペレット成形装置20の要部の斜視図であり、図6と図7は図4のB方向から見て示した垂直断面図である。なお、図6においてスクリュー軸12cとスクリューのネジ山については側面視して示している。以下、図6と図7を基準とした上下左右の関係により各部材の配置を説明する。
ペレット成形装置20は、図示した各部21〜23,25〜27,30等を備えている。軟化状態の素材の押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部21の左側には、素材流入口21aが設けられており、軟化状態の素材は素材搬送装置12から素材流入口21aに流入する。本実施形態では、外筒部21内にスクリュー12gの先端部(左端部)が挿入されており、外筒部21内に搬送された軟化状態の素材は同スクリュー12gの回転動作により混合されながら右方向に押され、外筒部21の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製部材の出口部22から左側に押し出され、不定形の素材M1として金属製の粉砕機用ホッパ32内に落下する。出口部22には、成形用のダイではなく、製造されるペレットよりもはるかに径の大きい単一の開口22aが形成されており、軟化して混合された素材は同開口22aを貫通して成形されることなく不定形の状態で押し出される。
【0041】
なお、従来のように上記出口部22の代わりにペレットと略同じ径とされた貫通穴が多数形成されたダイを外筒部21の右端部に取り付けると、樹脂の配合割合が小さい素材では樹脂を溶融させても素材の流動性が小さいため、ダイの部分で大きな抵抗が生じ、スクリュー12gの回転速度も制限されて素材の押出流量は非常に少ない。上記出口部22では大きな抵抗が生じないため、スクリュー12gの回転速度が制限されず素材の押出流量を大きくすることができる。
なお、素材の流動性は、JIS K7210に規定されたMFR(メルトマスフローレイト。単にメルトフローレイトともいう)に準拠して単位時間当たりにメルトフローレイト測定装置から押し出される素材の質量を測定することにより求められる流量(単位:g/10min)で表すことができる。この流量がJIS K7210に準拠して求められるMFRであり、以下、この流量を単にMFRとも呼ぶことにする。
通常、粉末状の木質系材料と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30と木質系材料の多い素材は、当該素材を試料として、押出機構内で不定形の素材が押し出される出口の位置(図6のP1)における素材の温度を試験温度θ(℃)とし、荷重Mnomを2.16kgとして、JIS K7210に準拠したMFRを測定すると、求められるMFRが1.0g/10min以下となる。MFRが小さいほど試料の流動性が小さいため、木質系材料の多い素材は流動性が小さいことになる。例えば、MFRが50g/10minのポリプロピレン(熱可塑性樹脂)を80重量%、粒径1mm以下の微粒状の木粉を20重量%配合した素材では、押出機構の出口の素材温度180℃を試験温度θとし、荷重Mnomを2.16kgとしてMFRを測定すると、MFRは0.0g/10minとなるか、或いは測定することができなくなってしまう。
流動性の小さい素材については、ペレット成形用のダイ(押出口が直径1〜8mm)を外筒部の端部に取り付けた押出成形機における素材の排出圧力Pe(上記出口の位置P1に相当する位置における素材の圧力)が大きくなりすぎ、押し出すことが困難となって、ペレットを大量生産することができない。なお、排出圧力Peは、押出成形機内において上記出口の位置P1に相当する位置に圧力計の検出部を挿入して測定することができる。特に、排出圧力Peが25.0MPa以上となる流動性の低い素材では、ペレット成形用のダイを装着した押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。通常、粉末状の木質系材料と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30である素材は樹脂が加熱軟化した状態で排出圧力Peが25.0MPa以上となってしまうが、このような流動性の小さい素材であっても本ペレット製造装置は混練しながら素材を押し出すことができる。
【0042】
本実施形態では、出口部の開口22aの断面積S1を外筒部21の出口部22側の端部における開口部分の断面積S0(外筒部の内側面で囲まれた部分の断面積)以上として、素材の排出圧力Peを確実に5.0MPa以下と小さくし、出口部から素材が円滑に押し出されるようにしている。図6ではS1=S0の場合を示しているが、S1>S0としてもよい。外筒部の出口部側の端部における断面積を比較対象とする限り、斜軸のスクリューを有する押出機でも同様のことが言える。むろん、S1<S0の場合であっても、成形するペレットよりもはるかに大きい径の開口を出口部に形成しておけば、素材を円滑に押し出すことが可能である。素材の排出圧力の観点から、出口部の開口は、素材の排出圧力Peを5.0MPa以下、より好ましくは3.0MPa以下、さらに好ましくは1.0MPa以下にさせる形状とすればよい。すると、単位時間あたり不定形の素材を大量に押し出すことができるので、ペレットを大量生産することができる。ここで、出口部の開口の断面積S1を大きくすれば排出圧力が小さくなり、S1を小さくすれば排出圧力が大きくなるので、同断面積S1を調節することによって排出圧力Peを調整することができる。
粉砕機用ホッパ32は、出口部の開口22aから押し出された軟化状態の不定形の素材M1を一旦収容し、下部開口32bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室33内へ供給することができる。ホッパの開口32aは出口部22から離されて同出口部22の下側に位置しているので、押し出した素材M1が後続の素材M1の押し出しを阻害することなく、ホッパ32は出口部の開口22aから押し出された不定形の素材M1を収容することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する不定形素材導入部31が、ホッパ32と粉砕室33に形成されていることになる。
【0043】
粉砕機(粉砕機構)30は、各部32〜37等を備え、不定形素材導入部31に導入された不定形の素材を複数の回転刃35,35の回転動により粒径1mm以下に粉砕する。回転テーブル34は粉砕室33内の下部において上下方向に回転軸を向けて回転可能とされ、回転刃35,35は回転テーブル34の上面に取り付けられて粉砕室33内の不定形の素材を回転動により粉砕可能とされ、電動モータ36は上下方向に向けて配設された円柱状の回転駆動軸36aを介して回転テーブル34を回転駆動し、粉体輸送機37は成形機用容器23の上部において下方に向けて開口した粉体吐出口37aまで粉砕後の素材M2を移送する。ホッパ32の下側において同ホッパの下部開口32bに連通する上部開口が形成された粉砕室33の下側(回転テーブル34の下面から下側)には、当該粉砕室33と略同じ径の円筒形状の金属製粉体収容室33aが設けられており、当該収容室33aに粉砕後の素材が粉体輸送機37へ吸い込まれる粉体吸引口37bが形成されている。すなわち、粉砕室33内の不定形の素材M1は、回転する回転刃35,35により粉砕され、粉砕室33の内周面と回転テーブル34の外周面との間33bから落下して粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口37aよりも上側まで斜め上方に移送されて、粉体吐出口37aから吐出される。
【0044】
粉砕機30にて粉砕された素材M2を導入する粉砕素材導入部24が形成された成形機用容器23は、各部23a,bを備え、容器用外筒部23aの下側開口を塞ぐように取り付けられた底部円板23bに、粉砕された素材の粒子よりも大きい範囲で直径1mm以上8mm以下、例えば直径3〜5mm程度の多数の貫通穴23dが略上下方向に向けて形成されている。容器用外筒部23aの上側の開口23cは粉砕機の粉体吐出口37aから離されて同吐出口37aの下側に位置しているので、成形機用容器23は吐出口37aから下方に向けて吐出された粉砕後の素材M2を収容することができる。
成形機用容器23内に設けられた押し込みローラ25,25は、略水平に設置された略円柱状の棒状部材25aの両端にて回転可能に取り付けられ、自ら回転しながら底部円板23b上を周回する。棒状部材25aは、両端からの中間部にて略上下方向に設けられた回転軸材25bに固定され、同回転軸材25bを中心軸として回転動可能に設けられている。ローラ駆動用電動モータ25cに対して通電を行って動作させ、回転軸材25bを回転させると、棒状部材25aの両端にあるローラ25,25が底部円板23b上を周回する。このとき、ローラ25,25は、底部円板23bの上面とローラ25,25との間の摩擦力により自ら回転しながら略円形の貫通穴23dの上側開口から粉砕後の素材を加圧して押し込む。すると、押し込まれた素材は、貫通穴23dの下側開口から略棒状に押し出される。
【0045】
成形機用容器23の下側にて回転可能に取り付けられた金属製ダイフェースカッタ部26は、各部26a,bを備え、ダイフェースカッタ部26を回転駆動するカッタ駆動用電動モータ27により回転動作する。本実施形態では、モータ27への取付部となるカッタテーブル26aに取り付けられて固定された各カッタ26bが底部円板23bの下面を摺動し、回転動作することによって貫通穴23dの下側開口から下方へ押し出される略棒状の素材を粉砕後の素材の粒子よりも大きい範囲で長さ1mm以上30mm以下、例えば長さ3〜7mm程度に切断する。カッタ26bは鋭利な刃先(丸みを帯びた刃先も可)を有しており、同刃先を略棒状に押し出される素材の断面方向に向けて移動させることにより同素材を切断してペレット形状に形成する。
なお、比較的融点の低い樹脂を素材に用いる場合、粉砕後の素材を成形機構にて加熱することなく底部円板23bとローラ25との間の摩擦力により十分に強固なペレットに成形される。一方、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等の比較的融点の高い樹脂を素材に用いる場合には、成形機用容器23(底部円板23bなど)やローラ25等にヒータを埋設して同ヒータに通電する等して温度を上昇させ、温度を上昇させた成形機用容器23やローラ25等によって素材を加熱すると、十分に強固なペレットに成形されるので好適である。
【0046】
以上の構成により、素材搬送装置12が軟化した素材をスクリュー12gにより混合しながら外筒部21内に押し込むと、溶融状態の樹脂が粉末状の木質系材料に滲み込みながら付着するので、木質系材料に樹脂が十分になじんだ(相溶化した)不定形の素材が形成される。ここで、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0以上とされているので、MFRが1.0g/10min以下と低流動性の素材であっても、素材の排出圧力Peは5.0MPa以下、通常は1.0MPa以下となる。すると、軟化しているが流動性の低い素材は、成形されることなく不定形の状態で(図5の不定形の素材M1)容易に押し出される。なお、素材中の木質系材料の配合割合が多いと素材M1は粉っぽい感じで押し出され、素材中の熱可塑性樹脂の配合割合が多いと素材M1は太いうどん状となって押し出される。
粉砕機30では、樹脂となじんだ木質系材料が粉砕され、均質にされて、粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口37aから下方に向けて吐出される。粉砕素材導入部24に導入される粉砕後の素材は、粉砕されているので、貫通穴23d内に入り込みやすく、単位時間当たりのペレット成形量が多い。また、貫通穴23dに入った状態で、素材の粒子間に適度な空隙(後成形時の熱を加える混練工程で崩れる程度の空隙)が生じる。貫通穴23dに押し込まれた粉砕後の素材は、貫通穴23dの下側開口から直径1〜8mmの略棒状に押し出され、カッタ26bにより断面方向に切断されて1〜30mmの長さとされ、粉砕後の素材の粒子よりも大きいペレットA8に成形される。
【0047】
このように、押出機構で押し出された不定形の素材は、一旦粉砕されて成形機構に供給されるので、非常に均質にされた状態で素材をペレットに成形することができ、非常に均質で良質な木質系成形体を得ることができる。また、木質系材料に樹脂が良くなじんだ(相溶化した)後にペレット化されるので、後成形時に原料段階ではペレット形状を維持させることができる一方、熱が加わる混練段階でペレットを崩れやすくさせて良好に分散させる。従って、粉砕機構を設けない場合と比べて木質系成形体を成形することが容易となる。さらに、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形しやすくなるので、単位時間当たりのペレット生産量をさらに増やすことが可能となる。
なお、ペレット成形装置としては、不定形の素材を略平板状に圧延可能な圧延ロールと、同圧延ロールにて圧延された略平板状の素材を細断するシュレッダーとを備え、不定形素材導入部に導入された不定形の素材を略平板状に圧延して細断することによりペレット形状に成形する装置等でもよい。
【0048】
(5)木質系成形体の製造方法:
上記ペレットA8を成形した後、後成形では水を添加した爆砕材料A4を添加し混合して木質系成形体の形状に成形し、木質系成形体A10を製造する。図1に示す押出成形装置B2では、ペレットA8と水添加後の爆砕材料A4とを後成形の原料としてホッパB3に投入し、加熱機付き押出機A8にて加熱しながら混練して軟化させる。ペレットA8は、加熱されて混練されることにより、崩れて分散し、水添加後の爆砕材料A4と一緒に均質に混合される。これにより、粉末状の木質系材料A5と爆砕材料A4とが反応し、木質系成形体の強度を向上させる。混練された素材は、所定形状のダイから押し出されて切断機A9にて切断され、木質系成形体の形状に押出成形されて、木質系成形体A10が形成される。
【0049】
ペレットA8と水添加後の爆砕材料A4との配合割合については、ペレットA8が70〜99.9重量%(より好ましくは80〜99重量%、さらに好ましくは85〜98重量%)、爆砕材料A4が0.1〜30重量%(より好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは2〜15重量%)である。爆砕材料A4の配合比を下限以上にすると、素材の成形圧力が低下し、木質系成形体の成形性をより良好にさせるとともに、木質系成形体の強度を上げ、耐水性をより良好にさせる点で好適である。これは、ヘミセルロースに由来する水可溶性の樹脂のような物質を水可溶性樹脂として十分に機能させることにより、素材の結着力が向上して木質系成形体の強度を向上させ、耐水性を向上させるためと推察される。一方、爆砕材料A4の配合比を前記上限以下にすると、ペレットが十分に存在することにより素材が十分に均質になり、木質系成形体の強度、耐水性を向上させ、均質で良質の木質系成形体が得られる点で好適である。
【0050】
上述した水添加後の爆砕材料A4とペレットA8のみを所定の成形装置に供給しても木質系成形体A10を製造することができるが、さらに異なる第五の素材A9も成形装置に供給して木質系成形体を成形してもよい。第五の素材としては、木質系材料以外の充てん材、相溶化剤(例えば親水基を有する相溶化剤)、ステアリン酸アミド等の樹脂成形用の滑剤、合成樹脂の繊維や鉱物繊維等の繊維状素材、これらの組み合わせ等を用いることができる。木質系成形体用の素材中における第五の素材の配合比は、木質系材料A5や樹脂A6の物理的性質、化学的性質を十分に残す観点からは、木質系材料A5と等重量以下かつ樹脂A6と等重量以下とすればよい。例えば、樹脂A6としてPEを用い、ペレット用素材の配合割合を樹脂A6が30重量%、粉末状の木質系材料A1が70重量%とし、合成樹脂の繊維として径0.1μm〜1mmでアスペクト比(径に対する長さの比)が10のPP繊維を用いる場合、木質系成形体用素材の好ましい配合割合は、爆砕材料A4が0.1〜30重量%、ペレットA4とPP繊維の合計が70〜99.9重量%であって、ペレットA4が69.9〜99.8重量%の範囲内、PP繊維が0.1〜30重量%の範囲内である。
【0051】
木質系成形体を製造する際には、汎用的な樹脂成形用の押出成形機や射出成形機やプレス成形機を用いて木質系成形体を成形することができる。本発明は、木質系材料A5と当該木質系材料と等重量以下の樹脂A6とを有する低流動性の素材を用いるので、特に後成形で素材を押し出す押出成形や素材を射出する射出成形を行う場合に適用すると好適である。
押出成形機としては、一軸スクリュー混練押出成形機や二軸スクリュー混練押出成形機など、種々の装置を用いることができる。例えば、図8に示すように、原料A4,A8(,A9)からなる原料m3を投入するためのホッパ61、軟化状態の素材の押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部62、同外筒部62の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製ダイ63、外筒部62内に挿入されたスクリュー64、同スクリューを回転駆動するスクリュー軸駆動モータ65、外筒部62に併設されて当該外筒部内を所定温度に加熱する加熱機(第二の加熱機構)66、ダイ63の外側(右側)に設けられたカッタ67、を備える加熱機付き一軸スクリュー混練押出成形機60を用いることができる。同押出成形機60は、ダイ63の押出口63aから軟化状態の素材を押し出して木質系成形体の形状に成形する。木質系成形体の形状に成形された素材は、図示しない冷却槽(第二の冷却機構)にて冷却されて固化し、木質系成形体A10として冷却槽から回収される。成形後の素材を即座に固化させることにより、木質系成形体どうしが相互に接着してしまうことを防止することができる。
【0052】
また、射出成形機としては、例えば、上記押出成形機60の各部61〜66と同様の構成を備えるとともに、図9に示すように、基部71、この基部71上に上下動可能に支持された下金型72、この下金型72を上下動させる図示しないシリンダ、下金型72の上面に対向して開閉可能に配置された上金型73、基部71上であって下金型72の左側に設けられて上金型73を回動可能に支持する支持部74、上金型73を回動させる図示しないモータ、下金型72と上金型73とで挟まれる空間に押出口63aから押し出された軟化状態の素材を注入するため図9において上金型73の上面に設けられた注入口75、を備える射出成形機70を用いることができる。同射出成形機は、両金型72,73に挟まれた空間内に軟化状態の素材を射出して木質系成形体の形状に成形する。そして、図示しない冷却機構にて金型72,73を冷却すると、射出された素材が固化し、木質系成形体A10が形成される。
【0053】
以上説明したように、従来では水の存在によって樹脂と木質系材料との密着性が阻害されて十分な強度が得られないため添加するのが非常識であるとされていた水を粉末状の乾燥爆砕材料A2に添加することによって、木質系成形体の形状に成形する際の素材の成形圧力が低下し、木質系成形体の成形性を向上させることが可能になる。また、素材に水を添加したにもかかわらず、木質系成形体の強度を向上させ、耐水性を向上させて、均質でより良質の木質系成形体を大量生産することが可能になる。その結果、得られる木質系成形体は、良好な強度、良好な耐水性を示し、均質で非常に良質となる。
【0054】
(4)各種変形例:
上記粉砕機構には、種々の公知の粉砕機を使用可能である。
上記成形機用容器を加熱する容器加熱手段を設けてもよい。
上記カッタを加熱するカッタ加熱手段を設けてもよい。
【0055】
図10に示すように、ペレットを形成せず、水を添加した爆砕材料A4と、粉末状の木質系材料A5と、流動状態あるいは流動可能な樹脂A6と、必要に応じて第四、第五の素材A8,A9を同時にホッパB3に供給し、これらの原料A4,A5,A6(A8,A9)を一緒に混合して押出成形等で成形することにより木質系成形体A10を製造してもよい。この製造方法によっても、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体を量産することが可能になる。これは、リグニン分解物が水添加によって流動化剤として機能し、素材の成形圧力が低下して木質系成形体の成形性を向上させるとともに、ヘミセルロースから爆砕により変性した水可溶性樹脂のような物質が水添加により樹脂として働き、素材の結着力が向上して木質系成形体の強度を向上させ、耐水性を向上させるためと推察される。
また、水を添加した爆砕材料A4の代わりに、粉末状の爆砕材料A2と水A3とを原料A5,A6(A8,A9)とともに同時にホッパB3に供給し、これらの原料を一緒に混合して押出成形等で成形することにより木質系成形体A10を製造してもよい。すなわち、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料とに、水を添加し、混合して成形することにより木質系成形体を製造する。この製造方法によっても、同様の効果は得られる。
【0056】
また、樹脂A6と粉末状の木質系材料A5と必要に応じて第四の素材A7とを混合した後、水を添加した爆砕材料A4と必要に応じて第五の素材A9とを添加し混合して後成形してもよい。この製造方法によると、樹脂と粉末状の木質系材料との混合時に粉末状の木質系材料と粉末状の爆砕材料とが反応しないようにさせ、後成形時にこれらを十分に反応させることができ、後成形時の素材の成形性をさらに良好にさせることが可能になる。また、爆砕していない粉末状の木質系材料を樹脂と混合する際には水分が少ないほどなじみが良くなるので、水を添加した爆砕材料を後添加することにより、木質系成形体の強度をさらに上げることが可能となる。
特に、樹脂A6が溶融可能な場合、樹脂A6を加熱溶融させるときに素材中の水分が蒸発するので、ヘミセルロースから変性した物質により得られる水可溶性樹脂の機能が無くなりはしないものの低下したり、リグニン分解物により得られる流動化剤の機能が無くなりはしないものの低下したりすることがある。水を添加した爆砕材料A4を後添加することによって、これらのような機能の低下を防ぐことができ、水可溶性樹脂の機能や流動化剤の機能を十分に発揮させて、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を非常に良好にさせる。
【0057】
(6)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
[調製例1]
本調製例は、乾燥した粉末状の爆砕材料A2を調製した一例である。
木質系材料A1として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を2kg用いた。当該木粉を圧力反応釜の中に入れ、さらに6kgすなわち300重量%(当該木粉の重量を基準とした相対量)の水を添加して、水蒸気存在下で飽和水蒸気圧230℃まで加熱しながら加圧した。この状態を、10分間保持した後、圧力反応釜のバルブを開いて圧力反応釜の内容物を急激に外気へ放出して減圧し、木粉を爆砕した。このときに得られた爆砕物の含水率は、200重量%であった。
存在する水分A13を除去することなく上記爆砕物を乾燥台上に平たく薄く厚さ1cmとなるように載せ、送風乾燥機にて100℃で加熱しながら、送風機C4にて爆砕材料に風速0.5m/secで送風しながら、24時間、絶乾処理を行った。その後、送風乾燥機内を30℃に下げ、乾燥爆砕木粉(A2)を得た。当該乾燥爆砕木粉の含水率を測定したところ、0重量%であった。なお、以下の調製例2では、調製した乾燥爆砕木粉を速やかに使用した。
【0058】
[調製例2]
本調製例は、水を添加した爆砕材料A4を調製した一例である。
温度25℃、湿度30v/v%、無風状態のもと、上記調製例1で得られた乾燥爆砕木粉1kgに対して水を0.05kg、すなわち、水A3の配合比が5重量%となるように、噴霧機を用いて添加した。その後、軽くかき混ぜ、水を添加した爆砕木粉を調製した。なお、以下の実施例では、調製した水添加後の爆砕木粉を速やかに使用した。
【0059】
[調製例3]
本調製例は、ペレットA8を調製した例である。
木質系材料A5として、粒径1mm以下に粉砕した木粉(含水率5重量%)を用いた。熱可塑性樹脂(主成分)として、JIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃、荷重2.16kg)におけるMFRが30(g/10min)の粒状ポリプロピレン(PPと記載)を用いた。添加剤(副成分)として、マレイン酸を用いてポリプロピレンを変性したマレイン酸変性樹脂(三洋化成社製ユーメックス、CA60)を用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、押出機構の出口部にダイを取り付けず、スクリューの回転速度を10rpmとして使用した。従って、出口部の開口の断面積S1が外筒部の出口部側端部における開口部分の断面積S0に等しい条件で試験を行っている。
以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂とを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら不定形の状態で押し出してホッパに受け止めた。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。この180℃を試験温度θとし、荷重を2.16kgとして素材のMFRをMFR測定装置にて測定するとともに、押出機構内の出口の位置P1における排出圧力Peを圧力計にて測定した。そして、ホッパに受け止めた不定形の素材を粉砕機にて粒径1mm以下に粉砕し、ペレット成形機にて径5mm、長さ5mmのペレット形状に成形し、ペレットを作製した。

素材の配合量: 試験区1 試験区2 試験区3
木粉 78重量部 68重量部 88重量部
PP 18重量部 18重量部 8重量部
マレイン酸変性樹脂 2重量部 2重量部 2重量部
計 98重量部 88重量部 98重量部

素材の配合量(比較例用): 試験区4 試験区5
木粉 80重量部 90重量部
PP 18重量部 8重量部
マレイン酸変性樹脂 2重量部 2重量部
計 100重量部 100重量部
【0060】
[実施例1]
本実施例は、水を添加した爆砕材料A4を後添加して木質系成形体を形成した例である。
水を添加した爆砕材料A4には、調製例2で調製した水添加後の爆砕木粉を用いた。ペレットA8には、調製例3で調製した試験区1,2,3のペレットを用いた。
加熱機付き混練押出機として径80mmのコニカル二軸押出成形機(シンシナティエクストルージョン社製タイタン80)を用い、押出機構の出口部に110mm×9mm角の開口を有するダイを取り付け、スクリューの回転速度を7rpmとして使用した。
以下に記載した素材の配合量でペレットと水添加後の爆砕木粉を加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、長さ1000mmの木質系成形体を作製して、20℃に空冷した。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。押出機構内の出口の位置における排出圧力(成形圧力)を圧力計にて測定するとともに、冷却後の木質系成形体の曲げ強度をJIS K7171−1994(プラスチック−曲げ特性の試験方法)の曲げ強さに準拠して測定した。以下も、同様である。

素材の配合量: 試験区1 試験区2 試験区3
ペレット 98重量% 88重量% 98重量%
水添加後の爆砕木粉 2重量% 12重量% 2重量%
計 100重量% 100重量% 100重量%
【0061】
[実施例2]
本実施例は、水を添加した爆砕材料A4を木質系材料A5および樹脂A6と同時に押出成形機に供給して木質系成形体を形成した例である。
水を添加した爆砕材料A4には、調製例2で調製した水添加後の爆砕木粉を用いた。木質系材料A5、樹脂A6(PPとマレイン酸変性樹脂)は、調製例3と同じものを用いた。また、加熱機付き混練押出機は実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。
以下に記載した素材の配合量で木粉とPPとマレイン酸変性樹脂と水添加後の爆砕木粉を加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、長さ1000mmの木質系成形体を作製して、20℃に空冷した。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。押出機構内の出口の位置における排出圧力(成形圧力)を圧力計にて測定するとともに、冷却後の木質系成形体の曲げ強度を測定した。

素材の配合量: 試験区1 試験区2
木粉 78重量% 68重量%
PP 18重量% 18重量%
マレイン酸変性樹脂 2重量% 2重量%
水添加後の爆砕木粉 2重量% 12重量%
計 100重量% 100重量%
【0062】
[比較例1]
本比較例は、実施例1に対する比較例であり、水を添加していない乾燥した粉末状の爆砕材料A2を用い、当該爆砕材料A4を後添加して木質系成形体を形成した例である。
乾燥した粉末状の爆砕材料A2には、調製例1で調製した乾燥爆砕木粉を用いた。ペレットA8には、調製例3で調製した試験区4,5のペレットを用いた。また、加熱機付き混練押出機は実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。
以下に記載した素材の配合量でペレットと水添加後の爆砕木粉を加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、長さ1000mmの木質系成形体を作製して、20℃に冷却した。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。押出機構内の出口の位置における排出圧力(成形圧力)を圧力計にて測定するとともに、冷却後の木質系成形体の曲げ強度を測定した。

素材の配合量: 試験区1 試験区2
ペレット 98重量% 88重量%
乾燥爆砕木粉 2重量% 12重量%
計 100重量% 100重量%
【0063】
[比較例2]
本比較例は、実施例2に対する比較例であり、水を添加していない乾燥した粉末状の爆砕材料A2を用い、当該爆砕材料A4を木質系材料A5および樹脂A6と同時に押出成形機に供給して木質系成形体を形成した例である。
乾燥した粉末状の爆砕材料A2には、調製例1で調製した乾燥爆砕木粉を用いた。木質系材料A5、樹脂A6(PPとマレイン酸変性樹脂)は、調製例3と同じものを用いた。また、加熱機付き混練押出機は実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。
以下に記載した素材の配合量でペレットと水添加後の爆砕木粉を加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、長さ1000mmの木質系成形体を作製して、20℃に冷却した。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。押出機構内の出口の位置における排出圧力(成形圧力)を圧力計にて測定するとともに、冷却後の木質系成形体の曲げ強度を測定した。

素材の配合量: 試験区1 試験区2
木粉 78重量% 68重量%
PP 18重量% 18重量%
マレイン酸変性樹脂 2重量% 2重量%
乾燥爆砕木粉 2重量% 12重量%
計 100重量% 100重量%
【0064】
[比較例3]
本比較例は、実施例1試験区2に対する比較例であり、脱水処理を行って乾燥した粉末状の爆砕材料を用い、当該爆砕材料を後添加して木質系成形体を形成した例である。
調製例1と同じ方法で木粉を爆砕し、得られた爆砕物を布で絞って脱水した。その後、脱水した爆砕物を乾燥台上に平たく薄く厚さ1cmとなるように載せ、送風乾燥機にて100℃で加熱しながら、送風機C4にて爆砕材料に風速0.5m/secで送風しながら、24時間、絶乾処理を行った。その後、送風乾燥機内を30℃に下げ、乾燥爆砕木粉を得た。当該乾燥爆砕木粉の含水率を測定したところ、0重量%であった。なお、調製した乾燥爆砕木粉は速やかに使用した。
ペレットA8には、調製例3で調製した試験区2のペレットを用いた。また、加熱機付き混練押出機は実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。
以下に記載した素材の配合量でペレットと水添加後の爆砕木粉を加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形し、長さ1000mmの木質系成形体を作製して、20℃に冷却した。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。押出機構内の出口の位置における排出圧力(成形圧力)を圧力計にて測定するとともに、冷却後の木質系成形体の曲げ強度を測定した。

素材の配合量:
ペレット 88重量%
脱水処理した爆砕木粉 12重量%
計 100重量%
【0065】
[比較例4]
本比較例は、爆砕木粉を用いずに木質系成形体を形成した例である。
ペレットA8には、調製例3で調製した試験区4,5のペレットを用いた。また、加熱機付き混練押出機は実施例1と同じものを用い、スクリューの回転速度も実施例1と同じにした。
ペレットを加熱機付き混練押出機に投入し、素材を230℃に加熱して混合しながら110mm×9mm角に押出成形することを試み、素材を押し出すことができた場合に長さ1000mmの木質系成形体を作製し、20℃に冷却した。押出機構内の出口の位置における素材の温度は、180℃であった。押出機構内の出口の位置における排出圧力(成形圧力)を圧力計にて測定するとともに、冷却後の木質系成形体の曲げ強度を測定した。
【0066】
以上の実施例1,2と比較例1〜4について、木質系成形体成形時の排出圧力(成形圧力)、曲げ強度を測定した結果、木質系成形体の様子を観察した結果を表1〜4に示す。
【表1】

【0067】
爆砕木粉の後添加を行った実施例1と比較例1の試験区1(爆砕木粉2重量%)どうしを比較すると、排出圧力は水を添加していない比較例が9MPaであるのに対し水を添加した実施例が8MPaと小さくなり、曲げ強度は水を添加していない比較例が62MPaであるのに対し水を添加した実施例が72MPaと大きくなった。実施例の木質系成形体は、比較例以上に均質であり、耐水性も比較例以上に良好であった。
また、実施例1と比較例1の試験区2(爆砕木粉12重量%)どうしを比較すると、排出圧力は水を添加していない比較例が7MPaであるのに対し水を添加した実施例が5MPaと小さくなり、曲げ強度は比較例が78MPaであるのに対し水を添加した実施例が85MPaと大きくなった。実施例の木質系成形体は、比較例以上に均質であり、耐水性も比較例以上に良好であった。
なお、爆砕木粉の配合量が多いほど、排出圧力が低下して木質系成形体の成形性が向上し、曲げ強度が向上することがわかった。
以上より、乾燥爆砕木粉に対して水を添加することによって、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体が得られることが確認された。
【0068】
【表2】

【0069】
爆砕木粉を他の原料と同時に添加した実施例2と比較例2の試験区1(爆砕木粉2重量%)どうしを比較すると、排出圧力は同じであるのに対し、曲げ強度は水を添加していない比較例が41MPaであるのに対し水を添加した実施例が42MPaと若干ながら大きくなった。比較例の木質系成形体は、やや不均質であり、耐水性も実施例より劣った。
また、実施例2と比較例2の試験区2(爆砕木粉12重量%)どうしを比較すると、排出圧力は同じであるのに対し、曲げ強度は比較例が51MPaであるのに対し水を添加した実施例が53MPaと大きくなった。比較例の木質系成形体は、やや不均質であり、耐水性も実施例より劣った。
なお、爆砕木粉の配合量が多いほど、排出圧力が低下して木質系成形体の成形性が向上し、曲げ強度が向上することがわかった。
以上より、乾燥爆砕木粉に対して水を添加することによって、木質系成形体の強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体が得られることが確認された。
【0070】
【表3】

【0071】
爆砕木粉の脱水処理を行ったか否かが異なる実施例1試験区2と比較例3とを比較すると、排出圧力は爆砕木粉を脱水した比較例が7MPaであるのに対し爆砕木粉の脱水処理を行わなかった実施例が6MPaと小さくなり、曲げ強度は爆砕木粉を脱水した比較例が52MPaであるのに対し爆砕木粉の脱水処理を行わなかった実施例が85MPaと大きくなった。
以上より、爆砕木粉を乾燥させる際に水分を除去することなく乾燥することによって、木質系成形体の成形性、強度、耐水性が向上することが確認された。
【0072】
【表4】

【0073】
ペレットを成形した実施例1試験区1と比較例4試験区1とを比較すると、排出圧力は爆砕木粉を添加しなかった比較例が15MPaであるのに対し爆砕木粉を添加した実施例が9MPaと小さくなった。また、曲げ強度は爆砕木粉を添加しなかった比較例が35MPaであるのに対し爆砕木粉を添加した実施例が72MPaと大きくなった。実施例の木質系成形体は、比較例以上に均質であり、耐水性も比較例以上に良好であった。
実施例1試験区3と比較例4試験区2とを比較すると、素材はMFRが0.0g/10minと流動性が小さかったため、比較例では排出圧力が25MPa以上となって押出機から素材を押し出すことができなかった。一方、実施例では、押出機から素材を押し出すことができた。
以上より、爆砕木粉を添加することによって、木質系成形体の成形性、強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体が得られることが確認された。
【0074】
(7)まとめ:
本発明の木質系成形体の製造方法では、木質系成形体成形時の素材の成形圧力が低下し、木質系成形体の成形性を向上させるとともに、従来では水分の存在によって十分な強度が得られないため除去するようにしていた水を素材に添加したにもかかわらず、木質系成形体の強度、耐水性を向上させ、均質でより良質の木質系成形体を大量生産することが可能になる。このような効果は、爆砕材料を後添加することによって向上するし、粉末状の木質系材料と樹脂と必要に応じて第四の素材とからペレットを一旦成形して爆砕材料を後添加することによってさらに向上する。
また、木質系材料を水蒸気存在下で爆砕し、存在する水分を除去することなく乾燥して粉末状の爆砕材料を得ると、ヘミセルロースから変性した成分やリグニン分解物が十分に残存することによって、木質系成形体の成形性、強度、耐水性をさらに向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】木質系成形体の製造方法を示す概略の流れ図。
【図2】水を添加した爆砕材料を調製する方法を示す概略の流れ図。
【図3】ペレット製造装置の外観側面図。
【図4】ペレット製造装置の外観上面図。
【図5】ペレット成形装置の要部を示す斜視図。
【図6】ペレット成形装置の要部を図3のB方向から見て示す垂直断面図。
【図7】ペレット成形装置の要部を図3のB方向から見て示す垂直断面図。
【図8】加熱機付き押出成形機の構造を一部断面視して示す要部側面図。
【図9】加熱機付き射出成形機の構造を示す要部断面図。
【図10】変形例の木質系成形体の製造方法を示す概略の流れ図。
【符号の説明】
【0076】
10,B1…ペレット製造装置
20…ペレット成形装置
21…外筒部
22…出口部
22a…開口
23…成形機用容器
24…粉砕素材導入部
30…粉砕機(粉砕機構)
40…冷却槽
A1…木質系材料
A2…粉末状の爆砕材料
A3…水
A4…水を添加した爆砕素材
A5…粉末状の木質系材料
A6…樹脂
A8…ペレット
A10…木質系成形体
M1…不定形の素材
M2…粉砕後の素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料に水を添加し、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、前記水を添加した爆砕材料と、を混合して成形することにより木質系成形体を製造することを特徴とする木質系成形体の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂が溶融可能な樹脂であり、少なくとも、前記溶融可能な樹脂と、前記粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形することにより木質系成形体を製造することを特徴とする請求項1に記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項3】
少なくとも、前記溶融可能な樹脂と、前記粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合してペレット形状に成形した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形することを特徴とする請求項2に記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項4】
少なくとも、前記溶融可能な樹脂と、前記粉末状の木質系材料とを、前記樹脂を溶融させながら混合して不定形の状態で押し出し、押し出した不定形の素材を粉砕し、粉砕した素材をペレット形状に成形した後、前記水を添加した爆砕材料を添加し混合して後成形することを特徴とする請求項2に記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項5】
前記粉末状の爆砕材料は、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく乾燥して得られる粉末状の材料とされていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項6】
前記粉末状の爆砕材料は、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく含水率(全乾質量基準)5重量%以下に乾燥して得られる粉末状の材料とされ、当該粉末状の爆砕材料に水を1〜20重量%添加し、少なくとも、当該水を添加した爆砕材料と、前記流動状態の樹脂と、前記粉末状の木質系材料と、を混合して成形することを特徴とする請求項5に記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項7】
木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し、存在する水分を除去することなく60〜105℃で乾燥して前記粉末状の爆砕材料を得るとともに、当該粉末状の爆砕材料に水を添加し、少なくとも、当該水を添加した爆砕材料と、前記流動状態の樹脂と、前記粉末状の木質系材料と、を混合して成形することを特徴とする請求項5に記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項8】
前記粉末状の爆砕材料に水を噴霧して添加し、少なくとも、当該水を添加した爆砕材料と、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、を混合して成形することにより木質系成形体を製造することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の木質系成形体の製造方法。
【請求項9】
少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料とに、水を添加し、混合して成形することにより木質系成形体を製造することを特徴とする木質系成形体の製造方法。
【請求項10】
木質系材料を水蒸気存在下で加熱および加圧後急激に減圧して爆砕し乾燥した粉末状の爆砕材料に水を添加し、少なくとも、流動状態の樹脂と、粉末状の木質系材料と、前記水を添加した爆砕材料と、を混合して成形することにより得られる木質系成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−272696(P2006−272696A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93753(P2005−93753)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】