木造建物の部屋の耐震補強方法および耐震シェルター
【課題】建物が補強されることによって建物の耐震強度の向上が図られ、しかも部材の搬入および組み立ての工事が容易なこと。
【解決手段】木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法であって、アルミニウム材料を用いて形成された壁面補強ユニット11,12を、部屋を囲むように配された複数の柱51の間に配置する工程と、床面補強ユニット13を部屋の床下に配置する工程と、天井面補強ユニットを部屋の天井裏に配置する工程と、壁面補強ユニット11を、その両側にある柱51に対してネジ部材で固定する工程と、床面補強ユニット13および天井面補強ユニットを壁面補強ユニット11とネジ部材で連結する工程とを有してなる。
【解決手段】木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法であって、アルミニウム材料を用いて形成された壁面補強ユニット11,12を、部屋を囲むように配された複数の柱51の間に配置する工程と、床面補強ユニット13を部屋の床下に配置する工程と、天井面補強ユニットを部屋の天井裏に配置する工程と、壁面補強ユニット11を、その両側にある柱51に対してネジ部材で固定する工程と、床面補強ユニット13および天井面補強ユニットを壁面補強ユニット11とネジ部材で連結する工程とを有してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法および耐震シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、建物の部屋の内部に耐震シェルターを設け、地震の発生時に耐震シェルターに緊急避難することが提案されている(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1によると、壁用、隅壁用、天井用のパネル化されたシェルター構造部材をスチール(鉄)で製作しておき、それらをボルトで連結して1個の耐震シェルターとして組み立てる。
【0004】
特許文献2によると、ベース、柱材、天井、天井はりの枠部、天井はり筋かい部、補強柱などの主要素またはそのための部材を、鋼材によって製作する。木造建物の既存の天井、壁、床の解体工事を行った後、コンクリート構造の基礎工事を行い、各部材を搬入し、ボルト又は溶接により組み立てて耐震シェルターとする。
【0005】
耐震シェルターを建物の中の日常生活に使用する一室に設けることにより、地震が発生したときに素早く耐震シェルター内に避難することができ、建物の倒壊などから身体を守ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3149194
【特許文献2】特開平8−312193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上に述べた従来の耐震シェルターでは、耐震シェルター自体を強固にすることは可能であるが、建物を補強するという点では効果がないかまたは十分ではない。
【0008】
すなわち、特許文献1の耐震シェルターでは、建物の一室の中で、規格化されたパネル部材を組み立てて耐震シェルターとするので、組み立てられた耐震シェルターと建物との構造上の一体性が低く、建物の補強にはほとんどならない。
【0009】
また、特許文献2の耐震シェルターにおいても、建物の一室の中で、各部材をボルト又は溶接により組み立てて耐震シェルターとするので、特許文献1の場合と同様に耐震シェルターと建物との構造上の一体性が低く、建物の補強にはほとんどならない。
【0010】
したがって、特許文献1、2に開示された耐震シェルターを設けても、地震による建物の倒壊などの可能性はほとんど低くならない。
【0011】
しかも、耐震シェルターが部屋の内側に設置されるので、それだけ居住空間が狭くなって居住性が低下する。
【0012】
また、特許文献1、2では、建物内にスチール製(鋼鉄製)のパネル部材を搬入する必要があるが、スチール製であるので重量が大きく、クレーンやジャッキなどの重機を必要とする。しかし、木造建物では一般にそのような重機を持ち込むことが不可能であるので、パネル部材の搬入および据え付けの工事が容易ではない。人手で搬入できる程度の小さい部材に分解した場合に、部材の個数が増大し、搬入および組み立ての工事が容易ではない。
【0013】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、建物が補強されることによって建物の耐震強度の向上が図られ、しかも部材の搬入および組み立ての工事が容易な、木造建物の部屋の耐震補強方法、および耐震シェルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る方法は、木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法であって、アルミニウム材料を用いて形成された壁面補強ユニットを、前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置する工程と、アルミニウム材料を用いて形成された床面補強ユニットを、前記部屋の床下に配置する工程と、アルミニウム材料を用いて形成された天井面補強ユニットを、前記部屋の天井裏に配置する工程と、前記壁面補強ユニットを、その両側にある前記柱に対してネジ部材で固定する工程と、前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、を有してなる。
【0015】
本発明に係る耐震シェルターは、木造建物の部屋の耐震強度を補強により高くした耐震シェルターであって、前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置された、軽金属材料を用いて形成された複数の壁面補強ユニットと、前記部屋の床下に配置された、軽金属材料を用いて形成された床面補強ユニットと、前記部屋の天井裏に配置された、軽金属材料を用いて形成された天井面補強ユニットと、前記壁面補強ユニットをその両側にある前記柱に対して固定するネジ部材と、前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、を備えてなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、建物が補強されることによって建物の耐震強度の向上が図られ、しかも耐震シェルターのための部材の搬入および組み立ての工事が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る耐震シェルターの平面図である。
【図2】図1に示す耐震シェルターのA−A線矢視断面図である。
【図3】耐震シェルターの概略の構成を示す斜視図である。
【図4】壁面補強ユニットの例を示す正面図である。
【図5】壁面補強ユニットの例を示す正面図である。
【図6】床面補強ユニットの例を示す斜視図である。
【図7】天井面補強ユニットの例を示す斜視図である。
【図8】壁面補強ユニットと床面補強ユニットとの連結構造の例を示す図である。
【図9】図8の断面側面図である。
【図10】壁面補強ユニットと建物の柱との連結構造の例を示す図である。
【図11】床面補強ユニットを支持する土台の構造の例を示す図である。
【図12】耐震シェルター1の概略の施工方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図3において、耐震シェルター1は、木造建物MTの部屋HYの耐震強度を補強により高くするものである。
【0019】
部屋HYは、鉛直方向に設置された木材からなる多数の柱51(51a,b,c…)によって囲まれている。
【0020】
図2に示されるように、木造建物MTでは、地面JMに施工されたコンクリート基礎CKの上に、木材からなる複数の根太受け52(52a,b…)が水平方向に設置されている。根太受け52の上に、上に述べた柱51が立設される。柱51には、2階のためのはり53、かもい54、なげしなどが取り付けられる。また、図示しない木材からなる柱、はり、根太、けた、垂木、枠などの種々の構造部材が設けられる。また、構造用パネル、および、軽量鉄骨など金属からなる構造部材が併用されることもある。
【0021】
図3に示されるように、部屋HYは、壁面AK1〜9、引き戸口AD1〜4、床面AY、および天井面ATによって囲まれた6畳の部屋である。壁面AK1〜9および、引き戸口AD1〜4の間に、柱51a〜jが立てられている。
【0022】
なお、図3に示す部屋HYは一例であり、これ以外の壁面構成、戸口構成、広さ、形状などを有する部屋であってもよい。
【0023】
部屋HYを改造(改築)して耐震補強された耐震シェルター1とするために、まず、部屋HYの構造部材である柱51根太受け52などを残し、壁面AK1〜9、引き戸口AD1〜4、床面AY、および天井面ATなどの部材を除去する。その後、以下に説明する壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14などを搬入し、据え付け、ネジ部材を用いて固定し連結する。
【0024】
すなわち、耐震シェルター1は、部屋HYの柱51などに対して追加された、壁面補強ユニット11(11a,b…),12(12a,b…)、床面補強ユニット13、天井面補強ユニット14、ネジ部材21,22などからなる。
【0025】
これら壁面補強ユニット11,12は、いずれも軽金属材料を用いて形成されており、部屋HY部屋を囲むように配された複数の柱51の間に配置されている。
【0026】
軽金属材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウム材料が用いられる。例えば、日本工業規格(JIS)のアルミニウム合金5083、5086、7003などを用いることができる。
【0027】
これらのアルミニウム材料は、比重が約2.7であり、鋼材の比重が約7.85であることと比較すると重量は約3分の1と軽量である。しかも、強度は鋼材に比べて大幅には低くなく、重力比強度では却って鋼材よりも高くなることもある。
【0028】
床面補強ユニット13は、部屋HYの床下に配置され、天井面補強ユニット14は部屋HYの天井裏に配置される。床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14も、上と同じ軽金属材料が用いられる。
【0029】
ネジ部材21は、木ねじであり、各ユニットに設けられた穴に挿入され、柱51または根太受け52などにねじ込んで締め付けられる。ネジ部材21は、柱51の表面に対して直角ではなく、斜め方向にねじ込まれる。その場合のネジ部材21の傾斜方向は、柱51の長さ方向に沿って傾斜するようにすればよい。ネジ部材21を斜めにねじ込むことによって、連結の強度が向上する。
【0030】
なお、複数のネジ部材21の間において傾斜方向を異ならせてもよい。また、一部または全部のネジ部材21を柱51の表面に対して直角にねじ込むようにしてもよい。
【0031】
図2では、ネジ部材21によって、壁面補強ユニット11aおよび12aが柱51a,b,cに固定され連結されている状態が示されている。ネジ部材21は、柱51の長さ方向の下方に沿って傾斜している。
【0032】
ネジ部材22は、ボルトおよびナットであり、ボルトが各ユニットおよび柱51に設けられた穴を貫通するように挿入され、ナットで締め付けられる。図2では、壁面補強ユニット11aと12aが柱51bを挟んで配置され、それらに設けられた穴を貫通するボルトとナットとによって互いに締め付けられ、これによって互いに連結されている状態が示されている。
【0033】
ネジ部材21,22は、重量的に問題となるものではないので、鋼製またはステンレス鋼製のものを用いればよい。アルミニウム合金製のものを用いることも可能である。また、ネジ部材21,22には、適当なワッシャを併用するのが好ましい。
【0034】
なお、ネジ部材21,22のサイズおよび形状は、それらユニットおよび柱51などのサイズまたは形状などに応じて適宜選定すればよい。
【0035】
このように、壁面補強ユニット11、12aが柱51を挟んで固定され連結されることにより、順次固定され連結された壁面補強ユニット11,12および柱51が、部屋HYを環状に取り囲む状態となっている。
【0036】
なお、壁面補強ユニット11を配置する工程において、壁面補強ユニット11を、柱51の部屋HYの側の面よりも奥まった位置に配置する。
【0037】
つまり、図1において、2点鎖線で示す面FC1が、柱51の部屋HYの側の面である。壁面補強ユニット11は、この面FC1よりも奥まった位置に配置される。これによって、壁面補強ユニット11が面FC1よりも部屋HYの内方へ突出することがなく、部屋HYの空間が狭くなることがない。
【0038】
そして、壁面補強ユニット11を柱51に対して固定した後に、壁面補強ユニット11の部屋HYの側の面を覆うように壁面(壁板)が取り付けられる(図10参照)。したがって、壁面補強ユニット11を、壁面の厚さ以上に面FC1よりも奥まった位置に配置することが好ましい。例えば、壁面補強ユニット11を面FC1よりも2センチメートル程度奥まった位置に配置すればよい。
【0039】
さらに、床面補強ユニット13が、壁面補強ユニット11,12とネジ部材で連結される。また、天井面補強ユニット13が、壁面補強ユニット11,12とネジ部材で連結される。
【0040】
床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14を壁面補強ユニット11,12とネジ部材で連結する工程において、床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14の縁部を、壁面補強ユニット11,12の上下端部に設けられた部屋の内方へ突出するブラケット16にネジ部材で連結する(図8および図9を参照)。これについては後で詳細に説明する。
【0041】
なお、図2において、木造建物MTにおいて、地面JMにモルタル基礎CDが設けられ、その上にコンクリートのつか石TKが配置されている。床面補強ユニット13は、つか石TKの上に設けられた支持部材55によって支持されている。
【0042】
以下さらに詳しく説明する。
【0043】
図4において、壁面補強ユニット11は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材31〜33を溶接によって互いに接合することによって、方形枠状に形成される。H型材31,32のそれぞれの外側のフランジFGによって、壁面補強ユニット11の外周面が形成される。
【0044】
すなわち、図4に示す壁面補強ユニット11は、2つの縦方向のH型材31a,31b、3つの横方向のH型材32a,32b,32c、および2つの筋交い用のH型材33a,33bが、互いに溶接によって連結されて形成される。筋交い用のH型材33は、他のH型材31,32よりもサイズの小さいものでもよい。
【0045】
壁面補強ユニット11の幅方向の寸法L1は、それが配置される柱51間の間隔に応じて設定される。その場合に、柱51が傾いていたり柱51間の間隔が位置によって異なる可能性があるので、寸法L1を柱51間の間隔よりも小さくしておく。壁面補強ユニット11と柱51との間に隙間が生じる場合には、そこにシム板などのスペーサを挿入して隙間をなくせばよい。
【0046】
このように寸法L1を設定することで、壁面補強ユニット11の搬入、据え付け、および固定の作業が容易になる。また、スペーサを挿入して隙間をなくすことにより、壁面補強ユニット11と柱51とが強固に一体化され、より頑強となる。
【0047】
壁面補強ユニット11の縦方向の寸法は、根太受け52の上面から天井よりも高い位置まで延びるように設定される。壁面補強ユニット11と根太受け52との間にも、隙間をなくすため、または高さ位置を調整するために、シム板などのスペーサを挿入することが可能である。
【0048】
H型材31a,31bの外側のフランジFGには、ネジ部材21,22を挿入するための複数の穴41,42が設けられている。穴41は、ネジ部材21を斜め方向にねじ込むために、ネジ部材21の傾斜方向に沿って傾斜するように形成するか、または、ネジ部材21の外径に対して十分な余裕を持った内径のバカ穴を形成しておけばよい。
【0049】
なお、壁面補強ユニット11のH型材31の上下端部には、後で述べるブラケットが取り付けられる。
【0050】
図5において、壁面補強ユニット12は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材34〜36を溶接によって互いに接合することによって、方形枠状に形成される。H型材34,35のそれぞれの外側のフランジFGによって、壁面補強ユニット12の外周面が形成される。
【0051】
図5に示す壁面補強ユニット12は、2つの横方向のH型材34a,34b、3つの縦方向のH型材35a,35b,35c、および2つの筋交い用のH型材36a,36bが、互いに溶接によって連結されて形成される。
【0052】
壁面補強ユニット12の幅方向の寸法L2は、壁面補強ユニット11の場合と同様に、それが配置される柱51間の間隔に応じて設定される。
【0053】
壁面補強ユニット12の縦方向の寸法は、かもい54よりも上方の空間に配置可能な寸法とする。壁面補強ユニット11の上面と壁面補強ユニット12の上面とはほぼ一致するようにしておけばよい。
【0054】
H型材35a,35bの外側のフランジFGには、ネジ部材21,22を挿入するための、上に述べたと同様な複数の穴41,42が設けられている。
【0055】
図6において、床面補強ユニット13は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材37〜38を溶接によって互いに接合することによって、方形枠状に形成される。
【0056】
図6に示す床面補強ユニット13は、4つの外側のH型材37a〜d、3つの中枠用のH型材37e〜g、4つの筋交い用のH型材38a〜d、および補強プレートPTが、互いに溶接によって連結され、方形枠状に形成される。
【0057】
縁部を構成するH型材37a〜dのそれぞれの外側のフランジFGによって、床面補強ユニット13の外周面が形成される。
【0058】
床面補強ユニット13の縦横の外形寸法は、根太受け52の部屋HYの側の面FC2の間隔に応じて設定される。その場合に、床面補強ユニット13の外形寸法を、根太受け52の部屋HYの側の面FC2の間隔よりも小さくしておく。これにより、床面補強ユニット13の搬入、据え付け、および固定の作業が容易になる。
【0059】
床面補強ユニット13と根太受け52との間に隙間ができる場合には、その隙間をなくすために、シム板などのスペーサSSを挿入すればよい(図8および図9を参照)。
【0060】
H型材37a〜dの外側のフランジFGには、ネジ部材21を挿入するための複数の穴41が設けられる(図8を参照)。
【0061】
H型材37a〜dのウエブWBには、壁面補強ユニット11の下端部に設けられたブラケット16に固定するためのボルト用の穴43が設けられる(図9を参照)。
【0062】
なお、図6に示す床面補強ユニット13を上下に2層となるように配置し、それらを互いに連結することによって、より強固な床面補強ユニットを形成することができる。
【0063】
図7において、天井面補強ユニット14は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材39〜40を溶接によって互いに接合することによって、床面補強ユニット13と同様な方形枠状に形成される。
【0064】
図7に示す天井面補強ユニット14は、4つの外側のH型材39a〜d、3つの中枠用のH型材39e〜g、および4つの筋交い用のH型材40a〜dが、互いに溶接によって連結され、方形枠状に形成される。
【0065】
縁部を構成するH型材39a〜dのそれぞれの外側のフランジFGによって、天井面補強ユニット14の外周面が形成される。
【0066】
天井面補強ユニット14の縦横の外形寸法は、床面補強ユニット13のそれと同様である。天井面補強ユニット14と柱51との間に隙間ができる場合には、その隙間をなくすためにシム板などのスペーサを挿入すればよい。
【0067】
また、H型材39a〜dの外側のフランジFGには、ネジ部材21を挿入するための複数の穴41が設けられる。
【0068】
H型材39a〜dのウエブWBには、壁面補強ユニット11の上端部に設けられたブラケット16に固定するためのボルト用の穴が設けられる(図9を参照)。
【0069】
つまり、天井面補強ユニット14は、床面補強ユニット13の上方においてそれと同様に配置され、同様なブラケット16を用いて壁面補強ユニット11と連結される。また、天井面補強ユニット14は、柱51に対して、ネジ部材21によって固定される。
【0070】
図8および図9において、ブラケット16は、板状部材161、リブ部材162,163、および当接部材164などからなる。
【0071】
板状部材161は、壁面補強ユニット11下端部から突出するよう、H型材31aの下端面に溶接によって固定されている。板状部材161には、ボルト用の複数の穴44が設けられる。
【0072】
リブ部材162,163は、板状部材161の上面とH型材31aとに渡って溶接され、板状部材161を補強する。当接部材164は、板状部材161の裏側の表面に取り付けられ、床面補強ユニット13の縁部であるH型材37dの中に入り込んでそのウエブWBの表面に当接する。
【0073】
それぞれのブラケット16に対して、床面補強ユニット13が下方から上方に向かって押しつけられた状態で、穴44,43にネジ部材23を構成するボルトを挿通し、ナットを締め付けることによって、それらが固定され連結される。
【0074】
板状部材161とH型材37dのウエブWBとの間に、当接部材164が介在することにより、それらが補強される。これにより、ネジ部材23を締め付けたときに、十分な強度を維持した状態でそれらが強固に連結される。
【0075】
なお、当接部材164を、ネジ部材23に近い位置に複数個設けてもよい。また、ネジ部材23を囲む円筒状の当接部材としてもよい。
【0076】
図には示していないが、天井面補強ユニット14についても、壁面補強ユニット11の上端部に設けられた図8および図9と同様なブラケット16によって、ネジ部材23を構成するボルトおよびナットを締め付けることによって、それらが固定され連結される。
【0077】
なお、ブラケット16を壁面補強ユニット11の上端部および下端部に溶接によって固定したが、溶接によるのでなく、ネジ部材で固定するようにしてもよい。そうすることにより、壁面補強ユニット11に対してブラケット16が着脱可能となり、壁面補強ユニット11を搬入した後にブラケット16を取り付けることができる。したがって、ブラケット16が床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14の搬入の邪魔になることがなく、工程の自由度が向上する。
【0078】
図10において、壁面補強ユニット11(11f)のH型材31bの外側のフランジFGは、柱51(51a)の1つの表面と対向しており、その間にシム板などのスペーサが挿入されている。このようにして、壁面補強ユニット11が柱51に固定されている。
【0079】
H型材31bのウエブWBには、垂木17がネジ部材24によって固定されている。壁面18が、垂木17の表面およびH型材31bのフランジFGの端面に当接するように、部屋HYの内側から配置され、その状態で、多数のネジ部材25によって垂木17に固定されている。
【0080】
なお、壁面18として、例えば、厚さ1センチメートル程度のベニヤの上クロスを用いることができる。
【0081】
図11において、つか石TKの上に支持部材55が載置され、ボルト56によって固定されている。支持部材55の上端面は、床面補強ユニット13のH型材37bのウエブWBの下面に当接している。このように、床面補強ユニット13は、支持部材55によっても支持されている。
【0082】
なお、床面補強ユニット13を固定した後は、床面補強ユニット13の上に垂木などを配置してネジ部材などにより固定し、その上に床板を載せて固定すればよい。また、床板の上に畳を敷いてもよい。
【0083】
また、天井面補強ユニット14を固定した後は、天井面補強ユニット14につり木などを取り付け、これに天井板を固定すればよい。
【0084】
このようにして、部屋HYは、耐震強度が格段に高められた耐震シェルター1となる。耐震シェルター1の主構成部材である壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14は、それぞれ壁面の内側、床下、または天井裏に配置されているため、部屋HYの空間が狭くならずにすむ。つまり、耐震シェルター1への改造を、既存の壁寸法内で施工でき、部屋HYの間取りなどを施工前と同じ状態とすることができる。
【0085】
そして、壁面AK1〜9、引き戸口AD1〜4、床面AY、および天井面ATなどを、元の部屋HYと同じように復元することが可能であり、同時に改装を行うことができるので、使い勝手を元の部屋HYと同じとしまた向上させることができる。
【0086】
部屋HYは耐震シェルター1となるので、地震が発生したときに耐震シェルター1に緊急避難することによって身体の安全を図ることができる。しかも、耐震シェルター1にそれまでと同様に居住することができるので、地震の際に避難しなくともそのままで身体の安全が確保され、大きな安心感が得られる。
【0087】
また、強固なアルミニウム合金からなる壁面補強ユニット11、12aが柱51を挟んで固定され連結され、これによって部屋HYが環状に取り囲まれており、さらに床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14が連結されてそれらをさらに補強しているので、木造建物MTそれ自体が補強され、木造建物MTの耐震強度の向上が図られる。
【0088】
また、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14は、アルミニウム合金からなっているので、重量が軽く、搬入、据え付け、組み立て、ネジ部材による固定などの作業を、人手によって容易に行うことができる。そのため、クレーンやジャッキなどの重機を必要としないので、密集したり道幅が狭い木造建物MTであっても施工を行うことができる。
【0089】
なお、柱51と柱51との間が広い場合などには、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、または天井面補強ユニット14などを軽くしまたは小さくするために2つ以上に分割し、現場においてそれらをネジ部材などによって連結してもよい。
【0090】
また、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14は、工場において予め製作することができるので、現場における工事期間の短縮を図ることができる。また、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14を規格化しておくことにより、量産を行ってコストダウンを行うことも可能である。
【0091】
次に、本実施形態における耐震シェルター1の工法をフローチャートによって説明する。
【0092】
図12において、木造建物MTの部屋HYの既存の壁面などを除去する(#11)。床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14を搬入し、それぞれ柱51などに仮止めする(#12,13)。壁面補強ユニット11,12を搬入し(#14)、ネジ部材21,22によって柱51に固定する(#15)。また、ブラケット16によって、壁面補強ユニット11と床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14とを連結し固定する(#16)。
【0093】
壁面補強ユニット11,12の表面に壁面18を固定し、床面および天井を張り(#17)、残った部分を仕上げる(#18)。
【0094】
なお、上に述べた工程の順序を変更したり、複数の工程を同時に並行して行うことも可能である。例えば、壁面補強ユニット11を搬入し仮止めした後で床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14を搬入することが可能である場合には、壁面補強ユニット11の搬入と仮止めを先に行ってもよい。また、壁面補強ユニット11,12をネジ部材21,22により柱51に固定しながら、ブラケット16による床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14との連結を並行して行ってもよい。全てを仮止めした後に、本締めを順次行っていってもよい。仮止めを行うことなく本締めを行うようにすることも可能である。
【0095】
上に述べた実施形態において、部屋HYの中間に、部屋HYを2つに区画するような補強ユニットを設けてもよい。柱51などが古くなって強度が低下している場合には、柱51などを取り換えてもよい。また、その場合に、木造の柱51ではなく、アルミニウム合金製または鋼製の柱に取り換えてもよい。または、古い柱51を除去して残った柱51の間に幅の広い壁面補強ユニットを配置して連結してもよい。
【0096】
上に述べた実施形態において、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、天井面補強ユニット14の形状、寸法、構造などは、上に述べた以外に種々変更することができる。また、それらの材料としてアルミニウム合金以外の軽金属材料を用いてもよい。各ユニットの表面に、アルマイト処理などの適当な表面処理を施し、または塗装を行ってもよい。
【0097】
その他、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、天井面補強ユニット14、ブラケット16、壁面18、ネジ部材21〜25、または耐震シェルター1の各部または全体の構成、構造、形状、寸法、個数、配置、材質などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 耐震シェルター
11,12 壁面補強ユニット
13 床面補強ユニット
14 天井面補強ユニット
16 ブラケット
161 板状部材
162,163 リブ部材
164 当接部材
18 壁面
21,22 ネジ部材
31〜33、34〜36、37〜38、39〜40 H型材
51 柱
FG フランジ
HY 部屋
MT 木造建物
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法および耐震シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、建物の部屋の内部に耐震シェルターを設け、地震の発生時に耐震シェルターに緊急避難することが提案されている(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1によると、壁用、隅壁用、天井用のパネル化されたシェルター構造部材をスチール(鉄)で製作しておき、それらをボルトで連結して1個の耐震シェルターとして組み立てる。
【0004】
特許文献2によると、ベース、柱材、天井、天井はりの枠部、天井はり筋かい部、補強柱などの主要素またはそのための部材を、鋼材によって製作する。木造建物の既存の天井、壁、床の解体工事を行った後、コンクリート構造の基礎工事を行い、各部材を搬入し、ボルト又は溶接により組み立てて耐震シェルターとする。
【0005】
耐震シェルターを建物の中の日常生活に使用する一室に設けることにより、地震が発生したときに素早く耐震シェルター内に避難することができ、建物の倒壊などから身体を守ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3149194
【特許文献2】特開平8−312193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上に述べた従来の耐震シェルターでは、耐震シェルター自体を強固にすることは可能であるが、建物を補強するという点では効果がないかまたは十分ではない。
【0008】
すなわち、特許文献1の耐震シェルターでは、建物の一室の中で、規格化されたパネル部材を組み立てて耐震シェルターとするので、組み立てられた耐震シェルターと建物との構造上の一体性が低く、建物の補強にはほとんどならない。
【0009】
また、特許文献2の耐震シェルターにおいても、建物の一室の中で、各部材をボルト又は溶接により組み立てて耐震シェルターとするので、特許文献1の場合と同様に耐震シェルターと建物との構造上の一体性が低く、建物の補強にはほとんどならない。
【0010】
したがって、特許文献1、2に開示された耐震シェルターを設けても、地震による建物の倒壊などの可能性はほとんど低くならない。
【0011】
しかも、耐震シェルターが部屋の内側に設置されるので、それだけ居住空間が狭くなって居住性が低下する。
【0012】
また、特許文献1、2では、建物内にスチール製(鋼鉄製)のパネル部材を搬入する必要があるが、スチール製であるので重量が大きく、クレーンやジャッキなどの重機を必要とする。しかし、木造建物では一般にそのような重機を持ち込むことが不可能であるので、パネル部材の搬入および据え付けの工事が容易ではない。人手で搬入できる程度の小さい部材に分解した場合に、部材の個数が増大し、搬入および組み立ての工事が容易ではない。
【0013】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、建物が補強されることによって建物の耐震強度の向上が図られ、しかも部材の搬入および組み立ての工事が容易な、木造建物の部屋の耐震補強方法、および耐震シェルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る方法は、木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法であって、アルミニウム材料を用いて形成された壁面補強ユニットを、前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置する工程と、アルミニウム材料を用いて形成された床面補強ユニットを、前記部屋の床下に配置する工程と、アルミニウム材料を用いて形成された天井面補強ユニットを、前記部屋の天井裏に配置する工程と、前記壁面補強ユニットを、その両側にある前記柱に対してネジ部材で固定する工程と、前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、を有してなる。
【0015】
本発明に係る耐震シェルターは、木造建物の部屋の耐震強度を補強により高くした耐震シェルターであって、前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置された、軽金属材料を用いて形成された複数の壁面補強ユニットと、前記部屋の床下に配置された、軽金属材料を用いて形成された床面補強ユニットと、前記部屋の天井裏に配置された、軽金属材料を用いて形成された天井面補強ユニットと、前記壁面補強ユニットをその両側にある前記柱に対して固定するネジ部材と、前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、を備えてなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、建物が補強されることによって建物の耐震強度の向上が図られ、しかも耐震シェルターのための部材の搬入および組み立ての工事が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る耐震シェルターの平面図である。
【図2】図1に示す耐震シェルターのA−A線矢視断面図である。
【図3】耐震シェルターの概略の構成を示す斜視図である。
【図4】壁面補強ユニットの例を示す正面図である。
【図5】壁面補強ユニットの例を示す正面図である。
【図6】床面補強ユニットの例を示す斜視図である。
【図7】天井面補強ユニットの例を示す斜視図である。
【図8】壁面補強ユニットと床面補強ユニットとの連結構造の例を示す図である。
【図9】図8の断面側面図である。
【図10】壁面補強ユニットと建物の柱との連結構造の例を示す図である。
【図11】床面補強ユニットを支持する土台の構造の例を示す図である。
【図12】耐震シェルター1の概略の施工方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜図3において、耐震シェルター1は、木造建物MTの部屋HYの耐震強度を補強により高くするものである。
【0019】
部屋HYは、鉛直方向に設置された木材からなる多数の柱51(51a,b,c…)によって囲まれている。
【0020】
図2に示されるように、木造建物MTでは、地面JMに施工されたコンクリート基礎CKの上に、木材からなる複数の根太受け52(52a,b…)が水平方向に設置されている。根太受け52の上に、上に述べた柱51が立設される。柱51には、2階のためのはり53、かもい54、なげしなどが取り付けられる。また、図示しない木材からなる柱、はり、根太、けた、垂木、枠などの種々の構造部材が設けられる。また、構造用パネル、および、軽量鉄骨など金属からなる構造部材が併用されることもある。
【0021】
図3に示されるように、部屋HYは、壁面AK1〜9、引き戸口AD1〜4、床面AY、および天井面ATによって囲まれた6畳の部屋である。壁面AK1〜9および、引き戸口AD1〜4の間に、柱51a〜jが立てられている。
【0022】
なお、図3に示す部屋HYは一例であり、これ以外の壁面構成、戸口構成、広さ、形状などを有する部屋であってもよい。
【0023】
部屋HYを改造(改築)して耐震補強された耐震シェルター1とするために、まず、部屋HYの構造部材である柱51根太受け52などを残し、壁面AK1〜9、引き戸口AD1〜4、床面AY、および天井面ATなどの部材を除去する。その後、以下に説明する壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14などを搬入し、据え付け、ネジ部材を用いて固定し連結する。
【0024】
すなわち、耐震シェルター1は、部屋HYの柱51などに対して追加された、壁面補強ユニット11(11a,b…),12(12a,b…)、床面補強ユニット13、天井面補強ユニット14、ネジ部材21,22などからなる。
【0025】
これら壁面補強ユニット11,12は、いずれも軽金属材料を用いて形成されており、部屋HY部屋を囲むように配された複数の柱51の間に配置されている。
【0026】
軽金属材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウム材料が用いられる。例えば、日本工業規格(JIS)のアルミニウム合金5083、5086、7003などを用いることができる。
【0027】
これらのアルミニウム材料は、比重が約2.7であり、鋼材の比重が約7.85であることと比較すると重量は約3分の1と軽量である。しかも、強度は鋼材に比べて大幅には低くなく、重力比強度では却って鋼材よりも高くなることもある。
【0028】
床面補強ユニット13は、部屋HYの床下に配置され、天井面補強ユニット14は部屋HYの天井裏に配置される。床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14も、上と同じ軽金属材料が用いられる。
【0029】
ネジ部材21は、木ねじであり、各ユニットに設けられた穴に挿入され、柱51または根太受け52などにねじ込んで締め付けられる。ネジ部材21は、柱51の表面に対して直角ではなく、斜め方向にねじ込まれる。その場合のネジ部材21の傾斜方向は、柱51の長さ方向に沿って傾斜するようにすればよい。ネジ部材21を斜めにねじ込むことによって、連結の強度が向上する。
【0030】
なお、複数のネジ部材21の間において傾斜方向を異ならせてもよい。また、一部または全部のネジ部材21を柱51の表面に対して直角にねじ込むようにしてもよい。
【0031】
図2では、ネジ部材21によって、壁面補強ユニット11aおよび12aが柱51a,b,cに固定され連結されている状態が示されている。ネジ部材21は、柱51の長さ方向の下方に沿って傾斜している。
【0032】
ネジ部材22は、ボルトおよびナットであり、ボルトが各ユニットおよび柱51に設けられた穴を貫通するように挿入され、ナットで締め付けられる。図2では、壁面補強ユニット11aと12aが柱51bを挟んで配置され、それらに設けられた穴を貫通するボルトとナットとによって互いに締め付けられ、これによって互いに連結されている状態が示されている。
【0033】
ネジ部材21,22は、重量的に問題となるものではないので、鋼製またはステンレス鋼製のものを用いればよい。アルミニウム合金製のものを用いることも可能である。また、ネジ部材21,22には、適当なワッシャを併用するのが好ましい。
【0034】
なお、ネジ部材21,22のサイズおよび形状は、それらユニットおよび柱51などのサイズまたは形状などに応じて適宜選定すればよい。
【0035】
このように、壁面補強ユニット11、12aが柱51を挟んで固定され連結されることにより、順次固定され連結された壁面補強ユニット11,12および柱51が、部屋HYを環状に取り囲む状態となっている。
【0036】
なお、壁面補強ユニット11を配置する工程において、壁面補強ユニット11を、柱51の部屋HYの側の面よりも奥まった位置に配置する。
【0037】
つまり、図1において、2点鎖線で示す面FC1が、柱51の部屋HYの側の面である。壁面補強ユニット11は、この面FC1よりも奥まった位置に配置される。これによって、壁面補強ユニット11が面FC1よりも部屋HYの内方へ突出することがなく、部屋HYの空間が狭くなることがない。
【0038】
そして、壁面補強ユニット11を柱51に対して固定した後に、壁面補強ユニット11の部屋HYの側の面を覆うように壁面(壁板)が取り付けられる(図10参照)。したがって、壁面補強ユニット11を、壁面の厚さ以上に面FC1よりも奥まった位置に配置することが好ましい。例えば、壁面補強ユニット11を面FC1よりも2センチメートル程度奥まった位置に配置すればよい。
【0039】
さらに、床面補強ユニット13が、壁面補強ユニット11,12とネジ部材で連結される。また、天井面補強ユニット13が、壁面補強ユニット11,12とネジ部材で連結される。
【0040】
床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14を壁面補強ユニット11,12とネジ部材で連結する工程において、床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14の縁部を、壁面補強ユニット11,12の上下端部に設けられた部屋の内方へ突出するブラケット16にネジ部材で連結する(図8および図9を参照)。これについては後で詳細に説明する。
【0041】
なお、図2において、木造建物MTにおいて、地面JMにモルタル基礎CDが設けられ、その上にコンクリートのつか石TKが配置されている。床面補強ユニット13は、つか石TKの上に設けられた支持部材55によって支持されている。
【0042】
以下さらに詳しく説明する。
【0043】
図4において、壁面補強ユニット11は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材31〜33を溶接によって互いに接合することによって、方形枠状に形成される。H型材31,32のそれぞれの外側のフランジFGによって、壁面補強ユニット11の外周面が形成される。
【0044】
すなわち、図4に示す壁面補強ユニット11は、2つの縦方向のH型材31a,31b、3つの横方向のH型材32a,32b,32c、および2つの筋交い用のH型材33a,33bが、互いに溶接によって連結されて形成される。筋交い用のH型材33は、他のH型材31,32よりもサイズの小さいものでもよい。
【0045】
壁面補強ユニット11の幅方向の寸法L1は、それが配置される柱51間の間隔に応じて設定される。その場合に、柱51が傾いていたり柱51間の間隔が位置によって異なる可能性があるので、寸法L1を柱51間の間隔よりも小さくしておく。壁面補強ユニット11と柱51との間に隙間が生じる場合には、そこにシム板などのスペーサを挿入して隙間をなくせばよい。
【0046】
このように寸法L1を設定することで、壁面補強ユニット11の搬入、据え付け、および固定の作業が容易になる。また、スペーサを挿入して隙間をなくすことにより、壁面補強ユニット11と柱51とが強固に一体化され、より頑強となる。
【0047】
壁面補強ユニット11の縦方向の寸法は、根太受け52の上面から天井よりも高い位置まで延びるように設定される。壁面補強ユニット11と根太受け52との間にも、隙間をなくすため、または高さ位置を調整するために、シム板などのスペーサを挿入することが可能である。
【0048】
H型材31a,31bの外側のフランジFGには、ネジ部材21,22を挿入するための複数の穴41,42が設けられている。穴41は、ネジ部材21を斜め方向にねじ込むために、ネジ部材21の傾斜方向に沿って傾斜するように形成するか、または、ネジ部材21の外径に対して十分な余裕を持った内径のバカ穴を形成しておけばよい。
【0049】
なお、壁面補強ユニット11のH型材31の上下端部には、後で述べるブラケットが取り付けられる。
【0050】
図5において、壁面補強ユニット12は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材34〜36を溶接によって互いに接合することによって、方形枠状に形成される。H型材34,35のそれぞれの外側のフランジFGによって、壁面補強ユニット12の外周面が形成される。
【0051】
図5に示す壁面補強ユニット12は、2つの横方向のH型材34a,34b、3つの縦方向のH型材35a,35b,35c、および2つの筋交い用のH型材36a,36bが、互いに溶接によって連結されて形成される。
【0052】
壁面補強ユニット12の幅方向の寸法L2は、壁面補強ユニット11の場合と同様に、それが配置される柱51間の間隔に応じて設定される。
【0053】
壁面補強ユニット12の縦方向の寸法は、かもい54よりも上方の空間に配置可能な寸法とする。壁面補強ユニット11の上面と壁面補強ユニット12の上面とはほぼ一致するようにしておけばよい。
【0054】
H型材35a,35bの外側のフランジFGには、ネジ部材21,22を挿入するための、上に述べたと同様な複数の穴41,42が設けられている。
【0055】
図6において、床面補強ユニット13は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材37〜38を溶接によって互いに接合することによって、方形枠状に形成される。
【0056】
図6に示す床面補強ユニット13は、4つの外側のH型材37a〜d、3つの中枠用のH型材37e〜g、4つの筋交い用のH型材38a〜d、および補強プレートPTが、互いに溶接によって連結され、方形枠状に形成される。
【0057】
縁部を構成するH型材37a〜dのそれぞれの外側のフランジFGによって、床面補強ユニット13の外周面が形成される。
【0058】
床面補強ユニット13の縦横の外形寸法は、根太受け52の部屋HYの側の面FC2の間隔に応じて設定される。その場合に、床面補強ユニット13の外形寸法を、根太受け52の部屋HYの側の面FC2の間隔よりも小さくしておく。これにより、床面補強ユニット13の搬入、据え付け、および固定の作業が容易になる。
【0059】
床面補強ユニット13と根太受け52との間に隙間ができる場合には、その隙間をなくすために、シム板などのスペーサSSを挿入すればよい(図8および図9を参照)。
【0060】
H型材37a〜dの外側のフランジFGには、ネジ部材21を挿入するための複数の穴41が設けられる(図8を参照)。
【0061】
H型材37a〜dのウエブWBには、壁面補強ユニット11の下端部に設けられたブラケット16に固定するためのボルト用の穴43が設けられる(図9を参照)。
【0062】
なお、図6に示す床面補強ユニット13を上下に2層となるように配置し、それらを互いに連結することによって、より強固な床面補強ユニットを形成することができる。
【0063】
図7において、天井面補強ユニット14は、アルミニウム合金製のH型材からなる複数個のH型材39〜40を溶接によって互いに接合することによって、床面補強ユニット13と同様な方形枠状に形成される。
【0064】
図7に示す天井面補強ユニット14は、4つの外側のH型材39a〜d、3つの中枠用のH型材39e〜g、および4つの筋交い用のH型材40a〜dが、互いに溶接によって連結され、方形枠状に形成される。
【0065】
縁部を構成するH型材39a〜dのそれぞれの外側のフランジFGによって、天井面補強ユニット14の外周面が形成される。
【0066】
天井面補強ユニット14の縦横の外形寸法は、床面補強ユニット13のそれと同様である。天井面補強ユニット14と柱51との間に隙間ができる場合には、その隙間をなくすためにシム板などのスペーサを挿入すればよい。
【0067】
また、H型材39a〜dの外側のフランジFGには、ネジ部材21を挿入するための複数の穴41が設けられる。
【0068】
H型材39a〜dのウエブWBには、壁面補強ユニット11の上端部に設けられたブラケット16に固定するためのボルト用の穴が設けられる(図9を参照)。
【0069】
つまり、天井面補強ユニット14は、床面補強ユニット13の上方においてそれと同様に配置され、同様なブラケット16を用いて壁面補強ユニット11と連結される。また、天井面補強ユニット14は、柱51に対して、ネジ部材21によって固定される。
【0070】
図8および図9において、ブラケット16は、板状部材161、リブ部材162,163、および当接部材164などからなる。
【0071】
板状部材161は、壁面補強ユニット11下端部から突出するよう、H型材31aの下端面に溶接によって固定されている。板状部材161には、ボルト用の複数の穴44が設けられる。
【0072】
リブ部材162,163は、板状部材161の上面とH型材31aとに渡って溶接され、板状部材161を補強する。当接部材164は、板状部材161の裏側の表面に取り付けられ、床面補強ユニット13の縁部であるH型材37dの中に入り込んでそのウエブWBの表面に当接する。
【0073】
それぞれのブラケット16に対して、床面補強ユニット13が下方から上方に向かって押しつけられた状態で、穴44,43にネジ部材23を構成するボルトを挿通し、ナットを締め付けることによって、それらが固定され連結される。
【0074】
板状部材161とH型材37dのウエブWBとの間に、当接部材164が介在することにより、それらが補強される。これにより、ネジ部材23を締め付けたときに、十分な強度を維持した状態でそれらが強固に連結される。
【0075】
なお、当接部材164を、ネジ部材23に近い位置に複数個設けてもよい。また、ネジ部材23を囲む円筒状の当接部材としてもよい。
【0076】
図には示していないが、天井面補強ユニット14についても、壁面補強ユニット11の上端部に設けられた図8および図9と同様なブラケット16によって、ネジ部材23を構成するボルトおよびナットを締め付けることによって、それらが固定され連結される。
【0077】
なお、ブラケット16を壁面補強ユニット11の上端部および下端部に溶接によって固定したが、溶接によるのでなく、ネジ部材で固定するようにしてもよい。そうすることにより、壁面補強ユニット11に対してブラケット16が着脱可能となり、壁面補強ユニット11を搬入した後にブラケット16を取り付けることができる。したがって、ブラケット16が床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14の搬入の邪魔になることがなく、工程の自由度が向上する。
【0078】
図10において、壁面補強ユニット11(11f)のH型材31bの外側のフランジFGは、柱51(51a)の1つの表面と対向しており、その間にシム板などのスペーサが挿入されている。このようにして、壁面補強ユニット11が柱51に固定されている。
【0079】
H型材31bのウエブWBには、垂木17がネジ部材24によって固定されている。壁面18が、垂木17の表面およびH型材31bのフランジFGの端面に当接するように、部屋HYの内側から配置され、その状態で、多数のネジ部材25によって垂木17に固定されている。
【0080】
なお、壁面18として、例えば、厚さ1センチメートル程度のベニヤの上クロスを用いることができる。
【0081】
図11において、つか石TKの上に支持部材55が載置され、ボルト56によって固定されている。支持部材55の上端面は、床面補強ユニット13のH型材37bのウエブWBの下面に当接している。このように、床面補強ユニット13は、支持部材55によっても支持されている。
【0082】
なお、床面補強ユニット13を固定した後は、床面補強ユニット13の上に垂木などを配置してネジ部材などにより固定し、その上に床板を載せて固定すればよい。また、床板の上に畳を敷いてもよい。
【0083】
また、天井面補強ユニット14を固定した後は、天井面補強ユニット14につり木などを取り付け、これに天井板を固定すればよい。
【0084】
このようにして、部屋HYは、耐震強度が格段に高められた耐震シェルター1となる。耐震シェルター1の主構成部材である壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14は、それぞれ壁面の内側、床下、または天井裏に配置されているため、部屋HYの空間が狭くならずにすむ。つまり、耐震シェルター1への改造を、既存の壁寸法内で施工でき、部屋HYの間取りなどを施工前と同じ状態とすることができる。
【0085】
そして、壁面AK1〜9、引き戸口AD1〜4、床面AY、および天井面ATなどを、元の部屋HYと同じように復元することが可能であり、同時に改装を行うことができるので、使い勝手を元の部屋HYと同じとしまた向上させることができる。
【0086】
部屋HYは耐震シェルター1となるので、地震が発生したときに耐震シェルター1に緊急避難することによって身体の安全を図ることができる。しかも、耐震シェルター1にそれまでと同様に居住することができるので、地震の際に避難しなくともそのままで身体の安全が確保され、大きな安心感が得られる。
【0087】
また、強固なアルミニウム合金からなる壁面補強ユニット11、12aが柱51を挟んで固定され連結され、これによって部屋HYが環状に取り囲まれており、さらに床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14が連結されてそれらをさらに補強しているので、木造建物MTそれ自体が補強され、木造建物MTの耐震強度の向上が図られる。
【0088】
また、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14は、アルミニウム合金からなっているので、重量が軽く、搬入、据え付け、組み立て、ネジ部材による固定などの作業を、人手によって容易に行うことができる。そのため、クレーンやジャッキなどの重機を必要としないので、密集したり道幅が狭い木造建物MTであっても施工を行うことができる。
【0089】
なお、柱51と柱51との間が広い場合などには、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、または天井面補強ユニット14などを軽くしまたは小さくするために2つ以上に分割し、現場においてそれらをネジ部材などによって連結してもよい。
【0090】
また、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14は、工場において予め製作することができるので、現場における工事期間の短縮を図ることができる。また、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、および天井面補強ユニット14を規格化しておくことにより、量産を行ってコストダウンを行うことも可能である。
【0091】
次に、本実施形態における耐震シェルター1の工法をフローチャートによって説明する。
【0092】
図12において、木造建物MTの部屋HYの既存の壁面などを除去する(#11)。床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14を搬入し、それぞれ柱51などに仮止めする(#12,13)。壁面補強ユニット11,12を搬入し(#14)、ネジ部材21,22によって柱51に固定する(#15)。また、ブラケット16によって、壁面補強ユニット11と床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14とを連結し固定する(#16)。
【0093】
壁面補強ユニット11,12の表面に壁面18を固定し、床面および天井を張り(#17)、残った部分を仕上げる(#18)。
【0094】
なお、上に述べた工程の順序を変更したり、複数の工程を同時に並行して行うことも可能である。例えば、壁面補強ユニット11を搬入し仮止めした後で床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14を搬入することが可能である場合には、壁面補強ユニット11の搬入と仮止めを先に行ってもよい。また、壁面補強ユニット11,12をネジ部材21,22により柱51に固定しながら、ブラケット16による床面補強ユニット13および天井面補強ユニット14との連結を並行して行ってもよい。全てを仮止めした後に、本締めを順次行っていってもよい。仮止めを行うことなく本締めを行うようにすることも可能である。
【0095】
上に述べた実施形態において、部屋HYの中間に、部屋HYを2つに区画するような補強ユニットを設けてもよい。柱51などが古くなって強度が低下している場合には、柱51などを取り換えてもよい。また、その場合に、木造の柱51ではなく、アルミニウム合金製または鋼製の柱に取り換えてもよい。または、古い柱51を除去して残った柱51の間に幅の広い壁面補強ユニットを配置して連結してもよい。
【0096】
上に述べた実施形態において、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、天井面補強ユニット14の形状、寸法、構造などは、上に述べた以外に種々変更することができる。また、それらの材料としてアルミニウム合金以外の軽金属材料を用いてもよい。各ユニットの表面に、アルマイト処理などの適当な表面処理を施し、または塗装を行ってもよい。
【0097】
その他、壁面補強ユニット11,12、床面補強ユニット13、天井面補強ユニット14、ブラケット16、壁面18、ネジ部材21〜25、または耐震シェルター1の各部または全体の構成、構造、形状、寸法、個数、配置、材質などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 耐震シェルター
11,12 壁面補強ユニット
13 床面補強ユニット
14 天井面補強ユニット
16 ブラケット
161 板状部材
162,163 リブ部材
164 当接部材
18 壁面
21,22 ネジ部材
31〜33、34〜36、37〜38、39〜40 H型材
51 柱
FG フランジ
HY 部屋
MT 木造建物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法であって、
アルミニウム材料を用いて形成された壁面補強ユニットを、前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置する工程と、
アルミニウム材料を用いて形成された床面補強ユニットを、前記部屋の床下に配置する工程と、
アルミニウム材料を用いて形成された天井面補強ユニットを、前記部屋の天井裏に配置する工程と、
前記壁面補強ユニットを、その両側にある前記柱に対してネジ部材で固定する工程と、
前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、
前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、
を有してなることを特徴とする木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項2】
前記壁面補強ユニットを配置する工程において、前記柱の部屋の側の面よりも奥まった位置に配置し、
前記壁面補強ユニットを前記柱に対して固定した後に、前記壁面補強ユニットの部屋の側の面を覆うように壁面を取り付ける、
請求項1記載の木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項3】
前記床面補強ユニットおよび前記天井面補強ユニットを前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程において、前記床面補強ユニットおよび前記天井面補強ユニットの縁部を、前記壁面補強ユニットの上下端部に設けられた部屋の内方へ突出するブラケットにネジ部材で連結する、
請求項1または2記載の木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項4】
前記壁面補強ユニットをネジ部材で固定する工程において、順次固定された前記壁面補強ユニットおよび前記柱が環状に前記部屋を取り囲むように固定する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項5】
木造建物の部屋の耐震強度を補強により高くした耐震シェルターであって、
前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置された、軽金属材料を用いて形成された複数の壁面補強ユニットと、
前記部屋の床下に配置された、軽金属材料を用いて形成された床面補強ユニットと、
前記部屋の天井裏に配置された、軽金属材料を用いて形成された天井面補強ユニットと、
前記壁面補強ユニットをその両側にある前記柱に対して固定するネジ部材と、
前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、
前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、
を備えてなることを特徴とする耐震シェルター。
【請求項6】
前記壁面補強ユニットは、前記柱の部屋の側の面よりも奥まった位置に配置されており、前記壁面補強ユニットの部屋の側の面を覆う壁面が取り付けられている、
請求項5記載の耐震シェルター。
【請求項7】
前記壁面補強ユニット、前記床面補強ユニット、および前記天井面補強ユニットは、いずれも、それぞれ複数個の型材が溶接により連結されて形成されている、
請求項5または6記載の耐震シェルター。
【請求項8】
前記型材としてH型材が用いられており、
前記壁面補強ユニットを前記柱に固定するための前記ネジ部材は、当該壁面補強ユニットのH型材のフランジを貫通して当該フランジに対向する前記柱の面に対して斜めにネジ込まれている、
請求項7記載の耐震シェルター。
【請求項9】
前記壁面補強ユニットには、その上下端部に部屋の内方へ突出するブラケットが設けられており、
前記床面補強ユニットおよび前記天井面補強ユニットは、その縁部が前記ブラケットにネジ部材で連結されている、
請求項7記載の耐震シェルター。
【請求項10】
前記型材としてH型材が用いられており、
前記ブラケットは、
前記壁面補強ユニットの上下端部から突出する板状部材と、
前記板状部材を補強するリブ部材と、
前記板状部材の表面に取り付けられ、前記床面補強ユニットまたは前記天井面補強ユニットの縁部のH型材の中に入り込んでウエブの表面に当接する当接部材と、
を有し、
前記板状部材と前記ウエブとの間が前記ネジ部材によって締め付けられて連結されている、
請求項9記載の耐震シェルター。
【請求項11】
複数の前記壁面補強ユニットおよびそれぞれの両側において固定された複数の前記柱は、前記部屋を環状に取り囲んでいる、
請求項5ないし10のいずれかに記載の耐震シェルター。
【請求項12】
前記軽金属材料はアルミニウム材料である、
請求項5ないし11のいずれかに記載の耐震シェルター。
【請求項13】
木造建物の部屋の耐震強度を補強により高くする耐震シェルターのための、複数個のH型材が溶接により連結されて形成された、壁面補強ユニットと床面補強ユニットとの間の連結に用いられるブラケットであって、
前記壁面補強ユニットの下端部から突出する板状部材と、
前記板状部材を補強するリブ部材と、
前記板状部材の下側の表面に取り付けられ、前記床面補強ユニットの縁部のH型材の中に入り込んでそのウエブの表面に当接する当接部材と、
前記板状部材と前記ウエブとの間を締め付けて連結するネジ部材と、
を有する壁面補強ユニットと床面補強ユニットとの間の連結に用いられるブラケット。
【請求項1】
木造建物の部屋の耐震強度を高くする耐震補強方法であって、
アルミニウム材料を用いて形成された壁面補強ユニットを、前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置する工程と、
アルミニウム材料を用いて形成された床面補強ユニットを、前記部屋の床下に配置する工程と、
アルミニウム材料を用いて形成された天井面補強ユニットを、前記部屋の天井裏に配置する工程と、
前記壁面補強ユニットを、その両側にある前記柱に対してネジ部材で固定する工程と、
前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、
前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程と、
を有してなることを特徴とする木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項2】
前記壁面補強ユニットを配置する工程において、前記柱の部屋の側の面よりも奥まった位置に配置し、
前記壁面補強ユニットを前記柱に対して固定した後に、前記壁面補強ユニットの部屋の側の面を覆うように壁面を取り付ける、
請求項1記載の木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項3】
前記床面補強ユニットおよび前記天井面補強ユニットを前記壁面補強ユニットとネジ部材で連結する工程において、前記床面補強ユニットおよび前記天井面補強ユニットの縁部を、前記壁面補強ユニットの上下端部に設けられた部屋の内方へ突出するブラケットにネジ部材で連結する、
請求項1または2記載の木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項4】
前記壁面補強ユニットをネジ部材で固定する工程において、順次固定された前記壁面補強ユニットおよび前記柱が環状に前記部屋を取り囲むように固定する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の木造建物の部屋の耐震補強方法。
【請求項5】
木造建物の部屋の耐震強度を補強により高くした耐震シェルターであって、
前記部屋を囲むように配された複数の柱の間に配置された、軽金属材料を用いて形成された複数の壁面補強ユニットと、
前記部屋の床下に配置された、軽金属材料を用いて形成された床面補強ユニットと、
前記部屋の天井裏に配置された、軽金属材料を用いて形成された天井面補強ユニットと、
前記壁面補強ユニットをその両側にある前記柱に対して固定するネジ部材と、
前記床面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、
前記天井面補強ユニットを、前記壁面補強ユニットと連結するネジ部材と、
を備えてなることを特徴とする耐震シェルター。
【請求項6】
前記壁面補強ユニットは、前記柱の部屋の側の面よりも奥まった位置に配置されており、前記壁面補強ユニットの部屋の側の面を覆う壁面が取り付けられている、
請求項5記載の耐震シェルター。
【請求項7】
前記壁面補強ユニット、前記床面補強ユニット、および前記天井面補強ユニットは、いずれも、それぞれ複数個の型材が溶接により連結されて形成されている、
請求項5または6記載の耐震シェルター。
【請求項8】
前記型材としてH型材が用いられており、
前記壁面補強ユニットを前記柱に固定するための前記ネジ部材は、当該壁面補強ユニットのH型材のフランジを貫通して当該フランジに対向する前記柱の面に対して斜めにネジ込まれている、
請求項7記載の耐震シェルター。
【請求項9】
前記壁面補強ユニットには、その上下端部に部屋の内方へ突出するブラケットが設けられており、
前記床面補強ユニットおよび前記天井面補強ユニットは、その縁部が前記ブラケットにネジ部材で連結されている、
請求項7記載の耐震シェルター。
【請求項10】
前記型材としてH型材が用いられており、
前記ブラケットは、
前記壁面補強ユニットの上下端部から突出する板状部材と、
前記板状部材を補強するリブ部材と、
前記板状部材の表面に取り付けられ、前記床面補強ユニットまたは前記天井面補強ユニットの縁部のH型材の中に入り込んでウエブの表面に当接する当接部材と、
を有し、
前記板状部材と前記ウエブとの間が前記ネジ部材によって締め付けられて連結されている、
請求項9記載の耐震シェルター。
【請求項11】
複数の前記壁面補強ユニットおよびそれぞれの両側において固定された複数の前記柱は、前記部屋を環状に取り囲んでいる、
請求項5ないし10のいずれかに記載の耐震シェルター。
【請求項12】
前記軽金属材料はアルミニウム材料である、
請求項5ないし11のいずれかに記載の耐震シェルター。
【請求項13】
木造建物の部屋の耐震強度を補強により高くする耐震シェルターのための、複数個のH型材が溶接により連結されて形成された、壁面補強ユニットと床面補強ユニットとの間の連結に用いられるブラケットであって、
前記壁面補強ユニットの下端部から突出する板状部材と、
前記板状部材を補強するリブ部材と、
前記板状部材の下側の表面に取り付けられ、前記床面補強ユニットの縁部のH型材の中に入り込んでそのウエブの表面に当接する当接部材と、
前記板状部材と前記ウエブとの間を締め付けて連結するネジ部材と、
を有する壁面補強ユニットと床面補強ユニットとの間の連結に用いられるブラケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−144543(P2011−144543A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5594(P2010−5594)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510013345)株式会社植照 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510013345)株式会社植照 (1)
【Fターム(参考)】
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