説明

板材反転機

【課題】小さいスペースで多種の板材を反転できる板材反転機の提供。
【解決手段】板材を搬送する第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bと、板材を保持する保持手段12と、板材とともに第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを回転する回転手段と、制御手段(図示しない)とを有し、第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを所定の間隔を保った状態でそれぞれの搬送面が相互に対向するように配置する。そして、板材は、第1搬送手段11aによって搬送され(a)、第1搬送手段11aの中心付近で静止され(b)、保持手段12で表裏面が挟持される(c)。その状態で、板材を回転させ(d)、反転させる(e)。その後、板材の保持を開放し(f)、第2搬送手段11bを用いて、板材を排出する(g)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材の反転機に係り、特に様々なサイズの床材の反転に適した板材反転機に関する。
【背景技術】
【0002】
床材その他の板材は、その製造過程において表裏反転しつつ加工がされる。
【0003】
特許文献1および2には、2枚のタイル床材の裏面同士又は表面同士を重ね合わせたタイル床材セットを連続的に製造する方法が記載されている。この方法は、2枚のタイル床材のうち、1枚のタイル床材を反転させ、他の一枚のタイル床材上に載置するものである。これらの文献に記載されている板材反転機は、複数の回転翼を有する回転体で構成されている。この板材反転機では、板材が回転翼に挿入された状態で、回転翼を180度回転させることにより板材を反転するものである(例えば、特許文献1の図1、特許文献2の図4など参照)。
【0004】
また、フローリングなどの床材の製造過程においては、サイドの実加工とエンドの実加工とで加工基準面が異なる場合などがあり、工程中またはその前後において床材を反転する必要がある。このような床材の反転についても、特許文献1および2に記載される反転機と同様、複数の回転翼を有し、その回転翼に板材を挿入した状態で反転する方式(以下、回転翼方式)の反転機が用いられている。
【0005】
図7は、床材の製造過程において使用される従来の反転機の例を示す図である。図7(a)〜(c)に示すように、従来の反転機50は、複数の凹部52a〜52dを有する回転翼51を備える。図7(a)に示すように、従来の反転機50においては、まず、上流側コンベヤ53a上を板材54aが搬送され、凹部52aに取り込まれる。板材54aが凹部52aに取り込まれたことをセンサ(図示しない)が検知すると、回転翼51が回転する。回転翼51は、図7(a)に示す状態から90°回転した時に静止し、後続の板材54bが凹部52bに取り込まれた時に、再び回転する。図7(b)は、その回転途中の状態を示している。その後、図7(c)に示すように、図7(a)に示す状態から180°回転した時に回転翼51を静止させ、更に後続の板材54cを凹部52cに取り込むと共に、下流側コンベヤ53bによって先行する板材54aを凹部52aから排出する。このようにして板材の反転が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−193269号公報
【特許文献2】特開2004−60151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の回転翼方式の反転機は、以下に示す問題点を有している。
【0008】
(a)従来の回転翼方式の反転機は、一枚の板材を一枚の回転翼で反転するものであるため、反転される板材のサイズ(主として長さおよび幅)が変更された場合の対応が困難である。例えば、床材には、その用途やグレードによって、幅約300mm×長さ約1800mmのもの(1/6坪サイズ)、幅約150mm×長さ約1800mmのもの(1/12坪サイズ)、幅約150mm×長さ約900mmのもの(1/24坪サイズ)、幅約100mm×長さ約900mm(1/36坪サイズ)のものなどがある。従来の回転翼方式の反転機は、板材を一枚ずつ反転するものであるため、床材のサイズが小さくなると、その効率が極端に悪くなる。例えば、同じ反転機で1坪分の床材を反転させる場合、1/6坪サイズに比較して1/36坪サイズの床材は、6倍の時間がかかることになる。
【0009】
(b)従来の回転翼方式の反転機は、様々なサイズ(主として厚さ)の板材をスムーズに取り込むため、回転翼には広口の凹部52a〜52dが設けられている。このため、例えば、図7(c)に示すように、回転翼が回転または静止する度に板材が回転翼の凹部内面または下流側のコンベアの上面と激しく接触し、板材の表面に傷を付ける場合がある。
【0010】
(c)従来の回転翼方式の反転機は、回転軸の外周で板材を保持する機構を有するため、サイズが大型化する。従って、反転機の設置位置が制限される。また、あまりに回転速度を上げると、遠心力により板材が飛び出す危険もあるため、反転速度の向上には限界がある。
【0011】
(d)従来の回転翼方式の反転機は、回転翼の凹部に取り込んだ後、保持することなく板材を回転させるものであるため、板材の大きさによって回転翼のサイズを変更する必要がある。従って、多種のサイズの板材を製造する工程においては、板材のサイズにあわせて回転翼のサイズを用意しておくか、そもそも多種のサイズの板材を同じ製造工程で製造するのを断念する必要がある。
【0012】
本発明は、小さいスペースで、従来と同等以上の効率で、より小さいサイズについては従来よりも格段に高い効率で、板材を反転することができる板材の反転機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、従来技術の問題点を解決するべく、鋭意研究を行った結果、本発明を完成させた。本発明は、下記の(A)〜(F)に示す板材反転機を要旨とする。
【0014】
(A)板材を搬送する第1搬送手段および第2搬送手段と、板材を保持する保持手段と、板材とともに第1搬送手段および第2搬送手段を回転する回転手段と、制御手段とを有し、第1搬送手段および第2搬送手段を所定の間隔を保った状態でそれぞれの搬送面が相互に対向するように配置した板材反転機であって、下記の(1)〜(5)の工程を順に行うよう制御された板材反転機。
(1)第1搬送手段または第2搬送手段のうちの一方の搬送手段を用いて板材を第1搬送手段と第2搬送手段との間に搬送する工程、
(2)保持手段で板材を保持する工程、
(3)回転手段を用いて板材とともに第1搬送手段および第2搬送手段を反転する工程、
(4)板材の保持を開放する工程、および、
(5)第1搬送手段または第2搬送手段のうちの他方の搬送手段を用いて板材を第1搬送手段と第2搬送手段との間から排出する工程。
【0015】
(B)保持手段が、第1搬送手段および第2搬送手段の間で板材の表裏面を挟持するものである上記(A)の板材反転機。
【0016】
(C)回転手段による板材の回転方向が、正転と逆転とを繰り返す上記(A)または(B)の板材反転機。
【0017】
(D)複数の板材を同時に反転させる上記(A)〜(C)いずれかの板材反転機。
【0018】
(E)搬送手段が、ベルト方式の搬送手段である上記(A)〜(D)いずれかの板材反転機。
【0019】
(F)上記(A)〜(E)いずれかの板材反転機を用いた床材反転機。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来の反転機よりも小さいスペースで反転機を設置できるため、反転機の設置場所についての自由度が増す。また、本発明によれば、反転されるべき板材の長さ、幅および厚さの変化に容易に対応する事が出来るので、板材のサイズについての自由度が増す。本発明によれば、更に、複数の板材を同時に反転することができるので、特に、小さいサイズの板材の反転を行う場合には、従来の反転機と比較して生産効率が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る板材反転機の例を示す図 (a)板材の進入方向から見た側面図 (b)上面図 (c)反転機の回転軸方向から見た側面図
【図2】本発明に係る板材反転機の使用例を示す上面図 (a)板材の取り込み前の状態 (b)板材の取り込み途中の状態 (c)板材の反転途中の状態 (d)板材の排出後の状態
【図3】本発明における板材反転機の使用例を更に詳しく説明する回転軸方向側面図(a)板材の取り込み途中の状態 (b)板材の取り込み後の状態 (c)板材の保持後の状態 (d)板材の反転途中の状態 (e)板材の反転後の状態 (f)板材の解放後の状態 (g)板材の排出途中の状態
【図4】本発明に係る板材反転機の他の使用例を示す上面図 (a)2枚の細幅長尺板を同時に反転する場合の例 (b)2枚の細幅短尺板を同時に反転する場合の例 (c)3枚の細幅短尺板を同時に反転する場合の例
【図5】本発明に係る板材反転機の使用例を3枚の板材を同時に反転する場合を例にとって説明する回転軸方向側面図の状態 (a)板材の取り込み途中の状態 (b)板材の取り込み後の状態 (c)板材の保持後の状態 (d)板材の反転途中の状態
【図6】本発明に係る板材反転機のより好ましい使用例を説明する回転軸方向側面図(a)先行する板材の取り込み途中の状態 (b)先行する板材の反転途中の状態 (c)先行する板材の排出途中の状態 (d)後行する板材の取り込み途中の状態 (e)後行する板材の反転途中の状態
【図7】床材の製造過程において使用される従来の反転機の例を示す図 (a)先行の板材が回転翼に挿入される前の状態 (b)板材2枚が挿入された回転翼が回転している状態 (c)先行の板材が排出され、後行の板材が取り込まれた状態
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明に係る板材反転機の例を示す図であり、(a)は板材の進入方向から見た側面図、(b)は上面図、(c)は反転機の回転軸方向から見た側面図である。図2は、本発明に係る板材反転機の使用例を示す上面図であり、(a)は板材の取り込み前、(b)は板材の取り込み途中、(c)は板材の反転途中、(d)は板材の排出後の状態をそれぞれ示している。また、図3は、本発明における板材反転機の使用例を更に詳しく説明する回転軸方向側面図であり、(a)は板材の取り込み途中、(b)は板材の取り込み後、(c)は板材の保持後、(d)は板材の反転途中、(e)は板材の反転後、(f)は板材の解放後、(g)は板材の排出途中の状態をそれぞれ示している。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る板材反転機10は、例えば、板材(図示しない)を搬送する第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bと、板材を保持する保持手段12と、板材とともに第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを回転する回転手段13と、制御手段(図示しない)とを有し、第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを所定の間隔を保った状態でそれぞれの搬送面18が相互に対向するように配置したものである。
【0024】
この板材反転機10においては、例えば、図2(a)に示すように、板材14は、上流側搬送手段15aによって反転機10に送り込まれ、さらに、図2(b)に示すように、板材14は、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの一方の搬送手段(下方に位置する搬送手段)によって第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送される。その後、図2(c)に示すように、板材14を保持手段12によりチャッキング(保持)した状態で、回転させ、保持を開放し、図2(d)に示すように、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの他方の搬送手段(下方に位置する搬送手段)を用いて、板材14が排出される。以下、図3を使ってさらに詳しく説明する。
【0025】
すなわち、図3(a)に示すように、板材14は、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの一方の搬送手段(図3(a)に示す例では第1搬送手段11a)によって第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送される。図3(b)に示すように、第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送された板材14は、下方に位置する搬送手段(図3(b)では第1搬送手段11a)の中心付近で静止し、その状態で、例えば、図3(c)に示すように、保持手段12の間隔を狭めることにより、板材14の表裏面が挟持される。
【0026】
続いて、図3(d)に示すように、回転手段(図示しない)を用いて板材14とともに第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを回転させて、板材14を反転させ、図3(e)に示す状態とする。その後、図3(f)に示すように、例えば、保持手段12の間隔を広げることにより板材14の保持を開放し、図3(g)に示すように、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの他方の搬送手段(図3(g)に示す例では第2搬送手段11b)を用いて、板材が第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間から排出される。
【0027】
なお、図3(a)に示すように、下方に位置する搬送手段(図3(a)では第1搬送手段11a)のベルトを、モータ(図示しない)で下流側ローラ16aを回転させることにより移動させるのが好ましい。上流側ローラ16bの回転によりベルトを移動させることもできるが、この場合、ベルト上面は圧縮荷重の状態となり、弛みが生じるおそれがある。この点、下流側ローラ16aの回転によりベルトを移動させれば、ベルト上面が引張荷重の状態となるため、ベルト上面の平滑性を維持しやすくなる。
【0028】
搬送手段としてベルトを使用した例を示しているが、ローラのみで構成された搬送手段その他、公知の搬送手段を使用することができる。但し、メンテナンスが容易であり、安価であることなどの理由でベルト方式の搬送手段を使用するのが好ましい。
【0029】
本発明の板材反転機は、上記のように、第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に回転軸を存在させることができるので、板材を回転軸付近で反転できる。よって、本発明の板材反転機は、従来よりも装置の規模を小さくすることができる。また、保持手段によって板材を保持した状態で反転するので、従来の反転機のように、板材がコンベアその他に激しく接触することがなく、板材への傷の発生を最小限に抑えることができる。また、保持手段によって板材を保持した状態で板材の重心付近を回転軸として反転することができるため、遠心力の影響を受けにくい。このため、回転速度を上げても、従来の反転機のように、板材が飛び出す危険もない。
【0030】
以下、図4および図5を使って、複数の板材を同時に反転する場合の例を説明する。図4は、本発明に係る板材反転機の他の使用例を示す上面図であり、(a)は2枚の細幅長尺板を同時に反転する場合の例、(b)は2枚の細幅短尺板を同時に反転する場合の例、(c)は3枚の細幅短尺板を同時に反転する場合の例をそれぞれ示している。また、図5は、本発明に係る板材反転機の使用例を3枚の板材を同時に反転する場合を例にとって説明する回転軸方向側面図であり、(a)は板材の取り込み途中、(b)は板材の取り込み後、(c)は板材の保持後、(d)は板材の反転途中の状態をそれぞれ示している。
【0031】
図4(a)に示すように、2枚の細幅で長尺の板材14a、14bを同時に反転する場合には、図2に示す例と同様、例えば、3本の搬送手段を用いて板材14a、14bを連続的に反転機10に搬送すればよい。また、図4(b)または図4(c)に示すように、2枚の細幅(1/2幅)で短尺の板材14c、14dを同時に反転する場合、または、3枚の細幅(1/3幅)で短尺の板材14e、14f、14gを同時に反転する場合には、例えば、2本の搬送手段を用いて板材14c、14dまたは板材14e、14f、14gを連続的に反転機10に搬送すればよい。
【0032】
以下、3枚の板材を同時に反転する場合を例にとって、本発明に係る板材反転機の使用例をより詳しく説明する。
【0033】
図5(a)に示すように、複数の板材14e、14f、14gは、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの一方の搬送手段(図5(a)に示す例では第1搬送手段11a)によって第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送される。図5(b)に示すように、第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送された複数の板材14e、14f、14gは、下方に位置する搬送手段(図5(b)では第1搬送手段11a)の中心付近で静止し、その状態で、例えば、図5(c)に示すように、保持手段12の間隔を狭めることにより、板材14e、14f、14gの表裏面を同時に挟持し、保持される。
【0034】
続いて、図5(d)に示すように、回転手段(図示しない)を用いて複数の板材14e、14f、14gとともに第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを180°回転させることで、複数の板材14e、14f、14gを反転する。その後、図3に示す例と同様、板材14の保持を開放し、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの他方の搬送手段(図5に示す例では第2搬送手段11b)を用いて、板材が第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間から排出される。
【0035】
このように、本発明の反転機では、回転翼方式の反転機とは異なり、保持手段によって第1搬送手段と第2搬送手段との間で板材を保持した状態で反転するため、複数の板材を同時に反転することが可能となる。
【0036】
図6は、本発明に係る板材反転機のより好ましい使用例を説明する回転軸方向側面図であり、(a)は先行する板材の取り込み途中、(b)は先行する板材の反転途中、(c)は先行する板材の排出途中、(d)は後行する板材の取り込み途中、(e)は後行する板材の反転途中の状態をそれぞれ示している。
【0037】
図6(a)に示すように、この使用例では、板材14は、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの一方の搬送手段(図6(a)に示す例では第1搬送手段11a)によって第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送され、保持手段12により保持された状態で、図6(b)に示すように、第1搬送手段11aおよび第2搬送手段11bを180°回転させることで、反転される。
【0038】
その後、図6(c)に示すように、板材14の保持が開放され、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの他方の搬送手段(図5に示す例では第2搬送手段11b)を用いて、板材14が第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間から排出され、図6(d)に示すように、後続の板材が、第1搬送手段11aまたは第2搬送手段11bのうちの一方の搬送手段(図6(d)に示す例では第2搬送手段11b)によって第1搬送手段11aと第2搬送手段11bとの間に搬送され、反転される。このときの回転方向は、図6(e)に示すように、図6(b)とは逆方向に回転することが好ましい。
【0039】
本発明の板材反転機は、搬送手段、保持手段、各種位置センサーなどを回転手段によって回転させる必要があるため、回転手段による回転方向が一方向のみであると、回転ジョイント方式など、複雑な配線方式で電源と接続する必要が生じ、ひいては製造コストの上昇を招くとともに、メンテナンスが容易ではない。そこで、図6に示すように、回転手段による板材の回転方向が、正転と逆転とを繰り返すように構成すると、通常の配線方式で電源と接続することが可能となる。
【0040】
本発明の板材反転機は、第1搬送手段または第2搬送手段を単なる搬送手段として利用することもでき、この場合には、板材を反転させず、次工程に搬送することもできる。
【0041】
本発明の板材反転機における保持手段は、既に説明した構成に限定されない。例えば、円柱状の保持具を複数有するものでも良いが、複数の板材を同時に反転させることが想定される場合には、図1〜図6において12で示した、反転させる板材の幅方向と同等の長さを有する直方体型保持具を有するものが好ましい。また、板材の表面の傷を防止するべく、保持具の表面には樹脂、スポンジなどの弾性素材を用いることが好ましい。
【0042】
本発明の板材反転機における保持手段としては、図1〜6に示すように、板材の表裏面を挟持する構成のもののほか、板材の長手方向側面(エンド部)を挟持する構成のもの、板材の幅方向側面(サイド部)を挟持する構成のものを用いることができる。また、板材を挟持しないまでも、反転時に板材が第1搬送手段および第2搬送手段から飛び出さないようにするためのガイド手段を有するものでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、従来の反転機よりも小さいスペースで反転機を設置できるため、反転機の設置場所についての自由度が増す。また、本発明によれば、反転されるべき板材の長さ、幅および厚さの変化に容易に対応する事ができるので、板材のサイズについての自由度が増す。本発明によれば、更に、複数の板材を同時に反転することができるので、特に、小さいサイズの板材の反転を行う場合には、従来の反転機と比較して生産効率が格段に向上する。
【符号の説明】
【0044】
10 本発明に係る板材反転機
11a 第1搬送手段
11b 第2搬送手段
12 保持手段
13 回転手段
14、14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g 板材
15a 上流側搬送手段
15b 下流側搬送手段
16a 下流側ローラ
16b 上流側ローラ
18 搬送面
50 従来の反転機
51 回転翼
52a、52b、52c、52d 凹部
53a 上流側コンベヤ
54a、54b、54c、54d 板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材を搬送する第1搬送手段および第2搬送手段と、板材を保持する保持手段と、板材とともに第1搬送手段および第2搬送手段を回転する回転手段と、制御手段とを有し、第1搬送手段および第2搬送手段を所定の間隔を保った状態でそれぞれの搬送面が相互に対向するように配置した板材反転機であって、下記の(1)〜(5)の工程を順に行うよう制御されたことを特徴とする板材反転機。
(1)第1搬送手段または第2搬送手段のうちの一方の搬送手段を用いて板材を第1搬送手段と第2搬送手段との間に搬送する工程、
(2)保持手段で板材を保持する工程、
(3)回転手段を用いて板材とともに第1搬送手段および第2搬送手段を反転する工程、
(4)板材の保持を開放する工程、および、
(5)第1搬送手段または第2搬送手段のうちの他方の搬送手段を用いて板材を第1搬送手段と第2搬送手段との間から排出する工程。
【請求項2】
保持手段が、第1搬送手段および第2搬送手段の間で板材の表裏面を挟持するものであることを特徴とする請求項1に記載の板材反転機。
【請求項3】
回転手段による板材の回転方向が、正転と逆転とを繰り返すことを特徴とする請求項1または2に記載の板材反転機。
【請求項4】
複数の板材を同時に反転させることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の板材反転機。
【請求項5】
搬送手段が、ベルト方式の搬送手段であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の板材反転機。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載の板材反転機を用いたことを特徴とする床材反転機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−6186(P2011−6186A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150388(P2009−150388)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000213769)朝日ウッドテック株式会社 (47)
【Fターム(参考)】